JPH038332B2 - - Google Patents
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- JPH038332B2 JPH038332B2 JP57001008A JP100882A JPH038332B2 JP H038332 B2 JPH038332 B2 JP H038332B2 JP 57001008 A JP57001008 A JP 57001008A JP 100882 A JP100882 A JP 100882A JP H038332 B2 JPH038332 B2 JP H038332B2
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は構造式():
で表わされる塩酸ジサイクロミンの製造方法に関
するものである。 塩酸ジサイクロミンは、胃、十二脂腸潰瘍、食
道痙攣、幽門痙攣、胃炎、潰瘍性大腸炎、胆の
う・胆管炎、胆石症等の治療薬として有効な化合
物である。 従来、塩酸ジサイクロミンの製造方法として
は、下記の方法が知られている。 (1) ベンジルシアナイドと1,5−ジブロモペン
タンを、エーテル中、あるいは、トルエン中
で、ナトリウムアミドを作用させて、1−フエ
ニルシクロヘキシルシアナイドを調製し、次
に、これを濃硫酸中で、エタノールと混合し、
この混合物を、24〜48時間、激しく還流して、
1−フエニルシクロヘキサンカルボン酸エチル
エステルを調製する。次にこれを、キシレン中
で、金属ナトリウムを触媒として、2−(ジエ
チルアミノ)エタノールとエステル交換し、塩
酸塩の形の反応生成物を取出し、この反応生成
物を、氷酢酸中でアダムス触媒を用いて水素化
し、塩酸ジサイクロミンを得る〔通算収率:40
%、J.Amer.Chem.Soc.,69,2902(1947)〕。 (2) フエニル酢酸エチルと、1,5−ジブロモペ
ンタンとに、ジメチルホルムアミドとベンゼン
中で、水素化ナトリウムを作用させ、1−フエ
ニルシクロヘキサンカルボン酸エチルを調製
し、この化合物を、キシレン中で、金属ナトリ
ウムを触媒として、2−(ジエチルアミノ)エ
タノールとエステル交換し、得られる反応生成
物を塩酸塩として取出し、これを氷酢酸中でロ
ジウム−アルミナ触媒を用いて水素化し、塩酸
ジサイクロミンを得る方法〔通算収率:10%、
USP3527792〕。 (3) ジシロヘキシルケトンを、塩化スルフリルを
用いて1−クロロシクロヘキシルシクロヘキシ
ルケトンとし、次に、これをジオキサン中で、
水酸化カリウムと還流し、〔1,1′−ビシクロ
ヘキシル〕−1−カルボン酸を調製し、これを、
(a) 塩化スルフリルでクロル化した後、トルエ
ン中で、2−(ジエチルアミノ)エタノールと
反応させるか、あるいは、(b) 2−(ジエチル
アミノ)エチルクロライドと水酸化カリウムと
反応させ、これによつて2−(ジエチルアミノ)
エチルエステルを調製し、これを公知の方法で
塩酸塩化する方法〔通算収率:29〜34%、
Bull.soc.chim.France,1952.84(CA,47,
4295(1953)〕。 (4) 1−ブロモシクロヘキサンカルボン酸エチル
と、シクロヘキサノンとを、ベンゼン−エーテ
ル中で、マグネシウムの存在下に、縮合した
後、反応生成物に脱水、ケン化、水素化の工程
を施し、これによつて〔1,1′−ビシクロヘキ
シル〕−1−カルボン酸を調製し、この化合物
をアセトン中で、2−(ジエチルアミノ)エチ
ルクロライド塩酸塩と炭酸カリウムを用いてエ
ステル化し、最後に、これを塩酸塩化する方法
〔通算収率:61%、Bull.soc.chim.France,
1958,1478(CA,54,18328(1960)〕。 (5) シクロヘキシルシアナイドと、シクロヘキシ
ルブロマイドとを、ナトリウムアミドの存在下
に縮合し、得られた反応生成物を濃硫酸中でエ
タノールと還流し、これによつて〔1,1′−ビ
シクロヘキシル〕−1−カルボン酸エチルを調
製し、この化合物を2−(ジエチルアミノ)エ
タノールとエステル交換し、得られた化合物を
塩酸塩化する方法〔通算収率:27%、J.Amer.
Chem.Soc.,69.2902(1947)〕。 しかしながら、前記の従来法において用いられ
る1,5―ジブロモペンタン、ジシクロヘキシル
ケトン、あるいは1−ブロモシクロヘキサンカル
ボン酸エチルなどは、工業的に入手することは容
易ではなく、また高価であり、しかも最終生成物
の収率が低いという欠点がある。従つて、これら
を原料として塩酸ジサイクロミンを工業的規模で
製造することは極めて不満足なものであつた。ま
た前記従来方法のように、ナトリウムアミドおよ
び水素化ナトリウムを工業的規模で使用すること
には、これらの安定性あるいは水に対する危険性
から、使用に際して細心の注意をはらわなければ
ならないという不便があつた。更に、反応工程に
おいても条件の設定が困難であつたり、急激な反
応を起こす可能性があるなど、工業的製造方法と
して不適当な点があつた。これらの点から、従来
法は塩酸ジサイクロミンの工業的製造方法として
満足できるものではなく、その改善が強く望まれ
ていた。 本発明者らは、塩酸ジサイクロミンの合成につ
いて鋭意研究した結果、工業的に容易に入手し得
る安価な原料を用い、簡便な操作と穏和な反応条
件下に、高収率で高品質の塩酸ジサイクロミンを
得る方法を見出し、本発明を完成するに至つた。
すなわち本発明は、工業的見地から塩酸ジサイク
ロミンの製造方法として極めて価値あるものであ
る。 すなわち本発明は、 1 下記構造式(): で表わされる塩酸ジサイクロミンを得るために、 (1) 濃硫酸、発煙硫酸、リン酸および、リン酸−
五酸化リン混合物から選ばれた少くとも1種か
らなる脱水剤の存在下に、 下記構造式(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
2−オールと、下記構造式(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−オールとから選ばれた少くとも1種と、 ギ酸と を反応させて、これによつて、下記構造式
(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸を生成せしめ、 (2) 上記工程(1)で得られた反応混合物に、2−
(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩酸塩水
溶液を混合し、この混合液に、アルカリ性水溶
液を滴下し、これによつて、下記構造式
(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチ
ルエステルを生成せしめ、次に、 (3) 前記()式の化合物をその塩酸塩に変成す
る、 ことを特徴とするものである。 本発明方法の一実施態様を示すと、まず〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−2−オールおよび〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−1−オールから選ばれ
た少なくとも1種を、ギ酸に溶解し、得られた溶
液を、濃硫酸、発煙硫酸、リン酸およびリン酸−
五酸化リン混合物から選ばれた少なくとも1種か
らなる脱水剤中へ滴下し、前記両者の反応を行な
い、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボン
酸を得る。反応終了後、反応液を砕氷中に注ぎ込
み、ついでこのものに、ジエチルエーテル等の有
機溶媒による抽出操作を施して前記化合物を含む
有機層を分離する。分離された有機層に水酸化ナ
トリウム等のアルカリ水溶液を加え、前記カルボ
ン酸化合物をそのアルカリ金属塩に変成してこれ
を水層に抽出する。この水層に塩酸あるいは硫酸
を加えてこれを酸性とし、前記カルボン酸化合物
を結晶として得る。このようにして得られた
〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボン酸
を、2−(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩
酸塩の水溶液に加え、この混合物に、水酸化アル
カリ、および/又は、炭酸アルカリなどのアルカ
リ性水溶液を滴下し、エステル化反応を行う。反
応終了後、反応液を有機溶媒で抽出し、有機層を
水洗.乾燥し、減圧下に有機溶媒を留去すると、
液状の〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カル
ボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
が得られる。このエステル化合物を、公知の方法
により塩酸塩に変成すれば塩酸ジサイクロミンが
得られる。 本発明で使用する〔1,1′−ビシクロヘキシ
ル〕−2−オールを製造するには、先ずシクロヘ
キサノンを、p−トルエンスルホン酸のような酸
触媒存在下に、ベンゼン、トルエン、キシレン等
を溶媒として共沸脱水し、これを2−(1−シク
ロヘキセニル)シクロヘキサノンとする。次にメ
タノール、イソプロピルアルコール等を溶媒とし
て、ラネーニツケル触媒存在下に、前記化合物中
の不飽和結合とカルボニル基を同時に還元する。
すると〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−2−オー
ルが容易に、かつ、高収率で得られる。 また、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−オー
ルは、クロロシクロヘキサン、または、ブロモシ
クロヘキサンと、マグネシウムとからグリニヤー
ル試薬を製造し、このグリニヤール試薬と、シク
ロヘキサノンとを反応させると、収率よく得るこ
とができる。 本発明方法において用いられるギ酸は、〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−2−オール、および/
又は〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−オール
の1モルに対して、1ないし10モル用いればよ
い。本方法では、前記アルコール化合物およびギ
酸のそれぞれ1モルから、1モルの水が副生する
ので、脱水剤の濃度および使用量は()式のカ
ルボン酸化合物を調製する際の重要な要因とな
る。すなわち、濃硫酸が脱水剤として用いられる
場合には、90ないし100%濃度のものを用い、発
煙硫酸の場合には、取扱いに注意しなければなら
ない点および副生物が多くなる点から、0ないし
30%のものを用いることが好ましい。リン酸を用
いる場合、()式の化合物の生成反応が水を副
生する反応であることから、リン酸濃度は100%
であることが好ましい。また、リン酸の脱水能力
を高めるために、100%リン酸と五酸化リンとの
混合物を用いることもできる。この場合、混合比
は任意に選ぶことができるが、五酸化リンのリン
酸への溶解性から考えて、五酸化リン/100%リ
ン酸重量比は、1/1以下であることが好まし
い。これらの脱水剤の使用量は、オール化合物1
モルに対して、全体で5ないし30モル用いればよ
い。さらに存過剰に用いてもよいがそれによつて
格別の利点はなく、却つて経済的に不利となる。
このときの反応は脱水剤の種類に応じて−10〜
120℃の温度で行われる。例えば、脱水剤が濃硫
酸又は発煙硫酸からなる場合には、反応温度を−
10ないし50℃、好ましくは0ないし30℃とし、リ
ン酸およびリン酸−五酸化リン混合物が用いられ
る場合には、反応温度を30ないし120℃、好まし
くは50ないし100℃とする。反応時間は、一般に
1ないし6時間である。 前記()式の化合物の生成における化学反応
の機構の詳細は明らかではないが、構造式()
および()で表わされるアルコール化合物がま
ず脱水剤の作用により脱水し、生成したカルボニ
ウムイオンがより安定なイオンに転位すると同時
に、脱水剤とギ酸との作用で生成する一酸化炭素
と反応し、前記構造式()で表わされるカルボ
ン酸化合物を生成するものと考えられる。 前記構造式()で表わされるエステル化合物
は、前記構造式()で表わされるカルボン酸化
合物と、2−(ジエチルアミノ)エチルクロライ
ド塩酸塩との混合水溶液に、アルカリ性水溶液例
えば水酸化アルカリおよび炭酸アルカリから選ば
れた少くとも1種を含む水溶液を滴下しながら反
応させることにより得ることができる。この際の
反応は、一般に、0ないし100℃、好ましくは30
ないし80℃の温度で、1ないし6時間行われる。
水酸化アルカリおよび炭酸アルカリとしては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭
酸水素カリウムなどが用いられる。このようなア
ルカリ化合物を、2−(ジエチルアミノ)エチル
クロライド塩酸塩1モルに対して2モル以上用い
る。上記エステル化合物生成反応に際し、構造式
()のカルボン酸化合物は、水に溶解しないの
でこれを2−(ジエチルアミノ)エチルクロライ
ド塩酸塩水溶液に懸濁させ、この懸濁液にアルカ
リの水溶液を滴下するか、或は、この懸濁液に、
カルボン酸化合物を溶解する溶媒を加えてもよ
い。このために用いられる溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、イソプロピルエーテル等のエーテル系化
合物、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素及びアセトン、2−ブタノン等のケトン類など
があげられる。 反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液
をジエチルエーテル、ヘキサン、ベンゼン、トル
エン等の有機溶媒で抽出し、得られた有機層を、
アルカリ水溶液で洗浄し、未反応カルボン酸化合
物を回収した後、残液を水洗し、さらにこれを濃
縮する。すると〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸の2−(ジエチルアミノ)エチル
エステルが得られる。 上記のようにして得られた前記構造式()で
表わされるエステル化合物を溶媒に溶解してお
き、これに、塩化水素ガスを吹き込むか、あるい
は、塩化水素ガスを吸収させた溶媒あるいは塩酸
を滴下することにより塩酸ジサイクロミンを得る
ことができる。塩酸塩化の溶媒としては、アセト
ン、2−ブタノン、アセトニトリル、イソプロピ
ルアルコール、エタノール、ベンゼン、トルエ
ン、ジエチルエーテル等が用いられる。塩酸塩化
反応により生成した結晶、あるいは、反応液を冷
却することにより生成した結晶を過し、得られ
た結晶を減圧下に乾燥すると、前記構造式()
で表わされる塩酸ジサイクロミンが得られる。 以下、実施例により本発明を、より詳細に説明
する。実施例中「収率」とは理論収率を示す。 実施例 1 1の反応フラスコに97%硫酸540gを入れ、
これを激しく撹拌しながら10℃まで冷却した。こ
れに3mlのギ酸を滴下し、引続き、50.0gの
〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−2−オールを50.5
gのギ酸に溶解した溶液を、3時間で滴下し、こ
の間反応液の温度を10〜20℃に保つた。滴下終了
後、反応液を10〜20℃で更に1時間撹拌し、次
に、反応混合物を1Kgの砕氷中に撹拌しながら注
ぎ込んだ。すると白色の固体が生成した。この反
応液にトルエン200mlを加え、反応生成物を含む
トルエン層を分離した後、残つた水層をトルエン
200mlで抽出しトルエン層を分離した。得られた
トルエン層を一つにまとめ、これに5%水酸化ナ
トリウム水溶液200mlを加えた。得られた水層を
分離した後、残つたトルエン層を5%水酸化ナト
リウム水溶液200mlで抽出した後、アルカリ水溶
液層をまとめ、これをトルエン200mlで洗浄した。
アルカリ水溶液層に、冷却下、撹拌しながら濃塩
酸を加え、これを酸性にすると、白色の結晶が生
成した。この結晶を吸引過し、100mlの水で2
回洗浄した後、減圧下に乾燥した。48.5gの
〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボン酸が
白色結晶として得られた(融点:120〜121℃、収
率84.1%)。なお、この結晶のIR,NMRスペク
トルは、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カル
ボン酸の標品のそれらと一致した。 この〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カル
ボン酸と、2−(ジエチルアミノ)エチルクロラ
イド塩酸塩の50%水溶液78.8gと、および、トル
エン100mlとをフラスコ中に入れ、この混合物を
50℃に保つて撹拌しながら、フラスコ中に5%水
酸化ナトリウム水溶液370gを2時間で滴下した。
さらに反応液を40〜50℃で1時間撹拌した後、室
温まで冷却し、分液した後、得られたトルエン層
を5%水酸化ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄
し、さらにそれがアルカリ性を示さなくなるまで
水洗を繰り返した。このように処理したトルエン
層を、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下にト
ルエンを除くと、淡黄色の液体67.5gが得られ
た。この液体は、そのIRおよびNMRスペクトル
から、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボ
ン酸−2−(ジエチルアミノ)エチルエステルで
あることが確認された(収率:94.6%)。 このエステル化合物を250mlのジエチルエーテ
ルに溶解し、この溶液を冷却下に撹拌しながらこ
れに塩化水素ガスを吹き込むと、白色の結晶が生
成した。この結晶を別した後乾燥し、メチルエ
チルケトン650mlから再結晶して65.7gの白色の
結晶を得た(融点:172.6〜173.1℃)。この結晶
のIRおよびNMRスペクトルは塩酸ジサイクロミ
ンの標品のそれらと一致した(収率:87%)。通
算収率68.5% 実施例 2 1lの反応フラスコに、97%硫酸810gを入れ、
これを激しく撹拌しながら15℃まで冷却した。こ
れに3mlのギ酸を滴下した後、75.0gの〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−1−オールを76.0gの
ギ酸に溶解した溶液を3時間で滴下した。この
間、反応液を15〜25℃の温度に保つた。以後、実
施例1と同様に処理し、37.2gの〔1,1′−ビシ
クロヘキシル〕−1−カルボン酸を白色結晶とし
て得た(融点:120.5〜121.3℃、収率:42.8%)。
これを50.4%の2−(ジエチルアミノ)エチルク
ロライド塩酸塩水溶液60.4gに懸濁し、その温度
を70℃に保つた。この懸濁液を撹拌しながら、こ
れに10%炭酸カリウム水溶液590gを4時間で滴
下し、さらにこの反応液を70〜80℃の温度で2時
間撹拌した。以後、実施例1と同様に処理して、
51.5gの〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カ
ルボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチルエステ
ルを得た(収率:94.1%)。このエステルをイソ
プロピルアルコール200mlに溶解し、この溶液を
撹拌しながらこれに35%塩酸17.4gを滴下した。
生成した結晶を加熱溶解した後、反応液を−10℃
まで冷却した。生成した結晶を過した後、減圧
下に乾燥し、50.0gの白色結晶を得た(融点:
172.6〜173.6℃、収率:86.8%)。この結晶のIRお
よびNMRスペクトルは、塩酸ジサイクロミンの
標品のそれらと一致した(通算収率:35.1%)。 実施例 3 300mlの反応フラスコに30%発煙硫酸165gを入
れ、これを激しく撹拌しながら5〜10℃に冷却し
た。これに1mlのギ酸を滴下し、引続き、〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−2−オール30.0gとギ
酸16.5gとの溶液を、反応液温度を5〜10℃に保
ちながら2時間で滴下した。滴下終了後、更に1
時間、5〜10℃で撹拌した後、反応混合物を300
gの氷水中に注ぎ込み、これをエーテルで抽出し
た。得られたエーテル層を、5%水酸化ナトリウ
ム水溶液で抽出した。次に得られたアルカリ層を
10%硫酸で酸性にすると、結晶を生成した。この
結晶懸濁液をエーテルで抽出した後、得られたエ
ーテル層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エ
ーテルを留去すると、18.8gの〔1,1′−ビシク
ロヘキシル〕−1−カルボン酸を得た(収率:
54.3%)。このカルボン酸化合物をメタノール50
mlに溶解し、50.4%の2−(ジエチルアミノ)エ
チルクロライド塩酸塩の水溶液30.5gと混合し、
混合物の温度を50℃に保つた。これに5%炭酸水
素ナトリウム水溶液310gを2時間で滴下し、さ
らに50〜60℃の温度で3時間撹拌した。以後、エ
ーテル抽出、アルカリ洗浄、水洗、乾燥、濃縮す
ることにより、淡黄色の液体、24.7gを得た(収
率:89.3%)。このもののIR及びNMRスペクト
ルは実施例1で得られたエステル化合物のそれら
と一致した。これを100mlのアセトンに溶解し、
撹拌しながら、20%の塩化水素−メタノール溶液
14.6gを滴下した。生成した結晶を一旦加熱溶解
した後、−10℃まで冷却し、生成した結晶を過.
乾燥し、22.9gの結晶を得た(融点:172.1〜
173.7℃、収率:82.9%)。このもののIRおよび
NMRスペクトルは塩酸ジサイクロミンの標品の
それらと一致した(通算収率:40.2%)。 実施例 4 85%リン酸500gと五酸化リン197gとから得た
100%リン酸150gを500mlの反応フラスコに入れ、
氷水で冷却し、撹拌しつつ徐々に五酸化リン100
gを加えた。その後、この混合物を70℃に保ち、
1mlのギ酸を加え、引続き、〔1,1′−ビシクロ
ヘキシル〕−2−オール30.0gとギ酸16.5gの溶
液を、反応液を65〜75℃に保ちながら3時間で滴
下し、さらに1時間撹拌した後、300gの砕氷中
に注ぎ込んだ。以後、実施例3と同様に処理し、
22.3gの〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カ
ルボン酸を得た(収率:64.4%)。このカルボン
酸化合物にアセトン50mlと2−(ジエチルアミノ)
エチルクロライド塩酸塩の水溶液36.2gを加え、
その温度を30℃に保つた。これに10%水酸化カリ
ウム水溶液120gを4時間で滴下し、さらに、30
〜40℃で1時間撹拌した。アセトンを減圧下に留
去した後、エーテル抽出、アルカリ洗浄、水洗、
乾燥、濃縮して、27.9gの淡黄色の液体を得た
(収率:85.0%)。これをアセトン120mlに溶解し、
これを冷却し、35%塩酸9.5gを滴下した。生成
した白色の結晶を過.乾燥して27.9gの結晶を
得た(融点:172.3〜173.0℃、収率:89.5%)。こ
のもののIRおよびNMRスペクトルは塩酸ジサイ
クロミンの標品のそれらと一致した(通算収率:
49.0%)。
するものである。 塩酸ジサイクロミンは、胃、十二脂腸潰瘍、食
道痙攣、幽門痙攣、胃炎、潰瘍性大腸炎、胆の
う・胆管炎、胆石症等の治療薬として有効な化合
物である。 従来、塩酸ジサイクロミンの製造方法として
は、下記の方法が知られている。 (1) ベンジルシアナイドと1,5−ジブロモペン
タンを、エーテル中、あるいは、トルエン中
で、ナトリウムアミドを作用させて、1−フエ
ニルシクロヘキシルシアナイドを調製し、次
に、これを濃硫酸中で、エタノールと混合し、
この混合物を、24〜48時間、激しく還流して、
1−フエニルシクロヘキサンカルボン酸エチル
エステルを調製する。次にこれを、キシレン中
で、金属ナトリウムを触媒として、2−(ジエ
チルアミノ)エタノールとエステル交換し、塩
酸塩の形の反応生成物を取出し、この反応生成
物を、氷酢酸中でアダムス触媒を用いて水素化
し、塩酸ジサイクロミンを得る〔通算収率:40
%、J.Amer.Chem.Soc.,69,2902(1947)〕。 (2) フエニル酢酸エチルと、1,5−ジブロモペ
ンタンとに、ジメチルホルムアミドとベンゼン
中で、水素化ナトリウムを作用させ、1−フエ
ニルシクロヘキサンカルボン酸エチルを調製
し、この化合物を、キシレン中で、金属ナトリ
ウムを触媒として、2−(ジエチルアミノ)エ
タノールとエステル交換し、得られる反応生成
物を塩酸塩として取出し、これを氷酢酸中でロ
ジウム−アルミナ触媒を用いて水素化し、塩酸
ジサイクロミンを得る方法〔通算収率:10%、
USP3527792〕。 (3) ジシロヘキシルケトンを、塩化スルフリルを
用いて1−クロロシクロヘキシルシクロヘキシ
ルケトンとし、次に、これをジオキサン中で、
水酸化カリウムと還流し、〔1,1′−ビシクロ
ヘキシル〕−1−カルボン酸を調製し、これを、
(a) 塩化スルフリルでクロル化した後、トルエ
ン中で、2−(ジエチルアミノ)エタノールと
反応させるか、あるいは、(b) 2−(ジエチル
アミノ)エチルクロライドと水酸化カリウムと
反応させ、これによつて2−(ジエチルアミノ)
エチルエステルを調製し、これを公知の方法で
塩酸塩化する方法〔通算収率:29〜34%、
Bull.soc.chim.France,1952.84(CA,47,
4295(1953)〕。 (4) 1−ブロモシクロヘキサンカルボン酸エチル
と、シクロヘキサノンとを、ベンゼン−エーテ
ル中で、マグネシウムの存在下に、縮合した
後、反応生成物に脱水、ケン化、水素化の工程
を施し、これによつて〔1,1′−ビシクロヘキ
シル〕−1−カルボン酸を調製し、この化合物
をアセトン中で、2−(ジエチルアミノ)エチ
ルクロライド塩酸塩と炭酸カリウムを用いてエ
ステル化し、最後に、これを塩酸塩化する方法
〔通算収率:61%、Bull.soc.chim.France,
1958,1478(CA,54,18328(1960)〕。 (5) シクロヘキシルシアナイドと、シクロヘキシ
ルブロマイドとを、ナトリウムアミドの存在下
に縮合し、得られた反応生成物を濃硫酸中でエ
タノールと還流し、これによつて〔1,1′−ビ
シクロヘキシル〕−1−カルボン酸エチルを調
製し、この化合物を2−(ジエチルアミノ)エ
タノールとエステル交換し、得られた化合物を
塩酸塩化する方法〔通算収率:27%、J.Amer.
Chem.Soc.,69.2902(1947)〕。 しかしながら、前記の従来法において用いられ
る1,5―ジブロモペンタン、ジシクロヘキシル
ケトン、あるいは1−ブロモシクロヘキサンカル
ボン酸エチルなどは、工業的に入手することは容
易ではなく、また高価であり、しかも最終生成物
の収率が低いという欠点がある。従つて、これら
を原料として塩酸ジサイクロミンを工業的規模で
製造することは極めて不満足なものであつた。ま
た前記従来方法のように、ナトリウムアミドおよ
び水素化ナトリウムを工業的規模で使用すること
には、これらの安定性あるいは水に対する危険性
から、使用に際して細心の注意をはらわなければ
ならないという不便があつた。更に、反応工程に
おいても条件の設定が困難であつたり、急激な反
応を起こす可能性があるなど、工業的製造方法と
して不適当な点があつた。これらの点から、従来
法は塩酸ジサイクロミンの工業的製造方法として
満足できるものではなく、その改善が強く望まれ
ていた。 本発明者らは、塩酸ジサイクロミンの合成につ
いて鋭意研究した結果、工業的に容易に入手し得
る安価な原料を用い、簡便な操作と穏和な反応条
件下に、高収率で高品質の塩酸ジサイクロミンを
得る方法を見出し、本発明を完成するに至つた。
すなわち本発明は、工業的見地から塩酸ジサイク
ロミンの製造方法として極めて価値あるものであ
る。 すなわち本発明は、 1 下記構造式(): で表わされる塩酸ジサイクロミンを得るために、 (1) 濃硫酸、発煙硫酸、リン酸および、リン酸−
五酸化リン混合物から選ばれた少くとも1種か
らなる脱水剤の存在下に、 下記構造式(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
2−オールと、下記構造式(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−オールとから選ばれた少くとも1種と、 ギ酸と を反応させて、これによつて、下記構造式
(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸を生成せしめ、 (2) 上記工程(1)で得られた反応混合物に、2−
(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩酸塩水
溶液を混合し、この混合液に、アルカリ性水溶
液を滴下し、これによつて、下記構造式
(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチ
ルエステルを生成せしめ、次に、 (3) 前記()式の化合物をその塩酸塩に変成す
る、 ことを特徴とするものである。 本発明方法の一実施態様を示すと、まず〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−2−オールおよび〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−1−オールから選ばれ
た少なくとも1種を、ギ酸に溶解し、得られた溶
液を、濃硫酸、発煙硫酸、リン酸およびリン酸−
五酸化リン混合物から選ばれた少なくとも1種か
らなる脱水剤中へ滴下し、前記両者の反応を行な
い、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボン
酸を得る。反応終了後、反応液を砕氷中に注ぎ込
み、ついでこのものに、ジエチルエーテル等の有
機溶媒による抽出操作を施して前記化合物を含む
有機層を分離する。分離された有機層に水酸化ナ
トリウム等のアルカリ水溶液を加え、前記カルボ
ン酸化合物をそのアルカリ金属塩に変成してこれ
を水層に抽出する。この水層に塩酸あるいは硫酸
を加えてこれを酸性とし、前記カルボン酸化合物
を結晶として得る。このようにして得られた
〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボン酸
を、2−(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩
酸塩の水溶液に加え、この混合物に、水酸化アル
カリ、および/又は、炭酸アルカリなどのアルカ
リ性水溶液を滴下し、エステル化反応を行う。反
応終了後、反応液を有機溶媒で抽出し、有機層を
水洗.乾燥し、減圧下に有機溶媒を留去すると、
液状の〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カル
ボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
が得られる。このエステル化合物を、公知の方法
により塩酸塩に変成すれば塩酸ジサイクロミンが
得られる。 本発明で使用する〔1,1′−ビシクロヘキシ
ル〕−2−オールを製造するには、先ずシクロヘ
キサノンを、p−トルエンスルホン酸のような酸
触媒存在下に、ベンゼン、トルエン、キシレン等
を溶媒として共沸脱水し、これを2−(1−シク
ロヘキセニル)シクロヘキサノンとする。次にメ
タノール、イソプロピルアルコール等を溶媒とし
て、ラネーニツケル触媒存在下に、前記化合物中
の不飽和結合とカルボニル基を同時に還元する。
すると〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−2−オー
ルが容易に、かつ、高収率で得られる。 また、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−オー
ルは、クロロシクロヘキサン、または、ブロモシ
クロヘキサンと、マグネシウムとからグリニヤー
ル試薬を製造し、このグリニヤール試薬と、シク
ロヘキサノンとを反応させると、収率よく得るこ
とができる。 本発明方法において用いられるギ酸は、〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−2−オール、および/
又は〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−オール
の1モルに対して、1ないし10モル用いればよ
い。本方法では、前記アルコール化合物およびギ
酸のそれぞれ1モルから、1モルの水が副生する
ので、脱水剤の濃度および使用量は()式のカ
ルボン酸化合物を調製する際の重要な要因とな
る。すなわち、濃硫酸が脱水剤として用いられる
場合には、90ないし100%濃度のものを用い、発
煙硫酸の場合には、取扱いに注意しなければなら
ない点および副生物が多くなる点から、0ないし
30%のものを用いることが好ましい。リン酸を用
いる場合、()式の化合物の生成反応が水を副
生する反応であることから、リン酸濃度は100%
であることが好ましい。また、リン酸の脱水能力
を高めるために、100%リン酸と五酸化リンとの
混合物を用いることもできる。この場合、混合比
は任意に選ぶことができるが、五酸化リンのリン
酸への溶解性から考えて、五酸化リン/100%リ
ン酸重量比は、1/1以下であることが好まし
い。これらの脱水剤の使用量は、オール化合物1
モルに対して、全体で5ないし30モル用いればよ
い。さらに存過剰に用いてもよいがそれによつて
格別の利点はなく、却つて経済的に不利となる。
このときの反応は脱水剤の種類に応じて−10〜
120℃の温度で行われる。例えば、脱水剤が濃硫
酸又は発煙硫酸からなる場合には、反応温度を−
10ないし50℃、好ましくは0ないし30℃とし、リ
ン酸およびリン酸−五酸化リン混合物が用いられ
る場合には、反応温度を30ないし120℃、好まし
くは50ないし100℃とする。反応時間は、一般に
1ないし6時間である。 前記()式の化合物の生成における化学反応
の機構の詳細は明らかではないが、構造式()
および()で表わされるアルコール化合物がま
ず脱水剤の作用により脱水し、生成したカルボニ
ウムイオンがより安定なイオンに転位すると同時
に、脱水剤とギ酸との作用で生成する一酸化炭素
と反応し、前記構造式()で表わされるカルボ
ン酸化合物を生成するものと考えられる。 前記構造式()で表わされるエステル化合物
は、前記構造式()で表わされるカルボン酸化
合物と、2−(ジエチルアミノ)エチルクロライ
ド塩酸塩との混合水溶液に、アルカリ性水溶液例
えば水酸化アルカリおよび炭酸アルカリから選ば
れた少くとも1種を含む水溶液を滴下しながら反
応させることにより得ることができる。この際の
反応は、一般に、0ないし100℃、好ましくは30
ないし80℃の温度で、1ないし6時間行われる。
水酸化アルカリおよび炭酸アルカリとしては、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭
酸水素カリウムなどが用いられる。このようなア
ルカリ化合物を、2−(ジエチルアミノ)エチル
クロライド塩酸塩1モルに対して2モル以上用い
る。上記エステル化合物生成反応に際し、構造式
()のカルボン酸化合物は、水に溶解しないの
でこれを2−(ジエチルアミノ)エチルクロライ
ド塩酸塩水溶液に懸濁させ、この懸濁液にアルカ
リの水溶液を滴下するか、或は、この懸濁液に、
カルボン酸化合物を溶解する溶媒を加えてもよ
い。このために用いられる溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコール等の
アルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、イソプロピルエーテル等のエーテル系化
合物、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素及びアセトン、2−ブタノン等のケトン類など
があげられる。 反応終了後、反応液を室温まで冷却し、反応液
をジエチルエーテル、ヘキサン、ベンゼン、トル
エン等の有機溶媒で抽出し、得られた有機層を、
アルカリ水溶液で洗浄し、未反応カルボン酸化合
物を回収した後、残液を水洗し、さらにこれを濃
縮する。すると〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸の2−(ジエチルアミノ)エチル
エステルが得られる。 上記のようにして得られた前記構造式()で
表わされるエステル化合物を溶媒に溶解してお
き、これに、塩化水素ガスを吹き込むか、あるい
は、塩化水素ガスを吸収させた溶媒あるいは塩酸
を滴下することにより塩酸ジサイクロミンを得る
ことができる。塩酸塩化の溶媒としては、アセト
ン、2−ブタノン、アセトニトリル、イソプロピ
ルアルコール、エタノール、ベンゼン、トルエ
ン、ジエチルエーテル等が用いられる。塩酸塩化
反応により生成した結晶、あるいは、反応液を冷
却することにより生成した結晶を過し、得られ
た結晶を減圧下に乾燥すると、前記構造式()
で表わされる塩酸ジサイクロミンが得られる。 以下、実施例により本発明を、より詳細に説明
する。実施例中「収率」とは理論収率を示す。 実施例 1 1の反応フラスコに97%硫酸540gを入れ、
これを激しく撹拌しながら10℃まで冷却した。こ
れに3mlのギ酸を滴下し、引続き、50.0gの
〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−2−オールを50.5
gのギ酸に溶解した溶液を、3時間で滴下し、こ
の間反応液の温度を10〜20℃に保つた。滴下終了
後、反応液を10〜20℃で更に1時間撹拌し、次
に、反応混合物を1Kgの砕氷中に撹拌しながら注
ぎ込んだ。すると白色の固体が生成した。この反
応液にトルエン200mlを加え、反応生成物を含む
トルエン層を分離した後、残つた水層をトルエン
200mlで抽出しトルエン層を分離した。得られた
トルエン層を一つにまとめ、これに5%水酸化ナ
トリウム水溶液200mlを加えた。得られた水層を
分離した後、残つたトルエン層を5%水酸化ナト
リウム水溶液200mlで抽出した後、アルカリ水溶
液層をまとめ、これをトルエン200mlで洗浄した。
アルカリ水溶液層に、冷却下、撹拌しながら濃塩
酸を加え、これを酸性にすると、白色の結晶が生
成した。この結晶を吸引過し、100mlの水で2
回洗浄した後、減圧下に乾燥した。48.5gの
〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボン酸が
白色結晶として得られた(融点:120〜121℃、収
率84.1%)。なお、この結晶のIR,NMRスペク
トルは、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カル
ボン酸の標品のそれらと一致した。 この〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カル
ボン酸と、2−(ジエチルアミノ)エチルクロラ
イド塩酸塩の50%水溶液78.8gと、および、トル
エン100mlとをフラスコ中に入れ、この混合物を
50℃に保つて撹拌しながら、フラスコ中に5%水
酸化ナトリウム水溶液370gを2時間で滴下した。
さらに反応液を40〜50℃で1時間撹拌した後、室
温まで冷却し、分液した後、得られたトルエン層
を5%水酸化ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄
し、さらにそれがアルカリ性を示さなくなるまで
水洗を繰り返した。このように処理したトルエン
層を、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下にト
ルエンを除くと、淡黄色の液体67.5gが得られ
た。この液体は、そのIRおよびNMRスペクトル
から、〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カルボ
ン酸−2−(ジエチルアミノ)エチルエステルで
あることが確認された(収率:94.6%)。 このエステル化合物を250mlのジエチルエーテ
ルに溶解し、この溶液を冷却下に撹拌しながらこ
れに塩化水素ガスを吹き込むと、白色の結晶が生
成した。この結晶を別した後乾燥し、メチルエ
チルケトン650mlから再結晶して65.7gの白色の
結晶を得た(融点:172.6〜173.1℃)。この結晶
のIRおよびNMRスペクトルは塩酸ジサイクロミ
ンの標品のそれらと一致した(収率:87%)。通
算収率68.5% 実施例 2 1lの反応フラスコに、97%硫酸810gを入れ、
これを激しく撹拌しながら15℃まで冷却した。こ
れに3mlのギ酸を滴下した後、75.0gの〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−1−オールを76.0gの
ギ酸に溶解した溶液を3時間で滴下した。この
間、反応液を15〜25℃の温度に保つた。以後、実
施例1と同様に処理し、37.2gの〔1,1′−ビシ
クロヘキシル〕−1−カルボン酸を白色結晶とし
て得た(融点:120.5〜121.3℃、収率:42.8%)。
これを50.4%の2−(ジエチルアミノ)エチルク
ロライド塩酸塩水溶液60.4gに懸濁し、その温度
を70℃に保つた。この懸濁液を撹拌しながら、こ
れに10%炭酸カリウム水溶液590gを4時間で滴
下し、さらにこの反応液を70〜80℃の温度で2時
間撹拌した。以後、実施例1と同様に処理して、
51.5gの〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カ
ルボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチルエステ
ルを得た(収率:94.1%)。このエステルをイソ
プロピルアルコール200mlに溶解し、この溶液を
撹拌しながらこれに35%塩酸17.4gを滴下した。
生成した結晶を加熱溶解した後、反応液を−10℃
まで冷却した。生成した結晶を過した後、減圧
下に乾燥し、50.0gの白色結晶を得た(融点:
172.6〜173.6℃、収率:86.8%)。この結晶のIRお
よびNMRスペクトルは、塩酸ジサイクロミンの
標品のそれらと一致した(通算収率:35.1%)。 実施例 3 300mlの反応フラスコに30%発煙硫酸165gを入
れ、これを激しく撹拌しながら5〜10℃に冷却し
た。これに1mlのギ酸を滴下し、引続き、〔1,
1′−ビシクロヘキシル〕−2−オール30.0gとギ
酸16.5gとの溶液を、反応液温度を5〜10℃に保
ちながら2時間で滴下した。滴下終了後、更に1
時間、5〜10℃で撹拌した後、反応混合物を300
gの氷水中に注ぎ込み、これをエーテルで抽出し
た。得られたエーテル層を、5%水酸化ナトリウ
ム水溶液で抽出した。次に得られたアルカリ層を
10%硫酸で酸性にすると、結晶を生成した。この
結晶懸濁液をエーテルで抽出した後、得られたエ
ーテル層を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エ
ーテルを留去すると、18.8gの〔1,1′−ビシク
ロヘキシル〕−1−カルボン酸を得た(収率:
54.3%)。このカルボン酸化合物をメタノール50
mlに溶解し、50.4%の2−(ジエチルアミノ)エ
チルクロライド塩酸塩の水溶液30.5gと混合し、
混合物の温度を50℃に保つた。これに5%炭酸水
素ナトリウム水溶液310gを2時間で滴下し、さ
らに50〜60℃の温度で3時間撹拌した。以後、エ
ーテル抽出、アルカリ洗浄、水洗、乾燥、濃縮す
ることにより、淡黄色の液体、24.7gを得た(収
率:89.3%)。このもののIR及びNMRスペクト
ルは実施例1で得られたエステル化合物のそれら
と一致した。これを100mlのアセトンに溶解し、
撹拌しながら、20%の塩化水素−メタノール溶液
14.6gを滴下した。生成した結晶を一旦加熱溶解
した後、−10℃まで冷却し、生成した結晶を過.
乾燥し、22.9gの結晶を得た(融点:172.1〜
173.7℃、収率:82.9%)。このもののIRおよび
NMRスペクトルは塩酸ジサイクロミンの標品の
それらと一致した(通算収率:40.2%)。 実施例 4 85%リン酸500gと五酸化リン197gとから得た
100%リン酸150gを500mlの反応フラスコに入れ、
氷水で冷却し、撹拌しつつ徐々に五酸化リン100
gを加えた。その後、この混合物を70℃に保ち、
1mlのギ酸を加え、引続き、〔1,1′−ビシクロ
ヘキシル〕−2−オール30.0gとギ酸16.5gの溶
液を、反応液を65〜75℃に保ちながら3時間で滴
下し、さらに1時間撹拌した後、300gの砕氷中
に注ぎ込んだ。以後、実施例3と同様に処理し、
22.3gの〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−1−カ
ルボン酸を得た(収率:64.4%)。このカルボン
酸化合物にアセトン50mlと2−(ジエチルアミノ)
エチルクロライド塩酸塩の水溶液36.2gを加え、
その温度を30℃に保つた。これに10%水酸化カリ
ウム水溶液120gを4時間で滴下し、さらに、30
〜40℃で1時間撹拌した。アセトンを減圧下に留
去した後、エーテル抽出、アルカリ洗浄、水洗、
乾燥、濃縮して、27.9gの淡黄色の液体を得た
(収率:85.0%)。これをアセトン120mlに溶解し、
これを冷却し、35%塩酸9.5gを滴下した。生成
した白色の結晶を過.乾燥して27.9gの結晶を
得た(融点:172.3〜173.0℃、収率:89.5%)。こ
のもののIRおよびNMRスペクトルは塩酸ジサイ
クロミンの標品のそれらと一致した(通算収率:
49.0%)。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 下記構造式(): で表わされる塩酸ジサイクロミンを得るために、 (1) 濃硫酸、発煙硫酸、リン酸および、リン酸−
五酸化リン混合物から選ばれた少くとも1種か
らなる脱水剤の存在下に、 下記構造式(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
2−オールと、下記構造式(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−オールとから選ばれた少くとも1種と、 ギ酸と を反応させて、これによつて、下記構造式
(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸を生成せしめ、 (2) 上記工程(1)で得られた反応混合物に、2−
(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩酸塩水
溶液を混合し、この混合液に、アルカリ性水溶
液を滴下し、これによつて、下記構造式
(): で表わされる〔1,1′−ビシクロヘキシル〕−
1−カルボン酸−2−(ジエチルアミノ)エチ
ルエステルを生成せしめ、次に、 (3) 前記()式の化合物をその塩酸塩に変成す
る、 ことを特徴とする、前記()式の塩酸ジサイク
ロミンの製造方法。 2 前記工程(1)における反応が−10〜+120℃の
範囲内の温度で行われる、特許請求の範囲第1項
記載の方法。 3 前記工程(1)において、〔1,1′−ビシクロヘ
キシル〕−2−オールおよび/又は〔1,1′−ビ
シクロヘキシル〕−1−オールの1モルに対して
ギ酸を1〜10モル用いる、特許請求の範囲第1項
記載の方法。 4 前記工程(2)において、前記アルカリ性水溶液
が、水酸化アルカリおよび炭酸アルカリから選ば
れた少くとも1種のアルカリ化合物を含む、特許
請求の範囲第1項記載の方法。 5 前記工程(2)の反応が0〜100℃の温度で行わ
れる、特許請求の範囲第1項記載の方法。 6 前記工程(2)において2−(ジエチルアミノ)
エチルクロライド塩酸塩1モルに対して、前記ア
ルカリ化合物を2モル以上用いる、特許請求の範
囲第4項記載の方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP100882A JPS58118546A (ja) | 1982-01-08 | 1982-01-08 | 塩酸ジサイクロミンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP100882A JPS58118546A (ja) | 1982-01-08 | 1982-01-08 | 塩酸ジサイクロミンの製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS58118546A JPS58118546A (ja) | 1983-07-14 |
| JPH038332B2 true JPH038332B2 (ja) | 1991-02-05 |
Family
ID=11489548
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP100882A Granted JPS58118546A (ja) | 1982-01-08 | 1982-01-08 | 塩酸ジサイクロミンの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS58118546A (ja) |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6241664A (ja) * | 1985-08-19 | 1987-02-23 | テルモ株式会社 | 人工透析装置の製造方法 |
-
1982
- 1982-01-08 JP JP100882A patent/JPS58118546A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS58118546A (ja) | 1983-07-14 |
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