JPH04240207A - ポリビニルアルコール系繊維及びその製造法 - Google Patents
ポリビニルアルコール系繊維及びその製造法Info
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- JPH04240207A JPH04240207A JP3023004A JP2300491A JPH04240207A JP H04240207 A JPH04240207 A JP H04240207A JP 3023004 A JP3023004 A JP 3023004A JP 2300491 A JP2300491 A JP 2300491A JP H04240207 A JPH04240207 A JP H04240207A
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
(以下、PVAと略記する。)系重合体からなり、耐摩
耗性と耐熱水性に優れ、かつ、高強度・高初期弾性率を
有する繊維及びその製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】PVA繊維は、汎用繊維の中では最も高
強度、高初期弾性率を有し、ゴムホース、コンベアベル
ト、セメント強化用繊維、資材用縫糸、畳糸、漁網、陸
上網、重布、ロープ等の産業資材用繊維として広く用い
られている。 【0003】近年、高度化する市場の要望に応じてPV
A系繊維の強度や初期弾性率をさらに高めようとする試
みが種々なされており、例えば、特開昭59−1303
14号公報には重量平均分子量50万以上のPVAのグ
リセリン溶液を冷却浴中にゲル紡糸し、固化糸条のグリ
セリンを除去した後、熱延伸する方法が開示されている
。また、特開昭60−126312号公報には、重合度
1800以上のPVAのジメチルスルホキシド(DMS
O)溶液をメタノール浴中に乾・湿式紡糸し、得られた
未延伸糸を熱延伸する方法が開示されている。 【0004】これらの方法は、紡糸や延伸条件を工夫し
、高倍率に延伸することにより分子鎖を繊維軸方向に高
度に配向させるものである。このため、これらの方法で
得られる繊維は確かに強度や初期弾性率は改良されてい
るものの、繊維軸に直角な方向には弱くて容易にフィブ
リル化し、耐摩耗性が悪いという欠点があり、特に漁網
、陸上網、ロープ等の用途で改良が望まれていた。 【0005】このため、特開平2−127568号公報
や特開平2−210072号公報には、繊維にオルガノ
ポリシロキサン及びフッ素樹脂を付着させて乾燥熱処理
することにより耐摩耗性を改良する方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法は、繊維を形成した後にさ
らに薬剤塗布と乾燥熱処理を行うものであるため、製造
コストの上昇や工程増となって不利であり、さらに、熱
水に対する抵抗性が劣るというPVA繊維の特性を改良
することができなかった。 【0006】PVA繊維は、原料のPVAの重合度が高
い程、またシンジオタクティシティが高い程得られる繊
維の耐熱水性が高くなることが知られている。したがっ
て、重合度の高いPVAや、高シンジオタクトのPVA
を用いれば、耐熱水性の優れたPVA繊維が得られるこ
とは自明であるが、産業資材用途への広い適用が可能と
なるような、 140℃以上という高い耐熱水性を得る
ためには重合度 10000以上の超高重合度PVAや
、シンジオタクティシティ(Diad)が50%以上の
PVAを用いなければならなかった。ところが、このよ
うな超高重合度PVAは商業的な入手が困難なばかりか
、溶媒への溶解性が悪いために紡糸が困難であるという
問題があった。このため、特開昭61−108713号
公報には、トリフルオロ酢酸ビニルを原料とする高シン
ジオタクトPVAを用いる方法が開示されている。しか
しながらこのようなPVAも商業的な入手が困難であり
、高価なものであった。さらに、高シンジオタクトPV
Aを用いる方法では,本発明の目的とする耐摩耗性は得
ることができなかった。 【0007】一方、商業的に入手可能なPVAから耐熱
水性の優れたPVA繊維を得る方法として、特開昭63
−120107号公報、特開平1−156517号公報
、特開平2ー133605号公報等には、ホウ酸水溶液
で処理する方法、架橋性薬剤を付着させた後に乾熱延伸
する方法、アクリル酸系重合体をブレンドする方法等が
開示されている。しかしながら、これらの方法では耐摩
耗性が全く改良されていないばかりか、耐熱水性が不満
足なものであったり、製造コストが上昇して工業的には
実施し難いという問題があった。 【0008】上記の欠点を解決するために、本発明者ら
は、特願平2−90997号において、熱延伸したPV
A繊維に界面活性剤を混合した脱水反応促進用触媒溶液
を付与した後乾燥し、さらに 150℃以上の温度で熱
処理して非晶部の水酸基を減少させるという耐熱水性P
VA系繊維の製造方法を提案した。しかしながら、本発
明者らがこの方法で得られた繊維に詳細な検討を加えた
ところ、繊維の表層部は確かに耐熱水性が向上しており
、 180℃以上もの耐熱水性を有しているが、この層
はわずか数μの範囲でしか存在しないので繊維内部の耐
熱水性は向上しておらず、耐摩耗性も改良されていない
こと、また、これらの方法では得られる繊維の強度がか
かる処理により低下しやすいことが明らかになった。さ
らに乾燥工程が必要であるため操作が繁雑であるという
欠点があった。 【0009】PVA繊維は前述したとおり汎用繊維の中
では最も高強度・高初期弾性率を有しているので、PV
A系繊維に耐摩耗性と高耐熱水性を付与することができ
れば産業資材用繊維として極めて有用であることは明ら
かである。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、PV
A繊維に高強度・高初期弾性率を付与しようとする試み
や耐熱水性を付与しようとする試みは種々なされている
が、いずれも耐摩耗性の向上は達成されていないのが実
情であり、さらに高強度・高初期弾性率と耐摩耗性並び
に耐熱水性を同時に有するPVA系繊維は知られていな
かった。 【0011】したがって、本発明の第1の課題は、耐摩
耗性と耐熱水性に優れ、しかも高強度・高初期弾性率を
有するPVA系繊維を提供することにある。また、本発
明の第2の課題は、商業的に入手可能なPVAから、上
記の物性を有するPVA系繊維を生産性よく製造する方
法を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに
、PVA繊維に脱水反応促進用の触媒を付与した後、1
0m/分以上の速度で熱延伸することにより、耐熱水性
のみならず、耐摩耗性をも付与できることを知見して本
発明に到達した。 【0013】すなわち、本発明は次の構成を有するもの
である。 (1) 重合度1500以上、7000以下のPVAか
らなり、引張り強度が15g/d 以上、初期弾性率が
250g/d以上、耐熱水性が 140℃以上であり、
かつ、耐摩耗性が 200以上であることを特徴とする
PVA系繊維。 (2) 重合度1500以上、7000以下のPVAか
らなる繊維に脱水反応促進用の触媒を付与した後、10
m/分以上の速度で熱延伸することを特徴とするPVA
系繊維の製造法。 【0014】なお、本発明における引張り強度と初期弾
性率はJIS L−1013に準じて、つかみ間隔25
cm、引張り速度30cm/分で測定するものである。 また、耐熱水性及び耐摩耗性の測定は以下の方法により
行うものである。 耐熱水性 装置:パーキンエルマー社製DSC−2C型示差走査熱
量計昇温速度:10℃/分 試料セル:高耐圧(50気圧)セル 試料調製法:長さ約5mmに切断した繊維サンプル5m
gを水10mgと共に試料セル中に封入する。 耐熱水性:上記の方法で得られる融解曲線のピーク温度
をもって耐熱水性と定義する。 耐摩耗性 図1において、一端が固定壁にフック6で固定され、荷
重プーリ5を介して他端に荷重4により1/50g/d
の張力をかけて一対のプーリ2、2’で支持された試料
(繊維)1に、先端角60度のくさび状のエッジ3を繊
維が90度屈曲するように当て、プーリ2、2’とエッ
ジ3をストローク長6cm、ストローク数36回/分で
左右にストロークさせ、破断するまでのストローク回数
を測定する。 同一サンプルに対し、上記の測定を10回繰返し、10
個の測定値から最大値と最小値を除いた8個の測定値の
平均値N(S)を求める。さらに、市販のPVA繊維:
HM−1ビニロン(1800d/750f)(ユニチカ
株式会社製)で同様の測定を行ってその平均値N(0)
を求め、N(S)をN(0)で除した値に 100を掛
けたものを本発明でいう耐摩耗性(N)とする。 N=〔N(S)/N(0)〕×100 【0015】以
下、本発明をさらに詳しく説明する。高強度・高初期弾
性率を有し、耐摩耗性、並びに耐熱水性に優れたPVA
系繊維のプリカーサーとなるPVA繊維は特に限定され
るものではないが、例えば、本発明者らが先に提案した
特願平1−122030号に記載の乾・湿式紡糸方法に
準じてその最適条件下に製造することができる。 すなわち、重合度1500以上、7000以下のPVA
をDMSOを主成分とする溶媒に溶解して調製した紡糸
原液を、紡糸原液出口側に突出する形状の吐出孔を有す
る紡糸口金を用いて乾・湿式紡糸し、メタノールでDM
SOを除去した後、油剤を付与して乾燥することにより
製造することができる。この場合、特願平2−2123
48号に記載のように紡糸原液にリン酸又はリン酸塩を
添加しておくとさらに得られるPVA系繊維の耐摩耗性
を高めることができ、しかもDMSOにも溶解し難くな
るので好ましい。 【0016】また、従来公知の紡糸方法、例えば、ホウ
酸又はホウ酸塩を含有するPVA水溶液を紡糸原液とし
、水酸化アルカリと硫酸ナトリウム等を凝固浴とする紡
糸方法(湿式紡糸)によっても製造することが可能であ
る。このように、本発明の製造法に適用できるPVA繊
維は種々の方法によって製造することが可能であるが、
用いるPVAの重合度は1500以上である必要がある
。重合度が1500よりも小さいと、最終製品の引張り
強度が目的とする値よりも小さくなるので不適当である
。 また、重合度はポリマーコストの点から7000以下で
ある。 【0017】本発明においては、上記で得られた熱延伸
前のPVA繊維に脱水反応促進用の触媒を付与する。す
なわち、前述したように熱延伸後の繊維に触媒を付与す
る方法では強度が低下しやすく、特に耐摩耗性の向上が
不満足なものとなる。 【0018】これに対し、本発明の方法では、熱延伸前
の繊維に触媒を付与し、熱延伸、熱処理工程で一気に脱
水反応を進行させるので強度が低下しないばかりか、む
しろ向上する傾向にある。さらに、繊維は熱延伸により
配向結晶化が進み、緻密な構造となるので熱延伸後の繊
維に触媒を付与しても触媒が繊維内に容易に浸透し難い
のに対し、熱延伸前の繊維は紡糸溶媒(例えばDMSO
)が除去されて残った微細な空孔を有しており、構造が
粗であるため、触媒が繊維内によく浸透し、耐熱水性や
耐摩耗性の改良された表層部が厚くなる。したがって、
脱水反応促進用の触媒を付与するPVA繊維は、熱延伸
が施されていなければ冷延伸されたものでもよいが、配
向や結晶化が進行し構造が緻密になりすぎて触媒の浸透
が悪くならないよう、冷延伸は8倍以下とするのが好ま
しく、より好ましくは6倍以下とするのがよい。 【0019】本発明で用いることのできる脱水反応促進
用の触媒としては、リン酸、塩酸等の無機酸、パラトル
エンスルホン酸、テレフタル酸等の有機酸が挙げられ、
特にリン酸やパラトルエンスルホン酸が好適に用いられ
る。 【0020】本発明において、これらの触媒溶液を繊維
に付与する方法は特に限定されるものではなく、溶液中
に浸漬させる方法、いわゆるオイリングローラで付与す
る方法、溶液を噴霧する方法等を用いることができ、中
でも触媒を紡糸油剤に混合し、触媒油剤溶液としてオイ
リングローラで未延伸糸に付与する方法が簡便で好まし
い。 【0021】本発明において、触媒の付与量は特に限定
されるものではないが、熱延伸後の繊維の表面100c
m2当たり0.01〜5当量の触媒が存在するように付
与するのが好ましく、例えば、紡糸油剤に混合し、油剤
と共に付与する場合には酸濃度が0.01〜5規定とな
るように触媒を油剤に混合し、油剤付着量が0.1〜2
重量%となるように付与すればよい。 【0022】本発明では、上記で脱水反応促進用の触媒
が付与された繊維を一旦捲取った後、又は連続して熱延
伸工程に供給して熱延伸するが、その際、熱延伸速度を
10m/分以上とすることが極めて重要である。延伸速
度が10m/分よりも遅いと、繊維が熱延伸される前に
脱水反応が進行するため、延伸倍率を高くすることがで
きず、繊維の強度が低くなるばかりか、形成された分子
間架橋構造を破壊しつつ延伸されるため、耐摩耗性や耐
熱水性も低下してしまい、本発明の目的を達成すること
ができない。 【0023】熱延伸方法としては、種々の方法を適用す
ることができ、例えば、ヒートプレート等の加熱体に未
延伸糸を接触させながら延伸する方法、熱媒中で延伸す
る方法、熱風加熱浴中で延伸する方法、誘電加熱方式で
延伸する方法等が挙げられるが、熱風加熱浴が好適に用
いられる。これらの延伸機の長さ(加熱ゾーンの長さ)
は延伸速度に連動して設定されるが、延伸速度を10m
/分以上とするためには3m以上であることが好ましく
、延伸速度を上げるに従って長くするのがよい。また、
熱延伸時の温度は特に限定されるものではないが、例え
ば、熱風加熱浴中で延伸する場合、入口温度を 200
℃以上とし、出口温度を 260℃以下とすることが好
ましい。 【0024】脱水反応促進用の触媒が付与された繊維を
10m/分以上の速度で熱延伸すると、熱延伸と脱水反
応が同時に進行するが、脱水反応を十分進行させるため
に熱延伸後さらに熱処理を行ってもよい。熱処理は、熱
延伸の最高温度よりも5〜10℃高い温度で、熱延伸時
間の1/2〜1/3の時間、定長(リラックス率0%)
又は10%以下のリラックス率下で行うのが好ましい。 【0025】本発明においては、全延伸倍率を10倍以
上とするのが好ましく、より好ましくは15倍以上にす
るのがよい。ここでいう全延伸倍率とは、熱延伸前に施
されたすべての冷延伸倍率に熱延伸倍率と(1−熱処理
時のリラックス率/100)を乗じて得られるものであ
る。 【0026】本発明によれば、商業的に入手可能な重合
度のPVAを用いて、耐摩耗性(特に湿潤時の耐摩耗性
)と耐熱水性に優れ、かつ、高強度・高初期弾性率を有
するPVA系繊維を低コストで生産性よく製造すること
が可能である。また、このようにして得られる本発明の
PVA系繊維は、15g/d 以上の引張り強度と25
0g/d以上の初期弾性率を有し、かつ、耐熱水性が
140℃以上、耐摩耗性が 200以上という従来全く
知られていない特性を有しており、PVA繊維の代表的
な用途である漁網やロープは勿論のこと、オートクレー
ブ養生によって生産されるセメント、コンクリート製建
築材料の補強用としても適用可能である。 【0027】 【作 用】本発明において、耐摩耗性と耐熱水性に優
れ、かつ高強度・高初期弾性率を有するPVA系繊維が
得られるのは、配向度や結晶性が低く、かつ多孔性の未
熱延伸糸に脱水反応促進用触媒を付与するので、触媒が
繊維内によく浸透し、付着斑が生じないこと、及び、1
0m/分以上の速度で熱延伸することにより、脱水反応
と延伸が同時に進行するので強度が低下しないこと、さ
らには脱水反応が分子間の水酸基間で起こり、分子間に
エーテル結合を生じ分子鎖間の凝集力を高めるためと認
められる。 【0028】 【実施例】次に、本発明を実施例により、具体的に説明
する。 実施例1〜3、比較例1 表1に示すように重合度1700、3900及び700
0のPVAのDMSO溶液を調製し、ステンレス製円筒
状細管 300本を紡糸原液出口側に3mm突出するよ
うに埋め込んだ紡糸口金を用いて、吐出線速度6.0m
/分でメタノール凝固浴中に10mmのエアギャップを
通して乾・湿式紡糸し、メタノールでDMSOを抽出し
た後、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートを
主成分とする油剤中に濃度が0.5規定となるようにリ
ン酸を混合した触媒溶液を0.9重量%付与し、さらに
95℃で乾燥して未延伸糸を得た。 なお、これらのPVAのシンジオタクティシティは48
%であり、実施例1〜3ではそれぞれステンレス製円筒
状細管の内径を0.6、0.7、0.9mmとした紡糸
口金を用いた。次いで、これらの未延伸糸を入口温度が
205℃、出口温度が 260℃に設定された長さ4
mの熱風加熱浴を用いて延伸速度20m/分で17.5
倍に延伸し、さらに連続して内部温度が 265℃に設
定された熱処理機中で定長6秒間で熱処理し、表示繊度
1500d/300fの繊維を得た。製造条件及び得ら
れた繊維の性能を表1に示すが、実施例1〜3で得られ
た繊維は、引張り強度、初期弾性率、耐摩耗性、耐熱水
性ともに優れていた。また、比較例1として、表1に示
すように重合度1300のPVAから内径0.5mm
のステンレス製円筒細管を埋め込んだ紡糸口金を用いて
同様にしてPVA系繊維を製造したが、得られた繊維は
引張り強度、耐熱水性ともに劣るものであった。 【0029】比較例2 油剤にリン酸を混合しない以外は実施例2と同様にして
採取した未延伸糸を、実施例2と同様に熱延伸した後、
0.1規定リン酸のメタノール/水混合溶液を付与して
120℃で乾燥し、さらに連続して内部温度が 26
5℃に設定された熱処理機中でリラックス率を2.5%
として熱処理した。得られた繊維の耐摩耗性は 188
と低いものであり、しかも引張り強度、初期弾性率共に
実施例2で得られた繊維よりも劣っていた。 【0030】比較例3 実施例2で得られた未延伸糸を入口温度が 205℃、
出口温度が 260℃に設定された長さ4mの熱風加熱
浴を用いて、延伸速度を8m/分として最大延伸倍率を
求めたところ14.5倍でしかなかった。そこで、最大
延伸倍率の90%に相当する13.1倍の熱延伸を行い
、実施例2と同様に熱処理してPVA系繊維を得た。こ
の繊維の性能を表1に示すが、引張り強度、初期弾性率
、耐熱水性のいずれも実施例2で得られた繊維より劣る
ものであった。 【0031】実施例4 PVAに対し0.24重量%のリン酸を添加した重合度
5100のPVAの12重量%DMSO溶液を調製し、
この紡糸原液を内径 0.5mmのステンレス製円筒状
細管232 本を紡糸原液出口側に3mm突出するよう
に埋め込んだ紡糸口金を用いて、吐出線速度8m/分、
紡糸ドラフト2.0でメタノール凝固浴中に10mmの
エアギャップを通して乾・湿式紡糸し、メタノールでD
MSOを除去した後、ポリオキシエチレンオレイルエー
テルを主成分とする油剤中に、濃度が0.02規定とな
るようにパラトルエンスルホン酸を混合した触媒溶液を
0.5重量%付与し、さらに90℃で乾燥して未延伸糸
を得た。この未延伸糸を入口温度が 205℃、出口温
度が 255℃に設定された長さ4mの熱風加熱浴を用
いて延伸速度30m/分で17.8倍に延伸し、さらに
連続して内部温度が 260℃に設定された熱処理機中
で3.5%のリラックス率下で5秒間熱処理し、表示繊
度1500d/232fの繊維を得た。この繊維は引張
り強度18.7g/d 、初期弾性率370g/d、耐
熱水性 157℃、耐摩耗性 375と優れた性能を有
していた。また、この繊維の 120℃のDMSOに対
する溶解度を求めたところ、2 時間で15.7%しか
溶解せず、耐DMSO性にも優れていた。 【0032】実施例5 重合度5100のPVAを用い、これに対して2.1重
量%のホウ酸を添加し、pHを4.2に調整した水溶液
を紡糸原液とし、孔数500の紡糸口金から紡糸ドラフ
ト0.25で、硫酸ナトリウム350g/l 、苛性ソ
ーダ40g/l を含有する凝固浴中に湿式紡糸を行っ
た後、硫酸ナトリウム250g/l 、硫酸30g/l
の中和浴で中和しながら4.5 倍の紡糸延伸を行い
、さらに水洗してから、1 規定のリン酸を含有し、ポ
リオキシエチレンラウリルアミノエーテルを主成分とす
る油剤を付与した後、乾燥して未延伸糸を得た。 この未延伸糸を、内部温度が 245℃に設定された炉
長5mの熱風炉で延伸速度60m/分で4倍に熱延伸し
、さらに連続して内部温度が 250℃に設定された熱
処理機で定長熱処理した。得られた繊維の性能を表1に
示す。 【0033】 【表1】 【0034】実施例6 PVAに対し0.16重量%のリン酸を添加した重合度
3900のPVAの15重量%DMSO溶液を調製し、
この紡糸原液を内径0.35mmのステンレス製円筒状
細管150 本を埋め込んだ紡糸口金を用いて、吐出線
速度6m/分、紡糸ドラフト1.5でメタノール凝固浴
中に30mmのエアギャップを通して乾・湿式紡糸し、
向流接触式溶媒抽出装置を用いてメタノールでDMSO
を除去した後、ポリオキシエチレンオレイルエーテルを
主成分とする油剤中に、濃度が0.4規定となるように
リン酸を混合した触媒溶液を1.1重量%付与し、さら
に85℃で乾燥して未延伸糸を得た。この未延伸糸を入
口温度が 220℃、出口温度が 260℃に設定され
た長さ6mの熱風加熱炉を用いて延伸速度60m/分で
17.2倍に延伸し、引続き熱処理を施すことなく捲取
って表示繊度1200d/150fの繊維を得た。この
繊維は引張り強度18.8g/d 、初期弾性率330
g/d、耐熱水性 155℃と優れた性能を有しており
、耐摩耗性も370と優れたものであった。 【0035】 【発明の効果】本発明のPVA系繊維は、強度、初期弾
性率に優れているのみならず、従来のPVA繊維より耐
摩耗性と耐熱水性にも優れているので、漁網、陸上網、
ロープ等の分野だけでなく、ゴムホース、コンベアベル
ト等のゴム補強用途にも適用可能である。また、本発明
の製造法によれば、商業的に入手可能な重合度のPVA
から、耐摩耗性と耐熱水性に優れ、かつ高強度・高初期
弾性率を有するPVA系繊維を低コストで生産性よく製
造することが可能である。
(以下、PVAと略記する。)系重合体からなり、耐摩
耗性と耐熱水性に優れ、かつ、高強度・高初期弾性率を
有する繊維及びその製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】PVA繊維は、汎用繊維の中では最も高
強度、高初期弾性率を有し、ゴムホース、コンベアベル
ト、セメント強化用繊維、資材用縫糸、畳糸、漁網、陸
上網、重布、ロープ等の産業資材用繊維として広く用い
られている。 【0003】近年、高度化する市場の要望に応じてPV
A系繊維の強度や初期弾性率をさらに高めようとする試
みが種々なされており、例えば、特開昭59−1303
14号公報には重量平均分子量50万以上のPVAのグ
リセリン溶液を冷却浴中にゲル紡糸し、固化糸条のグリ
セリンを除去した後、熱延伸する方法が開示されている
。また、特開昭60−126312号公報には、重合度
1800以上のPVAのジメチルスルホキシド(DMS
O)溶液をメタノール浴中に乾・湿式紡糸し、得られた
未延伸糸を熱延伸する方法が開示されている。 【0004】これらの方法は、紡糸や延伸条件を工夫し
、高倍率に延伸することにより分子鎖を繊維軸方向に高
度に配向させるものである。このため、これらの方法で
得られる繊維は確かに強度や初期弾性率は改良されてい
るものの、繊維軸に直角な方向には弱くて容易にフィブ
リル化し、耐摩耗性が悪いという欠点があり、特に漁網
、陸上網、ロープ等の用途で改良が望まれていた。 【0005】このため、特開平2−127568号公報
や特開平2−210072号公報には、繊維にオルガノ
ポリシロキサン及びフッ素樹脂を付着させて乾燥熱処理
することにより耐摩耗性を改良する方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法は、繊維を形成した後にさ
らに薬剤塗布と乾燥熱処理を行うものであるため、製造
コストの上昇や工程増となって不利であり、さらに、熱
水に対する抵抗性が劣るというPVA繊維の特性を改良
することができなかった。 【0006】PVA繊維は、原料のPVAの重合度が高
い程、またシンジオタクティシティが高い程得られる繊
維の耐熱水性が高くなることが知られている。したがっ
て、重合度の高いPVAや、高シンジオタクトのPVA
を用いれば、耐熱水性の優れたPVA繊維が得られるこ
とは自明であるが、産業資材用途への広い適用が可能と
なるような、 140℃以上という高い耐熱水性を得る
ためには重合度 10000以上の超高重合度PVAや
、シンジオタクティシティ(Diad)が50%以上の
PVAを用いなければならなかった。ところが、このよ
うな超高重合度PVAは商業的な入手が困難なばかりか
、溶媒への溶解性が悪いために紡糸が困難であるという
問題があった。このため、特開昭61−108713号
公報には、トリフルオロ酢酸ビニルを原料とする高シン
ジオタクトPVAを用いる方法が開示されている。しか
しながらこのようなPVAも商業的な入手が困難であり
、高価なものであった。さらに、高シンジオタクトPV
Aを用いる方法では,本発明の目的とする耐摩耗性は得
ることができなかった。 【0007】一方、商業的に入手可能なPVAから耐熱
水性の優れたPVA繊維を得る方法として、特開昭63
−120107号公報、特開平1−156517号公報
、特開平2ー133605号公報等には、ホウ酸水溶液
で処理する方法、架橋性薬剤を付着させた後に乾熱延伸
する方法、アクリル酸系重合体をブレンドする方法等が
開示されている。しかしながら、これらの方法では耐摩
耗性が全く改良されていないばかりか、耐熱水性が不満
足なものであったり、製造コストが上昇して工業的には
実施し難いという問題があった。 【0008】上記の欠点を解決するために、本発明者ら
は、特願平2−90997号において、熱延伸したPV
A繊維に界面活性剤を混合した脱水反応促進用触媒溶液
を付与した後乾燥し、さらに 150℃以上の温度で熱
処理して非晶部の水酸基を減少させるという耐熱水性P
VA系繊維の製造方法を提案した。しかしながら、本発
明者らがこの方法で得られた繊維に詳細な検討を加えた
ところ、繊維の表層部は確かに耐熱水性が向上しており
、 180℃以上もの耐熱水性を有しているが、この層
はわずか数μの範囲でしか存在しないので繊維内部の耐
熱水性は向上しておらず、耐摩耗性も改良されていない
こと、また、これらの方法では得られる繊維の強度がか
かる処理により低下しやすいことが明らかになった。さ
らに乾燥工程が必要であるため操作が繁雑であるという
欠点があった。 【0009】PVA繊維は前述したとおり汎用繊維の中
では最も高強度・高初期弾性率を有しているので、PV
A系繊維に耐摩耗性と高耐熱水性を付与することができ
れば産業資材用繊維として極めて有用であることは明ら
かである。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、PV
A繊維に高強度・高初期弾性率を付与しようとする試み
や耐熱水性を付与しようとする試みは種々なされている
が、いずれも耐摩耗性の向上は達成されていないのが実
情であり、さらに高強度・高初期弾性率と耐摩耗性並び
に耐熱水性を同時に有するPVA系繊維は知られていな
かった。 【0011】したがって、本発明の第1の課題は、耐摩
耗性と耐熱水性に優れ、しかも高強度・高初期弾性率を
有するPVA系繊維を提供することにある。また、本発
明の第2の課題は、商業的に入手可能なPVAから、上
記の物性を有するPVA系繊維を生産性よく製造する方
法を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに
、PVA繊維に脱水反応促進用の触媒を付与した後、1
0m/分以上の速度で熱延伸することにより、耐熱水性
のみならず、耐摩耗性をも付与できることを知見して本
発明に到達した。 【0013】すなわち、本発明は次の構成を有するもの
である。 (1) 重合度1500以上、7000以下のPVAか
らなり、引張り強度が15g/d 以上、初期弾性率が
250g/d以上、耐熱水性が 140℃以上であり、
かつ、耐摩耗性が 200以上であることを特徴とする
PVA系繊維。 (2) 重合度1500以上、7000以下のPVAか
らなる繊維に脱水反応促進用の触媒を付与した後、10
m/分以上の速度で熱延伸することを特徴とするPVA
系繊維の製造法。 【0014】なお、本発明における引張り強度と初期弾
性率はJIS L−1013に準じて、つかみ間隔25
cm、引張り速度30cm/分で測定するものである。 また、耐熱水性及び耐摩耗性の測定は以下の方法により
行うものである。 耐熱水性 装置:パーキンエルマー社製DSC−2C型示差走査熱
量計昇温速度:10℃/分 試料セル:高耐圧(50気圧)セル 試料調製法:長さ約5mmに切断した繊維サンプル5m
gを水10mgと共に試料セル中に封入する。 耐熱水性:上記の方法で得られる融解曲線のピーク温度
をもって耐熱水性と定義する。 耐摩耗性 図1において、一端が固定壁にフック6で固定され、荷
重プーリ5を介して他端に荷重4により1/50g/d
の張力をかけて一対のプーリ2、2’で支持された試料
(繊維)1に、先端角60度のくさび状のエッジ3を繊
維が90度屈曲するように当て、プーリ2、2’とエッ
ジ3をストローク長6cm、ストローク数36回/分で
左右にストロークさせ、破断するまでのストローク回数
を測定する。 同一サンプルに対し、上記の測定を10回繰返し、10
個の測定値から最大値と最小値を除いた8個の測定値の
平均値N(S)を求める。さらに、市販のPVA繊維:
HM−1ビニロン(1800d/750f)(ユニチカ
株式会社製)で同様の測定を行ってその平均値N(0)
を求め、N(S)をN(0)で除した値に 100を掛
けたものを本発明でいう耐摩耗性(N)とする。 N=〔N(S)/N(0)〕×100 【0015】以
下、本発明をさらに詳しく説明する。高強度・高初期弾
性率を有し、耐摩耗性、並びに耐熱水性に優れたPVA
系繊維のプリカーサーとなるPVA繊維は特に限定され
るものではないが、例えば、本発明者らが先に提案した
特願平1−122030号に記載の乾・湿式紡糸方法に
準じてその最適条件下に製造することができる。 すなわち、重合度1500以上、7000以下のPVA
をDMSOを主成分とする溶媒に溶解して調製した紡糸
原液を、紡糸原液出口側に突出する形状の吐出孔を有す
る紡糸口金を用いて乾・湿式紡糸し、メタノールでDM
SOを除去した後、油剤を付与して乾燥することにより
製造することができる。この場合、特願平2−2123
48号に記載のように紡糸原液にリン酸又はリン酸塩を
添加しておくとさらに得られるPVA系繊維の耐摩耗性
を高めることができ、しかもDMSOにも溶解し難くな
るので好ましい。 【0016】また、従来公知の紡糸方法、例えば、ホウ
酸又はホウ酸塩を含有するPVA水溶液を紡糸原液とし
、水酸化アルカリと硫酸ナトリウム等を凝固浴とする紡
糸方法(湿式紡糸)によっても製造することが可能であ
る。このように、本発明の製造法に適用できるPVA繊
維は種々の方法によって製造することが可能であるが、
用いるPVAの重合度は1500以上である必要がある
。重合度が1500よりも小さいと、最終製品の引張り
強度が目的とする値よりも小さくなるので不適当である
。 また、重合度はポリマーコストの点から7000以下で
ある。 【0017】本発明においては、上記で得られた熱延伸
前のPVA繊維に脱水反応促進用の触媒を付与する。す
なわち、前述したように熱延伸後の繊維に触媒を付与す
る方法では強度が低下しやすく、特に耐摩耗性の向上が
不満足なものとなる。 【0018】これに対し、本発明の方法では、熱延伸前
の繊維に触媒を付与し、熱延伸、熱処理工程で一気に脱
水反応を進行させるので強度が低下しないばかりか、む
しろ向上する傾向にある。さらに、繊維は熱延伸により
配向結晶化が進み、緻密な構造となるので熱延伸後の繊
維に触媒を付与しても触媒が繊維内に容易に浸透し難い
のに対し、熱延伸前の繊維は紡糸溶媒(例えばDMSO
)が除去されて残った微細な空孔を有しており、構造が
粗であるため、触媒が繊維内によく浸透し、耐熱水性や
耐摩耗性の改良された表層部が厚くなる。したがって、
脱水反応促進用の触媒を付与するPVA繊維は、熱延伸
が施されていなければ冷延伸されたものでもよいが、配
向や結晶化が進行し構造が緻密になりすぎて触媒の浸透
が悪くならないよう、冷延伸は8倍以下とするのが好ま
しく、より好ましくは6倍以下とするのがよい。 【0019】本発明で用いることのできる脱水反応促進
用の触媒としては、リン酸、塩酸等の無機酸、パラトル
エンスルホン酸、テレフタル酸等の有機酸が挙げられ、
特にリン酸やパラトルエンスルホン酸が好適に用いられ
る。 【0020】本発明において、これらの触媒溶液を繊維
に付与する方法は特に限定されるものではなく、溶液中
に浸漬させる方法、いわゆるオイリングローラで付与す
る方法、溶液を噴霧する方法等を用いることができ、中
でも触媒を紡糸油剤に混合し、触媒油剤溶液としてオイ
リングローラで未延伸糸に付与する方法が簡便で好まし
い。 【0021】本発明において、触媒の付与量は特に限定
されるものではないが、熱延伸後の繊維の表面100c
m2当たり0.01〜5当量の触媒が存在するように付
与するのが好ましく、例えば、紡糸油剤に混合し、油剤
と共に付与する場合には酸濃度が0.01〜5規定とな
るように触媒を油剤に混合し、油剤付着量が0.1〜2
重量%となるように付与すればよい。 【0022】本発明では、上記で脱水反応促進用の触媒
が付与された繊維を一旦捲取った後、又は連続して熱延
伸工程に供給して熱延伸するが、その際、熱延伸速度を
10m/分以上とすることが極めて重要である。延伸速
度が10m/分よりも遅いと、繊維が熱延伸される前に
脱水反応が進行するため、延伸倍率を高くすることがで
きず、繊維の強度が低くなるばかりか、形成された分子
間架橋構造を破壊しつつ延伸されるため、耐摩耗性や耐
熱水性も低下してしまい、本発明の目的を達成すること
ができない。 【0023】熱延伸方法としては、種々の方法を適用す
ることができ、例えば、ヒートプレート等の加熱体に未
延伸糸を接触させながら延伸する方法、熱媒中で延伸す
る方法、熱風加熱浴中で延伸する方法、誘電加熱方式で
延伸する方法等が挙げられるが、熱風加熱浴が好適に用
いられる。これらの延伸機の長さ(加熱ゾーンの長さ)
は延伸速度に連動して設定されるが、延伸速度を10m
/分以上とするためには3m以上であることが好ましく
、延伸速度を上げるに従って長くするのがよい。また、
熱延伸時の温度は特に限定されるものではないが、例え
ば、熱風加熱浴中で延伸する場合、入口温度を 200
℃以上とし、出口温度を 260℃以下とすることが好
ましい。 【0024】脱水反応促進用の触媒が付与された繊維を
10m/分以上の速度で熱延伸すると、熱延伸と脱水反
応が同時に進行するが、脱水反応を十分進行させるため
に熱延伸後さらに熱処理を行ってもよい。熱処理は、熱
延伸の最高温度よりも5〜10℃高い温度で、熱延伸時
間の1/2〜1/3の時間、定長(リラックス率0%)
又は10%以下のリラックス率下で行うのが好ましい。 【0025】本発明においては、全延伸倍率を10倍以
上とするのが好ましく、より好ましくは15倍以上にす
るのがよい。ここでいう全延伸倍率とは、熱延伸前に施
されたすべての冷延伸倍率に熱延伸倍率と(1−熱処理
時のリラックス率/100)を乗じて得られるものであ
る。 【0026】本発明によれば、商業的に入手可能な重合
度のPVAを用いて、耐摩耗性(特に湿潤時の耐摩耗性
)と耐熱水性に優れ、かつ、高強度・高初期弾性率を有
するPVA系繊維を低コストで生産性よく製造すること
が可能である。また、このようにして得られる本発明の
PVA系繊維は、15g/d 以上の引張り強度と25
0g/d以上の初期弾性率を有し、かつ、耐熱水性が
140℃以上、耐摩耗性が 200以上という従来全く
知られていない特性を有しており、PVA繊維の代表的
な用途である漁網やロープは勿論のこと、オートクレー
ブ養生によって生産されるセメント、コンクリート製建
築材料の補強用としても適用可能である。 【0027】 【作 用】本発明において、耐摩耗性と耐熱水性に優
れ、かつ高強度・高初期弾性率を有するPVA系繊維が
得られるのは、配向度や結晶性が低く、かつ多孔性の未
熱延伸糸に脱水反応促進用触媒を付与するので、触媒が
繊維内によく浸透し、付着斑が生じないこと、及び、1
0m/分以上の速度で熱延伸することにより、脱水反応
と延伸が同時に進行するので強度が低下しないこと、さ
らには脱水反応が分子間の水酸基間で起こり、分子間に
エーテル結合を生じ分子鎖間の凝集力を高めるためと認
められる。 【0028】 【実施例】次に、本発明を実施例により、具体的に説明
する。 実施例1〜3、比較例1 表1に示すように重合度1700、3900及び700
0のPVAのDMSO溶液を調製し、ステンレス製円筒
状細管 300本を紡糸原液出口側に3mm突出するよ
うに埋め込んだ紡糸口金を用いて、吐出線速度6.0m
/分でメタノール凝固浴中に10mmのエアギャップを
通して乾・湿式紡糸し、メタノールでDMSOを抽出し
た後、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートを
主成分とする油剤中に濃度が0.5規定となるようにリ
ン酸を混合した触媒溶液を0.9重量%付与し、さらに
95℃で乾燥して未延伸糸を得た。 なお、これらのPVAのシンジオタクティシティは48
%であり、実施例1〜3ではそれぞれステンレス製円筒
状細管の内径を0.6、0.7、0.9mmとした紡糸
口金を用いた。次いで、これらの未延伸糸を入口温度が
205℃、出口温度が 260℃に設定された長さ4
mの熱風加熱浴を用いて延伸速度20m/分で17.5
倍に延伸し、さらに連続して内部温度が 265℃に設
定された熱処理機中で定長6秒間で熱処理し、表示繊度
1500d/300fの繊維を得た。製造条件及び得ら
れた繊維の性能を表1に示すが、実施例1〜3で得られ
た繊維は、引張り強度、初期弾性率、耐摩耗性、耐熱水
性ともに優れていた。また、比較例1として、表1に示
すように重合度1300のPVAから内径0.5mm
のステンレス製円筒細管を埋め込んだ紡糸口金を用いて
同様にしてPVA系繊維を製造したが、得られた繊維は
引張り強度、耐熱水性ともに劣るものであった。 【0029】比較例2 油剤にリン酸を混合しない以外は実施例2と同様にして
採取した未延伸糸を、実施例2と同様に熱延伸した後、
0.1規定リン酸のメタノール/水混合溶液を付与して
120℃で乾燥し、さらに連続して内部温度が 26
5℃に設定された熱処理機中でリラックス率を2.5%
として熱処理した。得られた繊維の耐摩耗性は 188
と低いものであり、しかも引張り強度、初期弾性率共に
実施例2で得られた繊維よりも劣っていた。 【0030】比較例3 実施例2で得られた未延伸糸を入口温度が 205℃、
出口温度が 260℃に設定された長さ4mの熱風加熱
浴を用いて、延伸速度を8m/分として最大延伸倍率を
求めたところ14.5倍でしかなかった。そこで、最大
延伸倍率の90%に相当する13.1倍の熱延伸を行い
、実施例2と同様に熱処理してPVA系繊維を得た。こ
の繊維の性能を表1に示すが、引張り強度、初期弾性率
、耐熱水性のいずれも実施例2で得られた繊維より劣る
ものであった。 【0031】実施例4 PVAに対し0.24重量%のリン酸を添加した重合度
5100のPVAの12重量%DMSO溶液を調製し、
この紡糸原液を内径 0.5mmのステンレス製円筒状
細管232 本を紡糸原液出口側に3mm突出するよう
に埋め込んだ紡糸口金を用いて、吐出線速度8m/分、
紡糸ドラフト2.0でメタノール凝固浴中に10mmの
エアギャップを通して乾・湿式紡糸し、メタノールでD
MSOを除去した後、ポリオキシエチレンオレイルエー
テルを主成分とする油剤中に、濃度が0.02規定とな
るようにパラトルエンスルホン酸を混合した触媒溶液を
0.5重量%付与し、さらに90℃で乾燥して未延伸糸
を得た。この未延伸糸を入口温度が 205℃、出口温
度が 255℃に設定された長さ4mの熱風加熱浴を用
いて延伸速度30m/分で17.8倍に延伸し、さらに
連続して内部温度が 260℃に設定された熱処理機中
で3.5%のリラックス率下で5秒間熱処理し、表示繊
度1500d/232fの繊維を得た。この繊維は引張
り強度18.7g/d 、初期弾性率370g/d、耐
熱水性 157℃、耐摩耗性 375と優れた性能を有
していた。また、この繊維の 120℃のDMSOに対
する溶解度を求めたところ、2 時間で15.7%しか
溶解せず、耐DMSO性にも優れていた。 【0032】実施例5 重合度5100のPVAを用い、これに対して2.1重
量%のホウ酸を添加し、pHを4.2に調整した水溶液
を紡糸原液とし、孔数500の紡糸口金から紡糸ドラフ
ト0.25で、硫酸ナトリウム350g/l 、苛性ソ
ーダ40g/l を含有する凝固浴中に湿式紡糸を行っ
た後、硫酸ナトリウム250g/l 、硫酸30g/l
の中和浴で中和しながら4.5 倍の紡糸延伸を行い
、さらに水洗してから、1 規定のリン酸を含有し、ポ
リオキシエチレンラウリルアミノエーテルを主成分とす
る油剤を付与した後、乾燥して未延伸糸を得た。 この未延伸糸を、内部温度が 245℃に設定された炉
長5mの熱風炉で延伸速度60m/分で4倍に熱延伸し
、さらに連続して内部温度が 250℃に設定された熱
処理機で定長熱処理した。得られた繊維の性能を表1に
示す。 【0033】 【表1】 【0034】実施例6 PVAに対し0.16重量%のリン酸を添加した重合度
3900のPVAの15重量%DMSO溶液を調製し、
この紡糸原液を内径0.35mmのステンレス製円筒状
細管150 本を埋め込んだ紡糸口金を用いて、吐出線
速度6m/分、紡糸ドラフト1.5でメタノール凝固浴
中に30mmのエアギャップを通して乾・湿式紡糸し、
向流接触式溶媒抽出装置を用いてメタノールでDMSO
を除去した後、ポリオキシエチレンオレイルエーテルを
主成分とする油剤中に、濃度が0.4規定となるように
リン酸を混合した触媒溶液を1.1重量%付与し、さら
に85℃で乾燥して未延伸糸を得た。この未延伸糸を入
口温度が 220℃、出口温度が 260℃に設定され
た長さ6mの熱風加熱炉を用いて延伸速度60m/分で
17.2倍に延伸し、引続き熱処理を施すことなく捲取
って表示繊度1200d/150fの繊維を得た。この
繊維は引張り強度18.8g/d 、初期弾性率330
g/d、耐熱水性 155℃と優れた性能を有しており
、耐摩耗性も370と優れたものであった。 【0035】 【発明の効果】本発明のPVA系繊維は、強度、初期弾
性率に優れているのみならず、従来のPVA繊維より耐
摩耗性と耐熱水性にも優れているので、漁網、陸上網、
ロープ等の分野だけでなく、ゴムホース、コンベアベル
ト等のゴム補強用途にも適用可能である。また、本発明
の製造法によれば、商業的に入手可能な重合度のPVA
から、耐摩耗性と耐熱水性に優れ、かつ高強度・高初期
弾性率を有するPVA系繊維を低コストで生産性よく製
造することが可能である。
【図1】本発明において、耐摩耗性の測定に使用する装
置の一例を示す正面図である。
置の一例を示す正面図である。
1 試料
2,2’試料を支持するプーリ
3 エッジ
4 荷重
5 荷重プーリ
6 試料固定用のフック
Claims (2)
- 【請求項1】 重合度1500以上、7000以下の
ポリビニルアルコールからなり、引張り強度が15g/
d 以上、初期弾性率が250g/d以上、耐熱水性が
140℃以上であり、かつ、耐摩耗性が 200以上
であることを特徴とするポリビニルアルコール系繊維。 - 【請求項2】 重合度1500以上、7000以下の
ポリビニルアルコールからなる繊維に脱水反応促進用の
触媒を付与した後、10m/分以上の速度で熱延伸する
ことを特徴とするポリビニルアルコール系繊維の製造法
。
Priority Applications (2)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3023004A JPH04240207A (ja) | 1991-01-22 | 1991-01-22 | ポリビニルアルコール系繊維及びその製造法 |
| EP19920101005 EP0496376A3 (en) | 1991-01-22 | 1992-01-22 | Polyvinyl alcohol fiber and process for preparation thereof |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3023004A JPH04240207A (ja) | 1991-01-22 | 1991-01-22 | ポリビニルアルコール系繊維及びその製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH04240207A true JPH04240207A (ja) | 1992-08-27 |
Family
ID=12098357
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3023004A Pending JPH04240207A (ja) | 1991-01-22 | 1991-01-22 | ポリビニルアルコール系繊維及びその製造法 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| EP (1) | EP0496376A3 (ja) |
| JP (1) | JPH04240207A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104838063A (zh) * | 2012-11-30 | 2015-08-12 | 东丽株式会社 | 片状物及该片状物的制造方法 |
| CN112095159A (zh) * | 2020-08-04 | 2020-12-18 | 东华大学 | 一种湿法纺丝的高强粗旦聚乙烯醇纤维及其制备方法 |
| JP2021110082A (ja) * | 2020-01-09 | 2021-08-02 | 浙江紅雨医薬用品有限公司Zhejiang Hongyu Medical Commodity Co., Ltd. | 微孔化ポリビニルアルコール繊維の製造方法 |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0661392A1 (en) * | 1993-12-28 | 1995-07-05 | Unitika Ltd. | Method for preparation of a polyvinyl alcohol-based spinning solution |
-
1991
- 1991-01-22 JP JP3023004A patent/JPH04240207A/ja active Pending
-
1992
- 1992-01-22 EP EP19920101005 patent/EP0496376A3/en not_active Withdrawn
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| CN112095159B (zh) * | 2020-08-04 | 2022-09-16 | 东华大学 | 一种湿法纺丝的高强粗旦聚乙烯醇纤维及其制备方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| EP0496376A2 (en) | 1992-07-29 |
| EP0496376A3 (en) | 1993-04-28 |
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