JPH0439445B2 - - Google Patents
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- JPH0439445B2 JPH0439445B2 JP59048669A JP4866984A JPH0439445B2 JP H0439445 B2 JPH0439445 B2 JP H0439445B2 JP 59048669 A JP59048669 A JP 59048669A JP 4866984 A JP4866984 A JP 4866984A JP H0439445 B2 JPH0439445 B2 JP H0439445B2
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Description
本発明は、B型肝炎ワクチンの凍結乾燥製剤に
関する。さらに詳しくは組換えDNA手法により
形質転換されHBs抗原産生能を付与された組換
え体によつて発現生成されたHBs抗原の精製標
品を、アルミニウムゲルおよび安定化剤の存在下
凍結乾燥を行うことを特徴とするB型肝炎ワクチ
ンの凍結乾燥製剤を提供するものである。 B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(以下HBVと
略称する)によつて起こり、疫学的にも、臨床的
にも非常に重大なる問題を含み、いまだ有効な治
療対策が見出されていない疾病である。そのた
め、このようなB型肝炎に対しては、もつぱら予
防法検討されており、その方策としては、HBs
抗原を有効成分とするワクチンが最も効果的であ
ると考えられ実用化段階に入つている。すなわ
ち、キヤリアーと称されるB型肝炎ウイルス潜伏
持続感染者の血漿より得られるHBs抗原を高度
に精製し、これを不活化してB型肝炎ワクチンを
つくられている。 しかしながら、血液由来のワクチンは原料を
HBs抗原陽性ヒト血漿にもとめるため、原料の
量的確保が困難であること、さらに製剤中のB型
肝炎ウイルスあるいは他の血液由来のウイルスな
どの感染性の因子を残存を否定するために、チン
パンジーによる安全性確認試験が必要であるこ
と、しかも検定用のチンパンジーの確保が非常に
困難であることなどの問題点もあり、製造上多く
の制約がある。 このような問題点を解消する方策として、組換
えDNA技術を利用して、大腸菌や酵母にHBs抗
原を構成する蛋白質をコードするHBVのDNAを
導入、発現させることにより、ワクチンの原料と
なるHBs抗原のみを大量に作り出す研究が多く
の研究者らによつて推進されてきた。最近、これ
らの組換え体によるHBs抗原の発現に成功し、
特に組換え酵母によるHBs抗原の産生について
は、工業的応用を可能にする段階に至り、該方法
によつて得られた組換え体由来HBs抗原を高度
に精製し、B型肝炎ワクチンとして製剤化する試
みがなされている。 ところでB型肝炎ワクチンは、B型肝炎発症患
者およびキヤリアーに接接触する機会の多い医療
従事者、研究者や患者およびキヤリアーの家族、
新生児等へ、血液や体液等を介してB型肝炎ウイ
ルスが感染するのを防止する効果を有するもので
あるが、このキヤリアー日本の総人口の2〜3
%、東南アジア、アフリカではその人口に10〜15
%に達するといわれている。これらの背景からB
型肝炎ワクチン製剤は日本国内はもとより、広く
世界各地において使用するとを可能ならしめる必
要がある。すなわち、安定性がすぐれ、長期保存
に充分に耐え得る製剤の提供は必須の条件であ
る。 現在市販されているB型肝炎ワクチンは、血液
由来のHBs抗原標品を用いた液状製剤であるが、
この液状B型肝炎ワクチンは、保存中の力価の低
下が懸念されるものである。 このような事情のもとに。本発明者らは長期保
存性に優れたB型肝炎ワクチンを工業的に安定か
つ大量に製造するべく種々検討を重ねた結果、
HBs抗原として血液由来HBs抗原に代え組換え
体由来のHBs抗原を用い、これを特定条件下に
凍結乾燥することによりその目的を達した。 一般に、不活性ワクチンでは、ワクチン投与後
の抗体産生を高めるために、免疫アジユバントと
して例えばアルミニウムゲルを加えて製剤化され
ることが多く、またB型肝炎ワクチンにおいても
製剤化に際してアルミニウムゲルを添加すること
が知られている。ところでB型肝炎ワクチンを凍
結乾燥製剤化する場合、HBs抗原を単独で凍結
乾燥したのでは、ワクチンとしての使用に際し、
HBs抗原をあらかじめ注射用生理食塩水または
注射用蒸留水などに溶解し、これをアルミニウム
ゲル含有液と混合して使用ワクチン液として調製
する必要があり、調製手順、温度条件、振とう混
合条件などにより、HBs抗原のアルミニウムゲ
ルへの吸着がワクチンの最小使用単位容器ごとに
差が生じ、したがつて使用ワクチンの抗体産生能
にバラツキが生じる恐れがある。また組換え体由
来のHBs抗原では、通常の液状製剤にみられる
ような条件下にそのまま凍結乾燥を行なうと、乾
燥の過程におい力価が低下する欠点を伴う。 本発明者らは、以上のような問題点を解決すべ
く鋭意検討を重ねた結果、抗原力価の低下や性状
の悪化を伴わずに、組換え体由来HBs抗原にア
ルミニウムゲルを吸着させた状態で凍結乾燥する
ことを可能ならしめ、かつ乾燥品の保存安定性も
液状製剤に比して格段に良好となる凍結乾燥の条
件と、安定化のための製剤の配合組成とを見出す
ことにより本発明を完成した。 本発明は、組換えDNA手法により形質転換さ
れ、HBs抗原産生能を付与された組換え体によ
つて産生された、組換え体由来HBs抗原の精製
標品をアルミニウムゲルに吸着させたのち、この
懸濁液に安定化剤および必要であれば防腐剤をそ
れぞれ溶解させ、次にこの液を凍結乾燥させて得
られる。組換え体由来B型肝炎ワクチンの凍結乾
燥製剤を提供するものである。 本発明のB型肝炎ワクチンの凍結乾燥製剤を製
造するには、該組換え体由来のHBs抗原精製標
品の水溶液または中性付近の緩衝液溶液にアルミ
ニウムゲルを添加してHBs抗原をアルミニウム
ゲルに吸着させ、これにアミノ酸および/または
糖類、さらに膠質剤などの安定化剤、所望により
通常の防腐剤、等張化剤などを添加してワクチン
液を調製し、このワクチン液を、好ましくは最小
使用単位容器に分注し、常法により凍結乾燥す
る。このようにして得られるB型肝炎ワクチン凍
結乾燥製剤は、長期間高い力価を保持できるう
え、同一製造ロツトにおいて、各最小使用単位容
器のワクチンの抗原力価が同一となり、使用上き
わめて好都合である。 本発明において用いられる、組換え体由来
HBs抗原とは、組換えDNA技術を用いて、B型
肝炎ウイルスのDNAから取り出されたHBs抗原
をコードする遺伝子を大腸菌、酵母、動物培養細
胞等に導入し、これらを形質転換させ、HBs抗
原遺伝子を働かせてHBs抗原を産生させること
により得られるものである。これらの方法は既に
公知であり、例えば組換え酵母由来HBs抗原を
得る方法の1つとしてバレンズエラ
[Valenzuela,Nature、298,347(1982)および
特開昭58−77823号]は、pBR322プラスミドの
増殖起点、2μプラスミド増殖起点、Trp1、酵母
アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター領域か
らなるシヤトルベクター(pMA56)の、酵母ア
ルコールデヒドロゲナーゼプロモーターにHBs
遺伝子を結合させたシヤトルベクター
(pHBs16)を作製し、このものを酵母に導入し、
形質転換酵母を得、この形質転換酵母を培養し、
HBs抗原を産生させている。 また、同じく酵母にHBs抗原を産生させる例
として、宮之原らは[Proc.Natl.Acsd.Sci.,
USA,80,1(1983)および特願昭57−142460
号]、2μプラスミドの増殖起点、pBR322プラス
ミドの増殖起点、酵母染色体の増殖起点、酵母の
ロイシン要求性遺伝子、大腸菌のアンピシリン耐
性遺伝子、および酵母の抑制性酸性フオスフアタ
ーゼプロモーター領域からなるシヤトルベクター
(pAM82)を作成し、このものの抑制性酸性フオ
スフアターゼプロモーター領域にHBs遺伝子を
結合させたシヤトルベクターpAH203を作し、こ
のものを酵母[AH22(a,leu2,his4,Can1,
Cir+)]に導入し、形質転換酵母を得、これを培
養しHBs抗原を産生させている。 ま、ヒツツマンら[Hizeman,Nucleic Acids
Research,11(9),2745(1983)および特開昭58−
10942号]は、酵母菌3−ホスホグリセリン酸キ
ナーゼ(PGK)プロモーター領域に結合させた
HBs遺伝子を有するシヤトルベクターを作製し、
酵母にHBs抗原を産生させている。 さらに、野崎ら(第30回日本ウイルス学会総
会、演説抄録、P−1069(1982)および特願昭57
−145092号)は、Col1 E1、pMB1またはp15Aに
由来する大腸菌プラスミドにSV40DNAの複製開
始部分を挿入しかつ動物細胞内での複製阻害部分
を欠損させたベクターにHBs遺伝子を組み込ん
で組換えDNAを調整し、この組換えDNAを動細
胞、例えばマウスLTK-細胞に作用させて形質転
換させ、得られた形質転換動物細胞を培養し
HBs抗原を産生させている。 この他にも、特開昭58−56685号、特開昭58−
995号および特開昭57−39784号におい、組換え
DNA技術を利用して動物細胞にHBs抗原を産さ
せる方法が記載されている。 上記の方法等により産生されたHBs抗原は、
菌体破壊、壊物よりの抽出、硫安塩析、ゲル
過、イオン交換クロマトグラフイ、ポリエチレン
グリコール分画、アフイニテイクロマトグラフ
イ、蔗糖および塩化セシウム超遠心分離等の生物
学的活性物質の分離精製に用いられる方法の組合
わせにより、高度に精製して精製標品とし、本発
明の凍結乾燥ワクチン製剤化に供する。 得られた組換え体由来HBs抗原精製標品を用
い凍結乾燥に供するには、水溶液中または、例え
ば0.01Mリン酸緩衝液、0.01Mクエン酸緩衝液あ
るいは、0.005Mマツキルベン緩衝液などの中性
付近の適当な濃度の緩衝液中で、HBs抗原およ
び各添加物質の組成が次のようになるよう調製さ
れる。 すなわち、HBs抗原は蛋白質濃度として
0.1w/v%以下、好ましくは0.02w/v%以下含
有させる。アジユバンドであるアルミニウムゲル
としては、水酸化アルミニウムゲルまたはリン酸
アルミニウムゲルを、蛋白質濃度としてのHBs
抗原含有量に対して3〜10倍重量存在させる。こ
の際、アルミニウムゲル添加によるHBs抗原の
アルミニウムゲルへの吸着操作は、HBs抗原含
有液にアルミニウムゲルを添加混合することで達
成できるし、HBs抗原含有液に塩化アルミニウ
ム含有液の所定量を加え、この混合液に水酸化ナ
トリウム水溶液を加えて、水酸化アルミニウムゲ
ルを生成させると同時にHBs抗原を吸着させる
ことによつても達成できる。この場合水酸化ナト
リウムに替えてリン酸三ナトリウムを用いること
によつて、リン酸アルミニウムゲルにHBs抗原
を吸着させることもできる。 添加される安定化剤としては、アミノ酸および
糖類の一方または好ましくは双方が含まれ、さら
に好ましくはこれに膠質剤を併用する。アミノ酸
類としては、グリシン、アラニン、グルタミン酸
1ナトリウム、アルギニン、リジンなどのアミノ
酸またはそれらの塩が挙げられ、それらの1種も
しくは2種以上を用い、通常0.1〜2.0w/v%程
度、凍結乾燥に供するHBs抗原含有液中に存在
させる。 糖類としては、グルコース、キシロース、ガラ
クトース、フラクトースなどの単糖類、ラクトー
ス、マルトース、サツカロースなどの二糖類、マ
ンニツト、ソルビツト、キシリツトなどの糖アル
コール類が挙げられ、これらの1種もしくは2種
以上を用い、通常0.1〜15w/v%程度存在させ
る。また、膠質剤としては、ゼラチン、ヒトアル
ブミン、デキストランなどが挙げられ、通常0.01
〜0.1w/v%程度存在させる。また所望により、
チメロサールなどの防腐剤を0.05〜0.1w/v%程
度存在させる。 さらに凍結乾燥ワクチンの使用時、溶解した際
に生理的に等張となるようにするため中性塩を添
加する。中性塩としては塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、塩化マグネシウムが含まれるが、好まし
くは塩化ナトリウムでこれに適宜上記他の中性塩
が添加される。これらの中性塩は0.1〜3w/v%
程度、通常0.5〜2w/v%程度で含まれる。凍結
乾燥に供すべく調製されたワクチン液は、所要の
包装単位に従い適宜20μg〜1000μgのHBs抗原
を含むように小分容器に分注する。この分注液は
急速凍結乾燥または緩速凍結乾燥し、凍結乾燥製
剤とする。凍結乾燥の条件としては、例えば−50
℃、常圧にて予備凍結を6時間行ない、次に圧力
を0.04Torrに下げ、+5℃設定温度にて15分間1
次乾燥を行う。この時点での品温は−38℃程度で
ある。次に+30℃設定温度にて、圧力0.005Torr
で8時間2次乾燥を行う。 この凍結乾燥製剤は、その組成として少なくと
も組換え体由来HBs抗原、アルミニウムゲル、
安定化剤、中性塩を含有する。 かくして得られた製剤は、力価の低下がなく、
その保存安定性がよく、使用時の溶解性が速やか
できわめてすぐれた組換え体由来B型肝炎ワクチ
ンの凍結乾燥製剤である。 緩衝液により得られる製剤の使用に際しては、
注射用蒸留水または注射用生理食塩水を加えて
HBs抗原蛋白濃度5μg/ml〜50μg/ml、および
塩濃度を生理的にはほぼ等張な溶液として皮下接
種する。投与量は、通常、成人に対しては1回量
としてHBs抗原蛋白5μg〜50μgである。 本発明製剤について、生物学的製剤基準(薬発
第287号,1981年)の一般試験法に準じモルモツ
トを用いて異常毒性否定試験を実施し、何ら異常
を認めなかつた。 参考例 1 組換え酵母由来HBs抗原の精製標品の調製 宮之原らの方法(特願昭57−142460号)に従
い、組換え酵母にHBs抗原を産生させ、このも
のを精製して精製標品を調製する。 (1) HBVDNAの調製 (i) ウイルスDNAの調製 HBsAg陽性かつHBeAg陽性の供血者(血
清型adr)からのヒト血漿10人分のプール
700mlを5000rpmで20分間遠心分離し、不溶
物を除去する。これを4℃にて18000rpmで
8時間遠心分離し、得られた沈査を緩衝液
(10mMトリス−HCl、0.1MNaCl、1mM
EDTA;PH7.5)10mlに再溶解させ、30%の
蔗糖を含有する遠沈管の頂部に重層させる。
これを4℃にて39000rpmで4時間遠心分離
し、得られた沈査を上記と同じ緩衝液に再溶
解させる。 ついで、HBVのもつDNAポリメラーゼに
よる反応を、67mMトリスHCl(PH7.5)、
80mM NH4Cl、25mM MgCl2、0.5%
(w/v%、以下同じ)タージトールNP−
40、0.1%2−メルカプトエタノール、
330μMのdCTP(デオキシシチジントリホス
フエート)、dGTP(デオキシグアノシントリ
ホスフエート)、dATP(デオキシアデノシン
トリホスフエート)、0.5μMα−[32P]dTTP
(デオキシチミジントリホスフエート)の混
合液500μl中で37℃にて30分間行なう。これ
にさらにdTTPを最終濃度330μMになるよう
に加え、37℃で3時間反応させ、これに同容
量の100mM EDTA溶液を加える。この
DNAポリメラーゼ反応により、DNA中の一
本鎖部分が修複され、[32P]ラベル化された
材料を得、これを蔗糖の30%、20%および10
%水溶液を段階的に重層した遠心管の頂部に
重層し、4℃にて39000rpmで4.5時間遠心分
離する。 ついでDNAに強く結合している蛋白質を
消化するために、上記で得られた沈査を1
mg/mlプロナーゼEおよび0.2%ラウリル硫
酸ナトリウムの混合液200μ中で37℃にて
2時間処理したのち、DNAをフエノール
200μで2回抽出し、ついでエーテルで振
つてフエノール溶媒を除去するとHBVDNA
溶液を得る。このDNAは2.5×106cpm/μ
gの比放射活性を示し、制限酵素消化に充分
使用し得る。 (ii) HBVDNAのクローン化 前記の方法で調製された環状二本鎖の
HBVDNAを、下記のようにしてまずλフア
ージシヤロン16ADNAをベクターとしてク
ローン化し、さらに公知のプラスミド
pACYC177をベクターとして再クローン化
を行なう。 (A) λフアージシヤロン16A宿主−ベクター
系によるクローン化: HBVDNA20ngを10mMトリス−HCl
(PH7.4)、7mM MgCl2、100mM NaCl、
7mM2−メルカプトエタノールの混液20μ
中にて制限エンドヌクレアーゼXhoIに
より37℃にて2時間処理したのち、フエノ
ール20μにて抽出し、ついでエーテル抽
出後、その水層に2倍容量の冷エタノール
を加えてDNAを沈殿させる。この混液を
−70℃で1時間保持したのち10000rpmに
て5分間遠心分離して沈殿するDNAを回
収する。分離した沈査を10mMトリス−
HCl(PH7.4)および1mM DETAの混液5μl
に溶解させる。ついで、このHBVDNAと
等モル量の前記と同様にして制限酵素
XhoIにより開裂されたλフアージシヤロ
ン16ADNA(XhoI認識部位を1個所有す
る)とをT4DNAリガーゼ(50mMトリス
−HCl(PH7.4)、10mM MgCl2、10mMジ
チオスレイトール、100μg/ml牛血清ア
ルブミン、0.5mM ATPおよび0.5μ酵素
調製物との混液)10μを用いて4℃で18
時間反応させ、この反応混合液を前記と同
様にしてフエノール抽出、エーテル処理お
よびエタノール沈殿に付し、得られた沈査
を10mMトリス−HCl(PH7.4)および1mM
EDTA混液10μ中に溶解させる。 上記のようにしてアニールさせたDNA
より、in vitroパツケージング操作
(Methods in Enzymology、98巻、299〜
309を参照)によりλフアージを形成させ、
さらに大腸菌DP50SupFを指示菌としてL
−寒天平板(23cm×23cm)上に104個のプ
ラークを形成させる。これらプラークのう
ちからHBVDNAを維持しているフアージ
により形成されたプラークを選び出すため
に、前記で調製した32P−ラベルされた
HBVDNAをプローブとしてプラークハイ
ブリダイゼーシヨンを行ない(Science、
196巻、180頁、1977を参照)、目的とする
フアージを複数分離する。 (B) プラスミドpACYC177をベクターとし
た再クローン化: 上記(A)で得られたHBVDNAを保持する
フアージについて「生化学実験構座、核酸
の化学I」54〜65頁に記載される方法に従
い、大腸菌DP50−SupFを感染菌としてフ
アージDNAを調製する。得られたDNAを
前記の制限酵素XhoIの反応条件下で2時
間消化したのち、この反応液を0.75%アガ
ロースゲル電気泳動にかけ、分離した
3.2KbのHBVDNAをDEAE紙(東洋紙
製)に吸着させてベクターDNAと分離し、
ついで1M NaCl溶液にて溶出し、両端が
Xho末端となつたHBVDNAを得る。 つぎにプラスミドpACYC177[Chang,
A.C.Y.,Cohen.S.N.,J.Bacteriol.,134,
1141〜1156(1978)](このものはXhoI切断
部位を1個所有し、それはカナマイシン耐
性遺伝子の中に存在する)を同様にXhoI
にて消化し、その生成物をフエノール抽
出、エーテル処理およびエタノール沈澱に
より精製する。ついで、XhoI開裂された
pACYC177とXhoI末端−HBVDNAとを
分子比1:5で混合し、前記T4DNAリガ
ーゼの反応条件下に18時間アニールさせ
る。 大腸菌x1776の培養液を高木康敬編著
「遺伝子操作実験法」第161項に記載の方法
で調製された菌液0.1mlに、上記アニール
されたDNA調製物10μlを加えてよく混合
させ、0℃で25分間放置したのち、アンピ
シリン(20μg/ml)、α−ビオチン(1μ
g/ml)、ジアミノピメリン酸(100μg/
ml)、チミン(20μg/ml)を含有するL
−寒天プレート上に塗抹して37℃で一液培
養する。出現したコロニーについて、カナ
マイシン(20μg/ml)を含む寒天プレー
トとアンピシリン(20μg/ml)を含む寒
天プレートにそれぞれ対応させて塗抹し、
アンピシリンを含むプレートでのみ増殖し
たコロニーを選択する。得られたコロニー
数個について、「代謝」第17巻、第4「リバ
ーゼ」第81〜89頁(1980)に記載される方
法に従いプラスミドを調製する。得られた
プラスミドをpHBVと称す。このpHBV
を制限酵素XhoIで処理すると3.2kbの全
HBVDNAフラグメントが得られる。 (2) シヤトルベクターpAM82の調製 酵母S288CDNAバンクより得られた抑制性
酸性ホスフアターゼを構成する60000ダルトン
のポリペプチド(P60)の遺伝子を含む約8000
塩基対(8Kb)の制限酵素EcoRI断片を大腸菌
プラスミドpBR322のEcoRI部位に挿入して得
られるプラスミドを出発材料とし、これを制限
酵素SalIで切断し、さらにT4DNAリガーゼに
より再アニールさせてpBR322のSalI部位から
酸性ホスフアターゼ遺伝子断片の5.2Kb側を失
なつたプラスミドpAT25(これはpBR322のア
ンピシリン耐性遺伝子を含むEcoRI部位から
SalI部位までの約3.7Kbの断片と酵母の酸性ホ
スフアターゼ遺伝子のEcoRI部位からSalI部位
までの約2.8Kbの断片がそれぞれ対応する末端
同士で結合したプラスミドである)を得る。 つぎに、このpAT25のEcoRI部位に、プラ
スミドYRP7をEcoRI処理することによつて得
られるars1およびTrp1遺伝子を含む1.4Kbの
EcoRI断片を挿入してプラスミドpAT26を得
る(このars1−Trp1を含む断片は、そのTrp1
遺伝子内に制限酵素HindIIIの認識部位を1個
有する)。 上記pAT26のHindIII部位に、プラスミド
pSLE1をHindIIIで処理して得られる酵母の
Leu2および2μoriを含むHindIII断片を挿入し
てシヤトルベクターpAT77を得る。この
pAT77をサツカロミセス・セレビシエAH22に
組込んだもの(サツカロミセス・セレビシエ
AH22/pAT77)は微工研条寄第324号として
寄託している。 上記の方法で得られたpAT77(1μg)をSalI
で開裂したのち、20mMトリス−HCl(PH8.2)、
12mMCaCl2、12mMMgCl2、0.2MMaCl、
1mM EDTA溶液50μ中で0.1Uのエキソヌク
レアーゼBAL31を30秒〜1分間作用させる。
ついでフエノール抽出、エタノール沈殿を行な
つたのち、XhoIリンカー1pmolとT4DNAリガ
ーゼの反応条件で12時間結合を行なう。この反
応溶液で大腸菌x1776を形質転換し、得られた
アンピシリン耐性の形質転換体よりプラスミド
DNAを調製し、各DNAについてマキサムーギ
ルバートの方法(Maxam,A.&Gilbert,
W.;Pro.N.A.S.,74,560〜564を参照)に従
い、塩基配列を調べ、BAL31処理により除去
された酸性ホスフアターゼ遺伝子領域を決定す
る。これら中からホスフアターゼ構造遺伝子領
域が完全に除去されたプラスミドpAM82を得
る。 ホスフアターゼ構造遺伝子の産物P60の最初
のアミノ酸であるメチオニンをコードするコド
ンATGのAを+1として、pAM82は−33まで
除去されたものである。なお、このpAM82を
サツカロミセス・セレビシエAH22に組込んだ
もの(サツカロミセス・セレビシエAH22/
pAM82)は微工研条寄第313号として寄託して
いる。 (3) HBs遺伝子発現プラスミドpAH203の調製 プラスミドpHBVをXhoIで処理して得られ
るHBVDNAと、XhoIで開裂されたシヤトル
ベクターpAM82を分子比5:1cm2T4DNAリ
ガーゼによりアニールさせたのち、この反応溶
液で大腸菌x1776を形質転換する。得られたア
ンピシリン耐性の形質転換体よりプラスミド
DNAを調製し、これらについて制限酵素
XhoI、XbaI、HindIIIで分析することにより、
ベクターへのHBVDNAの組込みおよびその方
向を確認する。 選び出されたプラスミドpAH203はベクター
のホスフアターゼプロモーターの下流に
HBVDNAがHBs遺伝子、HBc遺伝子の順に
並ぶ向きに挿入されたものであり、これが
HBsAg遺伝子発現プラスミドである。 (4) 形質転換酵母の調製 酵母としてサツカロミセス・セレビシエ
AH22[a leu2 his4 Can1(Cir+)](微工研条
寄第312号)を用い、これをYPD培地(2%ポ
リペプトン、1%イーストエキス、2%グルコ
ース(100mlに接種し、30℃で一晩培養したの
ち、遠心して集菌する。滅菌水20mlにて菌体を
洗浄し、ついで1.2Mソルビトールおよび100μ
g/mlチモリアーゼ60000(生化学工業製)の溶
液5mlに懸濁させ、30℃で約30分間保ち、スフ
エロプラスト化する。ついで、スフエロプラス
トを1.2Mソルビトール溶液で3回洗浄したの
ち、2Mソルビトール、10mMCaCl2および
10mMトリス−HCl(PH7.5)の溶液0.6mlに懸濁
させ、その60μずつを小試験管に分注する。
これに前記(3)で調製した組換えプラスミド
pAH203溶液30μを加え、充分混合したのち、
さらに0.1MCaCl2(3μ)を加えて最終濃度
10mMCaCl2とし、室温に5〜10分間放置する。
ついでこれに、20%ポリエチレングリコール
4000、10mMCaCl2および10mMトリス−HCl
(PH7.5)溶液1mlずつを加えて混合し、室温に
約20分間放置する。この混合液0.2mlずつを45
℃に保温された再生培地(22%ソルビトール、
2%グルコース、0.7%イーストニトロゲンベ
ースアミノ酸、2%YPD、20μg/mlヒスチジ
ン、3%寒天)10mlに加え、軽く混合させ、予
め準備された1.2ソルビトール含有最小培地
(0.7%イーストニトロゲンベースアミノ酸、2
%グルコース、20μg/mlヒスチジン、2%寒
天)プレートに重層し、固化させたのち、20℃
で培養してロイシン非要求性酵母のコロニーを
得る。このコロニーを20μg/mlヒスチジンを
含むバルクホルダーミニマルメデイウム
〔Tohe,A.et al;t.Bachterol.,113,727〜
738(1973)を参照]にて培養して形質転換酵母
サツカロミセス・セレビシエpAH203を得る。 (5) 形質転換酵母の培養によるHBs抗原の産生 前記(4)で得られた形質転換酵母を、20μg/
mlヒスチジンを含むバルクホルダーミニマムメ
デイウム10mlに接種し、30℃で24時間培養を行
う。この培養物を、20μg/mlヒスチジンを含
むバルクホルダーミニマムメデイウム10に植
えつぎ、30℃で攪拌下、約48時間培養する。対
数増殖期にある菌体を遠心して集菌し、これを
リン酸を含まない最小培地(バルクホルターミ
ニマムメデイウムに含まれるKH2PO4をKClで
置換し、さらに20μg/mlヒスチジンを加えた
もの)10に菌数約4×106cells/mlになるよ
うに懸濁し。30℃にて攪拌不約24時間培養を続
けたのち、4000回転、10分間の遠心により菌体
を集めた菌体約120gを得る。 (6) HBs抗原精製標品の取得 前記(5)と同様の培養操作をくり返し実施して
蓄積した菌体約1Kgに、0.1Mリン酸緩衝液
(PH7.2)5を加え、これを600〜700Kg/cm2の
圧力でマントン・ゴーリン破砕機にかけ菌体を
破砕する。菌体破砕物を遠心にかけ、粗大菌体
破片を分離し、HBs抗原抽出液を得る。つぎ
にこの抽出液に酢酸(10%水溶液)を滴下し、
PHを5.2に調製する。4℃で30分間攪拌した後、
遠心により沈殿を除去する。 遠心上清にアンモニア水を加えて、PHを6.5
に保ちつつ、最終濃度2.5Mとなるように硫安
を徐々に加える。約30分放置後遠心により
HBs抗原を含有する沈殿を分離回収する。回
収した沈殿を、0.1Mリン酸緩衝液(PH7.2)約
300mlに懸濁させ、同緩衝液に対して透析する。 透析後、0.1Mリン酸カリウム緩衝液で約3
倍に希釈し、同緩衝液で平衡化しておいたハイ
ドロキシアパタイトカラム(ゲル量約1)に
通液し、HBs抗原を吸着させる。平衡化緩衝
液で充分に洗浄した後、約3の0.2Mリン酸
カリウム緩衝液(PH7.2)を通液し夾雑物を溶
出させる。次に約3の0.5Mリン酸カリウム
緩衝液でHBs抗原を溶出させる。HBs抗原を
含むフラクシヨンを、0.1Mリン酸カリウム緩
衝液に対して透析した後、同緩衝液で平衡化さ
れたハイドロキシアパタイトカラム(ゲル量約
500ml)に通液し、HBs抗原を吸着させた後、
約2の0.2→0.5M濃度勾配リン酸カリウム緩
衝液を通液し溶出を行い、HBs抗原を含むフ
ラクシヨンを分取する。 得られたHBs抗原含有フラクシヨン約1000
mlを0.01Mリン酸緩衝液に透析後、フオローフ
オイバー限外過器(旭化成製ミニモジユー
ル)にて100mlに濃縮する。 次に日立RP−42用超遠心チユーブに、50%
蔗糖溶液、20%蔗糖溶液、HBs抗原含有液を
重層し、27000rpm、4℃で16時間超遠心を行
い、HBs抗原を蔗糖液層界面に濃縮・精製す
る。 得られた精製HBs抗原含有画分を0.14M.塩
化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析し
た後、塩化セシウムを1.2g/mlの濃度となる
ように加えて、日立RP−42超遠心機で、
25000rpm、10℃で60時間超遠心し濃縮・精製
する。HBs抗原含有画分を0.14M塩化ナトリウ
ム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析した後、旭化
成ミニモジユールを用いて濃縮し、0.14M塩化
ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析後、
除菌過して、HBs抗原蛋白濃度106μg/ml
であるHBs抗原精製標品液12mlを得る。 得られたHBs抗原精製標品は、SDSポリア
クリルアミド電気泳動分析において分子量約
25000の単一バンドを示し、抗組換え体由来
HBs抗原精製標品モルモツト抗体及び抗ヒト
由来HBs抗原精製標品モルモツト抗体を用い
た免疫拡散法によるヒト由来HBs抗原精製標
品との比較分析において、両HBs抗原精製標
品は抗原性が全く一致する。 参考例 2 組換え動物細胞由来HBs抗原の精製標品の調
製 野崎らの方法(特願昭57−145092号)に従い、
組換え動物細胞にHBs抗原を産生させ、これを
精製して精製標品を調製する。 (1) HBVDNABamHlフラグメントの調製 前記参考例1、(1)で調製されたプラスミド
pHBVを、常法によりBamHIで処理し、その
反応液を0.75%アガロースゲル電気泳動にかけ
てHBVDNABamHIフラグメントを調製する。 (2) ベクタKg(pXRIIG BamHIフラグメント)
の調製 米国ハーバード大学から入手したシヤトルベ
クターpXRIIG 1μgを、10mMトリス−HCl
(PH8.0)、7mMMgCl2、100mM NaClおよび
2mM2−メルカプトエタノールの混合液20μ
中に加え、これに制限酵素BamHI1単位(1単
位は1時間にAλ−DNA1μgを完全に分解する
酵素活性)を加え、これを30℃で1時間反応さ
せる。この処理液をフエノールで抽出し、水層
をエーテルで抽出し、ついでエタノールで沈殿
させ、その沈査を水に溶解させる。この水溶液
を組換えDNAの調製に用いる。 (3) HBVDNA−pXRIIG組換えDNAの調製 HBVDNABamHIフラグメント150ngおよび
pXRIIGBamHIフラグメント50ngを含む反応
溶液50μをT4DNAリガーゼにより16℃で4
時間反応させる。 得られた反応液を用いて大腸菌x1776を前記
と同様の方法にて形質転換させ、その形質転換
体の中から前記参考例1,(1)(B)に記載の方法と
同様にしてL−寒天プレート上で12時間培養
後、寒天培地に出現したコロニーを各々テトラ
サイクリン(Tc)(10μg/ml)含有の寒天培
地とアンピシリン(Ap)(40μg/ml)含有培
地に移す。Tc含有培地で成育不能でかつAp含
有培地で成育可能なコロニー(クローン)を選
択し、これらのクローンを各々Apを含む前記
の大腸菌x1776培養液にて培養後、前記の方法
によりプラスミドを抽出し、種々の制限酵素
(BamHI、XhoI、HindIII、SalI)にてその切
断パターンを分析することにより、これらのプ
ラスミドのなかから、pXRIIG1個に対し
HBVDNA3個挿入されたpSHB3を得る。 (4) マウスLTK-細胞の形質転換 下記のA液およびB液を調製する。 A液:50mMヘペス(N−2−ヒドロキシエチ
ルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸)、
280mM NaCl、15mM Na2HPO4・12H2O
からなる溶液1.25ml(PH7.1) B液:50μgpSHB3、2.5μgpTKおよび50μg
さけ精子DNA(キヤリアーDNA)からなる
DNA溶液1.1mlと2MCaCl20.15mlの混合液 上記A液にB液を攪拌しながらゆつくり滴下
し、室温で30分間放置する。充分ピペツテイン
グしたのち、その混合液0.5mlをマウスLTK-
細胞の単一層(約105cells/フラスコ)に適下
する。このまま室温にて30分間細胞に吸着させ
たのち、10%牛血清を含むダルベツコ改良イー
グル培地(Dulbecco′s modified Eagle′s
medium、以下DMEMと略す)(Dulbecco,R.
&Freeman,G.;Virologv,8,396,1959)
5mlを添加し、5%CO2、37℃で約5時間培養
する。DMEMを交換後、さらに約24時間培養
し、ついでヒポキサンチン15μg/ml、アミノ
プリテン1μg/mlおよびチミジン5μg/mlを
含む培地(以下、HAT培地という)
[Littlefield;J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,72,
3961−3965(1963)]に交換する。2〜3日毎に
HAT培地を交換して培養を続ける。4週間後
に出現してくるTK+になつた細胞の集落を分
離して形質転換細胞を得る。 (5) 形質転換動物細胞によるHBs抗原を産生 上記(4)で得られた形質転換マウスL細胞を10
%牛血清およびペニシリン(250ユニツト/
ml)、ストレプトマイシン(0.2μg/mlを含む
むDMEM培地に植えつぎ、37℃で1週間静地
培養する。培養上清中には約400μg/mlの濃
度でHBs抗原が含まれる。 (6) 形質転換動物細胞由来HBs抗原の精製 上記(5)と同様の培養操作をくり返し実施して
蓄積上清液10を、フオローフアイバー限外
過器(旭化成製)にて1000mlに濃縮する。この
液にアンモニア水を加えてPHを6.5に保ちつつ、
最終濃度2.5Mとなるように硫安を徐々に加え
る。約30分放置後遠心によりHBs抗原を含有
する沈殿を分離回収する。回収した沈殿を、
0.14M塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液
(PH7.2)100mlに溶解させ、同緩衝液に対して
透析する。透析後、同緩衝液で平衡化されたセ
フアロースCL6B(フアルマシア社製)充填カ
ラム(ゲル体積2)に通液し、ゲル過クロ
マトグラフイーにかける。HBs抗原を含むフ
ラクシヨン(紫外吸収モニターによる分析で、
ボイド量に相当する溶出量から始まる最初のピ
ーク画分)を分取し、これをプールする。この
プール画分を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(PH
7.2)に対して透析後、同緩衝液で平衡化して
おいたハイドロキシアパタイトカラム(ゲル量
約250ml)に通液し、HBs抗原を吸着させる。
平衡化緩衝液で夾雑物を洗浄した後、0.5Mリ
ン酸カリウム緩衝液HBs抗原を溶出させる。
HBs抗原含有フラクシヨン約250mlを0.01Mリ
ン酸緩衝液(PH6.2)に透析後、フオローフア
イバー限外過器を用いて50mlに濃縮する。次
に日立RP−42用超遠心チユーブに50%蔗糖溶
液、20%蔗糖溶液、HBs抗原含有液を重層し、
27000rpm、4℃で16時間超遠心を行い、HBs
抗原を蔗糖液界面に濃縮・精製する。これを分
画し、HBs抗原精製画分を0.14M塩化ナトリウ
ム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析し、旭化成製
ミニモジユール限外過器で濃縮後、除菌過
して、HBs抗原蛋白濃度98μg/mlであるHBs
抗原精製標品液14mlを得る。 実施例 1 参考例1に記したのと同様の方法によつて得ら
れた組換え体由来HBs抗原精製品液(HBs抗原
蛋白濃度86μg/ml)に、HBs抗原に対し水酸化
アルミニウム量が8重量倍となるように、水酸化
アルミニウム懸濁液(10mg/ml懸濁液)を加え
る。これを遠心分離にかけ、上清を除去して
HBs抗原吸着アルミニウムゲルを得る。 また別に、水酸化アルミニウムゲルの場合と同
様にして、HBs抗原吸着リン酸アルミニウムゲ
ルを得る。 これらのHBs抗原吸着アルミニウムゲルに、
安定化剤を第1表に記した組成で含有する0.14M
塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)
を加えて、HBs抗原蛋白濃度が40μg/mlになる
様に調製し、各ワクチン液を調製する。これらの
ワクチン液1mlを各々2mlバイアルに入れ、−50
℃、常圧にて6時間予備凍結後、圧力を0.4Torr
に下げ、5℃にて15分間1次乾燥し、ついで30℃
にて圧力0.4Torrで8時間2次乾燥して、所望の
凍結乾燥品を得る。 これらの凍結乾燥試料No.1〜No.11に各々2mlの
注射用生理食塩水を加え、さらにクエン酸ナトリ
ウムを加えてアルミニウムゲルを完全に溶解し
た。この溶解液中のHBs抗原の力価(抗HBs抗
体の結合価)をラジオイムノアツセイ法(ダイナ
ボツト社:オースリアII HBs抗原測定キツト)
により測定し、凍結乾燥前の対照品の力価(アル
ミニウムゲルをクエン酸ナトリウム添加により溶
解して測定)と比較した。結果を第2表に示す。
関する。さらに詳しくは組換えDNA手法により
形質転換されHBs抗原産生能を付与された組換
え体によつて発現生成されたHBs抗原の精製標
品を、アルミニウムゲルおよび安定化剤の存在下
凍結乾燥を行うことを特徴とするB型肝炎ワクチ
ンの凍結乾燥製剤を提供するものである。 B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(以下HBVと
略称する)によつて起こり、疫学的にも、臨床的
にも非常に重大なる問題を含み、いまだ有効な治
療対策が見出されていない疾病である。そのた
め、このようなB型肝炎に対しては、もつぱら予
防法検討されており、その方策としては、HBs
抗原を有効成分とするワクチンが最も効果的であ
ると考えられ実用化段階に入つている。すなわ
ち、キヤリアーと称されるB型肝炎ウイルス潜伏
持続感染者の血漿より得られるHBs抗原を高度
に精製し、これを不活化してB型肝炎ワクチンを
つくられている。 しかしながら、血液由来のワクチンは原料を
HBs抗原陽性ヒト血漿にもとめるため、原料の
量的確保が困難であること、さらに製剤中のB型
肝炎ウイルスあるいは他の血液由来のウイルスな
どの感染性の因子を残存を否定するために、チン
パンジーによる安全性確認試験が必要であるこ
と、しかも検定用のチンパンジーの確保が非常に
困難であることなどの問題点もあり、製造上多く
の制約がある。 このような問題点を解消する方策として、組換
えDNA技術を利用して、大腸菌や酵母にHBs抗
原を構成する蛋白質をコードするHBVのDNAを
導入、発現させることにより、ワクチンの原料と
なるHBs抗原のみを大量に作り出す研究が多く
の研究者らによつて推進されてきた。最近、これ
らの組換え体によるHBs抗原の発現に成功し、
特に組換え酵母によるHBs抗原の産生について
は、工業的応用を可能にする段階に至り、該方法
によつて得られた組換え体由来HBs抗原を高度
に精製し、B型肝炎ワクチンとして製剤化する試
みがなされている。 ところでB型肝炎ワクチンは、B型肝炎発症患
者およびキヤリアーに接接触する機会の多い医療
従事者、研究者や患者およびキヤリアーの家族、
新生児等へ、血液や体液等を介してB型肝炎ウイ
ルスが感染するのを防止する効果を有するもので
あるが、このキヤリアー日本の総人口の2〜3
%、東南アジア、アフリカではその人口に10〜15
%に達するといわれている。これらの背景からB
型肝炎ワクチン製剤は日本国内はもとより、広く
世界各地において使用するとを可能ならしめる必
要がある。すなわち、安定性がすぐれ、長期保存
に充分に耐え得る製剤の提供は必須の条件であ
る。 現在市販されているB型肝炎ワクチンは、血液
由来のHBs抗原標品を用いた液状製剤であるが、
この液状B型肝炎ワクチンは、保存中の力価の低
下が懸念されるものである。 このような事情のもとに。本発明者らは長期保
存性に優れたB型肝炎ワクチンを工業的に安定か
つ大量に製造するべく種々検討を重ねた結果、
HBs抗原として血液由来HBs抗原に代え組換え
体由来のHBs抗原を用い、これを特定条件下に
凍結乾燥することによりその目的を達した。 一般に、不活性ワクチンでは、ワクチン投与後
の抗体産生を高めるために、免疫アジユバントと
して例えばアルミニウムゲルを加えて製剤化され
ることが多く、またB型肝炎ワクチンにおいても
製剤化に際してアルミニウムゲルを添加すること
が知られている。ところでB型肝炎ワクチンを凍
結乾燥製剤化する場合、HBs抗原を単独で凍結
乾燥したのでは、ワクチンとしての使用に際し、
HBs抗原をあらかじめ注射用生理食塩水または
注射用蒸留水などに溶解し、これをアルミニウム
ゲル含有液と混合して使用ワクチン液として調製
する必要があり、調製手順、温度条件、振とう混
合条件などにより、HBs抗原のアルミニウムゲ
ルへの吸着がワクチンの最小使用単位容器ごとに
差が生じ、したがつて使用ワクチンの抗体産生能
にバラツキが生じる恐れがある。また組換え体由
来のHBs抗原では、通常の液状製剤にみられる
ような条件下にそのまま凍結乾燥を行なうと、乾
燥の過程におい力価が低下する欠点を伴う。 本発明者らは、以上のような問題点を解決すべ
く鋭意検討を重ねた結果、抗原力価の低下や性状
の悪化を伴わずに、組換え体由来HBs抗原にア
ルミニウムゲルを吸着させた状態で凍結乾燥する
ことを可能ならしめ、かつ乾燥品の保存安定性も
液状製剤に比して格段に良好となる凍結乾燥の条
件と、安定化のための製剤の配合組成とを見出す
ことにより本発明を完成した。 本発明は、組換えDNA手法により形質転換さ
れ、HBs抗原産生能を付与された組換え体によ
つて産生された、組換え体由来HBs抗原の精製
標品をアルミニウムゲルに吸着させたのち、この
懸濁液に安定化剤および必要であれば防腐剤をそ
れぞれ溶解させ、次にこの液を凍結乾燥させて得
られる。組換え体由来B型肝炎ワクチンの凍結乾
燥製剤を提供するものである。 本発明のB型肝炎ワクチンの凍結乾燥製剤を製
造するには、該組換え体由来のHBs抗原精製標
品の水溶液または中性付近の緩衝液溶液にアルミ
ニウムゲルを添加してHBs抗原をアルミニウム
ゲルに吸着させ、これにアミノ酸および/または
糖類、さらに膠質剤などの安定化剤、所望により
通常の防腐剤、等張化剤などを添加してワクチン
液を調製し、このワクチン液を、好ましくは最小
使用単位容器に分注し、常法により凍結乾燥す
る。このようにして得られるB型肝炎ワクチン凍
結乾燥製剤は、長期間高い力価を保持できるう
え、同一製造ロツトにおいて、各最小使用単位容
器のワクチンの抗原力価が同一となり、使用上き
わめて好都合である。 本発明において用いられる、組換え体由来
HBs抗原とは、組換えDNA技術を用いて、B型
肝炎ウイルスのDNAから取り出されたHBs抗原
をコードする遺伝子を大腸菌、酵母、動物培養細
胞等に導入し、これらを形質転換させ、HBs抗
原遺伝子を働かせてHBs抗原を産生させること
により得られるものである。これらの方法は既に
公知であり、例えば組換え酵母由来HBs抗原を
得る方法の1つとしてバレンズエラ
[Valenzuela,Nature、298,347(1982)および
特開昭58−77823号]は、pBR322プラスミドの
増殖起点、2μプラスミド増殖起点、Trp1、酵母
アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター領域か
らなるシヤトルベクター(pMA56)の、酵母ア
ルコールデヒドロゲナーゼプロモーターにHBs
遺伝子を結合させたシヤトルベクター
(pHBs16)を作製し、このものを酵母に導入し、
形質転換酵母を得、この形質転換酵母を培養し、
HBs抗原を産生させている。 また、同じく酵母にHBs抗原を産生させる例
として、宮之原らは[Proc.Natl.Acsd.Sci.,
USA,80,1(1983)および特願昭57−142460
号]、2μプラスミドの増殖起点、pBR322プラス
ミドの増殖起点、酵母染色体の増殖起点、酵母の
ロイシン要求性遺伝子、大腸菌のアンピシリン耐
性遺伝子、および酵母の抑制性酸性フオスフアタ
ーゼプロモーター領域からなるシヤトルベクター
(pAM82)を作成し、このものの抑制性酸性フオ
スフアターゼプロモーター領域にHBs遺伝子を
結合させたシヤトルベクターpAH203を作し、こ
のものを酵母[AH22(a,leu2,his4,Can1,
Cir+)]に導入し、形質転換酵母を得、これを培
養しHBs抗原を産生させている。 ま、ヒツツマンら[Hizeman,Nucleic Acids
Research,11(9),2745(1983)および特開昭58−
10942号]は、酵母菌3−ホスホグリセリン酸キ
ナーゼ(PGK)プロモーター領域に結合させた
HBs遺伝子を有するシヤトルベクターを作製し、
酵母にHBs抗原を産生させている。 さらに、野崎ら(第30回日本ウイルス学会総
会、演説抄録、P−1069(1982)および特願昭57
−145092号)は、Col1 E1、pMB1またはp15Aに
由来する大腸菌プラスミドにSV40DNAの複製開
始部分を挿入しかつ動物細胞内での複製阻害部分
を欠損させたベクターにHBs遺伝子を組み込ん
で組換えDNAを調整し、この組換えDNAを動細
胞、例えばマウスLTK-細胞に作用させて形質転
換させ、得られた形質転換動物細胞を培養し
HBs抗原を産生させている。 この他にも、特開昭58−56685号、特開昭58−
995号および特開昭57−39784号におい、組換え
DNA技術を利用して動物細胞にHBs抗原を産さ
せる方法が記載されている。 上記の方法等により産生されたHBs抗原は、
菌体破壊、壊物よりの抽出、硫安塩析、ゲル
過、イオン交換クロマトグラフイ、ポリエチレン
グリコール分画、アフイニテイクロマトグラフ
イ、蔗糖および塩化セシウム超遠心分離等の生物
学的活性物質の分離精製に用いられる方法の組合
わせにより、高度に精製して精製標品とし、本発
明の凍結乾燥ワクチン製剤化に供する。 得られた組換え体由来HBs抗原精製標品を用
い凍結乾燥に供するには、水溶液中または、例え
ば0.01Mリン酸緩衝液、0.01Mクエン酸緩衝液あ
るいは、0.005Mマツキルベン緩衝液などの中性
付近の適当な濃度の緩衝液中で、HBs抗原およ
び各添加物質の組成が次のようになるよう調製さ
れる。 すなわち、HBs抗原は蛋白質濃度として
0.1w/v%以下、好ましくは0.02w/v%以下含
有させる。アジユバンドであるアルミニウムゲル
としては、水酸化アルミニウムゲルまたはリン酸
アルミニウムゲルを、蛋白質濃度としてのHBs
抗原含有量に対して3〜10倍重量存在させる。こ
の際、アルミニウムゲル添加によるHBs抗原の
アルミニウムゲルへの吸着操作は、HBs抗原含
有液にアルミニウムゲルを添加混合することで達
成できるし、HBs抗原含有液に塩化アルミニウ
ム含有液の所定量を加え、この混合液に水酸化ナ
トリウム水溶液を加えて、水酸化アルミニウムゲ
ルを生成させると同時にHBs抗原を吸着させる
ことによつても達成できる。この場合水酸化ナト
リウムに替えてリン酸三ナトリウムを用いること
によつて、リン酸アルミニウムゲルにHBs抗原
を吸着させることもできる。 添加される安定化剤としては、アミノ酸および
糖類の一方または好ましくは双方が含まれ、さら
に好ましくはこれに膠質剤を併用する。アミノ酸
類としては、グリシン、アラニン、グルタミン酸
1ナトリウム、アルギニン、リジンなどのアミノ
酸またはそれらの塩が挙げられ、それらの1種も
しくは2種以上を用い、通常0.1〜2.0w/v%程
度、凍結乾燥に供するHBs抗原含有液中に存在
させる。 糖類としては、グルコース、キシロース、ガラ
クトース、フラクトースなどの単糖類、ラクトー
ス、マルトース、サツカロースなどの二糖類、マ
ンニツト、ソルビツト、キシリツトなどの糖アル
コール類が挙げられ、これらの1種もしくは2種
以上を用い、通常0.1〜15w/v%程度存在させ
る。また、膠質剤としては、ゼラチン、ヒトアル
ブミン、デキストランなどが挙げられ、通常0.01
〜0.1w/v%程度存在させる。また所望により、
チメロサールなどの防腐剤を0.05〜0.1w/v%程
度存在させる。 さらに凍結乾燥ワクチンの使用時、溶解した際
に生理的に等張となるようにするため中性塩を添
加する。中性塩としては塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、塩化マグネシウムが含まれるが、好まし
くは塩化ナトリウムでこれに適宜上記他の中性塩
が添加される。これらの中性塩は0.1〜3w/v%
程度、通常0.5〜2w/v%程度で含まれる。凍結
乾燥に供すべく調製されたワクチン液は、所要の
包装単位に従い適宜20μg〜1000μgのHBs抗原
を含むように小分容器に分注する。この分注液は
急速凍結乾燥または緩速凍結乾燥し、凍結乾燥製
剤とする。凍結乾燥の条件としては、例えば−50
℃、常圧にて予備凍結を6時間行ない、次に圧力
を0.04Torrに下げ、+5℃設定温度にて15分間1
次乾燥を行う。この時点での品温は−38℃程度で
ある。次に+30℃設定温度にて、圧力0.005Torr
で8時間2次乾燥を行う。 この凍結乾燥製剤は、その組成として少なくと
も組換え体由来HBs抗原、アルミニウムゲル、
安定化剤、中性塩を含有する。 かくして得られた製剤は、力価の低下がなく、
その保存安定性がよく、使用時の溶解性が速やか
できわめてすぐれた組換え体由来B型肝炎ワクチ
ンの凍結乾燥製剤である。 緩衝液により得られる製剤の使用に際しては、
注射用蒸留水または注射用生理食塩水を加えて
HBs抗原蛋白濃度5μg/ml〜50μg/ml、および
塩濃度を生理的にはほぼ等張な溶液として皮下接
種する。投与量は、通常、成人に対しては1回量
としてHBs抗原蛋白5μg〜50μgである。 本発明製剤について、生物学的製剤基準(薬発
第287号,1981年)の一般試験法に準じモルモツ
トを用いて異常毒性否定試験を実施し、何ら異常
を認めなかつた。 参考例 1 組換え酵母由来HBs抗原の精製標品の調製 宮之原らの方法(特願昭57−142460号)に従
い、組換え酵母にHBs抗原を産生させ、このも
のを精製して精製標品を調製する。 (1) HBVDNAの調製 (i) ウイルスDNAの調製 HBsAg陽性かつHBeAg陽性の供血者(血
清型adr)からのヒト血漿10人分のプール
700mlを5000rpmで20分間遠心分離し、不溶
物を除去する。これを4℃にて18000rpmで
8時間遠心分離し、得られた沈査を緩衝液
(10mMトリス−HCl、0.1MNaCl、1mM
EDTA;PH7.5)10mlに再溶解させ、30%の
蔗糖を含有する遠沈管の頂部に重層させる。
これを4℃にて39000rpmで4時間遠心分離
し、得られた沈査を上記と同じ緩衝液に再溶
解させる。 ついで、HBVのもつDNAポリメラーゼに
よる反応を、67mMトリスHCl(PH7.5)、
80mM NH4Cl、25mM MgCl2、0.5%
(w/v%、以下同じ)タージトールNP−
40、0.1%2−メルカプトエタノール、
330μMのdCTP(デオキシシチジントリホス
フエート)、dGTP(デオキシグアノシントリ
ホスフエート)、dATP(デオキシアデノシン
トリホスフエート)、0.5μMα−[32P]dTTP
(デオキシチミジントリホスフエート)の混
合液500μl中で37℃にて30分間行なう。これ
にさらにdTTPを最終濃度330μMになるよう
に加え、37℃で3時間反応させ、これに同容
量の100mM EDTA溶液を加える。この
DNAポリメラーゼ反応により、DNA中の一
本鎖部分が修複され、[32P]ラベル化された
材料を得、これを蔗糖の30%、20%および10
%水溶液を段階的に重層した遠心管の頂部に
重層し、4℃にて39000rpmで4.5時間遠心分
離する。 ついでDNAに強く結合している蛋白質を
消化するために、上記で得られた沈査を1
mg/mlプロナーゼEおよび0.2%ラウリル硫
酸ナトリウムの混合液200μ中で37℃にて
2時間処理したのち、DNAをフエノール
200μで2回抽出し、ついでエーテルで振
つてフエノール溶媒を除去するとHBVDNA
溶液を得る。このDNAは2.5×106cpm/μ
gの比放射活性を示し、制限酵素消化に充分
使用し得る。 (ii) HBVDNAのクローン化 前記の方法で調製された環状二本鎖の
HBVDNAを、下記のようにしてまずλフア
ージシヤロン16ADNAをベクターとしてク
ローン化し、さらに公知のプラスミド
pACYC177をベクターとして再クローン化
を行なう。 (A) λフアージシヤロン16A宿主−ベクター
系によるクローン化: HBVDNA20ngを10mMトリス−HCl
(PH7.4)、7mM MgCl2、100mM NaCl、
7mM2−メルカプトエタノールの混液20μ
中にて制限エンドヌクレアーゼXhoIに
より37℃にて2時間処理したのち、フエノ
ール20μにて抽出し、ついでエーテル抽
出後、その水層に2倍容量の冷エタノール
を加えてDNAを沈殿させる。この混液を
−70℃で1時間保持したのち10000rpmに
て5分間遠心分離して沈殿するDNAを回
収する。分離した沈査を10mMトリス−
HCl(PH7.4)および1mM DETAの混液5μl
に溶解させる。ついで、このHBVDNAと
等モル量の前記と同様にして制限酵素
XhoIにより開裂されたλフアージシヤロ
ン16ADNA(XhoI認識部位を1個所有す
る)とをT4DNAリガーゼ(50mMトリス
−HCl(PH7.4)、10mM MgCl2、10mMジ
チオスレイトール、100μg/ml牛血清ア
ルブミン、0.5mM ATPおよび0.5μ酵素
調製物との混液)10μを用いて4℃で18
時間反応させ、この反応混合液を前記と同
様にしてフエノール抽出、エーテル処理お
よびエタノール沈殿に付し、得られた沈査
を10mMトリス−HCl(PH7.4)および1mM
EDTA混液10μ中に溶解させる。 上記のようにしてアニールさせたDNA
より、in vitroパツケージング操作
(Methods in Enzymology、98巻、299〜
309を参照)によりλフアージを形成させ、
さらに大腸菌DP50SupFを指示菌としてL
−寒天平板(23cm×23cm)上に104個のプ
ラークを形成させる。これらプラークのう
ちからHBVDNAを維持しているフアージ
により形成されたプラークを選び出すため
に、前記で調製した32P−ラベルされた
HBVDNAをプローブとしてプラークハイ
ブリダイゼーシヨンを行ない(Science、
196巻、180頁、1977を参照)、目的とする
フアージを複数分離する。 (B) プラスミドpACYC177をベクターとし
た再クローン化: 上記(A)で得られたHBVDNAを保持する
フアージについて「生化学実験構座、核酸
の化学I」54〜65頁に記載される方法に従
い、大腸菌DP50−SupFを感染菌としてフ
アージDNAを調製する。得られたDNAを
前記の制限酵素XhoIの反応条件下で2時
間消化したのち、この反応液を0.75%アガ
ロースゲル電気泳動にかけ、分離した
3.2KbのHBVDNAをDEAE紙(東洋紙
製)に吸着させてベクターDNAと分離し、
ついで1M NaCl溶液にて溶出し、両端が
Xho末端となつたHBVDNAを得る。 つぎにプラスミドpACYC177[Chang,
A.C.Y.,Cohen.S.N.,J.Bacteriol.,134,
1141〜1156(1978)](このものはXhoI切断
部位を1個所有し、それはカナマイシン耐
性遺伝子の中に存在する)を同様にXhoI
にて消化し、その生成物をフエノール抽
出、エーテル処理およびエタノール沈澱に
より精製する。ついで、XhoI開裂された
pACYC177とXhoI末端−HBVDNAとを
分子比1:5で混合し、前記T4DNAリガ
ーゼの反応条件下に18時間アニールさせ
る。 大腸菌x1776の培養液を高木康敬編著
「遺伝子操作実験法」第161項に記載の方法
で調製された菌液0.1mlに、上記アニール
されたDNA調製物10μlを加えてよく混合
させ、0℃で25分間放置したのち、アンピ
シリン(20μg/ml)、α−ビオチン(1μ
g/ml)、ジアミノピメリン酸(100μg/
ml)、チミン(20μg/ml)を含有するL
−寒天プレート上に塗抹して37℃で一液培
養する。出現したコロニーについて、カナ
マイシン(20μg/ml)を含む寒天プレー
トとアンピシリン(20μg/ml)を含む寒
天プレートにそれぞれ対応させて塗抹し、
アンピシリンを含むプレートでのみ増殖し
たコロニーを選択する。得られたコロニー
数個について、「代謝」第17巻、第4「リバ
ーゼ」第81〜89頁(1980)に記載される方
法に従いプラスミドを調製する。得られた
プラスミドをpHBVと称す。このpHBV
を制限酵素XhoIで処理すると3.2kbの全
HBVDNAフラグメントが得られる。 (2) シヤトルベクターpAM82の調製 酵母S288CDNAバンクより得られた抑制性
酸性ホスフアターゼを構成する60000ダルトン
のポリペプチド(P60)の遺伝子を含む約8000
塩基対(8Kb)の制限酵素EcoRI断片を大腸菌
プラスミドpBR322のEcoRI部位に挿入して得
られるプラスミドを出発材料とし、これを制限
酵素SalIで切断し、さらにT4DNAリガーゼに
より再アニールさせてpBR322のSalI部位から
酸性ホスフアターゼ遺伝子断片の5.2Kb側を失
なつたプラスミドpAT25(これはpBR322のア
ンピシリン耐性遺伝子を含むEcoRI部位から
SalI部位までの約3.7Kbの断片と酵母の酸性ホ
スフアターゼ遺伝子のEcoRI部位からSalI部位
までの約2.8Kbの断片がそれぞれ対応する末端
同士で結合したプラスミドである)を得る。 つぎに、このpAT25のEcoRI部位に、プラ
スミドYRP7をEcoRI処理することによつて得
られるars1およびTrp1遺伝子を含む1.4Kbの
EcoRI断片を挿入してプラスミドpAT26を得
る(このars1−Trp1を含む断片は、そのTrp1
遺伝子内に制限酵素HindIIIの認識部位を1個
有する)。 上記pAT26のHindIII部位に、プラスミド
pSLE1をHindIIIで処理して得られる酵母の
Leu2および2μoriを含むHindIII断片を挿入し
てシヤトルベクターpAT77を得る。この
pAT77をサツカロミセス・セレビシエAH22に
組込んだもの(サツカロミセス・セレビシエ
AH22/pAT77)は微工研条寄第324号として
寄託している。 上記の方法で得られたpAT77(1μg)をSalI
で開裂したのち、20mMトリス−HCl(PH8.2)、
12mMCaCl2、12mMMgCl2、0.2MMaCl、
1mM EDTA溶液50μ中で0.1Uのエキソヌク
レアーゼBAL31を30秒〜1分間作用させる。
ついでフエノール抽出、エタノール沈殿を行な
つたのち、XhoIリンカー1pmolとT4DNAリガ
ーゼの反応条件で12時間結合を行なう。この反
応溶液で大腸菌x1776を形質転換し、得られた
アンピシリン耐性の形質転換体よりプラスミド
DNAを調製し、各DNAについてマキサムーギ
ルバートの方法(Maxam,A.&Gilbert,
W.;Pro.N.A.S.,74,560〜564を参照)に従
い、塩基配列を調べ、BAL31処理により除去
された酸性ホスフアターゼ遺伝子領域を決定す
る。これら中からホスフアターゼ構造遺伝子領
域が完全に除去されたプラスミドpAM82を得
る。 ホスフアターゼ構造遺伝子の産物P60の最初
のアミノ酸であるメチオニンをコードするコド
ンATGのAを+1として、pAM82は−33まで
除去されたものである。なお、このpAM82を
サツカロミセス・セレビシエAH22に組込んだ
もの(サツカロミセス・セレビシエAH22/
pAM82)は微工研条寄第313号として寄託して
いる。 (3) HBs遺伝子発現プラスミドpAH203の調製 プラスミドpHBVをXhoIで処理して得られ
るHBVDNAと、XhoIで開裂されたシヤトル
ベクターpAM82を分子比5:1cm2T4DNAリ
ガーゼによりアニールさせたのち、この反応溶
液で大腸菌x1776を形質転換する。得られたア
ンピシリン耐性の形質転換体よりプラスミド
DNAを調製し、これらについて制限酵素
XhoI、XbaI、HindIIIで分析することにより、
ベクターへのHBVDNAの組込みおよびその方
向を確認する。 選び出されたプラスミドpAH203はベクター
のホスフアターゼプロモーターの下流に
HBVDNAがHBs遺伝子、HBc遺伝子の順に
並ぶ向きに挿入されたものであり、これが
HBsAg遺伝子発現プラスミドである。 (4) 形質転換酵母の調製 酵母としてサツカロミセス・セレビシエ
AH22[a leu2 his4 Can1(Cir+)](微工研条
寄第312号)を用い、これをYPD培地(2%ポ
リペプトン、1%イーストエキス、2%グルコ
ース(100mlに接種し、30℃で一晩培養したの
ち、遠心して集菌する。滅菌水20mlにて菌体を
洗浄し、ついで1.2Mソルビトールおよび100μ
g/mlチモリアーゼ60000(生化学工業製)の溶
液5mlに懸濁させ、30℃で約30分間保ち、スフ
エロプラスト化する。ついで、スフエロプラス
トを1.2Mソルビトール溶液で3回洗浄したの
ち、2Mソルビトール、10mMCaCl2および
10mMトリス−HCl(PH7.5)の溶液0.6mlに懸濁
させ、その60μずつを小試験管に分注する。
これに前記(3)で調製した組換えプラスミド
pAH203溶液30μを加え、充分混合したのち、
さらに0.1MCaCl2(3μ)を加えて最終濃度
10mMCaCl2とし、室温に5〜10分間放置する。
ついでこれに、20%ポリエチレングリコール
4000、10mMCaCl2および10mMトリス−HCl
(PH7.5)溶液1mlずつを加えて混合し、室温に
約20分間放置する。この混合液0.2mlずつを45
℃に保温された再生培地(22%ソルビトール、
2%グルコース、0.7%イーストニトロゲンベ
ースアミノ酸、2%YPD、20μg/mlヒスチジ
ン、3%寒天)10mlに加え、軽く混合させ、予
め準備された1.2ソルビトール含有最小培地
(0.7%イーストニトロゲンベースアミノ酸、2
%グルコース、20μg/mlヒスチジン、2%寒
天)プレートに重層し、固化させたのち、20℃
で培養してロイシン非要求性酵母のコロニーを
得る。このコロニーを20μg/mlヒスチジンを
含むバルクホルダーミニマルメデイウム
〔Tohe,A.et al;t.Bachterol.,113,727〜
738(1973)を参照]にて培養して形質転換酵母
サツカロミセス・セレビシエpAH203を得る。 (5) 形質転換酵母の培養によるHBs抗原の産生 前記(4)で得られた形質転換酵母を、20μg/
mlヒスチジンを含むバルクホルダーミニマムメ
デイウム10mlに接種し、30℃で24時間培養を行
う。この培養物を、20μg/mlヒスチジンを含
むバルクホルダーミニマムメデイウム10に植
えつぎ、30℃で攪拌下、約48時間培養する。対
数増殖期にある菌体を遠心して集菌し、これを
リン酸を含まない最小培地(バルクホルターミ
ニマムメデイウムに含まれるKH2PO4をKClで
置換し、さらに20μg/mlヒスチジンを加えた
もの)10に菌数約4×106cells/mlになるよ
うに懸濁し。30℃にて攪拌不約24時間培養を続
けたのち、4000回転、10分間の遠心により菌体
を集めた菌体約120gを得る。 (6) HBs抗原精製標品の取得 前記(5)と同様の培養操作をくり返し実施して
蓄積した菌体約1Kgに、0.1Mリン酸緩衝液
(PH7.2)5を加え、これを600〜700Kg/cm2の
圧力でマントン・ゴーリン破砕機にかけ菌体を
破砕する。菌体破砕物を遠心にかけ、粗大菌体
破片を分離し、HBs抗原抽出液を得る。つぎ
にこの抽出液に酢酸(10%水溶液)を滴下し、
PHを5.2に調製する。4℃で30分間攪拌した後、
遠心により沈殿を除去する。 遠心上清にアンモニア水を加えて、PHを6.5
に保ちつつ、最終濃度2.5Mとなるように硫安
を徐々に加える。約30分放置後遠心により
HBs抗原を含有する沈殿を分離回収する。回
収した沈殿を、0.1Mリン酸緩衝液(PH7.2)約
300mlに懸濁させ、同緩衝液に対して透析する。 透析後、0.1Mリン酸カリウム緩衝液で約3
倍に希釈し、同緩衝液で平衡化しておいたハイ
ドロキシアパタイトカラム(ゲル量約1)に
通液し、HBs抗原を吸着させる。平衡化緩衝
液で充分に洗浄した後、約3の0.2Mリン酸
カリウム緩衝液(PH7.2)を通液し夾雑物を溶
出させる。次に約3の0.5Mリン酸カリウム
緩衝液でHBs抗原を溶出させる。HBs抗原を
含むフラクシヨンを、0.1Mリン酸カリウム緩
衝液に対して透析した後、同緩衝液で平衡化さ
れたハイドロキシアパタイトカラム(ゲル量約
500ml)に通液し、HBs抗原を吸着させた後、
約2の0.2→0.5M濃度勾配リン酸カリウム緩
衝液を通液し溶出を行い、HBs抗原を含むフ
ラクシヨンを分取する。 得られたHBs抗原含有フラクシヨン約1000
mlを0.01Mリン酸緩衝液に透析後、フオローフ
オイバー限外過器(旭化成製ミニモジユー
ル)にて100mlに濃縮する。 次に日立RP−42用超遠心チユーブに、50%
蔗糖溶液、20%蔗糖溶液、HBs抗原含有液を
重層し、27000rpm、4℃で16時間超遠心を行
い、HBs抗原を蔗糖液層界面に濃縮・精製す
る。 得られた精製HBs抗原含有画分を0.14M.塩
化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析し
た後、塩化セシウムを1.2g/mlの濃度となる
ように加えて、日立RP−42超遠心機で、
25000rpm、10℃で60時間超遠心し濃縮・精製
する。HBs抗原含有画分を0.14M塩化ナトリウ
ム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析した後、旭化
成ミニモジユールを用いて濃縮し、0.14M塩化
ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析後、
除菌過して、HBs抗原蛋白濃度106μg/ml
であるHBs抗原精製標品液12mlを得る。 得られたHBs抗原精製標品は、SDSポリア
クリルアミド電気泳動分析において分子量約
25000の単一バンドを示し、抗組換え体由来
HBs抗原精製標品モルモツト抗体及び抗ヒト
由来HBs抗原精製標品モルモツト抗体を用い
た免疫拡散法によるヒト由来HBs抗原精製標
品との比較分析において、両HBs抗原精製標
品は抗原性が全く一致する。 参考例 2 組換え動物細胞由来HBs抗原の精製標品の調
製 野崎らの方法(特願昭57−145092号)に従い、
組換え動物細胞にHBs抗原を産生させ、これを
精製して精製標品を調製する。 (1) HBVDNABamHlフラグメントの調製 前記参考例1、(1)で調製されたプラスミド
pHBVを、常法によりBamHIで処理し、その
反応液を0.75%アガロースゲル電気泳動にかけ
てHBVDNABamHIフラグメントを調製する。 (2) ベクタKg(pXRIIG BamHIフラグメント)
の調製 米国ハーバード大学から入手したシヤトルベ
クターpXRIIG 1μgを、10mMトリス−HCl
(PH8.0)、7mMMgCl2、100mM NaClおよび
2mM2−メルカプトエタノールの混合液20μ
中に加え、これに制限酵素BamHI1単位(1単
位は1時間にAλ−DNA1μgを完全に分解する
酵素活性)を加え、これを30℃で1時間反応さ
せる。この処理液をフエノールで抽出し、水層
をエーテルで抽出し、ついでエタノールで沈殿
させ、その沈査を水に溶解させる。この水溶液
を組換えDNAの調製に用いる。 (3) HBVDNA−pXRIIG組換えDNAの調製 HBVDNABamHIフラグメント150ngおよび
pXRIIGBamHIフラグメント50ngを含む反応
溶液50μをT4DNAリガーゼにより16℃で4
時間反応させる。 得られた反応液を用いて大腸菌x1776を前記
と同様の方法にて形質転換させ、その形質転換
体の中から前記参考例1,(1)(B)に記載の方法と
同様にしてL−寒天プレート上で12時間培養
後、寒天培地に出現したコロニーを各々テトラ
サイクリン(Tc)(10μg/ml)含有の寒天培
地とアンピシリン(Ap)(40μg/ml)含有培
地に移す。Tc含有培地で成育不能でかつAp含
有培地で成育可能なコロニー(クローン)を選
択し、これらのクローンを各々Apを含む前記
の大腸菌x1776培養液にて培養後、前記の方法
によりプラスミドを抽出し、種々の制限酵素
(BamHI、XhoI、HindIII、SalI)にてその切
断パターンを分析することにより、これらのプ
ラスミドのなかから、pXRIIG1個に対し
HBVDNA3個挿入されたpSHB3を得る。 (4) マウスLTK-細胞の形質転換 下記のA液およびB液を調製する。 A液:50mMヘペス(N−2−ヒドロキシエチ
ルピペラジン−N−2−エタンスルホン酸)、
280mM NaCl、15mM Na2HPO4・12H2O
からなる溶液1.25ml(PH7.1) B液:50μgpSHB3、2.5μgpTKおよび50μg
さけ精子DNA(キヤリアーDNA)からなる
DNA溶液1.1mlと2MCaCl20.15mlの混合液 上記A液にB液を攪拌しながらゆつくり滴下
し、室温で30分間放置する。充分ピペツテイン
グしたのち、その混合液0.5mlをマウスLTK-
細胞の単一層(約105cells/フラスコ)に適下
する。このまま室温にて30分間細胞に吸着させ
たのち、10%牛血清を含むダルベツコ改良イー
グル培地(Dulbecco′s modified Eagle′s
medium、以下DMEMと略す)(Dulbecco,R.
&Freeman,G.;Virologv,8,396,1959)
5mlを添加し、5%CO2、37℃で約5時間培養
する。DMEMを交換後、さらに約24時間培養
し、ついでヒポキサンチン15μg/ml、アミノ
プリテン1μg/mlおよびチミジン5μg/mlを
含む培地(以下、HAT培地という)
[Littlefield;J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,72,
3961−3965(1963)]に交換する。2〜3日毎に
HAT培地を交換して培養を続ける。4週間後
に出現してくるTK+になつた細胞の集落を分
離して形質転換細胞を得る。 (5) 形質転換動物細胞によるHBs抗原を産生 上記(4)で得られた形質転換マウスL細胞を10
%牛血清およびペニシリン(250ユニツト/
ml)、ストレプトマイシン(0.2μg/mlを含む
むDMEM培地に植えつぎ、37℃で1週間静地
培養する。培養上清中には約400μg/mlの濃
度でHBs抗原が含まれる。 (6) 形質転換動物細胞由来HBs抗原の精製 上記(5)と同様の培養操作をくり返し実施して
蓄積上清液10を、フオローフアイバー限外
過器(旭化成製)にて1000mlに濃縮する。この
液にアンモニア水を加えてPHを6.5に保ちつつ、
最終濃度2.5Mとなるように硫安を徐々に加え
る。約30分放置後遠心によりHBs抗原を含有
する沈殿を分離回収する。回収した沈殿を、
0.14M塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液
(PH7.2)100mlに溶解させ、同緩衝液に対して
透析する。透析後、同緩衝液で平衡化されたセ
フアロースCL6B(フアルマシア社製)充填カ
ラム(ゲル体積2)に通液し、ゲル過クロ
マトグラフイーにかける。HBs抗原を含むフ
ラクシヨン(紫外吸収モニターによる分析で、
ボイド量に相当する溶出量から始まる最初のピ
ーク画分)を分取し、これをプールする。この
プール画分を0.1Mリン酸カリウム緩衝液(PH
7.2)に対して透析後、同緩衝液で平衡化して
おいたハイドロキシアパタイトカラム(ゲル量
約250ml)に通液し、HBs抗原を吸着させる。
平衡化緩衝液で夾雑物を洗浄した後、0.5Mリ
ン酸カリウム緩衝液HBs抗原を溶出させる。
HBs抗原含有フラクシヨン約250mlを0.01Mリ
ン酸緩衝液(PH6.2)に透析後、フオローフア
イバー限外過器を用いて50mlに濃縮する。次
に日立RP−42用超遠心チユーブに50%蔗糖溶
液、20%蔗糖溶液、HBs抗原含有液を重層し、
27000rpm、4℃で16時間超遠心を行い、HBs
抗原を蔗糖液界面に濃縮・精製する。これを分
画し、HBs抗原精製画分を0.14M塩化ナトリウ
ム添加0.01Mリン酸緩衝液に透析し、旭化成製
ミニモジユール限外過器で濃縮後、除菌過
して、HBs抗原蛋白濃度98μg/mlであるHBs
抗原精製標品液14mlを得る。 実施例 1 参考例1に記したのと同様の方法によつて得ら
れた組換え体由来HBs抗原精製品液(HBs抗原
蛋白濃度86μg/ml)に、HBs抗原に対し水酸化
アルミニウム量が8重量倍となるように、水酸化
アルミニウム懸濁液(10mg/ml懸濁液)を加え
る。これを遠心分離にかけ、上清を除去して
HBs抗原吸着アルミニウムゲルを得る。 また別に、水酸化アルミニウムゲルの場合と同
様にして、HBs抗原吸着リン酸アルミニウムゲ
ルを得る。 これらのHBs抗原吸着アルミニウムゲルに、
安定化剤を第1表に記した組成で含有する0.14M
塩化ナトリウム添加0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)
を加えて、HBs抗原蛋白濃度が40μg/mlになる
様に調製し、各ワクチン液を調製する。これらの
ワクチン液1mlを各々2mlバイアルに入れ、−50
℃、常圧にて6時間予備凍結後、圧力を0.4Torr
に下げ、5℃にて15分間1次乾燥し、ついで30℃
にて圧力0.4Torrで8時間2次乾燥して、所望の
凍結乾燥品を得る。 これらの凍結乾燥試料No.1〜No.11に各々2mlの
注射用生理食塩水を加え、さらにクエン酸ナトリ
ウムを加えてアルミニウムゲルを完全に溶解し
た。この溶解液中のHBs抗原の力価(抗HBs抗
体の結合価)をラジオイムノアツセイ法(ダイナ
ボツト社:オースリアII HBs抗原測定キツト)
により測定し、凍結乾燥前の対照品の力価(アル
ミニウムゲルをクエン酸ナトリウム添加により溶
解して測定)と比較した。結果を第2表に示す。
【表】
【表】
【表】
実施例 2
参考例1に記したのと同様の方法によつて得ら
れた組換え体由来HBs抗原精製標品液(HBs抗
原蛋白濃度96μg/ml)120mlに、塩化アルミニ
ウム60mgを含有する水溶液5ml加を加え混合す
る。この液に1N−NaOHを加えPHを6.1に調整す
る。これを遠心分離にかけ、上清を除去して
HBs抗原吸着アルミニウムゲルを得る。このア
ルミニウムゲルにラクトース10w/v%、−グ
ルタミン酸1ナトリウム0.4w/v%、アルギニ
ン0.4w/v%、ゼラチン0.08w/v%、チメロサ
ール0.005w/v%の濃度で含有する0.14M塩化ナ
トリウム添加0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)72ml
を加えて混合する。 このワクチン液を2mlバイアルに0.5mlずつ分
注し、実施例1と同様にして凍結乾燥を行う。 この凍結乾燥ワクチンをモルモツを用いて原液
との免疫原性を比較した。HBsAg量0.5μg、1μ
g、2μgの接種量で5匹ずつのモルモツト背部
皮下に注射した。5週間後採血し、その血漿につ
いて、抗HBs抗体価をラジオイムノアツセイ法
(ダイナボツト社:オーサブHBs抗体測定キツ
ト)を用いて測定した。同様の方法で原液接種の
場合の抗体価を、対照として測定した。その結果
を第3表に示す。
れた組換え体由来HBs抗原精製標品液(HBs抗
原蛋白濃度96μg/ml)120mlに、塩化アルミニ
ウム60mgを含有する水溶液5ml加を加え混合す
る。この液に1N−NaOHを加えPHを6.1に調整す
る。これを遠心分離にかけ、上清を除去して
HBs抗原吸着アルミニウムゲルを得る。このア
ルミニウムゲルにラクトース10w/v%、−グ
ルタミン酸1ナトリウム0.4w/v%、アルギニ
ン0.4w/v%、ゼラチン0.08w/v%、チメロサ
ール0.005w/v%の濃度で含有する0.14M塩化ナ
トリウム添加0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)72ml
を加えて混合する。 このワクチン液を2mlバイアルに0.5mlずつ分
注し、実施例1と同様にして凍結乾燥を行う。 この凍結乾燥ワクチンをモルモツを用いて原液
との免疫原性を比較した。HBsAg量0.5μg、1μ
g、2μgの接種量で5匹ずつのモルモツト背部
皮下に注射した。5週間後採血し、その血漿につ
いて、抗HBs抗体価をラジオイムノアツセイ法
(ダイナボツト社:オーサブHBs抗体測定キツ
ト)を用いて測定した。同様の方法で原液接種の
場合の抗体価を、対照として測定した。その結果
を第3表に示す。
【表】
つぎにこの凍結乾燥ワクチンを用いて保存安定
性試験を実施した。 設定温度において所定期間保存したサンプル
に、クエン酸ナトリウムを加えてアルミニウムゲ
ルを溶解後、抗原力価をラジオイムノアツセイ法
により測定した。 HBs抗原標準品(ヒト由来HBs抗原精製標品
に安定化剤としてヒトアルブミンを加え、分注後
−80℃で凍結保存したもの。測定時1サンプルを
解凍し、対照標準品として用いる)の抗原価を1
としたときの凍結乾燥品の抗原力価の相対値を算
出し、凍結乾燥時のこの値を1としたときの各サ
ンプルの値の相対値を第4表に記す。 保存開始半年後において、37℃保存においても
安定であり、液状ワクチン(比較例1参照)との
差は著明である。 37℃、25週保存サンプルについてモルモツトを
用いた異常毒性試験を実施したが、何ら異常所見
を認めなかつた。
性試験を実施した。 設定温度において所定期間保存したサンプル
に、クエン酸ナトリウムを加えてアルミニウムゲ
ルを溶解後、抗原力価をラジオイムノアツセイ法
により測定した。 HBs抗原標準品(ヒト由来HBs抗原精製標品
に安定化剤としてヒトアルブミンを加え、分注後
−80℃で凍結保存したもの。測定時1サンプルを
解凍し、対照標準品として用いる)の抗原価を1
としたときの凍結乾燥品の抗原力価の相対値を算
出し、凍結乾燥時のこの値を1としたときの各サ
ンプルの値の相対値を第4表に記す。 保存開始半年後において、37℃保存においても
安定であり、液状ワクチン(比較例1参照)との
差は著明である。 37℃、25週保存サンプルについてモルモツトを
用いた異常毒性試験を実施したが、何ら異常所見
を認めなかつた。
【表】
比較例 1
実施例2で用いたものと同一の組換え体由来
HBs抗原精製標品液(HBs抗原蛋白質濃度96μ
g/ml)50mlに、水酸化アルミニウムゲル29mgを
含有する懸濁液2.9mgを加える。これを遠心分離
にかけ、上清を除去しHBs抗原吸着アルミニウ
ムゲル得る。このゲルにチメロサールを50μg/
mlの濃度で含有する0.14M塩化ナトリウム添加
0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)60mlを加えて混合
する。このワクチン液を2mlバイアルに1mlずつ
分注し、液状製剤ワクチンを調製する。このもの
について実施例2と同様の方法で保存安定性を実
施した。その結果を第5表に示す。 また、実施例2で調製した凍結乾燥用ワクチン
液を、凍結乾燥せずに液状のままで37℃における
舗存安定性試験を実施した。の結果を第6表に示
す。
HBs抗原精製標品液(HBs抗原蛋白質濃度96μ
g/ml)50mlに、水酸化アルミニウムゲル29mgを
含有する懸濁液2.9mgを加える。これを遠心分離
にかけ、上清を除去しHBs抗原吸着アルミニウ
ムゲル得る。このゲルにチメロサールを50μg/
mlの濃度で含有する0.14M塩化ナトリウム添加
0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)60mlを加えて混合
する。このワクチン液を2mlバイアルに1mlずつ
分注し、液状製剤ワクチンを調製する。このもの
について実施例2と同様の方法で保存安定性を実
施した。その結果を第5表に示す。 また、実施例2で調製した凍結乾燥用ワクチン
液を、凍結乾燥せずに液状のままで37℃における
舗存安定性試験を実施した。の結果を第6表に示
す。
【表】
【表】
実施例 3
参考例2に記したのと同様の方法によつて得ら
れた組換え体由来HBs抗原精製標品液(HBs抗
原蛋白質濃度105μg/ml)80mlに、水酸化アル
ミニウムゲル50mgを含有する懸濁液5mlを加え
る。これを遠心分離にかけ、上清を除去しHBs
抗原吸着アルミニウムゲルを得る。このHBs抗
原吸着アルミニウムゲルに、ラクトース10w/v
%、グリシン1w/v%、ゼラチン0.05%、チメ
ロサール0.005w/v%含有する0.14M塩化ナトリ
ウム添加0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)105mlを加
えて混合する。 このワクチン液を2mlバイアルに1mlずつ分注
し、実施例1と同様にして凍結乾燥を行つた。凍
結乾燥品について実施例2の同様の方法で保存安
定性試験を実施した。その結果を第7表に示す。
れた組換え体由来HBs抗原精製標品液(HBs抗
原蛋白質濃度105μg/ml)80mlに、水酸化アル
ミニウムゲル50mgを含有する懸濁液5mlを加え
る。これを遠心分離にかけ、上清を除去しHBs
抗原吸着アルミニウムゲルを得る。このHBs抗
原吸着アルミニウムゲルに、ラクトース10w/v
%、グリシン1w/v%、ゼラチン0.05%、チメ
ロサール0.005w/v%含有する0.14M塩化ナトリ
ウム添加0.01Mリン酸緩衝液(PH6.0)105mlを加
えて混合する。 このワクチン液を2mlバイアルに1mlずつ分注
し、実施例1と同様にして凍結乾燥を行つた。凍
結乾燥品について実施例2の同様の方法で保存安
定性試験を実施した。その結果を第7表に示す。
【表】
本実験における、37℃、25周保存サンプルを用
いて異常毒性否定試験(前出)を実施したが、何
ら異常所見を認めなかつた。
いて異常毒性否定試験(前出)を実施したが、何
ら異常所見を認めなかつた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 組換えDNA手法により形質転換されたHBs
抗原産生能を付与された組換え体によつて発現生
成されるHBs抗原の精製標品に、アルミニウム
ゲルおよび安定化剤を添加し、凍結乾燥して得ら
れるB型肝炎ワクチンの凍結乾燥製剤。 2 アルミニウムゲルが水酸化アルミニウムゲル
またはリン酸アルミニウムゲルである特許請求の
範囲第1項記載の製剤。 3 安定化剤として、アミノ酸またはその塩およ
び糖類を添加する、特許請求の範囲第1項記載の
製剤。 4 安定化剤として、アミノ酸またはその塩、糖
類および膠質剤を添加する特許請求の範囲第1項
記載の製剤。 5 アミノ酸またはその塩グリシン、アラニン、
グルタミン酸1ナトリウム、アルギニンおよびリ
ジンから選ばれる少なくとも1種である特許請求
の範囲第2項または第第3項記載の製剤。 6 糖類が、グルコース、キシロース、ガラクト
ース、フラクトース、ラクトース、マルトース、
サツカロース、マンニツト、ソルビツトおよびキ
シリツトから選ばれる少なくとも1種である特許
請求の範囲第2項または第3項記載の製剤。 7 膠質剤が、ゼラチン、人アルブミンまたはデ
キストランである特許請求の範囲第4項記載の製
剤。
Priority Applications (9)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP59048669A JPS60193925A (ja) | 1984-03-13 | 1984-03-13 | 凍結乾燥製剤化ワクチン |
| US06/709,705 US4710378A (en) | 1984-03-13 | 1985-03-08 | Lyophilized hepatitis B vaccine |
| EP85102824A EP0156242B1 (en) | 1984-03-13 | 1985-03-12 | Lyophilized hepatitis b vaccine |
| AT85102824T ATE74012T1 (de) | 1984-03-13 | 1985-03-12 | Lyophilisierte hepatitis-b-vakzine. |
| DE8585102824T DE3585696D1 (de) | 1984-03-13 | 1985-03-12 | Lyophilisierte hepatitis-b-vakzine. |
| KR1019850001616A KR930002263B1 (ko) | 1984-03-13 | 1985-03-13 | 동결건조된 b형간염 백신의 제조방법 |
| AU39822/85A AU576223B2 (en) | 1984-03-13 | 1985-03-13 | Lyophilized hepatitis b vaccine |
| CA000476414A CA1240265A (en) | 1984-03-13 | 1985-03-13 | Lyophilized hepatitis b vaccine |
| CN85101017A CN1008145B (zh) | 1984-03-13 | 1985-04-01 | 冻干的b型肝炎疫苗 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP59048669A JPS60193925A (ja) | 1984-03-13 | 1984-03-13 | 凍結乾燥製剤化ワクチン |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60193925A JPS60193925A (ja) | 1985-10-02 |
| JPH0439445B2 true JPH0439445B2 (ja) | 1992-06-29 |
Family
ID=12809733
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP59048669A Granted JPS60193925A (ja) | 1984-03-13 | 1984-03-13 | 凍結乾燥製剤化ワクチン |
Country Status (8)
| Country | Link |
|---|---|
| US (1) | US4710378A (ja) |
| EP (1) | EP0156242B1 (ja) |
| JP (1) | JPS60193925A (ja) |
| KR (1) | KR930002263B1 (ja) |
| AT (1) | ATE74012T1 (ja) |
| AU (1) | AU576223B2 (ja) |
| CA (1) | CA1240265A (ja) |
| DE (1) | DE3585696D1 (ja) |
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|---|---|---|---|---|
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