JPH0440447B2 - - Google Patents
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- JPH0440447B2 JPH0440447B2 JP59218663A JP21866384A JPH0440447B2 JP H0440447 B2 JPH0440447 B2 JP H0440447B2 JP 59218663 A JP59218663 A JP 59218663A JP 21866384 A JP21866384 A JP 21866384A JP H0440447 B2 JPH0440447 B2 JP H0440447B2
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Description
a 産業上の利用分野
本発明は、ポリエステル繊維およびその製造
法、更に詳細には互いに連結した峯部と独立した
谷部とよりなる繊維表面構造を有し、織編物とし
た際に優れた不透明性を呈するポリエステル繊維
およびその製造法に関する。 b 従来技術 ポリエステル繊維は多くの優れた特性を有する
ために合成繊維として広く使用されている。しか
しながら、ポリエステル繊維は木綿や羊毛の如き
天然繊維に比較して不透明性の点で著しく劣るた
め、不透明性を要求される分野での使用が制限さ
れている。特に、ポリエステル長繊維を使用した
白色薄地布帛の商品分野において、木綿や羊毛等
に較べて不透明感が少なく、このことがこの分野
への使用の大きな障害になつている。 従来よりこの問題を改良すべく、ポリエステル
に酸化チタン微粒子等の艶消剤を添加する方法が
採られている。酸化チタンは白色顔料の中で最も
高い屈折率をもつているため(アナターゼ型
TiO2の屈折率2.52、ルチル型TiO2の屈折率2.76)
隠蔽力が最も大きく、このことがポリエステル繊
維の艶消剤として酸化チタンが広く用いられてい
る理由である。ポリエステル繊維中に含有される
艶消剤としての酸化チタンの含有量は、通常セミ
ダル銘柄において0.3〜0.5重量%、フルダル銘柄
において2.0〜3.0重量%であり、酸化チタン含有
量の増大に伴つてポリエステル繊維の不透明性は
増大してゆくが、フルダル銘柄をもつてしてもそ
の不透明性レベルは木綿や羊毛のそれに比較して
著しく劣るのが現状である。 ポリエステル繊維中の酸化チタン含有量を3.0
重量%を超えて更に増やしても、ポリエステル繊
維の不透明性は最早著しい増大を示さず、かえつ
てポリエステル繊維に黄ばみが生じたり、糸物性
が不良となる等品質上の問題を生じる。しかも、
ポリマー中のTiO2二次凝集粒子の発生が促進さ
れるため、紡糸時のバツク圧上昇が著しく大きく
なり、糸切れが多発する等工程通過性が極端に悪
化する。 一方、有機スルホン酸塩を配合せしめた制電性
ポリエステル繊維(英国特許第1269740号明細書)
や有機スルホン酸塩を配合したポリエステル繊維
をアルカリ処理することによつて繊維の表面や内
部に筋状空〓部を多数形成せしめたポリエステル
異形断面繊維(特開昭56−144237号公報、特開昭
56−148940号公報)はダル化した外観を呈するこ
とが知られている。しかしながら、これらの繊維
の不透明化効果は不充分である上、繊維の力学的
特性やフイブリル化の点で問題を生じ易いため、
繊維中の有機スルホン酸塩量や筋状空〓部の存在
量を無暗に増やすことができず、不透明化の到達
レベルにはおのずから限界がある。 他方、繊維軸に対して直角方向に配向した横長
の溝を有するポリエステル繊維およびその製造法
が種々提案されており、例えば 紡糸工程で油剤を付与したポリエステル未延
伸糸をエージングして油剤成分の浸透したスキ
ン部と油剤成分の浸透していないコア部とから
なる未延伸糸となし、この未延伸糸を延伸同時
仮撚して繊維表面に多数のクラツクを発生させ
る方法(特開昭50−112516号公報)。 繊維軸に対して直角方向にクラツクを有する
ポリエステル繊維を、酸性またはアルカリ性の
水溶液中で熱処理する抗ピル繊維の製造法(特
開昭54−64127号公報、特開昭54−64128号公
報)。 アミンに対する抵抗性の異なる2種類のポリ
エステルよりなる複合繊維をアミン処理するこ
とによつて、抵抗性の小さいポリエステルの表
面に繊維軸に略直角な方向のグループを生じさ
せたポリエステル複合繊維(特開昭57−154413
号公報、特開昭57−154414号公報)。 ポリエステル未延伸繊維を加熱水蒸気の存在
下で延伸し、次いでアルカリ処理することによ
り、繊維表面に直径0.1μ以上の細孔をハニカム
状に形成させたポリエステル繊維(特開昭58−
4815号公報)。 ポリエステル未延伸繊維を加熱水蒸気の存在
下で延伸し、次いでアミン化合物で処理した後
アルカリ処理することによつて、繊維長面の円
周方向に繊維長さ5μ当り1〜20個の環状溝を
形成させたポリエステル繊維(特開昭58−4816
号公報)。 高分子量のポリエーテル等の特定の有機改質
剤をポリエステル未延伸糸に付与し、延伸同時
仮撚を施すことによつて繊維軸にほゞ直角な方
向に多数の皺状隆起および多数のクラツクを発
生させる方法(特開昭58−8144号公報)。 5−ナトリウムスルホイソフタル酸を4〜6
モル%共重量ポリエステル繊維にアルカリ処理
(浸漬、パツド・スチーム、バツド・バツチ)
を施すことによつて、繊維表面に外周の少なく
とも1/3の長さのリング状侵蝕部を形成させた
ポリエステル繊維(特開昭58−169512号公報)。 ポリエステル繊維のアルカリ減量処理時にキ
ヤリヤーを添加することによつて、形成せしめ
た繊維表面10μ2当り5〜100個の繊維軸方向に
対して横長で長さ0.1〜2μ、幅0.01〜0.4μ、深さ
0.1〜0.6μの不連続凹部を形成させた深色化ポ
リエステル繊維(特開昭59−21715号公報)。 等を例示することができる。 しかしながら、これらの繊維も、その目的・効
果とするところは抗ピル性の付与、天然繊維ライ
クな風合の付与、易染性の付与または染色した際
の発色性の改善にあり、不透明性に関してはほと
んど改良されないか、若しくは改良されたとして
もその度合は小さい。 以上説明したように従来技術によつて製造され
るポリエステル繊維の不透明性は不充分であり、
木綿や羊毛に匹敵するような高度の不透明性を呈
するポリエステル繊維はこれまでまつたく得られ
ていなかつた。 c 発明の目的 本発明者は、長繊維薄地布帛とした際に、木綿
や羊毛に匹敵する白度と不透明感を呈するポリエ
ステル繊維を提供せんとして鋭意検討を重ねた結
果、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分の特
定量を共重合させた共重合ポリエステルの特定量
を分散含有するポリエステルを鞘成分とし、通常
ポリエステルを芯成分とする複合繊維が、アルカ
リ減量処理によつて著しく不透明化することを知
つた。そしてこのようにして得られたポリエステ
ル繊維の構造について種々検討した結果、かかる
ポリエステル繊維が互いに連結した峯部と独立し
た谷部とかなる特殊な繊維表面構造を有し、前述
した先行技術による繊維軸に対して直角方向に配
向した横長の溝を有するポリエステル繊維〜
のいずれとも異なる構造であることがわかつた。
かかる特殊な繊維表面構造が何故不透明感の飛躍
的な増大をもたらすのかその理由は明らかではな
いが、互いに連結した峯部の存在によつて、谷部
の形状および間隔がランダムとなるため。各波長
の可視光がランダムな方向に効率的に散乱される
ためと考えられる。また、繊維の強度、摩擦耐久
性等の力学的特性についても、従来の環状溝構造
のポリエステル繊維に比較して、かかる互いに連
結した峯部を有するポリエステル繊維にあつては
著しく好ましい方向にあることを知つた。 本発明者はこれらの知見に基づいて、かかる繊
維表面構造と布帛の不透明感との関係について更
に詳しく検討を進めた結果、前記した峯部と谷部
の大きさと数を特定の範囲にコントロールするこ
とによつて、布帛の不透明感が更に格段に優れた
ものとなり、木綿や羊毛に匹敵する白色不透明布
帛を与えることができ、上記目的を達成し得るこ
とを知つた。本発明はこれらの知見に基づいて更
に重ねて検討した結果完成したものである。 d 発明の構成 即ち、本発明は5−アルカリ金属スルホイソフ
タル酸成分を0〜5モル%構成単位として含むポ
リエステル100重量部と5−アルカリ金属スルホ
イソフタル酸成分を6〜20モル%共重合させた共
重合ポリエステル20〜400重量部との混合物を鞘
成分とし、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸
成分を0〜5モル%構成単位として含むポリエス
テルを芯成分とするポリエステル複合繊維をアル
カリ化合物の水溶液で処理して、その2重量%以
上を溶出することによつて得られるポリエステル
繊維であつて、繊維軸方向に対して略直角に峯部
と谷部が存在し、峯部と繊維軸方向に該峯部と隣
接する峯部が連結され、峯部の厚さが0.1〜2μを
満足する峯部の数が繊維軸方向10μ当り3〜50個
の範囲にあり、繊維軸方向における各谷部の最大
幅が0.1〜2μで且つ繊維軸に対して直交する外周
方向の谷部の長さが2〜20μを満足する谷部の繊
維表面における面積の合計が見掛けの繊維表面積
に対して20〜95%の範囲にあつて且つ谷部の形状
および間隔がランダムである谷部と前記峯部とが
繊維軸方向に交互に連続して存在している鞘部表
面を有する芯鞘型複合繊維であることを特徴とす
るポリエステル繊維に係るものである。 本発明のポリエステル繊維を添付の写真により
説明する。第1図は本発明のポリエステル繊維の
表面を2900倍に拡大した電子顕微鏡写真である。
この写真より明らかなように、本発明のポリエス
テル繊維には繊維軸方向に対して略直角に峯部と
谷部が存在し、峯部と繊維軸方向に該峯部と隣接
する峯部が連結されている。 本発明者の数多くの検討結果の知見によれば、
本発明のポリエステル繊維では峯部の厚さが0.1
〜2μを満足する峯部の数が繊維軸方向10μ当り3
〜50個の範囲でなければならない。この峯部の厚
さが2μを超えるかまたは0.1μ未満である場合に
は、布帛に実質的に不透明感を付与することはで
きない。また、峯部の厚さが0.1〜2μを満足する
峯部の数が3個未満であるかまたは50個を超える
場合には、布帛の不透明性が不充分となる。 本発明のポリエステル繊維にあつては、繊維軸
方向における各谷部の最大幅が0.1〜2μで且つ繊
維軸に対して直交する外周方向の谷部の長さが2
〜20μを満足する谷部の繊維表面における面積の
合計が見掛けの繊維表面積に対して20〜95%の範
囲でなければならない。この谷部の幅が0.1μ未満
であるかまたは2μを超える場合には、布帛に実
質的に不透明感を与えることはできない。また、
谷部の長さが2μ未満である場合には、布帛の不
透明性が不充分となり、逆にこの谷部の長さが
20μを超えると、布帛の不透明性が不充分となる
ばかりでなく繊維の強度等の力学的性質が劣るよ
うになる。更に、谷部の幅が0.1〜2μで且つ谷部
の長さが2〜20μを満足する谷部の繊維表面にお
ける面積の合計が見掛けの繊維表面積に対して占
める割合が、20%未満であるか、または95%を超
える場合には、布帛の不透明感が不充分になる。
この割合の特に好ましい範囲は30〜80%である。 上記した峯部の厚さおよび数並びに谷部の幅、
長さおよび占有面積割合は、繊維表面を3000倍程
度に拡大した電子顕微鏡写真から求めることがで
きる。なお、ここでいう見掛けの繊維表面積と
は、谷部が峯部の高さまで埋められた場合を想像
した時の仮想上の繊維表面積を意味する。 更に、本発明のポリエステル繊維においては、
前記した谷部の形状および間隔はランダムであ
る。谷部の形状および間隔がランダムではなく、
実質的に単一で規則的な場合には充分な不透明化
効果が得られない。 本発明のポリエステル繊維の横断面における外
形は円形であつても異形であつても中空繊維であ
つても中実繊維であつてもよい。ポリエステル繊
維が中空繊維である場合、その横断面における中
空部の形状は円形であつても異形であつてもよ
く、中空部の数は1であつても2以上あつてもよ
い。繊度についても特に限定する必要がない。 本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を
主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコー
ル、好ましくはエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコールから選
ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルを主た
る対象とする。 また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性
カルボン酸成分で置換えたポリエステルであつて
もよく、および/またはグリコール成分の一部を
主成分以外の上記グリコール、もしくは他のジオ
ール成分で置換えたポリエステルであつてもよ
い。 ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性
カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフ
タリンジカルボン酸、ジフエニルジカルボン酸、
ジフエノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキ
シエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セ
バシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボ
ン酸をあげることができる。また、上記グリコー
ル以外のジオール化合物としては例えばシクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグ
リコール、ビスフエノールA、ビスフエノールS
の如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物
およびポリオキシアルキレングリコール等をあげ
ることができる。 更にポリエステルが実質的に線状である範囲で
トリメリツト酸、ピロメリツト酸の如きポリカル
ボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトールの如きポリオールを使用す
ることができる。 かかるポリエステルは任意の方法によつて合成
したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレ
ートについて説明すれば、通常、テレフタル酸と
エチレングリコールとを直接エステル化反応させ
るか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸
の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか、またはテレフタル
酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテ
レフタル酸のグリコールエステルおよび/または
その低重合体を生成させる第1段階の反応と、第
1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合
度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応に
よつて製造される。 本発明のポリエステル繊維を製造する方法は、
種々あるが、例えば全酸成分に対して0〜5モル
%の5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分を
構成単位として含むポリエステル100重量部と全
酸成分に対して6〜20モル%の5−アルカリ金属
スルホイソフタル酸成分を共重合させた共重合ポ
リエステル20〜400重量部との混合物を鞘成分と
し、全酸成分に対して0〜5モル%の5−アルカ
リ金属スルホイソフタル酸成分を構成単位として
含むポリエステルを芯成分とするポリエステル複
合繊維をアルカリ化合物の水溶液で処理してその
2重量%以上を溶出することによつて容易に製造
することができる。 上記5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分
として用いられる化合物の内で特に好ましい具体
例としては、3,5−ジ(カルボメトキシ)ベン
ゼンスルホン酸ナトリウム(またはカリウムもし
くはリチウム)、3,5−ジ(β−ヒドロキシエ
トキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム(またはカリウムもしくはリチウム)、3,5
−ジ(β−ヒドロキシブトキシカルボニル)ベン
ゼンスルホン酸ナトリウム(またはカリウムもし
くはリチウム)等をあげることができる。 かかる5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成
分を共重合した共重合ポリエステルを製造するに
は、前述したポリエステルの合成が完了する以前
の任意の段階で、好ましくは第1段階の反応が終
了する以前の任意の段階で上記した5−アルカリ
金属スルホイソフタル酸化合物を添加すればよ
い。この際、エーテル形成抑制剤として酢酸ナト
リウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸
塩を併用するのが好ましく行なわれる。 前記した複合繊維の鞘成分を構成する混合物の
一方成分であるポリエステル中の構成単位として
の5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分の含
有量は、該ポリエステルを構成する全酸成分に対
して0〜5モル%の範囲である。この含有量が5
モル%を超えると、他の条件をいくら変えても、
繊維表面に形成される峯部および谷部の大きさが
粗大になりすぎて本発明の繊維表面構造が得られ
ず、充分な不透明化効果が奏されなくなる。以下
この成分をポリエステルAと言う。 複合繊維の鞘成分を構成する混合物の他方成分
である共重合ポリエステル中の5−アルカリ金属
スルホイソフタル酸成分の共重合量は、該共重合
ポリエステルを構成する全酸成分に対して6〜20
モル%の範囲であり、なかでも6〜14モル%の範
囲が特に好ましい。この共重合量が6モル%未満
であるときには、他の条件をいくら変えても本発
明で特定する峯部と谷部とからなる繊維表面構造
を形成することができず、逆に共重合量が20モル
%を超えるときには、峯部の厚さおよび谷部の
幅・長さが長大化するようになつて本発明を満足
する繊維表面構造が得られず、いずれの場合も充
分な不透明化効果が得られなくなる。以下この成
分を共重合ポリエステルBと言う。 複合繊維の鞘成分を構成する混合物中の上記ポ
リエステルAと共重合ポリエステルBとの混合割
合は、ポリエステルA100重量部に対して共重合
ポリエステルB20〜400重量部の範囲であり、な
かでもポリエステルA100重量部に対して共重合
ポリエステルB40〜250重量部の範囲が時に好ま
しい。この共重合ポリエステルBの混合量があま
りに少なすぎると、本発明で特定する峯部と谷部
とからなる繊維表面構造が形成され難くなり、逆
にこの混合量があまりに多くなりすぎると、峯部
の厚さ及び谷部の幅や長さが長大化するようにな
つて本発明を満足するポリエステル繊維表面構造
が得られなくなる傾向がなり、いずれの場合も最
終的に得られるポリエステル繊維の不透明性が不
充分なものになり易い。 かかるポリエステルAと共重合ポリエステルB
との混合には任意の方法が採用されるが、ポリエ
ステルAと共重合ポリエステルBとの間であまり
に分配反応を生起せしめると、本発明で特定する
峯部と谷部とからなる繊維表面構造の形成が困難
になり、極端な場合即ち分配反応が完全に進行す
ると最早実質的に平滑であるかまたは単なる環状
溝をもつ繊維表面しか得られなくなる。従つて、
ポリエステルAと共重合ポリエステルB間の分配
反応は、多少生じるのは差支えないが、過度にな
るのは避けるのが好ましい。また、所定の峯部と
谷部からなる表面構造を得るためには、ポリエス
テルAと共重合ポリエステルBの種類に応じた混
合方法と混合条件を選ぶのが好ましい。好ましい
混合方法としては例えば、 ポリエステルAと共重合ポリエステルBと
を、夫々粉粒状で混合し、そのまままたは一旦
チツプ化して紡糸工程に供給する方法。 重合終了時の溶融状態にあるポリエステルA
(または共重合ポリエステルB)に共重合ポリ
エステルB(またはポリエステルA)を添加し
て溶融混合し、そのまま、または一旦チツプ化
して紡糸工程に供給する方法。 ポリエステルAと共重合ポリエステルBと
を、夫々溶融状態で合流してスタチツツクミキ
サー、押出スクリユー等により混合し、そのま
ま、または一旦チツプ化して紡糸工程に供給す
る方法。 等をあげることができる。 なお、共重合ポリエステルBを構成するポリエ
ステル成分は、ポリエステルAと同一でも異つて
もよく、ポリエステルAと共重合ポリエステルB
とはその重合度において異なつていてもよい。 前記したポリエステル複合繊維の芯成分は、全
酸成分に対して0〜5モル%の5−アルカリ金属
スルホイソフタル酸成分を構成単位として含むポ
リエステルである。この5−アルカリ金属スルホ
イソフタル酸成分の含有量が5モル%を超える
と、最終的に得られるポリエステル繊維の表面溝
構造の発生が不充分になるのみならず、強度等の
繊維物質が不充分になる。 上記鞘成分と芯成分とから芯鞘型複合繊維を製
造するには、格別の方法を採用する必要はなく、
通常の芯鞘型複合繊維の溶融紡糸方法が任意に採
用され、この際の紡糸条件は、鞘成分及び芯成分
の特性に応じて適宜定められる。鞘成分と芯成分
との比率は、広い範囲にすることができるが、鞘
成分の比率が極端に低いと最終的に得られるポリ
エステル繊維の不透明性が不充分になり、逆にあ
まりに高いと強度等の繊維物質性が不充分になる
ので、鞘成分対芯成分の重量比率を95:5〜5:
95の範囲にするのが好ましく、なかでも80:20〜
20:80の範囲が特に好ましい。 芯鞘型繊維の断面形状は、同心型または偏心型
のいずれでもよく、鞘部および芯部の形状はいず
れも任意でよい。例えば鞘部および芯部がいずれ
も円形の場合、鞘部および芯部のいずれか一方が
円形で他方の異形の場合、鞘部および芯部が共に
類似または非類似の異形の場合等であつてもよ
い。また、芯成分は1本でなく複数本にしてもよ
い。 更に、最終的に得られるポリエステル繊維の不
透明性を実質的に低下せしめない程度であれば、
芯部分の一部分が複合繊維の表面に露出していて
も差支えない。 かくして得られたポリエステル複合繊維に所定
の表面溝構造を形成させるには、必要に応じて延
伸熱処理または仮撚加工等を施した後、または更
に織編物にした後、場合によつては染色後、アル
カリ化合物の水溶液で処理することにより容易に
行なうことができる。 ここで使用するアルカリ化合物としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルア
ンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カルウム等をあげることができる。なか
でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に
好ましい。また、セチルトリメチルアンセニウム
ブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニ
ウムクロライド等の如きアルカリ減量促進剤を適
宜使用することができる。 上記アルカリ化合物の水溶液の濃度は、アルカ
リ化合物の種類、処理方法等によつて異なるが、
通常0.01〜40重量%の範囲で行なわれ、特に0.1
〜30%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜160
℃の範囲であり、処理時間は30秒〜4時間の範囲
で通常行なわれる。 このアルカリ化合物の水溶液の処理によつて減
量する量は、繊維重量に対して2重量%以上にす
べきである。2重量%未満の減量率では満足すべ
き繊維表面溝構造が形成されず、充分な不透明性
が得られない。 なお、上記アルカリ減量処理の工程は、単一の
工程として独立に行なつても、また他の工程に合
一して行なつてもよい。後者の場合、例えば分散
染料および/またはカチオン染料で染色後の還元
洗浄工程またはソーピング工程において、染料の
洗浄とアルカリ減量を同時に行なつてもよい。 このようにアルカリ減量処理することによつて
繊維表面に所定の峯部および谷部からなる溝構造
を形成せしめることができ、優れた不透明性を呈
するようになる。 なお、本発明のポリエステル繊維には、必要に
応じて任意の添加剤、例えば触媒、着色防止剤、
耐熱剤、難燃剤、螢光増白剤、艶消剤、着色剤、
無機微粒子等が含まれていてもよく、なかでも酸
化チタン、硫酸バリウム等の艶消剤を併用するこ
とは、不透明性を相乗的に向上せしめることがで
きるので、より好ましいことである。 e 発明の効果 以上説明したように、本発明のポリエステル繊
維は互いに連結した峯部と独立した谷部とからな
る特殊な表面構造を有するために木綿や羊毛等の
天然繊維に匹敵するような優れた不透明性を呈
し、従来のポリエステル繊維では到底得られない
不透明白色薄地長繊維布帛を与えることができ
る。 また、本発明のポリエステル繊維からなる布帛
は、強いシヤリ感を呈し、一般に織物に比較して
強いシヤリ感を与え難い編物においても強いシヤ
リ感を与えることができるので、清涼感に優れた
編地用素材として好適である。 本発明のポリエステル繊維においては、その表
面溝構造がアルカリ減量処理を施すことによつて
はじめて発現して著しい不透明化が起こるため、
アルカリ減量処理前後の不透明度の差が極めて大
きい。従つてこの特徴を利用して、未減量布帛に
アルカリペーストを用いたプリントを施すことに
よつてアルカリペーストが付着した部分がオパー
ル光沢を呈するようになりシヤープな柄を作成す
ることができる。 更に、本発明のポリエステル繊維は、繊維表面
の特殊な溝構造により繊維間の摩擦係数が著しく
大きいため、特に短繊維織編物となした場合に、
布から毛羽が抜け出るのが防止され、摩擦による
毛玉の発生が防止されるので、優れた抗ピル性を
布帛に付与することができる。 f 実施例 以下に実施例をあげて更に説明する。実施例中
の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示
し、得られるポリエステル繊維布帛の不透明度は
次式によつて算出した。 不透明度=標準黒色裏当て板(反射率6%)上での反射
率/標準白色裏当て板(反射率91%)上での反射率×10
0(%) 不透明度の数値については黒色裏当て板と白色
裏当て板で裏当てされた時の反射率が等しければ
不透明度100%の完全な不透明体であることを示
し、一方黒色裏当て板で裏当てされた時の反射率
が0%であれが不透明度0%となり完全な透明体
であることを示す。 実施例 1 全酸成分に対して10モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合させた極限粘度
0.403のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ60部と極限粘度0.640のポリエチレンテレフタ
レートホモポリマーの乾燥チツプ40部とをナウ
タ・ミキサー(細川鉄工所製)中で5分間混合し
た後、二軸のスクリユー式押出機を用いて285℃
で溶融混合してチツプ化した。 このポリマーを鞘成分とし、極限粘度0.640の
ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーを芯
成分として芯鞘比率(重量)を50/50になるよう
に同心円型芯鞘複合紡糸装置を用いて紡糸温度
290℃で溶融紡糸し、次いで常法に従つて延伸倍
率3.5倍で延伸して75デニール/24フイラメント
の複合繊維を得た。 この複合マルチフイラントを目付80g/m2の平
織物に織成し、常法により精錬、プリセツト後
0.5%の水酸化ナトリウム水溶液中で沸騰温度に
て処理して減量率20%の布帛を得た。このアルカ
リ処理後の布帛の単糸の表面を2900倍の電子顕微
鏡で写した写真が第1図である。この写真より求
めた本発明の定義になる峯部の数および谷部の面
積比率の結果を第1表に示した。 また、この平織物の不透明度は第1表に示した
通り極めて優れたものであつた。 実施例 2 全酸成分に対して10モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.403のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ50部と全酸成分に対して2.5モル%の5−ナト
リウムスルホイソフタル酸を共重合極限粘度
0.485のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ50部とをナウタ・ミキサー中で5分間混合した
後、二軸のスクリユー式押出機を用いて285℃で
溶融混合してチツプ化した。 以下、実施例1と同様にして、このポリマーを
鞘成分とし極限粘度0.640のポリエチレンテレフ
タレートのホモポリマーを芯成分とする複合繊維
の紡糸、延伸、製織、精練、プリセツト、アルカ
リ減量を行なつた。 結果を第1表に示した。 実施例 3 全酸成分に対して10モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.403のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ40部と全酸成分に対して3.4モル%の5−ナト
リウムスルホイソフタル酸単位を共重合した極限
粘度0.503のポリエチレンテレフタレートの乾燥
チツプ60部とをナウタ・ミキサー中で5分間混合
した後、二軸のスクリユー式押出機を用いて285
℃で溶融混合してチツプ化した。 以下、実施例1と同様にして、このポリマーを
鞘成分とし2.5モル%の5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸単位を共重合した極限粘度0.485のポ
リエチレンテレフタレートを芯成分とする複合繊
維の紡糸、延伸、製織、精練、プリセツト、アル
カリ減量を行なつた。 結果を第1表に示した。 実施例 4 実施例1で用いた5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を10モル%共重合したポリエチレンテ
レフタレートに代えて全酸成分に対して14モル%
の5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位を共重
合した極限粘度0.325のポリエチレンテレフタレ
ート30部を使用すると共に、混合すべきポリエチ
レンテレフタレートホモポリマーの使用量を70部
にする以外は実施例1と同様に行なつた。 結果を第1表に示した。 比較例 1 全酸成分に対して6モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.458のポリエチレンテレフタレートの鞘成分と
し、極限粘度0.640のポリエチレンテレフタレー
トのポリマーを芯成分とする複合繊維を実施例1
と同様にして紡糸した。以下、実施例1と同様に
して延伸、製織、精練、プリセツト、アルカリ減
量を行なつた。結果は第1表の通りであつた。 参考例 2 木綿100%よりなる綿番手70番の紡績糸を目64
g/m2の平織物に製織した。この木綿平織物の不
透明度を第1表に示した。 比較例 2 全酸成分に対して5.2モル%の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.465のポリエチレンテレフタレートを通常の溶
融紡糸・延伸法に従つて製糸し、75デニール/24
フイラメントの、全体が上記単一ポリマー成分の
みからなるポリエステル繊維を得た。このマルチ
フイラメントを用いて、以下実施例1と同様にし
て製織、精練、プリセツト、アルカリ減量処理
(水酸化ナトリウム濃度;10%owf、浴比1:20、
100℃×60分、減量率18.2%)を行つた。得られ
た繊維は所々に環状溝を有していたがその数は
高々2個/10μであり、従つて環状溝部の比率も
高々10%に過ぎず、該平織物の不透明度レベルも
63.5%と低いものであつた。 比較例 3 35℃オルソクロロフエノール溶液35℃から求め
た極限粘度[η]が0.65で、ap値が5のポリエチ
レンテレフタレートを芯部に、[η]がc40、ap値
が20のポリエチレンテレフタレートを鞘部に複合
紡糸後、改質剤として分子量360のエチレンオキ
サイド・プロピレンオキサイド共重合物(ap値=
15)の水溶液で処理し、該改質剤の付着量が繊維
重量に対して0.2%となる如くして巻取り、180デ
ニール/35フイラメントの複合未延伸糸を得た。 次いで延伸倍率2.4倍、撚数3300回/m、ヒー
ター温度210℃にて延伸同時仮撚を実施し、75デ
ニール/36フイラメントの捲縮糸とした。 この捲縮糸を目付80g/m2の平織物となし、以
下実施例1と同様にして繊維表面構造と不透明度
を測定した。その結果、該繊維の峰部の数は3
ケ/10μ、谷部比率は12%であり、該平織物の不
透明度は69.7%と低いものであつた。 なお、ここでap値およびas値はそれぞれ次の式
(1)および式(2)で定義されるものである。 ap=Tpo−Tp/Tpo×100 ……(1) Tpo:紡糸時に水のみを付与して巻取つたポリテ
ルを25℃、65%RHの雰囲気に一週間放
置後測定したネツク強度(g/de) Tp:紡糸時にエチレンオキサイド10モル付加イ
ンセチルエーテルを付与したて巻取つた
ポリエステルを25℃、65%RHの雰囲気
に一週間放置後測定したネツク強度
(g/de) as=Tso−Ts/Tso×100 ……(2) Tpo:紡糸時に水のみを付与して巻取つたオルソ
クロロフエノール溶液35℃の極限粘度が
0.645のポリエチレンテレフタレート未
延伸糸を25℃、65%RHの雰囲気中に一
週間放置後測定したネツク強度(g/
de) Tp:改質剤を付与して巻取つた極限粘度が0.645
のポリエチレンテレフタレート未延伸糸
を一週間放置後測定したネツク強度
(g/de)
法、更に詳細には互いに連結した峯部と独立した
谷部とよりなる繊維表面構造を有し、織編物とし
た際に優れた不透明性を呈するポリエステル繊維
およびその製造法に関する。 b 従来技術 ポリエステル繊維は多くの優れた特性を有する
ために合成繊維として広く使用されている。しか
しながら、ポリエステル繊維は木綿や羊毛の如き
天然繊維に比較して不透明性の点で著しく劣るた
め、不透明性を要求される分野での使用が制限さ
れている。特に、ポリエステル長繊維を使用した
白色薄地布帛の商品分野において、木綿や羊毛等
に較べて不透明感が少なく、このことがこの分野
への使用の大きな障害になつている。 従来よりこの問題を改良すべく、ポリエステル
に酸化チタン微粒子等の艶消剤を添加する方法が
採られている。酸化チタンは白色顔料の中で最も
高い屈折率をもつているため(アナターゼ型
TiO2の屈折率2.52、ルチル型TiO2の屈折率2.76)
隠蔽力が最も大きく、このことがポリエステル繊
維の艶消剤として酸化チタンが広く用いられてい
る理由である。ポリエステル繊維中に含有される
艶消剤としての酸化チタンの含有量は、通常セミ
ダル銘柄において0.3〜0.5重量%、フルダル銘柄
において2.0〜3.0重量%であり、酸化チタン含有
量の増大に伴つてポリエステル繊維の不透明性は
増大してゆくが、フルダル銘柄をもつてしてもそ
の不透明性レベルは木綿や羊毛のそれに比較して
著しく劣るのが現状である。 ポリエステル繊維中の酸化チタン含有量を3.0
重量%を超えて更に増やしても、ポリエステル繊
維の不透明性は最早著しい増大を示さず、かえつ
てポリエステル繊維に黄ばみが生じたり、糸物性
が不良となる等品質上の問題を生じる。しかも、
ポリマー中のTiO2二次凝集粒子の発生が促進さ
れるため、紡糸時のバツク圧上昇が著しく大きく
なり、糸切れが多発する等工程通過性が極端に悪
化する。 一方、有機スルホン酸塩を配合せしめた制電性
ポリエステル繊維(英国特許第1269740号明細書)
や有機スルホン酸塩を配合したポリエステル繊維
をアルカリ処理することによつて繊維の表面や内
部に筋状空〓部を多数形成せしめたポリエステル
異形断面繊維(特開昭56−144237号公報、特開昭
56−148940号公報)はダル化した外観を呈するこ
とが知られている。しかしながら、これらの繊維
の不透明化効果は不充分である上、繊維の力学的
特性やフイブリル化の点で問題を生じ易いため、
繊維中の有機スルホン酸塩量や筋状空〓部の存在
量を無暗に増やすことができず、不透明化の到達
レベルにはおのずから限界がある。 他方、繊維軸に対して直角方向に配向した横長
の溝を有するポリエステル繊維およびその製造法
が種々提案されており、例えば 紡糸工程で油剤を付与したポリエステル未延
伸糸をエージングして油剤成分の浸透したスキ
ン部と油剤成分の浸透していないコア部とから
なる未延伸糸となし、この未延伸糸を延伸同時
仮撚して繊維表面に多数のクラツクを発生させ
る方法(特開昭50−112516号公報)。 繊維軸に対して直角方向にクラツクを有する
ポリエステル繊維を、酸性またはアルカリ性の
水溶液中で熱処理する抗ピル繊維の製造法(特
開昭54−64127号公報、特開昭54−64128号公
報)。 アミンに対する抵抗性の異なる2種類のポリ
エステルよりなる複合繊維をアミン処理するこ
とによつて、抵抗性の小さいポリエステルの表
面に繊維軸に略直角な方向のグループを生じさ
せたポリエステル複合繊維(特開昭57−154413
号公報、特開昭57−154414号公報)。 ポリエステル未延伸繊維を加熱水蒸気の存在
下で延伸し、次いでアルカリ処理することによ
り、繊維表面に直径0.1μ以上の細孔をハニカム
状に形成させたポリエステル繊維(特開昭58−
4815号公報)。 ポリエステル未延伸繊維を加熱水蒸気の存在
下で延伸し、次いでアミン化合物で処理した後
アルカリ処理することによつて、繊維長面の円
周方向に繊維長さ5μ当り1〜20個の環状溝を
形成させたポリエステル繊維(特開昭58−4816
号公報)。 高分子量のポリエーテル等の特定の有機改質
剤をポリエステル未延伸糸に付与し、延伸同時
仮撚を施すことによつて繊維軸にほゞ直角な方
向に多数の皺状隆起および多数のクラツクを発
生させる方法(特開昭58−8144号公報)。 5−ナトリウムスルホイソフタル酸を4〜6
モル%共重量ポリエステル繊維にアルカリ処理
(浸漬、パツド・スチーム、バツド・バツチ)
を施すことによつて、繊維表面に外周の少なく
とも1/3の長さのリング状侵蝕部を形成させた
ポリエステル繊維(特開昭58−169512号公報)。 ポリエステル繊維のアルカリ減量処理時にキ
ヤリヤーを添加することによつて、形成せしめ
た繊維表面10μ2当り5〜100個の繊維軸方向に
対して横長で長さ0.1〜2μ、幅0.01〜0.4μ、深さ
0.1〜0.6μの不連続凹部を形成させた深色化ポ
リエステル繊維(特開昭59−21715号公報)。 等を例示することができる。 しかしながら、これらの繊維も、その目的・効
果とするところは抗ピル性の付与、天然繊維ライ
クな風合の付与、易染性の付与または染色した際
の発色性の改善にあり、不透明性に関してはほと
んど改良されないか、若しくは改良されたとして
もその度合は小さい。 以上説明したように従来技術によつて製造され
るポリエステル繊維の不透明性は不充分であり、
木綿や羊毛に匹敵するような高度の不透明性を呈
するポリエステル繊維はこれまでまつたく得られ
ていなかつた。 c 発明の目的 本発明者は、長繊維薄地布帛とした際に、木綿
や羊毛に匹敵する白度と不透明感を呈するポリエ
ステル繊維を提供せんとして鋭意検討を重ねた結
果、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分の特
定量を共重合させた共重合ポリエステルの特定量
を分散含有するポリエステルを鞘成分とし、通常
ポリエステルを芯成分とする複合繊維が、アルカ
リ減量処理によつて著しく不透明化することを知
つた。そしてこのようにして得られたポリエステ
ル繊維の構造について種々検討した結果、かかる
ポリエステル繊維が互いに連結した峯部と独立し
た谷部とかなる特殊な繊維表面構造を有し、前述
した先行技術による繊維軸に対して直角方向に配
向した横長の溝を有するポリエステル繊維〜
のいずれとも異なる構造であることがわかつた。
かかる特殊な繊維表面構造が何故不透明感の飛躍
的な増大をもたらすのかその理由は明らかではな
いが、互いに連結した峯部の存在によつて、谷部
の形状および間隔がランダムとなるため。各波長
の可視光がランダムな方向に効率的に散乱される
ためと考えられる。また、繊維の強度、摩擦耐久
性等の力学的特性についても、従来の環状溝構造
のポリエステル繊維に比較して、かかる互いに連
結した峯部を有するポリエステル繊維にあつては
著しく好ましい方向にあることを知つた。 本発明者はこれらの知見に基づいて、かかる繊
維表面構造と布帛の不透明感との関係について更
に詳しく検討を進めた結果、前記した峯部と谷部
の大きさと数を特定の範囲にコントロールするこ
とによつて、布帛の不透明感が更に格段に優れた
ものとなり、木綿や羊毛に匹敵する白色不透明布
帛を与えることができ、上記目的を達成し得るこ
とを知つた。本発明はこれらの知見に基づいて更
に重ねて検討した結果完成したものである。 d 発明の構成 即ち、本発明は5−アルカリ金属スルホイソフ
タル酸成分を0〜5モル%構成単位として含むポ
リエステル100重量部と5−アルカリ金属スルホ
イソフタル酸成分を6〜20モル%共重合させた共
重合ポリエステル20〜400重量部との混合物を鞘
成分とし、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸
成分を0〜5モル%構成単位として含むポリエス
テルを芯成分とするポリエステル複合繊維をアル
カリ化合物の水溶液で処理して、その2重量%以
上を溶出することによつて得られるポリエステル
繊維であつて、繊維軸方向に対して略直角に峯部
と谷部が存在し、峯部と繊維軸方向に該峯部と隣
接する峯部が連結され、峯部の厚さが0.1〜2μを
満足する峯部の数が繊維軸方向10μ当り3〜50個
の範囲にあり、繊維軸方向における各谷部の最大
幅が0.1〜2μで且つ繊維軸に対して直交する外周
方向の谷部の長さが2〜20μを満足する谷部の繊
維表面における面積の合計が見掛けの繊維表面積
に対して20〜95%の範囲にあつて且つ谷部の形状
および間隔がランダムである谷部と前記峯部とが
繊維軸方向に交互に連続して存在している鞘部表
面を有する芯鞘型複合繊維であることを特徴とす
るポリエステル繊維に係るものである。 本発明のポリエステル繊維を添付の写真により
説明する。第1図は本発明のポリエステル繊維の
表面を2900倍に拡大した電子顕微鏡写真である。
この写真より明らかなように、本発明のポリエス
テル繊維には繊維軸方向に対して略直角に峯部と
谷部が存在し、峯部と繊維軸方向に該峯部と隣接
する峯部が連結されている。 本発明者の数多くの検討結果の知見によれば、
本発明のポリエステル繊維では峯部の厚さが0.1
〜2μを満足する峯部の数が繊維軸方向10μ当り3
〜50個の範囲でなければならない。この峯部の厚
さが2μを超えるかまたは0.1μ未満である場合に
は、布帛に実質的に不透明感を付与することはで
きない。また、峯部の厚さが0.1〜2μを満足する
峯部の数が3個未満であるかまたは50個を超える
場合には、布帛の不透明性が不充分となる。 本発明のポリエステル繊維にあつては、繊維軸
方向における各谷部の最大幅が0.1〜2μで且つ繊
維軸に対して直交する外周方向の谷部の長さが2
〜20μを満足する谷部の繊維表面における面積の
合計が見掛けの繊維表面積に対して20〜95%の範
囲でなければならない。この谷部の幅が0.1μ未満
であるかまたは2μを超える場合には、布帛に実
質的に不透明感を与えることはできない。また、
谷部の長さが2μ未満である場合には、布帛の不
透明性が不充分となり、逆にこの谷部の長さが
20μを超えると、布帛の不透明性が不充分となる
ばかりでなく繊維の強度等の力学的性質が劣るよ
うになる。更に、谷部の幅が0.1〜2μで且つ谷部
の長さが2〜20μを満足する谷部の繊維表面にお
ける面積の合計が見掛けの繊維表面積に対して占
める割合が、20%未満であるか、または95%を超
える場合には、布帛の不透明感が不充分になる。
この割合の特に好ましい範囲は30〜80%である。 上記した峯部の厚さおよび数並びに谷部の幅、
長さおよび占有面積割合は、繊維表面を3000倍程
度に拡大した電子顕微鏡写真から求めることがで
きる。なお、ここでいう見掛けの繊維表面積と
は、谷部が峯部の高さまで埋められた場合を想像
した時の仮想上の繊維表面積を意味する。 更に、本発明のポリエステル繊維においては、
前記した谷部の形状および間隔はランダムであ
る。谷部の形状および間隔がランダムではなく、
実質的に単一で規則的な場合には充分な不透明化
効果が得られない。 本発明のポリエステル繊維の横断面における外
形は円形であつても異形であつても中空繊維であ
つても中実繊維であつてもよい。ポリエステル繊
維が中空繊維である場合、その横断面における中
空部の形状は円形であつても異形であつてもよ
く、中空部の数は1であつても2以上あつてもよ
い。繊度についても特に限定する必要がない。 本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を
主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコー
ル、好ましくはエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコールから選
ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを
主たるグリコール成分とするポリエステルを主た
る対象とする。 また、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性
カルボン酸成分で置換えたポリエステルであつて
もよく、および/またはグリコール成分の一部を
主成分以外の上記グリコール、もしくは他のジオ
ール成分で置換えたポリエステルであつてもよ
い。 ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性
カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフ
タリンジカルボン酸、ジフエニルジカルボン酸、
ジフエノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキ
シエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セ
バシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
の如き芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボ
ン酸をあげることができる。また、上記グリコー
ル以外のジオール化合物としては例えばシクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグ
リコール、ビスフエノールA、ビスフエノールS
の如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物
およびポリオキシアルキレングリコール等をあげ
ることができる。 更にポリエステルが実質的に線状である範囲で
トリメリツト酸、ピロメリツト酸の如きポリカル
ボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、
ペンタエリスリトールの如きポリオールを使用す
ることができる。 かかるポリエステルは任意の方法によつて合成
したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレ
ートについて説明すれば、通常、テレフタル酸と
エチレングリコールとを直接エステル化反応させ
るか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸
の低級アルキルエステルとエチレングリコールと
をエステル交換反応させるか、またはテレフタル
酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテ
レフタル酸のグリコールエステルおよび/または
その低重合体を生成させる第1段階の反応と、第
1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合
度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応に
よつて製造される。 本発明のポリエステル繊維を製造する方法は、
種々あるが、例えば全酸成分に対して0〜5モル
%の5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分を
構成単位として含むポリエステル100重量部と全
酸成分に対して6〜20モル%の5−アルカリ金属
スルホイソフタル酸成分を共重合させた共重合ポ
リエステル20〜400重量部との混合物を鞘成分と
し、全酸成分に対して0〜5モル%の5−アルカ
リ金属スルホイソフタル酸成分を構成単位として
含むポリエステルを芯成分とするポリエステル複
合繊維をアルカリ化合物の水溶液で処理してその
2重量%以上を溶出することによつて容易に製造
することができる。 上記5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分
として用いられる化合物の内で特に好ましい具体
例としては、3,5−ジ(カルボメトキシ)ベン
ゼンスルホン酸ナトリウム(またはカリウムもし
くはリチウム)、3,5−ジ(β−ヒドロキシエ
トキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム(またはカリウムもしくはリチウム)、3,5
−ジ(β−ヒドロキシブトキシカルボニル)ベン
ゼンスルホン酸ナトリウム(またはカリウムもし
くはリチウム)等をあげることができる。 かかる5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成
分を共重合した共重合ポリエステルを製造するに
は、前述したポリエステルの合成が完了する以前
の任意の段階で、好ましくは第1段階の反応が終
了する以前の任意の段階で上記した5−アルカリ
金属スルホイソフタル酸化合物を添加すればよ
い。この際、エーテル形成抑制剤として酢酸ナト
リウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸
塩を併用するのが好ましく行なわれる。 前記した複合繊維の鞘成分を構成する混合物の
一方成分であるポリエステル中の構成単位として
の5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分の含
有量は、該ポリエステルを構成する全酸成分に対
して0〜5モル%の範囲である。この含有量が5
モル%を超えると、他の条件をいくら変えても、
繊維表面に形成される峯部および谷部の大きさが
粗大になりすぎて本発明の繊維表面構造が得られ
ず、充分な不透明化効果が奏されなくなる。以下
この成分をポリエステルAと言う。 複合繊維の鞘成分を構成する混合物の他方成分
である共重合ポリエステル中の5−アルカリ金属
スルホイソフタル酸成分の共重合量は、該共重合
ポリエステルを構成する全酸成分に対して6〜20
モル%の範囲であり、なかでも6〜14モル%の範
囲が特に好ましい。この共重合量が6モル%未満
であるときには、他の条件をいくら変えても本発
明で特定する峯部と谷部とからなる繊維表面構造
を形成することができず、逆に共重合量が20モル
%を超えるときには、峯部の厚さおよび谷部の
幅・長さが長大化するようになつて本発明を満足
する繊維表面構造が得られず、いずれの場合も充
分な不透明化効果が得られなくなる。以下この成
分を共重合ポリエステルBと言う。 複合繊維の鞘成分を構成する混合物中の上記ポ
リエステルAと共重合ポリエステルBとの混合割
合は、ポリエステルA100重量部に対して共重合
ポリエステルB20〜400重量部の範囲であり、な
かでもポリエステルA100重量部に対して共重合
ポリエステルB40〜250重量部の範囲が時に好ま
しい。この共重合ポリエステルBの混合量があま
りに少なすぎると、本発明で特定する峯部と谷部
とからなる繊維表面構造が形成され難くなり、逆
にこの混合量があまりに多くなりすぎると、峯部
の厚さ及び谷部の幅や長さが長大化するようにな
つて本発明を満足するポリエステル繊維表面構造
が得られなくなる傾向がなり、いずれの場合も最
終的に得られるポリエステル繊維の不透明性が不
充分なものになり易い。 かかるポリエステルAと共重合ポリエステルB
との混合には任意の方法が採用されるが、ポリエ
ステルAと共重合ポリエステルBとの間であまり
に分配反応を生起せしめると、本発明で特定する
峯部と谷部とからなる繊維表面構造の形成が困難
になり、極端な場合即ち分配反応が完全に進行す
ると最早実質的に平滑であるかまたは単なる環状
溝をもつ繊維表面しか得られなくなる。従つて、
ポリエステルAと共重合ポリエステルB間の分配
反応は、多少生じるのは差支えないが、過度にな
るのは避けるのが好ましい。また、所定の峯部と
谷部からなる表面構造を得るためには、ポリエス
テルAと共重合ポリエステルBの種類に応じた混
合方法と混合条件を選ぶのが好ましい。好ましい
混合方法としては例えば、 ポリエステルAと共重合ポリエステルBと
を、夫々粉粒状で混合し、そのまままたは一旦
チツプ化して紡糸工程に供給する方法。 重合終了時の溶融状態にあるポリエステルA
(または共重合ポリエステルB)に共重合ポリ
エステルB(またはポリエステルA)を添加し
て溶融混合し、そのまま、または一旦チツプ化
して紡糸工程に供給する方法。 ポリエステルAと共重合ポリエステルBと
を、夫々溶融状態で合流してスタチツツクミキ
サー、押出スクリユー等により混合し、そのま
ま、または一旦チツプ化して紡糸工程に供給す
る方法。 等をあげることができる。 なお、共重合ポリエステルBを構成するポリエ
ステル成分は、ポリエステルAと同一でも異つて
もよく、ポリエステルAと共重合ポリエステルB
とはその重合度において異なつていてもよい。 前記したポリエステル複合繊維の芯成分は、全
酸成分に対して0〜5モル%の5−アルカリ金属
スルホイソフタル酸成分を構成単位として含むポ
リエステルである。この5−アルカリ金属スルホ
イソフタル酸成分の含有量が5モル%を超える
と、最終的に得られるポリエステル繊維の表面溝
構造の発生が不充分になるのみならず、強度等の
繊維物質が不充分になる。 上記鞘成分と芯成分とから芯鞘型複合繊維を製
造するには、格別の方法を採用する必要はなく、
通常の芯鞘型複合繊維の溶融紡糸方法が任意に採
用され、この際の紡糸条件は、鞘成分及び芯成分
の特性に応じて適宜定められる。鞘成分と芯成分
との比率は、広い範囲にすることができるが、鞘
成分の比率が極端に低いと最終的に得られるポリ
エステル繊維の不透明性が不充分になり、逆にあ
まりに高いと強度等の繊維物質性が不充分になる
ので、鞘成分対芯成分の重量比率を95:5〜5:
95の範囲にするのが好ましく、なかでも80:20〜
20:80の範囲が特に好ましい。 芯鞘型繊維の断面形状は、同心型または偏心型
のいずれでもよく、鞘部および芯部の形状はいず
れも任意でよい。例えば鞘部および芯部がいずれ
も円形の場合、鞘部および芯部のいずれか一方が
円形で他方の異形の場合、鞘部および芯部が共に
類似または非類似の異形の場合等であつてもよ
い。また、芯成分は1本でなく複数本にしてもよ
い。 更に、最終的に得られるポリエステル繊維の不
透明性を実質的に低下せしめない程度であれば、
芯部分の一部分が複合繊維の表面に露出していて
も差支えない。 かくして得られたポリエステル複合繊維に所定
の表面溝構造を形成させるには、必要に応じて延
伸熱処理または仮撚加工等を施した後、または更
に織編物にした後、場合によつては染色後、アル
カリ化合物の水溶液で処理することにより容易に
行なうことができる。 ここで使用するアルカリ化合物としては、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルア
ンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カルウム等をあげることができる。なか
でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に
好ましい。また、セチルトリメチルアンセニウム
ブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニ
ウムクロライド等の如きアルカリ減量促進剤を適
宜使用することができる。 上記アルカリ化合物の水溶液の濃度は、アルカ
リ化合物の種類、処理方法等によつて異なるが、
通常0.01〜40重量%の範囲で行なわれ、特に0.1
〜30%の範囲が好ましい。処理温度は常温〜160
℃の範囲であり、処理時間は30秒〜4時間の範囲
で通常行なわれる。 このアルカリ化合物の水溶液の処理によつて減
量する量は、繊維重量に対して2重量%以上にす
べきである。2重量%未満の減量率では満足すべ
き繊維表面溝構造が形成されず、充分な不透明性
が得られない。 なお、上記アルカリ減量処理の工程は、単一の
工程として独立に行なつても、また他の工程に合
一して行なつてもよい。後者の場合、例えば分散
染料および/またはカチオン染料で染色後の還元
洗浄工程またはソーピング工程において、染料の
洗浄とアルカリ減量を同時に行なつてもよい。 このようにアルカリ減量処理することによつて
繊維表面に所定の峯部および谷部からなる溝構造
を形成せしめることができ、優れた不透明性を呈
するようになる。 なお、本発明のポリエステル繊維には、必要に
応じて任意の添加剤、例えば触媒、着色防止剤、
耐熱剤、難燃剤、螢光増白剤、艶消剤、着色剤、
無機微粒子等が含まれていてもよく、なかでも酸
化チタン、硫酸バリウム等の艶消剤を併用するこ
とは、不透明性を相乗的に向上せしめることがで
きるので、より好ましいことである。 e 発明の効果 以上説明したように、本発明のポリエステル繊
維は互いに連結した峯部と独立した谷部とからな
る特殊な表面構造を有するために木綿や羊毛等の
天然繊維に匹敵するような優れた不透明性を呈
し、従来のポリエステル繊維では到底得られない
不透明白色薄地長繊維布帛を与えることができ
る。 また、本発明のポリエステル繊維からなる布帛
は、強いシヤリ感を呈し、一般に織物に比較して
強いシヤリ感を与え難い編物においても強いシヤ
リ感を与えることができるので、清涼感に優れた
編地用素材として好適である。 本発明のポリエステル繊維においては、その表
面溝構造がアルカリ減量処理を施すことによつて
はじめて発現して著しい不透明化が起こるため、
アルカリ減量処理前後の不透明度の差が極めて大
きい。従つてこの特徴を利用して、未減量布帛に
アルカリペーストを用いたプリントを施すことに
よつてアルカリペーストが付着した部分がオパー
ル光沢を呈するようになりシヤープな柄を作成す
ることができる。 更に、本発明のポリエステル繊維は、繊維表面
の特殊な溝構造により繊維間の摩擦係数が著しく
大きいため、特に短繊維織編物となした場合に、
布から毛羽が抜け出るのが防止され、摩擦による
毛玉の発生が防止されるので、優れた抗ピル性を
布帛に付与することができる。 f 実施例 以下に実施例をあげて更に説明する。実施例中
の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示
し、得られるポリエステル繊維布帛の不透明度は
次式によつて算出した。 不透明度=標準黒色裏当て板(反射率6%)上での反射
率/標準白色裏当て板(反射率91%)上での反射率×10
0(%) 不透明度の数値については黒色裏当て板と白色
裏当て板で裏当てされた時の反射率が等しければ
不透明度100%の完全な不透明体であることを示
し、一方黒色裏当て板で裏当てされた時の反射率
が0%であれが不透明度0%となり完全な透明体
であることを示す。 実施例 1 全酸成分に対して10モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合させた極限粘度
0.403のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ60部と極限粘度0.640のポリエチレンテレフタ
レートホモポリマーの乾燥チツプ40部とをナウ
タ・ミキサー(細川鉄工所製)中で5分間混合し
た後、二軸のスクリユー式押出機を用いて285℃
で溶融混合してチツプ化した。 このポリマーを鞘成分とし、極限粘度0.640の
ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーを芯
成分として芯鞘比率(重量)を50/50になるよう
に同心円型芯鞘複合紡糸装置を用いて紡糸温度
290℃で溶融紡糸し、次いで常法に従つて延伸倍
率3.5倍で延伸して75デニール/24フイラメント
の複合繊維を得た。 この複合マルチフイラントを目付80g/m2の平
織物に織成し、常法により精錬、プリセツト後
0.5%の水酸化ナトリウム水溶液中で沸騰温度に
て処理して減量率20%の布帛を得た。このアルカ
リ処理後の布帛の単糸の表面を2900倍の電子顕微
鏡で写した写真が第1図である。この写真より求
めた本発明の定義になる峯部の数および谷部の面
積比率の結果を第1表に示した。 また、この平織物の不透明度は第1表に示した
通り極めて優れたものであつた。 実施例 2 全酸成分に対して10モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.403のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ50部と全酸成分に対して2.5モル%の5−ナト
リウムスルホイソフタル酸を共重合極限粘度
0.485のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ50部とをナウタ・ミキサー中で5分間混合した
後、二軸のスクリユー式押出機を用いて285℃で
溶融混合してチツプ化した。 以下、実施例1と同様にして、このポリマーを
鞘成分とし極限粘度0.640のポリエチレンテレフ
タレートのホモポリマーを芯成分とする複合繊維
の紡糸、延伸、製織、精練、プリセツト、アルカ
リ減量を行なつた。 結果を第1表に示した。 実施例 3 全酸成分に対して10モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.403のポリエチレンテレフタレートの乾燥チツ
プ40部と全酸成分に対して3.4モル%の5−ナト
リウムスルホイソフタル酸単位を共重合した極限
粘度0.503のポリエチレンテレフタレートの乾燥
チツプ60部とをナウタ・ミキサー中で5分間混合
した後、二軸のスクリユー式押出機を用いて285
℃で溶融混合してチツプ化した。 以下、実施例1と同様にして、このポリマーを
鞘成分とし2.5モル%の5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸単位を共重合した極限粘度0.485のポ
リエチレンテレフタレートを芯成分とする複合繊
維の紡糸、延伸、製織、精練、プリセツト、アル
カリ減量を行なつた。 結果を第1表に示した。 実施例 4 実施例1で用いた5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を10モル%共重合したポリエチレンテ
レフタレートに代えて全酸成分に対して14モル%
の5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位を共重
合した極限粘度0.325のポリエチレンテレフタレ
ート30部を使用すると共に、混合すべきポリエチ
レンテレフタレートホモポリマーの使用量を70部
にする以外は実施例1と同様に行なつた。 結果を第1表に示した。 比較例 1 全酸成分に対して6モル%の5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.458のポリエチレンテレフタレートの鞘成分と
し、極限粘度0.640のポリエチレンテレフタレー
トのポリマーを芯成分とする複合繊維を実施例1
と同様にして紡糸した。以下、実施例1と同様に
して延伸、製織、精練、プリセツト、アルカリ減
量を行なつた。結果は第1表の通りであつた。 参考例 2 木綿100%よりなる綿番手70番の紡績糸を目64
g/m2の平織物に製織した。この木綿平織物の不
透明度を第1表に示した。 比較例 2 全酸成分に対して5.2モル%の5−ナトリウム
スルホイソフタル酸単位を共重合した極限粘度
0.465のポリエチレンテレフタレートを通常の溶
融紡糸・延伸法に従つて製糸し、75デニール/24
フイラメントの、全体が上記単一ポリマー成分の
みからなるポリエステル繊維を得た。このマルチ
フイラメントを用いて、以下実施例1と同様にし
て製織、精練、プリセツト、アルカリ減量処理
(水酸化ナトリウム濃度;10%owf、浴比1:20、
100℃×60分、減量率18.2%)を行つた。得られ
た繊維は所々に環状溝を有していたがその数は
高々2個/10μであり、従つて環状溝部の比率も
高々10%に過ぎず、該平織物の不透明度レベルも
63.5%と低いものであつた。 比較例 3 35℃オルソクロロフエノール溶液35℃から求め
た極限粘度[η]が0.65で、ap値が5のポリエチ
レンテレフタレートを芯部に、[η]がc40、ap値
が20のポリエチレンテレフタレートを鞘部に複合
紡糸後、改質剤として分子量360のエチレンオキ
サイド・プロピレンオキサイド共重合物(ap値=
15)の水溶液で処理し、該改質剤の付着量が繊維
重量に対して0.2%となる如くして巻取り、180デ
ニール/35フイラメントの複合未延伸糸を得た。 次いで延伸倍率2.4倍、撚数3300回/m、ヒー
ター温度210℃にて延伸同時仮撚を実施し、75デ
ニール/36フイラメントの捲縮糸とした。 この捲縮糸を目付80g/m2の平織物となし、以
下実施例1と同様にして繊維表面構造と不透明度
を測定した。その結果、該繊維の峰部の数は3
ケ/10μ、谷部比率は12%であり、該平織物の不
透明度は69.7%と低いものであつた。 なお、ここでap値およびas値はそれぞれ次の式
(1)および式(2)で定義されるものである。 ap=Tpo−Tp/Tpo×100 ……(1) Tpo:紡糸時に水のみを付与して巻取つたポリテ
ルを25℃、65%RHの雰囲気に一週間放
置後測定したネツク強度(g/de) Tp:紡糸時にエチレンオキサイド10モル付加イ
ンセチルエーテルを付与したて巻取つた
ポリエステルを25℃、65%RHの雰囲気
に一週間放置後測定したネツク強度
(g/de) as=Tso−Ts/Tso×100 ……(2) Tpo:紡糸時に水のみを付与して巻取つたオルソ
クロロフエノール溶液35℃の極限粘度が
0.645のポリエチレンテレフタレート未
延伸糸を25℃、65%RHの雰囲気中に一
週間放置後測定したネツク強度(g/
de) Tp:改質剤を付与して巻取つた極限粘度が0.645
のポリエチレンテレフタレート未延伸糸
を一週間放置後測定したネツク強度
(g/de)
【表】
* 環状溝
第1図は、本発明のポリエステル繊維の表面を
2900倍に拡大して写した電子顕微鏡写真である。
2900倍に拡大して写した電子顕微鏡写真である。
Claims (1)
- 1 5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分を
0〜5モル%構成単位として含むポリエステル
100重量部と5−アルカリ金属スルホイソフタル
酸成分を6〜20モル%共重合させた共重合ポリエ
ステル20〜400重量部との混合物を鞘成分とし、
5−アルカリ金属スルホイソフタル酸成分を0〜
5モル%構成単位として含むポリエステルを芯成
分とするポリエステル複合繊維をアルカリ化合物
の水溶液で処理して、その2重量%以上を溶出す
ることによつて得られるポリエステル繊維であつ
て、繊維軸方向に対して略直角に峯部と谷部が存
在し、峯部と繊維軸方向に該峯部と隣接する峯部
が連結され、峯部の厚さが0.1〜2μを満足する峯
部の数が繊維軸方向10μ当り3〜50個の範囲にあ
り、繊維軸方向における各谷部の最大幅が0.1〜
2μで且つ繊維軸に対して直交する外周方向の谷
部の長さが2〜20μを満足する谷部の繊維表面に
おける面積の合計が見掛けの繊維表面積に対して
20〜95%の範囲にあつて、且つ谷部の形状および
間隔がランダムである谷部と前記峯部とが繊維軸
方向に交互に連続して存在している鞘部表面を有
する芯鞘型複合繊維であることを特徴とするポリ
エステル繊維。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21866384A JPS61102415A (ja) | 1984-10-19 | 1984-10-19 | ポリエステル繊維およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21866384A JPS61102415A (ja) | 1984-10-19 | 1984-10-19 | ポリエステル繊維およびその製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS61102415A JPS61102415A (ja) | 1986-05-21 |
| JPH0440447B2 true JPH0440447B2 (ja) | 1992-07-03 |
Family
ID=16723471
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21866384A Granted JPS61102415A (ja) | 1984-10-19 | 1984-10-19 | ポリエステル繊維およびその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS61102415A (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JPS6312716A (ja) * | 1986-06-30 | 1988-01-20 | Kuraray Co Ltd | 人工毛髪及び製造方法 |
| JP3960100B2 (ja) * | 2002-03-29 | 2007-08-15 | チッソ株式会社 | 高強度ポリオレフィン繊維及びこれを用いたコンクリート成形体 |
| JP5998437B2 (ja) * | 2011-07-13 | 2016-09-28 | 三菱レイヨン株式会社 | シボを有する織物 |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS57154413A (en) * | 1981-03-16 | 1982-09-24 | Teijin Ltd | Polyester conjugated fiber with modified surface |
| JPS588123A (ja) * | 1981-07-07 | 1983-01-18 | Teijin Ltd | 表面改質ポリエステル繊維の製造法 |
| JPS58169512A (ja) * | 1982-03-25 | 1983-10-06 | Toray Ind Inc | リング状侵蝕部を有するポリエステル系繊維およびその製造法 |
| JPS584818A (ja) * | 1982-05-21 | 1983-01-12 | Toray Ind Inc | ポリエステル繊維およびその製造方法 |
-
1984
- 1984-10-19 JP JP21866384A patent/JPS61102415A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS61102415A (ja) | 1986-05-21 |
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