JPH0447046B2 - - Google Patents
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- JPH0447046B2 JPH0447046B2 JP61214589A JP21458986A JPH0447046B2 JP H0447046 B2 JPH0447046 B2 JP H0447046B2 JP 61214589 A JP61214589 A JP 61214589A JP 21458986 A JP21458986 A JP 21458986A JP H0447046 B2 JPH0447046 B2 JP H0447046B2
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- polyester
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- polyester fiber
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- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明はポリエステル繊維及びその製造法に関
する。更に詳しくは工業用繊維とて必要な高強力
を有し、寸法安定性、耐熱性等の特性に秀れた高
品質かつ均質なポリエステル繊維及びその製造法
に関する。 (従来の技術) 一般に、ポリエステル繊維はその高強度、高ヤ
ング率及び秀れた寸法安定性等により、各種の工
業用材料として広く用いられており、とりわけタ
イヤコード、コンベアベルト、Vベルトコード等
のゴム構造物補強用材料として好ましく用いられ
る。 これらの工業用材料に最も要求される特性は高
強力であり、さらにゴム構造物補強用材料のよう
にゴム中での補強材として用いられる場合は、ゴ
ム構造物の成型プロセスである加硫工程での高温
処理や最終製品で用いられる場合の内部発熱によ
り高温下にさらされることが多く、耐熱性も極め
て重要視される。ここで問題となるのは熱による
強度の低下であり、ポリエステルの加水分解反応
が、高温下及びゴム中のアミンの存在下で著しく
促進されることである。 従来、繊維高強力化の方策としては、ポリマー
の分子量を高めることが一般的であり、これによ
り延伸糸での強合アツプとともに、撚糸してコー
ドにした時の強力利用率の向上も可能であつた。
この為加熱紡糸筒等の種々の紡糸方式が採用され
ているが、一定レベル以上の分子量では溶融ポリ
マーの溶融融粘度が高くなり、紡糸性が極めて低
下し、これから得られる延伸糸は低品質のものし
か得られなかつた。一方、紡糸性を向上させるべ
く溶融温度をあげると熱分解で分子量が低下し、
目的とする高分子量の繊維が得られないという問
題があつた。一般に市販されている工業用ポリマ
ー繊維についてみると比較的高分子量のポリマー
を用いたものでも延伸糸強度がせいぜい9.2〜9.3
g/d程度であり、これより低分子量領域で高倍
率延伸により9.5g/d前後の強力を得ているもの
もあるが、これらはその低分子量故に例えばゴム
補強用材として撚糸工程及びデイツプ処理工程を
経るに従つて強度低下が著しいという問題を有し
ていた。 一方耐熱性については、ポリエステル特有の加
水分解を抑制することが必要であり、低カルボキ
シル化等のポリマーの改質と同時に製糸方法の差
による繊維構造の違いも大きく影響する。即ち繊
維構造として結晶化度を高めるとともに、非晶部
の配向を高め構造を堅固にした結晶非晶の差の少
ない均質な繊維が好ましい。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、高強力であり、かつ、耐熱性
の改良された均質な工業用ポリエステル繊維を提
供することであり、さらに高分子量ポリマーを用
いて、高強力であり、かつ耐熱性の各改良された
均質な工業用ポリエステル繊維を製造する方法を
提供することである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは各種のポリエステル繊維に関して
種々の科学処理を施した状態での繊維の表面形状
を検討したところ、一定の条件下において、エチ
ルアミン処理を行つた後の表面状態が、強力、耐
熱性と極めてよい相関があることを見い出し、こ
の表面形状を特定のものとすることにより目的と
する高強力でかつ、耐熱性の改良された工業用ポ
リエステル繊維が得られることを見い出し、本発
明に到達した。 即ち本発明の第1の発明は、高粘度ポリマーを
紡糸後、遅延冷却し複屈折率を250×10-5以下と
した低配向未延伸糸を高倍率、かつ均一に延伸し
て得た延伸糸からなる極限粘度0.92以上、複屈折
0.19以上のポリエステル繊維であり、該繊維を封
管中でエチルアミンの60重量%水溶液に30℃で20
時間浸漬し、次いで水及びエチルアルコールで洗
浄した後風乾し、電子顕微鏡で500倍に拡大して
観察した際に、繊維の表面に、不規則亀裂がな
く、かつ、繊維軸方向に対して直角方向の亀裂の
数が繊維長200μm当り平均して5ケ以下である
ことを特徴とするポリエステル繊維である。 さらに本発明の第2の発明はエチレンテレフタ
レートを主たる繰り返し単位とする極限粘度0.95
以上の溶融状ポリエステルを溶融温度を280〜300
℃に保持してギアポンプに供給し、該ギアポンプ
によつて圧力を400〜1200Kg/cm2Gに昇圧して紡糸
パツクに供給し、続いて紡糸口金より340℃以上
の加温帯域中に紡出し、冷却、固化せしめた後、
300〜700m/分で引取ることにより複屈折率が
250×10-5以下の未延伸糸を得、しかる後、加熱
蒸気を噴射すると同時に4倍以上に延伸すること
を特徴とするポリエステル繊維の製造法である。 従来、繊維構造を調べる手段としては、X線回
折率が多く用いられているが、X線回折と繊維物
性に一次的な相関がない場合でも、例えば繊維の
耐加水分解性等は変化しており、これらの事実は
超ミクロンでない微細構造をも考慮してやる必要
性を示唆している。 高分子固体が加溶媒分解反応に非常に敏感であ
ることを利用して微細構造の解明を行おうとする
試みが多数なされている。例えば繊維表面の結晶
部を非晶部を選択的にエツチングできれば直接的
に微細構造を知ることが可能である。これらの1
つとしてポリエステルをアミン等で処理して、電
子顕微鏡でその表面状態を観察する方法がある
(阿部、坂元、高分子論文集、35、587〜593
(1978)、阿部、坂元、高分子論文集、33、263〜
269(1976)。本研究者らは、これらの手段を更に
多角的に検討したところ、アミンによる処理条件
を選択してやることにより、非常に正確に繊維の
表面状態と所定の特性を関連づけることが可能で
あることを見い出した。 本発明での工業用ポリエステル繊維に対する最
適処理条件としては、エチルアミンの60重量%水
用液で、30℃封管中で20時間浸漬を行う。エチル
アミンの濃度、処理温度、処理時間が大きすぎた
り小さすぎたりして処理条件が不適当であると、
所望の選択的エツチングは達成されない。エチル
アミン処理後は、水洗浄及び、エチルアルコール
洗浄を実施後、風乾を行う。 以上のように、ポリエステル繊維に対してエチ
ルアミン処理を施すと、ポリエステル繊維の表面
が選択的にエツチングされ、電子顕微鏡での500
倍の拡大写真で、繊維の表面に明確な亀裂が観察
される。 亀裂の状態は種々多様であり、亀裂の方向及び
数は、製糸条件により大きく影響される。 以下亀裂の内容について説明すると、まず、不
規則亀裂とは繊維軸方向及び繊維軸と直角方向以
外の方向への亀裂を指し、不規則亀裂がないとい
う状態は、亀裂が実質的に繊維軸方向及び繊維軸
と垂直方向のものから成ることを指す。 第1図に不規則亀裂のない例、第2図に不規則
亀裂の例を示す。 次に繊維軸方向に対して直角方向の亀裂の数え
方であるが、写真上で観察され得るもののみを対
象とし、また繊維軸方向の亀裂をはさんで観察さ
れる亀裂のうちち繊維軸方向の200μm以内にあ
るものは、1つの亀裂として数えるものとする。
即ち第3図Aでは5ケ、Bでは4ケと数える。 これら不規則亀裂の有無や、亀裂の数は、ポリ
エステル繊維がゴム構造物補強用材料として用い
られる時の重要特性であるデイツプ処理後のコー
ド強力(処理コード強力)や、デイツプ処理後の
ゴードをゴム中に埋め込んで、高温で加硫した後
の残存強力(耐熱強力)と極めて良好な対応関係
を示す。第4図は処理コード強力、耐熱強力と亀
裂の数、不規則亀裂の有無の対応を示すものであ
るが、亀裂の数の減少とともに処理コード強力・
耐熱強力が向上すること、又不規則亀裂の有無は
耐熱強力により顕著に影響し、不規則亀裂のない
ものは、より高い耐熱強力を有することが示され
ている。 このようにアミン処理において不規則亀裂がな
く、かつ亀裂の数が少ないようなアミンに侵され
にくい構造とすることが、ゴム構造物補強用繊維
としての好ましい高強力高耐熱性をもたらすと言
える。 本発明のポリエステル繊維のエチルアミン処理
後の表面形状は不規則亀裂がなく、繊維軸方向に
対して直角方向の亀裂の数が繊維長200μm当り
平均して5ケ以下であり、このような特徴を有す
る本発明のポリエステル繊維は高強力で耐熱性が
秀れており工業用繊維として極めて有用である。 本発明で用いるポリエステルとはα−ω−グリ
コールとジカルボン酸とから得られる高分子ポリ
エステル、特にポリメチレングリコールと芳香族
ジカルボン酸とから得られる高分子ポリエステル
のうち任意のものを意味する。これらのうちもつ
とも代表的なものはエチレングリコールとテレフ
タール酸とから得られるポリエチレンテレフタレ
ートが挙げられる。 本発明のポリエステル繊維の極限粘度は0.92以
上好ましくは、0.93以上である。極限粘度が0.92
以下ではデイツプ処理時の強力維持率やゴム中で
の耐加水分解性、耐アミン分解性の面から充分な
強力や耐熱性を保ち得ない。 一方未端カルボキシル基濃度は、15当量/106
グラム以下とすることが望しい。15当量/106グ
ラムを越えると化学的安定性が不充分であり、特
に耐熱性が劣つたものとなる。 低カルボキシル基化の手段は公知の種々の方法
を採用することが可能である。たとえば (1) 特公昭44−27911号公報の如く溶融状態のポ
リエステルにフエニルグリシジルエーテルを反
応させる方法 (2) 特公昭45−41235号公報の如く溶融状態のポ
リエステルに線状ポリエステルカーボネートを
反応させる方法 (3) 特公昭47−12891号公報の如くポリエステル
にエチレンオキサイドを反応させる方法 (4) 特公昭48−35953号公報の如くポリエステル
にシユウ酸のグリコールエステル又はシユウ酸
ポリエステルを反応させる方法 (5) 特公昭48−41713号公報の如くポリエステル
に環状カーボネートを反応させる方法 (6) 特公昭49−5233号公報の如くポリエステルに
ジアリールオキザレート類及び/又はジアリー
ルマロネート類とジアリールカーボネート類を
反応させる方法 (7) 米国特許第3193522号の如くポリエステルに
カルボジイミドを反応させる方法 (8) 特開昭55−145734号公報の如くビス環状イミ
ノエーテルを反応させる方法 など所望の極限粘度や未端カルボキシル基量に応
じて随時採用することが可能である。特に、得ら
れる成型物の着色を避け、成型中での添加剤の分
解による発泡がなく、重合度を低下させずに、未
端カルボキシル基量を15当量/106グラム以下に
する方法が好適である。 さらに本発明のポリエステル繊維では、充分な
強力と耐熱性をもたせる為に、非晶部の配向度を
高くすることが不可欠であり、複屈折で0.19以上
が必要である。これは第1に所望する高強力を達
成する為のものであるが、同時に前述の低カルボ
キシル基化による化学的安定性の向上に加えて、
非晶部分の配向アツプにより構造的安定化を図る
為であり、両者の相剰効果により耐熱性の飛躍的
向上が可能となる。複屈折が0.19に達しないと強
力的にも耐熱性にも不充分なものしか得られな
い。 次に本発明のポリエステル繊維の製造方法につ
いて述べる。 極限粘度が0.95以上、好ましくは0.98以上の高
分子量の溶融状ポリエステルを比較的低い溶融温
度280〜300℃、好ましくは280〜290℃に維持して
ギアポンプへ供給し、さらに該ギアポンプにより
400〜1200Kg/cm2Gの高圧力状態で紡糸パツク及び
これに続く紡糸口金へ供給する。溶融温度が280
℃以下の場合は紡糸口金より吐出するポリマーの
粘度が高過ぎる為、得られる未延伸糸の均一性に
問題があり延伸工程での糸切れ等をひき起こし、
一方溶融温度を300℃以上とすると紡糸口金から
吐出するまでの高温での滞留時間が大きくなり、
目的とする高分子量の延伸糸が得られない。さら
にギアポンプ、紡糸パツク、紡糸口金での圧力損
失も同様の効果を有する。即ち、400〜1200Kg/cm2
Gの圧力損失により、極端な分子量低下をひき起
こすことなく高分子量ポリマーの紡糸の為の最適
な紡糸温度が得られる。紡糸口金部分のポリマー
温度は310〜330℃の範囲である。 紡糸口金より吐出されたポリマーは高温の加熱
帯域を通して後、冷却装置で冷却固化させる。加
温帯は長さ200〜500mmで、表面付近の空気温度が
340℃以上となるようにした円筒型の加熱ヒータ
ーである。この加熱帯は、口金面の保温とともに
吐出された高極限粘度糸条を高温に保持し冷却を
遅延させることにより紡糸張力を下げ、得られる
未延伸糸条の配向度を下げるものである。 冷却装置は糸条を均一に冷却できるものであれ
ばいかなる形状のものでもよい。 冷却固化された糸条は通常のオイリング装置に
よつてオイリング処理された後比較的低い速度で
引き取られ、しかる後延伸工程へ供給される。引
取速度は未延伸糸の結晶化を抑制し、配向度を低
下させる為に出来るだけ低速にすることが有利で
あるが、生産性も加味して300〜700m/分とする
のがよい。 以上の如く、通常の高分子量ポリエステルに対
する溶融温度に比較して低い溶融温度(280〜300
℃)、通常の溶融紡糸での圧力損失(パツク圧力)
に比較して高い圧力損失(400〜1200Kg/cm2G)、
口金下の加熱帯域での比較的高温での加熱(340
℃以上)、及び比較的低速での引き取り(300〜
700m/分)を採用することにより、高分子量ポ
リエステルの紡糸を安定して行うとともに、高い
極限粘度を有するとともに、高倍率延伸に耐え得
る配向度の低い(複屈折にして250×10-5以下)
の均質な未延伸糸を得ることが可能であり、本発
明のポリエステル繊維を得る為の第1の重要なポ
イントである。 本発明のポリエステル繊維を得る為の第2のポ
イントは上述の方法により得られた未延伸糸を高
倍率で均一延伸することであり、このために加熱
蒸気を噴射すると同時に4倍以上に延伸する方法
を採用する。 加熱蒸気延伸は延伸ローラ間に加熱蒸気噴射装
置を配置し未延伸糸に加熱蒸気を噴射して糸温度
を一気にガラス転移点以上に昇温し、延伸点を加
熱蒸気噴射点付近に固定して該ローラ間で4倍以
上に延伸を行うものである。加熱蒸気噴射装置と
しては糸条に対して加加熱蒸気を均一に噴射させ
ることが可能であればいかなる形状のものでよ
い。例えば、1〜5mmのスリツトを備えた噴射装
置で熱効率向上の為に糸条の通過部以外を閉鎖構
造としたものなどがある。また加熱蒸気としては
温度350〜550℃、圧力1.5〜10Kg/cm2Gが好まし
い。温度350℃以下、圧力1.5Kg/cm2以下では均一
延伸の為の熱量が不充分であり、温度が550℃を
越え、圧力が10Kg/cm2を越えると、熱量過大の為
に糸条の融着等が発生する。加熱蒸気による延伸
に続いて、加熱ローラ等から成る熱処理装置へと
糸条を進めるが、加熱蒸気による延伸に際して同
時にかなりの熱処理も受けており、過度の熱処理
は不要であり、加熱ローラの温度は150〜220℃で
十分である。 このような高倍率かつ均一な延伸により、複屈
折にして0.190以上の極めて高配向のポリエステ
ル繊維を得ることができる。ここで0.190より小
さい配向度のものは、耐熱性の点で劣つたものと
なる。上記製造方法と得られたポリエステル繊維
のエチルアミン処理後の表面形状との対応に関し
て述べると、本発明の溶融紡糸方法と延伸方法の
組み合わせ効果により、不規則亀裂がなく、亀裂
の数の少ないポリエステル繊維が得られるもので
あるが、強いて挙げるならば溶融紡糸方法が亀裂
の数に、又、高倍率・均一延伸が不規則亀裂の抑
制に効いていると推定される。 本発明での製糸方式としては上に述べた直接紡
糸延伸方式が最適であるが、紡糸と延伸を分離し
て行つてもさつかえない。また延伸方式としては
1段延伸において最もその効果が顕著であるが2
段以上の延伸方式も可能である。 本発明により得られるポリエステル繊維、即ち
高分子量ポリエステルを低温で溶融し高い圧力損
失を経て紡糸し、加熱蒸気を用いて延伸したポリ
エステル繊維は、エチルアミン処理に対してその
表面形状に不規則亀裂がなく、繊維軸方向に対し
て直角方向の亀裂の数が、繊維長200μm当り平
均して5ケ以下という従来のポリエステル繊維に
ない特徴を有する。 さらにこれらのポリエステル繊維について工業
用繊維としての一般的な物性の評価を行つたとこ
ろ延伸糸強度、生コード強力、処理コード強力、
高温加硫(180℃)後強力等が従来のポリエステ
ル繊維に比較して極めて秀れていることが分つ
た。これらの評価結果は本発明のポリエステル繊
維が工業用途、特にゴム構造物補強用繊維として
最適であることを示している。 (実施例) 以下実施例により、さらに詳細に本発明を説明
する。 なお本発明における極限粘度は35℃のオルソク
ロロフエノール溶液にて測定したものであり、未
端カルボキシル基濃度はエーコニツクス(A.
Conix)の方法(Makromol.Chem.26、226、
(1958))によつて測定した。また複屈折は偏光顕
微鏡を用い、ブロムナフタレンを浸漬液とし、ベ
レツクコンペンセーターを用いたリターデーシヨ
ン法により測定した。 実施例 1 極限粘度が1.1のポリエチレンテレフタレート
チツプを溶融し、溶融温度を285℃に維持してギ
アポンプに供給し、紡糸パツクを経て、紡糸口金
より紡糸した。この際紡糸パツク内に通常の金網
フイルター及びサンドを挿入しポリマーの昇圧と
ろ過を行つた。紡糸パツク直前におけるポリマー
の圧力は800Kg/cm2Gであり、ポリマーの温度は
315℃であつた。また紡糸口金は直径0.5mmの細孔
250個から成るものであり、吐出量は20.2Kg/時
間であつた。吐出させた糸条を通常の加温帯域、
冷却装置を通過させ、オイリング処理を施した後
供給ローラに捲回し、さらに延伸ローラとの間で
加熱蒸気を噴射して6倍に延伸し、冷却ローラを
経て、2000m/分で巻き取つた。加熱蒸気は温度
400℃、圧力3Kg/cm2Gであり、延伸ローラの温度
は160℃であつた。得られた延伸糸は1500デニー
ルであり、その極限粘度は0.96であつた。 この延伸糸にエチルアミン処理(60重量%水溶
液、30℃、20時間)を施した後、電子顕微鏡で
500倍に拡大して表面状態を観察すると、表面の
亀裂は規則的であり、かつその数は少なかつた。
即ち繊維軸方向に対して直角の亀裂は200μm当
り0.5ケであり、繊維軸方向の亀裂は規則的であ
つた。 又、エチルアミン処理前の延伸糸の物性は強度
9.6g/d、伸度14.5%であり、この延伸糸を2本
合わせて40S×40ZT/10cmの撚りをかけた生コ
ードに通常の接着剤処理を行つた処理コードは、
強力25.2Kg、伸度19.5%と従来のポリエステル繊
維に比較して極めて秀れていることが判明した。 さらにこの処理コードを未加硫のゴムに埋め込
み170℃で、120分間、加硫(プレス圧力50Kg/
cm2)した後、コードを取り出し残存強力を測定し
たところ極めて高水準の強力を維持していた(第
1表参照)。 実施例 2 実施例1と同様の方法にて極限粘度が0.98のポ
リエチレンテレフタレートチツプを用いて溶融紡
糸直接延伸を実施した。溶融温度は同じ285℃、
紡糸パツク前のポリマーは圧力600Kg/cm2、温度
310℃であつた。延伸は400℃、3Kg/cm2の加熱蒸
気を用いて実施例1と同様の方法にて実施した。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の電子顕
微鏡写真における表面状態は亀裂が規則的であ
り、繊維軸方向に対して直角の亀裂の数は200μ
m当り、2.0ケであつた。 また、延伸糸、生コード、処理コードの強力、
伸度及び高温加硫後の強力保持率も良好な水準を
示した(第1表参照)。 実施例 3 実施例1と同様の方法にて溶融紡糸直接延伸を
実施した。この際、吐出量を調節するとともも
に、延伸速度を2500m/分とした。溶融温度は
285℃、紡糸パツク前のポリマーは圧力500Kg/cm2、
温度318℃であつた。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の表面形
状は良好であり、又処理コードの性能も秀れたも
のであつた(第1表参照)。 比較例 1 極限粘度が1.1のポリエチレンテレフタレート
チツプを用いて実施例1と同様のプロセスによる
溶融紡糸を行つた。ここで溶融温度は310℃、紡
糸パツク直前のポリマーは温度が317℃、圧力が
200Kg/cm2であつた。紡糸に引き続いて加熱ローラ
により6.0倍に延伸した。この延伸は加熱ローラ
の温度を70〜140℃まで調整することにより2段
階に分けて実施した。ここでは第1段目を加熱ロ
ーラ温度80℃、第2段目を加熱ローラ120℃とし
た。第2段目の延伸ローラ温度は180℃とした。 得られた延伸糸を実施例1と同様のエチルアミ
ン処理を行つた後、電子顕微鏡写真における表面
状態を観察すると、亀裂が極めて不規則であり、
かつ、その数は極めて多かつた。 また延伸糸、生コード、処理コードの強力、伸
度、さらに耐加硫性を示す残存強力もかなり低水
準であつた(第1表参照)。 比較例 2 比較例1と同様の方法で溶融紡糸を行い実施例
1と同じ加熱水蒸気延伸を実施した。得られた延
伸糸のエチルアミン処理後の電子顕微鏡写真によ
ると比較例1よりは規則的な亀裂を示すが200μ
m当り平均して8.5ケの繊維軸に直角な亀裂が認
められた。 この延伸糸、生コード、処理コードの強力、伸
度及び耐加硫性は第1表に示す通り比較例1より
は改善されているが本発明によるものと比較する
とかなり劣つていることがわかる。 比較例 3 極限粘度が1.1のポリエチレンテレフタレート
チツプを用いて溶融温度305℃、紡パツク直前の
ポリマー温度314℃、圧力320Kg/cm2Gの条件での
溶融紡糸を行い、加熱蒸気延伸を行つた。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の表面形
状は、亀裂は規則的であるが、繊維軸方向に対し
て直角方向の亀裂は繊維長さ200μm当り6.0ケで
あつた。また、延伸糸、コードの強力、高温加硫
後の強力も、第1表に示す如く、本発明のものと
比較していずれも劣つていた。 比較例 4 実施例1と同じ方法で溶融紡糸した後、比較例
1と同じ方法で直接延伸を行つた。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の表面形
状は、亀裂が不規則であり、かつ繊維軸方向に対
して直角方向の亀裂は200μm当り7.0ケであつた。
又、コード性能も本発明のものと比較して劣つて
いた(第1表参照)。
する。更に詳しくは工業用繊維とて必要な高強力
を有し、寸法安定性、耐熱性等の特性に秀れた高
品質かつ均質なポリエステル繊維及びその製造法
に関する。 (従来の技術) 一般に、ポリエステル繊維はその高強度、高ヤ
ング率及び秀れた寸法安定性等により、各種の工
業用材料として広く用いられており、とりわけタ
イヤコード、コンベアベルト、Vベルトコード等
のゴム構造物補強用材料として好ましく用いられ
る。 これらの工業用材料に最も要求される特性は高
強力であり、さらにゴム構造物補強用材料のよう
にゴム中での補強材として用いられる場合は、ゴ
ム構造物の成型プロセスである加硫工程での高温
処理や最終製品で用いられる場合の内部発熱によ
り高温下にさらされることが多く、耐熱性も極め
て重要視される。ここで問題となるのは熱による
強度の低下であり、ポリエステルの加水分解反応
が、高温下及びゴム中のアミンの存在下で著しく
促進されることである。 従来、繊維高強力化の方策としては、ポリマー
の分子量を高めることが一般的であり、これによ
り延伸糸での強合アツプとともに、撚糸してコー
ドにした時の強力利用率の向上も可能であつた。
この為加熱紡糸筒等の種々の紡糸方式が採用され
ているが、一定レベル以上の分子量では溶融ポリ
マーの溶融融粘度が高くなり、紡糸性が極めて低
下し、これから得られる延伸糸は低品質のものし
か得られなかつた。一方、紡糸性を向上させるべ
く溶融温度をあげると熱分解で分子量が低下し、
目的とする高分子量の繊維が得られないという問
題があつた。一般に市販されている工業用ポリマ
ー繊維についてみると比較的高分子量のポリマー
を用いたものでも延伸糸強度がせいぜい9.2〜9.3
g/d程度であり、これより低分子量領域で高倍
率延伸により9.5g/d前後の強力を得ているもの
もあるが、これらはその低分子量故に例えばゴム
補強用材として撚糸工程及びデイツプ処理工程を
経るに従つて強度低下が著しいという問題を有し
ていた。 一方耐熱性については、ポリエステル特有の加
水分解を抑制することが必要であり、低カルボキ
シル化等のポリマーの改質と同時に製糸方法の差
による繊維構造の違いも大きく影響する。即ち繊
維構造として結晶化度を高めるとともに、非晶部
の配向を高め構造を堅固にした結晶非晶の差の少
ない均質な繊維が好ましい。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、高強力であり、かつ、耐熱性
の改良された均質な工業用ポリエステル繊維を提
供することであり、さらに高分子量ポリマーを用
いて、高強力であり、かつ耐熱性の各改良された
均質な工業用ポリエステル繊維を製造する方法を
提供することである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは各種のポリエステル繊維に関して
種々の科学処理を施した状態での繊維の表面形状
を検討したところ、一定の条件下において、エチ
ルアミン処理を行つた後の表面状態が、強力、耐
熱性と極めてよい相関があることを見い出し、こ
の表面形状を特定のものとすることにより目的と
する高強力でかつ、耐熱性の改良された工業用ポ
リエステル繊維が得られることを見い出し、本発
明に到達した。 即ち本発明の第1の発明は、高粘度ポリマーを
紡糸後、遅延冷却し複屈折率を250×10-5以下と
した低配向未延伸糸を高倍率、かつ均一に延伸し
て得た延伸糸からなる極限粘度0.92以上、複屈折
0.19以上のポリエステル繊維であり、該繊維を封
管中でエチルアミンの60重量%水溶液に30℃で20
時間浸漬し、次いで水及びエチルアルコールで洗
浄した後風乾し、電子顕微鏡で500倍に拡大して
観察した際に、繊維の表面に、不規則亀裂がな
く、かつ、繊維軸方向に対して直角方向の亀裂の
数が繊維長200μm当り平均して5ケ以下である
ことを特徴とするポリエステル繊維である。 さらに本発明の第2の発明はエチレンテレフタ
レートを主たる繰り返し単位とする極限粘度0.95
以上の溶融状ポリエステルを溶融温度を280〜300
℃に保持してギアポンプに供給し、該ギアポンプ
によつて圧力を400〜1200Kg/cm2Gに昇圧して紡糸
パツクに供給し、続いて紡糸口金より340℃以上
の加温帯域中に紡出し、冷却、固化せしめた後、
300〜700m/分で引取ることにより複屈折率が
250×10-5以下の未延伸糸を得、しかる後、加熱
蒸気を噴射すると同時に4倍以上に延伸すること
を特徴とするポリエステル繊維の製造法である。 従来、繊維構造を調べる手段としては、X線回
折率が多く用いられているが、X線回折と繊維物
性に一次的な相関がない場合でも、例えば繊維の
耐加水分解性等は変化しており、これらの事実は
超ミクロンでない微細構造をも考慮してやる必要
性を示唆している。 高分子固体が加溶媒分解反応に非常に敏感であ
ることを利用して微細構造の解明を行おうとする
試みが多数なされている。例えば繊維表面の結晶
部を非晶部を選択的にエツチングできれば直接的
に微細構造を知ることが可能である。これらの1
つとしてポリエステルをアミン等で処理して、電
子顕微鏡でその表面状態を観察する方法がある
(阿部、坂元、高分子論文集、35、587〜593
(1978)、阿部、坂元、高分子論文集、33、263〜
269(1976)。本研究者らは、これらの手段を更に
多角的に検討したところ、アミンによる処理条件
を選択してやることにより、非常に正確に繊維の
表面状態と所定の特性を関連づけることが可能で
あることを見い出した。 本発明での工業用ポリエステル繊維に対する最
適処理条件としては、エチルアミンの60重量%水
用液で、30℃封管中で20時間浸漬を行う。エチル
アミンの濃度、処理温度、処理時間が大きすぎた
り小さすぎたりして処理条件が不適当であると、
所望の選択的エツチングは達成されない。エチル
アミン処理後は、水洗浄及び、エチルアルコール
洗浄を実施後、風乾を行う。 以上のように、ポリエステル繊維に対してエチ
ルアミン処理を施すと、ポリエステル繊維の表面
が選択的にエツチングされ、電子顕微鏡での500
倍の拡大写真で、繊維の表面に明確な亀裂が観察
される。 亀裂の状態は種々多様であり、亀裂の方向及び
数は、製糸条件により大きく影響される。 以下亀裂の内容について説明すると、まず、不
規則亀裂とは繊維軸方向及び繊維軸と直角方向以
外の方向への亀裂を指し、不規則亀裂がないとい
う状態は、亀裂が実質的に繊維軸方向及び繊維軸
と垂直方向のものから成ることを指す。 第1図に不規則亀裂のない例、第2図に不規則
亀裂の例を示す。 次に繊維軸方向に対して直角方向の亀裂の数え
方であるが、写真上で観察され得るもののみを対
象とし、また繊維軸方向の亀裂をはさんで観察さ
れる亀裂のうちち繊維軸方向の200μm以内にあ
るものは、1つの亀裂として数えるものとする。
即ち第3図Aでは5ケ、Bでは4ケと数える。 これら不規則亀裂の有無や、亀裂の数は、ポリ
エステル繊維がゴム構造物補強用材料として用い
られる時の重要特性であるデイツプ処理後のコー
ド強力(処理コード強力)や、デイツプ処理後の
ゴードをゴム中に埋め込んで、高温で加硫した後
の残存強力(耐熱強力)と極めて良好な対応関係
を示す。第4図は処理コード強力、耐熱強力と亀
裂の数、不規則亀裂の有無の対応を示すものであ
るが、亀裂の数の減少とともに処理コード強力・
耐熱強力が向上すること、又不規則亀裂の有無は
耐熱強力により顕著に影響し、不規則亀裂のない
ものは、より高い耐熱強力を有することが示され
ている。 このようにアミン処理において不規則亀裂がな
く、かつ亀裂の数が少ないようなアミンに侵され
にくい構造とすることが、ゴム構造物補強用繊維
としての好ましい高強力高耐熱性をもたらすと言
える。 本発明のポリエステル繊維のエチルアミン処理
後の表面形状は不規則亀裂がなく、繊維軸方向に
対して直角方向の亀裂の数が繊維長200μm当り
平均して5ケ以下であり、このような特徴を有す
る本発明のポリエステル繊維は高強力で耐熱性が
秀れており工業用繊維として極めて有用である。 本発明で用いるポリエステルとはα−ω−グリ
コールとジカルボン酸とから得られる高分子ポリ
エステル、特にポリメチレングリコールと芳香族
ジカルボン酸とから得られる高分子ポリエステル
のうち任意のものを意味する。これらのうちもつ
とも代表的なものはエチレングリコールとテレフ
タール酸とから得られるポリエチレンテレフタレ
ートが挙げられる。 本発明のポリエステル繊維の極限粘度は0.92以
上好ましくは、0.93以上である。極限粘度が0.92
以下ではデイツプ処理時の強力維持率やゴム中で
の耐加水分解性、耐アミン分解性の面から充分な
強力や耐熱性を保ち得ない。 一方未端カルボキシル基濃度は、15当量/106
グラム以下とすることが望しい。15当量/106グ
ラムを越えると化学的安定性が不充分であり、特
に耐熱性が劣つたものとなる。 低カルボキシル基化の手段は公知の種々の方法
を採用することが可能である。たとえば (1) 特公昭44−27911号公報の如く溶融状態のポ
リエステルにフエニルグリシジルエーテルを反
応させる方法 (2) 特公昭45−41235号公報の如く溶融状態のポ
リエステルに線状ポリエステルカーボネートを
反応させる方法 (3) 特公昭47−12891号公報の如くポリエステル
にエチレンオキサイドを反応させる方法 (4) 特公昭48−35953号公報の如くポリエステル
にシユウ酸のグリコールエステル又はシユウ酸
ポリエステルを反応させる方法 (5) 特公昭48−41713号公報の如くポリエステル
に環状カーボネートを反応させる方法 (6) 特公昭49−5233号公報の如くポリエステルに
ジアリールオキザレート類及び/又はジアリー
ルマロネート類とジアリールカーボネート類を
反応させる方法 (7) 米国特許第3193522号の如くポリエステルに
カルボジイミドを反応させる方法 (8) 特開昭55−145734号公報の如くビス環状イミ
ノエーテルを反応させる方法 など所望の極限粘度や未端カルボキシル基量に応
じて随時採用することが可能である。特に、得ら
れる成型物の着色を避け、成型中での添加剤の分
解による発泡がなく、重合度を低下させずに、未
端カルボキシル基量を15当量/106グラム以下に
する方法が好適である。 さらに本発明のポリエステル繊維では、充分な
強力と耐熱性をもたせる為に、非晶部の配向度を
高くすることが不可欠であり、複屈折で0.19以上
が必要である。これは第1に所望する高強力を達
成する為のものであるが、同時に前述の低カルボ
キシル基化による化学的安定性の向上に加えて、
非晶部分の配向アツプにより構造的安定化を図る
為であり、両者の相剰効果により耐熱性の飛躍的
向上が可能となる。複屈折が0.19に達しないと強
力的にも耐熱性にも不充分なものしか得られな
い。 次に本発明のポリエステル繊維の製造方法につ
いて述べる。 極限粘度が0.95以上、好ましくは0.98以上の高
分子量の溶融状ポリエステルを比較的低い溶融温
度280〜300℃、好ましくは280〜290℃に維持して
ギアポンプへ供給し、さらに該ギアポンプにより
400〜1200Kg/cm2Gの高圧力状態で紡糸パツク及び
これに続く紡糸口金へ供給する。溶融温度が280
℃以下の場合は紡糸口金より吐出するポリマーの
粘度が高過ぎる為、得られる未延伸糸の均一性に
問題があり延伸工程での糸切れ等をひき起こし、
一方溶融温度を300℃以上とすると紡糸口金から
吐出するまでの高温での滞留時間が大きくなり、
目的とする高分子量の延伸糸が得られない。さら
にギアポンプ、紡糸パツク、紡糸口金での圧力損
失も同様の効果を有する。即ち、400〜1200Kg/cm2
Gの圧力損失により、極端な分子量低下をひき起
こすことなく高分子量ポリマーの紡糸の為の最適
な紡糸温度が得られる。紡糸口金部分のポリマー
温度は310〜330℃の範囲である。 紡糸口金より吐出されたポリマーは高温の加熱
帯域を通して後、冷却装置で冷却固化させる。加
温帯は長さ200〜500mmで、表面付近の空気温度が
340℃以上となるようにした円筒型の加熱ヒータ
ーである。この加熱帯は、口金面の保温とともに
吐出された高極限粘度糸条を高温に保持し冷却を
遅延させることにより紡糸張力を下げ、得られる
未延伸糸条の配向度を下げるものである。 冷却装置は糸条を均一に冷却できるものであれ
ばいかなる形状のものでもよい。 冷却固化された糸条は通常のオイリング装置に
よつてオイリング処理された後比較的低い速度で
引き取られ、しかる後延伸工程へ供給される。引
取速度は未延伸糸の結晶化を抑制し、配向度を低
下させる為に出来るだけ低速にすることが有利で
あるが、生産性も加味して300〜700m/分とする
のがよい。 以上の如く、通常の高分子量ポリエステルに対
する溶融温度に比較して低い溶融温度(280〜300
℃)、通常の溶融紡糸での圧力損失(パツク圧力)
に比較して高い圧力損失(400〜1200Kg/cm2G)、
口金下の加熱帯域での比較的高温での加熱(340
℃以上)、及び比較的低速での引き取り(300〜
700m/分)を採用することにより、高分子量ポ
リエステルの紡糸を安定して行うとともに、高い
極限粘度を有するとともに、高倍率延伸に耐え得
る配向度の低い(複屈折にして250×10-5以下)
の均質な未延伸糸を得ることが可能であり、本発
明のポリエステル繊維を得る為の第1の重要なポ
イントである。 本発明のポリエステル繊維を得る為の第2のポ
イントは上述の方法により得られた未延伸糸を高
倍率で均一延伸することであり、このために加熱
蒸気を噴射すると同時に4倍以上に延伸する方法
を採用する。 加熱蒸気延伸は延伸ローラ間に加熱蒸気噴射装
置を配置し未延伸糸に加熱蒸気を噴射して糸温度
を一気にガラス転移点以上に昇温し、延伸点を加
熱蒸気噴射点付近に固定して該ローラ間で4倍以
上に延伸を行うものである。加熱蒸気噴射装置と
しては糸条に対して加加熱蒸気を均一に噴射させ
ることが可能であればいかなる形状のものでよ
い。例えば、1〜5mmのスリツトを備えた噴射装
置で熱効率向上の為に糸条の通過部以外を閉鎖構
造としたものなどがある。また加熱蒸気としては
温度350〜550℃、圧力1.5〜10Kg/cm2Gが好まし
い。温度350℃以下、圧力1.5Kg/cm2以下では均一
延伸の為の熱量が不充分であり、温度が550℃を
越え、圧力が10Kg/cm2を越えると、熱量過大の為
に糸条の融着等が発生する。加熱蒸気による延伸
に続いて、加熱ローラ等から成る熱処理装置へと
糸条を進めるが、加熱蒸気による延伸に際して同
時にかなりの熱処理も受けており、過度の熱処理
は不要であり、加熱ローラの温度は150〜220℃で
十分である。 このような高倍率かつ均一な延伸により、複屈
折にして0.190以上の極めて高配向のポリエステ
ル繊維を得ることができる。ここで0.190より小
さい配向度のものは、耐熱性の点で劣つたものと
なる。上記製造方法と得られたポリエステル繊維
のエチルアミン処理後の表面形状との対応に関し
て述べると、本発明の溶融紡糸方法と延伸方法の
組み合わせ効果により、不規則亀裂がなく、亀裂
の数の少ないポリエステル繊維が得られるもので
あるが、強いて挙げるならば溶融紡糸方法が亀裂
の数に、又、高倍率・均一延伸が不規則亀裂の抑
制に効いていると推定される。 本発明での製糸方式としては上に述べた直接紡
糸延伸方式が最適であるが、紡糸と延伸を分離し
て行つてもさつかえない。また延伸方式としては
1段延伸において最もその効果が顕著であるが2
段以上の延伸方式も可能である。 本発明により得られるポリエステル繊維、即ち
高分子量ポリエステルを低温で溶融し高い圧力損
失を経て紡糸し、加熱蒸気を用いて延伸したポリ
エステル繊維は、エチルアミン処理に対してその
表面形状に不規則亀裂がなく、繊維軸方向に対し
て直角方向の亀裂の数が、繊維長200μm当り平
均して5ケ以下という従来のポリエステル繊維に
ない特徴を有する。 さらにこれらのポリエステル繊維について工業
用繊維としての一般的な物性の評価を行つたとこ
ろ延伸糸強度、生コード強力、処理コード強力、
高温加硫(180℃)後強力等が従来のポリエステ
ル繊維に比較して極めて秀れていることが分つ
た。これらの評価結果は本発明のポリエステル繊
維が工業用途、特にゴム構造物補強用繊維として
最適であることを示している。 (実施例) 以下実施例により、さらに詳細に本発明を説明
する。 なお本発明における極限粘度は35℃のオルソク
ロロフエノール溶液にて測定したものであり、未
端カルボキシル基濃度はエーコニツクス(A.
Conix)の方法(Makromol.Chem.26、226、
(1958))によつて測定した。また複屈折は偏光顕
微鏡を用い、ブロムナフタレンを浸漬液とし、ベ
レツクコンペンセーターを用いたリターデーシヨ
ン法により測定した。 実施例 1 極限粘度が1.1のポリエチレンテレフタレート
チツプを溶融し、溶融温度を285℃に維持してギ
アポンプに供給し、紡糸パツクを経て、紡糸口金
より紡糸した。この際紡糸パツク内に通常の金網
フイルター及びサンドを挿入しポリマーの昇圧と
ろ過を行つた。紡糸パツク直前におけるポリマー
の圧力は800Kg/cm2Gであり、ポリマーの温度は
315℃であつた。また紡糸口金は直径0.5mmの細孔
250個から成るものであり、吐出量は20.2Kg/時
間であつた。吐出させた糸条を通常の加温帯域、
冷却装置を通過させ、オイリング処理を施した後
供給ローラに捲回し、さらに延伸ローラとの間で
加熱蒸気を噴射して6倍に延伸し、冷却ローラを
経て、2000m/分で巻き取つた。加熱蒸気は温度
400℃、圧力3Kg/cm2Gであり、延伸ローラの温度
は160℃であつた。得られた延伸糸は1500デニー
ルであり、その極限粘度は0.96であつた。 この延伸糸にエチルアミン処理(60重量%水溶
液、30℃、20時間)を施した後、電子顕微鏡で
500倍に拡大して表面状態を観察すると、表面の
亀裂は規則的であり、かつその数は少なかつた。
即ち繊維軸方向に対して直角の亀裂は200μm当
り0.5ケであり、繊維軸方向の亀裂は規則的であ
つた。 又、エチルアミン処理前の延伸糸の物性は強度
9.6g/d、伸度14.5%であり、この延伸糸を2本
合わせて40S×40ZT/10cmの撚りをかけた生コ
ードに通常の接着剤処理を行つた処理コードは、
強力25.2Kg、伸度19.5%と従来のポリエステル繊
維に比較して極めて秀れていることが判明した。 さらにこの処理コードを未加硫のゴムに埋め込
み170℃で、120分間、加硫(プレス圧力50Kg/
cm2)した後、コードを取り出し残存強力を測定し
たところ極めて高水準の強力を維持していた(第
1表参照)。 実施例 2 実施例1と同様の方法にて極限粘度が0.98のポ
リエチレンテレフタレートチツプを用いて溶融紡
糸直接延伸を実施した。溶融温度は同じ285℃、
紡糸パツク前のポリマーは圧力600Kg/cm2、温度
310℃であつた。延伸は400℃、3Kg/cm2の加熱蒸
気を用いて実施例1と同様の方法にて実施した。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の電子顕
微鏡写真における表面状態は亀裂が規則的であ
り、繊維軸方向に対して直角の亀裂の数は200μ
m当り、2.0ケであつた。 また、延伸糸、生コード、処理コードの強力、
伸度及び高温加硫後の強力保持率も良好な水準を
示した(第1表参照)。 実施例 3 実施例1と同様の方法にて溶融紡糸直接延伸を
実施した。この際、吐出量を調節するとともも
に、延伸速度を2500m/分とした。溶融温度は
285℃、紡糸パツク前のポリマーは圧力500Kg/cm2、
温度318℃であつた。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の表面形
状は良好であり、又処理コードの性能も秀れたも
のであつた(第1表参照)。 比較例 1 極限粘度が1.1のポリエチレンテレフタレート
チツプを用いて実施例1と同様のプロセスによる
溶融紡糸を行つた。ここで溶融温度は310℃、紡
糸パツク直前のポリマーは温度が317℃、圧力が
200Kg/cm2であつた。紡糸に引き続いて加熱ローラ
により6.0倍に延伸した。この延伸は加熱ローラ
の温度を70〜140℃まで調整することにより2段
階に分けて実施した。ここでは第1段目を加熱ロ
ーラ温度80℃、第2段目を加熱ローラ120℃とし
た。第2段目の延伸ローラ温度は180℃とした。 得られた延伸糸を実施例1と同様のエチルアミ
ン処理を行つた後、電子顕微鏡写真における表面
状態を観察すると、亀裂が極めて不規則であり、
かつ、その数は極めて多かつた。 また延伸糸、生コード、処理コードの強力、伸
度、さらに耐加硫性を示す残存強力もかなり低水
準であつた(第1表参照)。 比較例 2 比較例1と同様の方法で溶融紡糸を行い実施例
1と同じ加熱水蒸気延伸を実施した。得られた延
伸糸のエチルアミン処理後の電子顕微鏡写真によ
ると比較例1よりは規則的な亀裂を示すが200μ
m当り平均して8.5ケの繊維軸に直角な亀裂が認
められた。 この延伸糸、生コード、処理コードの強力、伸
度及び耐加硫性は第1表に示す通り比較例1より
は改善されているが本発明によるものと比較する
とかなり劣つていることがわかる。 比較例 3 極限粘度が1.1のポリエチレンテレフタレート
チツプを用いて溶融温度305℃、紡パツク直前の
ポリマー温度314℃、圧力320Kg/cm2Gの条件での
溶融紡糸を行い、加熱蒸気延伸を行つた。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の表面形
状は、亀裂は規則的であるが、繊維軸方向に対し
て直角方向の亀裂は繊維長さ200μm当り6.0ケで
あつた。また、延伸糸、コードの強力、高温加硫
後の強力も、第1表に示す如く、本発明のものと
比較していずれも劣つていた。 比較例 4 実施例1と同じ方法で溶融紡糸した後、比較例
1と同じ方法で直接延伸を行つた。 得られた延伸糸のエチルアミン処理後の表面形
状は、亀裂が不規則であり、かつ繊維軸方向に対
して直角方向の亀裂は200μm当り7.0ケであつた。
又、コード性能も本発明のものと比較して劣つて
いた(第1表参照)。
【表】
(発明の効果)
本発明によるポリエステル繊維は極めて高強力
でかつ耐熱性に秀れており、従来のポリエステル
繊維が、タイヤコードとして乗用車用等の小型車
分野に限定されていたのに対してライトトラツ
ク、トラツク、バス用等の中・大型車分野にも使
用可能となり、大幅な用途拡大が期待できる。
でかつ耐熱性に秀れており、従来のポリエステル
繊維が、タイヤコードとして乗用車用等の小型車
分野に限定されていたのに対してライトトラツ
ク、トラツク、バス用等の中・大型車分野にも使
用可能となり、大幅な用途拡大が期待できる。
第1図は、エチルアミン処理による繊維の表面
形状(不規則亀裂のない例)を示す模式図、第2
図はエチルアミン処理による繊維の表面形状(不
規則亀裂)を示す模式図、第3図は亀裂の数え方
を説明するための繊維表面形状を示す模式図、第
4図は亀裂数と処理コード強力、耐熱強力との関
係を示すグラフである。
形状(不規則亀裂のない例)を示す模式図、第2
図はエチルアミン処理による繊維の表面形状(不
規則亀裂)を示す模式図、第3図は亀裂の数え方
を説明するための繊維表面形状を示す模式図、第
4図は亀裂数と処理コード強力、耐熱強力との関
係を示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 高粘度ポリマーを紡糸後、遅延冷却し複屈折
率を250×10-5以下とした低配向未延伸糸を高倍
率、かつ均一に延伸して得た延伸糸からなる極限
粘度0.92以上、複屈折率0.19以上のポリエステル
繊維であつて、該繊維を封管中でエチルアミンの
60重量%水溶液に30℃にて20時間浸液し、次いで
水及びエチチルアルコールで洗浄した後、風乾
し、電子顕微鏡で500倍に拡大して観察した際に、
繊維表面に不規則亀裂がなく、かつ繊維軸方向に
対して直角方向の規則亀裂の数が、繊維長さ
200μm当り平均して5個以下である特性を有す
ることを特徴とするポリエステル繊維。 2 末端カルボキシル基濃度が、15当量/106グ
ラム以下である特許請求の範囲第1項記載のポリ
エステル繊維。 3 ポリエステル繊維が、エチレンテレフタレー
トを主たる繰り返し単位とするポリエステルから
なる特許請求の範囲第1項又は第2項記載のポリ
エステル繊維。 4 極限粘度0.95以上のポリエステルを溶融し、
280〜300℃の溶融温度に保持してギアポンプに供
給し、該ギアポンプによつて圧力を400〜1200Kg/
cm2Gに昇圧して紡糸バツクに供給し、続いて、紡
糸口金から340℃以上の加熱帯域に紡糸し、冷却、
固化せしめた後、300〜700m/分の速度で引き取
ることにより複屈折率250×10-5以下の未延伸糸
を得、しかる後、加熱蒸気を噴射しながら4倍以
上に延伸することを特徴とする特許請求の範囲第
1項記載のポリエステル繊維の製造法。 5 ポリエステルが、エチレンテレフタレートを
主たる繰り返し単位とするものである特許請求の
範囲第4項記載のポリエステル繊維の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21458986A JPS6375110A (ja) | 1986-09-10 | 1986-09-10 | ポリエステル繊維及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21458986A JPS6375110A (ja) | 1986-09-10 | 1986-09-10 | ポリエステル繊維及びその製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6375110A JPS6375110A (ja) | 1988-04-05 |
| JPH0447046B2 true JPH0447046B2 (ja) | 1992-07-31 |
Family
ID=16658218
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21458986A Granted JPS6375110A (ja) | 1986-09-10 | 1986-09-10 | ポリエステル繊維及びその製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6375110A (ja) |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5898419A (ja) * | 1981-12-02 | 1983-06-11 | Touyoubou Pet Koode Kk | 熱寸法安定性および化学安定性にすぐれると同時に高強度を有するポリエステル繊維 |
| EP0103996B1 (en) * | 1982-09-17 | 1988-09-21 | Imperial Chemical Industries Plc | Polyurea dispersions in organic isocyanates |
| JPS59100714A (ja) * | 1982-11-30 | 1984-06-11 | Teijin Ltd | ポリエステル繊維の製造方法 |
| JPS59168119A (ja) * | 1983-03-15 | 1984-09-21 | Touyoubou Pet Koode Kk | 熱寸法安定性にすぐれたポリエステル高強力糸の製造法 |
-
1986
- 1986-09-10 JP JP21458986A patent/JPS6375110A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6375110A (ja) | 1988-04-05 |
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