JPH0456011B2 - - Google Patents

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JPH0456011B2
JPH0456011B2 JP57047971A JP4797182A JPH0456011B2 JP H0456011 B2 JPH0456011 B2 JP H0456011B2 JP 57047971 A JP57047971 A JP 57047971A JP 4797182 A JP4797182 A JP 4797182A JP H0456011 B2 JPH0456011 B2 JP H0456011B2
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streptococcus
caries
miutans
strain
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Takashi Tsurumizu
Takashi Hashimoto
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Kitasato Institute
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
本考案は、虫歯予防用ワクチン、とくに虫歯誘
発能を有するストレプトコツカス属微生物の菌体
の一部を抗原とする虫歯予防用ワワクチンに関す
る。 虫歯(う蝕)は、歯のエナメル質、象牙質およ
びセメント質の疾患で、口腔内に露出した歯の表
面から始まり、歯の組織を進行的に破壊する。虫
歯の直接の誘因は口腔内の細菌で、虫歯の初発部
位と原因菌とからみて、これを次の三つの型に大
別することができるといわれている(北野繁雄、
日本歯科医学会会報、第7巻、1号、21頁、1981
年) 型 多発年齢 部位 A 小窩裂溝う蝕 4−8
乳臼歯、永久歯、歯の裂溝 B 平滑面う蝕 11−18 平滑面 C 根面う蝕 50−60歯頚部、根面セメント質 上記の北野氏の報告によると虫歯の原因菌は、 A ラクトバチルス・アシドフイルス、 ラクトバチルス・カセイ、 ストレプトコツカス・ミユウタンス、 ストレプトコツカス・サンギス B ストレプトコツカス・ミユウタンス ストレプトコツカス・サンギス C アクチノミセス・ビスコウジス である。 なお根面う蝕の場合もストレプトコツカス・ミ
ユウタンスおよび同サンギスが関与することが知
られている。従つて、ミユウタンスは虫歯の原因
菌として最も重要である。 ストレプトコツカス属細菌は、菌体表面に線毛
(fimbriae)を有し、これによつて菌の表面に付
着し、庶糖の存在下において、たとえば不溶性デ
キストラン様多糖体からなる粘着性の歯垢(プラ
ーク)を形成し、乳酸を生成する。この乳酸が歯
を破壊するといわれている。 この種の虫歯誘発能を有するストレプトコツカ
ス属細菌の全菌体、菌体の一部または菌体外酵素
を抗原とする虫歯予防用ワクチンは公知である。
たとえば日本特許公開公報昭49−62624号は、ス
トレプトコツカス・ミユウタンスの全菌体、その
一部(とくに細胞壁)または菌体外酵素を抗原と
する平滑面う蝕予防用ワクチンを開示している
が、この公報は、平滑面う蝕と他のう蝕は本質的
に原因が異なると述べている。また実施例記載の
ワクチンは全菌体をホリマリンまたはフエノール
で不活化した全菌体ワクチンである。しかしこの
公知ワクチンが平滑面う蝕以外のう蝕に対して効
果があるという記載はない。 次に日本特許公開公報昭47−35121号はストレ
プトコツカス属のレバン生産菌から抽出されたレ
バン多糖体を抗原とする虫歯予防用ワクチンを開
示しているが、具体的に開示された抗原はデキス
トラン様多糖体生産能を有するストレプトコツカ
ス・ミユウタンスからではなくて、レバン生産能
を有するストレプトコツカス・ストレインSS2
(ATCC27006)の培養物から得られたレバン多糖
体である。 しかし、これらの公知の菌体またはその一部を
抗原とする虫歯予防用ワクチンにはなお改良の余
地がある。すなわち、ストレプトコツカス属細菌
の全菌体を用いるワクチンは、アレルギー反応等
の副作用を起こすこと、およびとくにストレプト
コツカス・ミユウタンスの細胞壁を抗原とするワ
クチンは心筋抗原と交差反応を起こすことが知ら
れている。またレバン多糖体を抗原とするワクチ
ンは、虫歯原因菌のうち最も重要なストレプトコ
ツカス・ミユウタンスに対して効果を有しない。 本発明は、虫歯誘発能を有するストレプトコツ
カス属細菌の表面の線毛をワクチンの抗原として
用いると、菌の表面および裂溝へのこれらの細菌
の付着を顕著に予防または抑制できるばかりでな
く、細胞壁を抗原とするワクチンに認められる副
作用の発生の防止することができるという知見に
基いている。 本発明の目的は、虫歯誘発能を有するストレプ
トコツカス属微生物の菌体の一部を抗原とする、
改良された虫歯予防または抑制用(以下予防とい
う)ワクチンを提供することにある。 本発明による虫歯予防用ワクチンは、虫歯誘発
能を有するストレプトコツカス属細菌の菌体の一
部を抗原とするもので、菌体表面の線毛またはそ
の抽出物を抗原とすることを特徴としている。 本発明によるワクチンは、虫歯誘発能を有する
ストレプトコツカス属細菌による虫歯を効果的に
副作用のおそれなしに予防することができる。 前記のように、この種のストレプトコツカス属
(Streptococcus)微生物のうち、ストレプトコツ
カス・ミユウタンス(S.mutans)はサンギスよ
りも虫歯誘発能がはるかに強く、最も重要である
から、下記において、ミユウタンスの場合によつ
て本発明を説明する。 ミユウタンスは1924年クラーク(Clarke)に
よつて報告された細菌であつて、英国ナシヨナ
ル・コレクシヨン・オブ・タイプ・カルチヤーに
NCTC 10449として寄託され、またアメリカ
ン・タイプ・カルチヤー・コレクシヨンにATCC
25175、27351、27352、27607、27947として寄託
されている。これらの寄託菌株の血清型は記載さ
れていないがc型またはg型であると思われる。 バージース・マニユアル・オブ・デターミネー
チブ・バクテリオロジー、502頁、1974年には、
ミユウタンスはストレプトコツカス・サリバリウ
ス(S.salivarius)と類似していると記載されて
いる。他の報告によると、ミユウタンス、サンギ
ス(S.sanguis)、サリバリウスの虫菌誘発作用は
互いに類似しているので、実務的に区別が困難で
あるとされている。しかし現在では、ミユウタン
スはマンニツトとソルビツトとを分解する能力を
もつ点において、他のストレプトコツカス属の口
腔細菌と異なること、ミユウタンスは蔗糖を分解
して非水溶性粘着性デキストラン様多糖体を産生
すること、サンギスは蔗糖から水溶性デキストラ
ン様多糖体を産生するが、その付着性は非常に低
いこと、およびサンギスはアルギニンを分解して
アンモニアを産生すること、またサリバリウスは
蔗糖からフルクタンを産生することにおいて、ミ
ユウタンスは口腔内の他のストレプトコツカス属
口腔細菌から区別されている。 本明細書においては、たとえば森岡俊夫氏の報
告「ストレプトコツカス・ミユウタンス」(日本
歯科医学会会報、第6巻12号、21−24頁、1980
年)を参照して、菌株の生化学的および血清学的
性状からミユウタンス菌株を同定した。 ミユウタンス菌は、その細胞壁に含まれる多糖
体の血清的特異性によつて、a型からg型までに
分類され、a,b型はラツト等の口腔内に存在す
るが、c−g型はヒトの口腔内に存在することが
知られている。 本発明は、これらの菌の線毛に含まれる抗原の
免疫学的特異性は虫歯予防の観点において、有意
差が認めれないので、虫歯予防用ワクチンの抗原
として、すべてのヒト型ミユウタンスから得られ
た線毛を利用できるという意外な知見に基いてい
る。実際にヒトの口腔内にはc型からg型までの
ミユウタンスが存在するが、その93%以上はc型
なので(佐藤誠、口腔衛生学会誌、28巻、2号、
100−123頁、1978年7月)、この知見は実用的観
点から重要である。 本発明のワクチンの原料として、虫歯誘発能を
有するストレプトコツカス属口腔微生物の線毛ま
たはその抽出物を用いることができるが、これら
の菌株から誘導された突然変異株の線毛またはそ
の抽出物を用いることもできる。 とくにストレプトコツカス・ミユウタンス変異
株K−Dp(微工研条寄第317号)を原料として用
いると、後記のような優れた結果を得ることがで
きる。K−Dp株は、本発明者が、ヒトの口腔か
ら分離したc型ミユウタンスを変異処理して得た
もので、親株とくらべて著しく強力な虫歯誘発能
を有している。この菌株の菌学的性状は次のとお
りである。 () 形態 菌形および大きさ 連鎖状球菌 1μX1−2μ グラム染色 陽性 () 各培地における生育状況(37℃、24時
間、嫌気培養) TTY寒天平板培地(PH約7.2) (Stoppelaar,J.D.,et al.Archs.Oral.
Biol.,12,1199−1201,1967) 質的に硬い多量の不溶性デキストラン様多糖
体に覆われた固着性の不均一な集落をつく
る。 ドツト・ヒユーイツトブロス寒天平板培地
(PH7.8) (米国、バルチモア・バイオロジカル・ラ
ボラトリース社製、以下BBL社と略称) 正円形、扁平、やや不透明の光沢のある、
やや粘性を帯びる小形の集落をつくる。 トリプトケース・ソーイブロス(PH7.3) (米国、BBL社製) 培地下層部より増殖する。 ドツト・ヒユーイツトブロス(PH7.8) (米国、BBL社製) 培地下層部より増殖する。 () 生理学的性質 多量の非水溶性デキストラン様多糖体を産生す
る。 ワイヤープラーク形成能 +++ 多糖体による菌体凝集 + 色素の生成 − () 生育の範囲 PH5〜8 温度10−39℃ () 糖分解 グルコース、ガラクトース、マルトース、シ
ユークロース、ラクトース、ソルビツト、マ
ンニツト、イヌリン、メリビオース、セロビ
オース + ラフイノース、サリシン − エスクリン +〜− () 諸性質 エスクリン加水分解 + アルギニン加水分解 ± 溶血性(緬羊血液) γ K−Dp株は、本発明者が、ヒトの口腔から分
離したc型ミユウタンスから誘導して得たもので
ある。c型以外のヒト型ミユウタンス野外株およ
びその突然変異株は、糖分解能などが異なるが、
本発明の目的に利用することができる。 本発明によるワクチンの原料として好適な突然
変異株を、たとえば次の方法で得ることができ
る。 ヒトのプラークから採取したミユウタンス野外
株を、常法により、ナイトロジエン・マスタード
で変異誘導処理して得られた菌株から、不溶性デ
キストラン様多糖体の生産能の高いものを選んで
分離し、所望により、変異誘導処理を繰り返して
不溶性デキストラン様多糖体の生産能の高いもの
を集めて純粋培養する。所望により、ナイトロジ
エン・マスタード以外の公知の変異誘導処理、た
とえば紫外線照射、ニトロソグアニジン等を用い
てもよい。 本発明による突然変異株を得るために必要な変
異処理の回数や時間は、各種の条件によつて異な
るが、K−Dp株では、たとえばTYC寒天平板培
地(PH7.8、37℃、24時間)で100代以上継代培養
した場合も、ニトロソグアニジン、ナイトロジエ
ン・マスタード、紫外線照射のような人工的変異
誘導を繰り返した場合も、逆変異の出現が認めら
れないばかりでなく、前述の菌学的性状にも、ま
たう蝕と密接な関連を持つと考えられる裂溝内へ
の侵入や付着能にも有意義な変化が認められなか
つた。K−Dp株を6年以上各種培地を用いて継
代培養しても、安定であつた。 実施例に記載された微生物はK−Dp株および
ストレプトコツカス・ミユウタンス弱毒株K−
株(微工研条寄第316号)である。 K−Dp株は虫歯誘発能を持つミユウタンス野
外株よりもはるかに強いデキストラン様多糖体産
生能、う触誘発能および乳酸脱水素酵素活性を有
し、そしてK−株は、デキストラン様多糖体産
生能の欠失(−)、う触誘発能の欠失(−)およ
び乳酸脱水素酵素活性の欠失または無意義(−ま
たは±)という点を特徴としている。K−Dp株
およびK−株は、ニトロソグアニジン、ナイト
ロジエンマスタード、紫外線照射などの人工的変
異誘導またはたとえば各種培地上での100代以上
の継代培養によつても逆変異を示さないことが、
ラツトおよびハムスターの長期間経口投与による
臼歯に対するう蝕スコアーによつて確認されてい
る。 本発明による突然変異株の培養法は、公知のス
トレプトコツカス属微生物の培養法と同様であ
る。すなわち培養は好気的条件でも嫌気的条件で
もよいが、実用的には後者が好ましい。培地は天
然培地でも合成培地でもよいが、大量生産には液
体培地が適している。培地のPHは5.6〜8.0たとえ
ば7.0−7.2で、培養温度は23〜39℃、たとえば37
℃である。酸産生は速やかで、通常は48時間以内
に培地のPHは約4.2に低下し、その後菌は増殖し
ない。 菌株の培養にストレプトコツカス属微生物培養
に適する各種の培地を用いることができるが、実
施例において用いた培地の組成はつぎのとおりで
ある。 培地 (A) ポリペプトン 1.7% ポリペプトンS 0.3% 酵母エキス 0.5% リン酸二カリウム 0.25% 塩化ナトリウム 0.5% ブドウ糖 0.25% (PH7.0〜7.8) 次に本発明は、虫歯誘発能を有するストレプト
コツカス属微生物の菌体を実質的に中性の高張緩
衝液に浮遊させ、超音波で処理することによつて
所望の線毛抗原を回収する工程からなる、虫歯予
防用線毛抗原の製法を提供する。 培養終了後の培養液は、通常約1億個/mlの生
菌を含有している、たとえば遠心分離法(8000r,
p,m)のような常法により、培養液から菌体を
分離し、この菌体を、たとえば0,1〜1M酢
酸・酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.0〜7.8)、0.01−
0.75リン酸塩緩衝1M食塩水(PH6.8−7.0)(リン
酸塩緩衝1M食塩水の食塩濃度は特記しない限り
約6.8%)その他の適当な緩衝液、またはこれら
にトリトンX100(米国ローム・アンド・ハース社
製)のような非イオン系界面活性剤を加えたもの
に浮遊させ、超音波処理(たとえば10〜20kHz,
5〜20分)して線毛を分離抽出する。得られた抽
出物を、たとえば公知のカラム分画法、等電点分
画法、冷溶媒分画沈殿法、膜濃縮法、硫酸アンモ
ニウム塩析法または庶糖密度勾配超遠心法などの
単独または組合せによつて分画精製する。 精製された材料を1/75Mリン酸塩緩衝食塩水
(PH約6.2−6.5)で含有蛋白N0.05〜0.5mg/mlにな
るように希釈調製し、アジユバントとして水酸化
アルミニウムゲルを最終アルミニウム用量が0.2
mg/mlになるように加えて抗原を吸着し、防腐剤
として、たとえばチメロサール0.01%(w/v)
を加えると本発明による虫歯予防用ワクチンが得
られる。 以上は、突然変異株K−Dpについて培養法お
よびワクチンの製造法を説明したが、c型以外の
ミユウタンスおよびミユウタンス以外の虫歯誘発
能を有するストレプトコツカス属微生物を用いる
場合も、上記によつて理解される。 本発明のワクチンの用法は次のとおりである。 使用する際の投与量は、たとえばヒトに対して
1回0.2〜1.0mlを皮下または筋肉内、好ましくは
口腔粘膜内に注射する。本ワクチンをヒトまたは
動物に投与すると、とくに唾液内に免疫抗体がで
きることが認められる。この抗体は主としてIgA
で、対応する虫歯誘発能をもつ野外株の菌の表面
や裂溝への侵入定着を阻止する性質を有するが、
凝集素を発生せず、また対応する野外株の増殖自
体やグルカン産生能を阻止しない。しかしこれら
の野外株は、たとえ増殖しても、歯面における歯
垢形成能が抑制される結果、歯磨き等の常法によ
つて、口腔から容易に除去することができ、従つ
て虫歯予防および抑制の目的を達成することがで
きる。 実施例において用いた野外株はc型であるが、
他の型の菌株と組み合わせて用いることもでき
る。 下記の実施例、試験例および参考例における培
養は、特記しないかぎり窒素ガス(90%)、炭酸
ガス(5%)およおび水素ガス(5%)の混合ガ
ス雰囲気下またはガスパツクシステム(米国
BBL社製)を用いた嫌気的培養であつた。 実施例 1 ストレプトコツカス・ミユウタンス変異株K−
Dp株(微工研条寄第317号)の作成。 ヒトの歯垢から分離した野外株を生化学的およ
び血清学的諸性状からストレプトコツカス・ミユ
ウタンスc型菌であることを固定した後、これを
ドツト・ヒユウイツトブロス(PH7.8、米国BBL
社製)20mlを用いて37℃で24時間培養し、培養液
から菌体を4℃で遠心分離(8000r.p.m./20分)
で分離し、1/75Mリン酸塩食塩水(PH6.8、各
100ml)で3回遠心処理(前と同じ条件)で洗浄
した後、ナイトロジエン・マスタード0.1%を含
む1/75Mリン酸塩緩衝食塩水(PH6.8、10ml)
に生菌数が約100万/mlになるように浮遊させ、
生菌数の90%以上が死滅するまで37℃に保つた。
これを4℃で遠心処理(前と同じ条件)して分離
した菌体をドツト・ヒユーイツトブロス20mlで上
記と同様に培養し、培養液の1白金耳をTYC寒
天平板培地[Stoppelaar et al.,Archs.Oral
Biol.,12,1190−1201(1967)](PH約7.2、15ml)
で37℃、48時間、嫌気的に培養した後、培養物を
24時間室温に静置して、不溶性デキストラン様多
糖体の生産能の高いコロニーを選んで分離した。
所望より、同様の操作をくり返して、不溶性デキ
ストラン様多糖体の生産能の高いコロニーを純粋
培養した。こうして得られた菌株が極めて高い虫
歯誘発能をもつことがハムスターの口腔投与によ
つて確かめられた。 本変異株をTYC寒天平板培地((PH約7.2、37
℃、24時間)で100代以上継代培養しても、また
はナイトロジエンマスタード、ニトロソグアニジ
ンあるいは紫外線照射など公知の変異誘発処理を
しても、諸性状の劣化や他の変異株の出現は認め
られなかつた。 本菌は1957年1月22日に微工研条寄第317号と
して国際寄託されている。 実施例 2 ワクチンの製造 前記培地(A)500mlを種培地として滅菌し、
実施例1によつて得られたK−Dp株を培地に植
えて、37℃、24時間培養した後、その100mlを培
地(A)と同様の本培地15000mlに移し、同じ条
件で培養した。培養終了後、培養液を4℃で遠心
処理(8000r.p.m./20分)して菌体を分離し、
1M酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.8〜7.0)
150mlに浮遊し、氷冷下に10分間超音波処理
(10kHz)した。これに飽和硫酸アンモニウム溶
液を60%飽和になるように加え、温度4℃で48時
間静置した。得られた沈殿を4℃で遠心処理
(8000r.p.m./20分)で回収した後、0.1M酢酸・
酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.8〜7.0)約20mlに濃
厚に浮遊し、セロフアン透析チユーブを用いて4
℃で48時間、3000ml以上の上記緩衝液中で透析し
た。透析内液を4℃で遠心処理(2000r.p.m./20
分)して菌体その他の不純物を除去し、上清約60
mlを回収した。この上清の蛋白N値は約2mg/ml
であつた。上清をセロフアン透析チユーブに移
し、フエコール100(庶糖とエピクロールヒドリン
との共重合物、スエーデン国、フアルマシア・フ
アイン・ケミカル社製)を用いて、1/10量にな
るまで濃縮した。得られた濃縮液をセルローズ・
チユーブ内の3〜30%の庶糖密度勾配液30mlにの
せ、SW#25.1ローター(米国ベツクマン社製)
を用いて4℃で4時間超遠心処理(35000r.p.m.)
した後、デンシテイ・グレーデント・フラクシヨ
ネーター・イスコ200型(米国イスコ社製)で1
mlずつ分画すると、比重1.31〜1.35庶糖密度10〜
13%の分画付近で有効な抗原が回収された。その
蛋白N量は約0.25〜0.5mg/mlであつた。 得られた材料を1/75Mリン酸塩緩衝食塩水
(PH6.2〜6.5)で含有蛋白Nが0.05mg/mlになるよ
うに希釈し、アジユバントとして水酸化アルミニ
ウムゲルをアルミニウムの最終濃度が0.2mg/ml
になるように加えて吸着し、防腐剤としてチメロ
サールを0.01%(v/w)加えた。 なお実施例2で得られたワクチンおよび参考例
2でえられた参考ワクチンを用いて、厚生省告
示、生物学的製剤基準一般試験、A試験法に準じ
て染色試験および菌培養試験ならびに急性異常毒
性試験を行つたが、異常を認めなかつた。参考ワ
クチンは強い急性異常毒性を示した。 本ワクチンおよび参考ワクチンを用いて、下記
の虫歯予防効果試験を行つた。用いた試験動物は
ゴールデン、ハムスターで、動物数は特記しない
かぎり1群10匹であつた。 試験例 1 (1) 生後21日令のハムスターを用いて虫歯抑制試
験を行つた。実施例記載のワクチンの免疫効果
を調べるために、実施例記載の強い虫歯誘発能
をもつK−Dp株(微工研条寄317号)の培養液
(生菌数100万/ml)各0.1ml/日を試験動物の
頬嚢悩内に21日令から5日間連続投与し、同時
に虫歯誘発餌料(ダイエツト2000、船橋農場
製)10〜30g/日のみで飼育した。本ワクチン
および参考ワクチン21日令および27日令に1日
1回各0.2mlを頬嚢部に皮下注射した。60日間
飼育した動物をペンタバルビタールで麻酔さ
せ、0.75%塩酸ピロカルピン溶液を体重100g
あたり0.1ml腹腔内に注射し、唾液を採取した。
その後、全採血して殺し、あごを剔出し、あご
をオートクレーブを用いて120℃で1〜2分間
処理して軟組織を除去し、残部を充分水洗した
後、乾燥して標品とした。 対照群は試験群と同様に処理されたが、本ワ
クチンを投与しなかつた。 (2) 試験群と対照群との虫歯発生を比較するため
に 各群の動物の全臼歯にできた虫歯のう蝕平
均スコアーを常法[Keyes,P.H.(J.Dent.
Res.23,439−444,1944)]によつて評価した。 (3) 試験群と対照群との保有抗体の関係を調べる
ために、動物から採取した血清および唾液中の
抗体をマイクロタイター・プレートによる定量
凝集反応および付着抑制試験によつて比較評価
した。 凝集反応の抗原として、実施例1記載のミユ
ウタンスK−Dp菌およびヒト型(c−g型)
ミユウタンス菌を各0.5%酵母エキスを加えた
トリプトケース・ソーイブロス(米国BBL社
製、PH7.8、15ml)で37℃で24時間培養し、培
養液を20分間遠心処理(8000r.p.m.)して得ら
れた菌体を0.2mMグルタールアルデヒドを加
えた1/75Mリン酸塩緩衝食塩水(PH7.0、100
ml)に浮遊して、37℃で12時間処理した後、遠
心処理(8000r.p.m./20分)して菌体を回収
し、1/75Mリン酸塩緩衝食塩水300ml(PH
7.0)にOD550nm=0.50になるように浮遊して
抗原とした。採取した唾液および血清の各培希
釈液(各0.025ml)にそれぞれ抗原(各0.025
ml)を加え、37℃で4時間反応させた後、5℃
で一夜静置してから、肉眼で観察した。 付着抑制試験をつぎの通り行つた。 血清または唾液をTYC寒天平板培地
(Stoppelaar et al.,Archs.Oral Biol.12,1199
−1201,1967、PH7.2)に10倍になるように加え
て、メンブラン・フイルター(米国ミリポアー社
製、0.45μ)で無菌濾過した後、同培地で2倍希
釈した。 別にK−Dp(微工研条寄317号)およびヒト型
(c−g型)ミユウタンスを別々にドツト・ヒユ
ーイツトブロス(PH7.8、各10ml)で37℃、24時
間培養した。上記各培養液1白金耳をそれぞれ上
記の各倍希釈液(各3ml)に接種し、37℃で24時
間培養した。各培養液を培養用試験管から除き、
試験管を水洗後、管壁への付着をメチレン青染色
液で染色し、肉眼で判定した。参考ワクチンを用
いて同様の試験を行なつた。 結果をつぎの第1表および第2表に示す。
【表】
【表】 免疫群と対照群とから得られた全臼歯の虫歯発
生を比較するために、各群の動物の全臼歯にでき
た虫歯のう蝕平均スコアーに有意の差が認めら
れ、免疫群では虫歯の発生を強力に抑制した。な
お免疫群の血中および唾液中の抗体を調べたとこ
ろ、凝集素は両者ともに認められなかつたが、高
い付着阻止抗体が唾液中に認められた。 参考ワクチン免疫群と対照群との間に、う触ス
コアーの有意義差が認められなかつた。参考ワク
チンの血清中に凝集素が認められたが、抗付着抗
体は認められなかつた。 試験例 2 虫歯予防用ワクチンと虫歯予防用生ワクチンと
の併用試験。 虫歯予防用ワクチン(以下本ワクチンという)
は実施例記載のワクチンである。虫歯予防用生ワ
クチン(以下生ワクチンという)は、この出願と
同日に本出願人が特許出願した「虫歯予防用生ワ
クチン」に開示され、ミユウタンスの野外株の増
殖を抑制する活性を有する同菌株の突然変異株を
含有することを特徴とする、虫歯予防用生ワクチ
ンのことで、その製法は後記の参考例1に記載さ
れている。本試験例によると、本ワクチンを投与
すると同時にまたはその前に生ワクチンを投与す
ると、ヒトの虫歯の発生を著しく予防または抑制
することができる。 ハムスターの第1群から第3群までは試験群で
第4群は対照群であつた。各群の生後21日令よ
り、前記のK−Dp株の生菌約1000万/mlを含む
培養液各0.2mlを頬嚢内に5日間連続投与し、日
量10〜30gの虫歯誘発餌料ダイエツト2000のみで
飼育し、う蝕を誘発した。生菌約1000万/mlを含
む生ワクチンを用いた。試験期間は60日間であつ
た。 試験群1 (生ワクチン単独) 臼歯萌出時より1日1回、各0.2mlの生ワクチ
ンのみを10日間連続投与した。 試験群2 (生ワクチンと本ワクチン併用) 試験群1と同様に生ワクチンを投与したほか生
後に21日令および27日令に本ワクチンの各0.2ml
を頬嚢部に皮下注射した。 試験群3 (本ワクチン単独) 生後14日令および21日令に本ワクチンのみ各
0.2mlを頬嚢部に皮下注射した。 試験群4 (無処理) ワクチンを与えなかつた。 結果を示す第3表によれば、第1群(生ワクチ
ン単独)および第3群(本ワクチン単独)の虫歯
誘発抑制効果が認められる。第2群(併用)の低
いう蝕スコアーは、併用による優れた効果を示し
ている。生ワクチンの投与によつて血中および唾
液中に抗体は産生されなかつた。本ワクチンを投
与した第2群及び第3群では、凝集素は産生され
なかつたが、高い付着阻止能をもつ抗体が唾液中
に産生された。
【表】 *:1群9匹
参考例 1 虫歯予防用生ワクチンの製造 前記の培地(A)500mlを滅菌して、種培地と
して用い、ストレプトコツカス・ミユウタンス弱
毒株K−(微工研条寄第316号)を37℃で24時
間培養した後、その100mlを同様の本培地15000ml
に移し、同じ条件で培養した。培養終了後、培養
液を4℃で遠心処理(8000r.p.m./20分)して菌
体を分離し、これを1/75Mリン酸塩緩衝食塩水
300ml(PH7.0)に浮遊し、4℃で遠心処理
(8000r.p.m./20分)によつて菌体を洗浄した後、
1/75Mリン酸塩緩衝食塩水で含有生菌数が約1
億個/mlになるように希釈し、これに保護剤とし
てゼラチン0.2%(w/v)、乳糖5%(w/v)
を加え、バイアル瓶に分注して凍結乾燥した。使
用時には含有生菌数が約1000万個/mlになるよう
に、1/75Mリン酸塩緩衝食塩水(PH7.0)で希
釈した。 参考例 2 特許公開公報昭49−62624号実施例1記載の方
法に準じて、全菌体を用いるワクチンを製造し
た。 ストレプトコツカス・ミユウタンス
(NCTC10449)をブレーン・ハート・インフユ
ージヨン・ブロス(米国デイフコ社製、PH7.8、
10ml)を用いて、37℃で24時間培養した。培養液
をルービン(300ml)中のブレーン・ハート・イ
ンフユージヨン・寒天培地(米国デイフコ社製、
PH7.8、100ml)の表面に拡散させ、37℃で24時間
培養した。発育した菌体をかき取り、滅菌食塩水
(0.85%w/v、Nacl)に浮遊させた。この浮遊
液を4℃で滅菌食塩水(0.68%W/V、各100ml)
を用いて、3回遠心処理(8000r.p.m.各20分)し
た。こうして洗浄した菌体を0.6%ホルマリン含
有食塩水(0.85%w/v、各200ml)に浮遊し、
室温で1夜放置した後、菌体を食塩水(0.68%
w/v、各100ml)を用いて遠心処理(8000r.p.
m./20分)で洗浄した。次にこれを食塩水(0.68
%w/v、10ml)に浮遊した。浮遊液(0.1ml)
をチオグリコール酸培地(米国BBL社製、PH7.2、
10ml)で37℃、10時間培養した後、無菌検査し
た。残りの浮遊液を超音波処理(20KHz、10分)
で均質化し、チメロサール0.01%含有食塩水
(0.68%w/v)で最終菌体数約2×108mlとなる
まで希釈した。試験結果を第1表に示す。なおホ
ルマリンに代えて0.5%フエノールを用いたほか、
同様にして得た第2の参考ワクチンの結果はもつ
と悪かつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 虫歯誘発能を有するストレプトコツカス属微
    生物の菌体の一部を抗原とする虫歯予防用ワクチ
    ンにおいて、菌体表面の線毛またはその抽出物を
    抗原とすることを特徴とするワクチン。 2 微生物がストレプトコツカス・ミユウタンス
    である特許請求の範囲第1項記載のワクチン。 3 ストレプトコツカス・ミユウタンスの血清型
    がc−g型である特許請求の範囲第2項記載のワ
    クチン。 4 微生物がストレプトコツカス・ミユウタンス
    変異株K−Dp(微工研条寄第317号)である特許
    請求の範囲第2項記載のワクチン。 5 虫歯誘発能を有するストレプトコツカス属微
    生物の菌体を実質的に中性の高張緩衝液に浮遊さ
    せることによつて菌体から線毛抗原を回収する工
    程からなる、虫歯予防用ワクチンの製法。 6 食塩を含有する高張緩衝液を用いる特許請求
    の範囲第5項記載の製法。 7 超音波で菌体を処理して線毛抗原を回収する
    特許請求の範囲第5項記載の製法。
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