JPH0471987B2 - - Google Patents
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- JPH0471987B2 JPH0471987B2 JP60010675A JP1067585A JPH0471987B2 JP H0471987 B2 JPH0471987 B2 JP H0471987B2 JP 60010675 A JP60010675 A JP 60010675A JP 1067585 A JP1067585 A JP 1067585A JP H0471987 B2 JPH0471987 B2 JP H0471987B2
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- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、耐摩耗性窒化用鋼、特にポーラスな
化合物層を形成する耐摩耗性窒化用鋼に関する。 (従来の技術) 窒化処理は、表面硬化法の一種であるが、A1
変態点以下の温度、一般的には500〜580℃程度の
温度域で処理するため、浸炭焼入法の如く、被処
理物に大きな熱処理歪を生じさせない。このた
め、窒化処理は機械構造用部品、耐摩耗用部品な
どに広範に実施されている。 従来、窒化用鋼としては、JIS−SCM435
(0.35C−0.75Mn−1.1Cr−0.2Mo)やSACM645
(0.45C−0.4Si−1.5Cr−0.2Mo−1.0Al)などが使
用されていたが、所要硬化特性が得られないた
め、最近、種々の窒化専用の鋼種が多く提案され
てきた(例:特開昭59−16949号、同59−31850
号、同59−50158号、同58−171558号、特公昭55
−3424号など)。 しかし、これら窒化鋼は、疲労強度、耐ピツチ
ング性、耐摩耗性を向上させることを目的に、硬
化深さと表面硬さを上げることに主眼を置いてき
た。特に耐摩耗性を上げる場合は表面硬さの向上
を図つてきた。したがつて、表面硬さを低下させ
るCは有害元素とみなし、必要最低限のC含有量
にしている。このような観点から0.5%を超える
量のCは含有されることがなかつた。 一方、従来からよく知られているように、窒化
処理によつて生成される硬化層には、侵入Nによ
る固溶強化および窒化物の析出強化によつて硬化
する拡散層と、最表面に生成するFeおよび合金
元素(Cr,Al,Vなど)の窒化物層すなわち化
合物層から成り立つている。この点、既に述べた
ように、従来の窒化鋼は、表面硬さや硬化深さな
ど硬化層の硬さにのみ重点を置き、化合物層の性
状についてはあまり考慮されていなかつた。 (発明が解決しようとする問題点) このように、従来の窒化鋼では、化合物層の性
状についての考慮がなされておらず、化合物層硬
さ(表面硬さ)、硬化深さの向上のみに重点が置
かれていたため、これらの劣化をもたらすCの含
有量は、前述のように、0.5%以下に制限されて
いた。このため、化合物層の延性、靭性が悪く、
また芯部の硬さも十分にとれなかつた。 (問題点を解決するための手段) そこで本発明者らは、さらに耐摩耗性の優れた
窒化鋼の開発を目指し、鋭意研究を進めた結果、
窒化用鋼における耐摩耗性は単に表面硬さによつ
てのみ決まるのでなく、化合物層の緻密度すなわ
ちポーラスな化合物層になるかどうかにも影響を
受けていることを知見した。 つまり、窒化処理により生成した窒化物からな
る化合物層はポーラスな構造になつているため、
この空孔に潤滑剤が保持され、適度な潤滑作用が
行われれば、むしろ耐摩耗性が向上すること見い
出したのである。 窒化用鋼の表面硬さ、すなわち化合物層の硬さ
は、従来よりよく知られているように、C含有量
が多くなるほど低下し、耐摩耗性は劣化する傾向
にあると考えられる。しかし、一方、本発明者の
知見によれば、化合物層の緻密度、すなわちポー
ラスな度合はC含有量が多くなるほど大きくな
り、潤滑剤による潤滑作用が向上し、耐摩耗性が
向上する傾向にある。もちろん極度に緻密度が低
くなるとその構造自体が弱体化し耐摩耗性は再び
悪くなる。 また、Cr,Al,V等の窒化物形成元素につい
ては、それらの含有量が多くなれば化合物層の組
成は、Cr,Al,Vの各窒化物の割合が増大する
ため硬くなり耐摩耗性が向上するが、同時に脆化
もする。 かくして、本発明者らは、Cを従来よりも多量
に加えて、化合物層のポーラス化を図つて耐摩耗
性を改善するとともに、Cr,Al,V等の合金元
素の含有量を適度な範囲に限定することにより化
合物層の脆化を防止して、従来の窒化鋼より耐摩
耗性を大幅に向上させた窒化鋼が得られることを
知見し、本発明を完成した。 ここに本発明は、重量%で、 C:0.5%超、0.8%以下、Si:0.5%超1.2%以
下、 Mn:0.6〜1.5%、Cr:0.2〜1.5%、 V:0.02〜0.25%、sol.Al:0.02〜0.25%、 さらに必要に応じ、S:0.04〜0.13%、Pb:
0.03〜0.35%およびCa:0.001〜0.01%のうち1
種または2種以上を含有し、 残部Feと不可避不純物 からなる耐摩耗性窒化用鋼である。 ここで、窒化用鋼とは窒化処理に適する鋼の意
味であり、また、その窒化処理とは、窒化物から
成る化合物層の生成されるあらゆる窒化処理、例
えばガス窒化、イオン窒化、ガス軟窒化、液体軟
窒化処理など意味している。 本発明に云う「耐摩耗性」とは、表面に形成さ
れたポーラスな化合物層に潤滑剤を保持させるこ
とにより発揮される特性である。 また、上述のように本発明鋼はC含有量が従来
より多いため、純粋な硬化深さの点では劣るが、
むしろ芯部硬さが大幅に向上しているため、見掛
け上硬化深さは従来と同等かそれ以上になり、疲
労強度も従来並み以上であるため、機械構造用部
材にも適している。 (作用) 次に、本発明鋼の成分範囲を上述の如く限定し
た理由を以下に述べる。なお、特にことわりがな
い限り、本明細書において、「%」は「重量%」
である。 C(炭素): すでに述べたように、Cは多くなるほど化合物
層の硬さが低下し耐摩耗性は悪くなる傾向にある
半面緻密度が小さくなつて潤滑剤による潤滑作用
が向上するため、潤滑剤と組合せた耐摩耗性はよ
くなる傾向にある。 したがつて、耐摩耗性に対してC含有量の適正
範囲が存在し、本発明によればその範囲は0.5%
超、0.8%以下である。すなわち、0.5%以下で
は、化合物層の緻密度が高く、すなわち十分にポ
ーラスにならないため潤滑剤保持能力が低く、耐
摩耗性が劣化する。一方、0.8%を超えると、化
合物層の緻密度が小さくなり過ぎ、構造的に脆弱
化するとともに、化合物層の硬さが非常に低くな
り、耐摩耗性が劣化する。 また、本発明鋼においては、表面硬さが絶対的
に低いため、芯部硬さを高めることにより見掛け
上の硬化深さを大きくし、疲労強度を向上させる
必要がある。このためには0.5%超のC含有量は
必要であるが、0.8%を超えると基地組織中への
網状の初析セメンタイトの混入が甚だしくなり大
幅に靭性を劣化させる。 以上の理由により、C含有量は0.5%超、0.8%
以下とした。好ましくは、0.6〜0.7%である。 Si(ケイ素): Siは通常、脱酸剤として添加されるが、本発明
では、Siは固溶強化および焼戻し軟化抵抗の向上
にも有効で、結果として窒化処理後の芯部硬さを
高めるために添加される。 したがつて、添加量は多いほどよいが、1.2%
を超えると窒化特性(表面硬さ、硬化深さ)の劣
化が始まるので、上限を1.2%とした。所定の固
溶強化、焼戻し軟化抵抗を確保するためには0.5
%超添加する。好ましくは、0.60〜1.20%であ
る。 Mn(マンガン): Mnは製鋼時の脱酸剤として不可欠であるとと
もに、芯部の強度、靭性の向上にも有効であつ
て、窒化処理品の性能確保のために最低0.6%は
必要であるが、1.5%を超えて添加しても効果が
小さいので、下限を0.6%、上限を1.5%とした。 Cr(クロム): Crは窒化処理物の最表面における化合物層中
に非常に硬いCr窒化物を生成せしめ、添加量が
多くなるほど化合物層中におけるCr窒化物の割
合が増加し、化合物層の硬さが高くなる。また拡
散層においてもCr窒化物を生成するため、硬化
深さが大きくなる。したがつて、Cr添加量が多
いほど耐摩耗性は向上するが、このためには少な
くとも0.2%は必要である。しかし、余り多量に
加えると、例えば、1.5%を超えて添加すると、
化合物層の脆化が著しくなり、窒化処理物に変形
が生じた際に、クラツクが発生し、化合物層の剥
離が起こりやすくなる。また1.5%を超えて添加
すると、硬化深さがかえつて低下する。以上のこ
とから下限を0.2%、上限を1.5%とした。好まし
くは0.7〜1.2%である。 V(バナジウム): VもCrの場合と同様に、窒化処理物の化合物
層および拡散層中にV炭窒化物をつくり化合物層
の硬さを上昇せしめるとともに、硬化深さを大き
くする効果がある。特にVはCrに比べて、化合
物層硬さの向上効果は小さいものの、硬化深さを
大きくする効果は極めて大きく、このためには少
なくとも0.02%必要であるが、0.25%を超えて添
加してもその効果はそれ以上大きくならないばか
りでなく、化合物層の脆化をもたらすので、下限
を0.02%、上限を0.25%とした。好ましくは0.05
〜0.20%である。 sol.Al(酸可溶アルミニウム): AlもCrと同様、窒化処理物の化合物層および
拡散層中に窒化物を生成し、化合物層の硬さを高
くするとともに、硬化深さも大きくする。Alは
Crに比べて、硬化深さの向上効果より化合物層
の硬さ向上効果が大きく、特に、C含有量が多い
場合にもその効果が全く低下しないのでAl添加
は不可欠である。このためには少なくとも0.02%
を必要とするが、0.25%を超えて添加すると、化
合物層の脆化が著しくなり、変形時の表面クラツ
クの発生が心配される。以上の理由から下限を
0.02%、上限を0.25%とした。好ましくは0.05〜
0.20%である。 S,Pb,Ca: これらの成分は、任意添加成分であつて、窒化
処理前に切削を施す場合の切削性向上に有効であ
る。特に本発明鋼はC含有量が多く、基地の切削
性が劣るため、切削性の要求される度合に応じ
て、これら元素を1種または2種以上を含有させ
る。これらの元素は化合物層の硬さや硬化深さに
は何ら影響を及ぼさない。 切削性を向上させるのに必要最小限の添加量
は、S:0.04%,Pb:0.03%,Ca:0.001%であ
る。またSは0.13%,Pbは0.35%を超えると強
度、耐ピツチング性の低下が著しくなり、一方、
Caは溶製上0.01%を超えて添加するのは困難であ
る。以上のような理由からSについては下限0.04
%、上限0.13%、Pbについては下限0.03%、上限
0.35%、Caについては下限0.鄭01%、上限0.01%
に限定した。 なお、請求項第1項記載の発明はSを積極的に
添加しないが、不可避不純物としてS:0.01〜
0.03%程度は混入する。 次に実施例によつて本発明をさらに説明する。 実施例 第1表に示す組成を有する鋼を高周波溶解炉に
より大気溶解し、鋼塊にしたのち、直径30mmの丸
棒に熱間鍛造し、950℃×1hrの焼ならしを施した
素材を準備した。これらの素材から、直径10mm、
長さ13mmで端面をRmax5μm以下に仕上げた摩耗
試験片と、直径25mm、長さ300mmの静曲げ試験片
を作成し、その後、それぞれイオン窒化処理とガ
ス軟窒化処理に供した。 イオン窒化処理は、ガス圧力2Torrの20%N2
−H2混合雰囲気中で500℃、4時間の条件で、ガ
ス軟窒化処理は、NH3ガスとRXガスを1:1の
割合で混合した混合ガス中において570℃、4時
間の条件でそれぞれ実施した。 それぞれの処理後、表面硬さと硬化深さ(Hv
=400に対応する表面からの深さ)を測定すると
ともに、摩耗試験と静曲げ試験を行つた。 摩耗試験は、第1図に示すPin−Ring式の100
%すべり摩耗試験機を使用して行ない、潤滑剤と
してメカニツクオイル#56を用いた。S45C製の
回転リング10(900℃焼入れ、580℃熱戻し)を
回転させながら、試験片11を接触圧力5Kgf/
mm2で接触させた。摩擦速度は1m/sで行つた。
上記潤滑剤はノズル12から供給された。また静
曲げ試験は第2図に示した要領で試験片20を
200mm離れた2つの支点21,22で支持しなが
ら静的に曲げ、表面層にクラツクが発生するまで
の限界たわみ量を測定した。なお、表面硬さは、
摩耗試験片の端面において測定した。 鋼種No.1〜No.11は本発明に係る鋼であり、鋼種
No.12〜No.14はC含有量の点で、鋼種No.15,16は
Cr含有量の点で、鋼種No.17,18はV含有量の点
でまた鋼種No.19,20はsol.Al含有量の点で本発明
の範囲外である比較鋼である。 第1表の結果からわかるように、本発明鋼は、
いずれも比摩耗量は5.9mg/cm2以下で、かつ限界
たわみ量が2.3mm以上となつており、しかも硬化
深さは0.13mm以上と、いずれの性能も優れている
ことがわかる。これに対して、比較鋼は、比摩耗
量、限界たわみ量、硬化深さのうちいずれかが極
端に劣つている。 次に、C含有量以外は実質的に同一組成とみな
せる鋼種No.12,13,1,2,3,14について、ガ
ス軟窒化処理を施した試料の比摩耗量と限界たわ
み量をC含有量で整理すると第3図のようにな
り、比摩耗量はC含有量0.5〜0.8%範囲内で最も
少なく、限界たわみ量もこの範囲内では低下しな
いことがわかる。 (効果) 以上のように、本発明により、耐摩耗性にすぐ
れ、同時に硬化層の延性にすぐれた窒化用鋼が得
られ、本発明の斯界への寄与の大きなことが分か
る。
化合物層を形成する耐摩耗性窒化用鋼に関する。 (従来の技術) 窒化処理は、表面硬化法の一種であるが、A1
変態点以下の温度、一般的には500〜580℃程度の
温度域で処理するため、浸炭焼入法の如く、被処
理物に大きな熱処理歪を生じさせない。このた
め、窒化処理は機械構造用部品、耐摩耗用部品な
どに広範に実施されている。 従来、窒化用鋼としては、JIS−SCM435
(0.35C−0.75Mn−1.1Cr−0.2Mo)やSACM645
(0.45C−0.4Si−1.5Cr−0.2Mo−1.0Al)などが使
用されていたが、所要硬化特性が得られないた
め、最近、種々の窒化専用の鋼種が多く提案され
てきた(例:特開昭59−16949号、同59−31850
号、同59−50158号、同58−171558号、特公昭55
−3424号など)。 しかし、これら窒化鋼は、疲労強度、耐ピツチ
ング性、耐摩耗性を向上させることを目的に、硬
化深さと表面硬さを上げることに主眼を置いてき
た。特に耐摩耗性を上げる場合は表面硬さの向上
を図つてきた。したがつて、表面硬さを低下させ
るCは有害元素とみなし、必要最低限のC含有量
にしている。このような観点から0.5%を超える
量のCは含有されることがなかつた。 一方、従来からよく知られているように、窒化
処理によつて生成される硬化層には、侵入Nによ
る固溶強化および窒化物の析出強化によつて硬化
する拡散層と、最表面に生成するFeおよび合金
元素(Cr,Al,Vなど)の窒化物層すなわち化
合物層から成り立つている。この点、既に述べた
ように、従来の窒化鋼は、表面硬さや硬化深さな
ど硬化層の硬さにのみ重点を置き、化合物層の性
状についてはあまり考慮されていなかつた。 (発明が解決しようとする問題点) このように、従来の窒化鋼では、化合物層の性
状についての考慮がなされておらず、化合物層硬
さ(表面硬さ)、硬化深さの向上のみに重点が置
かれていたため、これらの劣化をもたらすCの含
有量は、前述のように、0.5%以下に制限されて
いた。このため、化合物層の延性、靭性が悪く、
また芯部の硬さも十分にとれなかつた。 (問題点を解決するための手段) そこで本発明者らは、さらに耐摩耗性の優れた
窒化鋼の開発を目指し、鋭意研究を進めた結果、
窒化用鋼における耐摩耗性は単に表面硬さによつ
てのみ決まるのでなく、化合物層の緻密度すなわ
ちポーラスな化合物層になるかどうかにも影響を
受けていることを知見した。 つまり、窒化処理により生成した窒化物からな
る化合物層はポーラスな構造になつているため、
この空孔に潤滑剤が保持され、適度な潤滑作用が
行われれば、むしろ耐摩耗性が向上すること見い
出したのである。 窒化用鋼の表面硬さ、すなわち化合物層の硬さ
は、従来よりよく知られているように、C含有量
が多くなるほど低下し、耐摩耗性は劣化する傾向
にあると考えられる。しかし、一方、本発明者の
知見によれば、化合物層の緻密度、すなわちポー
ラスな度合はC含有量が多くなるほど大きくな
り、潤滑剤による潤滑作用が向上し、耐摩耗性が
向上する傾向にある。もちろん極度に緻密度が低
くなるとその構造自体が弱体化し耐摩耗性は再び
悪くなる。 また、Cr,Al,V等の窒化物形成元素につい
ては、それらの含有量が多くなれば化合物層の組
成は、Cr,Al,Vの各窒化物の割合が増大する
ため硬くなり耐摩耗性が向上するが、同時に脆化
もする。 かくして、本発明者らは、Cを従来よりも多量
に加えて、化合物層のポーラス化を図つて耐摩耗
性を改善するとともに、Cr,Al,V等の合金元
素の含有量を適度な範囲に限定することにより化
合物層の脆化を防止して、従来の窒化鋼より耐摩
耗性を大幅に向上させた窒化鋼が得られることを
知見し、本発明を完成した。 ここに本発明は、重量%で、 C:0.5%超、0.8%以下、Si:0.5%超1.2%以
下、 Mn:0.6〜1.5%、Cr:0.2〜1.5%、 V:0.02〜0.25%、sol.Al:0.02〜0.25%、 さらに必要に応じ、S:0.04〜0.13%、Pb:
0.03〜0.35%およびCa:0.001〜0.01%のうち1
種または2種以上を含有し、 残部Feと不可避不純物 からなる耐摩耗性窒化用鋼である。 ここで、窒化用鋼とは窒化処理に適する鋼の意
味であり、また、その窒化処理とは、窒化物から
成る化合物層の生成されるあらゆる窒化処理、例
えばガス窒化、イオン窒化、ガス軟窒化、液体軟
窒化処理など意味している。 本発明に云う「耐摩耗性」とは、表面に形成さ
れたポーラスな化合物層に潤滑剤を保持させるこ
とにより発揮される特性である。 また、上述のように本発明鋼はC含有量が従来
より多いため、純粋な硬化深さの点では劣るが、
むしろ芯部硬さが大幅に向上しているため、見掛
け上硬化深さは従来と同等かそれ以上になり、疲
労強度も従来並み以上であるため、機械構造用部
材にも適している。 (作用) 次に、本発明鋼の成分範囲を上述の如く限定し
た理由を以下に述べる。なお、特にことわりがな
い限り、本明細書において、「%」は「重量%」
である。 C(炭素): すでに述べたように、Cは多くなるほど化合物
層の硬さが低下し耐摩耗性は悪くなる傾向にある
半面緻密度が小さくなつて潤滑剤による潤滑作用
が向上するため、潤滑剤と組合せた耐摩耗性はよ
くなる傾向にある。 したがつて、耐摩耗性に対してC含有量の適正
範囲が存在し、本発明によればその範囲は0.5%
超、0.8%以下である。すなわち、0.5%以下で
は、化合物層の緻密度が高く、すなわち十分にポ
ーラスにならないため潤滑剤保持能力が低く、耐
摩耗性が劣化する。一方、0.8%を超えると、化
合物層の緻密度が小さくなり過ぎ、構造的に脆弱
化するとともに、化合物層の硬さが非常に低くな
り、耐摩耗性が劣化する。 また、本発明鋼においては、表面硬さが絶対的
に低いため、芯部硬さを高めることにより見掛け
上の硬化深さを大きくし、疲労強度を向上させる
必要がある。このためには0.5%超のC含有量は
必要であるが、0.8%を超えると基地組織中への
網状の初析セメンタイトの混入が甚だしくなり大
幅に靭性を劣化させる。 以上の理由により、C含有量は0.5%超、0.8%
以下とした。好ましくは、0.6〜0.7%である。 Si(ケイ素): Siは通常、脱酸剤として添加されるが、本発明
では、Siは固溶強化および焼戻し軟化抵抗の向上
にも有効で、結果として窒化処理後の芯部硬さを
高めるために添加される。 したがつて、添加量は多いほどよいが、1.2%
を超えると窒化特性(表面硬さ、硬化深さ)の劣
化が始まるので、上限を1.2%とした。所定の固
溶強化、焼戻し軟化抵抗を確保するためには0.5
%超添加する。好ましくは、0.60〜1.20%であ
る。 Mn(マンガン): Mnは製鋼時の脱酸剤として不可欠であるとと
もに、芯部の強度、靭性の向上にも有効であつ
て、窒化処理品の性能確保のために最低0.6%は
必要であるが、1.5%を超えて添加しても効果が
小さいので、下限を0.6%、上限を1.5%とした。 Cr(クロム): Crは窒化処理物の最表面における化合物層中
に非常に硬いCr窒化物を生成せしめ、添加量が
多くなるほど化合物層中におけるCr窒化物の割
合が増加し、化合物層の硬さが高くなる。また拡
散層においてもCr窒化物を生成するため、硬化
深さが大きくなる。したがつて、Cr添加量が多
いほど耐摩耗性は向上するが、このためには少な
くとも0.2%は必要である。しかし、余り多量に
加えると、例えば、1.5%を超えて添加すると、
化合物層の脆化が著しくなり、窒化処理物に変形
が生じた際に、クラツクが発生し、化合物層の剥
離が起こりやすくなる。また1.5%を超えて添加
すると、硬化深さがかえつて低下する。以上のこ
とから下限を0.2%、上限を1.5%とした。好まし
くは0.7〜1.2%である。 V(バナジウム): VもCrの場合と同様に、窒化処理物の化合物
層および拡散層中にV炭窒化物をつくり化合物層
の硬さを上昇せしめるとともに、硬化深さを大き
くする効果がある。特にVはCrに比べて、化合
物層硬さの向上効果は小さいものの、硬化深さを
大きくする効果は極めて大きく、このためには少
なくとも0.02%必要であるが、0.25%を超えて添
加してもその効果はそれ以上大きくならないばか
りでなく、化合物層の脆化をもたらすので、下限
を0.02%、上限を0.25%とした。好ましくは0.05
〜0.20%である。 sol.Al(酸可溶アルミニウム): AlもCrと同様、窒化処理物の化合物層および
拡散層中に窒化物を生成し、化合物層の硬さを高
くするとともに、硬化深さも大きくする。Alは
Crに比べて、硬化深さの向上効果より化合物層
の硬さ向上効果が大きく、特に、C含有量が多い
場合にもその効果が全く低下しないのでAl添加
は不可欠である。このためには少なくとも0.02%
を必要とするが、0.25%を超えて添加すると、化
合物層の脆化が著しくなり、変形時の表面クラツ
クの発生が心配される。以上の理由から下限を
0.02%、上限を0.25%とした。好ましくは0.05〜
0.20%である。 S,Pb,Ca: これらの成分は、任意添加成分であつて、窒化
処理前に切削を施す場合の切削性向上に有効であ
る。特に本発明鋼はC含有量が多く、基地の切削
性が劣るため、切削性の要求される度合に応じ
て、これら元素を1種または2種以上を含有させ
る。これらの元素は化合物層の硬さや硬化深さに
は何ら影響を及ぼさない。 切削性を向上させるのに必要最小限の添加量
は、S:0.04%,Pb:0.03%,Ca:0.001%であ
る。またSは0.13%,Pbは0.35%を超えると強
度、耐ピツチング性の低下が著しくなり、一方、
Caは溶製上0.01%を超えて添加するのは困難であ
る。以上のような理由からSについては下限0.04
%、上限0.13%、Pbについては下限0.03%、上限
0.35%、Caについては下限0.鄭01%、上限0.01%
に限定した。 なお、請求項第1項記載の発明はSを積極的に
添加しないが、不可避不純物としてS:0.01〜
0.03%程度は混入する。 次に実施例によつて本発明をさらに説明する。 実施例 第1表に示す組成を有する鋼を高周波溶解炉に
より大気溶解し、鋼塊にしたのち、直径30mmの丸
棒に熱間鍛造し、950℃×1hrの焼ならしを施した
素材を準備した。これらの素材から、直径10mm、
長さ13mmで端面をRmax5μm以下に仕上げた摩耗
試験片と、直径25mm、長さ300mmの静曲げ試験片
を作成し、その後、それぞれイオン窒化処理とガ
ス軟窒化処理に供した。 イオン窒化処理は、ガス圧力2Torrの20%N2
−H2混合雰囲気中で500℃、4時間の条件で、ガ
ス軟窒化処理は、NH3ガスとRXガスを1:1の
割合で混合した混合ガス中において570℃、4時
間の条件でそれぞれ実施した。 それぞれの処理後、表面硬さと硬化深さ(Hv
=400に対応する表面からの深さ)を測定すると
ともに、摩耗試験と静曲げ試験を行つた。 摩耗試験は、第1図に示すPin−Ring式の100
%すべり摩耗試験機を使用して行ない、潤滑剤と
してメカニツクオイル#56を用いた。S45C製の
回転リング10(900℃焼入れ、580℃熱戻し)を
回転させながら、試験片11を接触圧力5Kgf/
mm2で接触させた。摩擦速度は1m/sで行つた。
上記潤滑剤はノズル12から供給された。また静
曲げ試験は第2図に示した要領で試験片20を
200mm離れた2つの支点21,22で支持しなが
ら静的に曲げ、表面層にクラツクが発生するまで
の限界たわみ量を測定した。なお、表面硬さは、
摩耗試験片の端面において測定した。 鋼種No.1〜No.11は本発明に係る鋼であり、鋼種
No.12〜No.14はC含有量の点で、鋼種No.15,16は
Cr含有量の点で、鋼種No.17,18はV含有量の点
でまた鋼種No.19,20はsol.Al含有量の点で本発明
の範囲外である比較鋼である。 第1表の結果からわかるように、本発明鋼は、
いずれも比摩耗量は5.9mg/cm2以下で、かつ限界
たわみ量が2.3mm以上となつており、しかも硬化
深さは0.13mm以上と、いずれの性能も優れている
ことがわかる。これに対して、比較鋼は、比摩耗
量、限界たわみ量、硬化深さのうちいずれかが極
端に劣つている。 次に、C含有量以外は実質的に同一組成とみな
せる鋼種No.12,13,1,2,3,14について、ガ
ス軟窒化処理を施した試料の比摩耗量と限界たわ
み量をC含有量で整理すると第3図のようにな
り、比摩耗量はC含有量0.5〜0.8%範囲内で最も
少なく、限界たわみ量もこの範囲内では低下しな
いことがわかる。 (効果) 以上のように、本発明により、耐摩耗性にすぐ
れ、同時に硬化層の延性にすぐれた窒化用鋼が得
られ、本発明の斯界への寄与の大きなことが分か
る。
【表】
(注) 鋼組成の数字のアンダーラインは本発明の範囲
外であることを示す。
外であることを示す。
第1図は、摩耗試験要領の説明図;第2図は、
静曲げ試験要領の説明図;および第3図は、C含
有量と比摩耗量および限界たわみ量との関係を示
すグラフである。 10……回転リング、11……試験片、12…
…ノズル。
静曲げ試験要領の説明図;および第3図は、C含
有量と比摩耗量および限界たわみ量との関係を示
すグラフである。 10……回転リング、11……試験片、12…
…ノズル。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 C:0.5%超、0.8%以下、Si:0.5%超1.2%以
下、 Mn:0.6〜1.5%、Cr0.2〜1.5%、 V:0.02〜0.25%、sol.Al:0.02〜0.25%、 残部Feと不可避不純物 からなる耐摩耗性窒化用鋼。 2 重量%で、 C:0.5%超、0.8%以下、Si:0.5%超1.2%以
下、 Mn:0.6〜1.5%、Cr:0.2〜1.5%、 V:0.02〜0.25%、sol.Al:0.02〜0.25%、 さらにS:0.04〜0.13%、Pb:0.03〜0.35% およびCa:0.001〜0.01%のうち1種または2
種以上を含有し、 残部Feと不可避不純物 からなる耐摩耗性窒化用鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1067585A JPS61170543A (ja) | 1985-01-23 | 1985-01-23 | 耐摩耗性窒化用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1067585A JPS61170543A (ja) | 1985-01-23 | 1985-01-23 | 耐摩耗性窒化用鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS61170543A JPS61170543A (ja) | 1986-08-01 |
| JPH0471987B2 true JPH0471987B2 (ja) | 1992-11-17 |
Family
ID=11756831
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1067585A Granted JPS61170543A (ja) | 1985-01-23 | 1985-01-23 | 耐摩耗性窒化用鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS61170543A (ja) |
Family Cites Families (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5716496A (en) * | 1980-07-04 | 1982-01-27 | Masayuki Hayashi | Performance trainer for instrument |
| JPS5871358A (ja) * | 1981-10-22 | 1983-04-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 軟窒化用鋼 |
| JPS58113316A (ja) * | 1981-12-25 | 1983-07-06 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 熱処理ひずみの少ない肌焼鋼の製造法 |
| JPS5916949A (ja) * | 1982-07-16 | 1984-01-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 軟窒化用鋼 |
| JPS5916948A (ja) * | 1982-07-16 | 1984-01-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 軟窒化用鋼 |
| JPS619555A (ja) * | 1984-06-25 | 1986-01-17 | Komatsu Ltd | 迅速軟窒化用鋼 |
-
1985
- 1985-01-23 JP JP1067585A patent/JPS61170543A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS61170543A (ja) | 1986-08-01 |
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