JPH0447023B2 - - Google Patents
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- JPH0447023B2 JPH0447023B2 JP57123034A JP12303482A JPH0447023B2 JP H0447023 B2 JPH0447023 B2 JP H0447023B2 JP 57123034 A JP57123034 A JP 57123034A JP 12303482 A JP12303482 A JP 12303482A JP H0447023 B2 JPH0447023 B2 JP H0447023B2
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- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Description
本発明は軟窒化用鋼、特に軟窒化処理後の硬化
特性(硬化深さ、表面硬さ)にすぐれ、かつ芯部
硬さも十分に高く、疲労強度、耐ピツチング性の
点で理想的な硬化曲線を示すベイナイト系軟窒化
用鋼に関する。 軟窒化処理は、A1変態点以下、一般に570℃程
度の温度で、例えばシアン系化合物の塩浴、RX
ガス(吸熱型変性ガス)またはNXガス(発熱型
変性ガス)等により被処理物を処理して、窒素と
共に一部の炭素を鋼中に侵入させ、表層部を硬化
させる表面硬化法の1種である。 この方法は浸炭−焼入法の如く被処理物に大き
な歪を生じさせることがなく、また窒化法の如く
長時間を要することもないので、機械部品等の量
産に適した方法であるが、これに適する鋼種とし
ての軟窒化用鋼の開発は未だ十分でなく、短時間
の軟窒化処理で所望の特性が得られるものはこれ
までみられなかつた。 従来、軟窒化用鋼としては、JIS−SCM420
(0.2C−0.75Mn−1.1Cr−0.2Mo)やSCM435
(0.35C−0.75Mn−1.1Cr−0.2Mo)が多用されて
いたが、これらの鋼の軟窒化処理後の有効硬化深
さ(微小ビツカース硬さHv=500に対応する表面
からの距離)はたかだか0.10mm程度であり、表面
硬さ(表面下25μmでの微小ビツカース硬さ)も
Hv650以上にはならないため、疲労強度、耐摩耗
性の点で満足のゆくものではなかつた。 また、これらの欠点を改善するために、窒化特
性を向上させるAlおよびCrを多量に添加したJIS
−SACM645(0.45C−0.4Si−1.5Cr−0.2Mo−
1.0Al)の場合には、軟窒化処理によつて表面硬
さはHv800〜1100と非常に高くなるが、有効硬化
深さはせいぜい0.15mm程度を小さいため、表面部
から芯部への硬さ勾配が急激になりすぎる。その
ため、高負荷の下で使用される歯車やベアリング
などでは、表面硬化部と芯部の境界付近からの剥
離現象が起きやすく、耐ピツチング性あるいは耐
スポーリング性が劣つていた。 さらに、Cr系肌焼鋼に硬化深さ向上に有効な
Vを添加した軟窒化用鋼も提案されており、外国
規格(AISI6118)もある。 しかし、上述した従来鋼は、既述の欠点以外
に、いずれも芯部硬さが低く、疲労強度の点で不
満があつた。 よつて、本発明の目的は、疲労強度、耐摩耗性
にすぐれていると同時に、耐ピツチング性、耐ス
ポーリング性にもすぐれている軟窒化用鋼を提供
することである。 本発明者らは、軟窒化処理の前組織としては
ベイナイト組織あるいはフエライト+ベイナイト
組織が軟窒化処理後の疲労限向上に対して最も有
効であること、前組織をベイナイト化する為い
は、Bを添加して鋼の焼入れ性を向上させること
が有効であることの知見に着目して検討したとこ
ろ通常の条件下での軟窒化処理により表面硬さを
Hv650以上、有効硬化深さを0.2mm以上、芯部硬
さをHv250以上として疲労強度、耐摩耗性の向上
を図ると同時に、表面硬さは一方でHv750以下に
制限して、表面部から芯部への硬さ勾配の緩やか
な硬化曲線を得るようにすれば、耐ピツチング
性、耐スポーリング性の向上も図れるとの知見を
得た。 このような知見に基き研究を進めた結果、上記
のHv650〜750の範囲内の表面硬さを得るために
は表面硬さを高めるCrとAlの添加量を調整する
ことが必要であることが判明した。緩やかな硬化
曲線を得るために、まず、表面硬さをそれほど増
加させずに硬化深さを大きくするのに有効なVを
添加し、さらに芯部硬さを大きくするために、C
のほかに、固溶強化と焼戻し軟化抵抗の向上によ
り芯部硬さ増大に寄与するSiを従来より多量に添
加することにより、耐ピツチング性、耐スポーリ
ング性の点で非常に有利な硬さ勾配の緩やかな硬
化曲線が得られることも見出された。またBを添
加すると、芯部硬さのより一層の向上が図られ、
疲労強度が向上する。 さらに、軟窒化処理前に切削を施す場合には、
切削性向上に有効なS,PbまたはCaを添加する
のが好ましい。 ここに、本発明は、 C:0.15〜0.35%,Si:0.35超、1.20%%以下、 Mn:0.60〜1.30%,Cr0.70%を越え、 1.50%以下、 V:0.05〜0.20%, sol.Al0.02〜0.10%,N:0.006〜0.020%, B:0.0005〜0.0050%,さらに必要により、
S:0.04〜0.13%,Pb:0.03〜0.35%およびCa:
0.0010〜0.0100%のうちの1種もしくは2種以上
を含有し、 残部Feおよび不可避的不純物からなるベイナイ
ト系軟窒化用鋼にある。 本発明に係る軟窒化用鋼の組成を上記の範囲内
に限定した理由について次に述べる。 C:Cは強度確保のための基本成分であり、芯
部強度確保のためには最低0.15%必要である。し
かし、0.35%を越えると芯部の延性、靭性が低下
し、切削性、冷間加工性が低下すると共に、軟窒
化後の表面硬さ、硬化深さが急激に減少し始め
る。したがつて、本発明におけるC量は下限を
0.15%、上限を0.35%とした。 Si:Siは通常、脱酸剤として添加されるが、固
溶強化および焼戻し軟化抵抗の向上にも有効で、
結果として軟窒化処理後の芯部硬さを高め、疲労
強度を向上させる。このためには0.35%超必要で
あるが、1.20%を越えると軟窒化特性の劣化が始
まる。特に表面硬さの低下が著しくなるととも
に、冷間加工性や溶接性にも害を及ぼすので、上
限を1.20%とした。 Mn:Mnは製鋼時の脱酸剤として不可欠であ
ると共に、芯部の強度・靭性の向上にも有効であ
つて、軟窒化処理品の性能確保のために最低0.60
%は必要である。しかし、1.30%を越えると切削
性が著しく低下し始めるので、下限を0.60%、上
限を1.30%とした。 Cr:Crは軟窒化による侵入Nと結合して表面
硬さを高め、且つ硬化深さを大きくする極めて有
効な元素である。その効果を十分に発揮せしめる
には0.70%を越える量のCr量が必要であるが、
1.50%を越えると通常の軟窒化処理条件下での軟
窒化後に表面硬さがHv750以上になるため、上限
を1.50%とした。 V:Vは軟窒化による侵入Nおよび侵入Cと結
合して表面層に微細なV炭窒化物を析出すること
により、表面硬さおよび表面深さを向上させる。
特に、VはCrに比して、表面硬さの上昇に対す
る寄与は比較的小さいが、硬化深さの増加に対す
る寄与が大きく、したがつて、表面硬さをあまり
増大させずに硬化深さを大きくする。同時に、V
は含有Nとの結合によるV窒化物の析出硬化によ
つて、芯部硬さの向上にも寄与する。この両者の
効果が相まつて、表面から芯部への硬さ勾配が緩
やかな硬化曲線が得られ、疲労強度の向上に有効
となる。このためにはVは少なくとも0.05%必要
である。しかし、0.20%を越えて添加しても硬化
深さ増大効果はあまり期待できないばかりか、芯
部硬さの向上が急激になりすぎ、軟窒化処理後に
大きな熱処理歪を伴なうようになるので、下限を
0.05%、上限を0.20%とした。 sol.Al:AlもCrと同様に侵入Nと結合して表面
硬さを高めるが、硬化深さ向上にはあまり有効で
ない。特に、本発明におけるようにVとの複合添
加では、0.10%を越えて添加すると硬化深さはむ
しろ低下する。しかし、表面硬さに対しては微量
でも有効であり、Hv650以上の表面硬さを確保す
るためには少なくとも0.02%の添加が必要である
ので、下限を0.02%、上限を0.10%とした。 N:Nは結晶粒度を微細化させ、それにより芯
部の靭性を向上させる。このためには0.006%以
上必要であるが、0.020%を越えると、芯部にお
けるV窒化物の生成が顕著になり、逆に芯部の靭
性が劣化しはじめるので、下限を0.006%、上限
を0.020%とした。 B:Bを微量添加すると焼入性が向上するた
め、ベイナイト組織が容易に形成され、軟窒化処
理前の加工(熱間圧延、熱間鍛造)あるいは熱処
理(焼ならし等)後の硬さが大きくなる。したが
つて、これに軟窒化処理を施すと、結果として芯
部硬さが向上するので、疲労強度が向上する。そ
のため、Bの添加は特に高い疲労強度が要求され
る場合に有効である。Bを添加する場合、上記の
向上を得るには少なくとも0.0005%の量が必要で
あるが、0.0050%を越えるとその効果が飽和しは
じめるので、下限を0.0005%、上限を0.0050%と
した。 第1図は、本発明にかかる鋼組成の範囲内の
V:0.09%鋼について熱処理条件を変えることに
よつてそれぞれマルテンサイト系鋼、フエライト
+パライト系鋼、およびベイナイト系鋼とし、次
いで570℃×4時間のガス軟窒化を行つて得た各
供試材についての疲労限の試験結果を示すS−N
曲線のグラフである。ベイナイト系組織の場合に
特に疲労限が高いことが分かる。フエライト+パ
ーライト組織の場合にはマルテンサイト組織の場
合よりかなり疲労限が低い。 S,Pb,Ca:これらの成分は、軟窒化処理前
に切削を施す場合の切削性向上に有効である。軟
窒化処理前に深穴穿孔、重切削、高速切削などが
施される場合には、切削性が要求される度合いに
応じて、これらの元素の1種又は2種上を含有さ
せることができる。これらの元素は硬化特性に対
しては影響を及ぼさない。 構造用鋼の切削性を高めるのに必要最少限の添
加量は、S:0.04%,Pb:0.03%,Ca:0.0010%
である。またSは0.13%,Pbは0.35%を越えると
強度・靭性の低下が甚しくなり、一方Caは溶製
上0.0100%を越えて添加するのは困難であるの
で、Sについては下限を0.04%、上限を0.13%、
Pbについては下限を0.03%,上限を0.35%、Caに
ついては下限を0.0010%、上限を0.0100%とし
た。 次に本発明を実施例によつて説明する。 実施例 第1表に示す組成を有する鋼を高周波溶解炉に
より大気溶解し、鋼塊にしたのち、1250℃に加熱
し、直径30mmの丸棒に熱間鍛造し、空冷してベイ
ナイト組織とした鍛造ままの材料およびさらに
950℃で1時間の焼ならしをしてその後空冷して
ベイナイト組織とした材料のそれぞれについて機
械加工により直径25mm×厚さ10mmの円板状試験片
を作成した。これら一連の試験片に対し、アンモ
ニアガス+RXガス(1:1)の混合ガス中にお
いて570℃で4時間のガス軟窒化処理を施した。
この軟窒化処理後、円板状試験片の表面硬さ
(Hv)、芯部硬さ(Hv)および有効硬化深さ
(mm)を測定した。結果を第1表にまとめて示す。
特性(硬化深さ、表面硬さ)にすぐれ、かつ芯部
硬さも十分に高く、疲労強度、耐ピツチング性の
点で理想的な硬化曲線を示すベイナイト系軟窒化
用鋼に関する。 軟窒化処理は、A1変態点以下、一般に570℃程
度の温度で、例えばシアン系化合物の塩浴、RX
ガス(吸熱型変性ガス)またはNXガス(発熱型
変性ガス)等により被処理物を処理して、窒素と
共に一部の炭素を鋼中に侵入させ、表層部を硬化
させる表面硬化法の1種である。 この方法は浸炭−焼入法の如く被処理物に大き
な歪を生じさせることがなく、また窒化法の如く
長時間を要することもないので、機械部品等の量
産に適した方法であるが、これに適する鋼種とし
ての軟窒化用鋼の開発は未だ十分でなく、短時間
の軟窒化処理で所望の特性が得られるものはこれ
までみられなかつた。 従来、軟窒化用鋼としては、JIS−SCM420
(0.2C−0.75Mn−1.1Cr−0.2Mo)やSCM435
(0.35C−0.75Mn−1.1Cr−0.2Mo)が多用されて
いたが、これらの鋼の軟窒化処理後の有効硬化深
さ(微小ビツカース硬さHv=500に対応する表面
からの距離)はたかだか0.10mm程度であり、表面
硬さ(表面下25μmでの微小ビツカース硬さ)も
Hv650以上にはならないため、疲労強度、耐摩耗
性の点で満足のゆくものではなかつた。 また、これらの欠点を改善するために、窒化特
性を向上させるAlおよびCrを多量に添加したJIS
−SACM645(0.45C−0.4Si−1.5Cr−0.2Mo−
1.0Al)の場合には、軟窒化処理によつて表面硬
さはHv800〜1100と非常に高くなるが、有効硬化
深さはせいぜい0.15mm程度を小さいため、表面部
から芯部への硬さ勾配が急激になりすぎる。その
ため、高負荷の下で使用される歯車やベアリング
などでは、表面硬化部と芯部の境界付近からの剥
離現象が起きやすく、耐ピツチング性あるいは耐
スポーリング性が劣つていた。 さらに、Cr系肌焼鋼に硬化深さ向上に有効な
Vを添加した軟窒化用鋼も提案されており、外国
規格(AISI6118)もある。 しかし、上述した従来鋼は、既述の欠点以外
に、いずれも芯部硬さが低く、疲労強度の点で不
満があつた。 よつて、本発明の目的は、疲労強度、耐摩耗性
にすぐれていると同時に、耐ピツチング性、耐ス
ポーリング性にもすぐれている軟窒化用鋼を提供
することである。 本発明者らは、軟窒化処理の前組織としては
ベイナイト組織あるいはフエライト+ベイナイト
組織が軟窒化処理後の疲労限向上に対して最も有
効であること、前組織をベイナイト化する為い
は、Bを添加して鋼の焼入れ性を向上させること
が有効であることの知見に着目して検討したとこ
ろ通常の条件下での軟窒化処理により表面硬さを
Hv650以上、有効硬化深さを0.2mm以上、芯部硬
さをHv250以上として疲労強度、耐摩耗性の向上
を図ると同時に、表面硬さは一方でHv750以下に
制限して、表面部から芯部への硬さ勾配の緩やか
な硬化曲線を得るようにすれば、耐ピツチング
性、耐スポーリング性の向上も図れるとの知見を
得た。 このような知見に基き研究を進めた結果、上記
のHv650〜750の範囲内の表面硬さを得るために
は表面硬さを高めるCrとAlの添加量を調整する
ことが必要であることが判明した。緩やかな硬化
曲線を得るために、まず、表面硬さをそれほど増
加させずに硬化深さを大きくするのに有効なVを
添加し、さらに芯部硬さを大きくするために、C
のほかに、固溶強化と焼戻し軟化抵抗の向上によ
り芯部硬さ増大に寄与するSiを従来より多量に添
加することにより、耐ピツチング性、耐スポーリ
ング性の点で非常に有利な硬さ勾配の緩やかな硬
化曲線が得られることも見出された。またBを添
加すると、芯部硬さのより一層の向上が図られ、
疲労強度が向上する。 さらに、軟窒化処理前に切削を施す場合には、
切削性向上に有効なS,PbまたはCaを添加する
のが好ましい。 ここに、本発明は、 C:0.15〜0.35%,Si:0.35超、1.20%%以下、 Mn:0.60〜1.30%,Cr0.70%を越え、 1.50%以下、 V:0.05〜0.20%, sol.Al0.02〜0.10%,N:0.006〜0.020%, B:0.0005〜0.0050%,さらに必要により、
S:0.04〜0.13%,Pb:0.03〜0.35%およびCa:
0.0010〜0.0100%のうちの1種もしくは2種以上
を含有し、 残部Feおよび不可避的不純物からなるベイナイ
ト系軟窒化用鋼にある。 本発明に係る軟窒化用鋼の組成を上記の範囲内
に限定した理由について次に述べる。 C:Cは強度確保のための基本成分であり、芯
部強度確保のためには最低0.15%必要である。し
かし、0.35%を越えると芯部の延性、靭性が低下
し、切削性、冷間加工性が低下すると共に、軟窒
化後の表面硬さ、硬化深さが急激に減少し始め
る。したがつて、本発明におけるC量は下限を
0.15%、上限を0.35%とした。 Si:Siは通常、脱酸剤として添加されるが、固
溶強化および焼戻し軟化抵抗の向上にも有効で、
結果として軟窒化処理後の芯部硬さを高め、疲労
強度を向上させる。このためには0.35%超必要で
あるが、1.20%を越えると軟窒化特性の劣化が始
まる。特に表面硬さの低下が著しくなるととも
に、冷間加工性や溶接性にも害を及ぼすので、上
限を1.20%とした。 Mn:Mnは製鋼時の脱酸剤として不可欠であ
ると共に、芯部の強度・靭性の向上にも有効であ
つて、軟窒化処理品の性能確保のために最低0.60
%は必要である。しかし、1.30%を越えると切削
性が著しく低下し始めるので、下限を0.60%、上
限を1.30%とした。 Cr:Crは軟窒化による侵入Nと結合して表面
硬さを高め、且つ硬化深さを大きくする極めて有
効な元素である。その効果を十分に発揮せしめる
には0.70%を越える量のCr量が必要であるが、
1.50%を越えると通常の軟窒化処理条件下での軟
窒化後に表面硬さがHv750以上になるため、上限
を1.50%とした。 V:Vは軟窒化による侵入Nおよび侵入Cと結
合して表面層に微細なV炭窒化物を析出すること
により、表面硬さおよび表面深さを向上させる。
特に、VはCrに比して、表面硬さの上昇に対す
る寄与は比較的小さいが、硬化深さの増加に対す
る寄与が大きく、したがつて、表面硬さをあまり
増大させずに硬化深さを大きくする。同時に、V
は含有Nとの結合によるV窒化物の析出硬化によ
つて、芯部硬さの向上にも寄与する。この両者の
効果が相まつて、表面から芯部への硬さ勾配が緩
やかな硬化曲線が得られ、疲労強度の向上に有効
となる。このためにはVは少なくとも0.05%必要
である。しかし、0.20%を越えて添加しても硬化
深さ増大効果はあまり期待できないばかりか、芯
部硬さの向上が急激になりすぎ、軟窒化処理後に
大きな熱処理歪を伴なうようになるので、下限を
0.05%、上限を0.20%とした。 sol.Al:AlもCrと同様に侵入Nと結合して表面
硬さを高めるが、硬化深さ向上にはあまり有効で
ない。特に、本発明におけるようにVとの複合添
加では、0.10%を越えて添加すると硬化深さはむ
しろ低下する。しかし、表面硬さに対しては微量
でも有効であり、Hv650以上の表面硬さを確保す
るためには少なくとも0.02%の添加が必要である
ので、下限を0.02%、上限を0.10%とした。 N:Nは結晶粒度を微細化させ、それにより芯
部の靭性を向上させる。このためには0.006%以
上必要であるが、0.020%を越えると、芯部にお
けるV窒化物の生成が顕著になり、逆に芯部の靭
性が劣化しはじめるので、下限を0.006%、上限
を0.020%とした。 B:Bを微量添加すると焼入性が向上するた
め、ベイナイト組織が容易に形成され、軟窒化処
理前の加工(熱間圧延、熱間鍛造)あるいは熱処
理(焼ならし等)後の硬さが大きくなる。したが
つて、これに軟窒化処理を施すと、結果として芯
部硬さが向上するので、疲労強度が向上する。そ
のため、Bの添加は特に高い疲労強度が要求され
る場合に有効である。Bを添加する場合、上記の
向上を得るには少なくとも0.0005%の量が必要で
あるが、0.0050%を越えるとその効果が飽和しは
じめるので、下限を0.0005%、上限を0.0050%と
した。 第1図は、本発明にかかる鋼組成の範囲内の
V:0.09%鋼について熱処理条件を変えることに
よつてそれぞれマルテンサイト系鋼、フエライト
+パライト系鋼、およびベイナイト系鋼とし、次
いで570℃×4時間のガス軟窒化を行つて得た各
供試材についての疲労限の試験結果を示すS−N
曲線のグラフである。ベイナイト系組織の場合に
特に疲労限が高いことが分かる。フエライト+パ
ーライト組織の場合にはマルテンサイト組織の場
合よりかなり疲労限が低い。 S,Pb,Ca:これらの成分は、軟窒化処理前
に切削を施す場合の切削性向上に有効である。軟
窒化処理前に深穴穿孔、重切削、高速切削などが
施される場合には、切削性が要求される度合いに
応じて、これらの元素の1種又は2種上を含有さ
せることができる。これらの元素は硬化特性に対
しては影響を及ぼさない。 構造用鋼の切削性を高めるのに必要最少限の添
加量は、S:0.04%,Pb:0.03%,Ca:0.0010%
である。またSは0.13%,Pbは0.35%を越えると
強度・靭性の低下が甚しくなり、一方Caは溶製
上0.0100%を越えて添加するのは困難であるの
で、Sについては下限を0.04%、上限を0.13%、
Pbについては下限を0.03%,上限を0.35%、Caに
ついては下限を0.0010%、上限を0.0100%とし
た。 次に本発明を実施例によつて説明する。 実施例 第1表に示す組成を有する鋼を高周波溶解炉に
より大気溶解し、鋼塊にしたのち、1250℃に加熱
し、直径30mmの丸棒に熱間鍛造し、空冷してベイ
ナイト組織とした鍛造ままの材料およびさらに
950℃で1時間の焼ならしをしてその後空冷して
ベイナイト組織とした材料のそれぞれについて機
械加工により直径25mm×厚さ10mmの円板状試験片
を作成した。これら一連の試験片に対し、アンモ
ニアガス+RXガス(1:1)の混合ガス中にお
いて570℃で4時間のガス軟窒化処理を施した。
この軟窒化処理後、円板状試験片の表面硬さ
(Hv)、芯部硬さ(Hv)および有効硬化深さ
(mm)を測定した。結果を第1表にまとめて示す。
【表】
【表】
鋼種No.1〜10は比較用の鋼であり、同No.11〜20
は本発明に係る鋼であり、鋼種No.21,22,23,24
はそれぞれV含有量、Cr含有量、Si含有量、sol.
Al含有量の点で本発明の範囲外となる比較用の
鋼である。また鋼種No.25,26はそれぞれJIS−
SCM435およびJIS−SACM645に相当する従来鋼
である。 第1表の結果から明らかなように、本発明鋼は
いずれも表面硬さがHv650〜750の範囲内にあり、
有効硬化深さも0.2mm以上ある。さらに芯部硬さ
もすべてHv250以上である。したがつて、耐ピツ
チング性および耐スポーリング性の向上をもたら
す表面から芯部への緩やかな硬さ勾配が得られる
と共に、疲労強度の点でもすぐれていることが予
期される。 これに対して、比較鋼である鋼種No.21,22,
24,25,26では有効硬化深さが0.16mm以下と小さ
い上に、No.24〜26では表面硬さも本発明で目標と
するHv650〜750の範囲外にある。一方、比較鋼
の鋼種No.23にあつては、表面硬さと有効硬化深さ
はともに満足のゆくものであるが、芯部硬さが
Hv208以下と小さく、すぐれた疲労強度は望めな
い。
は本発明に係る鋼であり、鋼種No.21,22,23,24
はそれぞれV含有量、Cr含有量、Si含有量、sol.
Al含有量の点で本発明の範囲外となる比較用の
鋼である。また鋼種No.25,26はそれぞれJIS−
SCM435およびJIS−SACM645に相当する従来鋼
である。 第1表の結果から明らかなように、本発明鋼は
いずれも表面硬さがHv650〜750の範囲内にあり、
有効硬化深さも0.2mm以上ある。さらに芯部硬さ
もすべてHv250以上である。したがつて、耐ピツ
チング性および耐スポーリング性の向上をもたら
す表面から芯部への緩やかな硬さ勾配が得られる
と共に、疲労強度の点でもすぐれていることが予
期される。 これに対して、比較鋼である鋼種No.21,22,
24,25,26では有効硬化深さが0.16mm以下と小さ
い上に、No.24〜26では表面硬さも本発明で目標と
するHv650〜750の範囲外にある。一方、比較鋼
の鋼種No.23にあつては、表面硬さと有効硬化深さ
はともに満足のゆくものであるが、芯部硬さが
Hv208以下と小さく、すぐれた疲労強度は望めな
い。
第1図は、本発明にかかるベイナイト系軟窒化
用鋼のS−N曲線を、比較用の鋼のそれとともに
示すグラフである。
用鋼のS−N曲線を、比較用の鋼のそれとともに
示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.15〜0.35%、Si:0.3%超1.20%以下、 Mn:0.60〜1.30%、Cr:0.70%を越え、 1.50%以下、 V:0.05〜0.20%、 sol.Al:0.02〜0.10%、N:0.006〜0.020%、 B:0.0005〜0.0050%、 残部Feと不可避的不純物からなるベイナイト系
軟窒化用鋼。 2 C:0.15〜0.35%、Si:0.35%超1.20%以下、 Mn:0.60〜1.30%、Cr:0.70%を越え、 1.50%以下、 V:0.05〜0.20%、 sol.Al:0.02〜0.10%、N:0.006〜0.020%、 B:0.0005〜0.0050%、 さらにS:0.04〜0.13%、Pb:0.03〜0.35% およびCa:0.0010〜0.0100%のうちの1種また
は2種以上を含有し、 残部Feと不可避的不純物からなるベイナイト系
軟窒化用鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12303482A JPS5916950A (ja) | 1982-07-16 | 1982-07-16 | 軟窒化用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12303482A JPS5916950A (ja) | 1982-07-16 | 1982-07-16 | 軟窒化用鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5916950A JPS5916950A (ja) | 1984-01-28 |
| JPH0447023B2 true JPH0447023B2 (ja) | 1992-07-31 |
Family
ID=14850569
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12303482A Granted JPS5916950A (ja) | 1982-07-16 | 1982-07-16 | 軟窒化用鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5916950A (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS619555A (ja) * | 1984-06-25 | 1986-01-17 | Komatsu Ltd | 迅速軟窒化用鋼 |
| KR930010411B1 (ko) * | 1988-07-11 | 1993-10-23 | 니혼 세이코오 가부시끼가이샤 | 로울링 베어링(Rolling Bearing) |
| JP4752635B2 (ja) * | 2006-06-15 | 2011-08-17 | 住友金属工業株式会社 | 軟窒化部品の製造方法 |
| CN103834877B (zh) * | 2014-03-26 | 2015-11-18 | 武汉钢铁(集团)公司 | 一种薄板坯生产切割鞋模用钢及其制备方法 |
| ES2982487T3 (es) * | 2016-10-13 | 2024-10-16 | Caterpillar Inc | Pasador de oruga nitrurado para conjunto de cadenas de oruga de una máquina, conjunto de cadenas de oruga y método de fabricación del pasador de oruga |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS556456A (en) * | 1978-06-29 | 1980-01-17 | Daido Steel Co Ltd | Blank for surface hardened material having less heat treatment strain |
| JPS5871359A (ja) * | 1981-10-22 | 1983-04-28 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 軟窒化用鋼 |
-
1982
- 1982-07-16 JP JP12303482A patent/JPS5916950A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5916950A (ja) | 1984-01-28 |
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