JPH0524218B2 - - Google Patents
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- JPH0524218B2 JPH0524218B2 JP61283671A JP28367186A JPH0524218B2 JP H0524218 B2 JPH0524218 B2 JP H0524218B2 JP 61283671 A JP61283671 A JP 61283671A JP 28367186 A JP28367186 A JP 28367186A JP H0524218 B2 JPH0524218 B2 JP H0524218B2
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- Pressure Vessels And Lids Thereof (AREA)
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は、腐食環境下、特に従来のサワーガス
環境(H2S−CO2−Cl-)下にあつて、さらにイ
オウSがFeS、NiS等の硫化物の形態でなく単体
として混入した環境において良好な耐応力割れ性
および耐水素割れ性を有する、油井用部材(特に
抗口、抗底部材)に用いられる高耐食性析出硬化
型Ni基合金に関する。 (従来の技術) 近年、油井の深井戸化およびサワーガス環境下
での掘井が要求されてきており、高強度、高耐食
性を有するNi基合金等がそのような用途に適用
されている。これらNi基合金の耐食性能は特に
Cr、Mo、W含有量の増加によつて向上するた
め、それらを考慮しながら、対象となる腐食環境
に適した合金成分系が選択されている。さらに強
度については0.2%耐力にて77kgf/mm2以上、ある
いは91kgf/mm2以上の高強度が要求されている。
したがつて、これら合金成分系に対してチユービ
ング、ケーシング、ライナ等の管状部材について
は冷間加工にて高強度化を図つており、一方、冷
間加工の施せないような厚肉あるいは異形状の抗
口、抗底部材等にはr′あるいはr″等の金属間化合
物の析出硬化を利用して高強度化を図つている。 ところで、最近の油井情報によれば上記サワー
ガス環境以外にさらにイオウSが単体として、つ
まり硫化物等の形態ではなく、混入する環境が見
い出され、そのような環境においては従来の耐サ
ワーガス用Ni基合金では耐食性が充分ではなく
なつてきている。 (発明が解決しようとする問題点) 上記のようにサワーガス環境(H2S−CO2−
Cl-)にさらにイオウSの単体が混入する環境に
おいては、Ni基合金部材等は特異な腐食形態を
示すが、本件出願人は、このような環境において
も良好な耐食性を維持する合金として、チユービ
ング、ケーシング、ライナ等の管状部材用には、
冷間加工により強度上昇を図れる合金系を特願昭
61−1199号ないし61−1204号においてすでに提案
している。 しかしながら、上記合金系にあつても、油井抗
口、抗底部材等で冷間加工により強度上昇を図れ
ない場合にはr′あるいはr″等の金属間化合物の析
出硬化により高強度化を図る必要がある。しか
し、これら析出硬化型の既存合金では上記のイオ
ウSを単体として含むサワーガス環境において
は、いずれも局部腐食あるいは応力腐食割れ(以
下「SCC」と称する)を発生することが確認され
た。すなわち、単体Sは温度、圧力(特にH2S分
圧)に依存して〔Sx-1+H2SH2Sx〕の反応に
従い3態(Sx-1、H2S、H2Sx〕に変化するが、
Sx-1として遊離したイオウSもしくはH2Sxが存
在すると、これが油井抗口、抗底部材に局所的に
付着し、その部分において孔食の発生あるいは
SCCに至ることがわかつた。これは4S+4H2S
3H2S+H2SO4の反応によりH2S濃度が局所的に
上昇することと、同時にH2SO4を発生し低PH化
するためと考えられる。このような特異な腐食形
態を呈する環境において、充分な耐食性能を発揮
するためには、管状部材の場合(特願昭61−1199
号その他参照)と同様、抗口、抗底部材の析出硬
化型合金においても従来よりもさらに高強度かつ
修復性の良好な耐食性皮膜を形成させることが不
可欠となる。ところが既存の析出硬化型のNi基
合金等では析出硬化能と組織安定性(r′、r″以外
の脆化をもたらす第2相;シグマ相、Laves相等
の析出防止)の観点から合金元素に制約があり、
当該環境にて十分な耐食性を有する良好な耐食性
皮膜は得られなかつた。 したがつて、本発明の目的は、従来のサワーガ
ス環境(H2−CO2− Cl-)にさらにイオウSの
単体が混入した環境においても良好な耐応力腐食
割れ性および耐水素割れ性を有する油井用抗口、
抗底部材用の高強度析出硬化型Ni基合金を提供
することである。 (問題点を解決するための手段) そこで、本発明者らは、析出硬化能を損なうこ
となく、強硬かつ修復能の良好な皮膜が得られる
合金成分系を得るために、サワーガス環境におけ
る皮膜の強度および修復能が、管状部材用の冷間
加工型Ni基合金の場合には概ねCr、Mo、Wの含
有量に比例して向上することと、さらに単体Sを
含む場合には、Cu、Nbが有効であることに着目
した検討を行い、次の如き知見を得た。 (1) 抗口、抗底部材用の析出硬化型Ni基合金の
場合には、Cr、Mo、W、Cu等の含有量を増加
させていくと、シグマ相、Laves相等の脆化相
が製品においても残存するようになり、r′、
r″の析出硬化を妨げると同時に皮膜自体の強
度、修復能さえ有効に向上しなかつた。 (2) さらにそのメカニズムを検討した結果、本発
明者らは、Mo:9.0〜15%、Nb:4.0〜6.0%を
含む特定成分系の組み合せにより、析出硬化能
すなわち、r′、r″の金属間化合物の析出を低下
させることなく、かつ単体Sを含む200℃以上、
250℃以下の環境において十分な強度と良好な
修復能を有する耐食性皮膜が得られ、当該環境
にて良好な耐SCC性および耐水素割れ性を呈す
る。 すなわち、本発明は、そのような知見にもとづ
いて完成されたもので、その要旨とするところ
は、重量%で、 Cr:12〜22%、Mo:9.5〜15%、 Nb:4.0%超6.0%以下、 Fe:5.0%超20%以下、 Ni:50〜60%、Si:0.50%以下、 Mn:1.0%以下、C:0.050%以下、 P:0.025%以下、S:0.0050%以下、 N:0.050%以下、 さらに所望によりTi:0.01%以上1.0%未満 (Nb/Ti≧10)および/またはAl:0.01〜2.0% からなる組成を有するサワーガス環境にさらにS
単体が混入する過酷な環境下ですぐれた耐SCC性
を示す高耐食性析出硬化型Ni基合金である。 さらに、上記成分系を下記(1)式なる範囲に限定
すれば、組織は安定化し、熱間加工性が極めて優
れた均質な合金が得られ、耐SCC性も良好とな
り、本発明の目的がさらに一層効果的に達成され
る。 Ni−2{Mo+1.5(Cr−12)}−4{Nb+1.5Ti+0.5
(Al−0.5)}≧0 ……(1) かくして、本発明によれば、200℃以上という
高温下にあつても、サワーガス環境にさらにS単
体が混合した過酷な環境下ですぐれた耐SCC性お
よび耐水素割れ性を示す析出硬化型Ni基合金が
得られる。 (作用) 次に、本発明において成分組成を上述の如く限
定する理由を説明する。 Cr:CrはMo、Ni、Fe等と共にγ′、γ″析出硬化の
ためのオーステナイトマトリツクスを構成す
る。従来のサワーガス環境では特に高温での耐
食性に有効とされていたが、当該環境では
Mo、Ni等とのバランスで耐食性皮膜に寄与す
る。このためにはCr≧12%は必要であるが、
組織安定性の観点からCr≦22%とした。 Mo:Moは当該環境にて耐食性皮膜を形成させ
るために不可欠な元素であり250℃以下を対象
とした場合、Mo≧9.5%必要である。しかしな
がら、多量添加はγ′、γ″析出硬化の妨げとなる
ジグマ相、Leves相が析出し易くなり、かつ熱
間加工性を低下させるために、Mo≦15%とす
る。 なお、WはMoと同様な効果を有すると一般
的に考えられ、通常Wの原子量を考慮して1%
Moに対して2%Wにて置換可能とされている
が、当該成分系では成分構成上高W添加は実質
不可能である。ただし、Moの一部をWにて置
換することは可能である。 Ni:Niはγ′、γ″析出硬化に不可欠な元素である
が、当該環境における耐食性皮膜の強化にも重
要な役割を果す。そのためには、Ni≧50%必
要だが、他成分系とのバランスと耐水素割れ性
の観点からNi≦60%とする。 Fe:Feはγ′、γ″析出硬化能の向上には不可欠な
元素である。そのためにはFe>5.0%必要だが、
他成分系とのバランスを考慮してFe≦20%と
する。 Nb:Nbは本合金系では主にγ″−Ni3Nb(DO22型
規則構造)の析出硬化により高強度かつ高耐食
性を与える。これはγ″特有の変形機構により応
力集中が小さく、また耐孔食性に優れているか
らである。そのためにはNb>4.0%必要である
が、多量添加はLaves相の生成等好ましくない
第2相を析出するためNb≦6.0%とする。 Ti:Tiは多量に添加されるとγ′相を形成するが
本合金系では微量であればγ″析出を促進する効
果がある。そのため、多量添加は不要であり、
添加量はTi<1.0%とする。その効果を得るの
にTi添加の下限を0.01%とする。 γ′−Ni3(Ti、Nb)の内γ′−Ni3Tiは、微量
の場合にはγ″(Ni3Nb)析出促進と強度向上に
寄与するが、S単体混入サワーガス環境下での
耐食性を劣化させる。従つて、このγ′相として
はNi3Nb主体相とする必要があり、このめに
はNb/Ti≧10とする必要がある。 Al:Alは、Al≦0.5%で有効な脱酸剤として、さ
らに組織の安定化に寄与する。それらの効果を
得るのにAl≧0.01%を必要とする。また、γ′あ
るいはγ″相の析出にも寄与するため、Al≧0.5
%としてもよいが、Al>2%は却つて強度向
上には好ましくない。 γ′−Ni3(Ti、Nb、Al)の内γ′−Ni3Alは、
γ″(Ni3Nb)析出に寄与するものの、Ni3Tiの
ように耐食性を劣化も向上もさせない。しか
し、γ′相としてはNi3Nb主体相とするにはAl:
2.0%以下とする。 C:Cは、C>0.05%では粗大なMC型(M:
Nb、Ti等)炭化物を形成し、著しく延性、靱
性が低下する。したがつて、好ましくは、C≦
0.020%とするほうがよい。 Si、Mn:Si、Mnは通常脱酸剤、脱硫剤として添
加されるが多量添加は延性、靱性の低下につな
がるため、添加する場合には、Si≦0.50%、
Mn≦1.0%とするのが好ましい。 P、S:P、Sは不可避的に混入する不純物であ
り、多量に存在すると熱間加工性、耐食性に悪
影響を及ぼすため、P≦0.025%、S≦0.0050
%とするのが好ましい。 N:Nは、Nの多量添加がMN型(M:Nb、Ti
等)窒化物の形成によりγ′、γ″析出硬化の妨げ
になるとともに延性、靱性を低下させるためN
<0.050%とするのが好ましい。 本発明のその好適態様にあつて下記(1)式によつ
てさらにその合金組成が制限されてもよいが、そ
の場合、熱間加工性がさらに一層良好なものとな
り、それにより組織的にも一層均質となるため耐
SCC性等の耐食性も相乗的に改善される。 Ni−2{Mo+1.5(Cr−12)}−4{Nb+1.5Ti+0.5(A
l−0.5)}≧0……(1) なお、本発明合金系にあつても、所望成分とし
て、必要によりCu、Co、REM、Mg、Ca、Y等
を適宜添加してもよいが、それらを添加する場合
には次のように制限される。 Cuは当該環境にて耐食性皮膜の形成に寄与す
るが、多量添加はγ′、γ″の析出硬化の妨げになる
ため、Cu≦2.0%とするのが好ましい。 Coは耐水素割れ性の向上に有効だが、多量添
加は延性、靱性の低下を招くため、Co≦5.0%と
するのが好ましい。 REM、Mg、Ca、Yは少なくとも1種の添加
により熱間加工性を向上させるが、それぞれ0.10
%、0.10%、0.10%、0.20%を越えると逆に低融
点化合物を生成し易くなり加工性が低下するた
め、それぞれ0.10%、0.10%、0.10%、0.20%以
下とするのが好ましい。 その他、V、Zr、Ta、Hf等はCの安定化に寄
与するとされており本発明にかかる本合金系にあ
つても、合計2.0%までは添加してもよい。また
B、Sn、Zn、Pb等は微量では特に影響がないた
め不純物として合計0.10%までその存在が許容さ
れる。 次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的
に説明する。 実施例 第1表に示す化学組成を有する各合金を調製
後、熱間加工によつて板材とし、さらに第2表に
示す所定の固溶化処理後、種々の時効処理を施し
て、0.2%耐力(室温)にて77Kgf/mm2以上とい
う所定の強度を得た。この板材から下記試験用試
験片を採取し、下記の各試験条件で各試験を実施
した。それらの結果を第2表にまとめて示す。 各試験条件 引張試験 温 度:室温 試験片:4.0mmφ×GL=20mm 歪み速度:1×10-3S-1 試験項目:引張強度、伸び、絞り 衝撃試験 温 度:0℃ 試験片:10×10×55mm−2.0mmVノツチ付 試験項目:衝撃値 SCC試験 溶液: 20%NaCl−1.0g/ S−10atm、
H2S−20atm CO2 温 度:250℃ 浸漬時間:500h 試験片:2t×10w×75(mm)、R 0.25Uノツチ
付 付加応力:1.0σy 水素割れ試験 NACE条件: 5%NaCl−0.5%CH3COOH−
1atm H2S、25℃ 試験片: 炭素鋼カツプリング、2t×10w×75
(mm)、R 0.25Uノツチ付 付加応力:1.0σy 浸漬時間:1000h 上記の、の腐食試験において割れまたは孔
食、局部腐食の発生しなかつたものを「○」、発
生したもの「×」にて示す。 (発明の効果) 以上のように、本発明によれば、耐食性即ち耐
応力割れ性、耐水素割れ性に抜群に優れた高強度
の油井抗口、抗底部材が得られる。 したがつて、本発明が斯界に与える利益は大き
い。
環境(H2S−CO2−Cl-)下にあつて、さらにイ
オウSがFeS、NiS等の硫化物の形態でなく単体
として混入した環境において良好な耐応力割れ性
および耐水素割れ性を有する、油井用部材(特に
抗口、抗底部材)に用いられる高耐食性析出硬化
型Ni基合金に関する。 (従来の技術) 近年、油井の深井戸化およびサワーガス環境下
での掘井が要求されてきており、高強度、高耐食
性を有するNi基合金等がそのような用途に適用
されている。これらNi基合金の耐食性能は特に
Cr、Mo、W含有量の増加によつて向上するた
め、それらを考慮しながら、対象となる腐食環境
に適した合金成分系が選択されている。さらに強
度については0.2%耐力にて77kgf/mm2以上、ある
いは91kgf/mm2以上の高強度が要求されている。
したがつて、これら合金成分系に対してチユービ
ング、ケーシング、ライナ等の管状部材について
は冷間加工にて高強度化を図つており、一方、冷
間加工の施せないような厚肉あるいは異形状の抗
口、抗底部材等にはr′あるいはr″等の金属間化合
物の析出硬化を利用して高強度化を図つている。 ところで、最近の油井情報によれば上記サワー
ガス環境以外にさらにイオウSが単体として、つ
まり硫化物等の形態ではなく、混入する環境が見
い出され、そのような環境においては従来の耐サ
ワーガス用Ni基合金では耐食性が充分ではなく
なつてきている。 (発明が解決しようとする問題点) 上記のようにサワーガス環境(H2S−CO2−
Cl-)にさらにイオウSの単体が混入する環境に
おいては、Ni基合金部材等は特異な腐食形態を
示すが、本件出願人は、このような環境において
も良好な耐食性を維持する合金として、チユービ
ング、ケーシング、ライナ等の管状部材用には、
冷間加工により強度上昇を図れる合金系を特願昭
61−1199号ないし61−1204号においてすでに提案
している。 しかしながら、上記合金系にあつても、油井抗
口、抗底部材等で冷間加工により強度上昇を図れ
ない場合にはr′あるいはr″等の金属間化合物の析
出硬化により高強度化を図る必要がある。しか
し、これら析出硬化型の既存合金では上記のイオ
ウSを単体として含むサワーガス環境において
は、いずれも局部腐食あるいは応力腐食割れ(以
下「SCC」と称する)を発生することが確認され
た。すなわち、単体Sは温度、圧力(特にH2S分
圧)に依存して〔Sx-1+H2SH2Sx〕の反応に
従い3態(Sx-1、H2S、H2Sx〕に変化するが、
Sx-1として遊離したイオウSもしくはH2Sxが存
在すると、これが油井抗口、抗底部材に局所的に
付着し、その部分において孔食の発生あるいは
SCCに至ることがわかつた。これは4S+4H2S
3H2S+H2SO4の反応によりH2S濃度が局所的に
上昇することと、同時にH2SO4を発生し低PH化
するためと考えられる。このような特異な腐食形
態を呈する環境において、充分な耐食性能を発揮
するためには、管状部材の場合(特願昭61−1199
号その他参照)と同様、抗口、抗底部材の析出硬
化型合金においても従来よりもさらに高強度かつ
修復性の良好な耐食性皮膜を形成させることが不
可欠となる。ところが既存の析出硬化型のNi基
合金等では析出硬化能と組織安定性(r′、r″以外
の脆化をもたらす第2相;シグマ相、Laves相等
の析出防止)の観点から合金元素に制約があり、
当該環境にて十分な耐食性を有する良好な耐食性
皮膜は得られなかつた。 したがつて、本発明の目的は、従来のサワーガ
ス環境(H2−CO2− Cl-)にさらにイオウSの
単体が混入した環境においても良好な耐応力腐食
割れ性および耐水素割れ性を有する油井用抗口、
抗底部材用の高強度析出硬化型Ni基合金を提供
することである。 (問題点を解決するための手段) そこで、本発明者らは、析出硬化能を損なうこ
となく、強硬かつ修復能の良好な皮膜が得られる
合金成分系を得るために、サワーガス環境におけ
る皮膜の強度および修復能が、管状部材用の冷間
加工型Ni基合金の場合には概ねCr、Mo、Wの含
有量に比例して向上することと、さらに単体Sを
含む場合には、Cu、Nbが有効であることに着目
した検討を行い、次の如き知見を得た。 (1) 抗口、抗底部材用の析出硬化型Ni基合金の
場合には、Cr、Mo、W、Cu等の含有量を増加
させていくと、シグマ相、Laves相等の脆化相
が製品においても残存するようになり、r′、
r″の析出硬化を妨げると同時に皮膜自体の強
度、修復能さえ有効に向上しなかつた。 (2) さらにそのメカニズムを検討した結果、本発
明者らは、Mo:9.0〜15%、Nb:4.0〜6.0%を
含む特定成分系の組み合せにより、析出硬化能
すなわち、r′、r″の金属間化合物の析出を低下
させることなく、かつ単体Sを含む200℃以上、
250℃以下の環境において十分な強度と良好な
修復能を有する耐食性皮膜が得られ、当該環境
にて良好な耐SCC性および耐水素割れ性を呈す
る。 すなわち、本発明は、そのような知見にもとづ
いて完成されたもので、その要旨とするところ
は、重量%で、 Cr:12〜22%、Mo:9.5〜15%、 Nb:4.0%超6.0%以下、 Fe:5.0%超20%以下、 Ni:50〜60%、Si:0.50%以下、 Mn:1.0%以下、C:0.050%以下、 P:0.025%以下、S:0.0050%以下、 N:0.050%以下、 さらに所望によりTi:0.01%以上1.0%未満 (Nb/Ti≧10)および/またはAl:0.01〜2.0% からなる組成を有するサワーガス環境にさらにS
単体が混入する過酷な環境下ですぐれた耐SCC性
を示す高耐食性析出硬化型Ni基合金である。 さらに、上記成分系を下記(1)式なる範囲に限定
すれば、組織は安定化し、熱間加工性が極めて優
れた均質な合金が得られ、耐SCC性も良好とな
り、本発明の目的がさらに一層効果的に達成され
る。 Ni−2{Mo+1.5(Cr−12)}−4{Nb+1.5Ti+0.5
(Al−0.5)}≧0 ……(1) かくして、本発明によれば、200℃以上という
高温下にあつても、サワーガス環境にさらにS単
体が混合した過酷な環境下ですぐれた耐SCC性お
よび耐水素割れ性を示す析出硬化型Ni基合金が
得られる。 (作用) 次に、本発明において成分組成を上述の如く限
定する理由を説明する。 Cr:CrはMo、Ni、Fe等と共にγ′、γ″析出硬化の
ためのオーステナイトマトリツクスを構成す
る。従来のサワーガス環境では特に高温での耐
食性に有効とされていたが、当該環境では
Mo、Ni等とのバランスで耐食性皮膜に寄与す
る。このためにはCr≧12%は必要であるが、
組織安定性の観点からCr≦22%とした。 Mo:Moは当該環境にて耐食性皮膜を形成させ
るために不可欠な元素であり250℃以下を対象
とした場合、Mo≧9.5%必要である。しかしな
がら、多量添加はγ′、γ″析出硬化の妨げとなる
ジグマ相、Leves相が析出し易くなり、かつ熱
間加工性を低下させるために、Mo≦15%とす
る。 なお、WはMoと同様な効果を有すると一般
的に考えられ、通常Wの原子量を考慮して1%
Moに対して2%Wにて置換可能とされている
が、当該成分系では成分構成上高W添加は実質
不可能である。ただし、Moの一部をWにて置
換することは可能である。 Ni:Niはγ′、γ″析出硬化に不可欠な元素である
が、当該環境における耐食性皮膜の強化にも重
要な役割を果す。そのためには、Ni≧50%必
要だが、他成分系とのバランスと耐水素割れ性
の観点からNi≦60%とする。 Fe:Feはγ′、γ″析出硬化能の向上には不可欠な
元素である。そのためにはFe>5.0%必要だが、
他成分系とのバランスを考慮してFe≦20%と
する。 Nb:Nbは本合金系では主にγ″−Ni3Nb(DO22型
規則構造)の析出硬化により高強度かつ高耐食
性を与える。これはγ″特有の変形機構により応
力集中が小さく、また耐孔食性に優れているか
らである。そのためにはNb>4.0%必要である
が、多量添加はLaves相の生成等好ましくない
第2相を析出するためNb≦6.0%とする。 Ti:Tiは多量に添加されるとγ′相を形成するが
本合金系では微量であればγ″析出を促進する効
果がある。そのため、多量添加は不要であり、
添加量はTi<1.0%とする。その効果を得るの
にTi添加の下限を0.01%とする。 γ′−Ni3(Ti、Nb)の内γ′−Ni3Tiは、微量
の場合にはγ″(Ni3Nb)析出促進と強度向上に
寄与するが、S単体混入サワーガス環境下での
耐食性を劣化させる。従つて、このγ′相として
はNi3Nb主体相とする必要があり、このめに
はNb/Ti≧10とする必要がある。 Al:Alは、Al≦0.5%で有効な脱酸剤として、さ
らに組織の安定化に寄与する。それらの効果を
得るのにAl≧0.01%を必要とする。また、γ′あ
るいはγ″相の析出にも寄与するため、Al≧0.5
%としてもよいが、Al>2%は却つて強度向
上には好ましくない。 γ′−Ni3(Ti、Nb、Al)の内γ′−Ni3Alは、
γ″(Ni3Nb)析出に寄与するものの、Ni3Tiの
ように耐食性を劣化も向上もさせない。しか
し、γ′相としてはNi3Nb主体相とするにはAl:
2.0%以下とする。 C:Cは、C>0.05%では粗大なMC型(M:
Nb、Ti等)炭化物を形成し、著しく延性、靱
性が低下する。したがつて、好ましくは、C≦
0.020%とするほうがよい。 Si、Mn:Si、Mnは通常脱酸剤、脱硫剤として添
加されるが多量添加は延性、靱性の低下につな
がるため、添加する場合には、Si≦0.50%、
Mn≦1.0%とするのが好ましい。 P、S:P、Sは不可避的に混入する不純物であ
り、多量に存在すると熱間加工性、耐食性に悪
影響を及ぼすため、P≦0.025%、S≦0.0050
%とするのが好ましい。 N:Nは、Nの多量添加がMN型(M:Nb、Ti
等)窒化物の形成によりγ′、γ″析出硬化の妨げ
になるとともに延性、靱性を低下させるためN
<0.050%とするのが好ましい。 本発明のその好適態様にあつて下記(1)式によつ
てさらにその合金組成が制限されてもよいが、そ
の場合、熱間加工性がさらに一層良好なものとな
り、それにより組織的にも一層均質となるため耐
SCC性等の耐食性も相乗的に改善される。 Ni−2{Mo+1.5(Cr−12)}−4{Nb+1.5Ti+0.5(A
l−0.5)}≧0……(1) なお、本発明合金系にあつても、所望成分とし
て、必要によりCu、Co、REM、Mg、Ca、Y等
を適宜添加してもよいが、それらを添加する場合
には次のように制限される。 Cuは当該環境にて耐食性皮膜の形成に寄与す
るが、多量添加はγ′、γ″の析出硬化の妨げになる
ため、Cu≦2.0%とするのが好ましい。 Coは耐水素割れ性の向上に有効だが、多量添
加は延性、靱性の低下を招くため、Co≦5.0%と
するのが好ましい。 REM、Mg、Ca、Yは少なくとも1種の添加
により熱間加工性を向上させるが、それぞれ0.10
%、0.10%、0.10%、0.20%を越えると逆に低融
点化合物を生成し易くなり加工性が低下するた
め、それぞれ0.10%、0.10%、0.10%、0.20%以
下とするのが好ましい。 その他、V、Zr、Ta、Hf等はCの安定化に寄
与するとされており本発明にかかる本合金系にあ
つても、合計2.0%までは添加してもよい。また
B、Sn、Zn、Pb等は微量では特に影響がないた
め不純物として合計0.10%までその存在が許容さ
れる。 次に、本発明を実施例に基づいてさらに具体的
に説明する。 実施例 第1表に示す化学組成を有する各合金を調製
後、熱間加工によつて板材とし、さらに第2表に
示す所定の固溶化処理後、種々の時効処理を施し
て、0.2%耐力(室温)にて77Kgf/mm2以上とい
う所定の強度を得た。この板材から下記試験用試
験片を採取し、下記の各試験条件で各試験を実施
した。それらの結果を第2表にまとめて示す。 各試験条件 引張試験 温 度:室温 試験片:4.0mmφ×GL=20mm 歪み速度:1×10-3S-1 試験項目:引張強度、伸び、絞り 衝撃試験 温 度:0℃ 試験片:10×10×55mm−2.0mmVノツチ付 試験項目:衝撃値 SCC試験 溶液: 20%NaCl−1.0g/ S−10atm、
H2S−20atm CO2 温 度:250℃ 浸漬時間:500h 試験片:2t×10w×75(mm)、R 0.25Uノツチ
付 付加応力:1.0σy 水素割れ試験 NACE条件: 5%NaCl−0.5%CH3COOH−
1atm H2S、25℃ 試験片: 炭素鋼カツプリング、2t×10w×75
(mm)、R 0.25Uノツチ付 付加応力:1.0σy 浸漬時間:1000h 上記の、の腐食試験において割れまたは孔
食、局部腐食の発生しなかつたものを「○」、発
生したもの「×」にて示す。 (発明の効果) 以上のように、本発明によれば、耐食性即ち耐
応力割れ性、耐水素割れ性に抜群に優れた高強度
の油井抗口、抗底部材が得られる。 したがつて、本発明が斯界に与える利益は大き
い。
【表】
(注) *:本発明の範囲外
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 Cr:12〜22%、Mo:9.5〜15%、 Nb:4.0%超6.0%以下、 Fe:5.0%超20%以下、 Ni:50〜60%、Si:0.50%以下、 Mn:1.0%以下を含有し、 不純物中のC、P、S、Nがそれぞれ0.050%以
下、0.025%以下、0.0050%以下、0.050%未満 からなる組成を有する、サワーガス環境にさらに
S単体が混入した苛酷な環境下ですぐれた耐SCC
性を示す高耐食性析出硬化型Ni基合金。 2 重量%で、 Cr:12〜22%、Mo:9.5〜15%、 Nb:4.0%超6.0%以下、 Fe:5.0%超20%以下、 Ni:50〜60%、Si:0.50%以下、 Mn:1.0%以下、 さらにTiを0.01%以上1.0%未満の範囲内でNb/
Ti≧10を満足する量含有し、不純物中のC、P、
S、Nがそれぞれ0.050%以下、0.025%以下、、
0.0050%以下、0.050%未満 からなる組成を有する、サワーガス環境にさらに
S単体が混入した苛酷な環境下ですぐれた耐SCC
性を示す高耐食性析出硬化型Ni基合金。 3 重量%で、 Cr:12〜22%、Mo:9.5〜15%、 Nb:4.0%超6.0%以下、 Fe:5.0%超20%以下、 Ni:50〜60%、Si:0.50%以下、 Mn:1.0%以下、さらに、 Al:0.01〜2.0%を含有し、不純物中のC、P、
S、Nがそれぞれ0.050%以下、0.025%以下、
0.0050%以下、0.050%未満 からなる組成を有する、サワーガス環境にさらに
S単体が混入した苛酷な環境下ですぐれた耐SCC
性を示す高耐食性析出硬化型Ni基合金。 4 重量%で、 Cr:12〜22%、Mo:9.5〜15%、 Nb:4.0%超6.0%以下、 Fe:5.0%超20%以下、 Ni:50〜60%、Si:0.50%以下、 Mn:1.0%以下、Al:0.01〜2.0% さらにTiを0.01%以上1.0%未満の範囲内でNb/
Ti≧10を満足する量含有し、不純物中のC、P、
S、Nがそれぞれ0.050%以下、0.025%以下、
0.0050%以下、0.050%未満 からなる組成を有する、サワーガス環境にさらに
S単体が混入した苛酷な環境下ですぐれた耐SCC
性を示す高耐食性析出硬化型Ni基合金。
Priority Applications (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28367186A JPS63137133A (ja) | 1986-11-28 | 1986-11-28 | 高耐食性析出硬化型Ni基合金 |
| US07/123,878 US5000914A (en) | 1986-11-28 | 1987-11-23 | Precipitation-hardening-type ni-base alloy exhibiting improved corrosion resistance |
| US07/619,980 US5217684A (en) | 1986-11-28 | 1990-11-30 | Precipitation-hardening-type Ni-base alloy exhibiting improved corrosion resistance |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28367186A JPS63137133A (ja) | 1986-11-28 | 1986-11-28 | 高耐食性析出硬化型Ni基合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63137133A JPS63137133A (ja) | 1988-06-09 |
| JPH0524218B2 true JPH0524218B2 (ja) | 1993-04-07 |
Family
ID=17668554
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28367186A Granted JPS63137133A (ja) | 1986-11-28 | 1986-11-28 | 高耐食性析出硬化型Ni基合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS63137133A (ja) |
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| US7416618B2 (en) * | 2005-11-07 | 2008-08-26 | Huntington Alloys Corporation | High strength corrosion resistant alloy for oil patch applications |
| JP6148843B2 (ja) * | 2012-10-02 | 2017-06-14 | 三菱日立パワーシステムズ株式会社 | ニッケル基合金からなる大型鋳造部材およびその製造方法 |
| ITVA20130061A1 (it) * | 2013-12-05 | 2015-06-06 | Foroni Spa | Lega invecchiante base nichel contenente cromo, molibdeno, niobio, titanio; avente alte caratteristiche meccaniche ed elevata resistenza alla corrosione in ambienti aggressivi che si possono incontrare nei pozzi per l'estrazione di petrolio e gas nat |
| CN113088761B (zh) * | 2021-02-21 | 2022-08-05 | 江苏汉青特种合金有限公司 | 一种超高强度耐蚀合金及制造方法 |
Family Cites Families (4)
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|---|---|---|---|---|
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| JPS57203740A (en) * | 1981-06-11 | 1982-12-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Precipitation hardening alloy of high stress corrosion cracking resistance for high strength oil well pipe |
| JPS57210938A (en) * | 1981-06-17 | 1982-12-24 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Precipitation hardening type alloy for high strength oil well pipe with superior stress corrosion cracking resistance |
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-
1986
- 1986-11-28 JP JP28367186A patent/JPS63137133A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63137133A (ja) | 1988-06-09 |
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