JPH0524985B2 - - Google Patents
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- JPH0524985B2 JPH0524985B2 JP21156587A JP21156587A JPH0524985B2 JP H0524985 B2 JPH0524985 B2 JP H0524985B2 JP 21156587 A JP21156587 A JP 21156587A JP 21156587 A JP21156587 A JP 21156587A JP H0524985 B2 JPH0524985 B2 JP H0524985B2
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- Japan
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- heat treatment
- oxide film
- grain boundary
- boundary strengthening
- heat exchanger
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Description
(産業上の利用分野)
本発明は、高温高圧水環境下で用いられるNi
基合金伝熱管、例えば加圧水型電子炉(PWR)
の蒸気発生器用伝熱管の耐食性、特に、耐全面腐
食性を向上させる熱処理方法に関するものであ
る。 (従来の技術) 例えば、加圧水型原子炉の蒸気発生器用伝熱管
のような高温高圧水環境下で用いられる伝熱管の
素材には、現在、アロイ600(75%Ni−15%Cr−
10%Fe)等のNi基合金が用いられている。Ni基
合金は耐食性や高温強度に優れるが、かかるNi
基合金からなる伝熱管を、例えば加圧水型原子炉
の蒸気発生器に使用した場合、1次系水には、溶
存酸素のない脱気処理された高温高圧水が使用さ
れているにもかかわらず、1次系水と接している
伝熱管表面は、わずかながらも次第に腐食され、
腐食により放出されたNiイオンやCoイオンが炉
心で放射化された後、1次系配管等に沈着し、定
期検査等において作業者の安全衛生上の問題が生
じる。 そこで、本発明者は先に、高温高圧水中での耐
食性が、前述のアロイ600よりも遥かに優れた、
Crを30%と多く含有させたアロイ690(60%Ni−
30%Cr−10%Fe)のNi基合金を開発し、特許出
願した(特開昭59−85850号公報)。これにより、
高温高圧水中における伝熱管の腐食は大きく軽減
された。 (発明が解決しようとする問題点) しかし、伝熱管の使用環境は今後益々厳しくな
ることが予想され、安全衛生面からの要請も高ま
る一方である。このようなことから、更に耐食性
に優れた、特にその中でも耐全面腐食性がより優
れた伝熱管の開発が望まれている。 ここに、耐全面腐食性とは高温高圧水中で材料
表面からの合金成分の均一腐食に対する抵抗性の
ことをいい、耐全面腐食性が悪いと材料表面から
Fe、Ni、Cr等の合金成分の溶出が大きくなり、
例えば加圧水型原子炉の蒸気発生器用伝熱管とし
て使用した場合には、1次系配管に放射化された
腐食生成物の堆積が起こる。 本発明の目的は、高温高圧水環境下で用いられ
るNi基合金伝熱管、例えば加圧水型原子炉の蒸
気発生器用伝熱管の耐食性、特に、その中でも耐
全面腐食性をさらに改善することにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明者は、高温高圧水環境下で使用される
Ni基合金製の伝熱管について、機械的性質を損
なうことなく、耐全面腐食性をさらに向上させる
方法について種々検討を行つた。 通常、伝熱管は、特別の防食処理をせぶ裸管の
まま使用されている。そのため、元来耐食性のよ
いNi基合金であつてもわずかながらも次第に腐
食が進行する。このような腐食を抑制するには伝
熱管表面を防食及膜処理して使用することが考え
られる。一般に金属製品の防食皮膜処理には、め
つき、塗装等をはじめとして種々の方法がある。
しかし、これらの方法はいずれも製造工程が増
え、製造コストが嵩むだけでなく、Ni基合金の
伝熱管という特殊な製品に適用するうえで好まし
い方法とは言い難い。 そこで、本発明者はこのような方法を採ること
なく、伝熱管表面に何らかの防食皮膜を付与する
方法についてさらに検討を行つた結果、下記の知
見を得た。 Ni基合金からなる伝熱管は、その最終製造工
程で高温高圧水中での粒界応力腐食割れ(SCC)
を防止するために、900℃以上の温度で焼鈍処理
され、次いで焼鈍で生じたCr欠乏層を修復する
ために、その後粒界強化熱処理が施される。この
粒界強化熱処理は、焼鈍後の粒界にクロム炭化物
を析出させて粒界を強化し、耐食性を向上させる
ものであつて、一般に、550〜750℃の温度範囲
で、且つ加熱中の着色を防止するために
10-5Torr以上の高真空下で行われる。 本発明者は、この粒界強化熱処理工程中の一部
で真空度を下げて熱処理したところ、粒界強化の
効果が何ら損なわれず、逆に伝熱管表面に耐食性
に優れるクロム酸化物を主体とする薄い酸化皮膜
が形成され、その結果、耐全面腐食性や耐SCC等
の耐食性が大幅に向上することを見出し、本発明
を完成した。 ここに、本発明の要旨とするところは、重量%
で、Cr:20〜35%、Ni:40〜70%を含有するNi
基合金伝熱管を高真空下で加熱保持する粒界強化
熱処理に際し、その熱処理工程の一部を10-2〜
10-4Torrの真空度で、添付第1図の点AとB、
BとC、CとD、DとE、EとFおよびFとAを
それぞれ結ぶ直線によつて囲まれる領域内の条件
で熱処理し、表面にクロム酸化物を主体とする酸
化皮膜を形成させることを特徴とする伝熱管の熱
処理方法、にある。 第1図は、粒界強化熱処理工程の一部で採用す
る本発明にかかる熱処理の加熱温度と加熱時間の
関係を示したものである。 なお、破線で示す領域内の条件は、焼鈍後、通
常一般に採られている粒界強化熱処理の加熱温度
と時間を示したものであつて、10-5Torr以上の
高真空下で概ね550〜750℃の温度範囲で1〜100
時間保持する。 本発明は、この粒界強化熱処理工程の一部を、
10-2〜10-4Torrの範囲内の真空度に調整し、そ
の真空雰囲気下で第1図の点A(1h、750℃)、B
(1H、650℃)、C(10h、550℃)、D(50h、550
℃)、E(5h、650℃)およびF(5h、750℃)の6
点を結ぶ直線によつて囲まれる領域内の加熱温度
と加熱時間で熱処理し、伝熱管表面にNiイオン
やCoイオンの溶出抑制に効果のあるクロム酸化
物を主体とする酸化皮膜を形成する。 (作用) 次ぎに各条件の限定理由を説明する。 加熱時間がAB線で示される1時間およびBC
線で示される1〜10時間より少ないと、形成され
る酸化皮膜は薄くNiイオンやCoイオンの溶出抑
制に有効な厚さの酸化皮膜が得られない。又DE
線で示される5〜50時間およびEF線で示される
5時間より長くなると、形成される酸化皮膜が厚
くなりすぎ、ひび割れや剥離が発生しやすくなつ
て逆に耐食性を悪化させることになる。 一方、加熱温度はAF線で示される750℃より高
い温度およびCD線で示される550℃より低い温度
では、粒界強化熱処理自体の目的が達成されな
い。即ち、75℃を超える温度ではクロム炭化物が
粒界に析出する量が少なく、粒界強化が得られな
いとともに、生成する酸化皮膜は(Ni、Fe)
O・Cr2O3のスピネル構造のものが主体となり、
Cr2O3のクロム酸化物を主体とする酸化皮膜の生
成量が少なくなつて耐食性に劣る。又、550℃よ
り低い温度でも長時間加熱すれば、Cr2O3主体の
酸化皮膜を生成させることができるが、有効な厚
さの酸化皮膜形成に長時間かかるとともに、粒界
強化熱処理の時間も長くなり、製造面から不利と
なり実用的ではない。 本発明は、前述のように粒界強化熱処理を活用
して伝熱管表面にクロム酸化物を主体とする酸化
皮膜を形成させるわけであるが、この時、加熱温
度と加熱時間の外に真空度を10-2〜10-4Torrの
範囲に調整して熱処理することが重要である。真
空度が10-2Torr未満の低真空では、耐蝕性に劣
る(Ni、Fe)O・Cr2O3のスピネル構造主体の
酸化皮膜となり好ましくない。一方10-4Torrを
超える高真空では、実用範囲内で長時間熱処理し
ても金属溶出抑制に有効な酸化皮膜が確保しにく
くなる。 粒界強化熱処理工程の一部で、前述した条件の
真空度、加熱温度および加熱時間で熱処理するこ
とでNi基合金伝熱管表面には、Cr2O3のクロム酸
化物を主体とした厚さがおよそ500〜5000Åの酸
化皮膜が形成される。 この酸化皮膜を形成させる処理は、粒界強化熱
処理工程の処理時間内のどこかで実施すればよ
い。例えば粒界強化熱処理工程の前半段階で行つ
てもよく、中間段階で行つてもよくあるいは後半
段階で行つてもよい。工程的には後半段階で実施
する方が真空度制御の点から望ましい。後半段階
で実施する場合、後述する実施例でとつたヒート
パターンに示すように、前半は粒界強化を目的と
した熱処理を行い、次いで後半で真空度を10-2〜
10-4Torrの範囲に下げて、その真空下で一定時
間加熱保持して酸化皮膜処理と粒界強化処理とを
兼ねて行う方法(第2a)。或いは後半の粒界強
化熱処理を一旦中断し、室温まで冷却したのち次
いで再加熱して所定の真空度の下で一定時間加熱
保持して酸化皮膜処理と粒界強化処理とを兼ねて
行う方法(第2図b)がある。 なお、本発明の方法では、粒界強化熱処理工程
の一部で加熱温度を変更することなく真空度を
10-2〜10-4Torrの範囲に低下すれば容易に実施
することができるが、粒界強化処理時の加熱温度
と酸化皮膜処理時の加熱温度を変えて実施しても
よい。温度変更は高温側から段階的に下げてもよ
く、逆の方法でもよい。更に真空雰囲気としては
真空以外に10-2〜10-4Torr相当の酸素分圧を有
するアルゴンガス等の不活性ガスを使用してもよ
い。 本発明の熱処理方法は、重量%でCrを20〜35
%、Niを40〜70%含有したNi基合金伝熱管を対
象とするものである。 その理由は、前述した耐食性に優れるCr2O3の
クロム酸化物を主体とする酸化皮膜を得るには、
重量%で、20〜35%のCrを必要とするからであ
る。Ni量が40〜70%の範囲内であればNi基合金
の優れた耐食性を損なうことはない。 又、本発明が対象とするNi基合金伝熱管は、
CrとNiの外にCとTi、Mn或いはMg等の1種以
上含んだものであつてもよい。Cは通常この種
Ni基合金には0.005〜0.07%含有されているが、
本発明においては、粒界強化と強度の観点から
0.015〜0.03%のものが好ましい。又、Ti、Mn、
Mgは加工性を改善するために添加されるもので
あり、それぞれTi:0.5%以下、Mn:0.5%以下
及びMg:0.1%以下の1種以上を含有させても本
発明の効果を何ら損なうものではない。 以下、実施例によつて本発明の効果を具体的に
説明する。 (実施例) 真空溶解炉を用いて第1表に示すA、B2種の
Ni基合金を溶製し、熱間鍛造、熱間圧延して7
mm厚の板材とし、次いで、冷間圧延によつて4.9
mm厚の供試材を製造した。 この供試材を1050℃の温度で0.24時間加熱して
水冷する焼鈍を施した後、第2表に示す加熱温
度、保持時間および真空度で粒界強化熱処理と酸
化皮膜処理を行つた。粒界強化熱処理と酸化皮膜
処理は、第2図のヒートパターンに示すように、
粒界強化熱処理の後半で真空度を下げて酸化皮膜
処理と粒界強化熱処理とを兼ねて行つたものと、
後半で粒界強化熱処理を一旦中断し、次いで再加
熱して酸化皮膜処理と粒界強化熱処理とを兼ねて
行つたものの2タイプ実施した。 このようにして得た供試材に対して、酸化皮膜
圧、高温水中のNiイオン溶出量および耐脱気高
温水SCC性を調べた結果を同じく第2表に示す。 なお、酸化皮膜量はIMMA(Ion Micro Mass
Anal yser)により分析した。高温水中のNiイオ
の溶出量はPWR一次模擬水(500ppmB3++
1ppmLi+、325℃脱気)中で容量500mlの白金容器
を用い、第3図に示した静止型オートクレーブ中
で200h浸漬し、溶液中の溶出Niイオン量をICP
(Inductively Coup led Plasma:高周波誘導プ
ラズマ発光分光法)により分光し、耐全面腐食性
を評価した。また、耐脱気高温水SCC試験は、上
述の一次模擬水(360℃)中で、U曲げ試験を
1000h行い、試験後の割れ深さを断面光学顕微鏡
観察により行つた。
基合金伝熱管、例えば加圧水型電子炉(PWR)
の蒸気発生器用伝熱管の耐食性、特に、耐全面腐
食性を向上させる熱処理方法に関するものであ
る。 (従来の技術) 例えば、加圧水型原子炉の蒸気発生器用伝熱管
のような高温高圧水環境下で用いられる伝熱管の
素材には、現在、アロイ600(75%Ni−15%Cr−
10%Fe)等のNi基合金が用いられている。Ni基
合金は耐食性や高温強度に優れるが、かかるNi
基合金からなる伝熱管を、例えば加圧水型原子炉
の蒸気発生器に使用した場合、1次系水には、溶
存酸素のない脱気処理された高温高圧水が使用さ
れているにもかかわらず、1次系水と接している
伝熱管表面は、わずかながらも次第に腐食され、
腐食により放出されたNiイオンやCoイオンが炉
心で放射化された後、1次系配管等に沈着し、定
期検査等において作業者の安全衛生上の問題が生
じる。 そこで、本発明者は先に、高温高圧水中での耐
食性が、前述のアロイ600よりも遥かに優れた、
Crを30%と多く含有させたアロイ690(60%Ni−
30%Cr−10%Fe)のNi基合金を開発し、特許出
願した(特開昭59−85850号公報)。これにより、
高温高圧水中における伝熱管の腐食は大きく軽減
された。 (発明が解決しようとする問題点) しかし、伝熱管の使用環境は今後益々厳しくな
ることが予想され、安全衛生面からの要請も高ま
る一方である。このようなことから、更に耐食性
に優れた、特にその中でも耐全面腐食性がより優
れた伝熱管の開発が望まれている。 ここに、耐全面腐食性とは高温高圧水中で材料
表面からの合金成分の均一腐食に対する抵抗性の
ことをいい、耐全面腐食性が悪いと材料表面から
Fe、Ni、Cr等の合金成分の溶出が大きくなり、
例えば加圧水型原子炉の蒸気発生器用伝熱管とし
て使用した場合には、1次系配管に放射化された
腐食生成物の堆積が起こる。 本発明の目的は、高温高圧水環境下で用いられ
るNi基合金伝熱管、例えば加圧水型原子炉の蒸
気発生器用伝熱管の耐食性、特に、その中でも耐
全面腐食性をさらに改善することにある。 (問題点を解決するための手段) 本発明者は、高温高圧水環境下で使用される
Ni基合金製の伝熱管について、機械的性質を損
なうことなく、耐全面腐食性をさらに向上させる
方法について種々検討を行つた。 通常、伝熱管は、特別の防食処理をせぶ裸管の
まま使用されている。そのため、元来耐食性のよ
いNi基合金であつてもわずかながらも次第に腐
食が進行する。このような腐食を抑制するには伝
熱管表面を防食及膜処理して使用することが考え
られる。一般に金属製品の防食皮膜処理には、め
つき、塗装等をはじめとして種々の方法がある。
しかし、これらの方法はいずれも製造工程が増
え、製造コストが嵩むだけでなく、Ni基合金の
伝熱管という特殊な製品に適用するうえで好まし
い方法とは言い難い。 そこで、本発明者はこのような方法を採ること
なく、伝熱管表面に何らかの防食皮膜を付与する
方法についてさらに検討を行つた結果、下記の知
見を得た。 Ni基合金からなる伝熱管は、その最終製造工
程で高温高圧水中での粒界応力腐食割れ(SCC)
を防止するために、900℃以上の温度で焼鈍処理
され、次いで焼鈍で生じたCr欠乏層を修復する
ために、その後粒界強化熱処理が施される。この
粒界強化熱処理は、焼鈍後の粒界にクロム炭化物
を析出させて粒界を強化し、耐食性を向上させる
ものであつて、一般に、550〜750℃の温度範囲
で、且つ加熱中の着色を防止するために
10-5Torr以上の高真空下で行われる。 本発明者は、この粒界強化熱処理工程中の一部
で真空度を下げて熱処理したところ、粒界強化の
効果が何ら損なわれず、逆に伝熱管表面に耐食性
に優れるクロム酸化物を主体とする薄い酸化皮膜
が形成され、その結果、耐全面腐食性や耐SCC等
の耐食性が大幅に向上することを見出し、本発明
を完成した。 ここに、本発明の要旨とするところは、重量%
で、Cr:20〜35%、Ni:40〜70%を含有するNi
基合金伝熱管を高真空下で加熱保持する粒界強化
熱処理に際し、その熱処理工程の一部を10-2〜
10-4Torrの真空度で、添付第1図の点AとB、
BとC、CとD、DとE、EとFおよびFとAを
それぞれ結ぶ直線によつて囲まれる領域内の条件
で熱処理し、表面にクロム酸化物を主体とする酸
化皮膜を形成させることを特徴とする伝熱管の熱
処理方法、にある。 第1図は、粒界強化熱処理工程の一部で採用す
る本発明にかかる熱処理の加熱温度と加熱時間の
関係を示したものである。 なお、破線で示す領域内の条件は、焼鈍後、通
常一般に採られている粒界強化熱処理の加熱温度
と時間を示したものであつて、10-5Torr以上の
高真空下で概ね550〜750℃の温度範囲で1〜100
時間保持する。 本発明は、この粒界強化熱処理工程の一部を、
10-2〜10-4Torrの範囲内の真空度に調整し、そ
の真空雰囲気下で第1図の点A(1h、750℃)、B
(1H、650℃)、C(10h、550℃)、D(50h、550
℃)、E(5h、650℃)およびF(5h、750℃)の6
点を結ぶ直線によつて囲まれる領域内の加熱温度
と加熱時間で熱処理し、伝熱管表面にNiイオン
やCoイオンの溶出抑制に効果のあるクロム酸化
物を主体とする酸化皮膜を形成する。 (作用) 次ぎに各条件の限定理由を説明する。 加熱時間がAB線で示される1時間およびBC
線で示される1〜10時間より少ないと、形成され
る酸化皮膜は薄くNiイオンやCoイオンの溶出抑
制に有効な厚さの酸化皮膜が得られない。又DE
線で示される5〜50時間およびEF線で示される
5時間より長くなると、形成される酸化皮膜が厚
くなりすぎ、ひび割れや剥離が発生しやすくなつ
て逆に耐食性を悪化させることになる。 一方、加熱温度はAF線で示される750℃より高
い温度およびCD線で示される550℃より低い温度
では、粒界強化熱処理自体の目的が達成されな
い。即ち、75℃を超える温度ではクロム炭化物が
粒界に析出する量が少なく、粒界強化が得られな
いとともに、生成する酸化皮膜は(Ni、Fe)
O・Cr2O3のスピネル構造のものが主体となり、
Cr2O3のクロム酸化物を主体とする酸化皮膜の生
成量が少なくなつて耐食性に劣る。又、550℃よ
り低い温度でも長時間加熱すれば、Cr2O3主体の
酸化皮膜を生成させることができるが、有効な厚
さの酸化皮膜形成に長時間かかるとともに、粒界
強化熱処理の時間も長くなり、製造面から不利と
なり実用的ではない。 本発明は、前述のように粒界強化熱処理を活用
して伝熱管表面にクロム酸化物を主体とする酸化
皮膜を形成させるわけであるが、この時、加熱温
度と加熱時間の外に真空度を10-2〜10-4Torrの
範囲に調整して熱処理することが重要である。真
空度が10-2Torr未満の低真空では、耐蝕性に劣
る(Ni、Fe)O・Cr2O3のスピネル構造主体の
酸化皮膜となり好ましくない。一方10-4Torrを
超える高真空では、実用範囲内で長時間熱処理し
ても金属溶出抑制に有効な酸化皮膜が確保しにく
くなる。 粒界強化熱処理工程の一部で、前述した条件の
真空度、加熱温度および加熱時間で熱処理するこ
とでNi基合金伝熱管表面には、Cr2O3のクロム酸
化物を主体とした厚さがおよそ500〜5000Åの酸
化皮膜が形成される。 この酸化皮膜を形成させる処理は、粒界強化熱
処理工程の処理時間内のどこかで実施すればよ
い。例えば粒界強化熱処理工程の前半段階で行つ
てもよく、中間段階で行つてもよくあるいは後半
段階で行つてもよい。工程的には後半段階で実施
する方が真空度制御の点から望ましい。後半段階
で実施する場合、後述する実施例でとつたヒート
パターンに示すように、前半は粒界強化を目的と
した熱処理を行い、次いで後半で真空度を10-2〜
10-4Torrの範囲に下げて、その真空下で一定時
間加熱保持して酸化皮膜処理と粒界強化処理とを
兼ねて行う方法(第2a)。或いは後半の粒界強
化熱処理を一旦中断し、室温まで冷却したのち次
いで再加熱して所定の真空度の下で一定時間加熱
保持して酸化皮膜処理と粒界強化処理とを兼ねて
行う方法(第2図b)がある。 なお、本発明の方法では、粒界強化熱処理工程
の一部で加熱温度を変更することなく真空度を
10-2〜10-4Torrの範囲に低下すれば容易に実施
することができるが、粒界強化処理時の加熱温度
と酸化皮膜処理時の加熱温度を変えて実施しても
よい。温度変更は高温側から段階的に下げてもよ
く、逆の方法でもよい。更に真空雰囲気としては
真空以外に10-2〜10-4Torr相当の酸素分圧を有
するアルゴンガス等の不活性ガスを使用してもよ
い。 本発明の熱処理方法は、重量%でCrを20〜35
%、Niを40〜70%含有したNi基合金伝熱管を対
象とするものである。 その理由は、前述した耐食性に優れるCr2O3の
クロム酸化物を主体とする酸化皮膜を得るには、
重量%で、20〜35%のCrを必要とするからであ
る。Ni量が40〜70%の範囲内であればNi基合金
の優れた耐食性を損なうことはない。 又、本発明が対象とするNi基合金伝熱管は、
CrとNiの外にCとTi、Mn或いはMg等の1種以
上含んだものであつてもよい。Cは通常この種
Ni基合金には0.005〜0.07%含有されているが、
本発明においては、粒界強化と強度の観点から
0.015〜0.03%のものが好ましい。又、Ti、Mn、
Mgは加工性を改善するために添加されるもので
あり、それぞれTi:0.5%以下、Mn:0.5%以下
及びMg:0.1%以下の1種以上を含有させても本
発明の効果を何ら損なうものではない。 以下、実施例によつて本発明の効果を具体的に
説明する。 (実施例) 真空溶解炉を用いて第1表に示すA、B2種の
Ni基合金を溶製し、熱間鍛造、熱間圧延して7
mm厚の板材とし、次いで、冷間圧延によつて4.9
mm厚の供試材を製造した。 この供試材を1050℃の温度で0.24時間加熱して
水冷する焼鈍を施した後、第2表に示す加熱温
度、保持時間および真空度で粒界強化熱処理と酸
化皮膜処理を行つた。粒界強化熱処理と酸化皮膜
処理は、第2図のヒートパターンに示すように、
粒界強化熱処理の後半で真空度を下げて酸化皮膜
処理と粒界強化熱処理とを兼ねて行つたものと、
後半で粒界強化熱処理を一旦中断し、次いで再加
熱して酸化皮膜処理と粒界強化熱処理とを兼ねて
行つたものの2タイプ実施した。 このようにして得た供試材に対して、酸化皮膜
圧、高温水中のNiイオン溶出量および耐脱気高
温水SCC性を調べた結果を同じく第2表に示す。 なお、酸化皮膜量はIMMA(Ion Micro Mass
Anal yser)により分析した。高温水中のNiイオ
の溶出量はPWR一次模擬水(500ppmB3++
1ppmLi+、325℃脱気)中で容量500mlの白金容器
を用い、第3図に示した静止型オートクレーブ中
で200h浸漬し、溶液中の溶出Niイオン量をICP
(Inductively Coup led Plasma:高周波誘導プ
ラズマ発光分光法)により分光し、耐全面腐食性
を評価した。また、耐脱気高温水SCC試験は、上
述の一次模擬水(360℃)中で、U曲げ試験を
1000h行い、試験後の割れ深さを断面光学顕微鏡
観察により行つた。
【表】
【表】
*1 分折できず、*2 孔食発生。
第2表より明らかなように、酸化皮膜処理の加
熱時間が本発明で規定する時間より短い比較例に
あたる試料No.11、12、15および16は、形成される
酸化皮膜が薄いためにNiイオン溶出量が多く、
金属溶出抑制効果が小さい。一方加熱時間の長い
比較例にあたる試料No.13及び14は、厚い酸化皮膜
が得られるが、その皮膜が厚すぎるため所々でヒ
ビ割れが発生しており、そのために金属溶出抑制
効果は低い。また、酸化皮膜処理のない従来法の
粒界強化熱処理のみ行つた試料No.17は、酸化皮膜
がほとんど形成されないためNiイオン溶出量が
著しく多い。これに対して本発明例にあたる試料
No.1〜10のものは、適度の酸化皮膜が形成され
て、Niイオン溶出量が少なく且つ耐SCC性も従
来の熱処理によるものと何ら変わりない。 なお、Coイオン量もICPで分析したが、本発明
例のものはいずれも検出限界以下であつた。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明方法によれば焼鈍
後の粒界強化熱処理工程で耐食性に優れたクロム
酸化物を主体とする酸化皮膜を伝熱管の表面に形
成することができて、伝熱管の耐食性、特に耐全
面腐食性が大きく向上する。また、その方法は新
たな工程を付加することなく粒界強化熱処理工程
内で行えるから製造コストの増加を招くこともな
い。
第2表より明らかなように、酸化皮膜処理の加
熱時間が本発明で規定する時間より短い比較例に
あたる試料No.11、12、15および16は、形成される
酸化皮膜が薄いためにNiイオン溶出量が多く、
金属溶出抑制効果が小さい。一方加熱時間の長い
比較例にあたる試料No.13及び14は、厚い酸化皮膜
が得られるが、その皮膜が厚すぎるため所々でヒ
ビ割れが発生しており、そのために金属溶出抑制
効果は低い。また、酸化皮膜処理のない従来法の
粒界強化熱処理のみ行つた試料No.17は、酸化皮膜
がほとんど形成されないためNiイオン溶出量が
著しく多い。これに対して本発明例にあたる試料
No.1〜10のものは、適度の酸化皮膜が形成され
て、Niイオン溶出量が少なく且つ耐SCC性も従
来の熱処理によるものと何ら変わりない。 なお、Coイオン量もICPで分析したが、本発明
例のものはいずれも検出限界以下であつた。 (発明の効果) 以上説明したように、本発明方法によれば焼鈍
後の粒界強化熱処理工程で耐食性に優れたクロム
酸化物を主体とする酸化皮膜を伝熱管の表面に形
成することができて、伝熱管の耐食性、特に耐全
面腐食性が大きく向上する。また、その方法は新
たな工程を付加することなく粒界強化熱処理工程
内で行えるから製造コストの増加を招くこともな
い。
第1図は、粒界強化熱処理の加熱温度と加熱時
間の関係を示すグラフであつて、破線で囲まれ範
囲が粒界強化熱処理の条件、実線で囲まれる範囲
が本発明にかかる酸化皮膜を形成するめの熱処理
条件である。第2図a及びbは、本発明の実施例
で採用した粒界強化と酸化皮膜熱処理のヒートパ
ターンである。第3図は、実施例でNiイオン、
Coイオン溶出量の測定に用いた静止型オートク
レーブを示す一部断面概略図、である。
間の関係を示すグラフであつて、破線で囲まれ範
囲が粒界強化熱処理の条件、実線で囲まれる範囲
が本発明にかかる酸化皮膜を形成するめの熱処理
条件である。第2図a及びbは、本発明の実施例
で採用した粒界強化と酸化皮膜熱処理のヒートパ
ターンである。第3図は、実施例でNiイオン、
Coイオン溶出量の測定に用いた静止型オートク
レーブを示す一部断面概略図、である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 Cr:20〜35%、Ni:40〜70%を含有するNi基
合金伝熱管を高真空下で加熱保持する粒界強化熱
処理に際し、その熱処理工程の一部を10-2〜
10-4Torrの真空度で、添付第1図の点AとB,
BとC,CとD,DとE,EとFおよびFとAを
それぞれ結ぶ直線によつて囲まれる領域内の条件
で熱処理し、表面にクロム酸化物を主体とする酸
化皮膜を形成させることを特徴とする伝熱管の熱
処理方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21156587A JPS6455366A (en) | 1987-08-26 | 1987-08-26 | Heat treatment for heat-transfer pipe |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP21156587A JPS6455366A (en) | 1987-08-26 | 1987-08-26 | Heat treatment for heat-transfer pipe |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6455366A JPS6455366A (en) | 1989-03-02 |
| JPH0524985B2 true JPH0524985B2 (ja) | 1993-04-09 |
Family
ID=16607892
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP21156587A Granted JPS6455366A (en) | 1987-08-26 | 1987-08-26 | Heat treatment for heat-transfer pipe |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6455366A (ja) |
Families Citing this family (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4042362B2 (ja) | 2000-08-11 | 2008-02-06 | 住友金属工業株式会社 | Ni基合金製品とその製造方法 |
| JP3960069B2 (ja) | 2002-02-13 | 2007-08-15 | 住友金属工業株式会社 | Ni基合金管の熱処理方法 |
| JP3979281B2 (ja) * | 2002-12-04 | 2007-09-19 | 株式会社日立製作所 | 弁棒の製造法とその製造法によって製造された弁棒及びそれを用いた蒸気弁 |
| JP4720590B2 (ja) * | 2006-04-12 | 2011-07-13 | 住友金属工業株式会社 | 含Crニッケル基合金管の製造方法 |
| CA2723522C (en) | 2008-05-16 | 2014-02-18 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Ni-cr alloy material |
| JP2010270400A (ja) * | 2010-07-21 | 2010-12-02 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 原子力プラント用蒸気発生器管 |
| ES2654212T3 (es) | 2010-08-26 | 2018-02-12 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Tubo de aleación de austenita que contiene Cr |
| WO2013146034A1 (ja) | 2012-03-28 | 2013-10-03 | 新日鐵住金株式会社 | 含Crオーステナイト合金およびその製造方法 |
| EP2835443B1 (en) | 2012-04-04 | 2019-02-27 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Cr-containing austenitic alloy |
| US9859026B2 (en) | 2012-06-20 | 2018-01-02 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Austenitic alloy tube |
| JP6292311B2 (ja) * | 2014-09-29 | 2018-03-14 | 新日鐵住金株式会社 | Ni基合金管 |
-
1987
- 1987-08-26 JP JP21156587A patent/JPS6455366A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6455366A (en) | 1989-03-02 |
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