JPH05320885A - イオンプレーティング用蒸発材 - Google Patents

イオンプレーティング用蒸発材

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JPH05320885A
JPH05320885A JP12641292A JP12641292A JPH05320885A JP H05320885 A JPH05320885 A JP H05320885A JP 12641292 A JP12641292 A JP 12641292A JP 12641292 A JP12641292 A JP 12641292A JP H05320885 A JPH05320885 A JP H05320885A
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龍彦 藤沼
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 格段に速くかつ一定の蒸着速度で被膜を形成
できるイオンプレーティング用蒸発材を提供する。 【構成】 本発明によるイオンプレーティング用蒸発材
は、イオンプレーティングのプラズマビームにより真空
室内で蒸発可能な昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体に
よって形成されかつ被着体に金属被膜を形成できるもの
である。昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体を蒸発材と
して用いることにより、イオンプレーティングの際に金
属イオンの生成が加速化され、従来のイオンプレーティ
ング用蒸発材よりも格段に速い蒸着速度でかつ均一に被
着体の表面に大きな膜厚の被覆を形成することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒸発材、特にプラズマ
ビームを用いて蒸発材を蒸発させるホロカソード型電子
ビーム蒸着法(Hollow Cathode Discharge、HCD)や
これに類似するイオンビーム蒸着法等に使用するイオン
プレーティング用蒸発材に関連する。
【0002】
【従来の技術】仕上げ加工の不要な仕上り面を有する耐
摩耗性被膜を均一に形成できる被膜形成法として、PV
D法(Physical Vaper Deposition Process)が知られ
ている。PVD法の一形態として使用される真空蒸着と
スパッタリングを組合せたイオンプレーティング法は、
金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物等の金属化合物又
はこれらの複合物の被膜を被着体に形成する表面処理法
であり、現在では、特に摺動部材及び切削工具等の表面
に厚膜を形成するため重要である。また、イオンプレー
テイング法で形成した被膜は、真空蒸着法の被膜より母
材との密着性が格段に優れ、スパッタリング法より被膜
生成速度が非常に速い利点がある。
【0003】イオンプレーティング法では、炭化物、窒
化物、酸化物を形成する金属又は合金等の蒸発材を加熱
して蒸発させ、蒸発金属原子又はガス雰囲気中の窒素、
炭素又は酸素等の原子を放電によりイオン化させ、高電
界で被着体の表面に誘引して、被膜が形成される。プラ
ズマビームを利用するイオンプレーティング法は、低電
圧、高電流の中空陰極電子銃等を使用するために、電子
と蒸発物との衝突確率が高く、20〜40%の大きなイ
オン化率が得られる長所がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のホロ
カソード式イオンプレーティング法や他のイオンプレー
ティング法は、被膜を形成すべき蒸発材として、溶解後
に凝固された塊(インゴット)を粉砕したものやHIP
(Hot Isostatic Pressing)法で形成したインゴットを
用いていた。ところが、このような方法で蒸着速度の速
い高価なクロム(Cr)、マンガン(Mn)等の昇華性金
属の粉砕物やHIPにより形成したインゴットを用いる
と、所望の蒸着速度が得られないことが判明した。ま
た、これらの金属は、凹凸状の表面を有するから、電子
ビームの照射の際に単位時間当たりの蒸発量及び被膜の
厚みが一定にならないといった難点がある。
【0005】本発明の目的は、格段に速くかつ一定の蒸
着速度でかつスプラッシュのない被膜を形成できるイオ
ンプレーティング用蒸発材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によるイオンプレ
ーティング用蒸発材は、イオンプレーティング法に用い
る蒸発材であってのプラズマビームにより真空室内で蒸
発可能な昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体によって形
成されかつ被着体に金属被膜を形成できるものである。
前記焼結体又は圧粉成形体は、クロム(Cr)、マンガ
ン(Mn)又はこれらの金属を主成分とする合金又は珪
素(Si)、チタン(Ti)、鉄(Fe)及び硼素(B)
を含むクロムベース合金若しくはマンガンベース合金で
ある。前記焼結体又は圧粉成形体は、中実真密度の40
〜80%の密度を有しかつオープンポアを備え、好まし
くは照射されるビームの広がりよりも大きい平坦な面を
有する実質的に円柱、楕円柱又は角柱の形状を有し、プ
ラズマビームの照射により常に一定の蒸発量を維持でき
るものである。
【0007】なお、本発明に用いる「プラズマビーム」
とは、電子ビームの電子エネルギーにより電離気体(プ
ラズマ)を同時に発生するビームをいう。
【0008】
【作用】昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体を蒸発材と
して用いることにより、イオンプレーティングの際に金
属イオンの生成が加速化され、従来のホロカソード式イ
オンプレーティング用蒸発材よりも格段に速い蒸着速度
でかつ均一に被着体の表面に大きな膜厚の被覆を形成す
ることができる。金属クロム又はクロム合金を用いる
と、更に大きな蒸着速度が得られる。また、焼結又は加
圧成形された金属又は合金の蒸発材は、真密度の40〜
80%の密度であるとよい。蒸発材の密度が40%に満
たないと蒸発量が少なく厚膜の形成が困難となる。ま
た、蒸発材の密度が80%を越えると、金属又は合金の
蒸着速度が遅くなり、長い被膜形成時間を要する。ま
た、蒸発材にクローズドポアが生成されており、スプラ
ッシュの原因となる。スプラッシュはルツボから輸送さ
れた金属イオンビームが迅速に凝固して被着体に均一な
被膜が形成されない現象をいう。
【0009】また、従来のように金属の粉砕物やHIP
で形成したインゴットを用いると、これらの蒸発材は凹
凸面を有しプラズマビームはインゴットの一部にしか照
射されず、蒸発量が一定とならない。このため、プラズ
マビームの照射によって金属又は合金のイオンが常に一
定量で発生するように、蒸発材をビームの照射面積より
大きな平坦な面を有する円柱、楕円柱又は角柱状に形成
することが好ましい。
【0010】
【実施例】以下、本発明によるイオンプレーティング用
蒸発材の一実施例を図1〜図4について説明する。
【0011】図1は、本発明に使用する一実施例を示す
イオンプレーティング装置の概略図である。ホロカソー
ド式イオンプレーティング装置10は真空ポンプにより
減圧される真空槽11を有し、この内部には表面被覆す
べき被着体の母材12が保持具13により回転可能に保
持される。母材12は、例えば外径85ミリメートル、
厚さ2ミリメートルのSUS304のステンレス製パイ
プである。保持具13の上方には母材12を所定温度に
加熱するヒータ14が設置されている。母材12には負
の電圧が印加される。また、保持具13の下方には水冷
銅式ルツボ15が設置され、この内部には正の電圧が印
加された蒸発材16が収容される。蒸発材16はクロム
(Cr)、マンガン(Mn)等の昇華性金属による円柱状
の焼結体又は圧粉成形体である。純度99.9%の平均
粒度100メッシュの微粉の金属クロムを直径約68ミ
リメートル、長さ25ミリメートルの円柱状に加圧成形
した焼結体であり、密度50%に調整し、これを摂氏1
200度の温度で焼結しかつ脱ガスして蒸発材16を作
成する。蒸発体16を図1に示すイオンプレーティング
装置内のルツボ15内に配置する。
【0012】また、真空槽11の側壁には、ホロカソー
ド型の電子銃17、雰囲気ガス(窒素ガス)の導入管1
8が取り付けられる。電子銃17から射出された電子ビ
ームを蒸発材16に照射させる集束コイル19がルツボ
15の周囲に配置される。この場合、均一な蒸発量を得
るため、母材12とルツボ15とを常に一定の距離で配
置することが好ましい。
【0013】上記の構成において、母材12は保持具1
3と共に回転され、ヒータ14により母材12が加熱さ
れる。10-2torr〜10-4torr程度の低真空雰囲気中で
電子銃17から蒸発材16に向かって照射される低電圧
−大電流の電子ビームにより、蒸発材16の粒子を飛散
させる。このとき、集束コイル19の電流を低下させ
て、蒸発材16の加熱表面積を大きくでき、昇華性金属
を大量に蒸発させることが可能である。正の電圧が印加
された蒸発材16の粒子は電荷移動によって運搬され、
負の電圧が印加された母材12の表面に蒸着される。焼
結体又は圧粉成形体からなる蒸発材16に電子ビームを
照射すると、スプラッシュ等の悪影響がなく、母材12
に均一な被膜を形成することができる。
【0014】母材温度:400℃、電子ビーム出力:3
8V−500A、ルツボ仕様:径70ミリメートル:深
さ100ミリメートル、窒素ガス分圧:1×10-3tor
r、蒸発材:金属クロム焼結体、被覆処理時間:30分
〜120分として、本実施例で形成した被膜と、従来の
蒸発材である金属クロム・インゴットのみを替えた場合
に得られた被膜との比較を行なった。
【0015】図2は、被覆処理時間(分)を横軸、母材
12のパイプ外周に被覆されたCr−N(窒素)からな
る膜厚(ミクロン)を縦軸で示す比較結果のグラフであ
る。図中、実線はクロム粉の焼結体を用いた本発明によ
る蒸発材16の膜厚を示し、破線は従来のクロム・イン
ゴットを用いた場合の膜厚を示す。図2から明らかなよ
うに、本発明によるイオンプレーティン用蒸発材では、
従来に比べて格段に速い蒸着速度で被覆を形成でき、イ
オンプレーティングを長時間行っても、蒸着速度が低下
せず、特に本発明は膜厚の大きい領域ほど著しく有利で
あることが理解出来よう。
【0016】図3は、本発明によるイオンプレーティン
グ用蒸発材により作成したクロム−窒素の被膜の断面の
クロム濃度変化を電子プローブ微小部分析法(EPM
A)により測定した結果を示すグラフである。図4は従
来のイオンプレーティング用蒸発材で作成したクロム−
窒素の被膜の断面のクロム濃度変化を同じくEPMAに
より測定した結果を示す。図3及び図4の比較により、
本発明は従来に比べて被膜中のクロム濃度変化は少な
く、ほぼ均質な被膜が得られることが判明した。
【0017】イオンプレーティング終了後は、スクレー
パ機構等によりルツボ内を容易に洗浄できるから、生産
性に優れた厚膜を安価に形成することが可能である。
【0018】本発明の実施態様は前記の実施例に限定さ
れず、変更が可能である。例えば、前記の実施例では、
純度99.9%の平均粒度100メッシュの微粉の金属
クロム(Cr)を蒸発材16として使用する例を示した
が、マンガン(Mn)、クロム(Cr)又はマンガン(M
n)を主成分とする合金又は珪素(Si)、チタン(T
i)、鉄(Fe)及び硼素(B)を含むクロムベース合金
若しくはマンガンベース合金でもよい。また、焼結体又
は圧粉成形体を円柱状に形成するほかに、楕円柱又は角
柱状に形成してもよい。蒸発体を円柱、楕円柱又は角柱
状に形成すると、取扱いが容易であるばかりでなく、電
子銃17の電子ビームを蒸発材16に対して常に一定化
することができ、またルツボ15を省略することが可能
となる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるイオ
ンプレーティング用蒸発材は、昇華性金属による焼結体
又は圧粉成形体からなり、従来のイオンプレーテイング
用蒸発材よりも格段に速い蒸着速度でかつ均一に被覆が
行なえ、工業的利用価値は著しく大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による蒸発材を使用するイオンプレー
ティング装置の概略図
【図2】 本発明と従来のイオンプレーティング用蒸発
材の膜厚を示すグラフ
【図3】 本発明によるイオンプレーティング用蒸発材
により作成した被膜のクロム濃度変化を示すグラフ
【図4】 従来のイオンプレーティング用蒸発材による
作成した被膜のクロム濃度変化を示すグラフ
【符号の説明】
11...真空槽、 16...蒸発材、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤沼 龍彦 千葉県市川市中山1−13−10 (72)発明者 小林 賢一 山形県西置賜郡小国町大字小国町390

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオンプレーティング法に用いる蒸発材
    であって、プラズマビームにより真空室内で蒸発可能な
    昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体によって形成されか
    つ被着体に金属被膜を形成できることを特徴とするイオ
    ンプレーティング用蒸発材。
  2. 【請求項2】 昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体は、
    クロム(Cr)、マンガン(Mn)又はこれらの金属を主
    成分とする合金である「請求項1」に記載のイオンプレ
    ーティング用蒸発材。
  3. 【請求項3】 昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体は、
    40〜80%の中実真密度を有しかつオープンポアを備
    えた「請求項1」又は「請求項2」に記載のイオンプレ
    ーティング用蒸発材。
  4. 【請求項4】 昇華性金属の焼結体又は圧粉成形体は照
    射されるビームの広がりよりも大きい、平坦な面を有す
    る実質的に円柱、楕円柱又は角柱の形状を有し、プラズ
    マビームの照射により常にほぼ一定の蒸発量を維持でき
    る「請求項1」〜「請求項3」のいずれかに記載のイオ
    ンプレーティング用蒸発材。
  5. 【請求項5】 珪素(Si)、チタン(Ti)、鉄(F
    e)及び硼素(B)を含むクロムベース合金又はマンガ
    ンベース合金である「請求項2」に記載のイオンプレー
    ティング用蒸発材。
  6. 【請求項6】 プラズマビームは電子ビーム又はイオン
    ビームである「請求項4」に記載のイオンプレーティン
    グ用蒸発材。
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