JPH0536492B2 - - Google Patents
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- JPH0536492B2 JPH0536492B2 JP58032879A JP3287983A JPH0536492B2 JP H0536492 B2 JPH0536492 B2 JP H0536492B2 JP 58032879 A JP58032879 A JP 58032879A JP 3287983 A JP3287983 A JP 3287983A JP H0536492 B2 JPH0536492 B2 JP H0536492B2
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Description
本発明は、溶接部の靭性と耐粒間腐食性ならび
に母材の耐食性、特に耐孔食性および耐酸性に優
れたフエライト系クロムステンレス鋼に関する。 フエライト系クロムステンレス鋼は余り多量の
Niを含有せずCrとMoとにより耐食性の改善がな
されているため製造時の原料コストが安価である
が、オーステナイト系鋼に比べて靭性、延性が低
くまた耐食性が劣るとされてきた。しかし、近年
の製鋼技術の進歩に伴つてそのような特性劣化の
原因としての鋼中不純物であるとC、Nを著しく
低減する技術が確立され、また、合金元素あるい
は安定化元素の添加技術が確立したため、その原
料コストの安価さに着目した高純度フエライト系
クロムステンレス鋼の生産量増加が図られ、一
方、耐食性の一層の向上の方策への検討がなされ
てきた。 代表的な高純度フエライト系クロムステンレス
鋼としては、18%Cr−2%Mo、26%Cr−1%
Mo、29%Cr−4%Mo、29%Cr−4%Mo−2%
Ni、30%Cr−2%Mo等がある。これらの高純度
フエライト系クロムステンレス鋼の最大の特長
は、塩化物を含む溶液中で優れた耐応力腐食割れ
性(耐S.C.C.性−Stress Corrosion Crackingの
略−ともいう)を発揮する点であり、オーステナ
イト系ステンレス鋼を使用できないCl-イオン含
有の中性環境下での用途を主体にその用途拡大が
図られている。 ところで、今日実施されているフエライト系ク
ロムステンレス鋼の耐食性改善方法は、高Cr化、
Mo添加、Ni添加、極低(C+N)化、さらには
Ti、Nbなどの安定化元素添加等である。しかし
ながら、高Cr化およびMo添加はいずれもフエラ
イト系ステンレス鋼としての靭性、特に溶接部靭
性を劣化させる方向に作用するものであり、常温
以下での急激な靭性劣化が見られ、したがつて、
そのような靭性劣化が高純度フエライト系クロム
ステンレス鋼の広範なる用途拡大をはばんでき
た。また、(C+N)の低減化というも溶接部の
靭性劣化防止には十分ではなく、ましてTi、Nb
などの安定化元素を添加して(C+N)の影響を
軽減しようとする場合には、それらの元素の炭、
窒化物が多量に生成する結果、溶接部の靭性劣化
は免れない。 かくして、本発明の目的とするところは、従来
の高純度フエライト系クロムステンレス鋼の欠点
とされていた靭性、耐食性の劣化の問題をなく
し、むしろそれらの特性をいずれも飛躍的に向上
させた高純度フエライト系クロムステンレス鋼を
提供することにある。 ここに、本発明者らは、従来の靭性改善に方法
について種々検討したところ、極低C、N化とと
もに低Si、Mn化、さらに超極低S化およびAl添
加を図ることにより、それらの総合的作用効果と
して、予想外にも、溶接部も含めたフエライト系
クロムステンレス鋼の低温靭性を著しく改善する
ことを見い出して、本発明を完成したのである。 さらに、本発明者らは鋼中Sを従来とは一線を
画するレベルまで極低化することにより、予想外
にも、低Mn化に伴う熱間変形能の低下、耐食性
の劣化を防止し、むしろ鋼中Sの超極低化と低
Mn化との相乗的作用効果により母材の耐食性、
特に耐孔食性、耐銹性、耐酸性を著しく改善する
ことを見い出して本発明を完成したのである。 また、本発明者らは、真空精錬により極低C、
N化、およびAl添加、さらに所望により、安定
化元素としてのTi、Nbの添加により、溶接部の
靭性改善と溶接部の耐粒間腐食性改善とが著しい
ことを見い出して、本発明を完成したのである。 ここに、本発明は、重量%で、 Cr:15.00−50.00%、Mo:5.00%以下、 Ni:0.01−6.00%、Al:0.015〜1.00%、 さらに、所望により、Ti:1.00%以下〔ただ
し、Ti≧5x(C+N)%〕およびNb:1.00%以下
〔ただし、Nb≧8x(C+N)%]の1種または2
種を含み、 残部Feおよび不純物 からなり、精錬により不純物としてのC、N、
S、Si、Mn、Oをそれぞれ下記の範囲にまで低
減したことを特徴とする、耐食性および靭性に優
れたAl含有フエライト系クロムステンレス鋼: C:0.0060%以下、N:0.0150%以下、 S:0.0020%以下、Si:0.10%未満、 Mn:0.15%以下、O:0.015%以下 にある。 以上からも明らかなように、本発明鋼にあつて
は、C、N、S、Si、MnおよびOの各不純物を
極低化したことを特長とするものであつて、かか
る不純物の同時的低下は後述する新たに開発され
た特殊真空精錬法により初めて可能となつたもの
である。 なお、従来の高純度フエライト系クロムステン
レス鋼はAOD法、VOD法、VIM法、電子ビーム
溶解法等により溶製されてきたが、これらの従来
技術にあつては不純物としてのC、N、S、Si、
MnそしてOをそれぞれ同時に上述のような範囲
(以下、本発明鋼レベルという)にまで低減する
ことは不可能であつた。すなわち、例えばAOD
法においては鋼中Sを0.0020%以下にまで低減す
ることは可能であつたが、一方、鋼中C、Nを本
発明鋼レベルまで低減することはできず、さらに
また、Si、Mnを本発明鋼レベルにまで低減する
ことも脱酸上の制約よりできなかつた。また、
VOD法、VIM法、電子ビーム溶解法等の真空溶
解法では鋼中のC、N、Mn、Oを本発明鋼レベ
ルにまで低減することは可能であつたが、鋼中の
Sを本発明鋼レベルにまで低減することは不可能
であつた。 このように、従来技術にあつても前述の各不純
物C、N、S、Si、Mn、Oのうちの一部のみを
極低化させることは行われていたが、それらのす
べてを同時に低下させることはできなかつたので
あり、そして、そのときの効果についても知られ
なかつた。すなわち、従来の高純度フエライト系
クロムステンレス鋼の如くC、N、S、Si、Mn、
Oのうちのいずれか1種の元素でもが高い場合に
は、これらの元素を同時に本発明鋼レベルにまで
低減した際に発揮される筈の各元素低減の本来の
性質が本発明鋼レベルよりも高い一部の不純物元
素の存在により隠蔽されているといえる。そし
て、それらの各不純物の相互の関連が有らかにさ
れなかつたため、不純物としての低減効果は、例
えば、Sでは50ppm程度で、またC、Nについて
はそれぞれ100ppm、200ppm程度で飽和してしま
うと考えられていたのである。 次に、本発明鋼のフエライト系クロムステンレ
ス鋼において各成分の組成範囲を前述のように限
定した理由を説明する。以下、特にことわりがな
い限り、本明細書において「%」は「重量%」で
ある。クロム(Cr): Crは本発明鋼の基本的な耐食性を決定する
重要な元素である。その含有量を増すに従い耐
食性は向上するが、50.00%を越えて含有せる
場合には鍛造が不可能であり、一方、15.00%
未満ではフエライト系ステンレス鋼として十分
な耐食性が得られないため、その含有量を
15.00−50.00%と定めた。 モリブデン(Mo): Moは本発明鋼の耐食性を著しく高める作用
を有する添加元素である。耐銹性、耐酸性、耐
孔食性、耐隙間腐食性改善に対し大きな効果を
有する。5.00%を越えて含有せる場合にはσ
(シグマ)相、χ(カイ)相等の金属間化合物析
出に伴う機械的性質の劣化が顕著となるため、
上限を5.00%とした。 ニツケル(Ni): Niは耐酸性を向上し、本発明鋼の不動態化
能力を向上させる。6.00%を越えて含有せる場
合にはフエライト単相とすることが困難とな
り、更にはσ相の析出が顕著となるため、その
上限を6.00%とした。0.01%未満では前記作用
が認められない。 アルミニウム(Al): Alは溶接熱影響部の靭性改善に対し、鋼中
Nによる靭性劣化を軽減する効果を有する。更
に鋼中Oを低減する作用を有し、切欠き効果を
有する非金属介在物を減少させ、さらに固溶N
を安定化させることで母材靭性を改善する。一
方、1.00%を越えて添加せる場合には母材の脆
化が顕著となり、さらに熱間での割れを惹起す
るため、上限を1.00%とした。 本発明鋼ではAlは積極的に添加される元素
であり、残留Al量としては通常のAl脱酸にお
いて残存する不可避不純物レベルのAl量とは
区別されるものであり、0.015%を下限とする。
好ましくは0.015%−0.4%である。 チタン、ニオブ(Ti、Nb): TiおよびNbは、所望により、溶接の際の外
部要因によりC、N汚染に伴う溶接部での耐食
性劣化および靭性劣化を防止するために添加す
る。 Tiおよび/またはNbを添加する場合、Tiお
よびNbには母材の結晶粒ならびに溶接熱影響
部の結晶粒粗大化を抑制する作用があり、この
ような効果を十分に発揮させるためにはTi≧
5x(C+N)%、およびNb≧8x(C+N)%の
量だけ必要とする。しかし、Ti、Nbのいずれ
も多量に存在せる場合にはLaves相析出が顕著
となるほか、靭性の劣化が目立つようになるた
め、それぞれの上限を1.00%とした。 次に本発明鋼において重要な特徴としての不純
物の抑制の理由およびそれにより得られる効果に
ついて更に説明する。 炭素、窒素(C、N): CおよびNは高純度フエライト系クロムステ
ンレス鋼の靭性ならびに溶接部の耐粒間腐食
性、耐銹性、耐酸性に大きな影響を有する成分
元素であり、本発明者らの知見によれば、それ
らの元素の低減効果は飽和することがなく、鋼
中のCおよびNの含有量は少ない程望ましい。
本発明鋼において許容されるC、N濃度はCr
濃度の上昇に伴い著しく低下する。Cを0.0060
%、Nを0.015%を越えて含有せる場合には溶
接部靭性の劣化が顕著であり、耐粒間腐食性を
劣化するため、その上限をCについては0.006
%、Nについては0.0150%とした。好ましくは
C:0.003%以下、N:0.0060%以下である。 硫黄(S): Sは耐食性と熱間加工性とを著しく劣化さ
せ、さらには常温における延性破壊領域におけ
る衝撃値を低下させる傾向がある。Sは0.0020
%以下、望ましくは0.0010%以下とする。後述
のように、本発明鋼では靭性改善の目的などで
Mn量を0.15%以下に制限するが、S量が高い
場合には鋼中の硫化物がMnSでなく、むしろ
(Fe、Mn)Sの形態となり母材の耐食性と熱
間における変形能が低下する。それ故Sは上記
範囲に限定する必要がある。 ケイ素(Si): Siは固溶強化により母材の伸びを低下させ、
脆性破面遷移温度を高温側に移行させる。従来
の溶製法ではSiは脱酸材として通常0.20%程度
必要であつたが、本発明鋼では高度の真空精錬
技術の採用により脱酸材としてのSiの添加は不
必要である。しかし、溶製時に不可避不純物と
して約0.15%程度極微量混入してくることがあ
るが、許容上限をSi:0.10%未満とする。 マンガン(Mn): Mnは脆性破面遷移温度を高温側へ移行させ
る性質が顕著であり、Mn量は低い程望まし
い。その許容上限は不可避不純物のレベルであ
る0.15%とした。好ましくは0.10%以下であ
る。 酸素(o): 酸素は鋼中で酸化物系非金属介在物として存
在し、切欠き部の割れ発生地点として作用する
ため、酸素の存在によつて脆性破面遷移温度が
上昇する。さらに、脆性破面遷移温度以上の延
性破壊領域での衝撃吸収エネルギーを低下させ
る傾向がある。したがつて、酸素の上限は
0.015%とした。0.015%を越えて酸素を含有せ
る場合には靭性のみではなく、母材の耐食性も
劣化する傾向がある。好ましくは酸素は0.010
%以下である。 なお、本発明にあつては、その他の不可避不純
物として0.7%以下のCu、0.5%以下のVを含有す
る場合がある。これらの不可避不純物は本発明の
目的にとつて悪影響は及ぼさない。 次に、本発明を実施例に関連させてさらに具体
的に説明するが、それに先立つて本発明鋼の溶製
法について説明する。 すでに述べたように、本発明は前述の各不純物
を同時に極低レベルにまで低減し、それによる各
不純物の低減効果の相乗的作用によつて優れた特
性を得るものである。そしてかかる不純物の同時
的低減を達成する方法は特定の方法に制限される
ものではないが、以下に述べる本発明者らが開発
実用化した新精錬法によればそのような不純物の
同時的低減が容易に達成できる。 すなわち、酸素上吹き能力、ガス底吹き能力な
らびに粉体上吹き能力を有する高周波誘導加熱コ
イルを有する2.5トン真空精錬炉を使用し、脱硫
には脱硫のための造滓剤を、また、脱炭、脱窒に
は酸素供給源としての酸素物粉体をそれぞれAr
ガスキヤリヤーとともに音速で特殊多孔ランスを
用いて上吹きによつて溶湯面上に供給する。この
精錬炉は既に実生産にも使用されており、またこ
れは減圧下(真空下)で鋳込みが可能となるよう
に構成されている。このように、真空下で音速レ
ベルで上記のような粉体を上吹きすることによ
り、溶鋼の撹拌能力が飛躍的に向上する、したが
つて、このような精錬法の採用によつて、本発明
の好適態様にあつては、26%Cr鋼においてCが
例えば、0.0010%未満(10ppm未満)、Nが例え
ば、0.0040%未満(40ppm未満)、そして、Sが
0.0002%(2ppm)という従来では予想だにでき
なかつた超極低化が可能になる。したがつて、本
発明においては、真空下において溶鋼の十分な撹
拌が行われる結果、Cの脱酸元素としての効果を
有効に活用できるために、従来脱酸元素として必
要とされてきたSi、Mn等の元素の添加を積極的
に低減することが可能になり、かかる元素の低減
による優れた効果も併せて利用できるのである。
同時にAlも脱酸材としてではなく、合金元素と
して積極的に有効に活用することが可能になつた
のであり、そして合金元素としてのAlの添加に
よる優れた作用効果が利用可能となつたのであ
る。 実施例 上述の方法によつて溶製した第1表に示す鋼組
成を有する超高純度フエライト系クロムステンレ
ス鋼を50キロ丸形インゴツトにそれぞれ鋳込み、
鋳込み後、各インゴツトは外削後1200℃に1時間
半加熱後、30mmX130mmX100mmに鍛造した。次い
で、1200℃に加熱後950℃以上の温度で熱間圧延
を行い、厚さ7mm、幅130mmの熱延板を得、この
ようにして得られた熱延板を850℃で焼鈍後空冷、
または1000℃あるいは1100℃で焼鈍後水冷の熱処
理を実施した後、試験片に加工した。 なお、鋼中のC、Sの分析は高周波燃焼赤外吸
収方式を利用した感度0.1ppmの超高性能分析装
置であるLECO社製CS−144装置を使つて行つ
た。 このようにして得られた各試験片についてそれ
ぞれ耐孔食性、脆性、高温変形能、耐酸性そして
耐粒間腐食性を調べた。これらの試験の結果につ
いては同じく第1表にまとめて示す。 (1) 耐孔食性 前記各供試鋼について0.01モルNaCl水溶液
(60℃)中における孔食電位を測定した。測定
は200ml/minのArガスで1時間脱気後、20m
V/minで貴側へ掃引した際のV′Ci=100μAで
評価した。測定データは第1表にまとめて示
す。 なお、供試鋼2、3、4、12、13、14につい
てのデータにより鋼中Sに対する孔食電位の変
化をグラフにまとめ第1図に示す。これはMn
を0.10%以下として、19%Cr−2%Mo鋼にお
いて鋼中S量を0.0002%−0.0048%(2ppm−
48ppm)まで変化させたばあいの鋼中Sの耐孔
食性におよぼす影響を示すものである。 同図のグラフに示す結果からも明らかなよう
に、孔食電位は高い程耐食性に優れるがS濃度
が0.002%付近を境として孔食電位が顕著に劣
化しはじめている。一方、0.0010%以下では安
定していることが分かる。図中、番号は第1表
の供試鋼番号を示す。 (2) 脆性: 本例の場合、前記の各供試鋼について得られ
た熱延板に1000℃、Arガス雰囲気下で20分間
の焼鈍処理を行い、次いで水冷した。このよう
にして得られた試験片についてシヤルピー衝撃
試験を行い、脆性破面遷移温度を測定した。な
お、試験片サイズはJIS4号フルサイズシヤルピ
ー衝撃試験片とした。結果は第1表にまとめて
示す。 なお、供試鋼5、16、17ついて得られたデー
タをグラフにまとめて第2図に示す。これらの
データはS量を0.0010%未満としてMn量を変
化させた際の26%Cr−1%Mo鋼の脆性破面遷
移温度(vTrs℃)の変化を示すものである。 図示のグラフからも明らかなように、Mn量
の増加とともにvTrsが上昇し、Mn量は低い程
望ましいことが分かる。本発明鋼レベルに比べ
Mn量が0.20%と従来鋼レベルにまで高い供試
鋼16はvTrsは35℃と室温以上であり常温での
使用においても問題であることがわかる。 供試鋼として第1表の供試鋼5、6、7、15
を使いTIGなめ付け溶接熱影響部の靭性を検討
した。素材は熱間圧延後1000℃、Arガス雰囲
気下で20分間の焼鈍処理を行い、次いで水冷
し、更に60%の冷間圧延を実施し、最終焼鈍と
して920℃、Arガス雰囲気下で2分間保持後水
冷したものを用いた。Arガス流量10/min、
電流65〜75A、溶接速度120mm/minでTIGな
め後、溶接熱影響部がシヤルピー衝撃試験片の
ノツチ部となるようにシヤルピー衝撃試験片を
圧延長手方向に加工した。このようにして得ら
れた試験片についてシヤルピー衝撃試験を行
い、脆性破面遷移温度を測定した。なお、試験
片サイズはJIS4号ハーフサイズシヤルピー衝撃
試験片とした。得られた結果を第3図にグラフ
でまとめて示す。図示のグラフからも明らかな
ように、Al添加により母材の低温靭性が改善
されるばかりでなく、溶接熱影響部における靭
性改善がはかられることが分かる。 (3) 高温変形能: 26%Cr以上の高Crフエライトステンレス鋼
について下記要領で落錘試験を実施することに
より高温での変形能を評価した。 ここに、上記落錘試験とは1200℃に加熱した
直径15mm、高さ20mmの円柱型試験片をハンマー
型プレスで瞬時に高さ7mmの偏平片とし、端面
の割れの状況如何により高温での変形能を評価
するものである。変形能が良好であれば、端面
に割れが発生しないが、変形能が不十分である
場合には割れが発生する。第1表にその結果を
まとめて示す。低Mnで鋼中S量が本発明鋼レ
ベルを越えて高い場合には割れが大となつてい
ることがわかる。 (4) 耐酸性: 26%Crの供試鋼5、6、7、15、16、17、
18および29%Crの供試鋼8、9、19、20につ
き15%NaCl含有のPH1、H2SO4溶液中で下記
要領で沸騰試験を実施した。浸漬時間は6時間
であり、評価は6時間当たりの平均腐食速度に
よる。 なお、試験片寸法は3mmX10mmX40mmであ
り、湿式エメリー#600番研磨とした。そして、
それぞれ2本の試験片の平均値でもつて耐酸性
を評価した。 結果を同じく第1表にまとめて示すが、Ni
含有の供試鋼9において耐酸性が著しく向上し
ているのがわかる。 (5) 耐粒間腐食性: 耐粒間腐食性を評価するために、第1表の各
供試鋼についてTIGなめ試験片の硫酸−硫酸第
二鉄試験(JIS G 0572)を行つた。TIGなめ
付はArガス流量10/min、電流65〜75A、溶
接速度120mm/minの条件下で行つた。これら
の試験結果は第1表にまとめて示す。 これらの結果からも明らかなように、Al添
加により溶接熱影響部の耐粒間腐食性が向上
し、一方、供試鋼11、12、13、14、15のAl無
添加材では表面より数グレインの結晶粒脱落が
認められた。表中記号G、Lは熱影響部での結
晶粒脱落を示す。 以上、本発明について詳述してきたが、本発明
にかかる高純度フエライト系クロムステンレス鋼
は鋼中の不純物としてのC、N、S、Si、Mn、
Oを同時に従来とは一線を画するレベルにまで低
減することにより、溶接部を含めたクロムステン
レス鋼の靭性と耐粒間腐食性、ならびに母材の耐
食性、特に耐孔食性、耐酸性を著しく改善したも
のであり、その工業的価値は極めて高いものであ
る。
に母材の耐食性、特に耐孔食性および耐酸性に優
れたフエライト系クロムステンレス鋼に関する。 フエライト系クロムステンレス鋼は余り多量の
Niを含有せずCrとMoとにより耐食性の改善がな
されているため製造時の原料コストが安価である
が、オーステナイト系鋼に比べて靭性、延性が低
くまた耐食性が劣るとされてきた。しかし、近年
の製鋼技術の進歩に伴つてそのような特性劣化の
原因としての鋼中不純物であるとC、Nを著しく
低減する技術が確立され、また、合金元素あるい
は安定化元素の添加技術が確立したため、その原
料コストの安価さに着目した高純度フエライト系
クロムステンレス鋼の生産量増加が図られ、一
方、耐食性の一層の向上の方策への検討がなされ
てきた。 代表的な高純度フエライト系クロムステンレス
鋼としては、18%Cr−2%Mo、26%Cr−1%
Mo、29%Cr−4%Mo、29%Cr−4%Mo−2%
Ni、30%Cr−2%Mo等がある。これらの高純度
フエライト系クロムステンレス鋼の最大の特長
は、塩化物を含む溶液中で優れた耐応力腐食割れ
性(耐S.C.C.性−Stress Corrosion Crackingの
略−ともいう)を発揮する点であり、オーステナ
イト系ステンレス鋼を使用できないCl-イオン含
有の中性環境下での用途を主体にその用途拡大が
図られている。 ところで、今日実施されているフエライト系ク
ロムステンレス鋼の耐食性改善方法は、高Cr化、
Mo添加、Ni添加、極低(C+N)化、さらには
Ti、Nbなどの安定化元素添加等である。しかし
ながら、高Cr化およびMo添加はいずれもフエラ
イト系ステンレス鋼としての靭性、特に溶接部靭
性を劣化させる方向に作用するものであり、常温
以下での急激な靭性劣化が見られ、したがつて、
そのような靭性劣化が高純度フエライト系クロム
ステンレス鋼の広範なる用途拡大をはばんでき
た。また、(C+N)の低減化というも溶接部の
靭性劣化防止には十分ではなく、ましてTi、Nb
などの安定化元素を添加して(C+N)の影響を
軽減しようとする場合には、それらの元素の炭、
窒化物が多量に生成する結果、溶接部の靭性劣化
は免れない。 かくして、本発明の目的とするところは、従来
の高純度フエライト系クロムステンレス鋼の欠点
とされていた靭性、耐食性の劣化の問題をなく
し、むしろそれらの特性をいずれも飛躍的に向上
させた高純度フエライト系クロムステンレス鋼を
提供することにある。 ここに、本発明者らは、従来の靭性改善に方法
について種々検討したところ、極低C、N化とと
もに低Si、Mn化、さらに超極低S化およびAl添
加を図ることにより、それらの総合的作用効果と
して、予想外にも、溶接部も含めたフエライト系
クロムステンレス鋼の低温靭性を著しく改善する
ことを見い出して、本発明を完成したのである。 さらに、本発明者らは鋼中Sを従来とは一線を
画するレベルまで極低化することにより、予想外
にも、低Mn化に伴う熱間変形能の低下、耐食性
の劣化を防止し、むしろ鋼中Sの超極低化と低
Mn化との相乗的作用効果により母材の耐食性、
特に耐孔食性、耐銹性、耐酸性を著しく改善する
ことを見い出して本発明を完成したのである。 また、本発明者らは、真空精錬により極低C、
N化、およびAl添加、さらに所望により、安定
化元素としてのTi、Nbの添加により、溶接部の
靭性改善と溶接部の耐粒間腐食性改善とが著しい
ことを見い出して、本発明を完成したのである。 ここに、本発明は、重量%で、 Cr:15.00−50.00%、Mo:5.00%以下、 Ni:0.01−6.00%、Al:0.015〜1.00%、 さらに、所望により、Ti:1.00%以下〔ただ
し、Ti≧5x(C+N)%〕およびNb:1.00%以下
〔ただし、Nb≧8x(C+N)%]の1種または2
種を含み、 残部Feおよび不純物 からなり、精錬により不純物としてのC、N、
S、Si、Mn、Oをそれぞれ下記の範囲にまで低
減したことを特徴とする、耐食性および靭性に優
れたAl含有フエライト系クロムステンレス鋼: C:0.0060%以下、N:0.0150%以下、 S:0.0020%以下、Si:0.10%未満、 Mn:0.15%以下、O:0.015%以下 にある。 以上からも明らかなように、本発明鋼にあつて
は、C、N、S、Si、MnおよびOの各不純物を
極低化したことを特長とするものであつて、かか
る不純物の同時的低下は後述する新たに開発され
た特殊真空精錬法により初めて可能となつたもの
である。 なお、従来の高純度フエライト系クロムステン
レス鋼はAOD法、VOD法、VIM法、電子ビーム
溶解法等により溶製されてきたが、これらの従来
技術にあつては不純物としてのC、N、S、Si、
MnそしてOをそれぞれ同時に上述のような範囲
(以下、本発明鋼レベルという)にまで低減する
ことは不可能であつた。すなわち、例えばAOD
法においては鋼中Sを0.0020%以下にまで低減す
ることは可能であつたが、一方、鋼中C、Nを本
発明鋼レベルまで低減することはできず、さらに
また、Si、Mnを本発明鋼レベルにまで低減する
ことも脱酸上の制約よりできなかつた。また、
VOD法、VIM法、電子ビーム溶解法等の真空溶
解法では鋼中のC、N、Mn、Oを本発明鋼レベ
ルにまで低減することは可能であつたが、鋼中の
Sを本発明鋼レベルにまで低減することは不可能
であつた。 このように、従来技術にあつても前述の各不純
物C、N、S、Si、Mn、Oのうちの一部のみを
極低化させることは行われていたが、それらのす
べてを同時に低下させることはできなかつたので
あり、そして、そのときの効果についても知られ
なかつた。すなわち、従来の高純度フエライト系
クロムステンレス鋼の如くC、N、S、Si、Mn、
Oのうちのいずれか1種の元素でもが高い場合に
は、これらの元素を同時に本発明鋼レベルにまで
低減した際に発揮される筈の各元素低減の本来の
性質が本発明鋼レベルよりも高い一部の不純物元
素の存在により隠蔽されているといえる。そし
て、それらの各不純物の相互の関連が有らかにさ
れなかつたため、不純物としての低減効果は、例
えば、Sでは50ppm程度で、またC、Nについて
はそれぞれ100ppm、200ppm程度で飽和してしま
うと考えられていたのである。 次に、本発明鋼のフエライト系クロムステンレ
ス鋼において各成分の組成範囲を前述のように限
定した理由を説明する。以下、特にことわりがな
い限り、本明細書において「%」は「重量%」で
ある。クロム(Cr): Crは本発明鋼の基本的な耐食性を決定する
重要な元素である。その含有量を増すに従い耐
食性は向上するが、50.00%を越えて含有せる
場合には鍛造が不可能であり、一方、15.00%
未満ではフエライト系ステンレス鋼として十分
な耐食性が得られないため、その含有量を
15.00−50.00%と定めた。 モリブデン(Mo): Moは本発明鋼の耐食性を著しく高める作用
を有する添加元素である。耐銹性、耐酸性、耐
孔食性、耐隙間腐食性改善に対し大きな効果を
有する。5.00%を越えて含有せる場合にはσ
(シグマ)相、χ(カイ)相等の金属間化合物析
出に伴う機械的性質の劣化が顕著となるため、
上限を5.00%とした。 ニツケル(Ni): Niは耐酸性を向上し、本発明鋼の不動態化
能力を向上させる。6.00%を越えて含有せる場
合にはフエライト単相とすることが困難とな
り、更にはσ相の析出が顕著となるため、その
上限を6.00%とした。0.01%未満では前記作用
が認められない。 アルミニウム(Al): Alは溶接熱影響部の靭性改善に対し、鋼中
Nによる靭性劣化を軽減する効果を有する。更
に鋼中Oを低減する作用を有し、切欠き効果を
有する非金属介在物を減少させ、さらに固溶N
を安定化させることで母材靭性を改善する。一
方、1.00%を越えて添加せる場合には母材の脆
化が顕著となり、さらに熱間での割れを惹起す
るため、上限を1.00%とした。 本発明鋼ではAlは積極的に添加される元素
であり、残留Al量としては通常のAl脱酸にお
いて残存する不可避不純物レベルのAl量とは
区別されるものであり、0.015%を下限とする。
好ましくは0.015%−0.4%である。 チタン、ニオブ(Ti、Nb): TiおよびNbは、所望により、溶接の際の外
部要因によりC、N汚染に伴う溶接部での耐食
性劣化および靭性劣化を防止するために添加す
る。 Tiおよび/またはNbを添加する場合、Tiお
よびNbには母材の結晶粒ならびに溶接熱影響
部の結晶粒粗大化を抑制する作用があり、この
ような効果を十分に発揮させるためにはTi≧
5x(C+N)%、およびNb≧8x(C+N)%の
量だけ必要とする。しかし、Ti、Nbのいずれ
も多量に存在せる場合にはLaves相析出が顕著
となるほか、靭性の劣化が目立つようになるた
め、それぞれの上限を1.00%とした。 次に本発明鋼において重要な特徴としての不純
物の抑制の理由およびそれにより得られる効果に
ついて更に説明する。 炭素、窒素(C、N): CおよびNは高純度フエライト系クロムステ
ンレス鋼の靭性ならびに溶接部の耐粒間腐食
性、耐銹性、耐酸性に大きな影響を有する成分
元素であり、本発明者らの知見によれば、それ
らの元素の低減効果は飽和することがなく、鋼
中のCおよびNの含有量は少ない程望ましい。
本発明鋼において許容されるC、N濃度はCr
濃度の上昇に伴い著しく低下する。Cを0.0060
%、Nを0.015%を越えて含有せる場合には溶
接部靭性の劣化が顕著であり、耐粒間腐食性を
劣化するため、その上限をCについては0.006
%、Nについては0.0150%とした。好ましくは
C:0.003%以下、N:0.0060%以下である。 硫黄(S): Sは耐食性と熱間加工性とを著しく劣化さ
せ、さらには常温における延性破壊領域におけ
る衝撃値を低下させる傾向がある。Sは0.0020
%以下、望ましくは0.0010%以下とする。後述
のように、本発明鋼では靭性改善の目的などで
Mn量を0.15%以下に制限するが、S量が高い
場合には鋼中の硫化物がMnSでなく、むしろ
(Fe、Mn)Sの形態となり母材の耐食性と熱
間における変形能が低下する。それ故Sは上記
範囲に限定する必要がある。 ケイ素(Si): Siは固溶強化により母材の伸びを低下させ、
脆性破面遷移温度を高温側に移行させる。従来
の溶製法ではSiは脱酸材として通常0.20%程度
必要であつたが、本発明鋼では高度の真空精錬
技術の採用により脱酸材としてのSiの添加は不
必要である。しかし、溶製時に不可避不純物と
して約0.15%程度極微量混入してくることがあ
るが、許容上限をSi:0.10%未満とする。 マンガン(Mn): Mnは脆性破面遷移温度を高温側へ移行させ
る性質が顕著であり、Mn量は低い程望まし
い。その許容上限は不可避不純物のレベルであ
る0.15%とした。好ましくは0.10%以下であ
る。 酸素(o): 酸素は鋼中で酸化物系非金属介在物として存
在し、切欠き部の割れ発生地点として作用する
ため、酸素の存在によつて脆性破面遷移温度が
上昇する。さらに、脆性破面遷移温度以上の延
性破壊領域での衝撃吸収エネルギーを低下させ
る傾向がある。したがつて、酸素の上限は
0.015%とした。0.015%を越えて酸素を含有せ
る場合には靭性のみではなく、母材の耐食性も
劣化する傾向がある。好ましくは酸素は0.010
%以下である。 なお、本発明にあつては、その他の不可避不純
物として0.7%以下のCu、0.5%以下のVを含有す
る場合がある。これらの不可避不純物は本発明の
目的にとつて悪影響は及ぼさない。 次に、本発明を実施例に関連させてさらに具体
的に説明するが、それに先立つて本発明鋼の溶製
法について説明する。 すでに述べたように、本発明は前述の各不純物
を同時に極低レベルにまで低減し、それによる各
不純物の低減効果の相乗的作用によつて優れた特
性を得るものである。そしてかかる不純物の同時
的低減を達成する方法は特定の方法に制限される
ものではないが、以下に述べる本発明者らが開発
実用化した新精錬法によればそのような不純物の
同時的低減が容易に達成できる。 すなわち、酸素上吹き能力、ガス底吹き能力な
らびに粉体上吹き能力を有する高周波誘導加熱コ
イルを有する2.5トン真空精錬炉を使用し、脱硫
には脱硫のための造滓剤を、また、脱炭、脱窒に
は酸素供給源としての酸素物粉体をそれぞれAr
ガスキヤリヤーとともに音速で特殊多孔ランスを
用いて上吹きによつて溶湯面上に供給する。この
精錬炉は既に実生産にも使用されており、またこ
れは減圧下(真空下)で鋳込みが可能となるよう
に構成されている。このように、真空下で音速レ
ベルで上記のような粉体を上吹きすることによ
り、溶鋼の撹拌能力が飛躍的に向上する、したが
つて、このような精錬法の採用によつて、本発明
の好適態様にあつては、26%Cr鋼においてCが
例えば、0.0010%未満(10ppm未満)、Nが例え
ば、0.0040%未満(40ppm未満)、そして、Sが
0.0002%(2ppm)という従来では予想だにでき
なかつた超極低化が可能になる。したがつて、本
発明においては、真空下において溶鋼の十分な撹
拌が行われる結果、Cの脱酸元素としての効果を
有効に活用できるために、従来脱酸元素として必
要とされてきたSi、Mn等の元素の添加を積極的
に低減することが可能になり、かかる元素の低減
による優れた効果も併せて利用できるのである。
同時にAlも脱酸材としてではなく、合金元素と
して積極的に有効に活用することが可能になつた
のであり、そして合金元素としてのAlの添加に
よる優れた作用効果が利用可能となつたのであ
る。 実施例 上述の方法によつて溶製した第1表に示す鋼組
成を有する超高純度フエライト系クロムステンレ
ス鋼を50キロ丸形インゴツトにそれぞれ鋳込み、
鋳込み後、各インゴツトは外削後1200℃に1時間
半加熱後、30mmX130mmX100mmに鍛造した。次い
で、1200℃に加熱後950℃以上の温度で熱間圧延
を行い、厚さ7mm、幅130mmの熱延板を得、この
ようにして得られた熱延板を850℃で焼鈍後空冷、
または1000℃あるいは1100℃で焼鈍後水冷の熱処
理を実施した後、試験片に加工した。 なお、鋼中のC、Sの分析は高周波燃焼赤外吸
収方式を利用した感度0.1ppmの超高性能分析装
置であるLECO社製CS−144装置を使つて行つ
た。 このようにして得られた各試験片についてそれ
ぞれ耐孔食性、脆性、高温変形能、耐酸性そして
耐粒間腐食性を調べた。これらの試験の結果につ
いては同じく第1表にまとめて示す。 (1) 耐孔食性 前記各供試鋼について0.01モルNaCl水溶液
(60℃)中における孔食電位を測定した。測定
は200ml/minのArガスで1時間脱気後、20m
V/minで貴側へ掃引した際のV′Ci=100μAで
評価した。測定データは第1表にまとめて示
す。 なお、供試鋼2、3、4、12、13、14につい
てのデータにより鋼中Sに対する孔食電位の変
化をグラフにまとめ第1図に示す。これはMn
を0.10%以下として、19%Cr−2%Mo鋼にお
いて鋼中S量を0.0002%−0.0048%(2ppm−
48ppm)まで変化させたばあいの鋼中Sの耐孔
食性におよぼす影響を示すものである。 同図のグラフに示す結果からも明らかなよう
に、孔食電位は高い程耐食性に優れるがS濃度
が0.002%付近を境として孔食電位が顕著に劣
化しはじめている。一方、0.0010%以下では安
定していることが分かる。図中、番号は第1表
の供試鋼番号を示す。 (2) 脆性: 本例の場合、前記の各供試鋼について得られ
た熱延板に1000℃、Arガス雰囲気下で20分間
の焼鈍処理を行い、次いで水冷した。このよう
にして得られた試験片についてシヤルピー衝撃
試験を行い、脆性破面遷移温度を測定した。な
お、試験片サイズはJIS4号フルサイズシヤルピ
ー衝撃試験片とした。結果は第1表にまとめて
示す。 なお、供試鋼5、16、17ついて得られたデー
タをグラフにまとめて第2図に示す。これらの
データはS量を0.0010%未満としてMn量を変
化させた際の26%Cr−1%Mo鋼の脆性破面遷
移温度(vTrs℃)の変化を示すものである。 図示のグラフからも明らかなように、Mn量
の増加とともにvTrsが上昇し、Mn量は低い程
望ましいことが分かる。本発明鋼レベルに比べ
Mn量が0.20%と従来鋼レベルにまで高い供試
鋼16はvTrsは35℃と室温以上であり常温での
使用においても問題であることがわかる。 供試鋼として第1表の供試鋼5、6、7、15
を使いTIGなめ付け溶接熱影響部の靭性を検討
した。素材は熱間圧延後1000℃、Arガス雰囲
気下で20分間の焼鈍処理を行い、次いで水冷
し、更に60%の冷間圧延を実施し、最終焼鈍と
して920℃、Arガス雰囲気下で2分間保持後水
冷したものを用いた。Arガス流量10/min、
電流65〜75A、溶接速度120mm/minでTIGな
め後、溶接熱影響部がシヤルピー衝撃試験片の
ノツチ部となるようにシヤルピー衝撃試験片を
圧延長手方向に加工した。このようにして得ら
れた試験片についてシヤルピー衝撃試験を行
い、脆性破面遷移温度を測定した。なお、試験
片サイズはJIS4号ハーフサイズシヤルピー衝撃
試験片とした。得られた結果を第3図にグラフ
でまとめて示す。図示のグラフからも明らかな
ように、Al添加により母材の低温靭性が改善
されるばかりでなく、溶接熱影響部における靭
性改善がはかられることが分かる。 (3) 高温変形能: 26%Cr以上の高Crフエライトステンレス鋼
について下記要領で落錘試験を実施することに
より高温での変形能を評価した。 ここに、上記落錘試験とは1200℃に加熱した
直径15mm、高さ20mmの円柱型試験片をハンマー
型プレスで瞬時に高さ7mmの偏平片とし、端面
の割れの状況如何により高温での変形能を評価
するものである。変形能が良好であれば、端面
に割れが発生しないが、変形能が不十分である
場合には割れが発生する。第1表にその結果を
まとめて示す。低Mnで鋼中S量が本発明鋼レ
ベルを越えて高い場合には割れが大となつてい
ることがわかる。 (4) 耐酸性: 26%Crの供試鋼5、6、7、15、16、17、
18および29%Crの供試鋼8、9、19、20につ
き15%NaCl含有のPH1、H2SO4溶液中で下記
要領で沸騰試験を実施した。浸漬時間は6時間
であり、評価は6時間当たりの平均腐食速度に
よる。 なお、試験片寸法は3mmX10mmX40mmであ
り、湿式エメリー#600番研磨とした。そして、
それぞれ2本の試験片の平均値でもつて耐酸性
を評価した。 結果を同じく第1表にまとめて示すが、Ni
含有の供試鋼9において耐酸性が著しく向上し
ているのがわかる。 (5) 耐粒間腐食性: 耐粒間腐食性を評価するために、第1表の各
供試鋼についてTIGなめ試験片の硫酸−硫酸第
二鉄試験(JIS G 0572)を行つた。TIGなめ
付はArガス流量10/min、電流65〜75A、溶
接速度120mm/minの条件下で行つた。これら
の試験結果は第1表にまとめて示す。 これらの結果からも明らかなように、Al添
加により溶接熱影響部の耐粒間腐食性が向上
し、一方、供試鋼11、12、13、14、15のAl無
添加材では表面より数グレインの結晶粒脱落が
認められた。表中記号G、Lは熱影響部での結
晶粒脱落を示す。 以上、本発明について詳述してきたが、本発明
にかかる高純度フエライト系クロムステンレス鋼
は鋼中の不純物としてのC、N、S、Si、Mn、
Oを同時に従来とは一線を画するレベルにまで低
減することにより、溶接部を含めたクロムステン
レス鋼の靭性と耐粒間腐食性、ならびに母材の耐
食性、特に耐孔食性、耐酸性を著しく改善したも
のであり、その工業的価値は極めて高いものであ
る。
【表】
【表】
【表】
実施例 2
本例では第2表に示す組成の各供試鋼に対して
実施例1と同様にして耐食性および靭性試験を行
つた。 結果は同じく第2表にまとめて示す。
実施例1と同様にして耐食性および靭性試験を行
つた。 結果は同じく第2表にまとめて示す。
【表】
【表】
第1図は、鋼中Sの耐食性におよぼす影響を示
すグラフ;第2図は、鋼中Mnの靭性におよぼす
影響を示すグラフ;および第3図は、同じくAl
添加の鋼靭性におよぼす影響を示すグラフであ
る。
すグラフ;第2図は、鋼中Mnの靭性におよぼす
影響を示すグラフ;および第3図は、同じくAl
添加の鋼靭性におよぼす影響を示すグラフであ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で、 Cr:15.00〜50.00%、Mo:5.00%以下、 Ni:0.01〜6.00%、Al:0.015〜1.00%、 残部Feおよび不純物 からなり、精錬により不純物としてのC、N、
S、Si、Mn、Oをそれぞれ下記の範囲にまで低
減したことを特徴とする、耐食性および靭性に優
れたAl含有フエライト系クロムステンレス鋼: C:0.0060%以下、N:0.0150%以下、 S:0.0020%以下、Si:0.1%未満、 Mn:0.15%以下、O:0.015%以下。 2 重量%で、 Cr:15.00〜50.00%、Mo:5.00%以下、 Ni:0.01〜6.00%、Al:0.015〜1.00%、 さらに、Ti:1.00%以下[ただし、Ti≧5×
(C+N)%]およびNb:1.00%以下[ただし、
Nb≧8×(C+N)%]の1種または2種を含
み、 残部Feおよび不純物 からなり、精錬により不純物としてのC、N、
S、Si、Mn、Oをそれぞれ下記の範囲にまで低
減したことを特徴とする、耐食性および靭性に優
れたAl含有フエライト系クロムステンレス鋼: C:0.0060%以下、N:0.0150%以下、 S:0.0020%以下、Si:0.1%未満、 Mn:0.15%以下、O:0.015%以下。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3287983A JPS59159975A (ja) | 1983-03-02 | 1983-03-02 | Al含有フエライト系クロムステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3287983A JPS59159975A (ja) | 1983-03-02 | 1983-03-02 | Al含有フエライト系クロムステンレス鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS59159975A JPS59159975A (ja) | 1984-09-10 |
| JPH0536492B2 true JPH0536492B2 (ja) | 1993-05-31 |
Family
ID=12371158
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3287983A Granted JPS59159975A (ja) | 1983-03-02 | 1983-03-02 | Al含有フエライト系クロムステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS59159975A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2009008457A1 (ja) * | 2007-07-09 | 2009-01-15 | Jfe Precision Corporation | 電子部品用放熱部品、電子部品用ケース、電子部品用キャリアおよび電子部品用パッケージ |
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| JP4831256B2 (ja) * | 2010-01-28 | 2011-12-07 | Jfeスチール株式会社 | 靭性に優れた高耐食性フェライト系ステンレス熱延鋼板 |
| KR102373161B1 (ko) * | 2017-05-10 | 2022-03-10 | 현대자동차주식회사 | 부식환경에서 내식성을 향상시킨 차량용 저합금 내식강과 그 제조방법 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JPS5634626B2 (ja) * | 1974-05-11 | 1981-08-11 | ||
| JPS5135368A (en) * | 1974-09-20 | 1976-03-25 | Tamura Electric Works Ltd | Rajioto no taimaaseigyokiko |
| JPS5536703A (en) * | 1978-09-06 | 1980-03-14 | Toshiba Corp | Transducer for pressure gauge |
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| JPS5634626A (en) * | 1979-08-31 | 1981-04-06 | Kureha Chem Ind Co Ltd | Anti-inflammatory |
| JPS5938300B2 (ja) * | 1981-02-13 | 1984-09-14 | 住友金属工業株式会社 | 耐食性のすぐれたフエライト系ステンレス鋼 |
| JPS5985848A (ja) * | 1982-11-08 | 1984-05-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐銹性に優れたフエライト系ステンレス鋼板 |
-
1983
- 1983-03-02 JP JP3287983A patent/JPS59159975A/ja active Granted
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|---|---|---|---|---|
| WO2009008457A1 (ja) * | 2007-07-09 | 2009-01-15 | Jfe Precision Corporation | 電子部品用放熱部品、電子部品用ケース、電子部品用キャリアおよび電子部品用パッケージ |
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS59159975A (ja) | 1984-09-10 |
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