JPH0559570A - 溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れた有機複合めつき鋼板 - Google Patents

溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れた有機複合めつき鋼板

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JPH0559570A
JPH0559570A JP18792591A JP18792591A JPH0559570A JP H0559570 A JPH0559570 A JP H0559570A JP 18792591 A JP18792591 A JP 18792591A JP 18792591 A JP18792591 A JP 18792591A JP H0559570 A JPH0559570 A JP H0559570A
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corrosion resistance
coating
concentration
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JP18792591A
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Ikuo Kikuchi
郁夫 菊池
Toshio Odajima
壽男 小田島
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた塗装後の耐食性および耐穴明き性を有
し、かつ優れた溶接性をも確保できる有機複合めっき鋼
板を提供する。 【構成】 鋼板表面にCr濃度8〜14重量%、Ni濃
度0.1〜1.0重量%未満、残部ZnとするZn−C
r−Ni系合金めっき層を形成し、その上層にクロメー
ト皮膜層を形成し、更にその上層に有機皮膜層を形成し
たことを特徴とする溶接性及び塗装後の耐食性、耐穴明
き性に優れた有機複合めっき鋼板。 【効果】表面処理鋼板として、自動車、家電製品、建材
等の品質および耐用年数の向上に優れた効果を発揮す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車、家電製品、建材
等に使用される溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴
明き性、特に加工部や疵付部において耐食性及び耐穴明
き性に優れた有機複合めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板、
あるいは各種の亜鉛系合金めっき鋼板は、耐食性が優れ
ることから自動車、家電製品、建材等に汎用されてい
る。近年、特に耐食性に優れた表面処理鋼板に対する要
求が益々強くなり、このような鋼板の需要は今後急速に
増加する傾向にある。
【0003】例えば自動車業界では、寒冷地帯における
冬期の道路凍結防止用の岩塩散布により自動車車体が激
しい腐食環境に曝されるため安全上の観点から、さらに
優れた耐食性及び耐穴明き性を有する表面処理鋼板が強
く要求されている。また建材業界では、建築構造物の長
寿命化に対する要求から表面処理鋼板の大量採用や、さ
らにその鋼板に電着塗装(以後、ED塗装と呼ぶ)を施
すことが急速に広がりつつあり、塗装後の耐食性や耐穴
明き性に優れた表面処理鋼板の要求が益々強くなる傾向
にある。
【0004】このような要求に対し、亜鉛の溶解を抑制
する元素を含有させた各種の合金めっき鋼板や、さらに
これらの合金めっき鋼板にクロメート処理を行い、その
上層に有機皮膜を被覆した有機複合めっき鋼板が数多く
提案されている。このような有機複合めっき鋼板におい
て、有機膜厚が3μmを超えるものはプレス加工性、ス
ポット溶接性、耐食性等における要求品質を十分に満た
すものではなく、また有機膜厚が3μm以下のものは、
プレス加工性、スポット溶接性は比較的良好であるが、
耐食性は下地のめっき層によるところが大きく必ずしも
十分ではない。例えば、特開昭59−162278号公
報、特開昭60−50180号公報等に開示されている
技術は、下地のめっき層がZn、Zn−Ni、Zn−F
e系合金めっき等であり、特にZn−Ni系合金めっき
を下地のめっき層として用いた有機複合めっき鋼板は、
通常のZnめっきを用いたものに比べ未加工時の耐食性
には優れている。しかし、加工後の裸耐食性及び塗装後
の耐食性は必ずしも十分ではない。
【0005】さらに、下地のめっき層として前記の合金
めっきよりも優れた耐食性を有するZn−Cr系めっき
を用いた有機複合めっき鋼板(特開昭64−79382
号公報)も提案されている。その提案内容は、Crを5
〜40%含有する亜鉛−クロム系電気めっき層の表面に
クロメート皮膜を形成し、さらにその上層に樹脂層を形
成せしめたことを特徴とする耐食性に優れた樹脂被覆亜
鉛−クロム系電気めっき鋼板である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら最近の傾
向として、自動車用鋼板は裸耐食性のみならず、塗装後
の耐食性、特に加工部や疵付部における耐食性や耐穴明
き性に優れたものでなければならない。これに対し、特
開昭59−162278号公報、特開昭60−5018
0号公報に開示されている鋼板は、しごきや延びが加わ
る加工を行うと有機皮膜層に疵が入ったり、下地めっき
層にクラックが入り部分的にめっき層や素地が露出する
ため、加工後の耐食性が大幅に低下する。また、端面や
疵付部において赤錆が発生し易く、塗装後の耐食性及び
耐穴明き性も満足されるものではない。
【0007】また、特開昭64−79382号公報の樹
脂被覆亜鉛−クロム系電気めっき鋼板では、Cr濃度が
上がるにつれて加工部においても裸耐食性は向上する。
特にCr濃度10重量%以上では、Crの難溶性腐食生
成物が保護皮膜として均一に腐食部を覆うため優れた裸
耐食性を示す。しかし、Zn−Cr系合金めっき層では
めっき層Cr濃度の増加にともない、めっき層とクロメ
ートとの反応性が低下するため、Zn−Ni系合金めっ
き層上に形成されるクロメート皮膜のような緻密で耐食
性に優れたクロメート皮膜は形成され難い。
【0008】従って、Zn−Cr系めっき層におけるめ
っき層−クロメート層間の密着性は従来のZn−Ni系
めっき層に比べて低く、水、酸素、塩素イオン等の腐食
因子が侵入し易い傾向にある。そのため塗装後、加工部
や疵付部において塗膜下での腐食が進行し易い傾向にあ
り、塗装後の耐食性は必ずしも十分とは言えない。ま
た、めっき層Cr濃度の増加にともない溶接性も低下
し、Cr濃度10%以上では十分に満足できるものでは
ない。
【0009】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、優れた溶接性を示し、かつ加工部や疵付部において
塗装後の耐食性及び耐穴明き性に極めて優れた有機複合
めっき鋼板を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、Znを主成分
とし、CrとNiを特定濃度に限定したZn−Cr−N
i系合金めっき層を形成し、その上層にクロメート皮膜
を形成し、さらにその上層に有機皮膜を形成したことを
特徴とする有機複合めっき鋼板であり、詳しくは、鋼板
表面にCr濃度8〜14重量%、Ni濃度0.1〜1.
0重量%未満、残部Znとするめっき層を形成し、その
上層にクロメート皮膜層を形成し、さらにその上層に有
機皮膜層を形成したことを特徴とする溶接性ならびに塗
装後の耐食性及び耐穴明き性に優れた有機複合めっき鋼
板を要旨とするものである。
【0011】なお前記の特開昭64−79382号公報
には、ZnとCrを主体とするめっき層中に、さらにF
e、Ni、Co、Mn、Sn、Sb、Al、Mo、W、
Ti、Si、Cu、Na、Mg、P、O、C等が少量含
有される電気めっき層も開示されているが、このめっき
層において副成分であるFe、Ni、Co、Mn、S
n、Sb、Al、Mo、W、Ti、Si、Cu、Na、
Mg、P、O、C等が少量であればCrの難溶性腐食生
成物の形成を阻害することなく、ZnとCrの2成分系
のみからなるめっき層を用いて、上層にクロメート皮膜
を形成し、さらにその上層に樹脂層を形成せしめた樹脂
被覆亜鉛−クロム電気めっき鋼板と同様の耐食性を示す
と記載されていると共に、その具体例として、Zn:8
8%、Cr:11%、Ni:1%の組成を有するZn−
Cr−Ni系電気めっき層の上層に電解型クロメートを
総Cr量で20mg/m2形成し、さらにその上層にオレフ
ィン−アクリル系の樹脂層を1μmの厚さで形成せしめ
た鋼板が開示されるのみであり、本発明の如く、副成分
としてNiのみを選択し、かつその濃度を0.1〜1.
0重量%未満に限定すると共に、さらにCr濃度を8〜
14重量%に限定するZn−Cr−Ni系合金めっき層
を用い、その上層にクロメート皮膜層を形成し、さらに
その上層に有機皮膜層を形成したことを特徴とする有機
複合めっき鋼板によれば、優れた溶接性を示し、かつ加
工部や疵付部において極めて優れた塗装後の耐食性及び
耐穴明き性を得ることができることは、開示も示唆もさ
れていない。
【0012】さらに本発明者等の調査結果によれば、特
開昭64−79382号公報の前記した具体例(Zn:
88%、Cr:11%、Ni:1%)からなる電気めっ
き層の上層に電解型クロメート皮膜をクロム付着量(総
Cr量)で20mg/m2形成し、さらにその上層にオレフ
ィン−アクリル系の樹脂層を1μmの厚さで形成せしめ
た鋼板は、Cr濃度が11%と高いため裸耐食性におい
てはかなり優れるものの、Ni濃度が1%と高いため塗
装後に加工部や疵付部において腐食がある程度進行する
と、塗膜下でNi濃縮層が形成され、鋼板(Fe)とN
i濃縮層との間で電位の逆転が起こるため、特に疵付部
において赤錆が発生し易く、塗装後の耐食性及び耐穴明
き性が劣るという問題がある。
【0013】
【作用】以下作用と共に本発明を詳細に説明する。本発
明は、Znを主成分とし、CrとNiを特定濃度に限定
したZn−Cr−Ni系合金めっき層を形成し、その上
層にクロメート皮膜層を形成し、さらにその上層に有機
皮膜層を形成したことを特徴とする有機複合めっき鋼板
であり、以下に本発明例について詳細に説明する。
【0014】図1は、目付量を20g/m2一定にし、Cr
濃度を種々変化させたZn−Cr系合金めっき層を形成
し、その上層に市販の塗布型クロメート皮膜を総Cr量
で50mg/m2形成し、さらにその上層にオレフィン−ア
クリル系共重合体樹脂(100重量部)とコロイダルシ
リカ(30重量部)からなる有機−無機混合系の樹脂を
用いて乾燥重量で1.5g/m2の樹脂層を形成した有機複
合めっき鋼板の溶接性評価結果を示す。
【0015】また図2は、目付量を20g/m2一定にし、
Cr濃度及びNi濃度を種々変化させたZn−Cr−N
i系合金めっき層を形成し、その上層に市販の塗布型ク
ロメート皮膜を総Cr量で50mg/m2形成し、さらにそ
の上層にアクリル−オレフィン系共重合体樹脂(100
重量部)とコロイダルシリカ(30重量部)からなる有
機−無機混合系の樹脂を用いて乾燥重量で1.5g/m2
皮膜を形成した有機複合めっき鋼板の溶接性評価結果を
示す。
【0016】溶接性はスポット溶接を行い、ナゲット径
が4mmφ以下になるまでの連続打点数で以下のように4
段階で評価した。 ◎:3000点以上 ○:2000点以上〜3000点未満 △:1000点以上〜2000点未満 ×:1000点未満 図1から明らかなように、Zn−Cr系有機複合めっき
鋼板の溶接性は、Cr濃度が増加するにつれて次第に低
下する。これに対し図2から明らかなように、Zn−C
r−Ni系有機複合めっき鋼板では、Ni濃度0.1〜
3.0重量%でかつCr濃度8〜14重量%の範囲で極
めて優れた溶接性を示すが、Ni濃度0.1重量%未満
あるいは3.0重量%超では溶接性が低下する。また、
Zn−Cr−Ni系有機複合めっき鋼板においても、C
r濃度14重量%超では溶接性が低下する傾向にある。
【0017】ここで、Zn−Cr−Ni系有機複合めっ
き鋼板において、Ni濃度を特定濃度に限定することに
より、Zn−Cr系有機複合めっき鋼板に比べ、極めて
広いCr濃度域において優れた溶接性を示す理由は必ず
しも明らかではないが、以下のように推定される。Zn
−Cr系合金めっき層は、Zn−Ni系合金めっき層に
比べ比較的軟らかく、電極チップの圧力によるめっき層
の変形が大きい。また、Zn及びCrが電極チップへ拡
散し易く連続溶接性が劣る傾向にある。このZn−Cr
系合金めっき層にNiを共析させることにより、溶接時
の電極チップへのZn及びCrの拡散が抑制されると同
時に、めっき層がやや硬くなることにより電極チップの
圧力によるめっき層の変形が小さくなり溶接部に電流が
集中し易くなることが、Zn−Cr−Ni系有機複合め
っき鋼板における溶接性の飛躍的向上要因と推定され
る。
【0018】一方、Ni濃度が0.1重量%未満では、
電極チップへのZn及びCrの拡散抑制効果が低く、ま
たNi濃度が3.0重量%超あるいはCr濃度14重量
%超では、めっき層が脆くなり過ぎ、電極チップの圧力
によりめっき層が破壊されるため、溶接性が向上しない
ものと思われる。次に、目付量を20g/m2一定にし、C
r濃度を種々変化させたZn−Cr系合金めっき層を形
成し、その上層に市販の塗布型クロメート皮膜を総Cr
量で50mg/m2形成し、さらにその上層にオレフィン−
アクリル系共重合体樹脂(100重量部)とコロイダル
シリカ(30重量部)からなる有機−無機混合系の樹脂
を用いて、乾燥重量で1.5g/m2の樹脂層を形成した有
機複合めっき鋼板に、図3(a)に示すビード付きU曲
げ加工を行った後、市販のカチオン型ED塗装を20μ
mの膜厚で実施し、さらに図3(b)に示すようにカッ
ターナイフを用いて素地に達するクロス状の疵(クロス
カット)を入れたものについて、塗装後の耐食性及び耐
穴明き性を評価した結果を図4及び図5に示す。
【0019】また、目付量を20g/m2一定にし、Cr濃
度及びNi濃度を種々変化させたZn−Cr−Ni系合
金めっき層を形成し、その上層に市販の塗布型クロメー
ト皮膜を総Cr量で50mg/m2形成し、さらにその上層
にアクリル−オレフィン系共重合体樹脂(100重量
部)とコロイダルシリカ(30重量部)からなる有機−
無機混合系の水溶性樹脂を用いて乾燥重量で1.5g/m2
の皮膜を形成した有機複合めっき鋼板についても同様に
ビード付きU曲げ加工・ED塗装・クロスカットを行
い、塗装後の耐食性及び耐穴明き性を評価した結果を図
6及び図7に示す。
【0020】ビード付きU曲げ加工は図3(a)に示す
ように、押しつけ荷重(B.H.F.):1.5ton
で実施した。塗装後の耐食性及び耐穴明き性の評価試験
は、以下に示すサイクルの腐食試験を用いて行った。 →塩水噴霧(JIS Z 2371) 6時間 ↑ ↓ ↑ 乾 燥(50℃) 3時間 ↑ ↓ ↑ 湿 潤(50℃ RH95%) 14時間 ↑ ↓ ←乾 燥(50℃) 1時間 塗装後の耐食性の評価は上記サイクルを1サイクルと
し、クロスカット部の赤錆発生率が50%に達するまで
のサイクル数で、以下のように4段階で評価した。
【0021】◎:150サイクル以上 ○:100サイクル以上〜150サイクル未満 △:50サイクル以上〜100サイクル未満 ×:50サイクル未満 また、塗装後の耐穴明き性の評価は、250サイクル後
のクロスカット部の最大板厚減少量を測定し、以下のよ
うに4段階で評価した。
【0022】◎:0.1mm以下 ○:0.1mm超〜0.3mm以下 △:0.3mm超〜0.5mm以下 ×:0.5mm超 図4及び図5から明らかなように、Zn−Cr系有機複
合めっき鋼板の塗装後の耐食性及び耐穴明き性は、Cr
濃度が増加するにつれ向上し、Cr濃度10〜14重量
%の領域で比較的良好である。それ以上のCr濃度で
は、めっき層の加工性が低下するために塗装後の耐食性
及び耐穴明き性は低下する傾向にある。Zn−Cr系有
機複合めっき鋼板において、Cr濃度10〜14重量%
の領域で耐食性及び耐穴明き性が比較的良好になるの
は、めっき層の加工性及び耐食性の双方が優れる領域が
このCr濃度域にあるためと思われる。
【0023】これに対し、図6及び図7から明らかなよ
うに、Zn−Cr−Ni系有機複合めっき鋼板では、N
i濃度0.1〜1.0重量%未満で、かつCr濃度8〜
14重量%の範囲で、Zn−Cr系有機複合めっき鋼板
に比べ、極めて優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を
示す。一方、Ni濃度0.1重量%未満あるいは1.0
重量%以上、Cr濃度8重量%未満あるいは14重量%
超では、塗装後の耐食性及び耐穴明き性は低下する。
【0024】ここで、Zn−Cr−Ni系有機複合めっ
き鋼板において、Cr及びNi濃度を特定濃度に限定す
ることにより、Zn−Cr系有機複合めっき鋼板に比
べ、極めて優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を示す
理由は以下のように考えられる。有機複合めっき鋼板に
おいて塗装後に加工部や疵付部の耐食性が優れるために
は、めっき層自身が加工性及び耐食性に優れていると同
時に、さらに上層に形成されるクロメート皮膜がめっき
層との密着性に優れ、かつ耐食性に優れたものでなけれ
ばならない。
【0025】本発明のZn−Cr−Ni系有機複合めっ
き鋼板において、めっき層のNiは主に次の2つの作用
を持ち、それぞれの作用の相乗効果により初めて、極め
て優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を発揮するもの
と考えられる。第一に、Niの作用は緻密で難溶性の腐
食生成物の形成促進にある。CrはZnと共析すること
により、不働態化せず活性状態を維持してZnと共に鋼
板素地に対する犠牲防食作用に加担する。その際に、特
定濃度のNi(0.1〜1.0重量%未満)が存在する
ことにより、加工部や疵付部等の腐食が進行し易い部位
においてNiの濃縮層が形成されることなく、Zn及び
Crの腐食生成物は微量のNiを含む難溶性で極めて緻
密な保護皮膜となり、水、酸素、塩素イオン等の腐食因
子の侵入を抑制する効果が極めて高くなると考えられ
る。
【0026】第二に、Niの作用は密着性及び耐食性に
優れた緻密なクロメート皮膜の形成にある。Zn−Cr
系合金めっき層では、Cr濃度の増加にともないめっき
層とクロメートとの反応性が低下するため、めっき層自
身の耐食性に優れるCr濃度域では、密着性及び耐食性
に優れた緻密なクロメート皮膜の形成が阻害される。そ
のため従来の電解型クロメートや塗布型クロメート、反
応型クロメート等のいずれのクロメート処理液を用いて
も、密着性及び耐食性に優れた緻密なクロメート皮膜が
形成され易いZn−Ni系合金めっき層に比べ、Zn−
Cr合金めっき層ではめっき層−クロメート皮膜界面や
クロメート皮膜層中への腐食因子の侵入に対する抑制効
果が低く、塗装後に加工部や疵付部において膨れを伴う
塗膜下での腐食が進行し易い傾向にある。
【0027】これに対し、Cr及びNiを特定濃度(C
r濃度8〜14重量%で、かつNi濃度0.1〜1.0
重量%未満)に限定したZn−Cr−Ni系合金めっき
層は、Niの存在によってCr6+及び/またはCr3+
含有する酸性処理液との反応性が高められているので、
前記したいずれのクロメート処理液を用いても密着性及
び耐食性に優れた緻密なクロメート皮膜が形成される。
また、これらのクロメート皮膜は、さらに上層に形成さ
れる有機皮膜層との密着性に優れ、加工を受けても損傷
が少なく、有機皮膜層と共に腐食因子の侵入に対して抑
制効果が高い保護皮膜としての効果を発揮するものと考
えられる。
【0028】一方、Ni濃度0.1重量%未満では、前
記したNiの効果がほとんど認められない。また、Ni
濃度1.0重量%以上では、密着性及び耐食性に優れた
緻密なクロメート皮膜は形成されるものの、塗装後に加
工部や疵付部等の部位において、腐食がある程度進行す
るとNi濃縮層が形成され、そのNi濃縮層と鋼板素地
(Fe)との間に電位の逆転現象が起こり、鋼板素地の
溶解が促進される。即ち、換言すると赤錆が発生するた
め、塗装後の耐食性及び耐穴明き性が低下することにな
る。
【0029】またさらに、Ni濃度が0.1〜1.0重
量%未満の範囲であっても、Cr濃度8重量%未満で
は、めっき層自身の耐食性が十分ではなく、Cr濃度1
4重量%超ではめっき層の加工性が低下するために、加
工部における塗装後の耐食性及び耐穴明き性が低下する
ものと考えられる。従って、以上のことから明らかなよ
うに、前記した特定範囲に限定されるNi及びCr濃度
(Ni濃度0.1〜1.0重量%未満、Cr濃度8〜1
4重量%)のZn−Cr−Ni系合金めっき層を用い、
その上層にクロメート皮膜層を形成し、さらにその上層
に有機皮膜層を形成する有機複合めっき鋼板によれば、
塗装後に加工部や疵付部等において腐食進行速度が極め
て遅く、かつある程度腐食が進行してもNi濃縮層が形
成されることがなく(換言すると、塗装後にNi濃縮層
の形成による鋼板素地(Fe)との電位逆転現象による
赤錆発生が認められず)、長期間にわたって犠牲防食作
用及び保護皮膜によるバリアー効果が維持され、極めて
優れた塗装後の耐食性及び耐穴明き性を有し、かつ溶接
性にも優れた有機複合めっき鋼板が得られることを初め
て見出した。
【0030】このことから本発明では、有機複合めっき
鋼板の製造に際し、鋼板の表面にCr濃度8〜14重量
%、Ni濃度0.1〜1.0重量%未満、残部Znとす
るめっき層を形成し、その上層にクロメート皮膜層を形
成し、さらにその上層に有機皮膜層を形成することとす
る。ここで有機複合めっき鋼板を製造する際に用いるク
ロメート処理は、公知の電解型クロメート処理、塗布型
クロメート処理、反応型クロメート処理等のいずれも適
用可能である。
【0031】電解型クロメート処理としては、クロム酸
に硫酸、各種リン酸及びリン酸塩類、ハロゲンイオンを
添加するもの、及び/またはSiO2 、Al2 3 、M
gO、TiO2 等の水分散型ゾル類を添加するもの、C
o、Mg等の金属イオンを微量添加するものも適用でき
る。塗布型、反応型クロメート処理としては、Cr6+
Cr3+イオンに加えて、各種リン酸及びリン酸塩類やフ
ッ化物類を添加するもの、無機コロイド類やシランカッ
プリング剤を添加するもの、及び/または有機樹脂を添
加するものも適用可能である。
【0032】また、そのクロメート皮膜層の皮膜量は、
総Cr量として30〜120mg/m2が適当である。30
mg/m2未満では上層に形成される有機皮膜との密着性及
び耐食性が十分に満足するレベルに達しないことが多
く、また120mg/m2超では溶接性が悪化し実用上好ま
しくない。クロメート皮膜層の上層に形成される樹脂層
としては0.3〜3.0g/m2が好ましい。樹脂層の厚み
が0.3g/m2未満では皮膜の連続被覆性が乏しく、3.
0g/m2より厚いと溶接性、プレス加工性、ED塗装性等
が悪化することがある。
【0033】被覆する有機樹脂の種類としては、オレフ
ィン−アクリル、アクリル、エポキシ、ウレタン、ポリ
エステル等、またはこれらの共重合誘導体等であり、こ
れらの樹脂が水系あるいは溶剤系のいずれでも使用する
ことができる。また、前記した有機樹脂にSiO2 、A
2 3 、TiO2 、MgO等の水分散型ゾルや防錆顔
料、及び/または硬化促進剤、潤滑剤等を配合して塗料
化した無機−有機混合樹脂も適用できる。
【0034】
【実施例】以下に本発明の実施例を比較例と共に表1、
2に示す。 (1) めっき条件 冷延鋼板を電解アルカリ樹脂し、電解酸洗した後、以下
の条件によりめっきを行った。めっき液流速:0.8〜
1.5m/分、温度:50℃、pH=1.2〜1.4の硫
酸浴を用いた。めっき浴の組成は、Zn2+イオン:50
〜70g/l 、Cr3+イオン:20〜40g/l 、Ni2+
オン:0〜30g/l 、Na+ イオン:20g/l 、ポリエ
チレングリコール:1〜2g/l とし、Cr及びNiの含
有率はそれぞれの添加量及び電流密度等により制御し、
めっき付着量は20g/m2とした。
【0035】(2) クロメート処理 電解型クロメート処理 クロム酸:30g/l 、Co2+イオン:2.3g/l 、Cl
- イオン:0.3g/l、浴温:40℃の処理液を用い
て、めっき板に陰極電解し、クーロン量調整によりクロ
メート皮膜量を調節した。
【0036】 塗布型クロメート処理 クロム酸:50g/l (Cr6+イオン:50%、Cr3+
オン:50%)、PO 4 3- イオン:65g/l 、シランカ
ップリング剤:12g/l からなる処理液をめっき板にロ
ールコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥した。ク
ロメート皮膜量は液の希釈率とロールコーターの圧加力
及び回転数で調節した。
【0037】 反応型クロメート処理 クロム酸:50g/l 、PO4 3- イオン:20g/l 、Na
F:0.5g/l 、K2 TiF6 :4g/l からなる処理液
をめっき板にスプレーし、100℃で乾燥した。クロメ
ート皮膜量は液の希釈率とスプレー時間で調節した。 (3) 樹脂被覆条件 表2には主体となる有機樹脂系のみを記したが、各樹脂
系に対しSiO2 等の防錆顔料や硬化促進剤等を配合し
て塗料化した無機−有機混合系の樹脂を用いて、クロメ
ート皮膜層を形成しためっき板にロールコーターで塗布
を行い、焼き付け乾燥した。焼き付け乾燥温度は樹脂系
にもよるが、最高到達板温度が120〜170℃の条件
で行った。
【0038】表1、2から明らかなように、Ni濃度を
0.1〜1.0重量%未満、Cr濃度を8〜14%の範
囲に限定したZn−Cr−Ni系合金めっき層を下地と
して用い、その上層にクロメート皮膜層を形成し、さら
にその上層に有機皮膜層を形成したことを特徴とする有
機複合めっき鋼板によって初めて、溶接性ならびに塗装
後の耐食性及び耐穴明き性に優れた有機複合めっき鋼板
が得られるものである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、塗
装後に極めて優れた耐食性、耐穴明き性を有し、同時に
溶接性にも優れた有機複合めっき鋼板が得られ、高い耐
食性を必要とする自動車、家電製品、建材等の品質及び
耐用年数の向上に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Zn−Cr系有機複合めっき鋼板におけるCr
濃度と溶接性の関係を示す図面である。
【図2】Zn−Cr−Ni系有機複合めっき鋼板におけ
るCr及びNi濃度と溶接性の関係を示す図面である。
【図3】(a)はビード付きU曲げ加工の形状及び塗装
後の耐食性及び耐穴明き性の評価を実施した試料位置と
形状を示す図面、(b)はクロスカット疵を示す図面で
ある。
【図4】Zn−Cr系有機複合めっき鋼板におけるCr
濃度と塗装後の耐食性の関係を示す図面である。
【図5】Zn−Cr系有機複合めっき鋼板におけるCr
濃度と塗装後の耐穴明き性の関係を示す図面である。
【図6】Zn−Cr−Ni系有機複合めっき鋼板におけ
るCr及びNi濃度と塗装後の耐食性の関係を示す図面
である。
【図7】Zn−Cr−Ni系有機複合めっき鋼板におけ
るCr及びNi濃度と塗装後の耐穴明き性の関係を示す
図面である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面にCr濃度8〜14重量%、
    Ni濃度0.1〜1.0重量%未満、残部Znとするめ
    っき層を形成し、その上層にクロメート皮膜層を形成
    し、さらにその上層に有機皮膜層を形成したことを特徴
    とする溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に
    優れた有機複合めっき鋼板。
JP18792591A 1991-06-25 1991-07-26 溶接性ならびに塗装後の耐食性及び耐穴明き性に優れた有機複合めつき鋼板 Withdrawn JPH0559570A (ja)

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