JPH0572914U - 作業用手袋 - Google Patents

作業用手袋

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JPH0572914U
JPH0572914U JP617592U JP617592U JPH0572914U JP H0572914 U JPH0572914 U JP H0572914U JP 617592 U JP617592 U JP 617592U JP 617592 U JP617592 U JP 617592U JP H0572914 U JPH0572914 U JP H0572914U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、病原菌やウイルスなどの微生物に
侵された動植物との接触による感染を確実に防止できる
作業用手袋を提供することを目的とするものである。 【構成】 本考案は 【化1】 (ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキル
基又はペンタフルオロフェニルメチル基、Xはハロゲン
原子)で表される官能基を有する水不溶性または水難溶
性のビニル系共重合体が、手袋の一部または全部に付着
していることを特徴とする作業用手袋をその要旨とする
ものである。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば農業用、酪農用、魚介類や食肉などの食品加工用、或いは医 療用、研究用、実験用などに使用される作業用手袋に関する。詳細には、病原菌 やウイルスなどの微生物に侵された動植物との接触による感染を確実に防止でき る作業用手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、作業用手袋は、作業者の手や指先を保護することを目的として、そ の作業環境に応じた材質、構造、形状に製造されており、繊維を編成或いは織成 することにより製造された繊維製手袋(軍手)や塩化ビニールなどの合成樹脂よ りなる樹脂製手袋(ビニール手袋)、或いは樹脂製手袋の一部または全部に合成 樹脂を含浸した手袋などがある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
これらの作業用手袋を使用して農作業などの作業を行ったとき、動植物が病原 菌やウイルスなどの微生物に侵されていると、これら動植物との接触により該作 業用手袋が動植物の病原菌やウイルスなどの微生物に汚染されることになる。作 業用手袋が微生物により汚染されているかどうかを作業者が見つけることはきわ めて困難であり、作業者はそのまま作業を続け、微生物に侵されていない他の動 植物へも同様な作業を行っていく。この結果、動植物中の微生物は作業用手袋を 介して他の動植物へと感染していくことになる。
【0004】 例えば農園芸作業、特に果樹栽培の剪定作業では一人の作業者が一日に何本も の果樹の剪定を行っていく。この際には、作業者の手の保護を目的として軍手や ビニール手袋が使用されるのであるが、作業者が病原菌やウイルスなどの微生物 に侵された果樹の剪定を行った後、この状態で作業者が別の健康な果樹の剪定を 行ったとき、手袋に付着した微生物を含む果樹の樹液が手袋を介して健康な果樹 に付き、これにより健康な果樹も微生物に侵されてしまうことになる。
【0005】 このような作業用手袋を介しての微生物の感染を防止するため、手袋を紙や布 地で拭ったり、水洗したりすることも行われているが、このような操作では手袋 に付着した微生物の全てを完全に除去することはできず、その何割かが手袋上に 残存し、感染の原因となっていた。
【0006】 本考案は、このような課題に鑑みなされたものであり、病原菌やウイルスなど の微生物に侵された動植物との接触による感染を確実に防止できる作業用手袋を 提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記目的を達成するため、請求項1記載の考案は 「
【0008】
【化2】
【0009】 (ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキル基又はペンタフルオロ フェニルメチル基、Xはハロゲン原子)で表される官能基を有する水不溶性また は水難溶性のビニル系共重合体が、手袋の一部または全部に付着していることを 特徴とする作業用手袋」をその要旨とした。
【0010】 又、請求項2記載の考案は、「ビニル系共重合体と共に殺菌剤が手袋の一部ま たは全部に付着していることを特徴とする作業用手袋」をその要旨とした。
【0011】 本考案における手袋としては、特に限定されず従来より使用されている繊維を 編成或いは織成することにより製造された繊維製手袋(軍手)や塩化ビニールな どの合成樹脂よりなる樹脂製手袋(ビニール手袋)、或いは樹脂製手袋の一部ま たは全部に合成樹脂を含浸した手袋など用途に合わせて選択的に使用することが できる。特に手袋を繊維により構成した場合には表面積が大きくなり、手袋の構 成繊維表面に後述するビニル系共重合体を薄く均一に付着させることができるた め、該ビニル系共重合体の単位重量当りの表面積を大きくすることができる。
【0012】 本考案のビニル系共重合体としては、4−ビニルピリジンとモノビニルモノマ ーとを共重合した後、ハロゲン化物を作用させて得られる、下記の一般式で表さ れるビニル系共重合体を使用することができる。
【0013】
【化3】
【0014】 ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキル基またはペンタフルオロ フェニルメチル基、R2 は水素原子またはC1〜C3のアルキル基、Xはハロゲン 原子、Yは水素原子、C1〜C3のアルキル基、ベンジル基、エーテル基、カルボ キシル基、カルボン酸エステル基またはアリール基である。また、このビニル系 共重合体はランダム共重合体またはブロック共重合体である。
【0015】 このビニル系共重合体は、従来より知られた橋かけポリビニルピリジニウムハ ライド(特公昭62−41641号公報に記載)と同様の優れた微生物吸着能を 有するにも拘らず、水には不溶又は難溶でありながら、有機溶媒には可溶であっ て、これを溶液とすることができるので、従来の橋かけポリビニルピリジニウム ハライドでは不可能であった、他の基材(手袋)への含浸やコーティングなどの 加工を行うことができるようになっている。
【0016】 共重合に使用するモノビニルモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテ ンなどのモノオレフィン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エス テル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、脂肪族ビニルエステル、アクリロ ニトリル及びこれらの誘導体などがあるが、これに限らず、種々のものが単独又 は組合せて使用できる。ただし、親水性の高い官能基を有するモノビニルモノマ ーを使用すると、得られる共重合体が重合度によっては水溶性となるので望まし くない。
【0017】 この4−ビニルピリジンとモノビニルモノマ−との比率、すなわち、n:mの 割合は、使用されるモノビニルモノマーの種類や、重合度によっても異なるが、 大略10:90〜90:10の範囲にあるのが望ましい。この範囲よりも4−ビ ニルピリジンの割合が少ないと十分な微生物吸着能が得られず、これよりも多い と得られる共重合体が水溶性の高いものとなってしまう。また、上記ビニル系共 重合体の重合度は少なくとも300以上であることが望ましく、これより重合度 が低いと、得られる共重合体の水溶性が高いものとなる。
【0018】 モノビニルモノマーと4−ビニルピリジンとの共重合体は、ハロゲン化アルキ ル、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化ペンタフルオロフェニルメチルなどのハロ ゲン化物と反応させることにより、ピリジンを4級化し、次式で表わされるピリ ジニウム基を形成する。
【0019】
【化4】
【0020】 このピリジニウム基が主体となって微生物を吸着保持する働きをしているもの と考えられる。この機構は明らかではないが、このピリジニウム基は正に帯電し ており、一般に微生物の細胞表面は負に帯電していることから、静電気的な相互 作用が一つの重要な因子であると推定される。
【0021】 この様にして得られたビニル系共重合体は、水に対して実質的に不溶又は難溶 であって、有機溶剤には可溶である。この性質を利用して、上記ビニル系共重合 体は有機溶剤に溶かされて溶剤溶液とされる。この有機溶剤としては、アルコー ル類、エステル類、フェノール類、エーテル類、芳香族炭化水素類などが使用で きるが、取り扱い易さ等の点から考えて、アルコール類を使用することが望まし い。
【0022】 ビニル系共重合体を溶解した溶液は、作業用手袋の生地表面に含浸、コーティ ング等の手段で付与される。この後、乾燥工程を経ることにより、上記ビニル系 共重合体は手袋の生地表面に付着されることになる。尚、ビニル系共重合体は手 袋の生地表面全体に付着させても良いが、図1に示すように、該手袋11の作業 時に動植物と接触する頻度の高い手の裏側部分12のみにビニル系共重合体を付 着させてビニル系共重合体の使用量を減らすようにしても良い。
【0023】 手袋の生地に対するビニル系共重合体の付着量としては特に限定されないが、 ビニル系共重合体の付着量が該作業用手袋に対し0.01〜20wt%の範囲の ものが微生物吸着力が高く、かつ経済的である。20wt%を越える多量のビニ ル系共重合体を付着した場合には、ビニル系共重合体の使用量が増す割には吸着 効果は上がらず、不経済となる。
【0024】 また、本考案におけるビニル系共重合体としては、上記ビニル系共重合体の他 に、以下に示すような4−ビニルピリジンと架橋性ジビニルモノマーとを手袋の 生地上で共重合させ、ハロゲン化物によって4級化させたものも用いることがで きる。
【0025】 このビニル系共重合体において用いられる架橋性ジビニルモノマーとしては、 ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル 化合物、ジアクリル酸エチレングリコールエステル、ジメタクリル酸エチレング リコールエステル等の脂肪族ジビニル化合物等を挙げるとができる。この架橋性 ジビニルモノマーは単独で或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】 この架橋性ジビニルモノマー及び4−ビニルピリジンは、前記手袋の生地に対 して溶液の形態で付与される。つまり、架橋性ジビニルモノマー及び4−ビニル ピリジンをアルコール類、エステル類、フェノール類、エーテル類、芳香族炭化 水素類などの有機溶剤中に添加して溶液とするのである。この溶液に前記手袋の 生地を漬けて含浸させることにより、或いは手袋の生地表面にコーティングする ことにより、所定量の架橋性ジビニルモノマー及び4−ビニルピリジンをモノマ ーの状態で手袋の生地表面に付与する。尚、上記モノマーの付与は、縫製前の生 地表面に行っても良いし、縫製後の手袋の形態としたものに行っても良い。
【0027】 次いで有機溶剤の全部又は一部を除去し、架橋性ジビニルモノマー及び4−ビ ニルピリジンを手袋の生地表面に付着させるのである。尚、手袋の生地表面に付 着される4−ビニルピリジンに対する架橋性ジビニルモノマーの割合は、15モ ル%以下であることが望ましく、これを超えると微生物の吸着力は低下する。手 袋に対するビニル系共重合体の付着量としては特に限定されないが、ビニル系共 重合体の付着量が該手袋に対し0.01〜20wt%の範囲のものが微生物吸着 力が高く、かつ経済的である。また、各モノマーを含む溶液には過酸化ベンゾイ ルやアゾビスイソブチロニトリルなどの慣用のラジカル開始剤が添加されている 。更には各モノマーを含む溶液には、スチレン、メチルメタクリレートなどの反 応性ビニルモノマーが加えられていてもよい。
【0028】 このようにして手袋の生地表面にモノマーの状態で付着した架橋性ジビニルモ ノマー及び4−ビニルピリジンは加熱下で共重合される。重合温度は常圧又は加 圧下、50〜100℃で行われる。
【0029】 得られた共重合体は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化 ペンタフルオロフェニルメチルなどのハロゲン化物と反応させることにより、ピ リジンを4級化し、ピリジニウム基を有する架橋構造のビニル系共重合体が得ら れる。尚、ハロゲン化物の使用量は共重合体中の4−ビニルピリジン単位の含有 量に応じて適宜決定される。
【0030】 この様にして得られたビニル系共重合体は、水及び有機溶媒に対して実質的に 不溶又は難溶であり、特公昭62−41641号公報に記載のビニル系共重合体 とは同様な優れた微生物吸着能を示すものとなる。加えてこのビニル系共重合体 は、手袋の生地表面にモノマーの状態で付着され、この手袋の生地上で共重合さ れていることから、ビニル系共重合体の単位重量当りの表面積は増大し、その微 生物吸着効率は飛躍的に向上したものとなる。
【0031】 以上、本考案の作業用手袋の生地表面に付着されるビニル系共重合体として2 つの好ましい例を挙げたが、優れた微生物吸着能を発現するところの、ハロゲン 化されたピリジニウム基を分子内に有すること、微生物を吸着保持できること、 該ビニル系共重合体が溶出しないように、水に対し不溶または難溶であること、 含浸やコーティングなどの加工を容易に行うことができること、といった要件を 備えたビニル系共重合体であるならばこれに限定されるものではない。
【0032】 尚、本考案のビニル系共重合体によって吸着する対象となる微生物とは、細菌 、かび類、藻類、ウイルス等をいう。
【0033】 尚、本考案のビニル系共重合体と共に殺菌剤を作業用手袋の生地表面に付着す るようにしたならば、微生物吸着能と共に殺菌性能をも備えた作業用手袋を得る ことができる。殺菌剤としては、例えば水不溶性のゼオライトを殺菌性を有する 金属イオンで置換した抗菌性ゼオライト、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリ エステル、ポリアミドなどのポリマー鎖にピグアナイドまたは第4アンモニウム 塩を固定化したポリマー型固定化殺菌剤、3−(トリメトキシシリル)−プロピ ルトリメチルオクタデシルアンモニウムクロライドなどのシリコーン型固定化殺 菌剤などが好適に使用できる。
【0034】
【実施例】
以下、本考案を実施例に従って詳細に説明する。 実施例1 4−ビニルピリジンとスチレンとを30:70モルの割合で共重合した後、4 −ビニルピリジンと等モルのベンジルブロミドで4級化処理してピリジニウム基 を有するビニル系共重合体を得た。
【0035】 このビニル系共重合体を溶解したエタノール溶液中に綿を編成することにより 製造された繊維製手袋(軍手)を含浸した後、75℃で乾燥して手袋に対するビ ニル系共重合体の付着量が0.2重量%の作業用手袋を得た。
【0036】 実施例2 4−ビニルピリジン3g、ジビニルベンゼン0.05g、アゾビスイソブチロ ニトリル0.03g及びトルエン300mlを反応容器に入れ、この容器中に、 綿を編成することにより製造された繊維製手袋(軍手)を入れて浸漬した。その 後、室温でトルエンを蒸発させて、手袋の生地表面に4−ビニルピリジン、ジビ ニルベンゼン、及びアゾビスイソブチロニトリルを付着させた。この後、80℃ の温度で5時間、恒温器中に静置して、手袋の生地上で4−ビニルピリジンとジ ビニルベンゼンとを共重合させた。
【0037】 次いで、生地表面にビニル系共重合体の付着した手袋を反応容器に入れ、同容 器内に臭化ベンジルとトルエンを加えて80℃で6時間反応させてビニル系共重 合体を4級化処理し、臭化ベンジルにより4級化されたピリジニウム基を有し、 かつ架橋構造を有するビニル系共重合体が手袋の生地表面に付着した作業用手袋 を得た。手袋に対するビニル系共重合体の付着量は2.0重量%であった。
【0038】
【考案の効果】
上記構成を備えたことにより、請求項1記載の作業用手袋にあっては、優れた 微生物吸着能を有するビニル系共重合体を手袋の生地表面に付着せしめたことに よりウィルス等の微生物が確実に吸着保持されるようになる。この結果、この作 業用手袋を使用して農作業などの作業を行ったとき、作業者が病原菌やウイルス などの微生物に侵されている動植物と接触しても、該作業用手袋のビニル系共重 合体が動植物の病原菌やウイルスなどの微生物を確実に吸着保持するため、その ままの状態で作業者が他の微生物に侵されていない動植物へ同様な作業を行って も、該作業用手袋を介して他の動植物へと微生物が感染していくことはない。ま た、このビニル系共重合体は水不溶性または水難溶性であることから、手袋が水 に濡れても溶出することが無い。
【0039】 請求項2記載の作業用手袋にあっては、ビニル系共重合体と共に殺菌剤が付着 されていることから、微生物を手袋に吸着保持するのみならず手袋上で殺菌して しまうため、他の動植物への感染防止効果をより向上させることができる。
【提出日】平成5年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えば農業用、酪農用、魚介類や食肉などの食品加工用、或いは医 療用、研究用、実験用などに使用される作業用手袋に関する。詳細には、病原菌 やウイルスなどの微生物に侵された動植物との接触による感染を確実に防止でき る作業用手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、作業用手袋は、作業者の手や指先を保護することを目的として、そ の作業環境に応じた材質、構造、形状に製造されており、繊維を編成或いは織成 することにより製造された繊維製手袋(軍手)や塩化ビニールなどの合成樹脂よ りなる樹脂製手袋(ビニール手袋)、或いは樹脂製手袋の一部または全部に合成 樹脂を含浸した手袋などがある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
これらの作業用手袋を使用して農作業などの作業を行ったとき、動植物が病原 菌やウイルスなどの微生物に侵されていると、これら動植物との接触により該作 業用手袋が動植物の病原菌やウイルスなどの微生物に汚染されることになる。作 業用手袋が微生物により汚染されているかどうかを作業者が見つけることはきわ めて困難であり、作業者はそのまま作業を続け、微生物に侵されていない他の動 植物へも同様な作業を行っていく。この結果、動植物中の微生物は作業用手袋を 介して他の動植物へと感染していくことになる。
【0004】 例えば農園芸作業、特に果樹栽培の剪定作業では一人の作業者が一日に何本も の果樹の剪定を行っていく。この際には、作業者の手の保護を目的として軍手や ビニール手袋が使用されるのであるが、作業者が病原菌やウイルスなどの微生物 に侵された果樹の剪定を行った後、この状態で作業者が別の健康な果樹の剪定を 行ったとき、手袋に付着した微生物を含む果樹の樹液が手袋を介して健康な果樹 に付き、これにより健康な果樹も微生物に侵されてしまうことになる。
【0005】 このような作業用手袋を介しての微生物の感染を防止するため、手袋を紙や布 地で拭ったり、水洗したりすることも行われているが、このような操作では手袋 に付着した微生物の全てを完全に除去することはできず、その何割かが手袋上に 残存し、感染の原因となっていた。
【0006】 本考案は、このような課題に鑑みなされたものであり、病原菌やウイルスなど の微生物に侵された動植物との接触による感染を確実に防止できる作業用手袋を 提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記目的を達成するため、請求項1記載の考案は 「
【0008】
【化2】
【0009】 (ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキル基又はペンタフルオロ フェニルメチル基、Xはハロゲン原子)で表される官能基を有する水不溶性また は水難溶性のビニル系共重合体が、手袋の一部または全部に付着していることを 特徴とする作業用手袋」をその要旨とした。
【0010】 又、請求項2記載の考案は、「ビニル系共重合体と共に殺菌剤が手袋の一部ま たは全部に付着していることを特徴とする作業用手袋」をその要旨とした。
【0011】 本考案における手袋としては、特に限定されず従来より使用されている繊維を 編成或いは織成することにより製造された繊維製手袋(軍手)や塩化ビニールな どの合成樹脂よりなる樹脂製手袋(ビニール手袋)、或いは樹脂製手袋の一部ま たは全部に合成樹脂を含浸した手袋など用途に合わせて選択的に使用することが できる。特に手袋を繊維により構成した場合には表面積が大きくなり、手袋の構 成繊維表面に後述するビニル系共重合体を薄く均一に付着させることができるた め、該ビニル系共重合体の単位重量当りの表面積を大きくすることができる。
【0012】 本考案のビニル系共重合体としては、4−ビニルピリジンとモノビニルモノマ ーとを共重合した後、ハロゲン化物を作用させて得られる、下記の一般式で表さ れるビニル系共重合体を使用することができる。
【0013】
【化3】
【0014】 ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキル基またはペンタフルオロ フェニルメチル基、R2 は水素原子またはC1〜C3のアルキル基、Xはハロゲン 原子、Yは水素原子、C1〜C3のアルキル基、ベンジル基、エーテル基、カルボ キシル基、カルボン酸エステル基またはアリール基である。また、このビニル系 共重合体はランダム共重合体またはブロック共重合体である。
【0015】 このビニル系共重合体は、従来より知られた橋かけポリビニルピリジニウムハ ライド(特公昭62−41641号公報に記載)と同様の優れた微生物吸着能を 有するにも拘らず、水には不溶又は難溶でありながら、有機溶媒には可溶であっ て、これを溶液とすることができるので、従来の橋かけポリビニルピリジニウム ハライドでは不可能であった、他の基材(手袋)への含浸やコーティングなどの 加工を行うことができるようになっている。
【0016】 共重合に使用するモノビニルモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテ ンなどのモノオレフィン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エス テル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、脂肪族ビニルエステル、アクリロ ニトリル及びこれらの誘導体などがあるが、これに限らず、種々のものが単独又 は組合せて使用できる。ただし、親水性の高い官能基を有するモノビニルモノマ ーを使用すると、得られる共重合体が重合度によっては水溶性となるので望まし くない。
【0017】 この4−ビニルピリジンとモノビニルモノマ−との比率、すなわち、n:mの 割合は、使用されるモノビニルモノマーの種類や、重合度によっても異なるが、 大略10:90〜90:10の範囲にあるのが望ましい。この範囲よりも4−ビ ニルピリジンの割合が少ないと十分な微生物吸着能が得られず、これよりも多い と得られる共重合体が水溶性の高いものとなってしまう。また、上記ビニル系共 重合体の重合度は少なくとも300以上であることが望ましく、これより重合度 が低いと、得られる共重合体の水溶性が高いものとなる。
【0018】 モノビニルモノマーと4−ビニルピリジンとの共重合体は、ハロゲン化アルキ ル、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化ペンタフルオロフェニルメチルなどのハロ ゲン化物と反応させることにより、ピリジンを4級化し、次式で表わされるピリ ジニウム基を形成する。
【0019】
【化4】
【0020】 このピリジニウム基が主体となって微生物を吸着保持する働きをしているもの と考えられる。この機構は明らかではないが、このピリジニウム基は正に帯電し ており、一般に微生物の細胞表面は負に帯電していることから、静電気的な相互 作用が一つの重要な因子であると推定される。
【0021】 この様にして得られたビニル系共重合体は、水に対して実質的に不溶又は難溶 であって、有機溶剤には可溶である。この性質を利用して、上記ビニル系共重合 体は有機溶剤に溶かされて溶剤溶液とされる。この有機溶剤としては、アルコー ル類、エステル類、フェノール類、エーテル類、芳香族炭化水素類などが使用で きるが、取り扱い易さ等の点から考えて、アルコール類を使用することが望まし い。
【0022】 ビニル系共重合体を溶解した溶液は、作業用手袋の生地表面に含浸、コーティ ング等の手段で付与される。この後、乾燥工程を経ることにより、上記ビニル系 共重合体は手袋の生地表面に付着されることになる。尚、ビニル系共重合体は手 袋の生地表面全体に付着させても良いが、図1に示すように、該手袋11の作業 時に動植物と接触する頻度の高い手の裏側部分12のみにビニル系共重合体を付 着させてビニル系共重合体の使用量を減らすようにしても良い。
【0023】 手袋の生地に対するビニル系共重合体の付着量としては特に限定されないが、 ビニル系共重合体の付着量が該作業用手袋に対し0.01〜20wt%の範囲の ものが微生物吸着力が高く、かつ経済的である。20wt%を越える多量のビニ ル系共重合体を付着した場合には、ビニル系共重合体の使用量が増す割には吸着 効果は上がらず、不経済となる。
【0024】 また、本考案におけるビニル系共重合体としては、上記ビニル系共重合体の他 に、以下に示すような4−ビニルピリジンと架橋性ジビニルモノマーとを手袋の 生地上で共重合させ、ハロゲン化物によって4級化させたものも用いることがで きる。
【0025】 このビニル系共重合体において用いられる架橋性ジビニルモノマーとしては、 ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル 化合物、ジアクリル酸エチレングリコールエステル、ジメタクリル酸エチレング リコールエステル等の脂肪族ジビニル化合物等を挙げるとができる。この架橋性 ジビニルモノマーは単独で或いは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】 この架橋性ジビニルモノマー及び4−ビニルピリジンは、前記手袋の生地に対 して溶液の形態で付与される。つまり、架橋性ジビニルモノマー及び4−ビニル ピリジンをアルコール類、エステル類、フェノール類、エーテル類、芳香族炭化 水素類などの有機溶剤中に添加して溶液とするのである。この溶液に前記手袋の 生地を漬けて含浸させることにより、或いは手袋の生地表面にコーティングする ことにより、所定量の架橋性ジビニルモノマー及び4−ビニルピリジンをモノマ ーの状態で手袋の生地表面に付与する。尚、上記モノマーの付与は、縫製前の生 地表面に行っても良いし、縫製後の手袋の形態としたものに行っても良い。
【0027】 次いで有機溶剤の全部又は一部を除去し、架橋性ジビニルモノマー及び4−ビ ニルピリジンを手袋の生地表面に付着させるのである。尚、手袋の生地表面に付 着される4−ビニルピリジンに対する架橋性ジビニルモノマーの割合は、15モ ル%以下であることが望ましく、これを超えると微生物の吸着力は低下する。手 袋に対するビニル系共重合体の付着量としては特に限定されないが、ビニル系共 重合体の付着量が該手袋に対し0.01〜20wt%の範囲のものが微生物吸着 力が高く、かつ経済的である。また、各モノマーを含む溶液には過酸化ベンゾイ ルやアゾビスイソブチロニトリルなどの慣用のラジカル開始剤が添加されている 。更には各モノマーを含む溶液には、スチレン、メチルメタクリレートなどの反 応性ビニルモノマーが加えられていてもよい。
【0028】 このようにして手袋の生地表面にモノマーの状態で付着した架橋性ジビニルモ ノマー及び4−ビニルピリジンは加熱下で共重合される。重合温度は常圧又は加 圧下、50〜100℃で行われる。
【0029】 得られた共重合体は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化 ペンタフルオロフェニルメチルなどのハロゲン化物と反応させることにより、ピ リジンを4級化し、ピリジニウム基を有する架橋構造のビニル系共重合体が得ら れる。尚、ハロゲン化物の使用量は共重合体中の4−ビニルピリジン単位の含有 量に応じて適宜決定される。
【0030】 この様にして得られたビニル系共重合体は、水及び有機溶媒に対して実質的に 不溶又は難溶であり、特公昭62−41641号公報に記載のビニル系共重合体 とは同様な優れた微生物吸着能を示すものとなる。加えてこのビニル系共重合体 は、手袋の生地表面にモノマーの状態で付着され、この手袋の生地上で共重合さ れていることから、ビニル系共重合体の単位重量当りの表面積は増大し、その微 生物吸着効率は飛躍的に向上したものとなる。
【0031】 以上、本考案の作業用手袋の生地表面に付着されるビニル系共重合体として2 つの好ましい例を挙げたが、優れた微生物吸着能を発現するところの、ハロゲン 化されたピリジニウム基を分子内に有すること、微生物を吸着保持できること、 該ビニル系共重合体が溶出しないように、水に対し不溶または難溶であること、 含浸やコーティングなどの加工を容易に行うことができること、といった要件を 備えたビニル系共重合体であるならばこれに限定されるものではない。
【0032】 尚、本考案のビニル系共重合体によって吸着する対象となる微生物とは、細菌 、かび類、藻類、ウイルス等をいう。
【0033】 尚、本考案のビニル系共重合体と共に殺菌剤を作業用手袋の生地表面に付着す るようにしたならば、微生物吸着能と共に殺菌性能をも備えた作業用手袋を得る ことができる。殺菌剤としては、例えば水不溶性のゼオライトを殺菌性を有する 金属イオンで置換した抗菌性ゼオライト、ポリビニル、ポリアクリレート、ポリ エステル、ポリアミドなどのポリマー鎖にピグアナイドまたは第4アンモニウム 塩を固定化したポリマー型固定化殺菌剤、3−(トリメトキシシリル)−プロピ ルトリメチルオクタデシルアンモニウムクロライドなどのシリコーン型固定化殺 菌剤などが好適に使用できる。
【0034】
【実施例】
以下、本考案を実施例に従って詳細に説明する。 実施例1 4−ビニルピリジンとスチレンとを30:70モルの割合で共重合した後、4 −ビニルピリジンと等モルのベンジルブロミドで4級化処理してピリジニウム基 を有するビニル系共重合体を得た。
【0035】 このビニル系共重合体を溶解したエタノール溶液中に綿を編成することにより 製造された繊維製手袋(軍手)を含浸した後、75℃で乾燥して手袋に対するビ ニル系共重合体の付着量が0.2重量%の作業用手袋を得た。
【0036】 実施例2 4−ビニルピリジン3g、ジビニルベンゼン0.05g、アゾビスイソブチロ ニトリル0.03g及びトルエン300mlを反応容器に入れ、この容器中に、 綿を編成することにより製造された繊維製手袋(軍手)を入れて浸漬した。その 後、室温でトルエンを蒸発させて、手袋の生地表面に4−ビニルピリジン、ジビ ニルベンゼン、及びアゾビスイソブチロニトリルを付着させた。この後、80℃ の温度で5時間、恒温器中に静置して、手袋の生地上で4−ビニルピリジンとジ ビニルベンゼンとを共重合させた。
【0037】 次いで、生地表面にビニル系共重合体の付着した手袋を反応容器に入れ、同容 器内に臭化ベンジルとトルエンを加えて80℃で6時間反応させてビニル系共重 合体を4級化処理し、臭化ベンジルにより4級化されたピリジニウム基を有し、 かつ架橋構造を有するビニル系共重合体が手袋の生地表面に付着した作業用手袋 を得た。手袋に対するビニル系共重合体の付着量は2.0重量%であった。
【0038】
【考案の効果】
上記構成を備えたことにより、請求項1記載の作業用手袋にあっては、優れた 微生物吸着能を有するビニル系共重合体を手袋の生地表面に付着せしめたことに よりウィルス等の微生物が確実に吸着保持されるようになる。この結果、この作 業用手袋を使用して農作業などの作業を行ったとき、作業者が病原菌やウイルス などの微生物に侵されている動植物と接触しても、該作業用手袋のビニル系共重 合体が動植物の病原菌やウイルスなどの微生物を確実に吸着保持するため、その ままの状態で作業者が他の微生物に侵されていない動植物へ同様な作業を行って も、該作業用手袋を介して他の動植物へと微生物が感染していくことはない。ま た、このビニル系共重合体は水不溶性または水難溶性であることから、手袋が水 に濡れても溶出することが無い。
【0039】 請求項2記載の作業用手袋にあっては、ビニル系共重合体と共に殺菌剤が付着 されていることから、微生物を手袋に吸着保持するのみならず手袋上で殺菌して しまうため、他の動植物への感染防止効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の作業用手袋を示した斜視図である。
【符号の説明】
11 作業用手袋 12 裏側部分
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年3月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】 作業用手袋
【実用新案登録請求の範囲】
【化1】 (ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキ
ル基又はペンタフルオロフェニルメチル基、Xはハロゲ
ン原子)で表される官能基を有する水不溶性または水難
溶性のビニル系共重合体が、手袋の一部または全部に付
着していることを特徴とする作業用手袋。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の作業用手袋を示した斜視図である。
【符号の説明】 11 作業用手袋 12 裏側部分

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 (ただし、式中R1はベンジル基、C4〜C16のアルキル
    基又はペンタフルオロフェニルメチル基、Xはハロゲン
    原子)で表される官能基を有する水不溶性または水難溶
    性のビニル系共重合体が、手袋の一部または全部に付着
    していることを特徴とする作業用手袋。
  2. 【請求項2】 前記ビニル系共重合体と共に殺菌剤が手
    袋の一部または全部に付着していることを特徴とする請
    求項1記載の作業用手袋。
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6215308A (ja) * 1985-07-04 1987-01-23 川西工業株式会社 抗菌防臭加工を施した作業用手袋
JPS63112711A (ja) * 1986-10-30 1988-05-17 ノ−ス化成工業株式会社 作業用手袋の抗菌消臭加工方法
JPH02237901A (ja) * 1989-03-10 1990-09-20 Kao Corp 微生物吸着剤

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