JPH0579340B2 - - Google Patents

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JPH0579340B2
JPH0579340B2 JP62001845A JP184587A JPH0579340B2 JP H0579340 B2 JPH0579340 B2 JP H0579340B2 JP 62001845 A JP62001845 A JP 62001845A JP 184587 A JP184587 A JP 184587A JP H0579340 B2 JPH0579340 B2 JP H0579340B2
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JP
Japan
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blood vessel
artificial blood
polyurethane
recess
artificial
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JP62001845A
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Noriaki Kaneko
Yoshimi Hirata
Masahiro Moriwaki
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、長期に亘つて優れた開存性を有して
おり、特に中小口径の人工血管として適している
人工血管に関する。
(従来の技術) 従来、人工血管としてはポリエチレンテレフタ
レートを材料とし、これを紡糸して得られるポリ
エステルの高分子繊維を編織してチユーブ状と
し、これに蛇腹状のひだをつけてキンキング現象
(屈曲によつて折れる現象)を防止したものや、
ポリ四フツ化エチレンをチユーブ状に成形し、延
伸加工してフイブリル化(微細な繊維状構造化)
したもの(以後、フツ素樹脂系人工血管という)
が用いられている。これらを代用血管として用い
ると、管壁の構造が有孔化されているために、こ
の隙間に細胞が浸入生育し、生体化するという利
点がある。
従来のポリエステル繊維による人工血管もまた
延伸加工したポリ四フツ化エチレンの人工血管
も、生体に移植されると、まず血液と接触する内
表面に凝血層が生じ、この上に細胞が増殖して内
皮膜を形成して抗血栓性の内膜となる。このよう
に血管の内壁が生体化してはじめて人工血管は生
体代用物としての役割を果たすのであるが、最初
に生成する凝血層の厚さは1mm〜1.5mmにも達し、
また内皮膜が形成された後にもこの内皮膜の肥厚
が経時的にみられる。
このため、血管として移植後、通常内口径の狭
窄が生じ、内口径6mm以下のものは実質的に使用
出来ない。実際に安心して用いられる人工血管
は、現行の性能では内口径10mm以上のものであ
る。
すなわち、内口径10mm〜6mmのものは経時的に
次第に内口径が狭まり、3年後の開存率は60〜70
%である。したがつて、現状では内口径6mm以下
の人工血管では長期開存性が悪く、殊に4mm以下
のものでは実用に供しうるものは存在しない。
冠状動脈狭窄のために心不全をおこす患者を救
うために行われる冠状動脈バイパス手術には自己
の伏在静脈を摘出して、これを専ら利用している
が、人によつては適当な伏在静脈が使えない場合
がある。
幸い自己の伏在静脈を摘出利用して、冠状動脈
バイパス手術に成功しても、これまでの累積成績
でみる限り、移植した人工血管の開存率は5年後
で60〜70%といわれており、したがつて30〜40%
の人は5年後に、再手術を受けなくてはならない
こととなる。この場合、最早利用出来る伏在静脈
がないので、この患者の救命は難しい。
このような人々を救命するためには内口径が4
mmないし3mmの開存性に優れた人工血管が必要で
あるが、世界の研究者の10余年に亘る懸命の開発
努力にもかかわらず、実用に供しうる小口径人工
血管の開発成功例はない。
この不成功の原因は、いずれも移植人工血管の
閉塞によるものであるが、この閉塞には、凝血に
よる閉塞、吻合物に生じるパヌス(生長肉塊)、
吻合部付近に生じるステノシス(狭窄)に起因す
るものが多い。
人工血管に要求される基本性能は多岐に亘る
が、現在最も強く要望されているのは、力学的
性質が充分実用に耐え生体内で劣化しないこと、
生体適合性が良いこと、抗血栓性が優れ、狭
窄、閉塞しないこと、易治癒性を備えているこ
と、等があげられる。
小口径の人工血管を考えると、これが実用に供
しうるためには、移植後の管内壁に生成する初期
血栓の生成を抑えること、内皮膜の肥厚を抑える
ことが大切で、4mm以下の人工血管では、これが
達成されないと血管の開存性の点から実用化は難
しい。
小口径の人工血管に長期開存性を付与するべ
く、人工血管の構成材料として抗血栓性に優れた
ものを用いることにより、移植後から数ケ月の間
に生成する初期血栓が厚く生長することを抑制す
ることが行われている。さらには、人工血管の内
壁面を平滑面にして血流を円滑にすることによ
り、血栓の生成を防止する方法も行われている。
しかしながら、このように血管の内壁面を平滑面
にした場合には、血流は円滑になる結果血栓生成
は減少するが、その反面、血管の内壁面に血液が
直接長期間接触することにより徐々に石灰が生
成・沈着し、その結果、沈着した石灰の周辺に血
栓が生成して、血管を閉塞させるに到る。
したがつて、人工血管に優れた長期開存性を付
与するためには、ポリウレタンやポリウレタンウ
レアなどの抗血栓性に優れた構成材料を用いて、
その内壁面が平滑面ではなく、粗い面の人工血管
にすることによつて、初期血栓を緩慢に生成させ
ることが良いと推測されている。すなわち、血管
が閉塞に到らない程度に緩かに血栓を生成させる
ことにより、血栓の生成と共に内皮細胞が徐々に
血管の内壁面に付着していく。その結果、人工血
管の内壁面にいわゆる偽内膜と呼ばれる生体血管
に類似の内膜が新生するために、長期間に亘つて
生体血管に匹敵する開存性を得られるのである。
さらに、人工血管内における急速な初期血栓の生
成を抑制するためには、血液中のフイブリノーゲ
ンに由来するフイブリン繊維網の網目の中で、多
量の血小板や赤血球が凝集して塊状になる、いわ
ゆる混合血栓を生成させるのではなく、充分に発
達したフイブリン繊維網からなる薄い膜を人工血
管の内壁面に形成させたのち、該フイブリン繊維
網の網目の中に血栓を生成させることが重要であ
ると考えられている。
かかる知見に基づいて、特開昭57−15094号公
報においては、5〜100μmの微細孔を有する人
工血管に関する技術が開示されている。すなわ
ち、人工血管の構成材料溶液に、成形型を浸漬・
乾燥する工程を繰り返して多層構造の人工血管を
製造し、次いで、人工血管の血液接触面を、食塩
などの無機塩の溶液に浸漬したのち、該無機塩を
溶出することによつて微細孔を有する人工血管を
製造している。
しかしながら、かかる方法によつて得られた人
工血管は、内壁面に存在する微細孔の形状が無機
塩の形状により限定されてしまうだけでなく、人
工血管の内径の大きさが一定したものを得ること
ができず、実用的ではない。また、本願出願人
が、上記の人工血管を実際に試作して評価したと
ころ、人工血管は約1〜4週間で閉塞し、血流が
停止してしまつた。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のとおり、従来の人工血管では、急速な初
期血栓の生成やそれに伴う内皮膜の過剰の肥厚に
よる血管狭窄などのために、長期間に亘つて優れ
た開存性を維持することができず、このためにと
りわけ、実用化が切望されている中小口径の人工
血管は未だ実用化されるに到つていない。
したがつて、本発明は、優れた長期開存性を有
しており、中小口径、特に内径が4mm以下の人工
血管としても充分に実用化が可能な人工血管の提
供を目的とする。
[問題点を解決するための手段及び作用] 本発明者らは、まず、急速な初期血栓の生成を
防止して、人工血管の長期開存性を維持するため
には、人工血管の内壁面を凹凸のある構造にする
こと、とりわけ微細な構造にする必要があるとい
う点に着目して検討を行つた。その結果、人工血
管の内壁面を、単に凹凸構造にしただけでは、初
期血栓の生成時に上記した混合血栓を生じてしま
い急激な血管の狭窄現象が生じるということ、ま
た、該凹凸構造をさらに微細構造にした場合に
は、急激な初期血栓の生成は著しく抑制され、こ
の点からは長期開存性を維持し得るが、生体血管
との吻合部分に異常な肉芽が形成されてしまうこ
とから、結果的に血管が閉塞されてしまうという
ことを見出した。したがつて、これらの知見に基
づいて、さらに検討を行つた結果優れた長期開存
性を有する人工血管は、その内壁面を単に微細な
凹凸構造にするだけでは得ることができず、該凹
凸構造に一定の規則性を付与することにより得る
ことが可能であるということを見出し、本発明を
完成するに到つた。
本発明は、血液と接触する面が、平滑面と、該
血液と接触する面に均一に分散した状態で存在し
ている開口部の形状が円形又はその変形した形状
であり、その内部が球面又は略球面である凹部と
から構成されており、かつ該平滑面と該凹部とが
交わる部分の曲率半径が小さいことを特徴とする
人工血管に関する。
本発明の人工血管の血液との接触面における平
滑面は、血管内において血流を円滑にすることに
資する部分である。かかる平滑面は、例えば走査
型電子顕微鏡で2000〜5000倍に拡大して観察した
場合に滑らかに見えるような面である。具体的に
は、その表面粗さが血小板の直径(2〜3μm)
の1/10未満であり、好ましくは0.1μm以下であ
り、さらに好ましくは0.05μm以下である。平滑
面の全面又はその一部の表面粗さがあまり大きす
ぎる場合には、血液の円滑な流れが阻害されて血
液の停滞が生じる結果、平滑面上に血小板が付着
して、これが急速な血栓形成の原因になるために
好ましくない。
また、血液接触面に均一に分散して存在する凹
部は、この部分で血流のよどみを積極的に起こす
ことによつて、血液中に含有されている可溶性の
フイブリノーゲンを不溶性のフイブリン変化させ
ると共に、血小板を該凹部に付着させ、凝集させ
ることにより、フイブリンの繊維網を生成・生長
させることに資する部分である。
かかる凹部の開口部の形状は、円形又はその変
形した形、例えば、卵円形もしくは楕円形であり
又はこれらが変形した形でもよい。また、凹部の
内部の形状は、球面又はこれに類似の曲面であ
る。この開口部の大きさは、上記のとおり少なく
とも血小板が侵入できる大きさが必要であること
から、少なくとも3μm以上であり、好ましくは
5〜100μmであり、さらに好ましくは10〜50μm
である。この開口部の大きさがあまり大きすぎる
場合には、適度な血流のよどみを起こすことが困
難になる。
凹部の深さは、5〜100μmであり、好ましく
は5〜50μmである。深さが5μm未満の場合に
は、血小板の侵入が困難になり、100μmを超え
る場合は、フイブリン繊維網の生長が阻害され
る。
かかる凹部には、その内部表面にさらに1〜2
個の陥没部分が存在しても差し支えなく、該陥没
部分にさらに陥没部分が存在していてもよいが、
このような場合でも平滑面から最深部までが
200μm以内であることが好ましい。この深さが
200μmを超える場合には、石灰化現象が発現す
ることがある。
本発明の人工血管の血液接触面においては、上
記の平滑面と凹部が混在しているが、この場合に
平滑面と凹部とが交わる部分の曲率半径が小さい
ことが必要である。この関係を図に基づいて説明
する。なお、図は、本発明の人工血管を直径方向
(又は長さ方向)に切断した場合の部分的な断面
図である。すなわち、平滑面1と凹部2とが交わ
る部分の曲率半径Rが、凹部2の平均直径Dより
小さいことが必要であり、好ましくはRが1/
20D未満である。かかる曲率半径があまり大きす
ぎる場合には、血流の適度なよどみを生じさせる
ことが困難になるために好ましくない。
また、人工血管の血液接触部における平滑面の
面積と凹部の開口部の面積との割合は特に制限さ
れるものではないが、凹部の開口部の面積が小さ
い、すなわち凹部の数が少ない場合には、血流の
適度なよどみを生じる箇所が少なくなることか
ら、フイブリン繊維網の形成が著しく遅れ、これ
が血栓の生成の要因ともなるので好ましくない。
したがつて、人工血管の血液接触部において平滑
面の総面積Aと凹部の開口部の総面積Bとが、次
式; 0.1≦B/A+B≦0.9 で示される関係を充足していることが好ましい。
かかる構造を有する本発明の人工血管の構成材
料としては、血液や組織との適合性に優れた物
質、即ち急性及び慢性の毒性、発熱性、溶血性を
持たず、長期に亘つて移植しても周囲の組織に炎
症を惹起しないポリマーが好ましい。このような
ポリマーとしては、例えばポリハロゲン化ビニ
ル、ポリスチレン及びその誘導体、ポリオレフイ
ン系重合体、ポリエステル系縮合体、セルロース
系高分子、ポリウレタン系高分子、ポリスルホン
系樹脂、ポリアミド系高分子などが挙げられる。
勿論これらを相互に含む共重合体や混合物でもよ
い。力学的性質や生体内での安定性、更に、抗血
栓性の面から見て、これらの中で好ましいのは、
ポリウレタン系のものである。その具体例として
は、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、これら
とシリコーンポリマーとのブレンド物又は相互侵
入網目構造を有するものが挙げられる。また、こ
れらには、セグメント化ポリウレタン又はポリウ
レタンウレア、主鎖中にポリジメチルシロキサン
を含むもの、ハード、ソフトセグメントにフツ素
を含むものを包含する。生分解を受けにくいとい
う点で、ポリエーテル型のポリウレタン又はポリ
ウレタンウレアがポリエステル型よりも好まし
い。
前期ポリウレタン等のポリエーテルセグメント
を構成するポリエーテルとしてはポリテトラメチ
レンオキシドが最も好ましいが、その他のポリア
ルキレンオキシド(但しアルキレンの炭素数は2
及び/又は3)も好ましい。かかるポリアルキレ
ンオキシドの具体例としては、ポリエチレンオキ
シド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシ
ドープロピレンオキシド共重合体又はブロツク共
重合体が挙げられる。また同一主鎖中にポリテト
ラメチレンオキシドセグメントとポリアルキレン
オキシド(但しアルキレンの炭素数は2及び/又
は3)とを含む親水性と力学的特性とを兼ねそな
えたポリウレタンを用いてもよい。このポリウレ
タンは抗血栓性、生体適合性が群を抜いて優れて
いることから本発明の人工血管の構成材料として
はより好ましいものである。
これらのソフトセグメントを形成するポリエー
テルの分子量は通常400〜3000の範囲であり、好
ましくは450〜2500、更に好ましくは500〜2500の
範囲であり、中でも最も優れたポリエーテルセグ
メントは分子量800〜2500、特に分子量1300〜
2000のポリテトラメチレンオキシド鎖である。こ
のポリエーテルソフトセグメントの分子量が3000
を超えると、ポリウレタン人工血管の機械的性質
が劣悪となり、400未満では人工血管として成形
しても固すぎて使用できない。
ポリウレタンの合成は、両末端水酸基の上述の
ポリエーテルを、4,4′−ジフエニルメタンジイ
ソシアネート、トルイジンジイソシアネート、
4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネートなど公知の
ポリウレタン合成に用いるジイソシアネートと反
応させて末端イソシアネートのプレポリマーをつ
くり、これをエチレンジアミン、プロピレンジア
ミン、テトラメチレンジアミンなどのジアミン
や、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオールのようなジオールで鎖延長す
る常法を用いて合成してもよい。
次に、構成材料として上記のポリウレタンを用
いた場合を例にとり、本発明の人工血管の製造方
法について説明する。
まず、ポリウレタンをジメチルホルムアミド又
はジメチルアセトアミドとテトラヒドロフランと
の混合溶媒に、ポリウレタン濃度が15〜25重量%
になるように溶解させる。このポリウレタン濃度
は、用いるポリウレタンの分子量に応じて調整す
べき値であるが、通常は前記濃度に調整すれば充
分である。しかしながら、より目的に合致した人
工血管を得るためには、人工血管の成形温度を20
〜40℃に設定した場合の粘度が50〜300ポイズに
なるようにポリウレタン濃度を調整することが好
ましい。ポリウレタンの濃度があまり低すぎる場
合には、人工血管の成形が著しく困難になる。ま
た、ポリウレタンの濃度があまり高すぎる場合に
は、人工血管の内壁面に存在する凹部の総面積
の、全体に占める割合が少なくなるために本発明
の目的を達成する上で好ましくない。
ポリウレタンを溶解させる際に用いるジメチル
ホルムアミド又はジメチルアセトアミドとテトラ
ヒドロフランとの割合は、ジメチルホルムアミド
又はジメチルアセトアミドとテトラヒドロフラン
との重量比で、3:2〜1:2が好ましい。ジメ
チルホルムアミド又はジメチルアセトアミドの含
有割合があまり多すぎる場合には、人工血管の内
壁面に存在する凹部の総面積の全体に占める割合
が少なくなる。また、テトラヒドロフランの含有
割合があまり多すぎる場合には、人工血管が固く
なりすぎるために、使用時において例えば縫合針
の通りが悪くなるだけでなく、曲げた場合に折れ
る現象、すなわちキンキング現象が生じ易くな
る。
次いで、上記のポリウレタン溶液を、円形のオ
リフイスから断面が円形で、かつ該オリフイスと
同中心に位置する剛体の芯棒により押し出すこと
により、該オリフイスと該芯棒との間隙スリツト
よりポリウレタン溶液を該芯棒の全周表面に付着
させる。その後、このようにしてポリウレタン溶
液が付着された芯棒を直接又は適当な乾式工程を
経由させたのち凝固浴に導き、不着したポリウレ
タンを凝固させる。すなわち、かかる凝固処理に
おいては、円形のオリフイスと芯棒との間隙スリ
ツトから吐出されるポリウレタン溶液が付着した
芯棒をそのまま水系凝固浴中に導入する湿式凝固
と、乾式工程を経由したのち水系凝固浴に導入す
る乾湿式凝固のいずれの方法も適用可能である。
凝固処理を施し、充分に芯棒に付着したポリウレ
タンを凝固せしめたのち、該芯棒を抜き取り、洗
浄し、乾燥することによつて、本発明の人工血管
を得ることができる。なお、ここで用いる剛体の
芯棒は、ステンレススチール製や鋼製の棒を表面
粗さが平均で0.5μm以下になるように充分研磨し
たのち、クロムメツキしたものが好ましい(ただ
し、クロムメツキ後の表面粗さも0.5μm以下であ
る)。かかる芯棒の表面粗さが大きい場合や芯棒
の表面粗さが部分的に異なる場合には、得られる
人工血管の口径に部分的なばらつきが生じるため
に好ましくない。
このようにして、血液との接触部分が平滑面と
凹部とから構成されている本発明の人工血管を得
ることができる。本発明の人工血管は、優れた長
期開存性を有しているが、以下においてその特性
を発揮するに到る作用機構について説明する。
本発明の人工血管を生体内の血管の一部として
移植した場合には、該人工血管の内壁面の凹部に
おいて、速やかに血流のよどみが生じて、数個〜
数十個の血小板が凹部に浸入して、その内表面に
付着し、その一部は凝集し、これと同時に凹部に
滞留しているフイブリノーゲンをフイブリンの繊
維に変化させ、生長させる。なお、この凹部に
は、赤血球のような大きな血球は存在することが
ない。また、該フイブリンの繊維は、経時的に生
長していき、まず、凹部の開口部が網を張るよう
にして閉塞され、次いで、各凹部で形成されたフ
イブリン繊維が相互に連結してフイブリン繊維網
が形成され、やがて人工血管の内壁面に平滑なフ
イブリン繊維のネツトワークからなる薄い層が形
成される。このようにして人工血管の内壁面に形
成された該薄層には、大きな血球、特に赤血球は
捕捉されることが少なく、該薄層は極めて緩やか
にその厚さを増加させて行き、最終的に人工血管
の内壁面に生体血管の内膜と類似のいわゆる偽内
膜が形成される。かかる偽内膜の形成速度は一概
には言うことはできないが、ポリウレタンを構成
材料とする内径4.5mmの人工血管の場合には、犬
腹部大動脈に移植後、約4ケ月経過後において僅
か10μm程度であり、その時点で人工血管と生体
血管の吻合部分には内皮の生長が認められるよう
になる。このように本発明の人工血管は、移植
後、緩かな速度で該人工血管の内壁面に生体血管
の内膜と類似の偽内膜が形成されることにより、
長期間に亘つて優れた開存性を維持することがで
きる。
[実施例] 以下、実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説
明する。なお、以下において「%」は全て「重量
%」を表す。
実施例 1 分子量1500の両末端が水酸基のポリテトラメチ
レングリコールを4,4′−ジフエニルメタンジイ
ソシアネートと反応させて両末端がイソシアネー
ト基のプレポリマーを得た。次いで、該プレポリ
マーにブタンジオールを反応させてポリウレタン
(平均分子量1.2×104)を得た。得られたポリウ
レタンは、テトラヒドロフラン−エタノール系の
混合溶剤中で計3回再沈澱をさせ、精製した。次
いで、精製したポリウレタンを、ジメチルアセト
アミド60%とテトラヒドロフラン40%の混合溶剤
に溶解させて、ポリウレタン濃度が17%の溶液を
製造した。次いで、直径6mmのオリフイスから該
オリフイスと同中心になるように設置された外径
4mmで、表面粗さが平均で0.3μmのクロムメツキ
されたステンレススチール製の棒によつて、上記
のようにして得たポリウレタン溶液を、一定速度
で押し出した。かかる操作により、オリフイスと
ステンレススチール製の棒との間の均一な距離の
間隙から該棒の全周表面に均一な量のポリウレタ
ン溶液を付着させた。押し出された棒を直ちに35
℃の水中に導き、外部から急激に凝固させた。そ
の後、そのまま水中で保持して溶剤を除去したの
ち、水中から引き上げ、棒を抜き出し、洗浄し、
約40℃で乾燥し、人工血管を得た。この人工血管
は、内径が4mmであり、その内壁面には平滑面と
凹部が混在していること(凹部の占有割合35%)
を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認した。凹部
の開口部の形状は、円形、卵円形、楕円形及びこ
れらの変形した形であり、その内部はほぼ球面で
あり、また該凹部の一部には、その内部さらに微
細な孔が認められた。凹部の開口部の最大径は約
40μm以下であり、10〜20μmの径のものが多か
つた。凹部の深さはほとんどのものが5〜20μm
であつた。また、平滑面をSEMを用い104倍に拡
大して観察したところ、やはり平滑であり、表面
粗さは0.1μm未満であつた。さらに、人工血管を
直径方向に切断した断面をSEMを用い1000倍の
倍率で観察したところ、平滑面と凹部とが交わる
部分の曲率半径には、0.5μm以上のものはなかつ
た。
このようにして得られた人工血管を3.5cmの長
さに切断したものを、いずれも体重が約6Kgの計
5匹の犬の腹部大動脈に移植した。その後、1週
間、1ケ月、3ケ月、6ケ月及び1年経過後に該
人工血管を順次摘出してそれぞれについてSEM
による観察を行つた。その結果、1週間経過後の
人工血管の場合には、凹部にのみ血小板が性着・
変形し、その一部は凝集を起こしており、部分的
にフイブリンが認められた。また、平滑面には血
小板は付着していなかつた。1ケ月経過後の場合
には、フイブリン繊維が発達し、凹部の開口部に
網を張つたようになつているのが認められた。ま
た、平滑面及びフイブリン繊維のいずれにも赤血
球の付着は認められなかつた。3ケ月経過後の場
合には、内壁面全体が網状構造のフイブリン繊維
で薄く(約10μm)覆われているのが認められ
た。6ケ月経過後の場合には、生体血管との吻合
部に内皮細胞の生長が認められた。1年経過後の
場合には、内壁面全体が均一な厚さ(200μm)
の内皮で被覆されており、また赤色の血栓は全く
認められなかつた。
実施例 2 実施例1で製造したポリウレタンを用い、これ
をジメチルアセトアミド35%及びテトラヒドロフ
ラン65%の混合溶剤に溶解させてポリウレタン濃
度25%の溶液を調製した。このポリウレタン溶液
を用い、実施例1と同様にして人工血管を製造し
た。得られた人工血管は、内径が4mmであり、そ
の内壁面には平滑面と凹部が混在している(凹部
の占有割合85%)ことを確認した。また、該凹部
の開口部の最大径は15μm以下であつた。
得られた人工血管を3cmに切断したものを、成
犬の腹部大動脈に移植した場合には、1年経過後
においても生体血管と同程度の血流が維持されて
いた。また、逆行性血管造影法により観察した場
合も異常は全く認められなかつた。
実施例 3 分子量1890の両末端が水酸基のポリテトラメチ
レングリコールと4,4′−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネートとを反応させて両末端がイソ
シアネート基のプレポリマーを得た。次いで、該
プレポリマーにエチレンジアミンを反応させてポ
リウレタンウレア(平均分子量1×104)を得た。
得られたポリウレタンウレアはジメチルホルムア
ミド−エタノール系の混合溶媒中で計3回再沈澱
させて精製した。次いで、精製したポリウレタン
ウレアをジメチルホルムアミドとテトラヒドロフ
ランの2:1の混合溶媒に溶解させ、ポリウレタ
ンウレア濃度20%の溶液を調製した。この溶液を
用い、実施例1と同様にして人工血管を製造し
た。得られた人工血管は、実施例2で得られた人
工血管とほぼ同様の内部構造を有していた。
このようにして得られた人工血管を3.5cmの長
さに切断したものを、犬の腹部大動脈に移植して
6ケ月経過後に摘出したが、この場合にも赤色の
血栓は全く見られなかつた。
比較例 1 実施例1で製造したポリウレタンをジメチルホ
ルムアミドに溶解させ、ポリウレタン濃度26%の
ジメチルホルムアミド溶液を調製した。この溶液
を用い、実施例1と同様にして内径4mmの人工血
管を製造した。得られた人工血管の内壁面には、
波状の3〜5μmの凹凸があり、一部に2μm以下
の径を有する孔が認められた。
得られた人工血管を3.5cmの長さに切断したも
のを、犬の腹部大動脈に移植したのち、逆行性血
管造影法で経時変化を観察したところ、2ケ月経
過後に大動脈との吻合部分に肉芽の過剰形成が認
められ、3ケ月経過後には血流が停止した。
比較例 2 実施例1で製造したポリウレタンと実施例3で
製造したポリウレタンウレアとを等量ずつ含有す
る濃度14%のジメチルアセトアミドとテトラヒド
ロフランの1:3の混合溶媒の溶液を調製した。
次いで、この溶液を用い、実施例1と同様にして
人工血管を製造した。得られた人工血管の内壁面
をSEMで観察したところ、内壁面全体に占める
平滑面の面積の割合は約5%しかなく、他の部分
は最大径が70μm以下の孔が認められた。
このようにして得られた人工血管は、その壁膜
が極めて硬く、7〜0の縫合針では吻合が困難で
あることから、実用性に乏しかつた。
比較例 3 実施例1で製造した人工血管を、室温下、ジメ
チルアセトアミドの60%水溶液に1時間浸漬した
のち、充分に水洗して付着したジメチルアセトア
ミドを除去したのち、乾燥させた。この人工血管
をSEMで観察したところ、平滑面と凹部とが交
わる部分は約2〜4μmの径の緩曲面であつた。
なお、他の構造については変化は認められなかつ
た。
かかる人工血管を、犬の腹部大動脈に移植した
のち、逆行性血管造影法により経時的に血流を観
察したところ、2週間で血管の狭窄が認められ、
これを摘出して観察したところ血管内には多量の
赤色の血栓が生成していた。
[発明の効果] 以上説明したとおり、本発明の人工血管は、血
液との接触面が平滑面と凹部とが所定の状態で混
在した特定の構造を有していることから、移植初
期における急速な血栓塊の生成と生長を抑制する
ことができ、また内皮の生着に適したフイブリン
繊維網を緩かに形成して、最終的に生体血管の内
部構造に類似の構造を形成することができる。し
たがつて、本発明の人工血管は、生体内に移植し
た場合にも、凝血による血管の閉塞の問題や生体
血管との吻合部にパヌスやステノシスが発生する
という問題が生じることがなく、長期間に亘つて
優れた血管の開存性を維持することができる。ま
た、本発明の人工血管は、従来は実用化されてい
なかつた口径4mm以下の小口径の人工血管として
使用した場合でも、優れた長期開存性を維持でき
ることから、例えば従来は専ら伏在静脈を使用し
ていた冠状動脈バイパス手術において、該伏在静
脈の代用物としても充分に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
添付図面は本発明の実施例を示す人工血管断面
における顕微鏡写真からの模写図で、第1図は人
工血管全体の断面図、第2図はその内壁面(血液
接触面)の拡大部分断面図及び第3図は外壁面の
拡大部分断面図である。第4図は内壁面の形状の
模式図である。 1……内壁面の平滑面、2……内壁面の凹部、
3……内壁面領域、4……巨大空孔、5……外壁
面領域。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 血液と接触する面が、平滑面と、該血液と接
    触する面に均一に分散した状態で存在している開
    口部の大きさが5μm〜100μmであり、その形状
    が円形又はその変形した形状であり、そしてその
    内部が球面又は略球面である独立した凹部とから
    構成されており、かつ該平滑面と該凹部とが交わ
    る部分の曲率半径が該凹部の平均直径より小さい
    ことを特徴とする人工血管。 2 平滑面と凹部とが交わる部分の曲率半径が、
    該凹部平均直径の1/20未満であり、かつ平滑面の
    総面積Aと凹部の開口部の総面積Bが、次式; 0.1≦B/A+B≦0.9 で示される関係を有している特許請求の範囲第1
    項記載の人工血管。 3 人工血管がポリウレタン及び/又はポリウレ
    タンウレアから構成されている特許請求の範囲第
    1項又は第2項記載の人工血管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS60188164A (ja) * 1984-03-07 1985-09-25 鐘淵化学工業株式会社 人工血管
JPS61238238A (ja) * 1985-04-15 1986-10-23 鐘淵化学工業株式会社 人工血管の製造方法

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