JPH059374B2 - - Google Patents
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- JPH059374B2 JPH059374B2 JP63232722A JP23272288A JPH059374B2 JP H059374 B2 JPH059374 B2 JP H059374B2 JP 63232722 A JP63232722 A JP 63232722A JP 23272288 A JP23272288 A JP 23272288A JP H059374 B2 JPH059374 B2 JP H059374B2
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- acid
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- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
Description
イ 発明の目的
産業上の利用分野
本発明は新しい無機機能材料として、イオン交
換体、イオンセンサーや固体電解質などに利用さ
れる。本発明品は基本的な材料であり、特にリチ
ウムに対して高い選択性を持つことから、海水、
かん水、地熱水などからのリチウムの採取に利用
されるほか、金属精錬、原子力方面等に幅広い応
用がある。 従来の技術 本発明者らによつてアンチモン酸には種々の型
が存在することを明かにした(Bull.Chem.Soc.
Jpn.41、333(1968)。これは出発原料によらず合
成条件を制御することによつて無定形、ガラス状
(本発明者による特許899428)および結晶性(本
発明者による特許599151)のアンチモン酸が合成
できること明かにした。これらのアンチモン酸は
選択性に優れたイオン交換体、固体電解質、湿度
センサーなどの応用が期待されている。特に結晶
性アンチモン酸はアルカリ金属の分離(本発明者
による特許722451)に優れているほかナトリカ
ム、カルシウム、カドミウム、鉛などに対して特
異的な選択性を示す。この結晶性アンチモン酸は
面心立方格子で、その格子定数が10.38Åである
Fd3mの空間群に属する結晶構造をもち、化学組
成式はSb2O5・4H2Oで示される。この結晶性ア
ンチモン酸はリチウムイオンを殆ど吸着せず、ナ
トリウムイオンに対して極めて高い選択性を持
つ。 発明が解決しようとする課題 本発明は機能性が高く、かつ高選択性のイオン
交換材料を合成し、さらにリチウムに対して特有
な選択性をもつ交換体の合成を検討し、その有用
性をその課題としている。 一方、リチウムはリチウムグリース、合金、セ
ラミツクスなどに使用されているほか電池材料と
しても注目されている。とくに、将来の核融合材
料として重要であり海水などからの採取が検討さ
れている。これらの高度技術において要求されて
いるのは高純度リチウムであり、この精製は困難
である。また、わが国はリチウム資源に乏しく、
ほとんど輸入によつて賄われている。一般にリチ
ウムは多量のアルカリ金属やアルカリ土金属にと
もなつて存在する。特に、リチウムはその性質が
ナトリウムに似ているためそれらの相互分離は困
難な技術の一つである。 一般に、多量のリチウムイオンを他のアルカリ
金属塩から分離する場合、溶解度の差を利用した
再結晶法が用いられている。しかしながら、微量
のリチウムを多量の成分から分離したり、また微
量の他の成分を除いて高純度製品をう得るために
はイオン交換法や吸着法を用いることが有利であ
る。前記の結晶性アンチモン酸はリチウムと他の
アルカリ金属との分離能は優れているが、微量の
リチウムを多量の他のアルカリ金属から分離する
には適していない。それはリチウムの分布係数が
著しく小さいためである。 近年、我国では海水、かん水やなどからリチウ
ムやモリブデンなどの有用金属の回収が、また、
最近では地熱発電などで副成する熱水中からのリ
チウムの採取が緊急の課題である。これらの中に
存在するリチウムは微量であり、同時に他のアル
カリ金属を多量に共存しているため、従来のイオ
ン交換樹脂を用いては不可能に近い。 いま、選択性の隣あつた微量アルカリ金属イオ
ンの分離係数α(A/B)を次のように定義する。 α(A/B) =(Aイオンの分布係数/Bイオン分布係数) 強酸性陽イオン交換樹脂における隣接イオンの
分離係数は小さく、α(Na/Li)=1.2、α(K/
Li)=2.4、α(Cs/Li)=14である。イオンクロマ
トグラフイーで見られるように微量金属イオン同
志の分離は理論段数を増加することによつて可能
であるが、海水やかん水のように多量のナトリウ
ムやカリウムの存在する溶液中の微量リチウムを
選択的に吸着分離することは不可能に近い。この
ような目的に対してより選択性の優れた交換体と
効果的分離法が要求されている。すでに、含水酸
化アルミニウムによるリチウムの吸着、強酸性陽
イオン交換樹脂IR−120Bとキレート樹脂を用い
る方法(特開昭51−146308)や溶媒抽出が報告さ
れているが、工業的なリチウム採取にはほど遠
い。 近年、アンチモン酸チタンやアンチモン酸スズ
がリチウムイオンに対して極めて高選択性がある
ことを見いだし、海水中など多量のアルカリ金属
やアルカリ土金属イオンが共存する溶液から選択
的にリチウムを分離濃縮する方法を見いだした
(本発明者らの特1352989)。また、λ型二酸化マ
ンガンもリチウムイオンに対して高選択性を示す
ことが報告されている(加藤ら、化学と工業39、
342(1986))。しかしながら、アンチモン酸チタン
やスズの交換容量は比較的小さく、より大きな交
換容量が要求される。λ型二酸化マンガンは微粉
末状として得られ、そのままカラムとして使用で
きず、担体に担持させることによつてカラムとし
て使用できる。また、λ型二酸化マンガンはリチ
ウムの吸脱着に伴つて、酸化・還元反応が起こ
り、Mn()がMn()に還元されるために、
元のλ型二酸化マンガンに戻すためには臭素など
によつて酸化することが必要(J.Solid State
Chem.、39、142(1981))であるなどの問題点が
ある。 ロ 発明の構成 無機イオン交換体の選択性や固体電解質の性質
はその結晶構造に依存することが知られている。 本発明者らは新しい構造をもつ交換体の合成法
を検討した結果、いままでに合成されたことのな
い新しい構造を持つ単斜晶系のアンチモン酸の合
成に成功した。 すなわち「アンチモン酸リチウムまたはヘキサ
ヒドロキソアンチモン酸()リチウム−LiSb
(OH)6を750−1000℃に加熱して得られた三酸化
アンチモンリチウムを1−14モル/立の硝酸、硫
酸などの鉱酸溶液で常温から80℃で処理すること
によつて単斜晶系アンチモン酸を合成することが
できた」。 また、本発明者らは上記の単斜晶系アンチモン
酸を用いてリチウムに対しての選択性を検討した
結果、「この水素イオン形単斜晶系アンチモン酸
イオン交換体およびそれを加熱処理したものはリ
チウムイオンに対して極めて高選択性を示すこと
を見いだし、他のアルカリ金属やアルカリ土金属
イオンからの効果的分離法を確立した」。 出発原料のアンチモン酸リチウムは5塩化アン
チモンを加水分解した後、それと当量またはそれ
以上の水酸化リチウムを添加すると初め無定形の
沈殿が得られるが熟成によつて六方晶系の構造を
もつヘキサヒドロキソアンチモン酸()リチウ
ムLiSb(OH)6に変わる。水酸化リチウムがアン
チモン酸に対して当量以上あれば、原料のアンチ
モン酸リチウムは無定形でもヘキサヒドロキソア
ンチモン酸()リチウムでも良く、五塩化アン
チモンの代わりに金属アンチモンや三酸化二アン
チモンを王水に溶解しても、また可溶性のアンチ
モン酸塩を水素イオン形の陽イオン交換体に通し
て得られたアンチモン酸水溶液でもよい。さらに
ヘキサヒドロキソアンチモン酸()カリウムに
塩化リチウムを加えてもアンチモン酸リチウムが
えられる。得られた沈殿を水洗後、加熱すること
によつて斜方晶系の三酸化アンチモンリチウムが
得られる。 斜方晶系の三酸化アンチモンリチウムは三酸化
二アンチモンと炭酸リチウムを混合し900℃で加
熱しても得られるが、このものは微細粒子であり
カラム操作に適しているとはいえない。しかしな
がら、アンチモン酸リチウムやヘキサヒドロキソ
アンチモン酸()カリウムから得られた斜方晶
系三酸化アンチモンリチウムは粒状であるため担
体を加えることなしにカラムに使用できる利点が
ある。 斜方晶系三酸化アンチモンリチウムに硝酸、硫
酸などの鉱酸溶液で常温から80℃の温度範囲で処
理することによつて、三酸化アンチモンリチウム
中のリチウムは水素イオンとイオン交換し、結晶
構造が僅かに変化した単斜晶系のアンチモン酸
HSbO3になる。この交換反応は比較的遅く80℃
程度の高温が有利であるが塩酸では交換体の溶解
が増大するので若干希薄で低温のほうが有利であ
る。 得られた単斜晶系アンチモン酸の粉末X−線回
折の諸数値を第1表に示した。第1表中、第1欄
のhklはミラー指数、第2欄のdpbs(Å)は両間隔
の測定値、第3欄のdcalは格子定数がa=8.676
Å、b=4.752Å、c=5.263Å、β=90.75゜とし
た時の面間隔の計算値、第4欄のI/I0は回折強
度を示す。 斜方晶系三酸化アンチモンリチウムおよび単斜
晶系のアンチモン酸のX−線回折図形を第1図に
示した。第1図からわかるように両者の基本的な
構造は同じであるがリチウムイオンを水素イオン
に変えることによつて斜方晶系の角が90゜から
90.75゜に僅かに変化したために単斜晶系になつた
ものと考えられ
換体、イオンセンサーや固体電解質などに利用さ
れる。本発明品は基本的な材料であり、特にリチ
ウムに対して高い選択性を持つことから、海水、
かん水、地熱水などからのリチウムの採取に利用
されるほか、金属精錬、原子力方面等に幅広い応
用がある。 従来の技術 本発明者らによつてアンチモン酸には種々の型
が存在することを明かにした(Bull.Chem.Soc.
Jpn.41、333(1968)。これは出発原料によらず合
成条件を制御することによつて無定形、ガラス状
(本発明者による特許899428)および結晶性(本
発明者による特許599151)のアンチモン酸が合成
できること明かにした。これらのアンチモン酸は
選択性に優れたイオン交換体、固体電解質、湿度
センサーなどの応用が期待されている。特に結晶
性アンチモン酸はアルカリ金属の分離(本発明者
による特許722451)に優れているほかナトリカ
ム、カルシウム、カドミウム、鉛などに対して特
異的な選択性を示す。この結晶性アンチモン酸は
面心立方格子で、その格子定数が10.38Åである
Fd3mの空間群に属する結晶構造をもち、化学組
成式はSb2O5・4H2Oで示される。この結晶性ア
ンチモン酸はリチウムイオンを殆ど吸着せず、ナ
トリウムイオンに対して極めて高い選択性を持
つ。 発明が解決しようとする課題 本発明は機能性が高く、かつ高選択性のイオン
交換材料を合成し、さらにリチウムに対して特有
な選択性をもつ交換体の合成を検討し、その有用
性をその課題としている。 一方、リチウムはリチウムグリース、合金、セ
ラミツクスなどに使用されているほか電池材料と
しても注目されている。とくに、将来の核融合材
料として重要であり海水などからの採取が検討さ
れている。これらの高度技術において要求されて
いるのは高純度リチウムであり、この精製は困難
である。また、わが国はリチウム資源に乏しく、
ほとんど輸入によつて賄われている。一般にリチ
ウムは多量のアルカリ金属やアルカリ土金属にと
もなつて存在する。特に、リチウムはその性質が
ナトリウムに似ているためそれらの相互分離は困
難な技術の一つである。 一般に、多量のリチウムイオンを他のアルカリ
金属塩から分離する場合、溶解度の差を利用した
再結晶法が用いられている。しかしながら、微量
のリチウムを多量の成分から分離したり、また微
量の他の成分を除いて高純度製品をう得るために
はイオン交換法や吸着法を用いることが有利であ
る。前記の結晶性アンチモン酸はリチウムと他の
アルカリ金属との分離能は優れているが、微量の
リチウムを多量の他のアルカリ金属から分離する
には適していない。それはリチウムの分布係数が
著しく小さいためである。 近年、我国では海水、かん水やなどからリチウ
ムやモリブデンなどの有用金属の回収が、また、
最近では地熱発電などで副成する熱水中からのリ
チウムの採取が緊急の課題である。これらの中に
存在するリチウムは微量であり、同時に他のアル
カリ金属を多量に共存しているため、従来のイオ
ン交換樹脂を用いては不可能に近い。 いま、選択性の隣あつた微量アルカリ金属イオ
ンの分離係数α(A/B)を次のように定義する。 α(A/B) =(Aイオンの分布係数/Bイオン分布係数) 強酸性陽イオン交換樹脂における隣接イオンの
分離係数は小さく、α(Na/Li)=1.2、α(K/
Li)=2.4、α(Cs/Li)=14である。イオンクロマ
トグラフイーで見られるように微量金属イオン同
志の分離は理論段数を増加することによつて可能
であるが、海水やかん水のように多量のナトリウ
ムやカリウムの存在する溶液中の微量リチウムを
選択的に吸着分離することは不可能に近い。この
ような目的に対してより選択性の優れた交換体と
効果的分離法が要求されている。すでに、含水酸
化アルミニウムによるリチウムの吸着、強酸性陽
イオン交換樹脂IR−120Bとキレート樹脂を用い
る方法(特開昭51−146308)や溶媒抽出が報告さ
れているが、工業的なリチウム採取にはほど遠
い。 近年、アンチモン酸チタンやアンチモン酸スズ
がリチウムイオンに対して極めて高選択性がある
ことを見いだし、海水中など多量のアルカリ金属
やアルカリ土金属イオンが共存する溶液から選択
的にリチウムを分離濃縮する方法を見いだした
(本発明者らの特1352989)。また、λ型二酸化マ
ンガンもリチウムイオンに対して高選択性を示す
ことが報告されている(加藤ら、化学と工業39、
342(1986))。しかしながら、アンチモン酸チタン
やスズの交換容量は比較的小さく、より大きな交
換容量が要求される。λ型二酸化マンガンは微粉
末状として得られ、そのままカラムとして使用で
きず、担体に担持させることによつてカラムとし
て使用できる。また、λ型二酸化マンガンはリチ
ウムの吸脱着に伴つて、酸化・還元反応が起こ
り、Mn()がMn()に還元されるために、
元のλ型二酸化マンガンに戻すためには臭素など
によつて酸化することが必要(J.Solid State
Chem.、39、142(1981))であるなどの問題点が
ある。 ロ 発明の構成 無機イオン交換体の選択性や固体電解質の性質
はその結晶構造に依存することが知られている。 本発明者らは新しい構造をもつ交換体の合成法
を検討した結果、いままでに合成されたことのな
い新しい構造を持つ単斜晶系のアンチモン酸の合
成に成功した。 すなわち「アンチモン酸リチウムまたはヘキサ
ヒドロキソアンチモン酸()リチウム−LiSb
(OH)6を750−1000℃に加熱して得られた三酸化
アンチモンリチウムを1−14モル/立の硝酸、硫
酸などの鉱酸溶液で常温から80℃で処理すること
によつて単斜晶系アンチモン酸を合成することが
できた」。 また、本発明者らは上記の単斜晶系アンチモン
酸を用いてリチウムに対しての選択性を検討した
結果、「この水素イオン形単斜晶系アンチモン酸
イオン交換体およびそれを加熱処理したものはリ
チウムイオンに対して極めて高選択性を示すこと
を見いだし、他のアルカリ金属やアルカリ土金属
イオンからの効果的分離法を確立した」。 出発原料のアンチモン酸リチウムは5塩化アン
チモンを加水分解した後、それと当量またはそれ
以上の水酸化リチウムを添加すると初め無定形の
沈殿が得られるが熟成によつて六方晶系の構造を
もつヘキサヒドロキソアンチモン酸()リチウ
ムLiSb(OH)6に変わる。水酸化リチウムがアン
チモン酸に対して当量以上あれば、原料のアンチ
モン酸リチウムは無定形でもヘキサヒドロキソア
ンチモン酸()リチウムでも良く、五塩化アン
チモンの代わりに金属アンチモンや三酸化二アン
チモンを王水に溶解しても、また可溶性のアンチ
モン酸塩を水素イオン形の陽イオン交換体に通し
て得られたアンチモン酸水溶液でもよい。さらに
ヘキサヒドロキソアンチモン酸()カリウムに
塩化リチウムを加えてもアンチモン酸リチウムが
えられる。得られた沈殿を水洗後、加熱すること
によつて斜方晶系の三酸化アンチモンリチウムが
得られる。 斜方晶系の三酸化アンチモンリチウムは三酸化
二アンチモンと炭酸リチウムを混合し900℃で加
熱しても得られるが、このものは微細粒子であり
カラム操作に適しているとはいえない。しかしな
がら、アンチモン酸リチウムやヘキサヒドロキソ
アンチモン酸()カリウムから得られた斜方晶
系三酸化アンチモンリチウムは粒状であるため担
体を加えることなしにカラムに使用できる利点が
ある。 斜方晶系三酸化アンチモンリチウムに硝酸、硫
酸などの鉱酸溶液で常温から80℃の温度範囲で処
理することによつて、三酸化アンチモンリチウム
中のリチウムは水素イオンとイオン交換し、結晶
構造が僅かに変化した単斜晶系のアンチモン酸
HSbO3になる。この交換反応は比較的遅く80℃
程度の高温が有利であるが塩酸では交換体の溶解
が増大するので若干希薄で低温のほうが有利であ
る。 得られた単斜晶系アンチモン酸の粉末X−線回
折の諸数値を第1表に示した。第1表中、第1欄
のhklはミラー指数、第2欄のdpbs(Å)は両間隔
の測定値、第3欄のdcalは格子定数がa=8.676
Å、b=4.752Å、c=5.263Å、β=90.75゜とし
た時の面間隔の計算値、第4欄のI/I0は回折強
度を示す。 斜方晶系三酸化アンチモンリチウムおよび単斜
晶系のアンチモン酸のX−線回折図形を第1図に
示した。第1図からわかるように両者の基本的な
構造は同じであるがリチウムイオンを水素イオン
に変えることによつて斜方晶系の角が90゜から
90.75゜に僅かに変化したために単斜晶系になつた
ものと考えられ
【表】
【表】
た。この変化は連続的であり、結晶性リン酸ジル
コニウムに見られるような二つの相が共存して変
化する交換反応ではないことは明かであり、リチ
ウムイオンと水素イオンが固溶体を形成するイオ
ン交換反応である。得られた単斜晶系のアンチモ
ン酸にリチウム塩溶液を繰り返し注ぐことによつ
て溶液中に水素イオンを放出し、リチウムイオン
形に変わる。リチウム形のもののX−線回折図形
は斜方晶系三酸化アンチモンリチウムのそれと一
致した。このことはリチウムイオンと水素イオン
とのイオン交換反応が可逆的に行われることを示
す。従つて、単斜晶系のアンチモン酸はイオン交
換体として用いられるほか、プロトン伝導体など
に応用できると考えられる。 なお、三酸化アンチモンと炭酸リチウムを混合
し900℃で加熱しても得られた斜方晶系三酸化ア
ンチモンリチウムも硝酸や硫酸などの鉱酸と処理
することによつて単斜晶系アンチモン酸にかわる
ことは言うまでもない。 作 用 この水素イオン形の単斜晶系アンチモン酸の基
本構造は三酸化アンチモンリチウムLiSbO3のも
のと殆ど同じである。このことは水素イオン形の
単斜晶系アンチモン酸HSbO3がリチウムイオン
を占めるサイトの空間を保持していることを示唆
している。単斜晶系アンチモン酸イオン交換体の
水素イオンサイトが元あつたリチウムイオンを記
憶しており、リチウムイオンのみを選択的に交換
して三酸化アンチモンリチウムLiSbO3に変化す
る。このことは鍵と鍵穴の関係に似ており、鍵穴
と見なせる水素イオンサイトが鍵と見なせるリチ
ウムイオンを選択的に交換したことを示す(これ
をイオン記憶選択性とよぶ)。加熱によつて単斜
晶系アンチモン酸の結晶が破壊されても、その結
晶子の一部が未だ残つていれば、このイオン記憶
選択性は保たれている。 アンチモン酸はSbが高原子価で配位している
酸素数が多いために酸性度が大であり、その酸性
度は強酸性陽イオン交換樹脂に匹敵し、PHが1−
2の酸性溶液からもリチウムを吸着する(第2
図)。第2図の縦軸はみかけの交換容量を横軸は
PHを示し、記号はそれぞれのアルカリ金属イオン
を示した。これからわかるように、いずれのPHに
おいてもリチウムイオンが高い選択性を示す。
0.1M(モル/立)硝酸溶液中におけるアルカリ金
属イオンの分布係数KdA(ml/g)はそれぞれ
KdLi=200、KdNa=12、KdK=68、KdRb=38、
KdCs=20を示し、リチウムに対して高い選択性
を持つことがわかつた。それぞれの分離係数はα
(Li/Na)=17、α(Li/K)=3、α(Li/Rb)=
5.3、α(Li/Cs)=10を示し、イオン交換樹脂の
場合よりもいずれも大である。また、PHが11.5で
イオン強度0.1の溶液からの吸着容量はそれぞれ
4.40Li+meq/g、1.35Na+meq/g、
0.20K+meq/g、0.30Rb+meq/g、
0.40Cs+meq/gを示し、微量でもマクロ量でも
共にリチウムに対して高い選択性をもつことが明
かとなつた。この選択性は単斜晶系アンチモン酸
を加熱処理することによつて更に向上した。例え
ば、300℃に加熱処理したものはKdLi>104、
KdNa=68、KdK=150、KdRb=KdCs=60を示し
た。また、PHが8でイオン強度0.1の溶液からの
吸着容量はリチウムについて4.40Li meq/gを
示したのに対し、他のアルカリ金属イオンについ
はいずれも0.02meq/g以下で、アルカリ土金属
イオンでは0.03meq/g以下であつた。このこと
は海水中のリチウムの選択的濃縮分離に極めて有
用である。吸着したリチウムは硝酸や硫酸などの
鉱酸を溶離剤として容易に溶離することができ
る。従つてこの交換体は繰り返し使用することが
できる。しかしながら、単斜晶系アンチモン酸の
加熱処理を500℃以上にすると、他のアルカリ金
属やアルカリ土金属の吸着量は著しく減少する
が、リチウムに対しても吸着容量が著しく低下す
るのでそれ以上に加熱処理したものを用いるのは
実用的ではない。これらの交換体は耐熱性である
ため高温の熱水中のリチウムの選択的分離に応用
できる特徴を持つている。また、極めて耐酸・耐
アルカリであるため酸性、中性およびアルカリ性
からもリチウムを吸着できる。特に、あらゆる濃
度の硝酸溶液で安定で、温度が80℃、濃硝酸中で
も安定である。以上の諸性質を充分に活用するこ
とによつて、各種金属イオンと共存する微量リチ
ウムを選択的に吸着分離することができ、吸着し
たリチウムは硝酸や硫酸などの鉱酸を溶離剤とし
て容易に溶離することができる。この方法はリチ
ウムの分離精製や濃縮に広く応用でき、多大の応
用範囲があり、実施例にその若干例を示した。 請求項1の実施例 (1.1) 1M(モル/立)の水酸化リチウム溶液の
1200部に五塩化アンチモン20部と水20部の混合
液を加え、得られた沈澱を25℃で1日熟成し無
定形のリチウムアンチモン酸が得られる。これ
を1000部の水で2−3回洗浄した後、乾燥し
900℃で4時間加熱する。得られた三酸化アン
チモンリチウムを冷却後、バツチ法またはカラ
ム法を用いて10M硝酸溶液で処理してリチウム
イオンを水素イオンに交換させる。充分に水洗
後、得られた単斜晶系アンチモン酸を250℃以
下で乾燥すると95%以上の高収率で製品が得ら
れる。この交換容量はリチウムについて
5.4meq/gであり、理論交換容量(5.7meq/
g)に近い性能が得られ、カラム操作に適した
粒状物として得られる。 (1.2) 1M水酸化リチウム溶液1200部に五塩化ア
ンチモン20部と水20部の混合液を加え、得られ
た沈澱を80℃で1日熟成すると、ヘキサヒドロ
キソアンチモン酸()リチウムが得られる。
これを1000部の水で1−2回洗浄した後、乾燥
し1000℃で2時間加熱する。得られた三酸化ア
ンチモンリチウムを冷却後、バツチ法またはカ
ラム法を用いて13M硝酸溶液で処理してリチウ
ムイオンを水素イオンに交換させる。充分に水
洗後、得られた単斜晶系アンチモン酸を250℃
以下で乾燥すると98%以上の高収率で製品が得
られる。本発明品の性能は実施例(1.1)とほ
とんど同様であつた。 (1.3) 金属アンチモン1部を王水10部に溶解し、
1M水酸化リチウム溶液70部を加え、得られた
沈澱を60℃で2日熟成するとヘキサヒドロキソ
アンチモン酸()リチウムが得られる。これ
を100部の水で2−3回洗浄した後、乾燥し900
℃で2時間加熱する。得られた三酸化アンチモ
ンリチウムを冷却後、バツチ法またはカラム法
を用いて10M硝酸溶液で処理してリチウムイオ
ンを水素イオンに交換させる。充分に水洗後、
得られた単斜晶系アンチモン酸を250℃以下で
乾燥すると90%以上の高収率で製品が得られ
る。本発明品の性能は実施例(1.1)とほとん
ど同様であつた。 (1.4) 三酸化アンチモン1部を王水10部に溶解
し、2M水酸化リチウム溶液50部を加え、得ら
れた沈澱を60℃で2日熟成するとヘキサヒドロ
キソアンチモン酸()リチウムが得られる。
これを1000部の水で2−3回洗浄した後、乾燥
し900℃で2時間加熱する。得られた三酸化ア
ンチモンリチウムを冷却後、バツチ法またはカ
ラム法を用い常温で3M塩酸溶液で処理してリ
チウムイオンを水素イオンに交換させる。充分
に水洗後、得られた単斜晶系アンチモン酸を
250℃以下で乾燥すると90%以上の高収率で製
品が得られる。本発明品の性能は実施例(1.1)
とほとんど同様であつた。 (1.5) ヘキサヒドロキソアンチモン酸()カ
リウム1部を水20部に溶解し、1Mの塩化リチ
ウム溶液35部を加え、40℃で3日熟成するとヘ
キサヒドロキソアンチモン酸()リチウムが
得られる。これを1000部の水で1回洗浄した
後、乾燥し、900℃で2時間加熱する。得られ
た三酸化アンチモンリチウムを冷却後、バツチ
法またはカラム法を用いて3M硝酸溶液で処理
してリチウムイオンを水素イオンに交換させ
る。充分に水洗後、得られた単斜晶系アンチモ
ン酸を250℃以下で乾燥すると、90%以上の高
収率で製品が得られる。本発明品の性能は実施
例(1.1)とほとんど同様であつた。 (1.6) ヘキサヒドロキソアンチモン酸()カ
リウム1部を水20部に溶解し、その溶液を水素
イオン形強酸性陽イオン交換樹脂2部に通して
イオン交換するとアンチモン酸水溶液が得られ
る。これに当量の水酸化リチウム溶液を加える
と無定形のアンチモン酸リチウムが沈澱する。
これを乾燥し、900℃で2時間加熱する。得ら
れた三酸化アンチモンリチウムを冷却後、バツ
チ法またはカラム法を用いて、60℃で13M硝酸
溶液で処理してリチウムイオンを水素イオンに
交換させる。充分に水洗後、得られた単斜晶系
アンチモン酸を250℃以下で乾燥すると98%以
上の高収率で製品が得られる。本発明品の性能
は実施例(1.1)とほとんど同様であつた。 (1.7) 無定形アンチモン酸10部に1M水酸化リチ
ウム溶液7部を加え、60℃で3日熟成するとヘ
キサヒドロキソアンチモン酸()リチウムが
得られる。これを1000部の水で1回洗浄した
後、乾燥し900℃で2時間加熱する。得られた
三酸化アンチモンリチウムを冷却後、バツチ法
またはカラム法を用いて、80℃で3M硝酸溶液
で処理してリチウムイオンを水素イオンに交換
させる。充分に水洗後、得られた単斜晶系アン
チモン酸を250℃以下で乾燥すると98%以上の
高収率で製品が得られる。本発明品の性能は実
施例(1.1)とほとんど同様であつた。 請求項2の実施例 (2.1) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体1.0g
をバツチ法で各アルカリ金属イオンを10-4Mを
含む0.1M硝酸溶液100mlに30℃で2日間浸漬す
るとリチウムの初濃度の70%以上が吸着され、
他のアルカリ金属では30%以下であつた。上澄
液を除き、交換体に1M硝酸200mlを添加すると
吸着した95%のリチウムが回収できた。 (2.2) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体1.0g
をバツチ法でPHを11にした各アルカリ金属イオ
ンの0.1Mを含む溶液100mlに30℃で2日間浸漬
するとリチウムの初濃度の50%以上が吸着さ
れ、他のアルカリ金属では5%%以下であつ
た。上澄液を除き、交換体に0.01M硝酸200ml
を添加すると吸着した他のアルカリ金属のみが
溶出し、さらに1M硝酸200mlを添加すると吸着
したリリウムの90%以上が回収できた。 (2.3) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を200
℃に4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ法
で各アルカリ金属イオンを10-4Mを含む0.1M
硝酸溶液100mlに30℃で2日間浸漬するとリチ
ウムの初濃度の90%以上が吸着され、他のアル
カリ金属では40%以下であつた。上澄液を除
き、交換体に60℃で3M硝酸200mlを添加すると
吸着した95%のリチウムが回収できた。 (2.4) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を200
℃で4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ法
で、PHを11にした各アルカリ金属イオンの
0.1M硝酸を含む溶液100mlに30℃で2日間浸漬
すると、リチウムの初濃度の50%以上が吸着さ
れ、他のアルカリ金属では2%以下であつた。
上澄液を除き、交換体に1M塩酸300mlを添加す
ると吸着したリチウムの90%以上が回収でき
た。 (2.5) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を300
℃に4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ法
で各アルカリ金属イオンを10-4Mを含む0.1M
硝酸溶液100mlに30℃で2日間浸漬すると、リ
チウムの初濃度の99%以上が吸着され、他のア
ルカリ金属では40%以下であつた。上澄液を除
き、交換体に6M硝酸200mlを添加すると吸着し
た95%のリチウムが回収できた。 (2.6) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を
300℃に4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ
法で、PHを8にした各アルカリ金属イオンの
0.1Mを含む溶液100mlに60℃で2日間浸漬する
と、リチウムの初濃度の30%以上が吸着され、
他のアルカリ金属では1%以下であつた。上澄
液を除き、交換体に80℃で3M硝酸200mlを添加
すると吸着したリチウムの90以上が回収でき
た。 (2.7) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を
300℃に4時間加熱処理した試料0.25gをバツ
チ法で、海水5立に30℃で10日間浸漬すると、
リチウムの初濃度の95%以上が吸着され、他の
アルカリ金属では1%以下であつた。上澄液を
除き、交換体に60℃で6M硝酸200mlを添加する
と吸着したリチウムの95%以上が回収できた。 (2.8) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を300
℃に4時間加熱処理した試料1g(1.8x1cmi.
d.)をカラムに充填し、海水6立を5ml/min
の流速で連続的に通すと、海水中のリチウムの
99%以上が吸着され、それ以後は130立まで
徐々に吸着率が減少した。リチウムの貫流交換
容量は2.2meq/gであり、カラムを水洗後、
10M硝酸で溶離すると吸着したリリウムの95%
以上が回収できた。この溶出液中に存在する他
のアルカリ金属のモル数はリチウムのそれの1
%以下であつた。
コニウムに見られるような二つの相が共存して変
化する交換反応ではないことは明かであり、リチ
ウムイオンと水素イオンが固溶体を形成するイオ
ン交換反応である。得られた単斜晶系のアンチモ
ン酸にリチウム塩溶液を繰り返し注ぐことによつ
て溶液中に水素イオンを放出し、リチウムイオン
形に変わる。リチウム形のもののX−線回折図形
は斜方晶系三酸化アンチモンリチウムのそれと一
致した。このことはリチウムイオンと水素イオン
とのイオン交換反応が可逆的に行われることを示
す。従つて、単斜晶系のアンチモン酸はイオン交
換体として用いられるほか、プロトン伝導体など
に応用できると考えられる。 なお、三酸化アンチモンと炭酸リチウムを混合
し900℃で加熱しても得られた斜方晶系三酸化ア
ンチモンリチウムも硝酸や硫酸などの鉱酸と処理
することによつて単斜晶系アンチモン酸にかわる
ことは言うまでもない。 作 用 この水素イオン形の単斜晶系アンチモン酸の基
本構造は三酸化アンチモンリチウムLiSbO3のも
のと殆ど同じである。このことは水素イオン形の
単斜晶系アンチモン酸HSbO3がリチウムイオン
を占めるサイトの空間を保持していることを示唆
している。単斜晶系アンチモン酸イオン交換体の
水素イオンサイトが元あつたリチウムイオンを記
憶しており、リチウムイオンのみを選択的に交換
して三酸化アンチモンリチウムLiSbO3に変化す
る。このことは鍵と鍵穴の関係に似ており、鍵穴
と見なせる水素イオンサイトが鍵と見なせるリチ
ウムイオンを選択的に交換したことを示す(これ
をイオン記憶選択性とよぶ)。加熱によつて単斜
晶系アンチモン酸の結晶が破壊されても、その結
晶子の一部が未だ残つていれば、このイオン記憶
選択性は保たれている。 アンチモン酸はSbが高原子価で配位している
酸素数が多いために酸性度が大であり、その酸性
度は強酸性陽イオン交換樹脂に匹敵し、PHが1−
2の酸性溶液からもリチウムを吸着する(第2
図)。第2図の縦軸はみかけの交換容量を横軸は
PHを示し、記号はそれぞれのアルカリ金属イオン
を示した。これからわかるように、いずれのPHに
おいてもリチウムイオンが高い選択性を示す。
0.1M(モル/立)硝酸溶液中におけるアルカリ金
属イオンの分布係数KdA(ml/g)はそれぞれ
KdLi=200、KdNa=12、KdK=68、KdRb=38、
KdCs=20を示し、リチウムに対して高い選択性
を持つことがわかつた。それぞれの分離係数はα
(Li/Na)=17、α(Li/K)=3、α(Li/Rb)=
5.3、α(Li/Cs)=10を示し、イオン交換樹脂の
場合よりもいずれも大である。また、PHが11.5で
イオン強度0.1の溶液からの吸着容量はそれぞれ
4.40Li+meq/g、1.35Na+meq/g、
0.20K+meq/g、0.30Rb+meq/g、
0.40Cs+meq/gを示し、微量でもマクロ量でも
共にリチウムに対して高い選択性をもつことが明
かとなつた。この選択性は単斜晶系アンチモン酸
を加熱処理することによつて更に向上した。例え
ば、300℃に加熱処理したものはKdLi>104、
KdNa=68、KdK=150、KdRb=KdCs=60を示し
た。また、PHが8でイオン強度0.1の溶液からの
吸着容量はリチウムについて4.40Li meq/gを
示したのに対し、他のアルカリ金属イオンについ
はいずれも0.02meq/g以下で、アルカリ土金属
イオンでは0.03meq/g以下であつた。このこと
は海水中のリチウムの選択的濃縮分離に極めて有
用である。吸着したリチウムは硝酸や硫酸などの
鉱酸を溶離剤として容易に溶離することができ
る。従つてこの交換体は繰り返し使用することが
できる。しかしながら、単斜晶系アンチモン酸の
加熱処理を500℃以上にすると、他のアルカリ金
属やアルカリ土金属の吸着量は著しく減少する
が、リチウムに対しても吸着容量が著しく低下す
るのでそれ以上に加熱処理したものを用いるのは
実用的ではない。これらの交換体は耐熱性である
ため高温の熱水中のリチウムの選択的分離に応用
できる特徴を持つている。また、極めて耐酸・耐
アルカリであるため酸性、中性およびアルカリ性
からもリチウムを吸着できる。特に、あらゆる濃
度の硝酸溶液で安定で、温度が80℃、濃硝酸中で
も安定である。以上の諸性質を充分に活用するこ
とによつて、各種金属イオンと共存する微量リチ
ウムを選択的に吸着分離することができ、吸着し
たリチウムは硝酸や硫酸などの鉱酸を溶離剤とし
て容易に溶離することができる。この方法はリチ
ウムの分離精製や濃縮に広く応用でき、多大の応
用範囲があり、実施例にその若干例を示した。 請求項1の実施例 (1.1) 1M(モル/立)の水酸化リチウム溶液の
1200部に五塩化アンチモン20部と水20部の混合
液を加え、得られた沈澱を25℃で1日熟成し無
定形のリチウムアンチモン酸が得られる。これ
を1000部の水で2−3回洗浄した後、乾燥し
900℃で4時間加熱する。得られた三酸化アン
チモンリチウムを冷却後、バツチ法またはカラ
ム法を用いて10M硝酸溶液で処理してリチウム
イオンを水素イオンに交換させる。充分に水洗
後、得られた単斜晶系アンチモン酸を250℃以
下で乾燥すると95%以上の高収率で製品が得ら
れる。この交換容量はリチウムについて
5.4meq/gであり、理論交換容量(5.7meq/
g)に近い性能が得られ、カラム操作に適した
粒状物として得られる。 (1.2) 1M水酸化リチウム溶液1200部に五塩化ア
ンチモン20部と水20部の混合液を加え、得られ
た沈澱を80℃で1日熟成すると、ヘキサヒドロ
キソアンチモン酸()リチウムが得られる。
これを1000部の水で1−2回洗浄した後、乾燥
し1000℃で2時間加熱する。得られた三酸化ア
ンチモンリチウムを冷却後、バツチ法またはカ
ラム法を用いて13M硝酸溶液で処理してリチウ
ムイオンを水素イオンに交換させる。充分に水
洗後、得られた単斜晶系アンチモン酸を250℃
以下で乾燥すると98%以上の高収率で製品が得
られる。本発明品の性能は実施例(1.1)とほ
とんど同様であつた。 (1.3) 金属アンチモン1部を王水10部に溶解し、
1M水酸化リチウム溶液70部を加え、得られた
沈澱を60℃で2日熟成するとヘキサヒドロキソ
アンチモン酸()リチウムが得られる。これ
を100部の水で2−3回洗浄した後、乾燥し900
℃で2時間加熱する。得られた三酸化アンチモ
ンリチウムを冷却後、バツチ法またはカラム法
を用いて10M硝酸溶液で処理してリチウムイオ
ンを水素イオンに交換させる。充分に水洗後、
得られた単斜晶系アンチモン酸を250℃以下で
乾燥すると90%以上の高収率で製品が得られ
る。本発明品の性能は実施例(1.1)とほとん
ど同様であつた。 (1.4) 三酸化アンチモン1部を王水10部に溶解
し、2M水酸化リチウム溶液50部を加え、得ら
れた沈澱を60℃で2日熟成するとヘキサヒドロ
キソアンチモン酸()リチウムが得られる。
これを1000部の水で2−3回洗浄した後、乾燥
し900℃で2時間加熱する。得られた三酸化ア
ンチモンリチウムを冷却後、バツチ法またはカ
ラム法を用い常温で3M塩酸溶液で処理してリ
チウムイオンを水素イオンに交換させる。充分
に水洗後、得られた単斜晶系アンチモン酸を
250℃以下で乾燥すると90%以上の高収率で製
品が得られる。本発明品の性能は実施例(1.1)
とほとんど同様であつた。 (1.5) ヘキサヒドロキソアンチモン酸()カ
リウム1部を水20部に溶解し、1Mの塩化リチ
ウム溶液35部を加え、40℃で3日熟成するとヘ
キサヒドロキソアンチモン酸()リチウムが
得られる。これを1000部の水で1回洗浄した
後、乾燥し、900℃で2時間加熱する。得られ
た三酸化アンチモンリチウムを冷却後、バツチ
法またはカラム法を用いて3M硝酸溶液で処理
してリチウムイオンを水素イオンに交換させ
る。充分に水洗後、得られた単斜晶系アンチモ
ン酸を250℃以下で乾燥すると、90%以上の高
収率で製品が得られる。本発明品の性能は実施
例(1.1)とほとんど同様であつた。 (1.6) ヘキサヒドロキソアンチモン酸()カ
リウム1部を水20部に溶解し、その溶液を水素
イオン形強酸性陽イオン交換樹脂2部に通して
イオン交換するとアンチモン酸水溶液が得られ
る。これに当量の水酸化リチウム溶液を加える
と無定形のアンチモン酸リチウムが沈澱する。
これを乾燥し、900℃で2時間加熱する。得ら
れた三酸化アンチモンリチウムを冷却後、バツ
チ法またはカラム法を用いて、60℃で13M硝酸
溶液で処理してリチウムイオンを水素イオンに
交換させる。充分に水洗後、得られた単斜晶系
アンチモン酸を250℃以下で乾燥すると98%以
上の高収率で製品が得られる。本発明品の性能
は実施例(1.1)とほとんど同様であつた。 (1.7) 無定形アンチモン酸10部に1M水酸化リチ
ウム溶液7部を加え、60℃で3日熟成するとヘ
キサヒドロキソアンチモン酸()リチウムが
得られる。これを1000部の水で1回洗浄した
後、乾燥し900℃で2時間加熱する。得られた
三酸化アンチモンリチウムを冷却後、バツチ法
またはカラム法を用いて、80℃で3M硝酸溶液
で処理してリチウムイオンを水素イオンに交換
させる。充分に水洗後、得られた単斜晶系アン
チモン酸を250℃以下で乾燥すると98%以上の
高収率で製品が得られる。本発明品の性能は実
施例(1.1)とほとんど同様であつた。 請求項2の実施例 (2.1) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体1.0g
をバツチ法で各アルカリ金属イオンを10-4Mを
含む0.1M硝酸溶液100mlに30℃で2日間浸漬す
るとリチウムの初濃度の70%以上が吸着され、
他のアルカリ金属では30%以下であつた。上澄
液を除き、交換体に1M硝酸200mlを添加すると
吸着した95%のリチウムが回収できた。 (2.2) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体1.0g
をバツチ法でPHを11にした各アルカリ金属イオ
ンの0.1Mを含む溶液100mlに30℃で2日間浸漬
するとリチウムの初濃度の50%以上が吸着さ
れ、他のアルカリ金属では5%%以下であつ
た。上澄液を除き、交換体に0.01M硝酸200ml
を添加すると吸着した他のアルカリ金属のみが
溶出し、さらに1M硝酸200mlを添加すると吸着
したリリウムの90%以上が回収できた。 (2.3) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を200
℃に4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ法
で各アルカリ金属イオンを10-4Mを含む0.1M
硝酸溶液100mlに30℃で2日間浸漬するとリチ
ウムの初濃度の90%以上が吸着され、他のアル
カリ金属では40%以下であつた。上澄液を除
き、交換体に60℃で3M硝酸200mlを添加すると
吸着した95%のリチウムが回収できた。 (2.4) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を200
℃で4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ法
で、PHを11にした各アルカリ金属イオンの
0.1M硝酸を含む溶液100mlに30℃で2日間浸漬
すると、リチウムの初濃度の50%以上が吸着さ
れ、他のアルカリ金属では2%以下であつた。
上澄液を除き、交換体に1M塩酸300mlを添加す
ると吸着したリチウムの90%以上が回収でき
た。 (2.5) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を300
℃に4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ法
で各アルカリ金属イオンを10-4Mを含む0.1M
硝酸溶液100mlに30℃で2日間浸漬すると、リ
チウムの初濃度の99%以上が吸着され、他のア
ルカリ金属では40%以下であつた。上澄液を除
き、交換体に6M硝酸200mlを添加すると吸着し
た95%のリチウムが回収できた。 (2.6) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を
300℃に4時間加熱処理した試料1.0gをバツチ
法で、PHを8にした各アルカリ金属イオンの
0.1Mを含む溶液100mlに60℃で2日間浸漬する
と、リチウムの初濃度の30%以上が吸着され、
他のアルカリ金属では1%以下であつた。上澄
液を除き、交換体に80℃で3M硝酸200mlを添加
すると吸着したリチウムの90以上が回収でき
た。 (2.7) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を
300℃に4時間加熱処理した試料0.25gをバツ
チ法で、海水5立に30℃で10日間浸漬すると、
リチウムの初濃度の95%以上が吸着され、他の
アルカリ金属では1%以下であつた。上澄液を
除き、交換体に60℃で6M硝酸200mlを添加する
と吸着したリチウムの95%以上が回収できた。 (2.8) 単斜晶系アンチモン酸イオン交換体を300
℃に4時間加熱処理した試料1g(1.8x1cmi.
d.)をカラムに充填し、海水6立を5ml/min
の流速で連続的に通すと、海水中のリチウムの
99%以上が吸着され、それ以後は130立まで
徐々に吸着率が減少した。リチウムの貫流交換
容量は2.2meq/gであり、カラムを水洗後、
10M硝酸で溶離すると吸着したリリウムの95%
以上が回収できた。この溶出液中に存在する他
のアルカリ金属のモル数はリチウムのそれの1
%以下であつた。
第1図 X−線回折図
第1図中、横軸XはCu−Kα線における2θ/
度、縦軸Yはその2θにおける回折強度(任意単
位)を示す。第1図中は三酸化アンチモンリチ
ウム、は単斜晶系アンチモン酸それぞれのX−
線回折図形をしめした。 第2図 見かけの交換容量のPH依存性 第2図中、横軸Xは平衡後の溶液のPH、縦軸Y
は見かけの交換容量(meq/g)を示す。第2図
中、〇Li,△Na,●K,▽Rbおよび□Csはそれ
ぞれのアルカリ金属イオンを示す。
度、縦軸Yはその2θにおける回折強度(任意単
位)を示す。第1図中は三酸化アンチモンリチ
ウム、は単斜晶系アンチモン酸それぞれのX−
線回折図形をしめした。 第2図 見かけの交換容量のPH依存性 第2図中、横軸Xは平衡後の溶液のPH、縦軸Y
は見かけの交換容量(meq/g)を示す。第2図
中、〇Li,△Na,●K,▽Rbおよび□Csはそれ
ぞれのアルカリ金属イオンを示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 アンチモン酸リチウムを750−1000℃に加熱
して得られた三酸化アンチモンリチウムを1−14
モル/立の硝酸、硫酸などの鉱酸溶液で常温から
80℃の温度範囲内で処理することによつて得られ
る単斜晶系アンチモン酸の合成法。 2 単斜晶系アンチモン酸またはこれを500℃以
下で加熱処理したものを用い、リチウムを他のア
ルカリ金属またはアルカリ土金属イオンを含む溶
液から選択的に吸着分離した後、硝酸、硫酸など
の鉱酸溶液を溶離剤として溶離するリチウムの吸
着分離法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23272288A JPH0283217A (ja) | 1988-09-19 | 1988-09-19 | 単斜晶系アンチモン酸の合成法およびそれを用いるリチウムの選択的分離法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP23272288A JPH0283217A (ja) | 1988-09-19 | 1988-09-19 | 単斜晶系アンチモン酸の合成法およびそれを用いるリチウムの選択的分離法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0283217A JPH0283217A (ja) | 1990-03-23 |
| JPH059374B2 true JPH059374B2 (ja) | 1993-02-04 |
Family
ID=16943761
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23272288A Granted JPH0283217A (ja) | 1988-09-19 | 1988-09-19 | 単斜晶系アンチモン酸の合成法およびそれを用いるリチウムの選択的分離法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0283217A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN116173925B (zh) * | 2023-03-31 | 2024-05-17 | 江苏海普功能材料有限公司 | 一种高吸附速率的提锂吸附剂及其制备方法与应用 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH026844A (ja) * | 1988-06-24 | 1990-01-11 | Agency Of Ind Science & Technol | 合成リチウム吸着剤およびその製造方法 |
-
1988
- 1988-09-19 JP JP23272288A patent/JPH0283217A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0283217A (ja) | 1990-03-23 |
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