JPH06101147B2 - 光デイスクの製造方法 - Google Patents

光デイスクの製造方法

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JPH06101147B2
JPH06101147B2 JP2246587A JP2246587A JPH06101147B2 JP H06101147 B2 JPH06101147 B2 JP H06101147B2 JP 2246587 A JP2246587 A JP 2246587A JP 2246587 A JP2246587 A JP 2246587A JP H06101147 B2 JPH06101147 B2 JP H06101147B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、デジタルメモリ用デイスク等の光学的情報記
録部材に係り、特に、高信頼性,高寿命の得られる光学
的情報記録部材を製造するための製造方法に関するもの
である。
〔従来の技術〕
光学的情報記録部材(以下、光デイスクと称す。)に
は、ビデオデイスク、コンパクトデイスク,デジタルメ
モリ用デイスク等があるが、なかでもデジタルメモリ用
デイスクには、デジタル情報を扱うという点から、高信
頼性,高寿命が要求される。その様なデイスクの高信頼
性や高寿命を表す一つの目安としては、60℃,95%RH
(相対湿度)の環境下にデイスクを1000時間放置して
も、そのデイスクに情報が保持されていることが挙げら
れる。
第2図は一般的なデジタルメモリ用デイスクの部分的な
断面を示した断面図である。
上記デジタルメモリ用デイスクは、通常、第2図に示す
ように、透明なプラスチツク樹脂基板1と、カルコゲナ
イド化合物等の記録膜2と、紫外線硬化樹脂による保護
膜3と、接着剤等による接着層4と、により構成されて
いる。
尚、この種の光デイスクとして関連するものには、例え
ば、特開昭61−99951号公報、特開昭61−131249号公報
等が挙げられる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来においては、第2図に示す如く構成されたデジタル
メモリ用デイスクを上記60℃,95%RHの環境下に50〜100
時間放置し、室温に取り出すと、記録膜2の部分に第3
図に示す様なふくれ5が発生する場合があり、情報の読
み出しあるいは書き込みが困難になるという問題点があ
つた。尚、第3図において、第2図と同一のものは同一
番号で付してある。
ところで、上記ふくれ現象についての報告例はこれまで
になかつたが、これは、民生用として広く用いられてい
るビデオデイスクやコンパクトデイスクでは、デジタル
情報を扱うデジタルメモリ用デイスクほど、高信頼性,
高寿命が要求されず、上記の様な過酷な環境試験につい
ては行われていなかつたためと考えられる。
そこで、本発明の目的は、上記した従来の問題点を解決
し、高温高湿の環境下に長時間さらされても、記録膜の
ふくれ現象(以下、ふくれ欠陥と称する。)の発生する
ことのない光デイスクの製造方法を提供することにあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、ふくれ欠陥の発生状況について十分検討
を行ない、その原因がプラスチツク樹脂基板中に含まれ
た水分が該基板と記録膜の界面にわき出すことにあると
いうことを見出した。
さらに、上述したわき出す力はプラスチツク樹脂基板の
物性値に大きく依存するが、上記わき出す力と基板−記
録膜間の付着力との大小関係がふくれ欠陥の発生と大き
くかかわり合つていることに着目し、本発明者等は、光
デイスク製造方法のうちで、基板と記録膜の付着力を増
大させる方法について、基板の種類,基板の前処理方
法,記録膜の形成方法を種々検討した。
その結果、プラスチツク樹脂基板,特に、耐熱性の高い
ポリカーボネート樹脂基板の場合には、プラズマ照射を
行なつた後、直ちに記録膜(カルコゲナイド化合物等よ
り成る)をスパツタリング形成し、そして、紫外線硬化
樹脂保護膜を形成し、さらに、接着貼合せを行なう工程
により、光デイスクを製造する方法が最も適しており、
特に基板の表面にプラズマ照射を行つた後、直ちに記録
膜をスパツタリング形成することによつて、上記ふくれ
欠陥の発生を完全に防止できることを見い出した。
したがつて、上記した目的を達成するために、本発明で
は、光デイスクの製造方法として、プラスチツク樹脂基
板の表面にプラズマを照射する第1の工程と、プラズマ
照射された該プラスチツク樹脂基板の表面に記録膜をス
パツタリング形成する第2の工程と、を少なくとも含む
ようにしたものである。
〔作用〕
まず初めに、上記ふくれ欠陥の発生状況の検討結果につ
いて述べる。
第3図に示した様に、記録膜2の部分に発生するふくれ
5は、ほぼ円形状で直径1〜50μmの大きさである。こ
の様なふくれ欠陥は、前述したように、60℃,95%RHの
環境下に50〜100時間放置した後に室温に取り出し、取
り出し直後には見られないが、30分〜1時間後に徐々に
表われるものである。
ところで、光デイスクとして用いられている透明なプラ
スチツク樹脂基板の代表的なものは、アクリル樹脂基板
とポリカーボネート樹脂基板である。このうち、デジタ
ルメモリ用デイスクとしての基板は、高信頼性,高寿命
を得る上で、高耐熱性を有するポリカーボネート樹脂基
板が適する。一方、上記ふくれ欠陥は、アクリル樹脂基
板では発生せず、ポリカーボネート樹脂基板を用いた光
デイスクで発生した。また、ポリカーボネート基板で
も、60℃乾燥状態に50〜100時間放置した場合は、ふく
れ欠陥の発生は全くなかつた。
以上のことから,ふくれ欠陥に湿度の影響のあることは
推測できるが、ポリカーボネート樹脂基板でふくれ欠陥
が発生し、アクリル樹脂基板で発生しない理由を解明す
ることが必要であつた。特に、ポリカーボネート樹脂の
吸水率はアクリル樹脂に較べて1桁程度小さいにもかか
わらず、ふくれ欠陥が発生し、しかもふくれ欠陥が湿度
と密接に関係しているという、一見矛盾している点を明
らかにすることが必要であつた。
第4図(a)はポリカーボネート樹脂の吸水特性を示す
グラフであり、第4図(b)はアクリル樹脂の吸水特性
を示すグラフである。
第4図(a)において、縦軸は吸水率であり、横軸は放
置時間であり、そして、同図では、温度100℃の水中に
放置した場合と、20℃の水中に放置した場合と、大気中
に放置した場合のそれぞれの特性が示されている。ま
た、第4図(b)において、縦軸は吸水率であり、横軸
は放置日数であり、そして、同図では10℃,27℃,60℃,8
0℃の各温度の水中にそれぞれ放置した場合の特性が示
されている。
そこで、本発明者等は、上記した吸水率自体ではなく、
第4図に示すような吸水特性に着目した。すなわち、第
4図に示す様に、ポリカーボネート樹脂は吸水速度がア
クリル樹脂に較べて非常に速く、しかも温度による飽和
吸水率の違いが大きい点に着目した。
つまり、光デイスクを60℃,95%RHの環境下に長時間放
置した後、例えば25℃,50%RH程度の室内に取り出した
場合、温度は比較的早く下がるために、基板内の水分は
過飽和状態となり、外に出ようとする。この際、アクリ
ル樹脂基板の場合は、第4図(b)に示す吸水特性よ
り、水分の放出速度は比較的遅いと予想できるが、ポリ
カーボネート樹脂基板の場合は、第4図(a)に示す如
く、温度による飽和吸水率が大きく異なり、かつ放水速
度は早い(吸水速度と同程度である)ために、水分が基
板外に出ようとする力は、非常に大きいと考えられる。
一方、記録膜は半金属あるいは半導体であり、水分をあ
まり透過させないため、記録膜と基板との界面に、上記
した水分のわき出し力が働く。ここで、該わき出し力が
記録膜−基板間の付着力に打ち勝つ部分があれば、その
部分に水分がわき出し、記録膜がふくれたようになる。
以上の発生原因の他、その他の発生原因として、上記ふ
くれ欠陥の内部が基板中の残留モノマー(分子レベルで
見た場合において、有機物として鎖でつながらないで、
残るもの)であることが考えられ、本発明者等もこの点
について検討を行なつたが、基板全面に多数ふくれ欠陥
が存在すること、ポリカーボネート樹脂ペレツトの熱プ
レス板(残留モノマーは射出成形品に比べて非常に少な
い)を用いた光デイスクにおいても多数発生することな
どから、ふくれ欠陥の原因が残留モノマーにあるという
可能性はほとんどない。
従つて、以上の検討の結果から、本発明者等は、ふくれ
欠陥の発生原因が、プラスチツク樹脂基板中に含まれた
水分が、該基板と記録膜との界面にわき出すことにある
という結論に達した。
また、ポリカーボネート樹脂基板と記録膜との付着力
と、アクリル樹脂基板と記録膜との付着力と、をそれぞ
れ引つかき法(膜の付着力を測定するための一般的な方
法)により測定した結果、5〜6×108dyne/cm2とほと
んど等しかつたことから、上記わき出し力と該付着力の
大小関係により、ふくれ欠陥の発生の有無が決まり、ア
クリル樹脂基板においてはふくれ欠陥が発生しないのは
該わき出し力が小さいためであると考えられる。
上記わき出し力はプラスチツク樹脂の物性値(具体的に
は透水率や吸水率など)でほとんど決まるために、ふく
れ欠陥を防止するには、基板と記録膜との付着力を増大
させることが必要となる。そこで、次に、本発明者等は
基板と記録膜との付着力を増大させる方法について検討
した。
ガラスやSi等の無機基板の場合には、上記の付着力を増
大させるための方法として種々の方法があり、例えば、
薄膜ハンドブツク(オーム社発行)P22〜P25,P33〜P35
に記載されている。一方、プラスチツク樹脂基板につい
ても、同じく薄膜ハンドブツクP881〜P882に示されてい
るが、該基板と薄膜(記録膜)との付着力は弱い場合が
多い。これは、プラスチツク樹脂基板特有の内部含有物
の放出、あるいは耐熱性が低いことによる薄膜形成条件
が制限されることによる。
したがつて、プラスチツク樹脂基板と記録膜との付着力
を増大させるためには、光デイスク製造工程のプロセス
を種々検討し、ふくれ欠陥防止に適した製造方法を見い
出さなければならない。
上記のことより、ふくれ欠陥防止のためには、プラスチ
ツク樹脂基板内に含まれる含有物(例えば,水分、可塑
剤,残留モノマー等)を減すことも当然考えられるが、
本発明者等は、射出成形条件等によりこれらをなくすこ
とは不可能であると考え、基板の表面処理方法および記
録膜形成方法について重点的に検討を行なつた。
まず、記録膜形成方法として、代表的な真空蒸着とスパ
ツタリングについて検討を行なつた。
真空蒸着では、Bi,SeとSbをそれぞれ別々の蒸着ボート
に入れ、真空度を5×10-3Pa(パスカル)にした後、基
板を回転させながら、上記蒸着ボートに同時に電流を流
し、同時蒸着することにより、Se−Sb−Bi系記録膜を形
成した。
また、スパツタリングでは、真空度を5×10-3Paにした
後、Arガスを0.7Paになるまで導入し、基板を回転させ
ながら、Bi−Se合金ターゲツトとSb−Se合金ターゲツト
に同時に高周波電圧を印加し、同時スパツタリングを行
なうことにより、Sb−Se−Bi系記録膜を形成した。
尚、これら2つの方法によつてそれぞれ形成されたSb
Se−Bi系記録膜の膜厚は約1000Åである。また、記録膜
形成後は、紫外線硬化樹脂による保護膜を30μmの厚さ
に形成し、ホツトメルト系の接着剤により、2枚の基板
を貼り合せて、第2図に示したような光デイスクを構成
する。
基板としては、透明なプラスチツク樹脂基板の中で、代
表的なアクリル樹脂基板とポリカーボネート樹脂基板を
用いた。前述したように、デジタルメモリ用デイスクの
基板としては高信頼性,高寿命を満足させるために高耐
熱性を有するポリカーボネート樹脂基板が良い。したが
つて、本発明においてはポリカーボネート樹脂基板を用
いた光デイスクについてふくれ欠陥を防止することに主
眼を置いた。
そこで、上記2種類の基板(即ち、アクリル樹脂基板と
ポリカーボネート樹脂基板)を用い、各々に上記2種類
の記録膜形成方法(即ち、真空蒸着とスパツタリング)
で記録膜を形成した場合において、形成された各々の記
録膜のセロテープはく離試験(付着力の大小をおおまか
に測定する方法)の結果を第5図に示し、また、各々の
基板及び記録膜で構成される光デイスクのふくれ欠陥の
発生状況を第6図に示した。
尚、第6図においては、60℃,95%RHの環境下に100時間
放置後、室温に取り出し、1〜2時間経過後、ふくれ欠
陥の発生状況を顕微鏡で観察し、その結果を、○,△,
×で分類した。○印はふくれ欠陥が発生しなかつたも
の、△印はふくれ欠陥は発生したが、発生数が少なかつ
たもの、×印はふくれ欠陥が発生し、発生数が多かつた
ものである。
また、第5図においては、セロテープはく離試験を行つ
た結果、記録膜のはく離が生じたものを×印,はく離し
なかつたものを○印とした。尚、この試験の結果として
は、記録膜のはく離の生じないものの方が、基板と記録
膜との付着力がより強いことを意味している。
第5図と第6図から明らかな様に、アクリル樹脂基板を
用いた光デイスクでは、上記付着力が弱いにもかかわら
ずふくれ欠陥が発生しない場合があり、ポリカーボネー
ト樹脂基板を用いた光デイスクでは、上記付着力が強い
にもかかわらずふくれ欠陥が生じた。これは、前述した
ように、前記わき出し力と上記付着力の大小関係でふく
れ欠陥発生の有無が決定されることを示すものである。
また、第6図に示すように、ポリカーボネート樹脂基板
を用いた光デイスクでは、上記2種類の記録膜形成方法
共にふくれ欠陥が発生するため、さらに基板と記録膜間
の付着力を増大させる方法として基板の表面処理方法に
ついて検討した。
表面処理方法については、薄膜ハンドブツクのP22〜P2
5,P33〜P35に記載されているような種々の方法がある
が、本発明者等はこの中で、ポリカーボネート基板を用
いた光デイスクにおけるふくれ欠陥防止に有効な表面処
理方法を見い出した。
第7図に、基板の各表面処理方法に対するふくれ欠陥の
発生状況について示した。以下、各々の処理方法につい
て説明する。
(1)中性洗剤によるスクラブ洗浄 中性洗剤を吹き付けながら、回転するブラシ(ブラシは
プラスチツク基板をきずつけないようなやわらかい布,
例えば、プラスセーム(鐘紡株式会社の商品名)等を用
いた。)で基板を洗浄し、次に純水を吹きつけながら、
同様のブラシでスクラブ洗浄し、窒素ガスを吹きつけな
がら回転乾燥させた。
(2)フロン蒸気洗浄 沸点に加熱したフロンの蒸気槽に基板を入れ、2〜3分
間揺動させた後、上記槽内から取り出した。
(3)高温加熱 基板を真空中で、80℃,20分間加熱した。尚、この処理
方法においては、高温加熱後、直ちに記録膜を形成した
方がより効果的であるので、実際には、基板を蒸着装置
内に入れ、真空中で、60℃,20分間加熱し、その後、真
空槽内で記録膜を蒸着形成した。尚、スパツタリングの
場合は、装置の関係上,高温加熱の検討は行なわなかつ
た。
(4)紫外線・オゾン洗浄 低圧水銀灯とオゾン発生器を備えた装置の中に基板を入
れ、60秒間紫外線を照射した。基板と上記水銀灯の距離
は10mm,紫外線強度は6mW/cmである。
(5)プラズマ照射 スパツタリング装置内に基板を入れ、真空度を5×10-3
Paにした後、窒素ガス又はアルゴンガス0.3Paになるま
で導入した。次にターゲツト側をアースにし、基板側に
電圧を印加し、グロー放電を起こすことにより、プラズ
マ照射を行なつた。入力パワーは300W,照射時間は90秒
である。上記したように、放電ガスとして、窒素ガスと
アルゴンガスの2種類について検討した。
以上の表面処理方法について各々検討した結果、第7図
に示す様に、ふくれ欠陥防止に有効な光デイスク作成プ
ロセスはプラズマ照射とスパツタリングを組み合わせる
ことである。真空蒸着においては、(1)〜(5)の如
何なる表面処理方法を用いてもふくれ欠陥の発生を防止
することはできなかつた。
ところで、スクラブ洗浄およびフロン蒸気洗浄はそれぞ
れ基板表面に付着したゴミを取り除くのに有効であり、
高温加熱は、吸着ガス,吸着水分等を除去する効果があ
る。また紫外線・オゾン洗浄は有機質汚染物の除去に効
果的であり、プラズマ照射は、吸着物質を除去する効果
がある。さらにまた、プラズマ照射および紫外線・オゾ
ン洗浄は、それぞれプラスチツク表面を改質する効果が
ある。ここで、一方のプラズマ照射の方はふくれ欠陥防
止に有効であり、もう一方の紫外線・オゾン洗浄の方は
あまり有効でないということは、上記したプラスチツク
表面の改質効果自体は、ふくれ欠陥防止について大きな
役割を果たすものではないということが推定できる。
上記のような表面処理方法の特徴と、真空蒸着とスパツ
タリングの両者のふくれ欠陥の発生状況の明らかな違い
により、本発明者等は、基板と記録膜の付着力を低下さ
せているのは、基板内に含まれている、それも基板のご
く表面に含まれている水分であるという推論に達した。
すなわち、真空蒸着とスパツタリングでは、成膜時の真
空度が大きく異なり、真空蒸着では真空度が10-3Pa
度、スパツタリングでは10-1Paである。したがつて真空
度の悪い、低真空で行なうスパツタリングの方が、基板
から放出される水分が少なく、その為、付着力が強い。
これを確かめるために、真空度を10-2Paに下げて真空蒸
着を行なつたところ、第7図に示す様にふくれ欠陥の発
生が少なくなつた。ただし、真空度を下げると蒸着ボー
トの温度を大幅に高くしないと、成膜することができな
いために、10-2Paが限度であつた。
さらに、基板を成形した直後はほとんど吸湿していない
ことから、基板成形後の放置期間を1時間以内と1週間
以上の2種類のサンプルについて、検討した結果、第7
図に示すように、放置期間の短い方がふくれ欠陥防止に
ついて効果的であることがわかつた。従つて、基板成形
後1時間以内にスパツタリングによつて記録膜を形成す
るようにすれば、上記したプラズマ照射による表面処理
を行わなくても、ふくれ欠陥を防止することができる
が、しかし、基板成形後の放置時間をこの様に時間オー
ダーで管理することは簡単ではなく、量産には不適であ
る。
以上説明したように、ふくれ欠陥の原因をつきつめてみ
ると、その原因は基板中に含まれる水分であり、従つ
て、ふくれ欠陥を防止するには、基板中に含まれる水分
を除き、成膜中においても水分の放出をおさえることが
重要なポイントとなる。
そこで、本発明では、プラスチツク樹脂基板の表面にプ
ラズマを照射することにより、基板中に含まれる水分を
除いており、また、その後、記録膜をスパツタリング形
成することによつて、基板からの水分の放出をおさえな
がら記録膜の形成を行つている。従つて、本発明によれ
ば、ふくれ欠陥の発生を完全に防止することができる。
ところで、上述したように、プラズマ照射による表面処
理はふくれ欠陥の防止に効果的であるが、ふくれ欠陥の
発生原因が基板中の水分にあるという観点からすれば、
高温加熱処理も効果的であると思われる。ただし、ここ
では、装置の関係で、高温加熱処理とスパツタリングと
いう組み合わせについては検討できなかつたが、これに
よつて、ふくれ欠陥を防止できる可能性は十分にある。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例について説明する。
第1図は、本発明の一実施例における光デイスク製造プ
ロセスの流れを示した説明図である。
先ず、第1図に示す様に、ステツプaにおいて、射出成
形によつて、直径130mm,厚さ(t)1.2mmのポリカーボ
ネート樹脂より成る基板を成形する。次に、ステツプb
において、該基板をスパツタリング装置内に入れ、真空
度を5×10-3Paにした後、窒素(N2)ガス(純度99.999
%)を0.3Paになるまで導入し、プラズマ照射を行う。
プラズマ照射時はターゲツト側をアースにし、基板側に
電圧を印加することにより、基板側に高いエネルギーの
イオンが飛来するようにする。また、入力パワーは300
W,照射時間は90秒とする。
次に、ステツプcにおいて、再び真空度を5×10-3Pa
なるまで排気した後、アルゴン(Ar)ガス(純度99.999
%)を0.7Paになるまで導入し、記録膜のスパツタリン
グ形成を行う。ターゲツトは、Bi−Se合金ターゲツトと
Sb−Se合金ターゲツトの2つを用い、該ターゲツトに同
時に高周波電圧を印加し、同時スパツタリングを行うこ
とにより、ターゲツト上方で回転する基板上にSb−Se
Bi系記録膜を形成する。尚、Sb−Se−Bi系記録膜の膜厚
は約1000Åである。次に、ステツプdにおいて、紫外線
硬化樹脂保護膜をスピナーにより30μmの厚さに回転塗
布し、紫外線照射により硬化させ保護膜とする。最後
に、ステツプeにおいて、上記のようにして形成された
2枚のデイスクをホツトメルト系の黒色接着剤により貼
り合わせ、第2図に示すような光デイスクを得る。
以上の様にして製造された光デイスクにおいては、60
℃,96%RHの環境下に100時間放置した後、室温に取り出
しても、ふくれ欠陥の発生はなかつた。
また、プラズマ照射時のガスとして、上記した窒素ガス
のかわりに、アルゴンガスを用い、同様のプロセスで光
デイスクを製造したが、このデイスクにおいても、上記
試験の結果、ふくれ欠陥の発生はなかつた。
次に、本実施例における光デイスク製造プロセスにおい
て、プラズマ照射のガス圧と照射時間を変えた時のふく
れ欠陥の発生状況を調べ、その結果を第8図に示した。
尚、ガスは窒素ガスを用い、入力パワーは300Wとした。
第8図において、60℃,95%RHの環境下に100時間放置
し、室温に取り出した時に,ふくれ欠陥が発生しなかつ
たものを○印,少しでもふくれ欠陥が発生したものを×
印で示した。
第8図に示す様に、ふくれ欠陥を防止するには、ガス圧
よりも照射時間のパラメータが重要で、照射時間60秒以
上必要であることがわかる。
次に、本実施例において、窒素ガス圧を0.3Pa,入力パ
ワーを300Wとした時の、プラズマ照射時間と光デイスク
のノイズレベルとの関係を調べ、その結果を第9図に示
した。
第9図に示す様に、プラズマ照射時間を180秒より多く
すると、プラズマによつて基板表面が荒らされることに
より、基板表面ノイズが上昇する。したがつて、プラズ
マ照射時間は、60秒〜180秒の間が適する。
また、本実施例では入力パワー300W一定としたが、入力
パワーを下げると、プラズマ照射時間の適する範囲は長
時間側にずれ、逆に入力パワーを上げると短時間側にず
れる。しかし、プラズマ照射時間が長いと、タクトタイ
ム(処理時間)が長くなり、決められた時間内に多くの
処理ができず、量産に支障をきたし、また、短かすぎる
と、プロセス安定性に問題があるので、上記した60秒〜
180秒が最も適する。
尚、本実施例においては、ポリカーボネート樹脂基板に
ついて説明したが、これに限るものではなく、温度によ
る飽和吸水率が大きく異なる樹脂基板についても、ふく
れ欠陥が発生することが多いので、本発明の製造方法を
適用できるということはいうまでもない。
〔発明の効果〕
本発明によれば、高温高湿の環境下に長時間さらされて
も、ふくれ欠陥を発生することのない光デイスクを得る
ことができるので、光デイスクの信頼性を大幅に高める
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例における光デイスク製造プロ
セスの流れを示した説明図、第2図は一般的なデジタル
メモリ用デイスクの部分的な断面を示した断面図、第3
図はふくれ欠陥が発生した場合におけるデジタルメモリ
用デイスクの部分的な断面を示した断面図、第4図はプ
ラスチツク樹脂の吸水特性を示すグラフ、第5図は各基
板及び各記録膜形成方法に対する記録膜のセロテープは
く離試験の結果を示した説明図、第6図は各基板及び各
記録膜形成方法に対するふくれ欠陥の発生状況を示した
説明図、第7図は基板の各表面処理方法等に対するふく
れ欠陥の発生状況を示した説明図、第8図は第1図の実
施例においてプラズマ照射のガス圧と照射時間を変えた
時のふくれ欠陥の発生状況を示した説明図、第9図は第
1図の実施例においてプラズマ照射時間と光デイスクの
ノイズレベルとの関係を示したグラフ、である。 符号の説明 1……プラスチツク樹脂基板、2……記録膜、3……保
護膜、4……接着層、5……ふくれ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチツク樹脂基板上に情報記録膜を有
    して成る光デイスクの製造方法において、前記プラスチ
    ツク樹脂基板の表面にプラズマを照射する第1の工程
    と、プラズマ照射された該プラスチツク樹脂基板の表面
    に前記記録膜をスパツタリング形成する第2の工程と、
    を少なくとも含んだことを特徴とする光デイスクの製造
    方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の製造方法に
    おいて、前記プラスチツク樹脂基板は、ポリカーボネー
    ト樹脂基板より成ることを特徴とする光デイスクの製造
    方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の製造方法に
    おいて、前記第1の工程におけるプラズマ照射の時間を
    60秒乃至180秒としたことを特徴とする光デイスクの製
    造方法。
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