JPH06106847A - 熱可逆性記録材料とその製造方法及び感熱記録媒体 - Google Patents

熱可逆性記録材料とその製造方法及び感熱記録媒体

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JPH06106847A
JPH06106847A JP4281046A JP28104692A JPH06106847A JP H06106847 A JPH06106847 A JP H06106847A JP 4281046 A JP4281046 A JP 4281046A JP 28104692 A JP28104692 A JP 28104692A JP H06106847 A JPH06106847 A JP H06106847A
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JP4281046A
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Genichi Matsuda
元一 松田
Tomohito Shibata
智史 柴田
Yuji Hayashi
佑二 林
Shigeo Tanji
成生 丹治
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、温度履歴により透明状態と不透明
状態を可逆的に繰り返すことのできる熱可逆性記録材料
において、熱可逆性記録材料からなる熱可逆性記録層の
厚さが薄く、且つ透明、不透明のコントラスト及び、感
度の良い熱可逆性記録材料とそれを供給する製造方法を
提供することを目的とする。 【構成】 低分子有機化合物を高分子樹脂中に分散し、
温度履歴により透明状態と不透明状態を可逆的に繰り返
すことのできる熱可逆性記録材料において、前記低分子
有機化合物は一分子内にプロトン供与基(A)及びプロ
トン受容基(B)の両方を有し、該低分子有機化合物の
遷移温度T1において二量体(C)を形成しており、さ
らに、温度T1よりも高い温度T2において単量体に分
離することを特徴とする熱可逆性記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可逆性記録材料とそ
の製造方法及び感熱記録媒体に関し、特に加熱により透
明化及び不透明化を可逆的に行うことのできる熱可逆性
記録材料とその製造方法及び感熱記録媒体に関する。か
かる熱可逆性記録材料の実用例は、まだ少ないが今後、
省資源、環境対策、クリーン化、自動化の立場から「表
示」、「記録」、「調光」等の分野で、利用が急増する
ものと考えられる。
【0002】
【従来の技術】従来の熱可逆性記録材料の一例として、
塩化ビニル系樹脂マトリックス中に脂肪酸などを分散
し、温度の変化により、脂肪酸の結晶状態が可逆的に変
化することを利用したものがある。この熱可逆性記録材
料の構造及び製造方法については、例えば、特開昭57
−82086号、57−82087号、57−8208
8号、63−132089号公報等に記載されている。
以下、この熱可逆性記録材料の製造方法について説明す
る。
【0003】 ドコサン酸(ベヘン酸) 0.25g(14重量%) ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体 1.5g(86重量%) (旭化成サラン樹脂 R−200) からなる混合物を溶剤であるテトラヒドロフラン8.0
g(450重量%)に充分溶解した後、キャスト法によ
り厚さ120μmのマイラーフイルム(ポリエステルフ
イルム)上に上記溶液を塗布し、50℃で溶剤を蒸発さ
せ、厚さ15μmの膜状の熱可逆性記録材料を形成す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図14は従来例の熱可
逆性記録材料における種々の条件時の状態を示す模式図
であり、これらの図において、はドコサン酸とポリ塩
化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体をテトラヒド
ロフラン中に分散させた状態、は室温Tの時の熱可逆
性記録材料の状態、は熱可逆性記録材料中の低分子有
機化合物の融点以上の温度90℃における熱可逆性記録
材料の状態、は、の状態から室温Tに戻した時の熱
可逆性記録材料の状態、は、の状態から110℃に
した時の熱可逆性記録材料の状態を示している。
【0005】ところが、以上述べたような従来例による
熱可逆性記録材料は、白色半透明であり、これを先端が
90℃の熱ペン(図示せず)で手書きするとその部分が
透明に変化し(図14のの状態)、白地に透明な文字
が薄く描けたが、透明と不透明のコントラストが不足し
ており鮮明さに欠け、判読しづらいものであった。白地
の光透過率は78%であり、透明化した部分の光透過率
は84%であり、透明時と不透明時の光透過率の差は僅
か6%程度であった。次に、この従来の熱可逆性記録材
料を110℃の熱風炉(図示せず)に入れると、透明な
部分が白濁して全体が元の半透明の状態に戻った(図1
4のの状態)。しかし、これを数回繰り返すと、ます
ますコントラストが低下した。
【0006】従来例により熱可逆性記録材料の白色半透
明状態及び透明状態のサンプルを電子顕微鏡で観察する
とドコサン酸の粒子が非常に細かく、殆ど溶解状態であ
ることが判った。すなわち、従来の製造方法は、ドコサ
ン酸等の低分子有機化合物が溶解し易いテトラヒドロフ
ラン等の溶剤を用いていたので、低分子有機化合物が微
細粒子を形成するような分散状態ではなかった。このた
め、製膜状態で既にドコサン酸分子は単分子状態でポリ
塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体の高分子鎖
中にばらばらで存在しており、微細粒子を形成していな
いことから、光散乱が充分に生じがたく、充分な不透明
性を実現できないという問題点があった。
【0007】そこで、熱可逆性記録層の厚さを厚くする
ことにより幾分透明と不透明のコントラストが良くなる
が、この方法は感度の低下といった問題があり、また磁
気カードの支持体と熱可逆性記録層との間に磁気記録層
を有し、磁気カードの両面に印刷ができる磁気カードに
応用した場合は、特に磁気ヘッドと熱可逆性記録層の距
離を大きくとると、磁気の読み取りができなくなるた
め、さらに熱可逆性記録層の厚さを薄くする必要があっ
た。
【0008】従って、従来、膜厚が薄くても透明、不透
明のコントラストがよく、且つ感度の良い熱可逆性記録
材料がなかった。本発明は、膜厚が薄くても透明、不透
明のコントラストがよく、且つ感度の良い熱可逆性記録
材料とそれを供給する製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題点は、以下に
示す熱可逆性記録材料により解決される。すなわち、低
分子有機化合物を高分子樹脂中に分散し、温度履歴によ
り透明状態と不透明状態を可逆的に繰り返すことのでき
る熱可逆性記録材料において、低分子有機化合物は一分
子内にプロトン供与基(A)及びプロトン受容基(B)
の両方を有し、低分子有機化合物の遷移温度T1におい
て二量体を形成しており、さらに該遷移温度T1よりも
高い温度T2において単量体に分離することを特徴とす
る熱可逆性記録材料を用いることにある。そして、以下
の3通りの態様で本発明を実現することができる。
【0010】まず第一は、低分子有機化合物(a)の遷
移温度T1において低分子有機化合物(a)の二つの分
子が水素結合により二量体を形成し、高分子樹脂(b)
中に溶解する。さらに、温度T1よりも高い温度T2に
おいて高分子樹脂(b)から相分離することを特徴とす
る熱可逆性記録材料である。次に第二は、低分子有機化
合物(c)が高分子樹脂(d)中にドット状に分散され
た構造であり、低分子有機化合物(c)の遷移温度T1
で、高分子樹脂(d)は低分子有機化合物(c)と相溶
せず、ドット状を維持していることを特徴とする熱可逆
性記録材料である。
【0011】最後に第三は、高分子樹脂(f)が三次元
網状の構造を形成しており、低分子有機化合物(e)が
高分子樹脂(f)中に連続相状態で存在する構造であ
り、低分子有機化合物(e)の遷移温度T1で、高分子
樹脂(f)は低分子有機化合物(c)と相溶せず、三次
元網状を維持していることを特徴とする熱可逆性記録材
料である。
【0012】なお、本発明中、「遷移温度」とは、低分
子有機化合物の融点よりも5〜15℃低い温度をいう。
【0013】
【作用】本発明の熱可逆性記録材料の基本原理は熱可逆
性記録材料の一成分である低分子有機化合物の分子が、
二量体から単量体への可逆変化を生じることを利用する
ことにある。図13は本発明の二量体を形成する低分子
有機化合物の構造式を示している。低分子有機化合物を
遷移温度T1 ℃(融点よりも5〜15℃下の温度)に保
持することにより、該低分子有機化合物の分子はプロト
ン供与基とプロトン受容基の両方を所有するものであ
り、これ等が、図13に示したように、水素結合を行な
うことにより、低分子有機化合物は2分子で会合(二量
体化)する性質を有している。そして、これを室温
(T)に戻すと、二量体を形成したまま固化する特性を
示す。〔このことは、第15図に示したようにIR分析
の結果から、カルボニル基の吸収である1737cm-1
ピークが低周波側にシフト(1701cm-1)しているこ
とから、証明される(二分子会合したカルボニル基の吸
収は、1701cm-1に現われる。)〕一方、低分子有機
化合物の融点よりも高い温度T2 ℃にすると、低分子有
機化合物は完全に融解して分子の活動が活発化するた
め、もはや二量体で存在することが出来ず、単量体に分
解する。このため、見掛けの分子の極性がより親水性に
なったり、またこれが結晶化する時に分子配列や結晶の
向きが様々な方向を向いたり、屈折率が変化するなどの
形態を示すものである。このように、与える温度履歴に
より低分子有機化合物が二量体と単量体の2形態をとり
得る事、すなわち、見掛け上の極性の変化により溶解、
相分離現象や、分子配列および結晶の向きの異方性や屈
折率の変化等を利用して、透明状態と不透明状態を可逆
的に行わせるものである。
【0014】以上のことを利用して、本発明の熱可逆性
記録材料の前記3つの態様は、以下のような作用を生ず
る。まず、前記第一の態様では、図1に示したように、
該熱可逆性記録材料を低分子有機化合物の融点より5〜
15℃下の温度にした時、該低分子有機化合物が水素結
合により二量体を形成して、極性基同志を共有し、疎水
基を外に向けた形態をとる。このため、見掛け上の極性
はより疎水性を示し、周囲の高分子樹脂の極性がこれに
近いものを用いることにより高分子鎖間に低分子有機化
合物が溶解浸透して、透明化する()。そして、これ
を室温に戻しても、この状態を維持するものである
()。一方、低分子有機化合物の融点よりも高い温度
にすると、低分子有機化合物の動きが活発化して、二量
体を形成している水素結合が切断し単量体に変わるた
め、極性はより親水性となり、高分子樹脂の極性から外
れ、相分離することにより、低分子有機化合物が再び凝
集する()。これを室温に戻すと微粒子化し不透明状
態になるものである()。
【0015】次に、前記第二の態様では、図2に示した
ように、低分子有機化合物が融点5〜15℃下の温度に
加熱された時に二量体化するが、高分子樹脂dは低分子
有機化合物cと相溶しないものであり、微細粒子は形状
を変化しないまま、内部の分子配列のみが変化するもの
である。即ち、低分子有機化合物は隣の分子と二量体を
形成しており、第16図のように、2分子配列をとり、
且つ、フイルム面に垂直に立った向きに分子軸が並び、
これを室温に戻すとこのまま結晶化が進む()。この
様子を第17図のTEM写真(20,000倍)で示
す。この図から、低分子有機化合物の微粒子は0.3〜
0.5μm程度であり、粒子内部にフイルム面と平行な
約60Åピッチの筋状構造が認められる。この60Åピ
ッチは第16図の低分子有機化合物が2分子並んだ長さ
に一致し、このことから、分子が二量体化して配列して
いることが判る。分子の向きについては、第18,19
図に示したように、X線回折の結果から、透明状態のサ
ンプル(a),(c)の回折角5.75°(面間隔1
5.9Å)の回折ピークが断面(EV)方向のみに現れ
て、表面(TV)方向に現れないことから、分子軸がフ
イルム表面に対して垂直に並んでいることが示唆され
る。このため、入射光は透過し易く、且つ、屈折率を高
分子樹脂と一致させれば、透明性を示すものと考えられ
る。一方、低分子有機化合物の融点以上の高温に加熱し
た場合には、結晶は液化し分子の活動が活発化して、も
はや二量体では存在する事ができず、単量体に分離し、
低分子有機化合物分子は様々な向きを向いて動き廻る
()。この状態で、室温に戻すと、分子は第21図に
示した一分子配列と第16図に示した二分子配列が混在
した形で結晶化し、且つ、結晶の向きは種々の向きを向
いて結晶化し、微細な結晶が数多く形成される()。
このことは、第18,19図に示したX線回折データの
不透明サンプル(b)の回折角5.75°(面間隔1
5.9Å)の回折ピークが断面方向と表面方向で大差の
ないことから証明される。そして、入射光はこの中を通
過する際に、乱反射されて白く不透明に見えるものと考
えられる。以上の熱可逆性のメカニズムを図20にモデ
ル的に示す。
【0016】最後に、前記第三の態様では、図3に示し
たように、モノマーまたはオリゴマfを重合せしめた高
分子樹脂gは三次元網状(スポンジ状)に構造を形成し
ており、その中で、低分子有機化合物eはドット状では
なく、連続相を形成して存在している()。そして、
これを低分子有機化合物の遷移温度に加熱した時、低分
子有機化合物は二量体化し、前記第二の態様と同様に第
16図のような2分子配列で且つフイルム面に対して垂
直に配列し()、室温に戻しても同様な状態で結晶化
する()。このため、入射光は透過し易く、且つ、屈
折率を高分子樹脂と一致させれば、透明性を示す。一
方、低分子有機化合物の融点以上の高温に加熱した場合
には、分子の活動が活発化して、もはや二量体では存在
することができず、単量体に分離し、低分子有機化合物
は様々な向きを向いて動き廻る()。これを、室温に
戻すと、分子は種々の向きを向いて結晶化し、微細な結
晶が数多く形成される()。そして、入射光はこの中
を通過する際に、乱反射されて白く不透明に見えるもの
と考えられる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照
し、具体的に説明する。図1と図2と図3と図4は、本
発明の熱可逆性記録材料における種々の条件時の状態を
示す模式図及びグラフであり、これらの図において、
は低分子有機化合物と高分子樹脂を溶剤中に均一に分散
させた状態、は室温Tの時の熱可逆性記録材料の状
態、は熱可逆性記録材料中の低分子有機化合物の遷移
温度T1における熱可逆性記録材料の状態、は、の
状態から室温Tに戻した時の熱可逆性記録材料の状態、
は、の状態から温度T1よりもさらに高い温度T2
にした時の熱可逆性記録材料の状態を示している。
【0018】〔第1の実施例〕本発明の第1の実施例
は、本発明を表示板に適用したものであり、図1及び図
4に示される態様を利用したもので、図5に表示板の断
面図を示している。 ステアリン酸アミドa 15重量% ポリメタクリル酸メチルb 85重量% トルエン/MEK=7/3 400重量% をサンドミルで均一に分散する。この時、ポリメタクリ
ル酸メチルbは溶剤であるトルエン/MKE=7/3に
溶解するが、トルエン/MEK=7/3に溶解しないス
テアリン酸アミドaは、トルエン/MEK=7/3中に
均一に分散されるようにする(図1のの状態)。次い
で、キャスト法により厚さ100μmのポリエステルフ
イルム12に上記溶液を塗工し、60℃で溶剤であるト
ルエン/MEK=7/3を蒸発させることにより、厚さ
10μmの本発明の第一の態様(図1の構成)による白
色不透明の熱可逆性記録材料から成る熱可逆性記録層1
1が得られる(図1と図4のの状態)。
【0019】図5(a)において、上記で得た熱可逆性
記録層11の表面にアロニックスUV−3333(東亜
合成、一液型UV硬化アクリル樹脂)を5μm塗工し、
UV(紫外線)硬化させ保護膜13を形成した。次い
で、上記のポリエステルフイルム12を表面が黒色に着
色された鋼板ボード14の上に貼り合わせ、表示板を形
成した。
【0020】図5(b)において、これを先端が100
℃の熱ペン15で手書きすると、熱ペン15が接触した
部分のステアリン酸アミドa(低分子有機化合物)の分
子は水素結合により二量体を形成しており、この時のス
テアリン酸アミドaの溶解性に近い溶解性を持つポリメ
タクリル酸メチルb(高分子樹脂)を使用することによ
り、高分子の分子鎖間にステアリン酸アミドaが溶解浸
透する(図1と図4のの状態)。
【0021】その後、熱ペンが表示板から離れると、高
分子の分子鎖間にステアリン酸アミドaが溶解浸透した
まま固化するため、熱可逆性記録材料は透明状態に変化
し(図1と図4のの状態)、白地に黒文字が鮮明に印
字され、あたかもホワイトボードに黒マーカで書き込む
が如きであった。白色部は背後に黒色の板があるにもか
かわらず、その影響を殆ど受けず、白色度が高いため極
めて白黒のコントラストが良好であった。
【0022】図5(c)において、これに120℃のア
イロン型の消去用熱板16で接触すると、ステアリン酸
アミドaの動きが活発化して、二量体を形成している水
素結合が切断し単量体に変わるため、溶解性が変化し、
ポリメタクリル酸メチルbの溶解性からはずれ相分離す
ることによりステアリン酸アミドaが微粒子化し(図1
と図4のの状態)、熱可逆性記録材料を室温に戻す
と、透明な部分が白濁して全体が元の白地に戻り文字が
消失した(図1と図4のの状態に戻る)。そして、こ
れを500回繰り返しても、問題なく印字できた。
【0023】図5(d)は、図5(a)において、鋼板
ボード14の上に面状発熱体17を設けて、消去用に利
用する例である。次に、熱可逆性記録材料の白色(不透
明)状態及び透明状態のサンプルを電子顕微鏡で観察す
ると白色状態の場合はステアリン酸アミドaの約0.2
〜1.0μmの微細粒子が分布しており、透明状態の場
合はポリメタクリル酸メチルbの分子鎖間にステアリン
酸アミドaが溶解浸透しているため、粒子が明瞭な状態
で存在していないことが判った。光透過率は透明状態で
80%、不透明状態で60%であった。
【0024】〔第2の実施例〕第1の実施例におけるス
テアリン酸アミドaとポリメタクリル酸メチルbの比率
を変えた以外は同様の方法で、2種類の熱可逆性記録材
料を得た。これらの2種類の熱可逆性記録材料を第2の
実施例として、この比率、及び特性を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】この結果、ステアリン酸アミドaとポリメ
タクリル酸メチルbの比率が15:85の第1の実施例
が最もコントラストが良好であった。また、ステアリン
酸アミドaとポリメタクリル酸メチルbの比率は5:9
5〜40:60が適当であり、低分子有機化合物は全体
の5〜40容量%含有させると、さらに良いコントラス
トが得られると考えられる。
【0027】また、充分なコントラストを得るための透
明状態と不透明状態の光透過率の関係は、不透明状態の
光透過率が75%以下で、且つ透明状態と不透明状態の
光透過率の差を5%以上にすることが必要である。なぜ
なら、不透明時の光透過率が75%以上の場合は通常背
景に置く着色支持体の色が透けて見えるためコントラス
トが不十分であり、また透明時の光透過率の差が5%未
満の場合は変化の差が少な過ぎてコントラストが充分得
られないためである。
【0028】本発明の第一の態様(図1の構成)の熱可
逆性記録材料の製造方法は低分子有機化合物aが溶解せ
ず、高分子樹脂bが溶解する溶剤中で、低分子有機化合
物aを均一に微細分散し、キャスト法により製膜し溶剤
を乾燥させることにより得られる。乾燥後の膜は高分子
樹脂b中に低分子有機化合物aが微細分散されており、
不透明状態である。
【0029】低分子有機化合物aの粒子径は、0.1〜
5μmが高コントラストを得るのに最適である。これ以
下の粒子径では光の波長に近づくため、光散乱能が不足
し、これ以上の粒径では単位体積中の粒子数を多く保持
できないため光散乱は逆に減少する。本発明の第1の態
様(図1の構成)に用いられる高分子樹脂bとしては、
ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、
ポリスチレン、メタクリル酸メチル/スチレン共重合
体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、スチレン/
ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/アクリル酸エ
ステル/スチレン共重合体、ポリメチルペンテン、透明
ABS樹脂、ポリカーボネート、シリコン樹脂、ボリビ
ニルブチラール、ポリビニルホルマール、エチルセルロ
ース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセル
ロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリ
アクリルアミド、デンプン、アラビアゴム、スチレンマ
レイン酸共重合体、ゼラチン、ポリ酢酸ビニル、エチレ
ン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル部分ケン化
物、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体およびポリ塩化ビ
ニル等である。より好ましい高分子樹脂は、ポリメタク
リル酸エステル、エチルセルロース、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体又はポリ塩化ビニルである。
【0030】ところで、さらにコントラストを向上させ
る方法として、不透明化した時に背景の着色層の色を透
過しにくくすることが有効であることから、予め熱可逆
性記録材料を透明支持体に設け、透明支持体の裏面側を
着色支持体に対して、粒子径1〜50μmの無機、有機
の粒子またはファイバまたは樹脂印刷ドットパターン等
のスペーサを介して貼り合わせることにより、着色支持
体から熱可逆性記録層を乖離し、着色支持体からの反射
光を直接熱可逆性記録層に取り込まず、一旦熱可逆性記
録層の裏面側で光散乱させて透過率を下げることによ
り、着色層の色を透過しにくくし、結果的にコントラス
トを向上させることができる。
【0031】次に、第1の実施例の表示板にスペーサを
設けた第3の実施例について説明する。 〔第3の実施例〕本発明の第3の実施例は、本発明をス
ペーサを有する表示板に適用したものであり、図6に示
される。
【0032】図6(a)において、第1の実施例で得
た、熱可逆性記録層11と保護層13とを有するポリエ
ステルフイルム12と、表面が黒色に着色された着色層
14aを有する鋼板ボード14の間に、粒径が約500
μmの尿素樹脂粒子18をスペーサとして挟み込み、封
止剤にてフイルム12と鋼板ボード14とを接着し、第
1の実施例同様の表示板を形成した。
【0033】これに先端が100℃の熱ペン(図示せ
ず)で手書きするとその部分が透明に変化し、白地に黒
文字が鮮明に印字され、第1の実施例よりさらに白地の
白色度が向上し、コントラストが良好となった。第2
は、第1の実施例と第3の実施例との反射濃度を比較し
た表である。
【0034】
【表2】
【0035】第3の実施例は、図6(b)のように、熱
可逆性記録材料と背後の黒地の間に空間を設けたため、
背後からの反射光を一旦散乱してから記録層に入射させ
るため、背後の影響を受けにくく、白色度が向上したも
のである。第1,3の実施例で述べた表示板は、黒板、
ホワイトボード、OAボード、インフォメーションボー
ド、広告板等に用いられるもので、クリーン化や省力化
等が達成できるとともに、パソコン等と組み合わせるこ
とにより自動作画も可能になり、極めて便利なものであ
る。
【0036】また、上記熱可逆性記録材料の下にある支
持体として、ポリエステルフイルム、鋼板ボードを用い
たが、その他、フイルム、樹脂板、紙、金属板、ガラ
ス、複合材料等種々のものを用いることもできる。そし
て、これらは白以外の色に着色しておく必要がある。表
面に着色層を設けるか、支持体自体が着色されていても
よく、透明支持体の場合は裏面が着色されていてもよ
い。コントラストを得るためには黒系または銀系などが
好ましい。
【0037】〔第4の実施例〕本発明の第4の実施例
は、本発明のOHPシートに適用したものであり、図2
及び図4に示される態様を利用したもので、図7にOH
Pシートの断面図を示している。まず、図示しないが、 オクタデシルモノイソシアネートのエチルアルコール縮合物c 25重量% アクリルオリゴマー(テトラエチレンのグリコールジアクリレート) 71重量% ベンゾフェノン d 4重量% トルエン 300重量% をサンドミルで均一に分散し(図2のの状態)、キャ
スト法により厚さ120μmのポリエステルフイルム2
2に上記溶液を塗工して、60℃で溶剤であるトルエン
を蒸発させ、次にUV光(紫外線)を照射して硬化し、
厚さ15μmの本発明の第二の態様(図2の構成)によ
る白色不透明の熱可逆性記録材料から成る熱可逆性記録
層21が得られる(図2と図4のの状態)。
【0038】図7(a)において、上記で得た熱可逆性
記録層21の表面に、厚さ20μmのポリエチレンナフ
タレートのフイルムを貼り合わせ保護膜23を形成し、
OHP(オーバヘッドプロジェクタ)シートを形成し
た。図7(b)において、これに先端が90℃の熱ペン
24またはサーマルプリンタ(図示せず)を用いて印字
すると、印字部分の熱可逆性記録材料中にある低分子有
機化合物cの分子が二量体を形成する(図2と図4の
の状態)。その後、印字部分の温度が室温に戻ると、二
量体を形成した分子がそのまま固化するため、低分子有
機化合物cとアクリル樹脂dとの屈折率がほぼ等しくな
り、印字部分の熱可逆性記録材料は透明に変化し(図2
と図4のの状態)、白地に透明な文字が鮮明に描け
た。これをOHPで投影すると、極めて鮮明なネガ画像
が投影された。
【0039】次に、これを消去する際は、さらに高い温
度である110℃の熱ローラ(図示せず)に通すと、二
量体を形成していた分子cが単量体に戻り(図2と図4
のの状態)、室温に戻すと単量体のまま固化するた
め、低分子有機化合物cとアクリル樹脂dとの屈折率の
違いから、透明な部分が白濁して全体が元の白地に戻り
文字が消失した(図2と図4のの状態)。そして、こ
のOHPシートは、書換えを500回繰り返しても問題
なく使用することができた。
【0040】このように、サーマルプリンタで直接OH
Pシートを作成でき、校正後はまた消去して使用できる
ため無駄がない。なお、ポリエステルフイルムのような
透明支持体は、一般のポリエチレンテレフタレート、ア
セチルセルロース等を用いることができる。次に、熱可
逆性記録材料の白色(不透明)状態及び透明状態のサン
プルを電子顕微鏡で観察すると白色状態の場合は上記縮
合物cの約0.2〜4.0μmの微細粒子が分布してお
り、透明状態の場合も粒子は明瞭な形で存在しており、
透明性のみが増加していることが判った。光透過率は透
明状態で87%、不透明状態で60%であった。
【0041】第4の実施例において、溶剤としてトルエ
ンの代わりにアセトンを用いる以外は同様にして、表3
に示す比較例1の熱可逆性記録材料を得た。
【0042】
【表3】
【0043】この結果、低分子有機化合物cがアセトン
に溶解し易く、製膜過程で適正な粒子径に分散されず、
0.1μm以下の溶解状態で存在するため、不透明化時
の光透過率が大き過ぎ、コントラストが得られないもの
であった。本発明の第二の態様(図2の構成)で用いら
れる高分子樹脂としては、低分子有機化合物と相溶しな
いものが好ましく、硬化型樹脂を用いる。また、熱可塑
性樹脂を用いる場合は、低分子有機化合物と相溶しない
樹脂を用いる。また、予め低分子有機化合物と相溶しな
い樹脂でマイクロカプセル化したものを熱可塑性樹脂に
分散してもよい。
【0044】硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、ユ
リア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル
樹脂等が用いられ、その時の熱可逆性記録材料の製造方
法は、低分子有機化合物とオリゴマーまたはモノマー及
び、重合開始剤を加え均一に分散し、それを支持体に塗
工し、熱、光または電子線により重合する。
【0045】高コントラストを得るための光透過率の条
件及び、低分子有機化合物が微細粒子を形成した時のそ
の粒子径及び配合比率は本発明の第一の態様(図1の構
成)と同様である。本発明の第5の実施例は、本発明を
感熱シートに適用したものであり、図8に示される。
【0046】図8において、第4の実施例の熱可逆性記
録層21と保護膜23とを、黒色に着色した厚さ80μ
mのコート紙24の上に形成し、感熱シートを形成し
た。これに富士通製ワープロOASYS30ms(商
標)の90℃のサーマルプリンタ(図示せず)で印字す
ると、白地に黒文字が鮮明に印字された。そして、これ
を110℃の熱ロール(図示せず)に挟んで通すと文字
が消失した。
【0047】白色部は背後に黒色の紙があるにもかかわ
らず、その影響を殆ど受けず、白色度が高いため極めて
白黒のコントラストが良好であった。これは、従来感熱
紙が用いられた分野を本発明の書換え型感熱シートに置
き換えることにより、使い捨ての無駄を省くこと、また
感熱紙に限らず、手書きのメモ用紙や一度で使い捨ての
申込み用紙などをこれに置き換えることにより、何度も
繰り返して使うことが可能になり、紙の消費削減に寄与
するものである。
【0048】本発明では支持体として白以外の色に着色
したフィルム、紙、その他複合材料からなるシートを用
い、その上に熱可逆性記録材料を設けるものであり、さ
らに耐熱性の保護層または保護フイルムを設けた構成で
あり、ロール状、カット紙状いずれでも用いられる。ま
たこれは、パソコン、ワープロ等の出力用のサーマルプ
リンタにセットして用いれば、校正用として先ず打ち出
し、不要時は消去することにより何度も繰り返して使用
でき、極めて便利なものである。また、ファクシミリに
使用すれば、従来保存用に必ずコピーしておりオリジナ
ルは捨てていた無駄を省くことが可能になる。
【0049】スペーサに関しては、第3の実施例と同様
の技術が応用可能である。 〔第6の実施例〕本発明の第6の実施例は、本発明を磁
気カードに適用したものであり、図2及び図4に示され
る態様を利用したもので、図9に磁気カードの断面図を
示している。
【0050】 ステアリン酸 20重量% ゼラチン 5重量% エチルセルロース 75重量% エチルアルコール 400重量% ステアリン酸をゼラチン水溶液でマイクロカプセル化
し、これをエチルセルロースのエチルアルコール溶液に
加え分散液を作成し(図2のの状態)、これをキャス
ト法により磁気カードの磁気記録面上32に塗工し、6
5℃で乾燥させ、マイクロカプセル法による本発明の第
二の態様(図2の構成)の白色不透明の熱可逆性記録材
料から成る熱可逆性記録層31が得られる(図2のの
状態)。図9において、上記で得た熱可逆性記録層31
の表面にアロニックスUV−3333(東亜合成、一液
型UV硬化アクリル樹脂)を5μm塗工し、UV(紫外
線)硬化させ保護膜33を形成した。
【0051】これに富士通製カードリーダライタの80
℃のサーマルプリンタ(図示せず)で印字すると、印字
部分の熱可逆性記録材料中にある低分子有機化合物ステ
アリン酸の分子が二量体を形成する(図2と図4のの
状態)。その後、印字部分の温度が室温に戻ると、二量
体を形成した分子がそのまま固化するため、ステアリン
酸とエチルセルロースとの屈折率がほぼ等しくなり、印
字部分の熱可逆性記録材料は透明に変化し(図2と図4
のの状態)、白地に黒文字が鮮明に印字された。白色
部は背後に黒色の磁気記録層34があるにもかかわら
ず、その影響を殆ど受けず、白色度が高いため極めて白
黒のコントラストが良好であった。
【0052】次に、これを110℃の熱ロール(図示せ
ず)に挟んで通すと、二量体を形成していた分子が単量
体に戻り(図2と図4のの状態)、室温に戻すと単量
体がそのまま固化するため、ステアリン酸とエチルセル
ロースとの屈折率の違いから、透明な部分が白濁して全
体が元の白地に戻り文字が消失した(図2と図4のの
状態)。そして、これを500回繰り返しても、問題な
く印字できた。
【0053】第6の実施例では、磁気カードの表面に印
刷をして、裏面に熱可逆性記録層により表示ができる。
しかし、磁気面に熱可逆性記録層を設けているため、磁
気読み取りの問題から、膜厚を10μm以内にする必要
がある。次に、熱可逆性記録材料の白色(不透明)状態
及び透明状態のサンプルを電子顕微鏡で観察すると、白
色状態の場合はステアリン酸の約0.4〜0.8μmの
微細粒子が極めて粒径分布幅が狭く分布していた。透明
状態の場合は粒子が極めて明瞭な形で存在しており、マ
イクロカプセルで完全に保護されていることが判った。
光透過率は透明状態で88%、不透明状態で58%であ
った。
【0054】マイクロカプセル化は公知の方法が用いら
れ、低分子有機化合物をカプセル化する材料は、低分子
有機化合物と溶解しないことが必要であり、ゼラチン、
ポリビニルアルコール等が用いられる。マイクロカプセ
ルを保持する高分子樹脂は、前述の熱可塑性樹脂がいず
れも用いられる。但し、マイクロカプセルと高分子樹脂
は、屈折率を合わせる必要がある。
【0055】〔第7の実施例〕本発明の第7の実施例
は、第6の実施例を変形した磁気カードに適用したもの
であり、図10に示される。図10において、第6の実
施例の熱可逆性記録層31と保護膜33とを、磁気カー
ド32の磁気記録面と反対面に青色の着色層35を設
け、その上に設けた。
【0056】これに富士通製カードリーダライタの80
℃のサーマルプリンタ(図示せず)で印字すると、白地
に青文字が鮮明に印字された。そして、これを110℃
の熱ロール(図示せず)に挟んで通すと文字が消失し
た。白色部は背後に青色の着色層があるにもかかわら
ず、その影響を殆ど受けず、白色度が高いため極めてコ
ントラストが良好であった。
【0057】磁気カードへの記入を書換え型とすること
で、誤記入の訂正や記入項目数の多い場合の対策や書換
え式のインフォメーション、広告サービスといった新規
サービスへの展開が可能になる等の利点がある。スペー
サに関しては、第3の実施例と同様の技術が応用可能で
ある。 〔第8の実施例〕本発明の第8の実施例は、本発明を調
光フイルムに適用したものであり、図3及び図4に示さ
れる態様を利用したもので、図11に調光フイルムの断
面図を示している。
【0058】 エルカ酸アミドe 50重量% ポリエステルポリオール(武田薬品、タケラックU−53) 35重量% ポリイソシアネート(武田薬品、タケネートD−160N) f15重量% トルエン 100重量% をサンドミルで均一に分散し(図3のの状態)、厚さ
120μmのポリエステルフイルム42に塗工し、60
℃で溶剤であるトルエンを蒸発させ、次にUV光(紫外
線)を照射して硬化し、厚さ7μmの本発明の第三の態
様(図3の構成)による白色不透明の熱可逆性記録材料
から成る熱可逆性記録層41が得られる(図3のの状
態)。
【0059】図11において、上記で得た熱可逆性記録
層41の表面にポリエチレンナフタレートの20μmフ
イルム42を貼り合わせ保護膜43を形成した。次い
で、上記ポリエステルフイルム42と耐熱保護フイルム
44の間に、厚さ100μmのポリエステルフイルムに
透明抵抗体パターンを施した透明発熱シート45(グン
ゼ製、透明フイルムヒータ)を重ね合わせて、一体化し
て、電流を印加できるように電線を取り付け、さらに電
圧を切り替えて発熱温度を二段階に切り替えられるよう
に構成し、本発明の調光フイルムを作製した。
【0060】これに電流を印加し、発熱シートを90℃
に発熱させると、熱可逆性記録材料中にあるエルカ酸ア
ミドeの分子が二量体を形成する(図3と図4のの状
態)。その後、発熱させた部分の温度が室温に戻ると、
二量体を形成した分子がそのまま固化するため、エルカ
酸アミドeとポリエステルポリオール/ポリイソシアネ
ート硬化物fとの屈折率がほぼ等しくなり、発熱させた
部分の熱可逆性記録材料は透明に変化し(図3と図4の
の状態)、調光フイルムは透明化した。
【0061】次に、スイッチを切り替えて110℃に発
熱させると、二量体を形成していた分子eが単量体に戻
り(図3と図4のの状態)、スイッチを切り室温に戻
すと単量体がそのまま固化するため、エルカ酸アミドe
とポリエステルポリオール/ポリイソシアネート硬化物
fとの屈折率の違いから、透明な部分が白濁して全体が
不透明化した(図3と図4のの状態)。そして、これ
を500回繰り返しても、問題なかった。
【0062】次に、熱可逆性記録材料の白色(不透明)
状態及び透明状態のサンプルを電子顕微鏡で観察すると
白色状態の場合はエルカ酸アミドeの連続相微細構造が
複雑に分布しており、高分子ウレタンfはエルカ酸アミ
ドeの中に三次元網状(スポンジ状)に形成しており、
透明状態の場合もこのままで存在しており透明度のみが
増加していることが判った。光透過率は透明状態で90
%、不透明状態で55%であった。
【0063】前述の本発明の第二の態様(図2の構成)
との違いは低分子有機化合物がドット状か連続相かの違
いである。つまり、本発明(第一の態様)、(第二の態
様)では、熱可逆性記録材料の構成において、低分子有
機化合物が全体の5〜40容量%程度を占めており、そ
の粒子径は0.1〜5μmが最適であった。本発明(第
3の態様)では、熱可逆性記録材料の構成において、低
分子有機化合物が全体の30〜80容量%を占めてお
り、連続相を成している。連続相の場合においても透
明、不透明の原理は類似しており、同様な機能を有する
が、異なる点は、連続相の方が、光散乱能力が大きいた
め、より大きなコントラストを得られることである。こ
れにより、同じコントラストを得るのに、より薄い膜厚
でこれを達成する事ができるという利点がある。
【0064】〔第9の実施例〕本発明の第9の実施例
は、本発明の調光ガラスに適用したものであり、図12
に示される。図12において、第8の実施例で得た調光
フイルムをポリビニルブチラールを介して二枚のガラス
板46で挟み、調光ガラスを作製した。これを透明ガラ
スに取り付けると、透明、不透明を切り替えたい時にの
みスイッチを入れればよく、従来の液晶タイプのよう
に、透明化するときは常時電気を通電する必要もなく、
便利であった。
【0065】調光フイルムや調光ガラスは、カーテンや
スリガラスの代わりに使い、必要な時にもとに戻すこと
が可能であるが、従来は液晶を用いているため非常に高
価であったが、本発明によれば、非常に安価に製造でき
る。また、透明にするため常時電圧を印加する必要がな
いという利点がある。ここで本発明で使用できる低分子
有機化合物の一例として下記の化合物が挙げられる。
【0066】まず、不透明から透明にする時に熱を加え
ることが第一の条件であるために、低分子有機化合物の
融点が室温よりも高くなければならない。そこで、融点
が40℃以上の低分子有機化合物では、高級脂肪酸アミ
ド、高級アルコール、飽和・不飽和高級脂肪酸、アミノ
酸、低分子ウレタン等が挙げられる。上記高級脂肪酸ア
ミドとしては、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミ
ド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ドコサ
ン酸アミド、アラキジン酸アミド、オレイン酸アミド、
エルカ酸アミド、エルシン酸アミド、エライジン酸アミ
ド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、リシノール
酸アミド、ステアリルステアリン酸アミド、ジステアリ
ルステアリン酸アミド等がある。
【0067】高級アルコールとしては、ステアリルアル
コール、ラウリルアルコール等がある。高級脂肪酸とし
ては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、ドコサン酸、アラキジン酸等がある。アミノ
酸としては、グルタミン酸等がある。
【0068】低分子ウレタンとしては、ヘキサメチレン
ジイソシアネートのアルコール縮合物、キシリレンジイ
ソシアネートのアルコール縮合物、オクチルモノイソシ
アネート等がある。最後に、第1,4,6,8の実施例
と前述の従来例において、種々の条件におけるコントラ
ストの比較を、表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】上述の如く、本実施例では、温度変化によ
り透明と不透明とを繰り返す熱可逆性記録材料におい
て、低分子有機化合物が溶けない溶剤を用いて、低分子
有機化合物の融点での溶解性に近い溶解性を持つ高分子
樹脂を使用したり、低分子有機化合物が融点で溶解した
時、高分子樹脂は低分子有機化合物と相溶しないものを
用いたり、低分子有機化合物をマイクロカプセル化した
り、低分子有機化合物と高分子樹脂の割合いによって、
低分子有機化合物の粒子径を0.1〜5μmのドット状
にしたり、低分子有機化合物を連続相にすることができ
る。したがって、高コントラストを得ることができる。
【0071】尚、実施例では、熱可逆性記録材料の上に
保護膜を用いることにより、熱可逆性記録材料の傷や汚
れ、熱ペンとの融着がなく寿命が大幅に向上する。保護
膜は軟化点が存在しないか、あるいは150℃以上であ
り、光透過率が65%以上である樹脂を用いる。すなわ
ち、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等
の架橋性樹脂を表面塗工して硬化させるか、軟化点15
0℃以上の熱可塑性樹脂を塗工するかフイルムをラミネ
ートする方法で達成できる。上記熱可塑性樹脂フイルム
としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。
【0072】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明は構成される
ものであるから、不透明度が大きく、下地が透けて見え
ないため、白色度が大きく、遠くからも見やすい表示が
えられ、且つ膜厚を薄くできるため、従来と比較して感
度、応答性の優れた記録が行える効果を奏する。
【0073】また、これを応用した製品は、使い捨ての
無駄を省き、表示の自動化、省力化に寄与するところが
大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(1)の原理図となる熱可逆性記録材料
の模式図である。
【図2】本発明(2)の原理図となる熱可逆性記録材料
の模式図である。
【図3】本発明(3)の原理図となる熱可逆性記録材料
の模式図である。
【図4】本発明の熱可逆性記録材料の温度による透明度
を表わしたグラフである。
【図5】本発明の第1の実施例における表示板の断面図
である。
【図6】本発明の第2の実施例における表示板の断面図
である。
【図7】本発明の第3の実施例におけるOHPシートの
断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例における感熱シートの断
面図である。
【図9】本発明の第5の実施例における磁気カードの断
面図である。
【図10】本発明の第6の実施例における磁気カードの
断面図である。
【図11】本発明の第7の実施例における調光フイルム
の断面図である。
【図12】本発明の第8の実施例における調光ガラスの
断面図である。
【図13】本発明の二量体を形成する低分子有機化合物
の構造式である。
【図14】従来例の原理図となる熱可逆性記録材料の模
式図である。
【図15】本発明における低分子有機化合物が二量体化
していることを、示すIRチャートである。
【図16】本発明における低分子有機化合物の二分子配
列の模式図である。
【図17】本発明の第2の態様における熱可逆性材料
(透明状態)のTEM写真(20000倍)である。
【図18】本発明の第2の態様における熱可逆性材料の
X線回折図(断面方向)である。
【図19】本発明の第2の態様における熱可逆性材料の
X線回折図(正面方向)である。
【図20】本発明の第2の態様の熱可逆性材料の熱可逆
性メカニズムを説明する図である。
【図21】低分子有機化合物の一分子配列の模式図であ
る。
【符号の説明】
A…二量体を形成するためのプロトン供与基 B…二量体を形成するためのプロトン受容基 C…水素結合により形成された二量体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹治 成生 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低分子有機化合物を高分子樹脂中に分散
    し、温度履歴により透明状態と不透明状態を可逆的に繰
    り返すことのできる熱可逆性記録材料において、前記低
    分子有機化合物は一分子内にプロトン供与基(A)及び
    プロトン受容基(B)の両方を有し、該低分子有機化合
    物の遷移温度T1において二量体(C)を形成してお
    り、さらに、温度T1よりも高い温度T2において単量
    体に分離することを特徴とする熱可逆性記録材料。
  2. 【請求項2】 前記低分子有機化合物(a)が遷移温度
    T1で前記高分子樹脂(b)中に溶解し、さらに、温度
    T1よりも高い温度T2で該高分子樹脂(b)から相分
    離することを特徴とする請求項1記載の熱可逆性記録材
    料。
  3. 【請求項3】 前記低分子有機化合物(c)が前記高分
    子樹脂(d)中にドット状に分散された構造であり、該
    低分子有機化合物(c)の遷移温度T1で、該高分子樹
    脂(d)は該低分子有機化合物(c)と相溶せず、ドッ
    ト状を維持していることを特徴とする請求項1記載の熱
    可逆性記録材料。
  4. 【請求項4】 前記高分子樹脂(f)が三次元網状の構
    造を形成しており、前記低分子有機化合物(e)が該高
    分子樹脂(f)中に連続相状態で存在する構造であり、
    該低分子有機化合物(e)の遷移温度T1で、該高分子
    樹脂(f)は該低分子有機化合物(c)と相溶せず、三
    次元網状を維持していることを特徴とする請求項1記載
    の熱可逆性記録材料。
  5. 【請求項5】 前記低分子有機化合物がマイクロカプセ
    ル化した状態で、前記高分子樹脂中に分散されているこ
    とを特徴とする前記請求項3記載の熱可逆性記録材料。
  6. 【請求項6】 一分子内にプロトン供与基(A)及びプ
    ロトン受容基(B)の両方を有する前記低分子有機化合
    物(a)と、前記高分子樹脂(b)と、溶剤とを混合し
    た液を作る工程と、溶剤中に該液中の低分子有機化合物
    を分散させ分散液を作成する工程と、 支持体(12)上に、分散液を塗布する工程と、 しかる後に、該分散液を乾燥し、熱可逆性記録材料を得
    る工程を含んでなり、 前記溶剤は、前記低分子有機化合物(a)の非溶媒また
    は貧溶媒で、前記高分子樹脂(b)とは溶解することを
    特徴とする前記請求項2又は3に記載の熱可逆性記録材
    料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記低分子有機化合物と、オリゴマーも
    しくはモノマー、またはオリゴマーとモノマーと、重合
    開始剤とを加えた液を分散する工程と、 該分散液を支持体上に塗工する工程と、 しかる後に、該オリゴマーもしくは該モノマーまたは該
    オリゴマーと該モノマーを重合させ、高分子樹脂を得る
    工程を含んで成る前記請求項6記載の熱可逆性記録材料
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記低分子有機化合物をマイクロカプセ
    ル化する工程と、該低分子有機化合物を前記高分子樹脂
    中に分散したことを特徴とする前記請求項6記載の熱可
    逆性記録材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 支持体上に前記請求項1記載の熱可逆性
    記録材料からなる記録層(11)を有し、発熱手段(1
    5)により、該記録層(11)が透明化と不透明化に可
    逆的に変化することを特徴とする書換え可能な感熱記録
    媒体。
  10. 【請求項10】 前記熱可逆性記録材料の表面に保護層
    (13)を設けることを特徴とする前記請求項9記載の
    感熱記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記熱可逆性記録層(11)と着色層
    (14)との間に距離(18)をおくことを特徴とする
    前記請求項9記載の感熱記録媒体。
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