JPH06116318A - 高ビニル結合を有するブタジエン系重合体の製造方法 - Google Patents

高ビニル結合を有するブタジエン系重合体の製造方法

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JPH06116318A
JPH06116318A JP28702592A JP28702592A JPH06116318A JP H06116318 A JPH06116318 A JP H06116318A JP 28702592 A JP28702592 A JP 28702592A JP 28702592 A JP28702592 A JP 28702592A JP H06116318 A JPH06116318 A JP H06116318A
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幸平 後藤
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昌宏 柴田
Yoshiyuki Michino
善行 道野
Yuji Obara
雄二 小原
Yoshihiro Mori
好弘 森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規な触媒系を用い、かつ特定の重合溶媒中
でスラリーを形成させて重合することにより、特に結晶
性の高いおよび/または分子量の高い高ビニル結合含量
の結晶性ブタジエン系重合体を高生産性で製造する。 【構成】 1,3−ブタジエンを少なくとも50モル%
以上含有する共役ジエンを、(A)コバルトの有機酸
塩、(B)ホスフィン化合物、および(C)アルミノオ
キサンを含有する有機アルミニウムを含む触媒を用い、
重合溶媒に炭素数2〜6の脂肪族炭化水素を用い、生成
する重合体を析出させスラリー状の形態で重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高ビニル結合を有する
ブタジエン系重合体の製造方法に関し、さらに詳細には
新規な触媒系を用い、かつ特定の重合溶媒中でスラリー
を形成させて重合することにより、特に結晶性の高いお
よび/または分子量の高い高ビニル結合含量の結晶性ブ
タジエン系重合体を高生産性で重合可能なブタジエン系
重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】適度な結晶化度に制御した1,2−ポリ
ブタジエンは、結晶性に富んだ領域と非晶性部とからな
る構造を有するため、熱可塑性エラストマーとしての機
能だけでなく、分子中に化学反応性に富んだ炭素−炭素
二重結合を有しているため、従来の加硫ゴムや架橋密度
を高めた熱硬化性樹脂の機能も有する。また、この1,
2−ポリブタジエンは、優れた加工性を有することか
ら、他の樹脂や熱可塑性エラストマーの改質材、医療用
高分子材料として展開されている。
【0003】従来、これらの結晶化度の制御された1,
2−ポリブタジエンは、コバルト塩のホスフィン錯体と
トリアルキルアルミニウムと水からなる触媒(特公昭4
4−32425号公報)、コバルト化合物、トリアルキ
ルアルミニウムと水、およびトリフェニルホスフィン誘
導体からなる触媒(特公昭61−27402号公報)に
より得られている。これらの触媒系では、塩化メチレン
に代表されるハロゲン化炭化水素溶媒では高い重合活性
を示すが、汎用的な炭化水素系溶媒では重合活性が低下
するという問題がある。また、得られる重合体の分子特
性である分子量と融点の制御範囲が比較的狭く、広範囲
に分子特性が制御された重合体の製造には至っていな
い。例えば、前者では高分子量の領域の製造が困難であ
ること、後者においては高結晶化度(高融点)の重合体
の製造には特殊な配位子の使用が必須であり、これを意
図するため重合温度を低下させて重合を行っても、重合
速度が遅くなり生産性が低下し、またその結晶化度(融
点)の上限には自ずから限界がある。
【0004】以上の問題点に鑑み、本願出願人は、先に
特定の触媒系を用いることにより、炭化水素溶媒におい
ても高活性で重合し、得られる重合体が高ビニル結合含
量で、かつ結晶性であり、しかも重合体の結晶化度(融
点)を制御することが可能なブタジエン系重合体の製造
方法を提供した(特願平4−31312号明細書)。
【0005】しかしながら、溶液重合の手法では、結晶
性の高いおよび/または分子量の高い分子特性の重合体
を製造すると、溶液粘度が極めて高くなり攪拌が困難と
なって、重合熱の除熱、溶媒の除去、移送にも問題があ
る。そのため、重合系の生産性を犠牲にすることにな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、新規な触媒系を用
い、かつ特定の重合溶媒中でスラリーを形成させて重合
することにより、特に結晶性の高いおよび/または分子
量の高い高ビニル結合含量の結晶性ブタジエン系重合体
を高生産性で重合可能なブタジエン系重合体の製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、1,3−ブタ
ジエンを少なくとも50モル%以上含有する共役ジエン
を、(A)コバルトの有機酸塩、(B)ホスフィン化合
物、および(C)アルミノオキサンを含有する有機アル
ミニウムを含む触媒を用い、重合溶媒に炭素数2〜6の
脂肪族炭化水素を用い、生成する重合体を析出させスラ
リー状の形態で重合することを特徴とする高ビニル結合
を有するブタジエン系重合体の製造方法を提供するもの
である。
【0008】本発明で用いられる1,3−ブタジエン以
外の共役ジエンとしては、4−アルキル置換−1,3−
ブタジエン、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンな
どが挙げられる。このうち、4−アルキル置換−1,3
−ブタジエンとしては、1,3−ペンタジエン、1,3
−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オク
タジエン、1,3−ノナジエン、1,3−デカジエンな
どが挙げられる。
【0009】また、2−アルキル置換−1,3−ブタジ
エンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエ
ン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、
2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル
−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエ
ン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル
−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタ
ジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シク
ロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−
1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエ
ン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オク
チル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3
−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンの
なかで、1,3−ブタジエンと混合して用いられる好ま
しい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中の
1,3−ブタジエンの含有量は50モル%以上、好まし
くは70モル%以上であり、50モル%未満では得られ
る重合体が融点を示さず、無定形となるため好ましくな
い。
【0010】次に、本発明の触媒に使用される(A)コ
バルトの有機酸塩は、有機溶媒への溶解性の面から、好
ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩である。こ
の(A)コバルトの有機酸塩の具体例は、酪酸塩、ヘキ
シル酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチル−ヘキシル酸など
のオクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイ
ン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリ
ル酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキ
ル、アラルキル、アリル置換安息香酸塩やナフトエ酸
塩、アルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ
酸塩を挙げることができる。これらのうち、2−エチル
ヘキシル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸
塩、安息香酸塩が、有機溶媒への優れた溶解性のために
好ましい。
【0011】また、本発明の触媒のうち、(B)ホスフ
ィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造およ
び結晶化度の制御に必須の成分であり、一般式(I)で
表される有機リン化合物である。
【0012】
【化1】
【0013】R1 、R2 およびR3 の炭素数は特に限定
されないが、好ましくは1〜6である。(B)ホスフィ
ン化合物としては、トリ(3−メチルフェニル)ホスフ
ィン、トリ(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ
(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(3,5−ジ
メチルフェニル)ホスフィン、トリ(3,4−ジメチル
フェニル)ホスフィン、トリ(3−イソプロピルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(3−t−ブチルフェニル)ホス
フィン、トリ(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィ
ン、トリ(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィ
ン、トリ(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ
(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ
(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィ
ン、トリ(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)
ホスフィン、トリ(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフ
ェニル)ホスフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホ
スフィン、トリ(3−メトキシフェニルホスフィン)、
トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェ
ニルホスフィン、ジシクロヘキシルベンジルホスフィ
ン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、トリベンジ
ルホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィ
ン)、1,2−ジフェニルホスフィノエタン、1,3−
ジフェニルホスフィノプロパン、1,4−ジフェニルホ
スフィノブタン、トリ(4−エチルフェニルホスフィ
ン)などを使用することができる。これらのうち、特に
好ましいものとしては、トリフェニルホスフィン、トリ
−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メ
トキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ
(4−メトキシフェニル)ホスフィンなどが挙げられ
る。
【0014】さらに、本発明の触媒に使用される(C)
有機アルミニウムは、重合に関与する遷移金属化合物を
共役ジエンの重合に適した配位構造をとれるような還元
状態に維持させる還元剤としての作用をなすものであ
る。(C)成分のうち、アルミノオキサンとしては、例
えば一般式(II) または一般式(III)
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】(式中、R′は炭化水素基、mは2以上の
整数を示す)で表される有機アルミニウム化合物を挙げ
ることができる。この一般式(II) あるいは(III)で表
されるアルミノオキサンにおいて、R′はメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であ
り、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好まし
くはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは
5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。
このアルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミ
ノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミ
ノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げること
ができる。
【0018】この際、(C)成分として、アルミノオキ
サンのほかに、他のアルミニウム化合物を併用すること
ができる。この他のアルミニウム化合物としては、アル
キルアルミニウム、ハロゲン化アルキルアルミニウム化
合物、アルキルアルミニウムアルコキサイドなどが挙げ
られる。このうち、アルキルアルミニウムとしては、ト
リメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ
イソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウムな
どが挙げられる。
【0019】また、ハロゲン化アルキルアルミニウム化
合物は、一般式AlR4 p 3-p (式中、R4 はアルキ
ル基、Xはハロゲン原子、pは0、1、1.5または2
を示す)で表される。ここで、アルキル基は、炭素数1
〜8を有する直鎖状または分岐状のアルキル基、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。
また、ハロゲン原子Xとしては、フッ素原子、塩素原
子、ヨウ素原子が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。
【0020】このハロゲン化アルキルアルミニウム化合
物の具体例としては、ジエチルアルミニウムフルオライ
ド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミ
ニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイ
ド、ジイソブチルアルミニウムフルオライド、ジイソブ
チルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウ
ムブロマイド、ジイソブチルアルミニウムアイオダイ
ド、ジヘキシルアルミニウムフルオライド、ジヘキシル
アルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムブロ
マイド、ジヘキシルアルミニウムアイオダイド、ジオク
チルアルミニウムフルオライド、ジオクチルアルミニウ
ムクロライド、ジオクチルアルミニウムブロマイド、ジ
オクチルアルミニウムアイオダイド、エチルアルミニウ
ムジフルオライド、エチルアルミニウムジクロライド、
エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウム
ジアイオダイド、イソブチルアルミニウムジクロライ
ド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムセスキクロライド、アルミニウムトリクロライ
ド、アルミニウムトリブロマイド、アルミニウムトリア
イオダイドなどが挙げられる。
【0021】さらに、アルキルアルミニウムアルコキサ
イドとしては、一般式AlR5 q (OR6 3-q(式
中、R5 およびR6 は同一または異なりアルキル基、q
は1または2を示す)で表される有機アルミニウム化合
物のアルコキシ誘導体が挙げられる。このうち、アルキ
ル基は、炭素数1〜8の直鎖状または分岐状アルキル
基、例えばメチル基、エチル基、n−ブチル基、イソブ
チル基、ヘキシル基、オクチル値など挙げられる。
【0022】アルキルアルミニウムアルコキサイドの好
ましい具体例としては、ジエチルアルミニウムモノメト
キサイド、ジエチルアルミニウムモノエトキサイド、ジ
エチルアルミニウムモノブトキサイド、ジイソブチルア
ルミニウムモノメトキサイド、ジイソブチルアルミニウ
ムモノブトキサイド、エチルアルミニウムジメトキサイ
ド、エチルアルミニウムジエトキサイド、エチルアルミ
ニウムジブトキサイド、イソブチルアルミニウムジメト
キサイド、イソブチルアルミニウムジエトキサイド、イ
ソブチルアルミニウムジブトキサイドなどが挙げられ
る。
【0023】以上の他のアルミニウム化合物のうち、ト
リメチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアル
ミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムモノエト
キサイド、ジエチルアルミニウムモノエトキサイド、エ
チルアルミニウムモノエトキサイド、およびエチルアル
ミニウムジエトキサイドが、アルミノオキサンとの併用
において高触媒活性を有するので好ましい。
【0024】(C)有機アルミニウムにおいて、他のア
ルミニウム化合物に対するアルミノオキサンの使用割合
は、アルミニウム原子比で100/0〜30/70であ
る。以上の他のアルミニウム化合物は、アルミノオキサ
ンと併用して1種または2種以上で用いられる。
【0025】本発明に使用される触媒には、さらに必要
に応じてエステル化合物、アルコール化合物、フェノー
ル化合物、スルホキサイド化合物、含チッ素複素環化合
物、水、第3級アミン化合物などの重合活性剤を添加し
てもよい。この重合活性剤の添加量は、(C)有機アル
ミニウムのAl原子に対し、10-3〜10モル当量であ
る。
【0026】なお、本発明において使用される触媒の使
用量は、共役ジエン1モルあたり、(A)コバルトの有
機酸塩は、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモ
ル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度である。
また、(B)ホスフィン化合物の使用量は、(A)成分
のコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)とし
て、通常、0.1〜50、好ましくは0.5〜20、さ
らに好ましくは1〜20である。この比が0.1未満で
も50を超えても、重合活性が低下する。さらに、
(C)有機アルミニウムの使用量は、(A)コバルトの
有機酸塩のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比
(Al/Co)として、通常、4〜107 、好ましくは
10〜106 である。
【0027】本発明に使用される触媒は、触媒各成分を
任意の順序で、不活性有機溶媒中で混合することによっ
て調製される。好ましくは、(A)成分と(B)成分を
あらかじめ混合して調製すると、高活性な触媒が安定よ
く形成できる。また、(C)有機アルミニウムは、あら
かじめ混合し、(A)〜(B)成分と反応系中で接触さ
せることが好ましい。なお、触媒は、これを本発明の
1,3−ブタジエンを主成分とする共役ジエンに接触さ
せる前にあらかじめ各成分を混合して調製しておいても
よく、また重合反応器中で該共役ジエンの存在下で各成
分を混合して調製することもできる。
【0028】本発明では、1,3−ブタジエンを主体と
する共役ジエンを、前記触媒、すなわち(A)〜(C)
成分を主成分とする触媒を用い、重合溶媒に炭素数2〜
6の脂肪族炭化水素を用いてスラリー重合する。重合溶
媒として用いられる炭素数2〜6の脂肪族炭化水素とし
ては、例えばエタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサンなどのパラフィン、エチレン、プロピレン、ブテ
ン類、ペンテン類、ヘキセン類などのオレフィンや、こ
れらの混合物、いわゆるC4 留分、C5 留分などが挙げ
られる。
【0029】また、スラリー重合を維持するためには、
重合温度の設定も重要な因子となる。重合温度は、通
常、−50〜100℃、好ましくは−40〜80℃、さ
らに好ましくは−30〜60℃の範囲であり、−50℃
未満では広い範囲の融点、分子量の重合体に適用可能で
あるが、重合速度の低下や低温の維持のため大きなエネ
ルギーを要するので実用的でなく、一方100℃を超え
ると高融点でかつ高分子量の狭い範囲の分子特性を有し
た重合系のみにしか適用できず、実用的ではない。本発
明のスラリー重合において、重合反応は、回分式でも、
連続式でもよい。
【0030】重合の進行にともない、生成するブタジエ
ン系重合体は、前記重合溶媒への溶解度が低いので、析
出が起こる。このとき、高い攪拌効率の維持が重合体を
粒状に生成させ、重合系にスラリー状となって存在する
ための条件である。ここで定義する攪拌効率は、単位体
積あたりに必要な攪拌動力〔Pv(kw/m3 )〕で表
され、この値が5×10-3kw/m3 以上、好ましくは
0.01kw/m3 以上であればよい。攪拌動力がこの
値未満では、スラリーは形成されず、均一な攪拌、除
熱、移送などに問題のある膨潤した寒天状の重合体が生
成する。ここで、スラリー状とは、重合系を静置後、重
合体粒子が沈澱または浮遊状態で分離する状態、または
分離しなくても大部分の重合体がろ過工程によって分離
できる状態となった形態をいう。重合溶媒として、芳香
族炭化水素、脂環族炭化水素あるいはハロゲン化炭化水
素を用いると、均一な重合溶液として得られるか、ある
いは結晶性の高い重合体の場合には、流動状態の悪い膨
潤状態でしか得られず、生成重合体の分離、回収が困難
となり、本発明の目的の一つである高生産性を達成する
ことができない。
【0031】また、スラリー重合を維持するには、重合
系中のスラリー濃度を規定する単量体濃度も重要な因子
となる。単量体濃度は、通常10〜50重量%、好まし
くは10〜35重量%である。10重量%未満では、ス
ラリー重合による高生産性のメリットがない。一方、5
0重量%を超えると、重合温度の上昇が速く重合の制御
が困難となるので好ましくない。
【0032】なお、重合体を製造するために、本発明の
触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸
素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の
混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が
所望の段階まで進行したら、反応混合物をアルコール、
その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤などを添加し、次いで未反応の単量体を蒸発除去
し、スラリー状態の重合生成物をろ別し、洗浄、乾燥し
て目的のブタジエン系重合体を得ることができる。この
ように、生成されたブタジエン系重合体は、重合系の粘
度が極めて低いので、結晶化度の高い高融点の重合体お
よび/または分子量の高い重合体の製造においても単量
体濃度を下げなくても、条件によっては溶液重合時に較
べて高濃度下で反応を進行させることができ、またスラ
リー状であるため、生成重合体の分離は極めて容易であ
り、高い生産性が確保される。
【0033】本発明の製造方法によって得られるブタジ
エン系重合体は、ブタジエン部分のビニル結合含量が8
0%以上、好ましくは85%以上である。また、本発明
で得られるブタジエン系重合体の融点は、50〜150
℃、好ましくは50〜145℃である。さらに、本発明
で得られるブタジエン系重合体の分子量は、広い範囲に
わたって変化させることができるが、そのポリスチレン
換算の重量平均分子量は、通常、104 〜106 、好ま
しくは5×105 〜106 であり、104 未満では強度
的性質に劣るために好ましくなく、一方106 を超える
と加工性が劣り、ロールやバンバリーでの混練り時にト
ルクが過大にかかったり、配合薬品やカーボンブラック
などの補強剤の分散が不良となり加硫物の性能が劣るな
どの問題が生起し好ましくない。
【0034】さらに、本発明で得られるブタジエン系重
合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と
数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(M
w/Mn)を広い範囲にわたって変化させることができ
るが、通常、1.5〜5.0である。
【0035】本発明により得られるブタジエン系重合体
は、該重合体を、単独でまたは他の合成ゴムもしくは天
然ゴムとブレンドして原料ゴムとして配合し、必要なら
ばプロセス油で油展し、次いでカーボンブラックなどの
充填剤、加硫剤および加硫促進剤などの通常の加硫ゴム
配合剤を加えてゴム組成物とし、これを加硫し、機械的
特性および耐摩耗性が要求されるゴム用途、例えばタイ
ヤ、ホース、ベルト、スポンジ、履物素材、シート、フ
ィルム、チューブ、包装材、樹脂の改質材、感光性材
料、その他の各種工業用品に用いることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
また、実施例中の各種の測定は、下記の方法に拠った。
ブタジエン系重合体のビニル結合含量は、赤外吸収スペ
クトル法(モレロ法)によって求めた。ブタジエン系重
合体の融点は、DSC(示差走査熱量計)を用い、AS
TMD3418に準じて測定した。重量平均分子量およ
び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)〔(株)島津製作所製、C−4A〕を
用い、40℃、テトラヒドロフランを溶媒として測定し
た。
【0037】実施例1 乾燥チッ素雰囲気中下で、攪拌翼を備えた内容積3,0
00mlのオートクレーブに、n−ヘキサン500g、
1,3−ブタジエン100g、水素ガスを2.2ミリモ
ル加え、さらに引き続き攪拌しながらメチルアルミノオ
キサン(MAO)の10%トルエン溶液、2−エチルヘ
キシル酸コバルトとトリフェニルホスフィンのトルエン
混合溶液を、1,3−ブタジエン(BD)/2−エチル
ヘキシル酸コバルト(Co有機酸塩)のモル比=10,
000、トリフェニルホスフィン/Co有機酸塩の原子
比=2.5、MAO/Co有機酸塩のAl/Co原子比
=150になるように加え、毎分300回転の攪拌を行
いながら、10℃で60分間重合した。反応停止は、停
止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを
含む少量のメタノールを反応系に加えることによって行
った。次いで、未反応の共役ジエンを蒸発除去し重合後
の重合反応液を観察したところ、粉末状のポリマーが沈
澱分離したスラリー状であった。ろ別回収後、40℃で
真空乾燥し、収量から重合体収率を求めた。結果を表1
に示す。なお、この重合系の単位体積あたりの攪拌動力
(Pv)は、8.25×10-2kw/m3 であった。
【0038】実施例2〜4 実施例1で用いた重合溶媒のn−ヘキサンの代わりに、
n−ペンタン(実施例2)、ブタン(実施例3)、ある
いはプロパン(実施例4)を用いた以外は、実施例1と
同様に操作した。重合後、耐圧ガラスの観察窓を有した
連結管をオートクレーブ底部に取り付け、連結管へ重合
液を移送し、その状態を観察したところ、いずれも重合
体は実施例1と同様に粉末状に分散したスラリー状であ
った。それぞれを、重合後、未反応のブタジエン、各重
合溶媒を蒸発除去し、重合体粉末を得た。結果を表1に
示す。
【0039】比較例1〜3 実施例1で用いた重合溶媒のn−ヘキサンの代わりに、
芳香族炭化水素のトルエン(比較例1)、脂環族炭化水
素のシクロヘキサン(比較例2)、あるいはハロゲン化
炭化水素の塩化メチレン(比較例3)を用いた以外は、
実施例1と同様の条件で重合を行った。重合後、同様に
重合停止の操作を行った。重合液は、粘稠な均一溶液で
あった。凝固剤として、2,6−ジ−t−ブチル−p−
クレゾールを含む多量のメタノールを用い、重合体を析
出分離させた。さらに、40℃で真空乾燥し、収量から
重合体収率を求めた。結果を表1に示す。
【0040】実施例5 実施例1で用いた触媒成分のトリフェニルホスフィンの
代わりに、トリ(m−トリル)ホスフィンを用いた以外
は、実施例1と同様の操作で実験を行った。重合後の重
合液は、スラリー状であった。結果を表1に示す。
【0041】比較例4〜6 実施例5の重合溶媒を、芳香族炭化水素のトルエン(比
較例4)、脂環族炭化水素のシクロヘキサン(比較例
5)、あるいはハロゲン化炭化水素の塩化メチレン(比
較例6)に代えた以外は、実施例5と同様の条件で重合
を行った。重合後、同様に重合停止の操作を行った。重
合後の重合液の状態は、いずれも寒天状の膨潤状態であ
り、もはや流動しない状態であった。重合体をオートク
レーブから掻き出し、凝固剤として2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾールを含む多量のメタノールを用い、
重合体を析出分離させた。さらに、40℃で真空乾燥
し、収量から重合体収率を求めた。結果を表1に示す。
【0042】比較例7 比較例6の仕込み単量体濃度を5.5%に下げた以外
は、比較例6と同様の条件で重合を行った。重合後の重
合液の状態は、依然として流動性の悪い寒天状の膨潤状
態であった。重合体をオートクレーブから掻き出し、凝
固剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを
含む多量のメタノールを用い、重合体を析出分離させ
た。さらに、40℃で真空乾燥し、収量から重合体収率
を求めた。結果を表1に示す。
【0043】実施例6 実施例1で用いた触媒成分のメチルアルミノオキサン単
独の代わりに、メチルアルミノオキサンとジエチルアル
ミニウムクロライドの混合物(Al原子比で80/2
0)を使用した以外は、実施例1と同様の条件で重合し
た。重合体は、スラリー状で得られた。結果を表1に示
す。 実施例7〜8 重合条件を表1に示す重合溶媒、重合温度、単量体仕込
み濃度の条件で、その他の重合条件と操作は、実施例3
と同様に行った。結果を表1に示す。
【0044】比較例8 実施例1で行ったオートクレーブの攪拌条件を毎分30
回転の低速回転に代えた以外は、実施例1と同様の重合
操作を行った。得られた重合体は、膨潤した寒天状態で
流動性の乏しい形態を示した。結果を表1に示す。な
お、この重合系の単位体積あたりの攪拌動力(Pv)
は、4.9×10-4kw/m3 であった。
【0045】比較例9 実施例1の重合条件を、100℃、15分の高温重合に
代え、また水素を使用せずBD/Coモル比を30,0
00に代えた以外は、同様の操作を行った。重合器を冷
却後、重合後の重合体を観察すると、膨潤した寒天状態
で流動性の乏しい形態であった。結果を表1に示す。
【0046】比較例10 実施例1の単量体濃度を60%に代え、またBD/Co
モル比を75,000に代えた以外は、同様の重合操作
を行った。ただし、重合温度が急激に上昇したので、1
5分間で重合停止剤のメタノールを加え、重合を停止さ
せた。重合後の重合体は、器壁に膨潤した寒天状のもの
と、攪拌部分に粉末状のスラリーが混在した形態であっ
た。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1から明らかなように、本発明(実施例
1〜8)によれば、高ビニル結合含量を有し、結晶性で
高分子量であり、得られる生成重合体もスラリー状で分
離・回収が容易なブタジエン系重合体が高収率かつ高生
産性で得られることが分かる。
【0049】これに対し、比較例1〜7は、いずれも本
発明の範囲外の重合溶媒を用いているため、生成重合体
が溶液状あるいは膨潤状で得られる。そのため、分離・
回収に手間がかかり、また高粘度または流動性の乏しい
状態となり、重合時の除熱の問題があり、例えば分子量
分布が広くなったりし均質な重合体の製造に問題があ
る。また、実用的にも移送が困難となる。さらに、これ
らの問題点のため、重合体の分離、溶媒の回収にも手間
がかかるという実際的な問題がある。また、比較例8
は、重合系の攪拌翼の回転速度が遅いため、また比較例
9は重合温度が高すぎるために、いずれもスラリー重合
とはならず、さらに比較例10では、重合系の単量体濃
度が高すぎるために、やはりスラリー重合とはならず、
一部膨潤して本発明の目的を達成し得ないことが分か
る。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、新規な触媒系を用い、
かつ特定の重合溶媒中でスラリーを形成させて重合する
ことにより、特に結晶性の高いおよび/または分子量の
高い高ビニル結合含量の結晶性ブタジエン系重合体を高
生産性で製造することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 雄二 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内 (72)発明者 森 好弘 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3−ブタジエンを少なくとも50モ
    ル%以上含有する共役ジエンを、(A)コバルトの有機
    酸塩、(B)ホスフィン化合物、および(C)アルミノ
    オキサンを含有する有機アルミニウムを含む触媒を用
    い、重合溶媒に炭素数2〜6の脂肪族炭化水素を用い、
    生成する重合体を析出させスラリー状の形態で重合する
    ことを特徴とする高ビニル結合を有するブタジエン系重
    合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2025028599A1 (ja) * 2023-08-02 2025-02-06 株式会社Eneosマテリアル 1,2-ポリブタジエンの製造方法および触媒組成物

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