JPH06133780A - 新規なt−PA改変体 - Google Patents

新規なt−PA改変体

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JPH06133780A
JPH06133780A JP4309285A JP30928592A JPH06133780A JP H06133780 A JPH06133780 A JP H06133780A JP 4309285 A JP4309285 A JP 4309285A JP 30928592 A JP30928592 A JP 30928592A JP H06133780 A JPH06133780 A JP H06133780A
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JP
Japan
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sequence
plasmin
terminal
peptide
variant
Prior art date
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Pending
Application number
JP4309285A
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English (en)
Inventor
Takaatsu Negoro
尚温 根来
Naomi Tanaka
尚美 田中
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Sumitomo Pharma Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd filed Critical Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラスミンによる切断をうける以前には天然
t−PAと比較して活性が低下しているが、血栓付近で
プラスミンによる切断をうけることにより天然t−PA
と同様又はそれ以上の活性を発揮するような、新規なt
−PA改変体を提供する。 【構成】 t−PAのC末端にプラスミンによる認識・
切断をうける配列の付加を持ち、さらにそのC末端側に
ペプチドが付加されたt−PA改変体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な組織プラスミノ
ーゲン活性化因子(以下、t−PA)の改変体に関す
る。更に詳しくは、t−PAのC末端にプラスミンによ
る認識・切断をうける配列を付加し、さらにそのC末端
側にペプチドを付加することにより、プラスミンによる
切断をうける以前にはプラスミノーゲン活性化活性が天
然t−PAより低下しているが、血栓付近でプラスミン
による切断をうけることにより天然t−PAと同様又は
それ以上の活性を発揮するような、新規なt−PA改変
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】t−PAは、血漿中に存在する不活性型
酵素前駆体であるプラスミノーゲンを加水分解すること
によって活性型酵素であるプラスミンに変換する。プラ
スミンは、血管内に種々の原因によって生じたフィブリ
ン塊(血栓)を分解する(文献1)。ウロキナーゼやス
トレプトキナーゼなどの既存の血栓溶解剤がフィブリン
特異性を全く有していないのに対し、t−PAは比較的
高いフィブリン特異性を有している。このためフィブリ
ン、ひいては血栓を特異的に溶解するものとして注目さ
れてきた。しかしながら、実際t−PAを臨床に用いた
場合、閉塞冠動脈の再開通には予想されていたよりはる
かに多量の投与量が必要であることが明らかとなった
(文献2)。この大量投与の結果、t−PAのフィブリ
ン特異性の効果が薄れ、結局全身性の出血傾向という副
作用が生じてしまうことが今もって無視できない問題と
なっている。
【0003】t−PAは、N末端から275番目のアル
ギニンと276番目のイソロイシンの間でプラスミンに
よる分解を受けて2本鎖に変換される。変換されたもの
のN末端側をA鎖、C末端側をB鎖と言う。t−PAの
活性中心は分子量の小さいB鎖に存在し、トリプシンな
どの他のセリン酵素と類似の構造を有する。一般的なセ
リン酵素の場合、1本鎖は前駆体であり酵素活性を持た
ないが、特定のペプチド結合が加水分解され、2本鎖と
なって初めて活性を有するとされている。しかしt−P
Aの場合は2本鎖のみならず1本鎖のt−PAも酵素活
性を有している(文献3、4、5)。よって1本鎖t−
PAを投与した場合、t−PAが血栓(『固相』)に到
達して血栓付近に局在しているプラスミンにより2本鎖
に変換される以前に、1本鎖t−PAが循環血中(『液
相』)の線溶系をも活性化してしまうため、これが全身
性の出血傾向という副作用を引き起こす一因となってい
ると考えられている。
【0004】このような現状から『液相』では不活性型
で、血栓部位に到達した後に活性型となるような、いわ
ゆるプロドラッグ的なt−PAの開発が試みられてい
る。例えば文献6、7では、t−PAは他のセリンプロ
テアーゼと異なり特定のアミノ酸間でsalt−bri
dgingを起こしているがために1本鎖型でも活性を
持つと推測し、このような1本鎖状態でのsalt−b
ridgingに関与するアミノ酸を置換することによ
って1本鎖型の活性を妨げるという試みがなされてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、t−PAの
C末端にプラスミンによる認識・切断をうける配列を付
加し、さらにそのC末端側にペプチドを付加することに
より、プラスミンによる切断を受ける以前、即ち1本鎖
の状態ではプラスミノーゲン活性化活性が天然t−PA
より低下しているが、プラスミンによる切断を受けた
後、即ち2本鎖の状態では天然t−PAと同様又はそれ
以上の活性を発揮するために、結果として血栓部位にお
いて、言い換えればプラスミンの濃縮した環境(文献
8)下において高い活性を示すような、新規なt−PA
改変体を提供することを目的とする。本発明のt−PA
改変体は、1本鎖の状態でプラスミノーゲン活性化活性
が天然t−PAより低いので、天然t−PAを用いる際
の問題点であった大量投与に伴う副作用、すなわち全身
性の出血傾向を減じることが期待される。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは検討の結
果、t−PAのC末端にプラスミンによる認識・切断を
うける配列を付加し、さらにそのC末端側にペプチドを
付加することにより、1本鎖状態での活性が天然t−P
Aより低い新規なt−PA改変体が得られることを見出
した。さらにこのようなt−PA改変体は、プラスミン
による認識・切断を受けることによって天然のt−PA
と同様またはそれ以上の活性を示すことも見出した。
【0007】即ち、本発明の要旨は、(1)t−PAの
C末端に、プラスミンによる認識・切断をうける配列の
付加を持ち、さらにそのC末端側にペプチドが付加され
ていることを特徴とするt−PA改変体、(2)前記
(1)記載のt−PA改変体をコードしている塩基配列
を含有するDNA、(3)形質転換された原核性生物細
胞または真核性生物細胞中において、前記(2)記載の
DNAを発現させ得る組み換え発現ベクター、(4)前
記(3)記載の組み換え発現ベクターで形質転換された
原核性生物細胞または真核性生物細胞、並びに(5)前
記(1)記載のt−PA改変体を有効成分として含有す
ることを特徴とする血栓治療剤に関する。
【0008】本発明において「t−PAのC末端」とは
天然t−PAの527番目のプロリン残基を指す。ま
た、本発明において「プラスミンによる認識・切断をう
ける配列」とは、たとえばGln−Phe−Arg−I
le−Lys−Gly−Gly(配列番号1)というア
ミノ酸の配列が考えられる。本発明において「プラスミ
ンによる認識・切断をうける配列のC末端側に付加され
るペプチド」とは、特に制限されない。しかしながらこ
のt−PA改変体は、血栓部位でプラスミンによる切断
を受けることにより付加したペプチドが遊離するため、
遊離したペプチドが何らかの抗凝固作用を有しているこ
とがより好ましいと考えられる。即ち、凝固因子である
トロンビンの活性を阻害するようなペプチド等を付加す
ることが好ましいと考えられる。この様なペプチドは、
遊離した後にトロンビンの活性を抑制することが予想さ
れるため、臨床上問題になっている再閉塞を改善しうる
ことが期待される。このようなペプチドの例としては、
具体的には、トロンボモジュリンのE456ドメインや
ヒルジンのC末端部分的配列またはその類似配列(配列
番号2、3)などが挙げられる。
【0009】トロンボモジュリンは血管内皮細胞上に存
在する糖蛋白で、血中に生じたトロンビンと非常に高い
親和性で結合し、複合体を形成することでプロテインC
を抗凝固酵素に変換する速度を増大する。即ち、トロン
ボモジュリンはトロンビンを凝固酵素から抗凝固酵素へ
と変換させる作用を有する。ヒトのトロンボモジュリン
のcDNAが報告されており、化学構造図が提供されて
いる(文献9)。またトロンボモジュリンの機能部位の
解析により、システインに富むEGF様ドメインの6つ
の繰り返し配列のうち4番目から6番目の繰り返し配列
部分(N末端から345〜462位のアミノ酸配列部分
−以下E456ドメイン)にトロンビンと結合し、プロ
テインCの活性化を有意に増大する機能が存在すること
が報告されている(文献10、11、12、13)。
【0010】ヒルジンはヒル(Hirudo medi
cianalis)の頭部から精製された65アミノ酸
からなるポリペプチドで、トロンビンに結合し、トロン
ビンのフィブリノーゲンをフィブリンに変換する活性を
阻害することが知られている(文献14)。トロンビン
のフィブリノーゲン結合部位とヒルジンのC末端側が結
合することによってトロンビンの作用が阻害されるとい
われており、ヒルジンのC末端のアナログを複数合成
し、その性質を調べた実験の中で(文献15、16)、
配列番号4に示すようなわずか12アミノ酸からなるC
末端ペプチドが有意な抗トロンビン作用を持つというこ
とが指摘されている。さらに、天然のヒルジンは、その
63番目のアミノ酸であるチロシンがスルホン化されて
いるが、この修飾がないリコンビナントのヒルジンにも
トロンビン阻害活性があることが判っている(文献1
7)。
【0011】本発明のt−PA改変体の調製は、t−P
AのC末端にプラスミンによる認識・切断を受けるアミ
ノ酸配列を付加し、さらにそのC末端側に先述の様なペ
プチドを付加することにより行うことができる。具体的
には、例えばこれら付加すべきアミノ酸配列(プラスミ
ン認識配列及びペプチド)を天然t−PAのC末端直後
に挿入したような改変C末端アミノ酸配列をコードする
cDNA、あるいは合成オリゴヌクレオチドを天然t−
PAの相当配列と置き換え、適当な発現ベクターと連結
してこれを宿主内に導入し、本発明の最終目的物質であ
るt−PA改変体を発現・生産させることにより行うこ
とができる。
【0012】本発明のt−PA改変体の製造には、通常
天然のt−PAをコードするcDNAを用いることがで
きる。天然t−PAをコードするcDNAは、たとえば
ボーズ・メラノーマ細胞からのクローニングによって、
たとえば文献18に記載されているようにすでに取得さ
れており、従ってそのcDNA配列、アミノ酸配列も知
られている。また、天然t−PAを改変すべく例えば半
減期を長くした改変t−PA(文献19、20等)のc
DNA配列、アミノ酸配列も知られており、これらも用
いることができる。
【0013】プラスミド中にクローニングしたt−PA
cDNAの特定の配列を置換したり特定の部分に挿入を
行ったりする方法は、すでに自由に行える状況になって
おり、本発明においても常法によりt−PAのC末端領
域にアミノ酸配列を挿入することができる。挿入の方法
としては、制限酵素のサイトを利用してcDNA配列を
挿入する方法が便利である。挿入するcDNA配列は挿
入に必要な制限酵素サイトを両端に有する合成DNAで
もよいし、cDNAフラグメントの両端に挿入に必要な
制限酵素サイトを導入し、これを増幅したものでもよ
い。DNAの合成はホスホアミダイト法(文献21)の
原理によるアプライドバイオシステムズ社のモデル38
1ADNAシンセサイザーを用いて行えばよい。さらに
精製は、同社のオリゴヌクレオチド精製用OPCカート
リッジを用いて行えばよい。挿入しようとする配列また
はその類似配列のcDNAが天然に存在している場合に
は、適当なオリゴヌクレオチドをプライマーに用いて増
幅したcDNAフラグメントを先述のように挿入に用い
ることも簡便な方法であろう。2種のプライマーで挟ま
れた領域の増幅方法としては、例えばポリメラーゼ・チ
ェイン・リアクション(PCR)法が有効に用いられる
(文献22)。即ち、2種のオリゴヌクレオチドをプラ
イマーに用い、cDNAを鋳型にしてTaqポリメラー
ゼによるDNAの増幅を行うもので、この操作を行うた
めには市販のDNA自動増幅装置が有効に用いられる。
【0014】また、目的とする置換、あるいは挿入され
たDNA配列を確認するためには、ジデオキシ法(文献
23)の原理を用い、例えばPCR法を利用したサイク
ルシークエンスの手法により行うことができる。それに
は、アプライドバイオシステムズ社のモデル373AD
NAシークエンサーが有効に用いられる。その他、実施
例に記載されているような制限酵素によるDNAの切
断、欠失、それらにより生じるDNA断片のポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動による分離、回収、あるいは連結
等の遺伝子操作は全て公知であり、主として文献24が
参照される。
【0015】このようにして得られたt−PA改変体を
コードするcDNAは、CDM8(ori- )等、周知
のベクターに連結された後、適当な宿主に導入されるこ
とにより、本発明の最終目的物質であるt−PA改変体
タンパクを発現・生産することができる。宿主としての
大腸菌株や動物細胞株は、特に記載のない限り、既に広
く普及しており入手は容易であり、例えば動物細胞宿主
としては、COS−1,CHO細胞が挙げられる。発現
プラスミドを用い適当な宿主を形質転換するには、電気
パルス法(文献25)を用いればよい。形質転換された
細胞の培養上清は、適当な希釈によりそのまま種々の活
性測定に使用され得る程度のt−PA改変体を含んでい
る。
【0016】この様にして得られた本発明のt−PA改
変体は、1本鎖の状態でのプラスミノーゲン活性化活性
が天然t−PAより低下しているが2本鎖の状態では天
然のt−PAと同等の活性を示すので、天然のt−PA
に比べて全身性の出血傾向の減少した医薬組成物の有効
成分とすることができる。本発明のt−PA改変体は、
常法により容器に必要量分注し、凍結乾燥を行うことに
より製剤として極めて容易に得ることができる。この凍
結乾燥品は、製剤学的に容認されるキャリアー物質、例
えば生理食塩水に溶解し、静脈内または動脈または心臓
内への注射によって投与される。投与方法は、持続静注
あるいは投与予定量の一部を最初に静注し残りを持続静
注する等の方法で行われる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明の一例として実施例を示す
が、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】1.t−PAのC末端領域にプラスミンに
よる認識・切断をうけると考えられる配列を有するプラ
スミドpUC−D01の構築 本構築法の概念図を図1及び図2に示す。まず、文献2
6に記載のプラスミドpCDM8−000(Sal+ )
(文献28記載のt−PA発現プラスミドpCDM8−
000のt−PAcDNA配列上の翻訳終始コドンの下
流10塩基目〜15塩基目にSalIサイトを導入した
もの)をSmaIおよびSalIで消化し、55塩基長
のフラグメントSSをポリアクリルアミドゲル電気泳動
にて精製・分離し、これとプラスミドpUC118(宝
酒造株式会社製)をSmaIおよびSalIで消化しと
ものとをライゲートさせ、大腸菌JM109株(東洋紡
績株式会社製)を形質転換して、プラスミドpUCSS
を得た。次に、このプラスミドをEcoT14Iで消化
し、クレノウフラグメントで末端を平滑化した後、セル
フライゲーションを行うことにより、プラスミドpUC
SS(ET- )を得た(図1)。
【0019】一方、6種類のオリゴヌクレオチドDC
(配列番号5)、DCR(配列番号6)、D0(配列番
号7)、D0R(配列番号8)、IKGG(配列番号
9)、およびIKGGR(配列番号10)を合成した。
これらオリゴヌクレオチドの合成にはアプライドバイオ
システムズ社製 381A 型DNA合成装置を用い、その精
製は同社のOPCカートリッジを用いて行った。DCと
DCR、D0とD0R、およびIKGGとIKGGRを
等モルずつ混合し、アニーリングさせることによりそれ
ぞれ二本鎖化した。次に、これら3種類の二本鎖DNA
をDNAライゲースによりライゲート(連結)し、フラ
グメントAを得た。その後このフラグメントAをDCお
よびIKGGRをプライマーに用いてPCR反応により
増幅した。この増幅フラグメントAをBstEIIおよ
びSalIで消化し、82塩基長のフラグメントBSを
ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて標準的な方法で精
製・分離した(図2)。このフラグメントBSと、先の
プラスミドpUCSS(ET- )をBstEIIおよび
SalIで消化したものとをライゲートさせ、これで大
腸菌JM109株を形質転換してプラスミドpUC−D
0Iを得た(図2)。
【0020】2.ヒルジンのC末端類似配列をコードす
るDNAフラグメントHSおよびHLの作製 ヒルジンのC末端類似配列をコードし、その両端にEc
oT14Iとの対合末端を有しているような2種のフラ
グメントDNA、フラグメントHSおよびフラグメント
HLを作製した。フラグメントHSは配列番号2に示す
ようなアミノ酸をコードしている。これは全長が65ア
ミノ酸から成るヒルジンの(N末端より)54番目から
64番目のアミノ酸配列のN末側にLeu−Gly−A
snの配列が付加したようなペプチドをコードする。ま
た、フラグメントHLは配列番号3に示すようなアミノ
酸をコードするが、これはヒルジンの42番目からC末
端(65番目)までのアミノ酸配列のN末側にLeuが
付加したようなペプチドをコードする。具体的にはオリ
ゴヌクレオチドを合成し、それらをアニールさせること
によって上述の2本鎖フラグメントHSおよびフラグメ
ントHLを作製した。合成したオリゴヌクレオチドはP
−HSM(配列番号11)、P−HSR(配列番号1
2)、P−HLM(配列番号13)、およびP−HLR
(配列番号14)である。
【0021】合成オリゴヌクレオチドP−HSMとP−
HSR、P−HLRとP−HLRの組み合わせでアニー
リングさせ、フラグメントHSおよびフラグメントHL
を得た。アニーリングは合成オリゴヌクレオチドをそれ
ぞれ77.7ngずつ混合し、これを水で7μlにした
ものを65℃で30分処理したのち、約1時間かけて常
温(25℃)に戻すことにより行った。この混合液にリ
ン酸化緩衝液〔Tris・HCl(pH7.6)0.6
6M、ATP10mM、spermidine10m
M、MgCl2 0.1M、DTT150mM、gela
tin2mg/ml〕を1μlおよびT4 DNA k
inaseを2μl(2unites)添加し、37℃
で1時間反応して末端をリン酸化したものをフラグメン
トHSおよびフラグメントHLとして以降の実験に使用
した。
【0022】3.C末端にペプチドの付加を持つような
t−PAcDNAの一部分を有するプラスミドpUC−
CTM、pUC−CHS、およびpUC−CHLの構築 t−PAのC末端にプラスミンによる認識・切断を受け
ると考えられる配列を持ち、さらにそのC末端側にE4
56ドメインのアミノ酸配列または先述のヒルジンC末
端領域類似アミノ酸配列が付加されたt−PAcDNA
の一部分を有するプラスミドの構築を行った。これには
フラグメントSE(文献27)、先述のフラグメントH
SおよびフラグメントHLを、既述のプラスミドpUC
−D01中に存在するEcoT14I制限サイトを利用
してpUC−D01中のプラスミン認識・切断推定配列
の下流に挿入することにより行った。フラグメントSE
は、トロンボモジュリンのE456ドメインのアミノ酸
配列をコードし、その遺伝子上流側末端にSpeI、遺
伝子下流側末端にEcoT14Iの対合末端を有してい
るような、PCR増幅2本鎖DNAフラグメントのSp
eIとEcoT14Iの消化物である。プラスミドpU
C−CTM、pUC−CHS、およびpUC−CHL構
築の概念図を図3に示す。
【0023】まず、前記プラスミドpUC−D01をE
coT14Iで消化したのちに5’末端を脱リン酸化し
た。フラグメントSE、HS、およびHLはそれぞれ、
pUC−D01のEcoT14Iサイトと対合する末端
を両端に持つ(SpeIとEcoT14Iの末端は対合
する)ので、プラスミドpUC−D01のEcoT14
I消化物とフラグメントSE、HS、およびHLとをそ
れぞれライゲートさせ、これで大腸菌JM109株を形
質転換させた。t−PAcDNAと同様の向きに各フラ
グメントが挿入されたことを確かめ、これらをそれぞれ
プラスミドpUC−CTM(フラグメントSEを挿入し
たもの)、pUC−CHS、およびpUC−CHLと名
付けた(図3)。
【0024】4.改変C末端領域を含むt−PAをコー
ドする発現プラスミドpCDM8−CTM、pCDM8
−CHS、およびpCDM8−CHLの構築 t−PAの翻訳領域をすべて含む発現プラスミドpCD
M8−000(Sal+ )は、文献28に記載のt−P
A発現プラスミドpCDM8−000のt−PAcDN
A配列上の翻訳終止コドン(TGA)の下流10塩基目
〜15塩基目(CCCGAC)にSalIサイトを導入
したものである(文献26)。このpCDM8−000
(Sal+ )を用いて改変C末端領域を含むt−PAを
コードする発現プラスミドpCDM8−CTM、pCD
M8−CHS、およびpCDM8−CHLの構築を行っ
た。pUC−CTM、pUC−CHS、およびpUC−
CHLの、C末端への挿入部分以外の領域は全く同じ構
成であるので、以下の操作はこれらの3種類の構築につ
いて同じように行うことができる。その構築の例として
pCDM8−CTMの構築法の概念図を図4に示す。
【0025】まず、プラスミドpCDM8−000(S
al+ )をBstEIIおよびSalIで消化し、5’
末端を脱リン酸化した。一方、前記プラスミドpUC−
CTM、pUC−CHS、およびpUC−CHLをBs
tEIIおよびSalIで消化したのちにt−PAcD
NAの改変C末端領域を含むBstEII/SalI断
片をポリアクリルアミドゲル電気泳動にて精製・分離し
た。プラスミドpCDM8−000(Sal+ )のBs
tEII/SalI消化物と、pUC−CTM、pUC
−CHS、およびpUC−CHLのBstEII/Sa
lI消化断片とをそれぞれライゲートさせ、これで大腸
菌MC1061/p3株(フナコシ薬品株式会社製)を
形質転換させて改変C末端領域を含むt−PAをコード
する発現プラスミドpCDM8−CTM、pCDM8−
CHS、およびpCDM8−CHLを得た(図4)。こ
れら3種のプラスミドは、t−PA構造遺伝子全領域を
含み、t−PAのC末端にそれぞれプラスミンの認識・
切断推定アミノ酸配列Gln−Phe−Arg−Ile
−Lys−Gly−Glyと、さらにその後ろにE45
6ドメインの配列または配列番号2または3に示される
ヒルジン類似アミノ酸配列が付加されている。
【0026】5.本発明の血栓溶解タンパク質のCOS
−1細胞内での発現および分泌 コントロールとしての天然t−PAを発現するpCDM
8−000(Sal+)、およびpCDM8−CTM、
pCDM8−CHS、及びpCDM8−CHLを用いて
既述の電気パルス法によりCOS−1細胞を形質転換し
た。牛胎児血清10%およびアプロチニン10μg/m
lを含有するDMEM培地で24時間培養後、培地を無
血清かつアプロチニン無含有DMEM培地に交換し、さ
らに96時間培養を継続した。培養液を遠心後その上清
を回収し、これに1%牛血清アルブミン(BSA)含有
DMEM培地を1/9量添加し、凍結保存した。この凍
結保存上清をt−PA試料と称し、以後の評価に用い
た。
【0027】6.蛋白量の定量 前記の各培養上清中のt−PA試料の蛋白量は、市販の
キット(バイオプール社製)を用いた酵素免疫測定法
(ELISA)により測定された。
【0028】7.測定(アッセイ)法 本発明の血栓溶解タンパク質のプラスミノーゲン活性化
活性は、合成発色基質S−2251を用いたインダイレ
クトクロモゲニックアッセイ(文献29)に基づきプラ
スミンに特異的なカビ(Kabi)社製の合成トリペプ
チド色素原基質S−2251(H−D−Val−Leu
−Lys−pNA・2HCl・H2 O)を用いて以下の
方法で定量的に測定した。また、上記実施例5.で得ら
れたt−PA試料は、1本鎖型t−PAとして存在して
いる。2本鎖活性の測定には以下の方法で2本鎖化した
2本鎖型t−PA試料を使用して行った。すなわち、各
種1本鎖型t−PA試料(最終50ng/ml)を10
nMプラスミン存在下で37℃にて30分インキュベー
トしたものを2本鎖型t−PA試料として以下に使用し
た。
【0029】50ng/mlに希釈した、各改変体の1
本鎖型および2本鎖型t−PA試料20μlを200μ
lの反応混合液〔プラスミノーゲン125nM、S−2
251 350μM、フィブリンフラグメント0.3m
g/ml、Tween800.1%、Tris・HCl
(pH7.8)0.15M、およびゼラチン5mg/m
l〕と混合し、37℃でインキュベートし、プレートリ
ーダー(Molecular Device社製)を用
いて経時的に405nmにおける吸光を測定した。同社
の解析ソフトウェア、ソフトマックスを用いてデータ処
理を行い、一定蛋白量当たりの活性を決定した。その結
果を表1に示す。
【表1】
【0030】文献 1)欧州特許出願公開 No.0041766 A2 2)The TIMI study group: N. Engl. J. Med., 320, 6
18, 1989. 3)D.C. Rijiken et al.: J. Biol. Chem., 256, 703
5, 1981. 4)M. Ranby et al.: Thromb. Res., 27, 175, 1982. 5)L. Haggroth et al.: Thromb. Res., 42, 585, 198
6. 6)P. Wallen et al.: Eur. J. Biochem., 132, 681,
1983 7)欧州特許出願公開 No.89307194.4 8)B. Wiman et al.: Nature, 272, 549, 1978. 9)K. Suzuki et al.: EMBO J., 6, 1891, 1987. 10)C.T. Esmon et al.: J. Biol. Chem., 6, 3352,
1989. 11)特開平2-19399 号広報 12)M. Zushi et al.: J. Biol. Chem., 26, 10351,
1989. 13)特開平2-255699号広報 14)F. Markwardt: Method Enzymol., 19, 924, 197
0. 15)J.M. Maraganore et al.; J. Biol. Chem., 264,
8682, 1989. 16)J.A. Jakubowski et al.: Blood, 72, 326A, 198
8(abstr). 17)E. Degryse et al.: Protein Eng., 2, 459, 198
9. 18)Pennica et al.: Nature, 301, 214, 1983. 19)特表昭 63-501335号 20)S. Yoshitake et al.: Thromb. Haemostasis, 6
2, 542, 1982. 21)S.L. Beaucage et al.: Tetrahedron Letters-22
(20), 1859, 1981. 22)H.A. Erlich et al.: PCR Technology, 1990. 23)F. Sanger et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 74, 5463, 1977. 24)T. Maniatis et al.: Molecular Cloning, A Lab
oratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory. 198
2 25)高山伸一郎、細胞工学 6, 771, 1987. 26)特願平4-125595号 27)特願平3-29624 号 28)特願平2-87005 号 29)J.H. Verheijen et al.: Thromb. Haemostasis,
48(3), 266, 1982.
【0031】
【配列表】
配列番号:1 (プラスミン認識配列) 配列の長さ:7 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gln Phe Arg Ile Lys Gly Gly
【0032】 配列番号:2 (フラグメントHSのコードする配列) 配列の長さ:14 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Leu Gly Asn Gly Asp Phe Glu Glu Ile Pro Glu Glu Tyr Leu
【0033】 配列番号:3 (フラグメントHLのコードする配列) 配列の長さ:25 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Leu Gly Glu Gly Thr Pro Lys Pro Gln Ser His Asn Asp Gly Asp Phe Glu Glu Ile Pro Glu Glu Tyr Leu Gln
【0034】配列番号:4 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列
【化1】
【0035】配列番号:5 (オリゴヌクレオチドDC) 配列の長さ:15 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列 AAGGTTACCA ACTAC 15
【0036】配列番号:6 (オリゴヌクレオチドDCR ) 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:Yes 配列 GTCTAGGTAG TTGGTAACCT T 21
【0037】配列番号:7 (オリゴヌクレオチドD0) 配列の長さ:39 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列 CTAGACTGGA TTCGTGACAA CATGCGACCG CAGTTTCGC 39
【0038】 配列番号:8 (オリゴヌクレオチドD0R ) 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:Yes 配列 CGGTCGCATG TTGTCACGAA TCCA 24
【0039】 配列番号:9 (オリゴヌクレオチドIKGG) 配列の長さ:38 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列 ATCAAAGGAG GCCTAGGATG ACCAGGAACA GTCGACTC 38
【0040】 配列番号:10(オリゴヌクレオチドIKGGR ) 配列の長さ:47 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:Yes 配列 GAGTCGACTG TTCCTGGTCA TCCTAGGCCT CCTTTGATGC GAAACTG 47
【0041】配列番号:11(プライマーP-HSM ) 配列の長さ:46 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列 CTA GGC AAC GGC GAT TTC GAA GAA ATT CCA GAA GAA TAT CTA TAG C 46
【0042】配列番号:12(プライマーP-HSR ) 配列の長さ:46 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:Yes 配列 CTAGG CTA TAG ATA TTC TTC TGG AAT TTC TTC GAA ATC GCC GTT GC 46
【0043】配列番号:13(プライマーP-HLM ) 配列の長さ:79 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:No 配列 CTA GGA GAA GGA ACA CCA AAA CCA CAA TCA CAC AAC GAT GGA GAT TTC 48 GAA GAA ATT CCA GAA GAA TAT TTA CAA TAG C 79
【0044】配列番号:14(プライマーP-HLR ) 配列の長さ:79 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA アンチセンス:Yes 配列 CTAGG CTA TTG TAA ATA TTC TTC TGG AAT TTC TTC GAA ATC TCC ATC GTT 50 GTG TGA TTG TGG TTT TGG TGT TCC TTC TC 79
【図面の簡単な説明】
【図1】t−PAのC末端領域に、プラスミンによる認
識・切断をうけると考えられる配列を有するプラスミド
pUC−D01の組立模式図の一部を示す。
【図2】t−PAのC末端領域に、プラスミンによる認
識・切断をうけると考えられる配列を有するプラスミド
pUC−D01の組立模式図の一部を示す。
【図3】t−PAのC末端にペプチドの付加を持つよう
なプラスミドpUC−CTM、pUC−CHS、pUC
−CHLの組立模式図を示す。
【図4】発現プラスミドpCDM8−CTMの組立模式
図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/21 7236−4B 5/10 // C12P 21/02 H 8214−4B (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織プラスミノーゲン活性化因子のC末
    端に、プラスミンによる認識・切断をうける配列の付加
    を持ち、さらにそのC末端側にペプチドが付加されてい
    ることを特徴とするt−PA改変体。
  2. 【請求項2】 C末端に付加されるペプチドが150ア
    ミノ酸残基以下からなるポリペプチドであるような、請
    求項1記載のt−PA改変体。
  3. 【請求項3】 C末端に付加されるペプチドがトロンビ
    ン活性を抑制することが知られている配列を有している
    ような、請求項2記載のt−PA改変体。
  4. 【請求項4】 C末端に付加されるペプチドがトロンボ
    モジュリンのE456ドメイン、またはヒルジンのC末
    端部分的配列またはその類似配列であるような、請求項
    3記載のt−PA改変体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    t−PA改変体をコードしている塩基配列を含有するD
    NA。
  6. 【請求項6】 形質転換された原核性生物細胞または真
    核性生物細胞中において、請求項5記載のDNAを発現
    させ得る組み換え発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の組み換え発現ベクターで
    形質転換された原核性生物細胞または真核性生物細胞。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    t−PA改変体を有効成分として含有することを特徴と
    する血栓症治療剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005538046A (ja) * 2002-05-01 2005-12-15 シエーリング アクチエンゲゼルシャフト 抗凝固剤としての新規組織因子標的化されたトロンボモジュリン融合タンパク質
JP2011168597A (ja) * 2008-03-04 2011-09-01 Taiwan Advance Bio-Pharm Inc Tat−hoxb4hタンパク質を含む造血幹細胞の骨髄から末梢血液への動員を促す薬、および、造血幹細胞移植患者、放射線治療患者または化学療法患者の回復時間を改善するための薬

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JP2011168597A (ja) * 2008-03-04 2011-09-01 Taiwan Advance Bio-Pharm Inc Tat−hoxb4hタンパク質を含む造血幹細胞の骨髄から末梢血液への動員を促す薬、および、造血幹細胞移植患者、放射線治療患者または化学療法患者の回復時間を改善するための薬

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