JPH06157117A - 炭素繊維強化石膏製成形型および石膏粉末、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化石膏製成形型および石膏粉末、並びにこれらの製造方法

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JPH06157117A
JPH06157117A JP5115120A JP11512093A JPH06157117A JP H06157117 A JPH06157117 A JP H06157117A JP 5115120 A JP5115120 A JP 5115120A JP 11512093 A JP11512093 A JP 11512093A JP H06157117 A JPH06157117 A JP H06157117A
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gypsum
mold
molding
carbon fiber
carbon fibers
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JP5115120A
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Yoshiaki Hattori
吉昭 服部
Makoto Ishihara
誠 石原
Teruyo Sakurai
照世 桜井
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Noritake Co Ltd
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Noritake Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/14Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing calcium sulfate cements
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高寸法精度等の機能を低下させることなく、
石膏型の強度を高める。また、石膏泥漿内に炭素繊維の
無数本の単繊維を均一に分散させ、前記の石膏型を製造
する。 【構成】 (1) 成形用石膏型の母材の石膏組織内に長さ
5〜100mm の炭素繊維を単繊維に離散された状態で石膏
に対して0.008 〜0.9 重量%の割合で均一に混入分散し
たことを特徴とする炭素繊維強化石膏製成形型。 (2) 炭素繊維を5〜100mm の長さに切断して無数本の単
繊維に予め離散させておき、石膏粉末と、該石膏粉末に
対して0.01〜5重量%の単繊維に離散された前記炭素繊
維とを循環しているジェット空気流内に投入して両者を
均一に混合せしめた後に回収する。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、陶磁器製品を除く高分子加工製品,非鉄金属
製品,ファインセラミック製品或るいは紙器製品等を成
形するための炭素繊維強化石膏成形型および陶磁器を含
む炭素繊維強化石膏製成形型用原料石膏粉末、並びにこ
れらの製造方法に関するものである。従来、陶磁器製品
を除く高分子加工製品,非鉄金属製品,ファインセラミ
ック製品或るいは紙器製品等を成形するための一般成形
用石膏製成形型(以下、単に石膏型と略称する)の強度
を増大させるには種々の方法があり、例えばβ型半水石
膏を主体にしてその中にα型半水石膏を混合して混水量
を減少せしめたり、石膏内にセメント或るいは樹脂を混
入させたりする方法があり、更に石膏内に麻等の天然繊
維,或るいはガラス繊維を混入させる方法もある。しか
し、β型半水石膏内にα型半水石膏を混合して混水量を
減少せしめた場合には、強度自体は僅かに向上するが吸
水性能が低下するなどの欠点を有している。石膏型の吸
水性能が良好であることは、パルプ泥漿等の鋳込用石膏
型に対しては最も重要な要素の一つである。即ち、石膏
の吸水性能を利用する成形方法において石膏型の吸水性
能が悪い場合は、製品一個当りの成形時間が長くなって
成形効率の低下を招来し、製品の仕上り形状も悪くな
る。よって、ファインセラミックスや紙器など脱水操作
を伴う鋳込成形法においては、石膏型の吸水性能の低下
は製品製造上の致命的な欠点である。歯科材料および装
身具の金,銀,銅合金のインベストメント鋳造用成形
型,或るいは金型,機械部品一般,美術工芸品などの非
鉄金属製品の精密鋳造用成形型の成形においては鋳込成
形型と鋳込まれた金属との界面に発生するガスを逃散さ
せるための通気性が重要な要素の一つである。適度の通
気性が不足する場合は、加圧或るいは減圧鋳造法を利用
しなければならない。また、石膏内にセメント或るいは
樹脂を混入する場合も、強度自体の向上は図られるが、
同様に吸水性能が低下し、その他の石膏の物性も変化す
るという欠点を有している。また、石膏内に麻等の天然
繊維を混入する場合には、天然繊維は合成繊維に比較し
て引張り強さが小さいので、石膏に対する混入量を多く
しなければ強度の増大を図ることができないと共に、天
然繊維の混入量の増大により必然的に石膏型の吸水性能
の低下を招来し、しかも天然繊維は単繊維自体が太いの
で、石膏型の表層部に入り込んだ繊維の端部が成形面に
露出し易く,露出した繊維端により成形品の表面を傷付
けると共に、繊維端が露出した部分の吸水性がなくなる
などして表面性状が不均質になるので、成形不良を生じ
易いという欠点がある。更に石膏内にガラス繊維を混入
する場合は、石膏型の強度は僅かに向上するが、ガラス
繊維は硬直性を有するため、表層部に入り込んだガラス
繊維の端部が成形面に露出して成形品の表面を傷付ける
という欠点がある。本発明は、優れた強度特性,柔軟
性,軽量性,低熱膨張性を備え、しかも径が極めて小さ
い炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断して硬化
石膏マトリックス中に0.008ないし0.9重量%の
割合で均一に単繊維の状態で分散させて混入することに
より、紙器成形型の主要な物性である吸水性能、或るい
は歯科材料,装身具のインベストメント鋳造用成形型ま
たは金属器物の精密鋳造成形型における重要な物性であ
る通気性能を低下せしめることなく、更にその他の一般
石膏型の場合にも石膏型の他の物性を変化せしめること
なく石膏型の材料力学的強度を高め、機械的外力に対す
る強度(耐久性)と熱的歪による内部応力に対する強度
(耐久性)の双方を高めたものである。本発明の第1の
目的は、高寸法精度,低価格性,鋳造による成形容易性
などの石膏型本来の諸機能を低下させることなく、石膏
型の材料力学的強度を高め機械的外力に対する強度と、
熱的歪による内部応力に対する強度との双方を一挙に高
めることにより、成形時の外圧力又は内圧力による石膏
型の破損を防止すると共に、紙器成形においては成形終
了毎の石膏型の乾燥時間を短縮して成形効率(石膏型に
よる生産性)を向上させることである。本発明の第2の
目的は、炭素繊維が混入された石膏型を製造するに際
し、石膏泥漿内に炭素繊維の無数本の単繊維を均一に分
散させ、これにより石膏マトリックス内に炭素繊維を均
一に分散混入させることである。本発明に係る石膏型と
しては、一般鋳込成形用石膏型,金属精密鋳造用石膏
型,粉末または可塑性のある材料のプレス成形用石膏
型,押出成形用石膏型,射出成形用石膏型,その他アル
ミナ,炭化珪素,窒化珪素,部分安定化ジルコニア,サ
イアロン等の原料調合に粘土類を含まないいわゆるファ
インセラミックス用のプレス成形用石膏型,射出成形用
石膏型,鋳込成形用石膏型等のファインセラミック成形
用石膏型が含まれる。更に、石膏の吸水性能そのものを
利用して実施されるファインセラミック用ロクロ成形
型,鋳込成形型、およびパルプ泥漿から紙器を製作する
ための鋳込成形型が含まれる。また、本発明に用いられ
る炭素繊維の種類は、ポリアクリロニトリル系,ピッチ
系,レーヨン系或るいは、リグニンポバール系のいずれ
でもよいが、石膏型の強度を増大させる関係から高強度
或るいは高弾性の炭素繊維が望ましく、具体的には引張
強さ200kgf/mm(Kg/mm)以上、引張
弾性係数20.000kgf/mm(Kg/mm
以上のものが望ましい。本発明においては、団塊状にな
り易い炭素繊維を母材の石膏型(石膏型の組織)内に団
塊を生ずることなく単繊維状態で均一に分散せしめて混
入することが極めて重要な要素であり、かかる観点から
強化材として石膏型内に混入せしめる炭素繊維の長さ、
および石膏に対する重量割合が定められる。炭素繊維を
無数本の単繊維に離散せしめて母材の石膏型内に混入す
るのであるが、後述する理由により炭素繊維の長さは5
ないし100mm、望ましくは20ないし30mmにす
ることが必要である。第1図に、石膏100重量部,水
60重量部,炭素繊維0.5重量部の割合から成る15
mm×25mm×250mmの石膏試験片における炭素
繊維の長さと、抗折強度(曲げ強度)との関係を示す試
験結果のグラフが表わされており、これから明らかのよ
うに炭素繊維の長さが15mm以下では抗折強度が急激
に低下することがわかる。ここで、母材の石膏型内に分
散させて混入せしめる炭素繊維の長さを5ないし100
mmと限定したのは、長さが5mm未満であると母材の
石膏粒子と炭素繊維の単繊維との総接着面積の不足によ
り石膏型の十分な強度の向上が図れなく、また長さが1
00mm以上であると、単繊維への離散時、石膏粉末お
よび水との混合かく拌時或るいはケース型内への流し込
み時における取扱いが面倒になると共に、石膏型内への
均一分散が困難となるためである。まず、常法により製
造された炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断し
た後に、所定の方法により無数本の単繊維に離散させ
る。束状の炭素繊維を単繊維に離散させる方法の一例と
して以下のものがある。まず、束状の炭素繊維を酸化雰
囲気中で加熱して表面に塗布された取扱い安定化用のサ
イジング剤を酸化させて除去するか、またはアセトン溶
剤で洗い流し処理してサイジング剤を除去する。加熱し
てサイジング剤を除去する場合の加熱温度は、表面に塗
布されたサイジング剤との関係により相対的に定められ
るものであるが、炭素繊維の一般的な安全使用最高温度
である300℃前後で行うことが望ましい。サイジング
剤を加熱除去した炭素繊維は、炭素繊維を構成する無数
本(通常は1,000ないし24,000本)の極めて
径の小さい(通常は5ないし10μm)単繊維に容易に
分散される。次に、サイジング剤を除去して5ないし1
00mmの長さに切断された炭素繊維を水槽内に投入
し、超音波振動を加えつつかく拌羽根により緩やかに回
転させると、先程の加熱によりサイジング剤が除去され
て分散され易くなった炭素繊維は、超音波振動と緩やか
なかく拌との相乗作用により、団塊を生ずることなく無
数本の径の極めて小さい単繊維に分散される。かく拌の
際に、かく拌羽根により炭素繊維が傷付けられることが
ないように、その回転数は、直径60cm程度の水槽に
おいて40ないし60rpmにする必要がある。分散処
理後に、分散された無数本の単繊維を水槽より取出し、
脱水して乾燥する。また、束状の炭素繊維を単繊維に離
散させる他の方法として、炭素繊維を予め水溶性サイジ
ング剤でサイジング処理しておく方法がある。即ち、水
溶性サイジング剤によりサイジング処理された束状の炭
素繊維を5ないし100mmの長さに切断しておき、そ
して、1回の混合割合に適合した炭素繊維を予め計量
し、この計量された炭素繊維を、1回の混合割合に適合
した水を入れた容器1(第4図参照)内に投入してかく
拌羽根により緩やかにかく拌させると、炭素繊維に塗布
された水溶性サイジング剤が直ちに水中に溶出して自己
拡散すると共に、かく拌羽根のかく拌作用により束状の
炭素繊維は水中において団塊を生ずることなく無数本の
径の極めて小さい単繊維に均一に分散される。この方法
による場合も、かく拌の際に、かく拌羽根により炭素繊
維が傷付けられないように、その回転数は直径60cm
程度の容器において40ないし60rpmにする必要が
ある。この方法により炭素繊維を単繊維に離散させる場
合には、炭素繊維の単繊維が水中において均一に分散さ
れた容器1内に、そのまゝ1回の混合量に適合した石膏
粉末,並びに硬化遅延剤等の添加剤を投入してかく拌す
ることにより石膏泥漿をつくる。次に、単繊維に離散さ
れた炭素繊維を混入した石膏泥漿をつくる方法について
述べるならば、石膏粉末に対する炭素繊維の割合は、後
述する理由により0.01ないし1重量%(硬化した石
膏型の母材の石膏に対する炭素繊維の割合に換算すると
ほぼ0.008ないし0.9重量%),望ましくは0.
1ないし0.3重量%にすることが必要である。第2図
は、石膏粉末100重量部,水60重量部の原料調合に
対して、長さ20mmの炭素繊維を所要重量部(種々の
重量部)の割合で混入した15mm×25mm×250
mmの石膏試験片における混入炭素繊維の石膏粉末に対
する重量%と、抗折強度との関係を示す試験結果のグラ
フである。第5図は石膏粉末に混入する炭素繊維の重量
割合と、吸水率すなわち吸水性能(硬化石膏の試験片が
吸水し得る水の重量%)との関係を示す試験結果のグラ
フである。第2〜第3図から明らかのように、石膏粉末
に混入する炭素繊維の重量割合が大きくなる程、抗折強
度が大きくなると共に、吸水率が高くなることがわか
る。炭素繊維の混入により石膏の吸水能力が高くなるの
は、石膏の粒子が針状であると共に、炭素繊維の断面形
状が円形若しくはこれに近似した形状であり、しかも石
膏の粒子の大きさと、炭素繊維の直径とが余り異ならな
いために、炭素繊維の混入により炭素繊維と石膏粒子と
の間に新たな空隙が形成されることに起因しているもの
と解される。ここで、石膏粉末に対する炭素繊維の混入
割合を0.01ないし1重量%とするのは、炭素繊維の
混入割合が0.01重量%未満では石膏粉末に対する炭
素繊維の割合が少な過ぎて石膏型の十分な強度の向上を
図ることができないこと、また炭素繊維の混入割合が1
重量%をこえると、石膏泥漿をつくる際に炭素繊維の割
合が多過ぎて、石膏泥漿内に炭素繊維を単繊維状態で均
一に分散させることができず炭素繊維の団塊が生じ易く
なると共に、石膏泥漿を母型内に流し込む際の流動性が
悪くなって鋳込作業が困難となること、更に成形される
石膏型の吸水性あるいはキャピラリティ(毛管細孔性)
等の物性が変化して通気性や吸水性を利用する場合の成
形型材としての条件を満足しなくなること、および成型
された石膏型内部に炭素繊維の団塊が生じ易くなり、不
均質な状態になり精密な製品の成形型としての機能を満
足しなくなる。そして、サイジング剤を除去して予め単
繊維に離散された炭素繊維を用いて、炭素繊維が均一に
分散された石膏泥漿をつくるには、第4図に示されるよ
うな容器1内に、一回の混合量に適合した水および硬化
遅延剤,減水剤等の必要な添加剤を予め入れておき、次
に、この容器1内に予め計量された所定量の単繊維に離
散された炭素繊維を投入し、最後に所定量の石膏粉末を
投入してこの容器1を真空かく拌機に装着すると共に、
かく拌羽根を低速回転させて混合かく拌すると、炭素繊
維の単繊維が石膏泥漿内に団塊を生ずることなく均一に
分散された石膏泥漿が得られる。炭素繊維が石膏泥漿内
に団塊を生ずることなく均一に分散されるのは、石膏粉
末に対する炭素繊維の割合が極めて少ないからである。
次に、皿を成形するためのプラスチック鋳込成形用石膏
型を製造する場合は、炭素繊維が均一に分散された上記
石膏泥漿を、第5図(イ)に示されるような上型成型用
のケース型2内に静かに流し込んで所定時間放置し、硬
化後に軽い衝撃を与えてケース型2を上下に分散させて
脱型し、しかる後に所定温度で十分乾燥すると、第5図
(ロ)に示されるような皿を鋳込成形するためのプラス
チック成形用石膏型の上型3が得られる。炭素繊維は豊
かな柔軟性を有しているので、流し込み成型後も自在に
変形して石膏の粒子の間に無理なく入り込んでいると解
され、また流し込み成型された石膏型の表層部に混入さ
れた炭素繊維の端部が成形面に露出することは殆んどな
いが、仮に露出しても、前述の如く炭素繊維の単繊維の
径は極めて小さく、しかも豊かな柔軟性を有しているの
で、成形面に露出した炭素繊維によりプラスチックやゴ
ム等高分子成形品の表面が傷付けられることは殆んどな
い。同様にして下型成型用のケース型を用いて、プラス
チック鋳込成形用石膏型の下型4を成型する。尚、下型
4には溶融プラスチック注入孔5が設けられている。常
圧で注入する場合は第5図(ロ)は実際は反転した状態
で使用される。このように、仮に炭素繊維の端部が成形
面に露出しても、成形品の表面が傷付けられることは殆
んどないが、特に成形品が高級品であって極めて精密で
滑らかな成形面を得る必要がある場合には、第6図
(イ)に示されるように、ケース型2を低速回転させつ
つ純石膏泥漿を少量流し込んで厚さ1ないし3mmの薄
膜6を予め形成しておき、その後ケース型2の回転を停
止させて直ちに炭素繊維が均一に分散された前記石膏泥
漿を静かに流し込み、以後上述と同様の操作を行うと、
プラスチック成型用石膏型の上型3′が成型される。同
様にして下型4′を成型すると、第6図(ロ)に示され
るように、成形面である外周面に純石膏から成る薄膜6
が被覆されたプラスチック加圧鋳込用石膏型が得られ、
炭素繊維が成形面に露出するのを確実に防止できる。ま
た、成形面を純石膏から成る薄膜で被覆した石膏型によ
り、ベリリウム銅合金,アルミニウム合金,亜鉛合金製
プラスチック射出成形用金型を成形したり、或るいは非
鉄合金の器物を成形することができ、この場合には成型
した金型の成形面、或るいは器物の表面が炭素繊維の端
部により傷付けられることはない。また、彫刻模様のあ
る板状体をプラスチック鋳込成形するための石膏型を多
数個製造する場合には次のようにして行なわれる。第7
図に於いて、炭素繊維が均一に分散混入された、又は内
部のみ炭素繊維混入石膏を使用し、表層部には純石膏を
使用した石膏製原型又は原形(第1の型)11から元型
(原型の雌型){第2の型}12a,12bを複製製作
する。この元型12a,12bは金属の精密鋳造の場合
マスター型と称されている。この元型の全体の石膏製雌
型を上下2分割して、上方の雄型部12bに相当する雌
型(図示しない)と下方の雌型12aに相当する雄型1
3aを含む雌型16を製作する。この下方の雌型14は
石膏泥漿注入口15を有する。この型16がセラミック
成形におけるいわゆるケース型(第3の型)である。以
下セラミック以外の金属またはプラスチックならびに紙
器成形の場合もケース型と称する。このケース型16に
石膏泥漿注入口15より炭素繊維が均一に分散された上
述の石膏泥漿を注入する。常圧(大気圧)で石膏泥漿を
注入する場合は、第7図(ハ)に示されるケース型16
は上下反転した状態で行わねばならない。所定時間放置
して硬化後上型13と下型14とを分離して成形型(第
4の型)の下型17を取り出す。同様にして元型の上部
12bからケース型を成型し、これに炭素繊維が均一に
分散された石膏泥漿を注入し、成形型の上型18を成型
する。この成形型の上型18、下型17を組み合わせた
ものがセラミック成形におけるいわゆる“使用型”であ
る。本発明に係る炭素繊維で強化した石膏型は硬化過程
での体積膨張率が小さく、しかも硬化石膏型の熱膨張係
数が小さいので、前記した合計3回の形状複製工程にお
いて、上述の炭素繊維を均一に分散混入させた石膏を利
用するならば原型から成形型までの寸法変化の少ない高
精度の型の複製が可能となる。また、ベリリウム銅合
金,アルミニウム合金或るいは亜鉛合金製プラスチック
射出成形用金型の成形のように成形金型を成形する石膏
型の場合は、石膏型による直接成形の場合に比較して、
形状複製工程が一層多く、しかも複雑であるので、石膏
型の硬化過程における体積膨張率、並びに硬化石膏型の
熱膨張係数が小さいことは、高精度複製において一層重
要な特性となる。また、上述した方法により炭素繊維が
均一に分散された石膏泥漿をつくると、石膏泥漿をつく
る毎に微量の炭素繊維を正確に計量しなければならず面
倒である。そこで、軽量でしかも浮遊性に富み、取扱い
困難な炭素繊維を循環するジェット空気流或るいは揺動
回転を利用して予め石膏粉末内に均一に単繊維状態で混
入分散せしめ、これを原料石膏粉末として用いてもよ
い。これにより石膏泥漿をつくる毎に一回の混合量に適
合した微量の炭素繊維のみを計量するという面倒な操作
を不要にすることができる。循環するジェット空気流を
利用した混合方法について具体的に述べると、石膏粉末
と単繊維に離散された炭素繊維とを石膏粉末に対して炭
素繊維を0.01〜5重量%の割合で混合装置内に投入
すると、石膏粉末と単繊維に離散された炭素繊維とがジ
ェット空気流により飛散された状態で多数回循環する間
に適切に混合され、しかる後にサイクロン或るいはバッ
クフィルターにより空気流内から分離回収すると、石膏
粉末と単繊維に離散された炭素繊維とが均一に混合した
炭素繊維入り石膏粉末が得られる。ここで、ジェット空
気流の圧力は1ないし2kgf/cm(Kg/c
)の低圧力であることが必要であり、空気圧を高く
すると混合の際に、石膏粒子どうし、或るいは石膏粒子
と炭素繊維との衝突力が大きくなって、石膏粒子および
炭素繊維のいずれもが粉砕されて石膏型材としての物性
が変化し、好ましくない。また、石膏粉末に炭素繊維を
均一に混合する別の方法として、揺動回転を利用する混
合方法がある。これは、第8図に示されるように、撓屈
自在の袋体21内に石膏粉末と、単繊維に離散された炭
素繊維に離散された炭素繊維とを石膏粉末に対して炭素
繊維を0.01〜5重量%の割合で投入し、袋体21の
底部に取付けられた揺動盤22を、回転軸25に偏心し
て装着された揺動軸24により揺動回転させると、袋体
21内の混合物が加速されて、その速度の大きさ並びに
方向が任意に変化し、これにより袋体21内の石膏粉末
および炭素繊維が均一に混合される。尚、石膏粉末内に
炭素繊維を混入する際に、硬化遅延剤,減水剤等の必要
な添加剤を同時に混入することも可能である。また、上
記した石膏粉末は、無数本の単繊維状態に離散された炭
素繊維が石膏粉末内に均一に混入分散されたものである
が、ポリビニールピロリドン,ポリビニールアルコール
等の水溶性サイジング剤でサイジング処理された炭素繊
維の場合は、予じめ単繊維に離散する必要はなく、石膏
泥漿をつくる際に水溶性サイジング剤が水中に溶出して
自己拡散する性質を有するので、袋体内の石膏粉末内に
束状のままで投入し混入することができる。更に、石膏
粉末内に炭素繊維を使用時における重量割合よりも高い
割合で混入分散した原料石膏粉末を使用する場合は、使
用時において再度石膏粉末を混合して、石膏粉末と炭素
繊維とを石膏粉末に対して炭素繊維が0.01〜1重量
%の割合まで希釈しなければならないが、この方法によ
れば炭素繊維が混入された石膏粉末の輸送費の節減を図
ることができる。ここで石膏粉末に対する炭素繊維の割
合を0.01〜5重量%とするのは5重量%をこえると
単繊維状態での混入が困難であり、0,01重量%未満
ではそのまゝでは成形型成型用として使用できないから
である。希釈せずそのまゝ利用する場合は石膏粉末に対
し炭素繊維の混入割合を0.01〜1重量%とする。ま
た、炭素繊維を混入した石膏を一般の成形型或るいは金
型成形用成形型の型材として利用する場合、更には石膏
型からセラミック成形型を製作して高分子加工或るいは
金属の精密鋳造あるいは陶磁器を除くセラミックスすな
わちガラス,ファインセラミックス等の鋳込成形を行う
場合、あるいは、高級ガラス器のブロー成形等を行う場
合には、炭素繊維を混入した石膏の水和硬化時における
膨張率、並びに冷却脱型時の膨張率及びその後の乾燥収
縮率・膨張率はいずれも小さいので、母型(雌型)に流
し込んで型を反復複製する際の複製品の精度がよく、正
確な複製品ができる。また、型自体の熱膨張係数が小さ
いので、温度変化による膨張・収縮が小さく、高精度の
複製が可能となると共に、成形型自体の精度も向上す
る。従って、数回の反復複製を繰返しても、最初の型
(原型)と最終の型(成形型)との複製誤差が少ない。
この点は、精密鋳造における金型又はセラミック型成形
用の型材として最も重要なことである。本発明に係る石
膏型をプレス成形型として用いる場合、金属,プラスチ
ック或るいはセラミックス等の成形原料の状態は、乾燥
した粉末状の他、陶磁器坏土のようにペースト状であっ
てもよく、更にシート状であってもよい。また、本発明
は、成形型自体を炭素繊維で強化することを直接の目的
としているが、インベストメント鋳型におけるセラミッ
クコア(中子)のように成形型を構成する部材、或るい
は成形型を保持したり、位置決めしたりするための治工
具的部材を炭素繊維で強化した石膏で構成してもよい。
次に本発明の実施例、並びに比較例を挙げる。
実施例1 ポリアクリロニトリル系繊維を約300℃で熱処理した
後に、更に窒素ガス雰囲気中で約1300℃で熱処理し
て黒鉛化し、直径的7μmの単繊維を約6000本一束
とした炭素繊維を用いた。この炭素繊維の物性は、引張
強さ300kgf/mm(Kg/mm)、引張弾性
係数23,000kgf/mm(Kg/mm)、密
度1.75g/cm、線膨張係数−0.1×10−6
/℃,熱伝導率15Kcal/m.hr・℃(17.4
5W/m・K),比熱0.17cal/g・℃(0.7
1kJ/kg・K)であった。この炭素繊維を約20m
mの長さに切断して、水中にて超音波振動とかく拌との
相乗作用により無数本の単繊維に離散させた。β石膏粉
末100重量部,水60重量部,炭素繊維0.1重量
部,硼砂(硬化遅延剤)0.2重量部の割合で混合かく
拌して、炭素繊維の単繊維が均一に分散された石膏泥漿
をつくり、この石膏泥漿をケース型内に流し込んでプラ
スチック楕円皿を鋳込成形するための鋳込成形用石膏型
を得た。この鋳込成形用石膏型は、切断断面全体に亘っ
て炭素繊維の単繊維が均一に分散され、この分散状況は
肉眼で見ることが可能な程度であった。
実施例2 実施例1と同一の条件並びに方法により炭素繊維の単繊
維が均一に分散された石膏泥漿をつくり、ケース型を低
速回転させつつ炭素繊維の混入されていない純粋な石膏
泥漿を予め流し込んで厚さ1ないし3mmの薄膜を形成
しておき、しかる後にケース型の回転を停止させて炭素
繊維が混入された石膏泥漿を流し込んでプラスチック楕
円皿を鋳込成形するための鋳込成形用石膏型を得た。こ
の鋳込成形用石膏型の成形面は、純石膏から成る薄膜で
被覆されており、炭素繊維は成形面に全く露出していな
かった。
実施例3 ポリアクリロニトリル系繊維を約300℃で熱処理した
後に、更に窒素ガス雰囲気中において約2500℃で特
殊熱処理して黒鉛化し、直径約7μmの単繊維をポリビ
ニールピロリドンでサイジング処理して約6000本を
一束にした炭素繊維を用いた。この炭素繊維の物性は、
引張強さ250kgf/mm(Kg/mm)、引張
弾性係数35,000kgf/mm(Kg/m
),密度1.77g/cm,線膨張係数−0.1
×10−6/℃,熱伝導率100Kcal/m・hr・
℃(116W/m・K),比熱0.17cal/g・℃
(0.71kJ/kg・K)であった。この束状の炭素
繊維を25mmの長さに切断し、β石膏粉末100重量
部に対して炭素繊維の割合か0.3重量部となるように
炭素繊維を予め計量しておき、この炭素繊維を予め計量
された水の入った容器に、投入して補助的にかく拌する
と、束状の炭素繊維は自己拡散して無数本の単繊維に離
散されると共に、かく拌作用により水中に均一に分散し
た。しかる後に、石膏粉末,硼砂(硬化遅延剤)および
昭和電工株式会社製メルメントF−20(減水剤)を投
入して混合かく拌することにより、石膏粉末100重量
部、水60重量部,炭素繊維0.3重量部、硬化遅延剤
0.2重量部、減水剤0.2重量部の割合から成る均質
な石膏泥漿をつくった。まず、第9図に示されるように
カップの原型31から上記石膏泥漿を用いて元型(第2
の中間型)32の下型を製作し、この元型32を用いて
ケース型(第3の中間型)35の下型を上記石膏泥漿に
より製作した。このケース型33に上ケース34を組み
合わせたものを100rpmで低速回転させながら純石
膏泥漿を流し込んで厚さ1mmの薄膜35を予め形成し
た後に上記石膏泥漿を流し込んで、銀合金カップを成形
するための鋳込成形用石膏型38の下型36を得た。こ
の鋳込成形用石膏型の下型36に混入された炭素繊維の
分散状況は、実施例1と同様にほぼ均一であった。同様
にして上型37を製作し、上型37,下型36を組み合
わせて一体として銀合金カップを鋳造した。外側表面の
繊細な模様は精密に再現された見事な銀合金カップが得
られた。
実施例4 実施例3と同一条件並びに方法により炭素繊維の単繊維
が均一に分散された石膏泥漿をつくり、これを母型内に
流し込んで合成ゴム球を鋳込成形するための石膏型を得
た。
実施例5 実施例3と同一条件並びに方法により炭素繊維の単繊維
が均一に分散された石膏泥漿をつくり、これを母型内に
流し込んでセラミック・ボールをアイソスタティックプ
レス(等静圧プレス)成形するためのポリウレタン・ゴ
ム製成形型を鋳込むための石膏型を得た。
実施例6 実施例3と同一条件並びに方法により炭素繊維の単繊維
が均一分散された石膏泥漿をつくり、これを母型内に流
し込んでサイアロン製クリスタルガラス・ブロー成形型
を鋳込成形するための石膏型を得た。
比較例1 β石膏粉末100重量部,水60重量部,硼砂0.2重
量部の割合で混合かく拌して炭素繊維の入っていない純
粋な石膏泥漿をつくり、この石膏泥漿をケース型内に流
し込んでプラスチック楕円皿を射出成形するための射出
成形用石膏型を得た。
実施例7 ポリアクリロニトリル系繊維を約300℃で熱処理した
後に、更に窒素ガス雰囲気中で約1300℃で熱処理し
て黒鉛化し、直径約7μmの単繊維を約6000本一束
とした炭素繊維を用いた。この炭素繊維の物性は、引張
強さ300kgf/mm(Kg/mm)、引張弾性
係数23,000kgf/mm(Kg/mm)、密
度1.75g/cm、線膨張係数−0.1×10−6
/℃,熱伝導率15Kcal/m・hr・℃(17.4
5W/m・K),比熱0.17cal/g・℃(0.7
1kJ/kg・K)であった。この炭素繊維を約20m
mの長さに切断して、水中にて超音波振動とかく拌との
相乗作用により無数本の単繊維に離散させた。β石膏粉
末100重量部,水60重量部,炭素繊維0.1重量
部,硼砂(硬化遅延剤)0.2重量部の割合で混合かく
拌して、炭素繊維の単繊維が均一に分散された石膏泥漿
をつくった。そして、第10図に示されるように、原型
41を分割面まで粘土又は石膏内に埋め込み、このまま
で前記石膏泥漿を流し込んで原型41の上半面の型取り
を行い、しかる後に原型41を反転して同様の操作を行
って原型41の下半面の型取りを行うと元型42が製作
される。この元型42内に前記石膏泥漿を流し込んでケ
ース下型43,44をそれぞれ製作し、これとは別に製
作した上ケース45,46を組み合わせるとケース型4
7,48となる。このケース型47,48は、断面を含
めて全体に亘って炭素繊維の単繊維が均一に分散され、
この分散状況は肉眼で見ることが可能な程度であった。
このケース型47,48を鋳込成形型として低速回転さ
せながら、アルミニウムの溶融液を鋳込んでプラスチッ
ク鋳込成形用金型49を製作した。原型41の表面の模
様は、そのまま金型49に正確に転写されていた。
比較例2 β石膏粉末100重量部,水60重量部,硼砂0.2重
量部の割合で混合かく拌して炭素繊維の入っていない純
粋な石膏泥漿をつくり、この石膏泥漿を実施例7と同様
にして製作した元型内に流し込んでケース下型並びにケ
ース上型を製作し、これに別に製作した上ケースを組み
合わせてケース型を得、このケース型にアルミニウム合
金溶融液を鋳込んでプラスチック鋳込成形用金型を製作
した。上記実施例7並びに比較例2の石膏ケース型の乾
燥離型時の各温度における長さの変化率並びに複製精度
は次の通りであった。長さの変化率に関しては、ケース
型の最高発熱時(53.2℃)においては、炭素繊維を
混入していない従来品は0.076%(500mmに対
して0.38mm)膨張(硬化時膨張率)していたのに
対し、本発明品は0.066%(500mmに対して
0.33mm)膨張しており、また室温時(23.5
℃)に冷却した後、乾燥脱型時においては従来品は0.
025%(500mmに対して0.125mm)膨張し
ていたのに対し、本発明品は0.018%(500mm
に対し0.09mm)膨張していた。また、その後50
℃の熱風乾燥器にて約10日間乾燥したところ複製精度
に関しては、従来品は500mmに対して0.06mm
乾燥収縮し母型に対し0.065mm膨張していたのに
対し、本発明品は500mmに対して0.04mm乾燥
収縮し、母型に対し0.05mm膨張していた。これか
ら明らかのように、本発明品は水和硬化時の膨張も小さ
く、しかも複製精度も良好であることが解かる。上記各
実施例1ないし6、および比較例1の各石膏型の抗折強
度,吸水能力,大気中における破壊温度差,嵩比重並び
に硬化時膨張率などの物性は、下表の通りであった。
吸水能力はテストピースを常温常圧下で浸漬したとき、
吸水した水の重量百分率である。破壊温度差は高温大気
中で加温した試験片をすばやく室内に取り出し室温大気
中に放置した場合、破壊に到る最小の温度差を表わす。
硬化時膨張率は母型に石膏泥漿を鋳込み硬化させ脱型
後、乾燥直前に測定したときの長さの母型に対し変化し
た割合である。上表から明らかのように、炭素繊維を混
入した石膏型は、混入しない石膏型に比較して抗折強度
および大気中における破壊温度差は大巾に向上している
と共に、他の物性においても優れていることが判明し
た。第11図は実施例1の石膏硬化体の切断面から製作
した薄片を走査型電子顕徴鏡で2000倍で撮った写真
である。左上端から中央へ延びる細長い真直ぐな円柱
が、混入した炭素単繊維であり破片状の結晶がβ型2水
石膏である。第12図はα型石膏粉を用いた他は実施例
1すなわち第11図と同一のもので、同じく2000倍
の走査型電子顕微鏡写真である。また、第13図は、石
膏100重量部,水60重量部,長さ25mmのピッチ
系炭素繊維を所定重量部混入した石膏泥漿を鋳込んで成
形した15mm×25mm×250mmの石膏試験片を
曲げ試験装置で曲げ試験をした場合の経過時間と、抗折
力との関係を示しており、混入炭素繊維の重量比率をパ
ラメーターとした場合の試験結果である。第13図のグ
ラフから明らかのように混入炭素繊維の割合が大きくな
る程抗折力が大きくなると共に、最大抗折力で単純破断
するもろさが解消されて素材としてのいわゆる粘りが生
じていることがわかる。尚、本試験のスバンは200m
mで、荷重は中央に加えられ、荷重点の変位速度は1m
m/minであった。第14図に、純粋な石膏試験片
と、炭素繊維で強化した石膏試験片との各温度における
長さの変化率を示す曲線が示されており、炭素繊維を混
入した石膏の試験片の長さの変化(膨張)率は、炭素繊
維を混入しない石膏試験片の長さの変化(膨張)率に比
較して、正および負のいずれの場合にも僅かに小さいこ
とがわかる。これは、熱膨張率が殆んど零に等しい炭素
繊維が石膏の各粒子間に入り込んでいるため、この炭素
繊維が石膏の膨張或るいは収縮を抑制するためであると
解される。従って、炭素繊維を混入した石膏型は、温度
による膨張或るいは収縮が小さく、成形品の寸法精度が
向上する。ここで、石膏型を金属成形又は高分子加工成
形型或るいは紙器成形型として用いる場合、抗折強度お
よび抗折力の大巾な向上により、石育型の材料力学的強
度が増大され、従来成形時の外圧力又は内圧力により破
損されていた部分の機械的強度が増大せしめられること
により石膏型の破損が防止されると共に、高(速い)サ
イクルの成形が可能となって成形効率(生産性)が向上
し、しかも石膏型の寿命が長くなる。また、成形中の石
膏型の破損により加圧鋳造,遠心鋳造,減圧鋳造,射出
成形などの成形機が損傷され、これに起因して生産が中
断されるのを防止できると共に、成形機の損傷部品を交
換して再調整する等の手間を省くことができる。更に、
機械的強度の大巾な向上により、石膏型の肉厚を薄くす
ることが可能となり、ひいては使用石膏量が削減され
る。また、炭素繊維の混入により大気中における破壊温
度差が向上するのは、温度上昇により石膏自体は所定量
膨張するが、炭素繊維自体は殆んど膨張しないので、石
膏型内部において炭素繊維にはその長さ方向に引張力が
加わると共に、石膏には圧縮力が加わり、このため炭素
繊維の長さ方向に内部応力が生じて丁度PSコンクリー
トのようにプレストレスが導入された状態になっている
ためであると解される。大気中における破壊温度差の大
巾な上昇は、石膏型が大きな温度差に対しても耐え得る
ことを意味し、ファインセラミックスや紙器等の成形の
場合では成形後の石膏型の乾燥温度を上げることが可能
となる。従って、成形毎の石膏型の乾燥時間を短縮させ
ることが可能となると共に、乾燥装置内に保持すべき成
形型数が少なくて済み、ひいては成形効率(生産性)が
向上する。よって、ファインセラミックスや紙器等の成
形品の生産個数に対する稼動石膏型の数を減少させるこ
とができ、少量多品種の製品の成形に適していると共
に、製品原価の低減を図ることができる。また、嵩比重
の低下により石膏型が軽量化され、石膏型の運搬或るい
は取扱い性が向上する。更に、硬化時膨張の僅かの減少
により、石膏型成形時においてケース型に加わる圧力が
小さくなって脱型が容易になると同時に、ケース型の破
損を防止することができる。その他の非鉄金属鋳造用成
形型の製作の場合でも同様な効果がある。上述したこと
を総合すると、本発明には次のような効果がある。
(1)、石膏型の材料力学的強度が大巾に増大されて成
形時の外圧力又は内圧力による石膏型の破損を防止でき
ると同時に、温度差による内部応力などに対する強度
(耐久性)も大巾に増大され、ファインセラミックスや
紙器の鋳込成形のように石膏型の吸水性能を利用する成
形においては成形毎の石膏型の乾燥温度を上げることが
可能となって乾燥時間を短縮させることができると共
に、完全乾燥が可能となり、ひいては成形効率を著しく
向上させることができる。
(2)、石膏型の強化材として、径が極めて小さくて強
度が大きく、しかも柔軟性に富んだ炭素繊維を用いてい
るので、石膏に対する強化材の混入割合が少なくても石
膏型の機械的外力,熱的不均質に対する強度を増大させ
ることができると共に、強化材の混入割合が小いので、
炭素繊維の混入によりファインセラミックスや紙器の鋳
込成形のように吸水性を利用する成形用石膏型の基本的
な性能である吸水性能,或るいは非鉄金属製品の成形用
の場合は通気性能が低下することがない。
(3)、石膏型の成形面である表層部を純粋な石膏から
成る薄膜で被覆した場合は、炭素繊維の端部が成形面に
露出するのを確実に防止でき、成形品の表面を滑らかに
することができる。
(4)、高温加熱焼失性を有する炭素繊維を強化材とし
て混入してあるので、使用中に破損したり、或るいは使
用不可能となった石膏型は、粉砕して長時間に亘って緩
やかに高温加熱処理することにより、内部に混入された
炭素繊維のみを容易に焼失除去することができ、石膏硬
化体の再使用が可能となる。この点ガラス繊維等の加熱
焼失性を有しないものを強化材として混入した場合は、
混入した強化材のみを除去して石膏型を再生或るいは再
利用することは極めて困難か、或るいは不可能である。
(5)、炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断し
た後にサイジング剤を加熱除去し、水中において超音波
振動を加えつつかく拌することにより、径が極めて小さ
く、しかも柔軟性に富んだ束状の炭素繊維を無数本の単
繊維に容易に分散でき、これにより石膏泥漿内に炭素繊
維の無数本の単繊維を均一に分散でき、ひいては石膏型
内に炭素繊維を均一に混入させることができる。
(6)、水溶性サイジング剤でサイジング処理した炭素
繊維を用いる場合には、この炭素繊維を5ないし100
mmの長さに切断した後に水中に投入して水溶性サイジ
ング剤を水中に溶出せしめて束状の炭素繊維を無数本の
単繊維に分散させ、しかる後に石膏粉末を投入して混合
かく拌することにより炭素繊維が均一に混入分散された
石膏泥漿をつくることができるので、束状の炭素繊維を
無数本の単繊維に分散させるためのみの前処理が不要と
なる。
(7)、炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断し
て無数本の単繊維に予め離散させておき、石膏粉末と、
該石膏粉末に対して所定の重量割合の単繊維に離散され
た前記炭素繊維とを循環しているジェット空気流内に投
入して両者を均一に混合せしめて後に回収して、石膏粉
末内に単繊維に離散された炭素繊維を均一に混入分散せ
しめておくことにより、石膏泥漿をつくる毎に一回の混
合量に適合した微量の炭素繊維のみを計量する操作を不
要にすることができる。
(8)、従来、石膏泥漿を母型に流し込むには、母型に
石膏泥漿を流し込んで表層部となる5ないし10mmの
厚さの第1層をつくり、次に同様にして第2層をつく
り、この第2層の上に麻等の繊維を切断した補強材を散
布して指で突き込むことにより、石膏泥漿内に補強材を
混入せしめ、次に同様にして3層,第4層と補強材の混
入した石膏層を順次重ね合わせて所要の厚みまで成形し
ていた。これに対し、本発明は、石膏泥漿内に予め補強
材としての炭素繊維が混入されているので、かく拌泥漿
を流し込んで比較的厚い第1層をつくり、しかる後にか
く拌泥漿を単に流し込んで第2層を積層して所要の厚み
まで成形すればよい。従って、本発明によれば一度に大
量の泥漿を母型に流し込むことができるので、作業時間
の短縮を図ることができる。
(9)、本発明の炭素繊維を分散混入した石膏は、水和
硬化時における膨張率が小さいので、原型から元型,ケ
ース型,成形型と複製する場合の誤差が少なく、精度の
良い成形型を製造することができる。その他の金属の精
密圧力鋳造,パルプ泥漿鋳込み,プラスチック射出成
形,合成ゴムの鋳込成形,ファインセラミック等の等静
圧成形において用いられる合成ゴム製成形型等について
も上記と同様のことがいえる。
(10)、精密金属鋳造など金属鋳造用成形型等を製造
する場合、模型を複製したマスター型(陶磁器の元型に
相当する)およびこれを複製した成形鋳型成形のための
母型(陶磁器のケース型に相当する)並びに成形型に金
属製型に代えて本発明に係る炭素繊維強化石膏型を使用
すれば、極めて容易にしかも精度よくこれらの型を製造
でき、ひいては製品も同様に容易にしかも精度よく製造
できる。従って、鋳造品すなわち商品の試作見本を極め
て容易にしかも短期間に試作でき、更に事後の設計変更
に対しても迅速かつ経済的に対応できる。しかも砂鋳
型,金属製型のいずれよりも高精度に試作でき、かつ少
ロットの生産も可能であり、多品種少量生産用の非鉄金
属のプラスターモールディング法に特に適している。
(11)、深いアンダーカット彫刻等の複雑な模様のあ
る場合、使用型製造の中間型である元型,ケース型等の
原型の模様部に該当する部分は、シリコンゴム等を利用
した型面とする必要があるが、成形型に本発明に係る炭
素繊維強化石膏型を使用すれば、純石膏製の成形型に比
較して、はるかに容易にしかも 精度よく成形型に原
型の模様を再現することができる。
(12)、非鉄金属の金型を成型する場合は、特に高精
度を要するので、硬化時体積膨張が少なくて乾燥収縮も
少なく、しかも熱膨張係数も小さい本発明に係る石膏製
成形型により、高精度の金型の製作が可能となる。
(13)、砂型や金属製成形型を使用する場合に比較し
て、表面が極めて平滑で、微細な木目,指紋模様でも正
確に鋳造できる他、抜き勾配が2゜以下、場合によって
も抜き勾配がない場合でも成型・脱型が可能である。
(14)、砂型に比し、鋳造物の冷却速度が遅いため、
鋳造歪が小さく、組織や機械的性質か均一になるほか、
肉厚の薄い製品の製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、硬化石膏内に混入する炭素繊維の長さと、硬
化石膏テストピースの抗折強度との関係を示すグラフで
ある。第2図は、石膏内に混入する炭素繊維の石膏に対
する重量割合と、石膏試験片の抗折強度との関係を示す
グラフである。第3図は、石膏内に混入する炭素繊維の
石膏に対する重量割合と、硬化石膏の吸水性能(石膏が
吸収し得る水分の石膏に対する重量割合)との関係を示
す図である。第4図は、石膏泥漿をつくるための容器の
斜視図である。第5図(イ)は、プラスチック製楕円皿
を鋳込成形するための石膏型の一成型工程の断面図、同
(ロ)は成型された石膏型の断面図である。第6図
(イ)は、プラスチック製楕円皿を加圧鋳込成形するた
めの石膏型であって、しかも成形面を純石膏から成る薄
膜で被覆した石膏型の一成型工程の断面図、同(ロ)は
成型された石膏型の断面図である。第7図は、彫刻模様
のある板状体をプラスチック鋳込成形するための石膏型
の成型工程を示すもので、(イ)は原型,(ロ)は元
型,(ハ)は下型用ケース型,(ニ)は成形型の夫々断
面図である。第8図は、揺動回転を利用した混合方法の
原理を示す図である。第9図は、銀合金製カップを鋳込
成形するための石膏型の成型工程を示すもので、(イ)
は原型,(ロ)は下型用元型,(ハ)は下型用ケース
型,亘は成形型の夫々断面図である。第10図は、プラ
スチック鋳込成形用金型を成型するための石膏型の成型
工程を示すもので、(イ)は原型,(ロ)は元型,
(ハ)はケース型,(ニ)は目的とする金型の夫々断面
図である。第11図は、β型石膏粉末を用いた場合の石
膏試料片の走査型電子顕微鏡写真であり、第12図は、
α型石膏粉末を用いた場合の同様の写真である。第13
図は、石膏型内に混入する炭素繊維の石膏に対する重量
割合をパラメーターとした石膏型の試験片の曲げ試験に
おける抗折力の時間変化を示す測定グラフである。第1
4図は、純粋石膏試験片と、炭素繊維強化石膏試験片と
の各温度における長さの変化率を示すグラフである。 (主要部分の符号の説明) 3,3′:プラスチック成形用石膏型の上型 4,4′: 〃 下型 6:薄 膜 17:プラスチック鋳込成形用石膏型の下型 18: 〃 上型 21:袋 体 22:揺 動 盤 23:回 転 軸 24:揺 動 軸 36:銀合金カップ鋳込成形用石膏型の下型 37: 〃 上型 38:銀合金カップ鋳込成形用石膏型 49:プラスチック鋳込成形用金型
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月28日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 炭素繊維強化石膏製成形型および石膏
粉末、並びにこれらの製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器製品を除く高分
子加工製品,非鉄金属製品,ファインセラミック製品或
るいは紙器製品等を成形するための炭素繊維強化石膏成
形型および陶磁器を含む炭素繊維強化石膏製成形型用原
料石膏粉末、並びにこれらの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、陶磁器製品を除く高分子加工製
品,非鉄金属製品,ファインセラミック製品或るいは紙
器製品等を成形するための一般成形用石膏製成形型(以
下、単に石膏型と略称する)の強度を増大させるには種
々の方法があり、例えばβ型半水石膏を主体にしてその
中にα型半水石膏を混合して混水量を減少せしめたり、
石膏内にセメント或るいは樹脂を混入させたりする方法
があり、更に石膏内に麻等の天然繊維,或るいはガラス
繊維を混入させる方法もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、β型半水石膏
内にα型半水石膏を混合して混水量を減少せしめた場合
には、強度自体は僅かに向上するが吸水性能が低下する
などの欠点を有している。石膏型の吸水性能が良好であ
ることは、パルプ泥漿等の鋳込用石膏型に対しては最も
重要な要素の一つである。即ち、石膏の吸水性能を利用
する成形方法において石膏型の吸水性能が悪い場合は、
製品一個当りの成形時間が長くなって成形効率の低下を
招来し、製品の仕上り形状も悪くなる。よって、ファイ
ンセラミックスや紙器など脱水操作を伴う鋳込成形法に
おいては、石膏型の吸水性能の低下は製品製造上の致命
的な欠点である。
【0004】歯科材料および装身具の金,銀,銅合金の
インベストメント鋳造用成形型,或いは金型,機械部品
一般,美術工芸品などの非鉄金属製品の精密鋳造用成形
型の成形においては鋳込成形型と鋳込まれた金属との界
面に発生するガスを逃散させるための通気性が重要な要
素の一つである。適度の通気性が不足する場合は、加圧
或いは減圧鋳造法を利用しなければならない。
【0005】また、石膏内にセメント或るいは樹脂を混
入する場合も、強度自体の向上は図られるが、同様に吸
水性能が低下し、その他の石膏の物性も変化するという
欠点を有している。また、石膏内に麻等の天然繊維を混
入する場合には、天然繊維は合成繊維に比較して引張り
強さが小さいので、石膏に対する混入量を多くしなけれ
ば強度の増大を図ることができないと共に、天然繊維の
混入量の増大により必然的に石膏型の吸水性能の低下を
招来し、しかも天然繊維は単繊維自体が太いので、石膏
型の表層部に入り込んだ繊維の端部が成形面に露出し易
く,露出した繊維端により成形品の表面を傷付けると共
に、繊維端が露出した部分の吸水性がなくなるなどして
表面性状が不均質になるので、成形不良を生じ易いとい
う欠点がある。
【0006】更に石膏内にガラス繊維を混入する場合
は、石膏型の強度は僅かに向上するが、ガラス繊維は硬
直性を有するため、表層部に入り込んだガラス繊維の端
部が成形面に露出して成形品の表面を傷付けるという欠
点がある。
【0007】本発明は、優れた強度特性,柔軟性,軽量
性,低熱膨張性を備え、しかも径が極めて小さい炭素繊
維を5ないし100mm の長さに切断して硬化石膏マトリッ
クス中に0.008 ないし0.9 重量%の割合で均一に単繊維
の状態で分散させて混入することにより、紙器成形型の
主要な物性である吸水性能、或いは歯科材料,装身具の
インベストメント鋳造用成形型または金属器物の精密鋳
造成形型における重要な物性である通気性能を低下せし
めることなく、更にその他の一般石膏型の場合にも石膏
型の他の物性を変化せしめることなく石膏型の材料力学
的強度を高め、機械的外力に対する強度(耐久性)と熱
的歪による内部応力に対する強度(耐久性)の双方を高
めたものである。
【0008】本発明の第1の目的は、高寸法精度,低価
格性,鋳造による成形容易性などの石膏型本来の諸機能
を低下させることなく、石膏型の材料力学的強度を高め
機械的外力に対する強度と、熱的歪による内部応力に対
する強度との双方を一挙に高めることにより、成形時の
外圧力又は内圧力による石膏型の破損を防止すると共
に、紙器成形においては成形終了毎の石膏型の乾燥時間
を短縮して成形効率(石膏型による生産性)を向上させ
ることである。
【0009】本発明の第2の目的は、炭素繊維が混入さ
れた石膏型を製造するに際し、石膏泥漿内に炭素繊維の
無数本の単繊維を均一に分散させ、これにより石膏マト
リックス内に炭素繊維を均一に分散混入させることであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するためになされたものであって、請求項1に係る発
明は、成形用石膏型の母材の石膏組織内に長さ5ないし
100mm の炭素繊維を単繊維に離散された状態で石膏に対
して0.008 ないし0.9 重量%の割合で均一に混入分散し
たことを特徴とする炭素繊維強化石膏製成形型である。
【0011】また、請求項2に係る発明は、炭素繊維を
5ないし100mm の長さに切断した後に塗布されたサイジ
ング剤を加熱除去し、この炭素繊維を水中において超音
波振動を加えつつかく拌して炭素繊維を無数本の単繊維
に分散せしめ、石膏粉末と、該石膏粉末に対して0.01な
いし1重量%の単繊維に分散された前記炭素繊維と,水
と,必要に応じて他の添加剤とを混合かく拌して炭素繊
維の単繊維が均一に分散された炭素繊維入り石膏泥漿を
つくり、母型内に予め純粋な石膏泥漿を流し込んで薄膜
を形成し、しかる後に前記炭素繊維入り石膏泥漿を流し
込み、硬化後に脱型して乾燥させることにより成形面に
純粋な石膏から成る薄膜が被覆された石膏製成形型を製
造することを特徴とする炭素繊維強化石膏製成形型の製
造方法である。
【0012】また、請求項3に係る発明は、石膏粉末内
に5ないし100mm の長さの単繊維に離散された炭素繊維
を、該石膏粉末に対して0.01ないし5重量%の割合で均
一に混入分散して成る石膏製成形型用炭素繊維入り石膏
粉末である。
【0013】また、請求項4に係る発明は、炭素繊維を
5ないし100mm の長さに切断して無数本の単繊維に予め
離散させておき、石膏粉末と、該石膏粉末に対して0.01
ないし5重量%の単繊維に離散された前記炭素繊維とを
循環しているジェット空気流内に投入して両者を均一に
混合せしめた後に回収することを特徴とする石膏製成形
型用炭素繊維入り石膏粉末の製造方法である。
【0014】また、請求項5に係る発明は、炭素繊維を
5ないし100mm の長さに切断して無数本の単繊維に予め
離散させておき、石膏粉末と、該石膏粉末に対して0.01
ないし5重量%の単繊維に離散された前記炭素繊維とを
撓屈自在の袋体内に投入して揺動回転させることを特徴
とする石膏製成形型用炭素繊維入り石膏粉末の製造方法
である。
【0015】本発明に係る石膏型としては、一般鋳込成
形用石膏型,金属精密鋳造用石膏型,粉末または可塑性
のある材料のプレス成形用石膏型,押出成形用石膏型,
射出成形用石膏型,その他アルミナ,炭化珪素,窒化珪
素,部分安定化ジルコニア,サイアロン等の原料調合に
粘土類を含まないいわゆるファインセラミックス用のプ
レス成形用石膏型,射出成形用石膏型,鋳込成形用石膏
型等のファインセラミックス成形用石膏型が含まれる。
更に、石膏の吸水性能そのものを利用して実施されるフ
ァインセラミックス用ロクロ成形型,鋳込成形型、およ
びパルプ泥漿から紙器を製作するための鋳込成形型が含
まれる。
【0016】また、本発明に用いられる炭素繊維の種類
は、ポリアクリロニトリル系,ピッチ系,レーヨン系或
いは、リグニンポバール系のいずれでもよいが、石膏型
の強度を増大させる関係から高強度或いは高弾性の炭素
繊維が望ましく、具体的には引張強さ200kgf/mm2 (K
g/mm2 ) 以上、引張弾性係数20,000kgf/mm2 (Kg/mm2)
以上のものが望ましい。
【0017】本発明においては、団塊状になり易い炭素
繊維を母材の石膏型(石膏型の組織)内に団塊を生ずる
ことなく単繊維状態で均一に分散せしめて混入すること
が極めて重要な要素であり、かかる観点から強化材とし
て石膏型内に混入せしめる炭素繊維の長さ、および石膏
に対する重量割合が定められる。
【0018】炭素繊維の無数本の単繊維に離散せしめて
母材の石膏型内に混入するのであるが、後述する理由に
より炭素繊維の長さは5ないし100mm 、望ましくは20な
いし30mmにすることが必要である。図1に、石膏100 重
量部,水60重量部,炭素繊維0.5 重量部の割合から成る
15mm×25mm×250mm の石膏試験片における炭素繊維の長
さと、抗折強度(曲げ強度)との関係を示す試験結果の
グラフが表わされており、これから明らかのように炭素
繊維の長さが15mm以下では抗折強度が急激に低下するこ
とがわかる。ここで、母材の石膏型内に分散させて混入
せしめる炭素繊維の長さを5ないし100mm と限定したの
は、長さが5mm未満であると母材の石膏粒子と炭素繊維
の単繊維との総接着面積の不足により石膏型の十分な強
度の向上が図れなく、また長さが100mm 以上であると、
単繊維への離散時、石膏粉末および水との混合かく拌時
或いはケース型内への流し込み時における取扱いが面倒
になると共に、石膏型内への均一分散が困難となるため
である。
【0019】まず、常法により製造された炭素繊維を5
ないし100mm の長さに切断した後に、所定の方法により
無数本の単繊維に離散させる。束状の炭素繊維を単繊維
に離散させる方法の一例として以下のものがある。ま
ず、束状の炭素繊維を酸化雰囲気中で加熱して表面に塗
布された取扱い安定化用のサイジング剤を酸化させて除
去するか、またはアセトン溶剤で洗い流し処理してサイ
ジング剤を除去する。加熱してサイジング剤を除去する
場合の加熱温度は、表面に塗布されたサイジング剤との
関係により相対的に定められるものであるが、炭素繊維
の一般的な安全使用最高温度である300 ℃前後で行うこ
とが望ましい。サイジング剤を加熱除去した炭素繊維
は、炭素繊維を構成する無数本(通常は1,000 ないし2
4,000本)の極めて径の小さい(通常は5ないし10μm)
単繊維に容易に分散される。
【0020】次に、サイジング剤を除去して5ないし10
0mm の長さに切断された炭素繊維を水槽内に投入し、超
音波振動を加えつつかく拌羽根により緩やかに回転させ
ると、先程の加熱によりサイジング剤が除去されて分散
され易くなった炭素繊維は、超音波振動と緩やかなかく
拌との相乗作用により、団塊を生ずることなく無数本の
径の極めて小さい単繊維に分散される。かく拌の際に、
かく拌羽根により炭素繊維が傷付けられることがないよ
うに、その回転数は、直径60cm程度の水槽において40な
いし60rpm にする必要がある。分散処理後に、分散され
た無数本の単繊維を水槽より取出し、脱水して乾燥す
る。
【0021】また、束状の炭素繊維を単繊維に離散させ
る他の方法として、炭素繊維を予め水溶性サイジング剤
でサイジング処理しておく方法がある。即ち、水溶性サ
イジング剤によりサイジング処理された束状の炭素繊維
を5ないし100mm の長さに切断しておき、そして、1回
の混合割合に適合した炭素繊維を予め計量し、この計量
された炭素繊維を、1回の混合割合に適合した水を入れ
た容器1(図4参照)内に投入してかく拌羽根により緩
やかにかく拌させると、炭素繊維に塗布された水溶性サ
イジング剤が直ちに水中に溶出して自己拡散すると共
に、かく拌羽根のかく拌作用により束状の炭素繊維は水
中において団塊を生ずることなく無数本の径の極めて小
さい単繊維に均一に分散される。この方法による場合
も、かく拌の際に、かく拌羽根により炭素繊維が傷付け
られないように、その回転数は直径60cm程度の容器にお
いて40ないし60rpm にする必要がある。この方法により
炭素繊維を単繊維に離散させる場合には、炭素繊維の単
繊維が水中において均一に分散された容器1内に、その
まま1回の混合量に適合した石膏粉末,並びに硬化遅延
剤等の添加剤を投入してかく拌することにより石膏泥漿
をつくる。
【0022】次に、単繊維に離散された炭素繊維を混入
した石膏泥漿をつくる方法について述べるならば、石膏
粉末に対する炭素繊維の割合は、後述する理由により0.
01ないし1重量%(硬化した石膏型の母材の石膏に対す
る炭素繊維の割合に換算するとほぼ0.008 ないし0.9 重
量%),望ましくは0.1 ないし0.3 重量%にすることが
必要である。図2は、石膏粉末100 重量部,水60重量部
の原料調合に対して、長さ20mmの炭素繊維を所要重量部
(種々の重量部)の割合で混入した15mm×25mm×250mm
の石膏試験片における混入炭素繊維の石膏粉末に対する
重量%と、抗折強度との関係を示す試験結果のグラフで
ある。図3は石膏粉末に混入する炭素繊維の重量割合
と、吸水率すなわち吸水性能(硬化石膏の試験片が吸水
し得る水の重量%)との関係を示す試験結果のグラフで
ある。図2〜図3から明らかなように、石膏粉末に混入
する炭素繊維の重量割合が大きくなる程、抗折強度が大
きくなると共に、吸水率が高くなることがわかる。
【0023】炭素繊維の混入により石膏の吸水能力が高
くなるのは、石膏の粒子が針状であると共に、炭素繊維
の断面形状が円形若しくはこれに近似した形状であり、
しかも石膏の粒子の大きさと、炭素繊維の直径とが余り
異ならないために、炭素繊維の混入により炭素繊維と石
膏粒子との間に新たな空隙が形成されることに起因して
いるものと解される。
【0024】ここで、石膏粉末に対する炭素繊維の混入
割合を0.01ないし1重量%とするのは、炭素繊維の混入
割合が0.01重量%未満では石膏粉末に対する炭素繊維の
割合が少な過ぎて石膏型の十分な強度の向上を図ること
ができないこと、また炭素繊維の混入割合が1重量%を
こえると、石膏泥漿をつくる際に炭素繊維の割合が多過
ぎて、石膏泥漿内に炭素繊維を単繊維状態で均一に分散
させることができず炭素繊維の団塊が生じ易くなると共
に、石膏泥漿を母型内に流し込む際の流動性が悪くなっ
て鋳込作業が困難となること、更に成形される石膏型の
吸水性あるいはキャピラリティ(毛管細孔性)等の物性
が変化して通気性や吸水性を利用する場合の成形型材と
しての条件を満足しなくなること、および成型された石
膏型内部に炭素繊維の団塊が生じ易くなり、不均質な状
態になり精密な製品の成形型としての機能を満足しなく
なる。
【0025】そして、サイジング剤を除去して予め単繊
維に離散された炭素繊維を用いて、炭素繊維が均一に分
散された石膏泥漿をつくるには、図4に示されるような
容器1内に、一回の混合量に適合した水および硬化遅延
剤,減水剤等の必要な添加剤を予め入れておき、次に、
この容器1内に予め計量された所定量の単繊維に離散さ
れた炭素繊維を投入し、最後に所定量の石膏粉末を投入
してこの容器1を真空かく拌機に装着すると共に、かく
拌羽根を低速回転させて混合かく拌すると、炭素繊維の
単繊維が石膏泥漿内に団塊を生ずることなく均一に分散
された石膏泥漿が得られる。炭素繊維が石膏泥漿内に団
塊を生ずることなく均一に分散されるのは、石膏粉末に
対する炭素繊維の割合が極めて少ないからである。
【0026】次に、皿を成形するためのプラスチック鋳
込成形用石膏型を製造する場合は、炭素繊維が均一に分
散された上記石膏泥漿を、図5(イ)に示されるような
上型成型用のケース型2内に静かに流し込んで所定時間
放置し、硬化後に軽い衝撃を与えてケース型2を上下に
分散させて脱型し、しかる後に所定温度で十分乾燥する
と、図5(ロ)に示されるような皿を鋳込成形するため
のプラスチック成形用石膏型の上型3が得られる。炭素
繊維は豊かな柔軟性を有しているので、流し込み成型後
も自在に変形して石膏の粒子の間に無理なく入り込んで
いると解され、また流し込み成型された石膏型の表層部
に混入された炭素繊維の端部が成形面に露出することは
殆どないが、仮に露出しても、前述の如く炭素繊維の単
繊維の径は極めて小さく、しかも豊かな柔軟性を有して
いるので、成形面に露出した炭素繊維によりプラスチッ
クやゴム等高分子成形品の表面が傷付けられることは殆
どない。同様にして下型成型用のケース型を用いて、プ
ラスチック鋳込成形用石膏型の下型4を成型する。尚、
下型4には溶融プラスチック注入孔5が設けられてい
る。常圧で注入する場合は図5(ロ)は実際は反転した
状態で使用される。
【0027】このように、仮に炭素繊維の端部が成形面
に露出しても、成形品の表面が傷付けられることは殆ど
ないが、特に成形品が高級品であって極めて精密で滑ら
かな成形面を得る必要がある場合には、図6(イ)に示
されるように、ケース型2を低速回転させつつ純石膏泥
漿を少量流し込んで厚さ1ないし3mmの薄膜6を予め形
成しておき、その後ケース型2の回転を停止させて直ち
に炭素繊維が均一に分散された前記石膏泥漿を静かに流
し込み、以後上述と同様の操作を行うと、プラスチック
成型用石膏型の上型3′が成型される。同様にして下型
4′を成型すると、図6(ロ)に示されるように、成形
面である外周面に純石膏から成る薄膜6が被覆されたプ
ラスチック加圧鋳込用石膏型が得られ、炭素繊維が成形
面に露出するのを確実に防止できる。また、成形面を純
石膏型から成る薄膜で被覆した石膏型により、ベリリウ
ム銅合金,アルミニウム合金,亜鉛合金製プラスチック
射出成形用金型を成形したり、或いは非鉄合金の器物を
成形することができ、この場合には成型した金型の成形
面、或いは器物の表面が炭素繊維の端部により傷付けら
れることはない。
【0028】また、彫刻模様のある板状体をプラスチッ
ク鋳込成形するための石膏型を多数個製造する場合には
次のようにして行なわれる。図7に於いて、炭素繊維が
均一に分散混入された、又は内部のみ炭素繊維混入石膏
を使用し、表層部には純石膏を使用した石膏原型又は原
形(第1の型)11から元型(原型の雌型){第2の型}
12a,12b を複製製作する。この元型12a,12bは金属の精
密鋳造の場合マスター型と称されている。この元型の全
体の石膏製雌型を上下2分割して、上方の雄型部12b に
相当する雌型(図示しない)と下方の雌型12a に相当す
る雄型13a を含む雌型16を製作する。この下方の雌型14
は石膏泥漿注入口15を有する。この型16がセラミック成
形におけるいわゆるケース型(第3の型)である。以下
セラミック以外の金属またはプラスチックならびに紙器
成形の場合もケース型と称する。
【0029】このケース型16に石膏泥漿注入口15より炭
素繊維が均一に分散された上述の石膏泥漿を注入する。
常圧(大気圧)で石膏泥漿を注入する場合は、図7
(ハ)に示されるケース型16は上下反転した状態で行わ
ねばならない。所定時間放置して硬化後上型13と下型14
とを分離して成形型(第4の型)の下型17を取り出す。
同様にして元型の上部12b からケース型を成型し、これ
に炭素繊維が均一に分散された石膏泥漿を注入し、成形
型の上型18を成型する。この成形型の上型18、下型17を
組み合わせたものがセラミック成形におけるいわゆる
“使用型”である。本発明に係る炭素繊維で強化した石
膏型は硬化過程での体積膨張率が小さく、しかも硬化石
膏型の熱膨張係数が小さいので、前記した合計3回の形
状複製工程において、上述の炭素繊維を均一に分散混入
させた石膏を利用するならば原型から成形型までの寸法
変化の少ない高精度の型の複製が可能となる。
【0030】また、ベリリウム銅合金,アルミニウム合
金或いは亜鉛合金製プラスチック射出成形用金型の成形
のように成形金型を成形する石膏型の場合は、石膏型に
よる直接成形の場合に比較して、形状複製工程が一層多
く、しかも複雑であるので、石膏型の硬化過程における
体積膨張率、並びに硬化石膏型の熱膨張係数が小さいこ
とは、高精度複製において一層重要な特性となる。
【0031】また、上述した方法により炭素繊維が均一
に分散された石膏泥漿をつくると、石膏泥漿をつくる毎
に微量の炭素繊維を正確に計量しなければならず面倒で
ある。そこで、軽量でしかも浮遊性に富み、取扱い困難
な炭素繊維を循環するジェット空気流或いは揺動回転を
利用して予め石膏粉末内に均一に単繊維状態で混入分散
せしめ、これを原料石膏粉末として用いてもよい。これ
により石膏泥漿をつくる毎に一回の混合量に適合した微
量の炭素繊維のみを計量するという面倒な操作を不要に
することができる。
【0032】循環するジェット空気流を利用した混合方
法について具体的に述べると、石膏粉末と単繊維に離散
された炭素繊維とを石膏粉末に対して炭素繊維を0.01〜
5重量%の割合で混合装置内に投入すると、石膏粉末と
単繊維に離散された炭素繊維とがジェット空気流により
飛散された状態で多数回循環する間に適切に混合され、
しかる後にサイクロン或いはバックフィルターにより空
気流内から分離回収すると、石膏粉末と単繊維に離散さ
れた炭素繊維とが均一に混合した炭素繊維入り石膏粉末
が得られる。ここで、ジェット空気流の圧力は1ないし
2kgf/cm2(Kg/cm2)の低圧力であることが必要であり、空
気圧を高くすると混合の際に、石膏粒子どうし、或いは
石膏粒子と炭素繊維との衝突力が大きくなって、石膏粒
子および炭素繊維のいずれもが粉砕されて石膏型材とし
ての物性が変化し、好ましくない。
【0033】また、石膏粉末に炭素繊維を均一に混合す
る別の方法として、揺動回転を利用する混合方法があ
る。これは、図8に示されるように、撓屈自在の袋体21
内に石膏粉末と、単繊維に離散された炭素繊維とを石膏
粉末に対して炭素繊維を0.01〜5重量%の割合で投入
し、袋体21の底部に取付けられた揺動盤22を、回転軸23
に偏心して装着された揺動軸24により揺動回転させる
と、袋体21内の混合物が加速されて、その速度の大きさ
並びに方向が任意に変化し、これにより袋体21内の石膏
粉末および炭素繊維が均一に混合される。尚、石膏粉末
内に炭素繊維を混入する際に、硬化遅延剤,減水剤等の
必要な添加剤を同時に混入することも可能である。
【0034】また、上気した石膏粉末は、無数本の単繊
維状態に離散された炭素繊維が石膏粉末内に均一に混入
分散されたものであるが、ポリビニールピロリドン,ポ
リビニールアルコール等の水溶性サイジング剤でサイジ
ング処理された炭素繊維の場合は、予じめ単繊維に離散
する必要はなく、石膏泥漿をつくる際に水溶性サイジン
グ剤が水中に溶出して自己拡散する性質を有するので、
袋体内の石膏粉末内に束状のままで投入し混入すること
ができる。更に、石膏粉末内に炭素繊維を使用時におけ
る重量割合よりも高い割合で混入分散した原料石膏粉末
を使用する場合は、使用時において再度石膏粉末を混合
して、石膏粉末と炭素繊維とを石膏粉末に対して炭素繊
維が0.01〜1重量%の割合まで希釈しなければならない
が、この方法によれば炭素繊維が混入された石膏粉末の
輸送費の節減を図ることができる。
【0035】ここで石膏粉末に対する炭素繊維の割合を
0.01〜5重量%とするのは5重量%をこえると単繊維状
態での混入が困難であり、0.01重量%未満ではそのまま
では成形型成型用として使用できないからである。希釈
せずにそのまま利用する場合は石膏粉末に対し炭素繊維
の混入割合を0.01〜1重量%とする。
【0036】また、炭素繊維を混入した石膏を一般の成
形型或いは金型成形用成形型の型材として利用する場
合、更には石膏型からセラミック成形型を製作して高分
子加工或いは金属の精密鋳造あるいは陶磁器を除くセラ
ミックスすなわちガラス,ファインセラミックス等の鋳
込成形を行う場合、あるいは、高級ガラス器のブロー成
形等を行う場合には、炭素繊維を混入した石膏の水和硬
化時における膨張率、並びに冷却脱型時の膨張率及びそ
の後の乾燥収縮率・膨張率はいずれも小さいので、母型
(雌型)に流し込んで型を反復複製する際の複製品の精
度がよく、正確な複製品ができる。また、型自体の熱膨
張係数が小さいので、温度変化による膨張・収縮が小さ
く、高精度の複製が可能となると共に、成形型自体の精
度も向上する。
【0037】従って、数回の反復複製を繰返しても、最
初の型(原型)と最終の型(成形型)との複製誤差が少
ない。この点は、精密鋳造における金型又はセラミック
型成形用の型材として最も重要なことである。
【0038】本発明に係る石膏型をプレス成形型として
用いる場合、金属,プラスチック或いはセラミックス等
の成形原料の状態は、乾燥した粉末状の他、陶磁器坏土
のようなペースト状であってもよく、更にシート状であ
ってもよい。
【0039】また、本発明は、成形型自体を炭素繊維で
強化することを直接の目的としているが、インベストメ
ント鋳型におけるセラミックコア(中子)のように成形
型を構成する部材、或いは成形型を保持したり、位置決
めしたりするための治工具的部材を炭素繊維で強化した
石膏で構成してもよい。
【0040】
【実施例】次に本発明の実施例、並びに比較例を挙げ
る。 <実施例1>ポリアクリロニトリル系繊維を約300 ℃で
熱処理した後に、更に窒素ガス雰囲気中で約1300℃で熱
処理して黒鉛化し、直径的7μmの単繊維を約6000本一
束とした炭素繊維を用いた。この炭素繊維の物性は、引
張強さ300kgf/mm2 (Kg/mm2 ) 、引張弾性係数23,000
kgf/mm2 (Kg/mm2 ) 、密度1.75g/cm3 、線膨張係数−0.
1 ×10-6/℃,熱伝導率15Kcal/(m・hr・℃)(17.4
5 W/(m・K)),比熱0.17cal /(g・℃)(0.71
kJ/(kg・K))であった。なお、以下、単位の表示に
ついて、“Kcal/(m・hr・℃)”を“Kcal/mhr℃”と
表し、“W/(m・K)”を“W/mK”と表し、“cal /
(g・℃)”を“cal/g ℃”と表し、“kJ/(kg・
K)”を“kJ/kgK”と表すこととする。この炭素繊維を
約20mmの長さに切断して、水中にて超音波振動とかく拌
との相乗作用により無数本の単繊維に離散させた。β石
膏粉末100 重量部,水60重量部,炭素繊維0.1 重量部,
硼砂(硬化遅延剤)0.2 重量部の割合で混合かく拌し
て、炭素繊維の単繊維が均一に分散された石膏泥漿をつ
くり、この石膏泥漿をケース型内に流し込んでプラスチ
ック楕円皿を鋳込成形するための鋳込成形用石膏型を得
た。この鋳込成形用石膏型は、切断断面全体に亘って炭
素繊維の単繊維が均一に分散され、この分散状況は肉眼
で見ることが可能な程度であった。
【0041】<実施例2>実施例1と同一の条件並びに
方法により炭素繊維の単繊維が均一に分散された石膏泥
漿をつくり、ケース型を低速回転させつつ炭素繊維の混
入されていない純粋な石膏泥漿を予め流し込んで厚さ1
ないし3mmの薄膜を形成しておき、しかる後にケース型
の回転を停止させて炭素繊維が混入された石膏泥漿を流
し込んでプラスチック楕円皿を鋳込成形するための鋳込
成形用石膏型を得た。この鋳込成形用石膏型の成形面
は、純石膏から成る薄膜で被覆されており、炭素繊維は
成形面に全く露出していなかった。
【0042】<実施例3>ポリアクリロニトリル系繊維
を約300 ℃で熱処理した後に、更に窒素ガス雰囲気中に
おいて約2500℃で特殊熱処理して黒鉛化し、直径約7μ
mの単繊維をポリビニールピロリドンでサイジング処理
して約6000本を一束にした炭素繊維を用いた。この炭素
繊維の物性は、引張強さ250kgf/mm2 (Kg/mm2 ) 、引
張弾性係数35,000kgf/mm2 (Kg/mm2 ) ,密度1.77g/c
m3 ,線膨張係数−0.1 ×10-6/℃,熱伝導率100 Kcal/
mhr℃(116W/mK) ,比熱0.17cal/g ℃(0.71kJ/kgK)であ
った。この束状の炭素繊維を25mmの長さに切断し、β石
膏粉末100 重量部に対して炭素繊維の割合が0.3 重量部
となるように炭素繊維を予め計量しておき、この炭素繊
維を予め計量された水の入った容器に、投入して補助的
にかく拌すると、束状の炭素繊維は自己拡散して無数本
の単繊維に離散されると共に、かく拌作用により水中に
均一に分散した。しかる後に、石膏粉末,硼砂(硬化遅
延剤)および昭和電工株式会社製メルメントF-20(減水
剤)を投入して混合かく拌することにより、石膏粉末10
0 重量部、水60重量部,炭素繊維0.3 重量部、硬化遅延
剤0.2 重量部、減水剤0.2 重量部の割合から成る均質な
石膏泥漿をつくった。まず、図9に示されるようにカッ
プの原型31から上記石膏泥漿を用いて元型(第2の中間
型)32の下型を製作し、この元型32を用いてケース型
(第3中間型)33の下型を上記石膏泥漿により製作し
た。このケース型33に上ケース34を組み合わせたものを
100rpmで低速回転させながら純石膏泥漿を流し込んで厚
さ1mmの薄膜35を予め形成した後に上記石膏泥漿を流し
込んで、銀合金カップを成形するための鋳込成形用石膏
型38の下型36を得た。この鋳込成形用石膏型の下型36に
混入された炭素繊維の分散状況は、実施例1と同様にほ
ぼ均一であった。同様にして上型37を製作し、上型37,
下型36を組み合わせて一体として銀合金カップを鋳造し
た。外側表面の微細な模様は精密に再現された見事な銀
合金カップが得られた。
【0043】<実施例4>実施例3と同一条件並びに方
法により炭素繊維の単繊維が均一に分散された石膏泥漿
をつくり、これを母型内に流し込んで合成ゴム球を鋳込
成形するための石膏型を得た。
【0044】<実施例5>実施例3と同一条件並びに方
法により炭素繊維の単繊維が均一に分散された石膏泥漿
をつくり、これを母型内に流し込んでセラミック・ボー
ルをアイソスタティックプレス(等静圧プレス)成形す
るためのポリウレタン・ゴム製成形型を鋳込むための石
膏型を得た。
【0045】<実施例6>実施例3と同一条件並びに方
法により炭素繊維の単繊維が均一分散された石膏泥漿を
つくり、これを母型内に流し込んでサイアロン製クリス
タルガラス・ブロー成形型を鋳込むための石膏型を得
た。
【0046】<比較例1>β石膏粉末100 重量部,水60
重量部,硼砂0.2 重量部で混合かく拌して炭素繊維の入
っていない純粋な石膏泥漿をつくり、この石膏泥漿をケ
ース型内に流し込んでプラスチック楕円皿を射出成形す
るための射出成形用石膏型を得た。
【0047】<実施例7>ポリアクリロニトリル系繊維
を約300 ℃で熱処理した後に、更に窒素ガス雰囲気中で
約1300℃で熱処理して黒鉛化し、直径約7μmの単繊維
を約6000本一束とした炭素繊維を用いた。この炭素繊維
の物性は、引張強さ300kgf/mm2 (Kg/mm2 ) 、引張弾
性係数23,000kgf/mm2 (Kg/mm2 ) 、密度1.75g/cm3 、線
膨張係数−0.1 ×10-6/℃,熱伝導率15Kcal/mhr℃(17.
45W/mK) ,比熱0.17cal/g ℃(0.71kJ/kgK)であった。こ
の炭素繊維を約20mmの長さに切断して、水中にて超音波
振動とかく拌との相乗作用により無数本の単繊維に離散
させた。β石膏粉末100 重量部,水60重量部,炭素繊維
0.1 重量部,硼砂(硬化遅延剤)0.2 重量部の割合で混
合かく拌して、炭素繊維の単繊維が均一に分散された石
膏泥漿をつくった。
【0048】そして、図10に示されるように、原型41
を分割面まで粘土又は石膏内に埋め込み、このままで前
記石膏泥漿を流し込んで原型41の上半面の型取りを行
い、しかる後に原型41を反転して同様の操作を行って原
型41の下半面の型取りを行うと元型42が製作される。こ
の元型42内に前記石膏泥漿を流し込んでケース下型43,4
4 をそれぞれ製作し、これとは別に製作した上ケース4
5,46 を組み合わせるとケース型47,48 となる。このケ
ース型47,48 は、断面を含めて全体に亘って炭素繊維の
単繊維が均一に分散され、この分散状況は肉眼で見るこ
とが可能な程度であった。このケース型47,48 を鋳込成
形型として低速回転させながら、アルミニウムの溶融液
を鋳込んでプラスチック鋳込成形用金型49を製作した。
原型41の表面の模様は、そのまま金型49に正確に転写さ
れていた。
【0049】<比較例2>β石膏粉末100 重量部,水60
重量部,硼砂0.2 重量部で混合かく拌して炭素繊維の入
っていない純粋な石膏泥漿をつくり、この石膏泥漿を実
施例7と同様にして製作した元型内に流し込んでケース
下型並びにケース上型を製作し、これに別に製作した上
ケースを組み合わせてケース型を得、このケース型にア
ルミニウム合金溶融液を鋳込んでプラスチック鋳込成形
用金型を製作した。
【0050】上記実施例7並びに比較例2の石膏ケース
型の乾燥離型時の各温度における長さの変化率並びに複
製精度は次の通りであった。長さの変化率に関しては、
ケース型の最高発熱時(53.2 ℃)においては、炭素繊維
を混入していない従来品は0.076%(500mmに対して0.38m
m) 膨張(硬化時膨張率)していたのに対し、本発明品
は0.066%(500mmに対して0.33mm) 膨張しており、また室
温時(23.5℃)に冷却した後、乾燥脱型時においては従
来品0.025%(500mmに対して0.125mm)膨張していたのに対
し、本発明品は0.018%(500mmに対し0.09mm) 膨張してい
た。また、その後50℃の熱風乾燥器にて約10日間乾燥し
たところ複製精度に関しては、従来品は500mm に対して
0.06mm乾燥収縮し母型に対し0.065mm 膨張していたのに
対し、本発明品は500mm に対して0.04mm乾燥収縮し、母
型に対し0.05mm膨張していた。これから明らかのよう
に、本発明品は水和硬化時の膨張も小さく、しかも複製
精度も良好であることが解かる。
【0051】上記各実施例1ないし6、および比較例1
の各石膏型の抗折強度,吸水能力,大気中における破壊
温度差,嵩比重並びに硬化時膨張率などの物性は、下表
の通りであった。 吸水能力はテストピースを常温常圧下で浸漬したとき、
吸水した水の重量百分率である。破壊温度差は高温大気
中で加温した試験片をすばやく室内に取り出し室温大気
中に放置した場合、破壊に到る最小の温度差を表わす。
硬化時膨張率は母型に石膏泥漿を鋳込み硬化させ脱型
後、乾燥直前に測定したときの長さの母型に対し変化し
た割合である。上表から明らかのように、炭素繊維を混
入した石膏型は、混入しない石膏型に比較して抗折強度
および大気中における破壊温度差は大巾に向上している
と共に、他の物性においても優れていることが判明し
た。
【0052】図11は実施例1の石膏硬化体の切断面か
ら製作した薄片を走査型電子顕微鏡で2000倍で撮った写
真である。左上端から中央へ延びる細長い真直ぐな円柱
が、混入した炭素単繊維であり破片状の結晶がβ型2水
石膏である。図12はα型石膏粉を用いた他は実施例1
すなわち図11と同一のもので、同じく2000倍の走査型
電子顕微鏡写真である。また、図13は、石膏100 重量
部,水60重量部,長さ25mmのピッチ系炭素繊維を所定重
量部混入した石膏泥漿を鋳込んで成形した15mm×25mm×
250mm の石膏試験片を曲げ試験装置で曲げ試験をした場
合の経過時間と、抗折力との関係を示しており、混入炭
素繊維の重量比率をパラメーターとした場合の試験結果
である。図13のグラフから明らかのように混入炭素繊
維の割合が大きくなる程抗折力が大きくなると共に、最
大抗折力で単純破断するもろさが解消されて素材として
のいわゆる粘りが生じていることがわかる。尚、本試験
のスバンは200mm で、荷重は中央に加えられ、荷重点の
変位速度は1mm/minであった。
【0053】図14に、純粋な石膏試験片と、炭素繊維
で強化した石膏試験片との各温度における長さの変化率
を示す曲線が示されており、炭素繊維を混入した石膏の
試験片の長さの変化(膨張)率は、炭素繊維を混入しな
い石膏試験片の長さの変化(膨張)率に比較して、正お
よび負のいずれの場合にも僅かに小さいことがわかる。
これは、熱膨張率が殆ど零に等しい炭素繊維が石膏の各
粒子間に入り込んでいるため、この炭素繊維が石膏の膨
張或いは収縮を抑制するためであると解される。従っ
て、炭素繊維を混入した石膏型は、温度による膨張或い
は収縮が小さく、成形品の寸法精度が向上する。
【0054】ここで、石膏型を金属成形又は高分子加工
成形型或いは紙器成形型として用いる場合、抗折強度お
よび抗折力の大巾な向上により、石膏型の材料力学的強
度が増大され、従来成形時の外圧力又は内圧力により破
損されていた部分の機械的強度が増大せしめられること
により石膏型の破損が防止されると共に、高(速い)サ
イクルの成形が可能となって成形効率(生産性)が向上
し、しかも石膏型の寿命が長くなる。また、成形中の石
膏型の破損により加圧鋳造,遠心鋳造,減圧鋳造,射出
成形などの成形機が損傷され、これに起因して生産が中
断されるのを防止できると共に、成形機の損傷部品を交
換して再調整する等の手間を省くことができる。更に、
機械的強度の大巾な向上により、石膏型の肉厚を薄くす
ることが可能となり、ひいては使用石膏量が削減され
る。
【0055】また、炭素繊維の混入により大気中におけ
る破壊温度差が向上するのは、温度上昇により石膏自体
は所定量膨張するが、炭素繊維自体は殆んど膨張しない
ので、石膏型内部において炭素繊維にはその長さ方向に
引張力が加わると共に、石膏には圧縮力が加わり、この
ため炭素繊維の長さ方向に内部応力が生じて丁度PSコ
ンクリートのようにプレストレスが導入された状態にな
っているためであると解される。
【0056】大気中における破壊温度差の大巾な上昇
は、石膏型が大きな温度差に対しても耐え得ることを意
味し、ファインセラミックスや紙器等の成形の場合では
成形後の石膏型の乾燥温度を上げることが可能となる。
従って、成形毎の石膏型の乾燥時間を短縮させることが
可能となると共に、乾燥装置内に保持すべき成形型数が
少なくて済み、ひいては成形効率(生産性)が向上す
る。よって、ファインセラミックスや紙器等の成形品の
生産個数に対する稼動石膏型の数を減少させることがで
き、少量多品種の製品の成形に適していると共に、製品
原価の低減を図ることができる。
【0057】また、嵩比重の低下により石膏型が軽量化
され、石膏型の運搬或いは取扱いが向上する。更に、硬
化時膨張の僅かの減少により、石膏型成形時においてケ
ース型に加わる圧力が小さくなって脱型が容易になると
同時に、ケース型の破損を防止することができる。その
他の非鉄金属鋳造用成形型の製作の場合でも同様な効果
がある。
【0058】
【発明の効果】上述したことを総合すると、本発明には
次のような効果がある。 (1) 、石膏型の材料力学的強度が大巾に増大されて成形
時の外圧力又は内圧力による石膏型の破損を防止できる
と同時に、温度差による内部応力などに対する強度(耐
久性)も大巾に増大され、ファインセラミックスや紙器
の鋳込成形のように石膏型の吸水性能を利用する成形に
おいては成形毎の石膏型の乾燥温度を上げることが可能
となって乾燥時間を短縮させることができると共に、完
全乾燥が可能となり、ひいては成形効率を著しく向上さ
せることができる。
【0059】(2) 、石膏型の強化材として、径が極めて
小さくて強度が大きく、しかも柔軟性に富んだ炭素繊維
を用いているので、石膏に対する強化材の混入割合が少
なくても石膏型の機械的外力,熱的不均質に対する強度
を増大させることができると共に、強化材の混入割合が
小いので、炭素繊維の混入によりファインセラミックス
や紙器の鋳込成形のように吸水性を利用する成形用石膏
型の基本的性能である吸水性能,或いは非鉄金属製品の
成形用の場合は通気性能が低下することがない。
【0060】(3) 、石膏型の成形面である表層部を純粋
な石膏から成る薄膜で被覆した場合は、炭素繊維の端部
が成形面に露出するのを確実に防止でき、成形品の表面
を滑らかにすることができる。
【0061】(4) 、高温加熱焼失性を有する炭素繊維を
強化材として混入してあるので、使用中に破損したり、
或いは使用不可能となった石膏型は、粉砕して長時間に
亘って緩やかに高温加熱処理することにより、内部に混
入された炭素繊維のみを容易に焼失除去することがで
き、石膏硬化体の再使用が可能となる。この点ガラス繊
維等の加熱焼失性を有しないものを強化材とし混入した
場合は、混入した強化材のみを除去して石膏型を再生或
いは再利用することは極めて困難か、或いは不可能であ
る。
【0062】(5) 、炭素繊維を5ないし100mm の長さに
切断した後にサイジング剤を加熱除去し、水中において
超音波振動を加えつつかつ拌することにより、径が極め
て小さく、しかも柔軟性に富んだ束状の炭素繊維を無数
本の単繊維に容易に分散でき、これより石膏泥漿内に炭
素繊維の無数本の単繊維を均一に分散でき、ひいては石
膏型内に炭素繊維を均一に混入させることができる。
【0063】(6) 、水溶性サイジング剤でサイジング処
理した炭素繊維を用いる場合には、この炭素繊維を5な
いし100mm の長さに切断した後に水中に投入して水溶性
サイジング剤を水中に溶出せしめて束状の炭素繊維を無
数本の単繊維に分散させ、しかる後に石膏粉末を投入し
て混合かく拌することにより炭素繊維が均一に混入分散
された石膏泥漿をつくることができるので、束状の炭素
繊維を無数本の単繊維に分散させるためのみの前処理が
不要となる。
【0064】(7) 、炭素繊維を5ないし100mm の長さに
切断して無数本の単繊維に予め離散させておき、石膏粉
末と、該石膏粉末に対して所定の重量割合の単繊維に離
散された前記炭素繊維とを循環しているジェット空気流
内に投入して両者を均一に混合せしめた後に回収して、
石膏粉末内に単繊維に離散された炭素繊維を均一に混入
分散せしめておくことにより、石膏泥漿をつくる毎に一
回の混合量に適合した微量の炭素繊維のみを計量する操
作を不要にすることができる。
【0065】(8) 、従来、石膏泥漿を母型に流し込むに
は、母型に石膏泥漿を流し込んで表層部となる5ないし
100mm の厚さの第1層をつくり、次に同様にして第2層
をつくり、この第2層の上に麻等の繊維を切断した補強
材を散布して指で突き込むことにより、石膏泥漿内に補
強材を混入せしめ、次に同様にして3層,第4層と補強
材の混入した石膏層を順次重ね合わせて所要の厚みまで
成形していた。これに対し、本発明は、石膏泥漿内に予
め補強材としての炭素繊維が混入されているので、かく
拌泥漿を流し込んで比較的厚い第1層をつくり、しかる
後にかく拌泥漿を単に流し込んで第2層を積層して所要
の厚みまで成形すればよい。従って、本発明によれば一
度に大量の泥漿を母型に流し込むことができるので、作
業時間の短縮を図ることができる。
【0066】(9) 、本発明の炭素繊維を分散混入した石
膏は、水和硬化時における膨張率が小さいので、原型か
ら元型,ケース型,成形型と複製する場合の誤差が少な
く、精度の良い成形型を製造することができる。その他
の金属の精密圧力鋳造,パルプ泥漿鋳込み,プラスチッ
ク射出成形,合成ゴムの鋳込成形,ファインセラミック
等の等静圧成形において用いられる合成ゴム製成形型等
についても上記と同様のことがいえる。
【0067】(10)、精密金属鋳造など金属鋳造用成形型
等を製造する場合、模型を複製したマスター型(陶磁器
の元型に相当する)およびこれを複製した成形鋳型成形
のための母型(陶磁器のケース型に相当する)並びに成
形型に金属製型に代えて本発明に係る炭素繊維強化石膏
型を使用すれば、極めて容易にしかも精度よくこれらの
型を製造でき、ひいては製品も同様に容易にしかも精度
良く製造できる。従って、鋳造品すなわち商品の試作見
本を極めて容易にしかも短時間に試作でき、更に事後の
設計変更に対しても迅速かつ経済的に対応できる。しか
も砂鋳型,金属製型のいずれよりも高精度に試作でき、
かつ少ロットの生産も可能であり、多品種少量生産用の
非鉄金属のプラスターモールディング法に特に適してい
る。
【0068】(11)、深いアンダーカット彫刻等の複雑な
模様のある場合、使用型製造の中間型である元型,ケー
ス型等の原型の模様部に該当する部分は、シリコンゴム
等を利用した型面とする必要があるが、成形型に本発明
に係る炭素繊維強化石膏型を使用すれば、純石膏製の成
形型に比較して、はるかに容易にしかも精度よく成形型
に原型の模様を再現することができる。
【0069】(12)、非鉄金属の金型を成型する場合は、
特に高精度を要するので、硬化時体積膨張が少なくて乾
燥収縮も少なく、しかも熱膨張係数も小さい本発明に係
る石膏製成形型により、高精度の金型の製作が可能とな
る。
【0070】(13)、砂型や金属製成形型を使用する場合
に比較して、表面が極めて平滑で、微細な木目,指紋模
様でも正確に鋳造できる他、抜き勾配が2°以下、場合
によっても抜き勾配がない場合でも成型・脱型が可能で
ある。
【0071】(14)、砂型に比し、鋳造物の冷却速度が遅
いため、鋳造歪が小さく、組織や機械的性質が均一にな
るほか、肉厚の薄い製品の製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬化石膏内に混入する炭素繊維の長さと、硬化
石膏テストピースの抗折強度との関係を示すグラフであ
る。
【図2】石膏内に混入する炭素繊維の石膏に対する重量
割合と、石膏試験片の抗折強度との関係を示すグラフで
ある。
【図3】石膏内に混入する炭素繊維の石膏に対する重量
割合と、硬化石膏の吸水性能(石膏が吸収し得る水分の
石膏に対する重量割合)との関係を示す図である。
【図4】石膏泥漿をつくるための容器の斜視図である。
【図5】(イ)は、プラスチック製楕円皿を鋳込成形す
るための石膏型の一成型工程の断面図、(ロ)は成型さ
れた石膏型の断面図である。
【図6】(イ)は、プラスチック製楕円皿を加圧鋳込成
形するための石膏型であって、しかも成形面を純石膏か
ら成る薄膜で被覆した石膏型の一成型工程の断面図、
(ロ)は成型された石膏型の断面図である。
【図7】彫刻模様のある板状体をプラスチック鋳込成形
するための石膏型の成型工程を示すもので、(イ)は原
型,(ロ)は元型,(ハ)は下型用ケース型,(ニ)は
成形型の夫々断面図である。
【図8】揺動回転を利用した混合方法の原理を示す図で
ある。
【図9】銀合金製カップを鋳込成形するための石膏型の
成型工程を示すもので、(イ)は原型,(ロ)は下型用
元型,(ハ)は下型用ケース型,(ニ)は成形型の夫々
断面図である。
【図10】プラスチック鋳込成形用金型を成型するため
の石膏型の成型工程を示すもので、(イ)は原型,
(ロ)は元型,(ハ)はケース型,(ニ)は目的をする
金型の夫々断面図である。
【図11】β型石膏粉末を用いた場合の石膏試料片の走
査型電子顕微鏡写真である。
【図12】α型石膏粉末を用いた場合の同様の写真であ
る。
【図13】石膏型内に混入する炭素繊維の石膏に対する
重量割合をパラメーターとした石膏型の試験片の曲げ試
験における抗折力の時間変化を示す測定グラフである。
【図14】純粋石膏試験片と、炭素繊維強化石膏試験片
との各温度における長さの変化率を示すグラフである。
【符号の説明】 3,3′ プラスチック成形用石膏型の上型 4,4′ プラスチック成形用石膏型の下型 6 薄膜 17 プラスチック鋳込成形用石膏型の下型 18 プラスチック鋳込成形用石膏型の上型 21 袋体 22 揺動盤 23 回転軸 24 揺動軸 36 銀合金カップ鋳込成形用石膏型の下型 37 銀合金カップ鋳込成形用石膏型の上型 38 銀合金カップ鋳込成形用石膏型 49 プラスチック鋳込成形用金型
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図4】
【図8】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 33/38 8823−4F 47/12 8016−4F C04B 11/00 (C04B 28/14 14:38) A 2102−4G

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)、成形用石膏型の母材の石膏組織内に長さ5ない
    し100mmの炭素繊維を単繊維に離散された状態で石
    膏に対して0.008ないし0.9重量%の割合で均一
    に混入分散したことを特徴とする炭素繊維強化石膏製成
    形型。 (2)、炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断し
    た後に塗布されたサイジング剤を加熱除去し、この炭素
    繊維を水中において超音波振動を加えつつかく拌して炭
    素繊維を無数本の単繊維に分散せしめ、石膏粉末と、該
    石膏粉末に対して0.01ないし1重量%の単繊維に分
    散された前記炭素繊維と,水と必要に応じて他の添加剤
    とを混合かく拌して炭素繊維の単繊維が均一に分散され
    た炭素繊維入り石膏泥漿をつくり、母型内に予め純粋な
    石膏泥漿を流し込んで薄膜を形成し、しかる後に前記炭
    素繊維入り石膏泥漿を流し込み、硬化後に脱型して乾燥
    させることにより成形面に純粋な石膏から成る薄膜が被
    覆された石膏製成形型を製造することを特徴とする炭素
    繊維強化石膏製成形型の製造方法。 (3)、石膏粉末内に5ないし100mmの長さの単繊
    維に離散された炭素繊維を、該石膏粉末に対して0.0
    1ないし5重量%の割合で均一に混入分散して成る石膏
    製成形型用炭素繊維入り石膏粉末。 (4)、炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断し
    て無数本の単繊維に予め離散させておき、石膏粉末と、
    該石膏粉末に対して0.01ないし5重量%の単繊維に
    離散された前記炭素繊維とを循環しているジェット空気
    流内に投入して両者を均一に混合せしめた後に回収する
    ことを特徴とする石膏製成形型用炭素繊維入り石膏粉末
    の製造方法。 (5)、炭素繊維を5ないし100mmの長さに切断し
    て無数本の単繊維に予め離散させておき、石膏粉末と、
    該石膏粉末に対して0.01ないし5重量%の単繊維に
    離散された前記炭素繊維とを撓屈自在の袋体内に投入し
    て揺動回転させることを特徴とする石膏製成形型用炭素
    繊維入り石膏粉末の製造方法。
JP5115120A 1993-04-05 1993-04-05 炭素繊維強化石膏製成形型および石膏粉末、並びにこれらの製造方法 Pending JPH06157117A (ja)

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JP5115120A JPH06157117A (ja) 1993-04-05 1993-04-05 炭素繊維強化石膏製成形型および石膏粉末、並びにこれらの製造方法

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