JPH0617236A - 溶融金属用容器 - Google Patents

溶融金属用容器

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JPH0617236A
JPH0617236A JP4199061A JP19906192A JPH0617236A JP H0617236 A JPH0617236 A JP H0617236A JP 4199061 A JP4199061 A JP 4199061A JP 19906192 A JP19906192 A JP 19906192A JP H0617236 A JPH0617236 A JP H0617236A
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JP
Japan
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base material
crucible
graphite
resin
amorphous carbon
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Application number
JP4199061A
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English (en)
Inventor
Takashi Matsumoto
喬 松本
Hiroaki Ogura
浩昭 小倉
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Toyo Tanso Co Ltd
Original Assignee
Toyo Tanso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】超高純度であり、金属に対して濡れ性が低く、
不浸透性であり、且つ炭塵の少ない溶融金属用容器を開
発すること。 【構成】嵩密度が1.7〜1.9g/cm3、平均気孔半径が
0.2〜2.0μm、異方比が1.05以下、及び必要に
応じ炭素以外の無機質不純物の総和が5ppm以下の等方
性黒鉛基材の表面に、非晶質炭素被膜を形成すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体単結晶引き上げ
用ルツボ、金属溶融用ルツボ、金属蒸着用ルツボ或いは
ボート等に好適に使用される溶融金属用黒鉛容器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶融金属に接し、これを処理するために
使用される材料としては、耐熱性、高い熱伝導率、溶融
金属との濡れ性の低いこと、耐熱衝撃性、機械的強度に
優れていることが欠くことのできない条件であり、場合
によっては更にこの上に、電気伝導性の良いこと、耐酸
化性、不浸透性に優れていることが要求される。
【0003】この様な要請から、上記要件を具備する材
料として、耐熱性合金やセラミックス材料が従来用いら
れていたが、最近に至り、軽量でなお且つ上記要件に優
れている黒鉛材料が、多く用いられるようになってい
る。
【0004】特に機械加工性が容易で、電気的、物理的
特性が均質な等方性黒鉛材料が非常に多く用いられてい
る。よく知られているように、黒鉛材料は高温でも軟
化、変形せず、蒸気圧が低い点が他の材料に対して特に
優れており、さらに、金属との濡れ性が低く、自己潤滑
性があり、溶融金属を汚染することも少なく、黒鉛自体
も耐蝕性に強いという性質があり、溶融金属用の容器材
料として使用されてきたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、最近の技
術の進歩からくる新素材、ニーズの多様化からくる新合
金、高性能化要求からくる超高純度金属を製造する材料
ばかりでなく、単結晶引き上げ用ルツボ、金属溶解用ル
ツボ、金属蒸着用ルツボ或いはボートについても、一層
の改良が求められてきた。
【0006】改良されている項目を列挙すると以下の通
りである。 超高純度であること、即ち炭素材料中に含有する無機
質不純物の量を極めて低く、実質的には0とすること。
【0007】新金属や新合金に対して、親和性、濡れ
性、反応性の非常に低い炭素材料を開発すること。例え
ば、鉄・ニッケル・クロム・ベリリウム・シリコン等を
含む銅合金やチタン系合金(炭化金属を生成する)、ア
ルミニウムの処理用炭素材料を開発すること。
【0008】不浸透性であること。等方性黒鉛材料は
微細な炭素粒子を成形、焼成したものであり、一般に非
常に微細な孔を残存している。このため浸透性の強いア
ルミニウム等は細孔内を伝わりながら、さらに黒鉛と反
応して炭化アルミニウムを生成する。不浸透性にするこ
とによりこれを防止すること。
【0009】炭塵発生の防止。炭素材料は、微細な炭
素粒を成形、焼成したもので、2000℃以上の高温処
理を行った後も、微量の炭塵が溶融金属中に紛れ込むこ
とがあり、これを防止すること。
【0010】以上、様々な点において溶融金属処理用炭
素材料として特にその解決を求めれられている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点は、 黒鉛基材の嵩密度が1.7〜1.9g/cm3、平均気孔半
径が0.2〜2.0μmの黒鉛材料であって、且つ異方比
が1.05以下で炭素以外の無機質不純物の総和が5ppm
以下の等方性黒鉛材料を選択的に使用すること。
【0012】上記黒鉛材料の表面に、非晶質炭素被膜
を形成すること。上記ととの相乗効果により、上記
問題点をことごとく解決できることが判明し、ここに本
発明を完成するに至ったものである。
【0013】
【発明の作用】まず、基材となる等方性黒鉛材料につい
て説明する。ここに言う等方性黒鉛材料は、一般の天然
黒鉛材料と異なり、黒鉛材料の機械的、物理的、化学的
性質がX、Y、Z軸の全ての方向に対してほぼ均一であ
る黒鉛材料、換言すると異方比が1.05以下の黒鉛材
料である。
【0014】従って、本発明に用いる等方性黒鉛基材
は、原則として人工的合成材料であり、上記異方比が所
定の範囲内となるかぎり、特に製造方法は問わないが、
たとえば特公平1−16789号に示されるように、微
粉砕炭素粉にバインダーを混合し成形焼成の後、更に高
温下での焼成を経て黒鉛化したものである。この様に粉
体を固めたものであるため、微細な気孔を有しており、
原料および製造条件を適宜に選ぶことによって嵩比重や
気孔半径を制御することができる。
【0015】この様な気孔の存在は、後の工程で、この
黒鉛基材に高分子物質を含浸または塗布する際に、その
浸透性や固化後の被覆層の基材との接合強度と密接な関
係がある。即ち、高分子物質は一般に粘度が高く、細孔
径があまりに小さいと高分子物質溶液が黒鉛基材に対し
て浸透性が悪くなり、単なる表面塗布だけとなり、黒鉛
基材と非晶質炭素膜とのアンカー効果が少なく、基材表
面と被覆層との接合強度が弱くなり剥離の原因となる。
【0016】又、逆に細孔径があまりに大きすぎると、
高分子物質溶液が基材の孔に浸透してしまい表面を被覆
するに至らず、目的とする炭素材の表面が粗くなり、基
材の強度も低下する。この点について種々の条件を変え
て実験を繰り返した結果、黒鉛基材の細孔半径は0.2
〜2.0μm特に0.7〜1.8μmが好適なものである
ことが判明した。
【0017】この様な黒鉛基材の細孔半径は水銀圧入
法、例えばカルロ・エルバ社製装置を用いて測定でき
る。測定結果の一例を図1に示す。尚、図1中の横軸は
細孔半径を縦軸は細孔の累積容積をAとして示し、Bは
Aの微分値で、細孔半径の分布状態を示している。この
ことから細孔半径は非常に狭い範囲に制御されているこ
とが判る。
【0018】また嵩比重は、黒鉛基材の黒鉛化度にも関
係があるが、細孔空間の累積総量の指数でもあり、細孔
の大きさとも相俟って、高分子物質の浸透性を支配する
要因となる。
【0019】種々の実験を繰り返し、本発明に供する等
方性黒鉛基材の性状としては、細孔半径は0.2〜2.0
μm、好ましくは0.7〜1.8μmであり、嵩比重は
1.7〜1.9g/cm3の範囲のものを使用する。細孔半径
が0.2μmより小さいと樹脂液の透過性悪く、逆に2.
0μmより大きいと樹脂による細孔の目止め充填効果が
薄れる。この点については後記表4にも示す通りであ
る。尚表4は、実施例6〜8と、比較例4〜6につい
て、基材の特性と、得られたルツボの性状とを比較した
結果を示している。
【0020】次に、この様な性状をもつ等方性黒鉛基材
は、その用途によっては、高純度化処理を行うことが好
ましい。例えば、高精度の特殊用途用合金等は、黒鉛基
材又は高分子物質に微量存在する無機質の不純物の浸
出、揮発、拡散等によって、溶融されている金属を汚染
する原因となるからである。
【0021】この様な目的で行う黒鉛基材の高純度化方
法は、例えば特願昭61−224131号の方法を適用
することができる。この方法による場合、黒鉛基材中の
炭素成分を除く無機質不純物元素の総量を2ppm以下、
実質的には0に近い水準にまで高純度化できる。
【0022】上記の様に黒鉛基材の物性、特に細孔半
径、嵩比重の最適範囲を特定し、かつ用途に応じてこれ
を超高純度化することにより次工程の非晶質炭素被膜を
強固に、かつ完全に形成することができる。
【0023】黒鉛基材表面に高分子物質を塗布、含浸せ
しめ、これを焼成せしめること自体は公知である。例え
ば下記のものが挙げられる。
【0024】特公昭46−21093号では、ホルムア
ルデヒド樹脂を鋳型に含浸する方法、特公昭46−26
087号には機械用炭素材料にポリアミドイミド樹脂を
含浸する方法、特公昭52−39684号にはガラス状
炭素前駆体を熱処理し有機溶剤と混合し、スラリーを基
材に塗布し、ガラス状炭素を被覆することが記載されて
いる。特公平2−7915号では有機物重合体を脂肪族
溶剤に溶解し炭素材料に塗布すること、特開平2−17
2887号では炭素基材の気孔にフェノール樹脂、フラ
ン樹脂を含浸し表面にガラス状炭素被膜を被覆すること
が記載されている。
【0025】これらを要約すると、フェノール樹脂、フ
ラン樹脂、塩化ビニール樹脂、フルフリルアルコール樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の合成高
分子物質そのもの、これらを適当に溶媒で希釈したも
の、或いはこれらの合成高分子物質を予め別の容器でカ
ラメル状にしたもの、これを更に適当な溶媒で希釈した
もの等を黒鉛基材に含浸、塗布、吹き付け、浸漬等の手
段で処理するものである。
【0026】またこれらの高分子物質を単に含浸、塗布
しただけでなく、さらに含浸、塗布後数百℃の温度下で
炭化したものも知られている。この様な合成高分子物質
は高温下にて炭化した場合、黒鉛化(結晶化)しにく
い、いわゆる難黒鉛化炭素即ち非晶質炭素あるいはガラ
ス状炭素とも呼ばれる炭素を生成する。この炭素は、平
滑面を有し、硬く、ガスや、液体に対して不浸透性、表
面から粉塵がでない、摺動抵抗が少ない等の利点があ
る。しかし一方では加工性が悪い、機械的強度が低い、
割れ易い、黒鉛基材との剥離があり、ひび割れ等が起こ
る欠点も知られている。
【0027】本発明では、前記の様な特定の嵩比重およ
び細孔半径を有する黒鉛基材を特に選び出し、これに高
分子物質を原料として、上記黒鉛基材表面に非晶質炭素
を形成することにより、従来法の欠点を全て補うことが
できる。そして特に高分子物質として造膜性の高いポリ
イミド系、およびまたはポリアミドイミド系の樹脂が好
ましくは、特にポリアミドイミド樹脂が好ましく使用さ
れる。
【0028】本発明者らの研究によれば、黒鉛基材の表
面にポリアミドイミド樹脂を溶剤に溶解して含浸または
塗布して、これを硬化して炭化、さらに必要に応じて黒
鉛化すれば(以下この操作を「パイコート処理」と略称
する)、得られた炭素被膜を有する炭素/炭素複合材は
粒子脱落が大幅に改善され、実施例1に示すように殆ど
粉塵を生じないことが明らかとなった。
【0029】本発明に使用される高分子物質としては、
被覆加工される炭素基材の細孔内の深部にまで浸透し、
アンカー効果により基材と表層との剥離を防ぎ、かつ機
械的強度を高める必要がある。そのために、高分子物質
溶液の粘度を下げて浸透性を良くする必要があるが、こ
の様な場合、粘度を下げる方法としては
【0030】(1)多量の溶媒を用いて希釈する方法 (2)高分子物質の中でも分子量の小さなもの(換言す
ると、オリゴマーの状態に近いもの)を使用する方法が
ある。
【0031】しかし様々な条件で実験した結果、(1)
の方法の場合、溶媒を蒸発除去した後は非常に少量の高
分子物質しか残らない上、高分子層そのものも溶媒の抜
けた穴が多く存在し粗いものとなるので強度も低く、か
つ被覆効果が実質的に低いという欠点を有する。
【0032】また(2)の方法の場合、余りに分子量が
小さすぎると、熱的に不安定でわずかの昇温で分解し、
蒸発して被覆効果が低くなる。さらに付け加えると、高
分子物質は耐熱性の優れたものが望ましいことが判っ
た。
【0033】本発明者らは、まず基材となる黒鉛基材に
ついて特定し、さらにこれに組み合わせて使用する高分
子物質の種類および分子量、および溶媒中における濃度
などを変化させ、最も含浸条件の良い条件を見付けだし
本発明を完成するに至ったものである。
【0034】本発明に使用される高分子物質としては種
々試験した結果、ポリアミドイミド樹脂、特に芳香族ポ
リアミドイミド樹脂が最適であることを見いだした。そ
の構造式は下記の通りである。
【0035】
【化1】
【0036】但し式中nは1〜1000、好ましくは1
0〜100の整数であり、Rは炭化水素基、好ましくは
アルキル基、特に好ましくは低級アルキル基である。
【0037】この樹脂は、ポリイミド樹脂やポリベンズ
イミダゾール樹脂と同じように耐熱性樹脂として知られ
ている。この樹脂は、一般的に硬いながらも弾力性のあ
る被膜を形成でき黒鉛基材との接着性も良く、一旦表層
を形成するとアンカー効果等により簡単に基材と剥離し
ない性質を有するので好都合である。
【0038】ポリアミドイミド樹脂の分子量としては、
上記式においてnが10〜100程度が好ましく、nが
1000〜10000になると溶媒にも解け難く、かつ
溶液も粘度が増し、黒鉛基材への浸透性も悪くなる。ま
たnが10未満では炭化焼成したときの表層硬度も低
く、被覆効果も薄い。
【0039】ポリアミドイミド樹脂を溶解するときの溶
剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルフォルム
アミド、ジメチルスルホキサイド、Nメチル−2−ピロ
リドンが好ましく使用される。
【0040】溶媒中のポリアミドイミド樹脂の濃度とし
ては溶媒によっても粘度が異なるが、表面処理のための
吹き付けや、塗布のために好適な粘度を維持するために
は、樹脂成分(固形分)の濃度は重量比で10〜50
%、好ましくは20〜35%程度である。樹脂成分が少
なすぎると粘度が低く、浸透性も良いが、溶媒を揮散し
た後の被膜層は機械的強度が低く、不浸透性の度合いも
小さい。
【0041】逆に樹脂成分が多すぎると、白濁現象が生
じ、調合原液の保存性も悪く、これを塗布すると表面に
白い汚点等が生じ好ましくない。
【0042】樹脂の分子量と溶媒中での樹脂濃度とは相
関があり、良好な作業性を維持するためには、前記のよ
うに分子量と溶液濃度について制限を設けた。
【0043】本発明に於いて使用する高分子物質の最も
好ましいポリアミドイミド樹脂について上記で述べた
が、その他でもフェノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、フリフリルアルコール樹脂、ポリイミド樹脂等
を使用することができる。しかし、既に述べた通り、ポ
リイミド樹脂およびポリアミドイミド樹脂が好ましく、
特にポリアミドイミド樹脂が、上記特定の黒鉛基材の親
和性が特に良好で、極めて優れた被膜を形成でき、かつ
前記の分子量と溶液濃度に調合すると、透過性も良好
で、これを炭化すると微細・細孔が充填され、溶融金属
の洩れも皆無で、金属との表面親和性も低くなるので、
溶融金属用容器例えば、シリコン単結晶引き上げ用ルツ
ボ、金属溶解用ルツボ、金属蒸着用ルツボおよびボート
として要求される条件を、極めてよく満足することにな
る。
【0044】以下に本発明法の様態をその製造工程順に
説明する。まず、黒鉛基材に高分子物質就中芳香族ポリ
アミドイミド樹脂の有機溶剤溶液を塗布または浸漬し
て、該溶液あるいは一部を含浸せしめる。この際使用さ
れる原料黒鉛基材としては前記の細孔半径及び嵩比重を
有する等方性黒鉛基材である。また黒鉛基材としては黒
鉛/黒鉛複合材等を用いることもできる。
【0045】上記黒鉛基材に上記高分子物質の有機溶剤
溶液を塗布又は含浸する。これらの方法は刷毛ぬり、ス
プレー噴き付け法、浸漬等任意の方法が採用される。高
分子物質の塗布量は被覆層の厚さとして通常1〜20μ
m、好ましくは5〜10μm程度である。あまりに厚く
する必要はなく、膜厚が厚すぎると、むしろひび割れ等
を併発して有害となり、逆にあまり薄くすると、被覆さ
れていない部分が残存し、被覆効果にむらを生じる傾向
がある。
【0046】このような非晶質炭素層の厚さは、SEM
(走査型電子顕微鏡)によって測定することができ、塗
布条件と表層厚さの関係をSEMを用いながら最適化
し、5〜10μmに制御し、以後は経験的にその条件に
よって塗布することを行った。図2は約40ミクロンに
塗布した試料のSEM写真の模擬図であり、その1は塗
布しない基材の、その2は塗布したものである。
【0047】本発明に於いては高分子物質を含浸、塗布
した後は300〜400℃で加熱して溶媒を揮発除去す
ると共に該高分子物質を硬化せしめ、次いで非酸化性雰
囲気中で焼成して該高分子物質被膜を炭化又は更に黒鉛
化する。
【0048】このような方法によって得られた、非晶質
炭素によって被覆された、黒鉛を基材とする炭素複合材
は、高分子物質就中芳香族ポリアミドイミド樹脂の炭化
樹脂の炭化乃至黒鉛被膜が強固に形成されているため、
なんら粒子剥離や粉塵も生じず、機械的強度も大きい特
徴を持っている。
【0049】また液体金属と接する部分は、濡れ性や化
学的反応性の低さが要望される。本発明にかかる炭素複
合材は、これまで詳明に記したように、(イ)嵩密度と
細孔半径を特別に限定した等方性黒鉛基材を用いること
により、高分子物質が浸透、固化した際に生ずるアンカ
ー効果により、機械的強度と耐剥離性が高められ、
(ロ)特に高分子物質として好ましく造膜性の良いポリ
アミドイミド樹脂を使用し、且つ表面に塗布された非晶
質炭素層の厚さを5〜10ミクロンに限定することによ
って、ひび割れの無い、表面の滑らかな、硬い非晶質炭
素を形成せしめることができ、(イ)(ロ)の組み合わ
せ効果(相乗作用)によって初めてシリコン単結晶引き
上げ用ルツボ、金属溶解用ルツボ、金属蒸着用ルツボお
よびボートとして好適な材料を完成したものである。
【0050】
【実施例】以下実施例及び比較例によって本発明を具体
的に説明する。
【0051】
【実施例1〜3】及び
【比較例1〜3】等方性黒鉛(商品名:東洋炭素(株)製
「IG−11」、異方比1.03、嵩密度1.77g/c
m3、細孔気孔半径1.7μm)をルツボ(外径250m
m、内径200mm、高さ300mm)に加工した後、ポリ
アミドイミド樹脂の10〜100量体のN・メチル・2
ピロリドン30%溶液をスプレー法により塗布し、N2
で1000℃で焼成した。別途調製したサンプルを切断
し観察した結果非晶質炭素で被覆された層の厚さは約1
0μm位であった。
【0052】このルツボに金属ニッケル(実施例1)5
0kgを充填し、真空溶解炉で誘導加熱により溶解したと
ころ黒鉛ルツボライフは従来の黒鉛ルツボライフに比べ
表1のようになった。次に金属の種類を変えて亜鉛(実
施例2)、金(実施例3)についてもニッケルと同様に
溶解した。この結果も表1に併記した。
【0053】また上記に於いてポリアミドイミド樹脂を
塗布する前のルツボに加工したものについても、同様に
処理した。この結果も表1に示した。
【0054】
【表1】
【0055】このように本発明の黒鉛ルツボライフは従
来のルツボに比べいずれの金属の場合にも長くなること
がわかる。
【0056】
【実施例4】及び
【比較例4】カサ密度1.90g/cm3の等方性黒鉛基材
東洋炭素(株)製「VD−30異方比1.05、細孔気孔
半径1.5μm」から製作されたAl真空蒸着用ルツボ
(比較例4)を、1時間減圧下(10torr)に置き、そ
の後1時間加圧下(7kgf/cm2)でポリアミドイミド樹
脂の10〜100量体のN−メチル−2ピロリドン20
%溶液を含浸せしめ、さらにN2雰囲気下1000℃で
熱処理を施した。
【0057】この両ルツボを用いて、1450℃10-4
torrの真空下においてAlの蒸着を行った。この結果を
表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】上記表2から明らかな通り、本発明のルツ
ボは、従来のものに比し著しく優れている。
【0060】
【実施例5】及び
【比較例5】高純度等方性黒鉛(商品名:東洋炭素(株)
製「IG−710」嵩密度1.83g/cm3、異方比1.0
2、細孔気孔半径1.8μm)をルツボ(外径445m
m、内径405mm、高さ300mm)に加工した後「パイ
コート処理」を施し、更に高純度化処理を行った。
【0061】これらにポリシリコン35kgを充填した石
英ルツボを入れ、CZ法により5分間シリコン単結晶の
引き上げを行ったところ、黒鉛ルツボライフは、従来の
黒鉛ルツボのライフに比べ表3のようになった。
【0062】
【表3】
【0063】このように実施例のルツボライフは従来品
の約1.5倍になることがわかる。尚「パイコート処
理」は実施例1、2、3と同じ。
【0064】
【実施例6〜8及び比較例6〜8】表4に、「パイコー
ト」加工を施す前の基材の特性と、それに「パイコー
ト」加工をして得られた試料(溶融金属用ボート)の性
状とを比較した結果を示す。
【0065】同表には、嵩密度(g/cm3)、平均気孔半
径(μm)、異方比を変えた種々の炭素材(何れも東洋
炭素(株)製)を、金属溶融ボート(長さ50、巾10、
高さ10m/mの基材に、長さ35、巾7、深さ7m/
mの凹部を設けたボート状のもの)を用い、それに実施
例1と同様の方法で「パイコート処理」を行い、その後
ハロゲン含有ガスによって、減圧下で該試料の高純度処
理を行った。従って表4の不純物量はパイコート処理後
に高純度化処理を行ったものである。
【0066】但し実施例8については、特に高純度化処
理を行わなかった。更に詳しくは嵩密度が1.7〜1.9
g/cm3で、平均気孔半径が0.2〜2.0μm、異方比が
1.05以下の範囲の基材を減圧下でハロゲン含有ガス
と接触させて高純度処理した容器に、純度99.99%
(住友化学製)アルミニウム片を入れ、石英管中、減圧
下で1000℃に1時間保ち加熱溶融し、冷却後取出し
炭素容器の性状の変化を観察した。
【0067】
【表4】
【0068】この作業を5回繰り返したが、特に実施例
6及び7については容器に大きな変化なく、クラックも
生じなかった。
【0069】しかし、高純度処理を省略した基材を用い
た場合(実施例8)には基材中の無機質不純物の総和が
10ppmであり、冷却取り出したアルミニウム塊の純度
は99.96%に低下していた。しかし容器には、大き
な変化はなく、クラックも生じなかった。
【0070】また異方比が1.18の基材を使った場合
(比較例6)には、非晶質炭素層が黒鉛基材から剥離し
てしまい、平均気孔半径が2.6μmである基材を使っ
た場合(比較例7)は「パイコート処理」した後もま、
だ微細細孔が残り、容器の底部にアルミニウムの微量の
滲出が観察された。
【0071】また嵩密度は平均気孔半径と間接的に関係
があるが、更に炭素材中の気孔の総量とも関係のある物
性であり、炭素材物性を示す一つの指標でもあるが、嵩
密度1.62g/cm3の基材を用いた容器の場合(比較例
8)は、炭素材中に侵入したアルミニウムと、母材を構
成する炭素材との熱膨張係数との違いから、溶融と冷却
を3回繰り返したところ、容器にクラックが発生した。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】
【0074】黒鉛基材の累積細孔容積と細孔半径との関
係を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】嵩密度が1.7〜1.9g/cm3、平均気孔半
    径が0.2〜2.0μm、異方比が1.05以下、及び必
    要に応じ炭素以外の無機質不純物の総和が5ppm以下の
    等方性黒鉛基材の表面に、非晶質炭素被膜が形成されて
    成る溶融金属用容器。
  2. 【請求項2】上記非晶質炭素被膜が、ポリアミドイミド
    樹脂から得られたものである請求項1の容器。
  3. 【請求項3】溶融金属用容器が、シリコン単結晶引き上
    げ用ルツボ、金、亜鉛、ニッケル、アルミニウム或いは
    珪素又はこれ等の合金の少なくとも1種の金属蒸着用ル
    ツボ又はボートである請求項1の容器。
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