JPH0618807B2 - ビニル系重合体の製法 - Google Patents

ビニル系重合体の製法

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JPH0618807B2
JPH0618807B2 JP59106281A JP10628184A JPH0618807B2 JP H0618807 B2 JPH0618807 B2 JP H0618807B2 JP 59106281 A JP59106281 A JP 59106281A JP 10628184 A JP10628184 A JP 10628184A JP H0618807 B2 JPH0618807 B2 JP H0618807B2
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alkyl
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祐一 江利山
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ビニル系重合体の製造に関し、特に新規重合
触媒系を用いるビニル系重合体の製造に関する。
[従来の技術] 従来、ビニル系単量体の重合には、種々の開始剤が用い
られている。特に、アニオン重合の場合には、開始剤と
してリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金
属;アルキルアルカリ金属類;グリニヤール試薬;アル
カリ金属アルコラート類等が、一般に用いられている。
[本発明が解決しようとする問題点] ところが、上記の重合開始剤は非常に高い活性を有する
反面、次のような問題があった。第1に、化学的に不安
定で、保存・取扱いが容易でない。特に極少量の水分に
より失活し易く、また空気と接触することにより発火も
しくは爆発の危険性がある。第2に、重合には厳しい反
応条件、例えば、一般に有機アルカリ金属を触媒として
用いるアニオン重合においては常温では触媒が溶媒と反
応して失活し易いので、高分子量の重合体を得るために
はしばしば零下数十度に冷却することが必要である。第
3にそのように極低温で重合を実施しない限り、望まし
くない不要な副反応、例えばモノマー自身の分解、モノ
マー分解物の再結合による生長の停止、重合体鎖のグラ
フト化によるゲル化等を伴ない易く、そのためこれらの
重合開始剤を官能性有機基を有する単量体の重合に適用
することは大きく制限されていた。
本発明の目的は、これらの問題点を解決したビニル系重
合体の製法を提供することにある。すなわち、常温、大
気圧下で化学的に安定な新規触媒系を用い、穏和な条件
下で極めて高分子量のビニル系重合体を得ることがで
き、しかも副反応がほとんど起らないビニル系重合体の
製法を提供することである。
[問題点を解決するための手段] 本発明によれば、ビニル系単量体を、 (A)一般式(I) 〔式中、R1,R2およびR3は、同一でも異なっても
よくC1〜20のアルキル基またはC6〜10のアリール基であ
り; R4およびR5は、同一でも異なってもよく水素原子、
C1〜20のアルキル基またはC6〜10のアリール基または 式: (式中、Xは酸素原子もしくは−SO3−基であり; Yは、酸性水素原子を有しない官能基により置換されて
いてもよいC1〜20のアルキル基またはC6〜10のアリール
基である) で表される基であり、 R6は、水素原子、ハロゲン原子または酸性水素原子を
有しない官能基により置換されていてもよいC1〜20のア
ルキル基もしくはC6〜10のアリール基であり; R7およびR8は、同一でも異なってもよく水素原子、
ハロゲン原子、C1〜20のアルキル基、 一般式: (式中、R1,R2およびR3は前記のとおりであり、
kは0〜3の整数である)で表される基である〕 で表される化合物: 一般式(II) 〔式中、R1,R2およびR3は、一般式(I)と同様
であり、; R11およびR12は、同一でも異なってもよく、水素原子ま
たは酸性水素原子を有しない官能基により置換されてい
てもよいC1〜20のアルキル基もしくはC6〜10のアリール
基であり; mは、0または1であり、; Zは、水素原子、1〜6価の脂肪族、脂環式もしくは芳
香族の炭化水素基または一般式: (式中、R1,R2,R3,R11,R12およびmは前記の
とおりである)で表される基であり; nは、Zの価数に等しい整数である〕 で表される化合物;および 一般式(III) 〔式中、R1,R2およびR3は、一般式(1)と同様
であり; pは、0または1であり; rは、0〜5の整数である〕 で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
種からなる開始剤と、 (B)フッ素イオンの発生源となるオニウム化合物、ア
ルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ金属重フッ化物
と、ルイス酸とから選ばれる少なくとも1種の共触媒と に接触させることからなるビニル系重合体の製法が提供
される。
前記一般式(I)〜(III)の定義において用いられてい
るC1〜20のアルキル基には、直鎖状、分岐鎖状および
環状のアルキル基が含まれ、好ましい具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、シクロヘ
キシル基、ベンジル基等を挙げることができる。
また、C6〜10のアリール基の具体例としては、フェニ
ル基、トリル基、ナフチル基、キシリル基、メシチル基
等を挙げることができ、好ましくはフェニル基、トリル
基、キシリル基等である。
また、一般式(I)におけるYおよびR6、ならびに一
般式(II)におけるR11およびR12の定義における「酸性
水素を有しない官能基」は当業者には自明であり、後述
する本発明の重合条件下では非反応性である官能基であ
る。前記Y,R6,R11およびR12におけるC1〜20のア
ルキル基またはC6〜10のアリール基は、重合開始能力に
影響を与えない限りで、このような官能基を置換基とし
て有していてもよく、本発明の重合反応に支障が起こる
ことはない。かかる官能基の具体例としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン
原子、ジアルキルアミノ基、ニトリル基、グリシドオキ
シ基、メタクリロイルオキシ基を挙げることができる。
なお、本発明においては、これらの官能基中の炭素原子
は、アルキル基またはアリール基の炭素原子数としては
考慮しないものとする。これらの官能基で置換されたア
ルキル基およびアリール基の代表的な例としては、 −CH2CH2−C8F17, −C6H4−N(CH3)2, −CH2CH2CH2CN, −CH2CH2CH2−N(CH3)2, 等を挙げることができる。これらの官能基を有する開始
剤を用いると、これら官能基は末端基の一部として重合
体の末端に導入される。
さらに、一般式(II)におけるZの定義における1〜6価
の脂肪族、脂環式もしくは芳香族の炭化水素基の具体例
としては、 メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘ
キシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、メシチ
ル基、ナフチル基、アンスラニル基(以下1価); メチレン基、エチレン基、フェニレン基、ビフェニレン
基(以上2価); およびベンゼン、ナフタレン、アンスラセン、ビフェニ
ルから芳香環に結合した水素を3以上除去して誘導され
る3価以上の炭化水素残基等を挙げることができる。
本発明に用いられる(A)成分である開始剤の一般式
(I)の化合物の具体例としては、 3−(トリメチルシリル)−1−プロペン、 3−(トリエチルシリル)−1−プロペン、 3−(ジメチルエチルシリル)−1−プロペン、 3−(トリイソプロピルシリル)−1−プロペン、 3−(ジメチルイソプロピルシリル)−1−プロペン、 3−(トリノルマルプロピルシリル)−1−プロペン、 3−(ジメチルノルマルプロピルシリル)−1−プロペ
ン、 3−(トリノルマルブチルシリル)−1−プロペン、 3−(ジメチルノルマルブチルシリル)−1−プロペ
ン、 3−(トリフェニルシリル)−1−プロペン、 3−(ジメチルフェニルシリル)−1−プロペン、 2−メチル−3−(トリメチルシリル)−1−プロペ
ン、 3−(トリメチルシリル)−1−ブテン、 1−(トリメチルシリル)−2−ブテン、 3−(トリメチルシリル)−2−メチル−1−プロペ
ン、 3−(トリフェニルシリル)−2−メチル−1−プロペ
ン、 3−(トリエチルシリル)−1−ブテン、 1−(トリエチルシリル)−2−ブテン、 3−(トリメチルシリル)−3−メチル−1−ブテン、 4−(トリメチルシリル)−2−ペンテン、 1−(トリメチルシリル)−3−メチル−2−ブテン、 1−(トリメチルシリル)−3−エチル−2−ペンテ
ン、 1−(トリメチルシリル)−2−メチル−2−ペンテ
ン、 1−(トリメチルシリル)−2−ノネン、 1−(トリメチルシリル)−3−メチル−2−ノネン、 1,4−ビス(トリメチルシリル)−2−ブテン、 1,4−ビス(トリメチルシリル)−2−メチル−2−
ブテン、 1,4−ビス(トリメチルシリル)−2,3−ジメチル
−2−ブテン、 1,4−ビス(トリメチルシリル)−2,3−ジメチル
−2−ブテン、 2−フルオロ−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 2−クロロ−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 2−ブロモ−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 2−ヨード−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 1−フルオロ−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 1−クロロ−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 1−ブロモ−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 1,1−ジフルオロ−3−トリメチルシリル−1−プロ
ペン、 1,1−ジクロロ−3−トリメチルシリル−1−プロペ
ン、 1,1−ジブロモ−3−トリメチルシリル−1−プロペ
ン、 1,1,2−トリフルオロ−3−トリメチルシリル−1
−プロペン、 1,1,2−トリクロロ−3−トリメチルシリル−1−
プロペン、 2−ブロモメチル−3−トリメチルシリル−1−プロペ
ン、 2−シアノメチル−3−トリメチルシリル−1−プロペ
ン、 2−(4−シアノ)フェニル−3−トリメチルシリル−
1−プロペン、 2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロ)フェニル
−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチル−4−[N,N−ジメチルアミノ]フェ
ニルシロキシ)−3−トリメチルシリル−1−プロペ
ン、 3−(ジメチル[3−シアノ]プロピルシロキシ)−3
−トリメチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチルグリシジルオキシシロキシ)−3−トリ
メチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチルメタクリロキシシロキシ)−3−トリメ
チルシリル−1−プロペン、 3−(p−シアノ)ベンゼンスルホニル−3−トリメチ
ルシリル−1−プロペン、 3−(4−N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンスルホニ
ル−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチル[3−N,N−ジメチルアミノ]−プロ
ピルシリル)−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチル[3−グリシジルオキシ]−プロピルシ
リル)−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチル[3−メタクリロキシ]−プロピルシリ
ル)−3−トリメチルシリル−1−プロペン、 3−(ジメチル[4−オキソ]−ペンチルシリル)−3
−トリメチルシリル−1−プロペン等を挙げることがで
きる。これら一般式(I)の化合物の中でも特に好まし
いものとしては、 3−トリメチルシリルプロペン、 1−トリメチルシリル−2−ブテン、 1−トリメチルシリル−3−メチル−2−ブテン等を挙
げることができる。
また、本発明に用いられる(A)成分である開始剤の一
般式(II)の化合物の具体例としては、 トリメチルシリルアセチレン、 トリエチルシリルアセチレン、 トリブチルシリルアセチレン、 トリフェニルシリルアセチレン、 ビス(トリメチルシリル)アセチレン、 ビス(トリエチルシリル)アセチレン、 ビス(トリブチルシリル)アセチレン、 ビス(トリフェニルシリル)アセチレン、 3−トリメチルシリル−1−プロピン、 3−トリエチルシリル−1−プロピン、 3−トリメチルシリル−3−メチル−1−プロピン、 3−トリメチルシリル−3,3−ジメチル−1−プロピ
ン、 1−トリメチルシリル−プロピン、 1−トリメチルシリル−ブチン、 1−トリメチルシリル−ペンチン、 1−トリメチルシリル−ヘキシン、 フェニル(トリメチルシリル)アセチレン、 フェニル(トリエチルシリル)アセチレン、 フェニル(トリフェニルシリル)アセチレン、 等を挙げることができる。これら一般式(II)の化合物の
中でも特に好ましいものとしては、 トリメチルシリルアセチレン、 ビス−(トリメチルシリル)アセチレン、 3−トリメチルシリル−プロピン、 1−トリメチルシリル−ヘキシン、 ビス−(トリエチルシリル)アセチレン、 を挙げることができる。
さらに、(A)成分である開始剤の一般式(III)の化合
物の具体例としては、 3−(トリメチルシリル)シクロペンテン、 3−(トリエチルシリル)シクロペンテン、 3−(トリブチルシリル)シクロペンテン、 3−(トリメチルシリル)シクロヘキセン、 3−(トリエチルシリル)シクロヘキセン、 3−(トリメチルシリル)シクロヘプテン、 3−(トリメチルシリル)シクロオクテン、 等を挙げることができる。これら一般式(III)の化合物
の中でも特に好ましいものとしては、3−トリメチルシ
リルシクロペンテン、 を挙げることができる。
次に、本発明の製法に用いられる(B)成分の共触媒の
うちフッ化物イオンおよび重フッ化物イオンのイオン源
の具体例としては、 テトラブチルアンモニウムフルオライド、テトラエチル
アンモニウムフルオライド、テトラメチルアンモニウム
フルオライド、トリス(ジメチルアミノ)スルホニウム
ジフルオロトリメチルシリケート等のオニウム化合物; フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、
フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物および重フッ
化カリウム等を挙げることができる。また、ルイス酸の
具体例としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、ジ
エチルクロロアルミニウム、エチルジクロロアルミニウ
ム、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素−エーテル錯
体、塩化第1スズ、塩化第2スズ、四塩化チタン等を挙
げることができる。アルカリ金属フッ化物を用いる場合
は、クラウンエーテル類を併用することによって共触媒
としての作用を高めることができる。上記のうちでも共
触媒として特に好ましいものはフッ化物イオンのイオン
源であり、例えば テトラブチルアンモニウムフルオライド、 トリス(ジメチルアミノ)スルホニウムジフルオロトリ
メチルシリケート、 テトラエチルアンモニウムフルオライド、 テトラメチルアンモニウムフルオライド等である。
また、本発明の製法により重合されるビニル系単量体の
具体例としては、 メチルメタクリレート、 エチルメタクリレート、 プロピルメタクリレート、 ブチルメタクリレート、 ラウリルメタクリレート、 グリシジルメタクリレート、 トリエチレングリコールジメタクリレート、等のメタク
リル酸エステル類; メチルアクリレート、 エチルアクリレート、 イソプロピルアクリレート、 n−ブチルアクリレート、 sec−ブチルアクリレート、 tert−ブチルアクリレート、 シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル類 メタクリロニトリル、 アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類; N,N−ジメチルアクリルアミド、 N,N−ジメチルメタクリルアミド等のN,N−ジアル
キル不飽和アミド類; スチレン、 O−、m−またはp−メチルスチレン、 O−、m−またはp−メトキシスチレン、 α−メチルスチレン、 O−、m−またはp−ジメチルアミノスチレン、 mまたはp−クロロスチレン等のビニル芳香族化合物類
等を挙げることができる。これらの単量体の中でも、特
に好ましいものとしては、メチルメタクリレート、ブチ
ルメタクリレート、 アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、ブ
チルアクリレート、メタクリロニトリル、α−メチルス
チレン、p−クロルスチレン等を挙げることができる。
これらの単量体は、単独でまたは併用して用いることが
できる。
本発明の製法において、(A)成分の開始剤は、好まし
くは上記の単量体に対するモル比が1以下、特に好まし
くは1/100〜1/5となる量で一般に用いられ、
(B)成分の共触媒は開始剤に対するモル比が通常1/
500〜1、好ましくは1/10〜1の範囲となるよう
に用いられる。
本発明の製法における重合反応は、例えば約−100℃
〜150℃の温度で行うことができるが、開始剤として
一般式(I)の化合物を用いる場合は−20〜60℃が
好ましく、一般式(II)の化合物を用いる場合は−100
〜10℃が好ましく、さらに一般式(III)の化合物を用
いる場合は−20℃〜60℃が好ましい。また、本発明
の製法は、0.1〜50atmの範囲の圧力下で実施する
ことができるが、通常は大気圧下で十分である。
本発明の製法は一般に溶媒中において実施することが望
ましいが、重合反応に供する単量体が重合条件下で液体
である場合には特に溶媒を用いる必要はない。単量体が
重合条件下で固体である場合には、開始剤および共触媒
が有効に作用するのに十分な量の溶媒を用いる必要があ
る。溶媒を用いる場合は、通常、単量体の濃度が0.0
1重量%以上、好ましくは10重量%以上で、かつ反応
系が常温で液体状態を保つに必要な量の溶媒を用いる。
適当な溶媒の具体例としては、 ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタ
ン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、テトラヒドロフラン、等のエーテル系溶媒; アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶
媒; ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水
素系溶媒; ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶
媒; その他酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホト
リアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチレンスル
ホン等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができ、
好ましくはエーテル系溶媒、ニトリル系溶媒等を、特に
好ましくはエーテル系溶媒を挙げることができる。
本発明における重合開始剤および共触媒は、個々の化合
物としては水分に対して安定であるが、本発明の製法は
実質的に無水の条件下で実施することが好ましく、反応
系に存在する水分は多くとも(B)成分である共触媒の
濃度以下に抑える必要がある。水分が共触媒の濃度を超
えて存在すると、重合反応の進行は困難であり、共触媒
の濃度以下であっても相当量の水分が存在すると高分子
量の重合体を得ることは難かしい。したがって、本発明
の製法により高分子量の重合体を製造するためには、使
用する溶媒、単量体、重合開始剤、共触媒等を予め十分
に脱水しておくことが必要である。
また本発明の製法は、水分の侵入を防ぐために十分に乾
燥した雰囲気中において実施することが重要であり、こ
のような雰囲気として例えば乾燥空気、乾燥した窒素、
アルゴン等の不活性ガスの雰囲気を挙げることができ、
好ましくは乾燥した不活性ガス雰囲気が使用される。
本発明の製法においては、重合開始剤、共触媒および単
量体の反応系への添加順序は特に制限されず、いずれの
添加順序によっても重合反応は進行する。しかし、重合
反応を用意に制御することができる点で、重合開始剤と
共触媒の有機溶媒溶液中に単量体またはその溶液を添加
する方法が好ましい。なお、重合開始剤または共触媒を
反応溶液に添加する場合には、通常重合開始剤または共
触媒をテトラヒドロフランまたは重合反応に用いる有機
溶媒と同じ溶媒に溶解した溶液の形で添加するが、添加
すべき共触媒が有機溶媒不溶性の無機化合物である場合
には溶媒を使用せずにそのまま添加する。また、本発明
の製法により2以上の単量体を使用してブロック共重合
体を製造する場合には、まず第1の単量体を重合開始剤
および共触媒を用いて重合した後、得られた重合体溶液
に第2の単量体をそのまままたは適当な有機溶媒、通常
は反応溶媒と同じ溶媒に溶解した溶液として添加すれば
よい。
本発明の製法における重合反応を停止させるためには、
水、アルコール、フェノール、カルボン酸等の酸性水素
を有する化合物を反応系に添加すればよく、通常はメタ
ノール、エタノール等のアルコールを使用する。この酸
性水素を有する化合物は、反応系中の共触媒のモル数以
上、好ましくは重合開始剤と共触媒の合計モル数以上の
量で添加する。
[発明の効果] 本発明の製法に用いられる(A)成分の開始剤となる化
合物は、常温、大気圧下という通常の条件下で化学的に
極めて安定であり、水分あるいは酸、アルカリによって
も変質しにくいために保存および取扱いが極めて容易で
特別の注意を必要としない利点がある。それでいて、こ
の開始剤は(B)成分の共触媒と組合せることによって
高い触媒活性を示し、穏やかな条件下で極めて高分子量
の重合体を製造できるという利点を有する。さらに、本
発明の製法は、末端官能性重合体の製法として優れたも
のであり、得られる重合体は末端にアリール基、エチニ
ル基、アミノ基、ニトリル基、グリシドオキシ基、メタ
クリロイルオキシ基、アシル基、ケタール基、アセター
ル基、ビニル基、ジエニル基等の反応性基を有してお
り、その反応性基は用いる開始剤の種類によって適宜選
択することができ、塗料、コーティング剤、接着剤等と
して好適に使用することができる。またアルカリ金属、
アルカリ土類金属、遷移金属等の無機化合物を含まない
重合体であるため電子材料としても有用である。
[実施例] 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1 3−トリメチルシリル−1−プロペンとフッ化物イオン
(F-)によるポリメチルメタクリレートの製造 (1)テトラヒドロフラン(THF)に溶かしたテトラ
ブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)の1M溶
液100mlに水素化カルシウム3gを添加し、水素の発
生が止まるまで攪拌して脱水した。得られた混合物を
過後、液を等容量の無水THFで希釈し、0.5Mの
無水TBAF溶液を調製した。
(2)乾燥した窒素気流下、25℃において、無水のT
HF20mlに0.6g(5mmol)の3−トリメチルシリ
ル−1−プロペンと、(1)で調製した無水TBAF溶
液0.4ml(TBAFとして0.2mmol)を加えた。次
いでこの混合物に攪拌を行いながら15分間かけて1
0.8g(108mmol)のメチルメタクリレートを滴下
した。この間に反応溶液の温度は最高40℃まで上昇し
た。滴下終了後さらに20分間攪拌した後、10mlのメ
タノールと10mlHFを加えて重合を停止した。得られ
た反応混合物を1.5のメタノール中へ加え、重合体
を沈澱、凝固させることにより回収したところ、白色粉
末状のポリメチルメタクリレート9.58g(収率8
8.7%)が得られた。
得られたポリメチルメタクリレートのポリスチレン換算
数平均分子量(▲▼)、重量平均分子量(▲
▼)をTHFを移動相とするゲルパーミェーションクロ
マトグラフィー(GPC)により測定した。また、ガラ
ス転移温度(Tg)を窒素気流中の示差熱分析(DS
C)により測定した。その他、赤外線吸収スペクトル
(IR)およびプロトン核磁気共鳴吸収スペクトル(1
H−NMR)を測定した。得られた結果は次のとおりで
ある。
▲▼:15,700 ▲▼:32,900 ▲▼/▲▼:2.09 Tg:127℃ IR(cm-1):1740,1750(>C=0),106
5,7521 H−NMR(60MHz,CDCl3) δ:0.82,0.98 (C−CH3,幅広い吸収) 1.82 (−CH2−,幅広い吸収) 3.56 (−CO−OCH3,鋭い吸収) 実施例2 3−トリメチルシリル−1−プロペンとフッ化物イオン
によるポリブチルメタクリレートの製造 乾燥した窒素気流下、25℃において、無水のTHF2
0mlに1.0g(8.8mmol)の3−トリメチルシリル
−1−プロペンと実施例1(1)で調製した無水の0.
5M TBAF溶液0.4ml(TBAFとして0.2mm
ol)を加えた。この混合物を攪拌しながら1時間かけて
26.6g(233mmol)のブチルメタクリレートを滴
下した。この間に反応溶液の温度は最高約40℃まで上
昇した。滴下終了後さらに1時間攪拌した後、トルエン
40mlを加えて希釈し、次いで得られた反応混合物を2
のメタノール中へ加え、重合体を沈澱、凝固させるこ
とにより回収したところ、樹脂状ポリブチルメタクリレ
ート23.0g(収率86.5%)が得られた。実施例
1と同様にして測定した結果は次のとおりであった。
▲▼:39,200 ▲▼:97,700 ▲▼/▲▼:2.50 Tg:30℃ IR(cm-1):1740,1750(>C=0),108
0,760,750 実施例3 3−トリメチルシリル−1−プロペンとフッ化物イオン
によるメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共
重合体の製造 乾燥した窒素気流下、25℃において、30mlの無水の
THFに1.0g(8.8mmol)の3−トリメチルシリ
ル−1−プロペンと実施例1(1)で調整した無水の
0.5M TBAF溶液0.6ml(TBAFとして0.
3mmol)を加えた。この混合物を攪拌しながら9.3g
(92.9mmol)のメチルメタクリレートと13.3g
(93.7mmol)のブチルメタクリレートを1時間かけ
て滴下した。この間に反応混合物の温度は最高約40℃
まで上昇した。滴下終了後さらに30分間攪拌した後、
THF70mlを加えて希釈し、次いで得られた反応混合
物を2のメタノール中に加え、重合体を沈澱、凝固さ
せることにより回収したところ、白色塊状のメチルメタ
クリレート−ブチルメタクリレート共重合体20.3g
(収率86.8%)が得られた。この共重合体を実施例
1と同様にして測定したところ、次の結果を得た。
▲▼:35,100 ▲▼:97,300 ▲▼/▲▼:2.77 Tg:64℃ 実施例4 3−トリメチルシリル−1−プロペンとフッ化物イオン
によるメチルメタクリレート−ブチルメタクリレート・
ブロック共重合体の製造 メチルメタクリレートの滴下まで実施例−1と同様に操
作して得られたポリメチルメタクリレートのTHF溶液
に、乾燥した窒素気流下、無水THF20mlを加えた
後、13.3g(116mmol)のブチルメタクリレート
を0.5時間かけて攪拌しながら滴下した。
この間に、反応溶液の温度は単量体滴下前の26℃から
最高40℃まで上昇した。滴下終了後さらに1時間攪拌
した後、トルエン80mlを加えて希釈し、次いで得られ
た反応混合物を、1.5のメタノール中へ加え、重合
体を沈澱凝固させることにより回収したところ、白色塊
状共重合体21.2g(収率88.0%)が得られた。
この共重合体を実施例−1と同様にして測定したところ
次の結果を得た。
▲▼:32,700 ▲▼:76,500 ▲▼/▲▼:2.34 Tg:30℃,130℃ 得られた重合体のDSCスペクトルは等量組成のブロッ
ク共重合体に対して予想される2つの独立のTgを示し
た。
実施例5 トリメチルシリルアセチレンとフッ化物イオンによるポ
リメチルメタクリレートの製造 乾燥した窒素気流下、−65℃において、無水のTHF
30mlに0.784g(8.0mmol)のトリメチルシリ
ルアセチレンと実施例1(1)で調製した無水の0.5
M TBAF溶液10ml(TBAFとして5mmol)を加
えた。この混合物を攪拌しながら−65℃に保ちつつ、
18.7g(187mmol)のメチルメタクリレートを1
時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間攪拌
し、次いで得られた反応混合物を1.5のメタノール
中に加えることにより重合体を沈澱、凝固させて回収し
たところ、13.1g(収率70.0%)の淡黄色ポリ
メチルメタクリレートを得た。得られた重合体を実施例
1と同様にして測定したところ、結果は次のとおりであ
った。
▲▼:59,000 ▲▼:135,000 ▲▼/▲▼:2.30 Tg:130℃ 実施例6 ビス(トリメチルシリル)アセチレンとフッ化物イオン
によるポリメチルメタクリレートの製造 乾燥した窒素気流下、−65℃において、無水のTHF
20mlに1.36g(8.0mmol)のビス(トリメチル
シリル)アセチレンと実施例−1(1)で調製した無水
の0.5M TBAF溶液10ml(5mmol)を加えた。
この混合物を攪拌しながら−65℃に保ちつつ9.5g
(95mmol)のメチルメタクリレートを30分間かけて
滴下した。滴下終了後、3時間さらに攪拌し、次いで得
られた反応混合物を1.5のメタノール中に加えるこ
とにより、重合体を沈澱、凝固させて回収したところ、
7.12g(収率75%)の淡黄色繊維状のポリメチル
メタクリレートが得られた。得られた重合体を実施例−
1と同様にして測定したところ、結果は次のとおりであ
った。
▲▼:70,200 ▲▼:240,100 ▲▼/▲▼:3.42 Tg:132℃ 実施例7 3−トリメチルシリル−1−プロペンとフッ化物イオン
によるポリアクリロニトリルの製造 乾燥した窒素気流下、25℃において、無水のTHF1
0mlに0.5g(4.5mmol)の3−トリメチルシリル
−1−プロペンと実施例1(1)で調製した無水の0.
5M TBAF溶液2.0ml(TBAFとして1.0mm
ol)を加えた。この混合物に、8.7g(164mmol)
のアクリロニトリルを0.5時間かけて滴下した。アク
リロニトリルの滴下にともない溶液温度は30℃まで上
昇し、淡黄色粉末状の重合体の析出が観察された。滴下
後、さらに0.5時間攪拌したのち、10mlのメタノー
ルを加え過することにより、4.66g(収率54
%)のポリアクリロニトリルを得た。
実施例8 3−トリメチルシリル−1−プロペンとフッ化物イオン
によるポリスチレンの製造 乾燥した窒素気流下、25℃において、無水のTHF1
0mlに0.5g(4.5mmol)の3−トリメチルシリル
−1−プロペンと実施例1(1)で調製した無水の0.
5M TBAF溶液0.2ml(TBAFとして0.1mm
ol)を加えた。この混合物に10.2g(98mmol)の
スチレンを15分かけて滴下した後、攪拌しながら各回
0.2mlの前記0.5M TBAF溶液を15分間隔で
5回滴下した(TBAFとして総使用量1.1mmol)。
TBAF溶液の滴下終了後、さらに30分攪拌し、次い
で10mlのメタノールを加えて減圧下溶媒を除いたとこ
ろ、6.6g(収率65%)のポリスチレンが得られ
た。得られた重合体を実施例1と同様にGPCにより測
定した結果は次のとおりであった。
▲▼:2,800 ▲▼:7,300 ▲▼/▲▼:2.64 実施例9 3−(トリメチルシリル)シクロペンテンとフッ化物イ
オンによるポリメチルメタクリレートの製造 乾燥した窒素気流下、25℃において、無水のTHF1
0mlに0.5g(3.5mmol)の3−(トリメチルシリ
ル)シクロペンテンと実施例1(1)で調製した無水の
0.5M TBAF溶液0.4ml(TBAFとして0.
2mmol)を加えた。この混合物に、9.5g(95mmo
l)のメチルメタクリレートを30分かけて滴下した。
溶液温度は滴下中に最高40℃まで上昇した。滴下終了
後、さらに30分攪拌したが、その間に溶液温度は27
℃になった。
次に、10mlのメタノールと20mlのトルエンを加えた
後、この混合物を1.5のメタノールに加え、重合体
を沈澱、凝固させて回収したところ、8.8g(収率9
3%)の白色粉末状のポリメチルメタクリレートを得
た。得られた重合体をGPCにより測定したところ次の
結果を得た。
▲▼:21,000 ▲▼:42,000 ▲▼/▲▼:2.00 実験例 以下の実験例により、本発明で用いる開始剤が、従来使
用されている開始剤に比して酸及びアルカリに対して安
定であり、重合開始能力が損なわれないことを、メリル
メタクリレートの重合を例にとって示す。
(開始剤) 次のA〜Dの開始剤を用いた。
A:3−トリメチルシリル−1−プロペン B:トリメチルシリルアセチレン C:〔(1−メトキシ−2−メチル−1−プロペニル)
オキシ〕トリメチルシラン D:n−ブチルリチウム 尚、A及びBの開始剤は、本発明で使用される開始剤で
あり、C及びDの開始剤は、従来から使用されているも
のである。
(酸またはアルカリ処理) 上記のA〜Dの開始剤を、それぞれ以下の方法で酸処理
あるいはアルカリ処理した。
酸処理; 開始剤の5%エチルエーテル溶液100mlを、分液ロー
ト中で0.01N硫酸水溶液と混合し、1分間振盪後、水層
を分離し、有機層を10gの無水硫酸マグネシウムで予
備乾燥し、窒素気流下において、無水活性アルミナカラ
ムを通して乾燥精製した。
アルカリ処理; 前記の硫酸水溶液の代わりに0.01NのNaOH水溶液を
用いた以外は、上記の酸処理と全く同様の操作を行なっ
て開始剤のアルカリ処理を行なった。
(重合開始能力の評価) 酸またはアルカリで処理され、あるいは未処理の開始剤
A〜Dの溶液5mlを、 無水THF 20ml メチルメタクリレート 10.0g、及び 無水TBAFのTHF溶液 0.5ml(無水TBAFを
0.25ミリモル含有) から成る溶液に添加し(開始剤Dについては、共触媒で
ある無水THBFは使用せず)、25℃または−70℃
で30分間攪拌して重合を行い、次いで得られた反応溶
液を1のメタノール中に注ぎ、凝固ポリマーを得た。
この凝固ポリマーの乾燥重量を測定することにより、各
開始剤の重合開始能力を評価した。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明で使用する開始剤は、従来使用
されている開始剤に比して酸やアルカリに対する安定性
が極めて優れており、これらの薬剤によって処理された
ものでも良好にビニル系単量体の重合を開始させること
ができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビニル系単量体を、 (A)一般式(I) 〔式中、R1,R2およびR3は、同一でも異なっても
    よくC1〜20のアルキル基またはC6〜10のアリール基であ
    り; R4およびR5は、同一でも異なってもよく水素原子、
    C1〜20のアルキル基またはC6〜10のアリール基または 式: (式中、Xは酸素原子もしくは−SO3−基であり; Yは、酸性水素原子を有しない官能基により置換されて
    いてもよいC1〜20のアルキル基またはC6〜10のアリール
    基である) で表される基であり、 R6は、水素原子、ハロゲン原子または酸性水素原子を
    有しない官能基により置換されていてもよいC1〜20のア
    ルキル基もしくはC6〜10のアリール基であり; R7およびR8は、同一でも異なってもよく水素原子、
    ハロゲン原子、C1〜20のアルキル基、 一般式: (式中、R1,R2およびR3は前記のとおりであり、
    kは0〜3の整数である)で表される基である〕 で表される化合物: 一般式(II) 〔式中、R1,R2およびR3は、一般式(I)と同様
    であり、; R11およびR12は、同一でも異なってもよく、水素原子ま
    たは酸性水素原子を有しない官能基により置換されてい
    てもよいC1〜20のアルキル基もしくはC6〜10のアリール
    基であり; mは、0または1であり、; Zは、水素原子、1〜6価の脂肪族、脂環式もしくは芳
    香族の炭化水素基または一般式: (式中、R1,R2,R3,R11,R12およびmは前記の
    とおりである)で表される基であり; nは、Zの価数に等しい整数である〕 で表される化合物;および 一般式(III) 〔式中、R1,R2およびR3は、一般式(1)と同様
    であり; pは、0または1であり; rは、0〜5の整数である〕 で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
    種からなる開始剤と、 (B)フッ素イオンの発生源となるオニウム化合物、ア
    ルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ金属重フッ化物
    と、ルイス酸とから選ばれる少なくとも1種の共触媒と に接触させることからなるビニル系重合体の製法。
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