JPH06238309A - 熱間継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法 - Google Patents

熱間継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法

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JPH06238309A
JPH06238309A JP5051498A JP5149893A JPH06238309A JP H06238309 A JPH06238309 A JP H06238309A JP 5051498 A JP5051498 A JP 5051498A JP 5149893 A JP5149893 A JP 5149893A JP H06238309 A JPH06238309 A JP H06238309A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 浸炭のおそれがある内面黒鉛潤滑を行わずに
内面疵の発生を抑える。 【構成】 プラグ2の周方向における材料3の外面とプ
ラグ2の外面との接触角である噛込角φ(z)を24°
以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間継目無鋼管の製造
に使用される傾斜延伸圧延方法に関し、特に内面側にプ
ラグを位置させた状態で中空素管を複数個のロールによ
り延伸圧延する傾斜延伸圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】代表的な熱間継目無鋼管の製造法である
マンネスマン製管法、特にマンネスマン・プラグミル製
管法においては、加熱炉で加熱したビレットをマンネス
マン穿孔機で穿孔し中空シェルをつくる。この工程にお
いては、例えばビレットの偏熱により大きな偏肉が発生
する。穿孔機の次にいわゆる第二穿孔機すなわちロータ
リエロンゲータが配置されている場合には、穿孔機で発
生した大きな偏肉が、ロータリーエロンゲータによる傾
斜延伸圧延で矯正される。
【0003】ロータリーエロンゲータは、N個(N≧
2)のロールとプラグで構成される。2ロール式ロータ
リーエロンゲータとは、2個のロールと2個のガイドシ
ューとで構成される傾斜延伸圧延機である。図1に2ロ
ール式ロータリーエロンゲータの概略構成を示し、図2
にそのロールを平面図にて示す。
【0004】2個のロール1,1は、パスラインZの両
側に設けられ、パスラインZ上に配置されたプラグ2と
の間で、中空管3を延伸圧延する。圧延中の材料は、上
下一対のガイドシュー4,4により保持される。ロール
1,1は、中心軸に対する角度が異なる2つの周面を組
み合わせた形状とされ、ロールゴージと呼ばれるロール
1,1間の隙間が最も小さい部分5を、圧延プロセスの
中間に位置させるようになっている。ロール中心のパス
ラインZに対する水平面内での角度γは交叉角(Toe An
gle)と呼ばれる。交叉角γを必要としない図3の如きロ
ールも使用される。
【0005】ロール1,1の各中心は又、水平面に対し
て異なる方向へ通常5〜12度の角度で傾斜されてい
る。この角度Fは傾斜角(Feed Angle) と呼ばれる。
【0006】図4(a)に2ロール式ロータリーエロン
ゲータによる傾斜延伸圧延の状況を平面図により示す。
また、図4(b)にはパスラインZの方向におけるロー
ル1,1の間隙Gの分布G(z)の一例を示し、図4
(c)には、パスラインZの方向におけるロール1とプ
ラグ2の間隔gの分布g(z)の一例を示す。更に、図
4(d)には後述する材料とプラグの噛込角φの軸方向
分布を示す。
【0007】ロール1,1に傾斜角Fを与えることによ
り、材料に回転力とパスラインZ方向の推進力が与えら
れる。その結果、材料の任意の1点は、螺旋状に回転し
ながら上流側から下流側へロール1,1とプラグ2の隙
間を何回か通過して肉厚が減少しながら延伸されて行
く。3aは圧延前の材料、3bは圧延後の材料である。
【0008】プラグの形状は、ロールの形状に合わせ、
圧延の最も下流側にロールとプラグの間隙が一定である
部分が存在するように設計される。このロールとプラグ
の隙間が一定である長さLrの部分をリーリング部と呼
んでいる。材料の全ての部分がこのリーリング部を通過
するようにすることによって、ロータリーエロンゲータ
で新たな偏肉が発生しないようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現実に
は偏肉を避け得ない。それは、ロータリーエロンゲータ
の工具形状が適切でないためと考えられる。すなわち、
ロータリーエロンゲータの工具形状(プラグ形状および
/またはロール形状)が設定が適切でない場合、例えば
プラグのリーリング部が全く存在しないような場合に
は、むしろロータリーエロンゲータで新たな偏肉を発生
させることにより、ロータリーエロンゲータで偏肉が矯
正されないばかりか、かえって偏肉を大きくする危険す
らある。
【0010】また、穿孔機で穿孔されたシェル内面に生
成される酸化スケールがロータリーエロンゲータでプラ
グと材料の間に噛み込まれて材料内面に押し込み疵をつ
くることが知られている。
【0011】ロータリーエロンゲータでの内面疵を防止
する方法としては、シェル内面を黒鉛等の熱間潤滑剤を
用いて潤滑する方法があるが、シェル内面を黒鉛で潤滑
すると浸炭を起こすため、浸炭が許されない仕様の継目
無鋼管の製造時には使用できない制約がある。更に、潤
滑剤を用いると一般にプラグ寿命が低下するという問題
点も知られている。
【0012】本発明の目的は、浸炭のおそれがある内面
黒鉛潤滑を行わずに内面疵の発生を抑えることができる
継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、内面疵の発生を抑え、且つ、偏肉
を抑える熱間継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】ところで、本発明者は熱
間継目無鋼管の傾斜延伸圧延において偏肉を抑え、且つ
内面疵の発生を抑えるために有効な条件として次の4つ
の数式を提案した(特願平4−56465号)。
【0014】すなわち、内面側にプラグを位置させた状
態で中空素管をN個(N≧2)のロールで延伸圧延する
傾斜伸圧延法において、プラグが凸な曲線または/およ
び直線を回転させてできた曲面または/および円錐面で
構成される形状であり、プラグと材料が接触する部分の
パスライン方向の長さLtが Lt≧6・π・D1・SIN(F)・η/N ・・・(a) となり、かつ、プラグのリーリング部のパスライン方向
の長さLrが、 Lr≧π・D1・SIN(F)・η/N ・・・(b) となるようにするとともに、リーリング部の面角αP と
ロールの実効面角αR との関係が αR ≦αP ≦αR +0.25(deg.) ・・・(c) を満足するようにし、更に、材料がプラグと接触を開始
する位置がロールゴージ後方となり、かつ材料がプラグ
と接触を開始する位置とロールゴージとのバランスライ
ン上の距離Lsが 0<Ls≦π・D1・SIN(F)・η/(N・e)・・・(d) となるようにする。 但し、η :前進効率 D1:傾斜延伸圧延後の材料の外径 F :ロール傾斜角(Feed Angle) e :傾斜延伸圧延機での延伸比
【0015】ここで、条件dが内面疵の発生を抑える主
条件であるが、これには偏肉を抑える観点から条件a〜
cが付加されている。そのうち条件aおよびbはプラグ
の長さをある一定以上の長さに制限するものである。
【0016】一般にロータリーエロンゲータにおける延
伸比eは、e≧1.5であることが多い。この場合には、
プラグの長さを長くすることは、材料が1/N回転する
ときの肉厚圧下率を小さくするため、内面疵の防止にも
有効である。しかし、本発明者が内面疵の発生機構を更
に詳細に調査したところ、e<1.5となる場合には、プ
ラグの長さを短くしても内面疵の発生を抑制できる場合
のあることが判明した。すなわち、プラグの長さを長く
するよりも更に基本的な疵抑制条件が存在することが明
らかとなった。その条件はプラグの周方向における素管
内面とプラグ外面の接触角である材料とプラグの噛込角
φ(z)をφ(z)≦24°とするというものであり、
この条件により加工度やプラグ長の大小にかかわらず内
面品質の良い熱間継目無鋼管を製造することができる。
【0017】本発明はこの新たな知見に基づいてなされ
たものであり、内面側にプラグを位置させた状態で中空
素管をN個(N≧2)のロールで延伸圧延する傾斜延伸
圧延方法において、プラグの周方向における素管内面と
プラグ外面の接触角である材料とプラグの噛込角φ
(z)を φ(z)≦24° ・・・(A) φ(z)は次式で定義し、zはパスライン上での下流側
を正としたロールゴージからの距離である。 φ(z)=TAN-1〔COS(F) ・{2・rp(z)・δt(z)} 1/2 /rp(z)〕 F:ロール傾斜角(Feed Angle) rp(z):z位置でのプラグ半径 δt(z)は材料の1/N回転当りの肉厚圧下率で次式
で表される。 δt(z)=t(z′)−t(z) z′=z位置より1/N回転前の位置(=z−p(z)
/N) p(z):材料が1回転するときに進むパスライン上の
距離 t(z′):z位置より1/N回転前の位置での材料肉
厚 t(z):z位置での材料肉厚 として圧延することを特徴とする継目無鋼管の傾斜延伸
圧延方法を要旨とする。
【0018】本発明の継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法に
おいては、プラグがその軸線に対して凸な曲線または/
および直線を前記軸線回りに回転させてできた曲面また
はおよび円錐面で構成される形状であり、材料がプラグ
と接触を開始する位置がロールゴージ後方となり、材料
がプラグと接触を開始する位置とロールゴージのパスラ
イン上の距離Lsが 0<Ls≦π・D1・SIN(F)・η/(N・e)・・・(B) eは傾斜延伸圧延機での延伸比、ηは前進効率で実験に
より次式で求める。 η=V1/{π・DR・NR・COS(F)} D1:傾斜延伸圧延後の材料の外径 DR:ロールの代表径 NR:ロール回転数(rpm) となるようにして圧延することができる。
【0019】また、プラグのリーリング部のパスライン
方向の長さLrが Lr≧π・D1・SIN(F)・η/N ・・・(C) となり、リーリング部の面角αP とロールの実効面角α
R との関係が αR ≦αP ≦αR +0.25(deg.) ・・・(D) となるようにして圧延することができる。
【0020】
【作用】条件Aの説明 内面疵の発生を抑えるための基本条件が条件Aである。
すなわち、内面品質が良好な熱間継目無鋼管を製造する
ためには、少なくとも条件Aを満足させる必要がある。
【0021】条件Aは材料とプラグの噛込角φ(z)を
規定したものである。図5にプラグ軸線方向の定位置で
の噛込角φを示す。材料の1/N回転当りの肉厚圧下量
δtが大きくなると、材料とプラグの周方向接触弧長が
大きくなり、図5に示す材料とプラグの噛込角φが大き
くなる。
【0022】図6に従来技術におけるプラグ軸方向の噛
込角分布の一例を示す。噛込角φが大きいと、それだけ
圧延反力も大きくなり材料を押し返す圧延反力の分力が
大きくなるため、材料内表面のスケールも噛込み難くな
る。その結果、圧延途中止め材の調査等によれば、噛込
角φが大きい場合には、図5に模式的に示したように、
材料がプラグに噛込まれる直前の部分に酸化スケールが
滞留し易くなり、大きな塊となって断続的に噛込まれ、
材料内面に大きな押し込み疵をつくる。この大きな押し
込み疵が以降の圧延で改善されずに製品に残ったものが
内面疵となる。
【0023】すなわち、噛込角φが大きい程スケールが
滞留し易くなるため、より大きなスケール押し込み疵を
作り、製品に内面疵が残り易くなる。
【0024】図7に噛込角φが内面疵の発生に及ぼす影
響の調査結果を示す。内面疵を減少させるためには、材
料とプラグの噛込角φを小さくするのが有効であり、φ
max≦24°で大きな効果が得られる。従って、条件A
が内面疵の発生を抑えるための基本条件となる。
【0025】また、噛込角φが大きいということはプラ
グ全周長に対する材料の接する部分の長さが大きくなる
ことを意味し、材料熱負荷がその部分で大きくなる。こ
のため、その部分のプラグ表面温度が高くなり、プラグ
損傷が激しくプラグ寿命も短くなり、かつ内面疵発生の
原因となる。材料とプラグの噛込角φを小さくすること
は、材料熱負荷を小さくする点からも内面疵の抑制につ
ながり、プラグ寿命の延長にも寄与する。
【0026】噛込角φ(z)の定義式の説明 図8に交叉角r=0度の場合の非交叉型2ロール式ロー
タリーエロンゲータによる圧延状況を模式的に示すが、
交叉角が何度であっても以下の説明は変わらない。
【0027】2ロール式エロンゲータでは、ロールに傾
斜角Fが付いているため、材料に回転方向と軸方向の推
進力が与えられる結果、螺旋状に肉厚圧下が行われるこ
とは前述した通りである。
【0028】すなわち、図8において、B′−B′断面
の肉厚ti+1 は材料が1/2回転することによりB−B
断面に至り肉厚ti まで圧下される。さらに材料の1/
2回転後にはB″−B″断面に至り肉厚ti-1 まで圧下
される。材料とプラグの接触形状はA−A矢視図の様に
なる。図中のB−B断面図にプラグと材料の接触角度
φ、すなわち噛込角φを示す。
【0029】この噛込角φを厳密に定式化することは難
しいが、以下に説明する近似式で表わすことができる。
【0030】一般に、図9(A)に示すように、板圧延
の場合の投影接触弧長ldは次式で表されることが知ら
れている。 ld=(R・Δh)1/2 ・・・・ 但し、R:ロール半径、Δh:肉厚圧下量
【0031】ここで、プラグと材料の接触弧長を求める
ために、このロールとプラグによる圧延を図9(B)の
ように簡単化することができる。すなわち、プラグを半
径rpのロールとみなし、ロールそのものはプラグに比
して相対的に多いため半径を無限大とするのである。従
って、式に、R=rp(z)、Δh=2・δt(z)
を代入して、プラグと材料の投影接触弧長ld′を次式
より近似的に求めることができる。 ld′(z)={2・rp(z)・δt(z)}1/2 ・・・
【0032】ここで、δt(z)は、材料の1/N回転
当りの肉厚圧下量であり次式で表される。 δt(z)=t(z′)−t(z) ・・・ z′:z位置より1/N回転前の位置(=z−p(z)
/N) p(z):材料が1回転する時に進むパスライン上の距
離 t(z′):z位置より方回転前の位置での材料肉厚 t(z):z位置での材料肉厚
【0033】接触弧長ld′はロール傾斜角Fによって
材料が螺旋状に回転する時の投影接触弧長であるから、
プラグ軸に垂直な面内での投影接触弧長ld″は、ロー
ル傾斜角Fの余弦をかけて次式で表わされる。 ld″(z)={2・rp(z)・δt(z)}1/2 COS(F) ・・・
【0034】従って、プラグ軸に垂直な面内での材料と
プラグの接触角φは近似式的に次式となる。 φ(z)=tan-1〔COS(F) ・{2・rp(z)・δt(z)}1/2 /rp(z)〕 ・・・
【0035】条件Bの説明 条件Bは先に提案した条件dであり、内面疵の発生を抑
えるためのものである。この条件はロールゴージより上
流で材料がプラグと接触せず、ロールゴージ下流で材料
が1/N以上プラグと接触せずにロールのみで回転させ
られないと言うことを示している。素管肉厚と圧延後肉
厚の差が大きく加工度が大きい場合には、従来のプラグ
形状ではゴージでの肉厚圧下が大きく、条件Aを実現す
ることが困難な場合が出てくる。その場合に有効となる
のが条件Bである。これを以下に詳細に説明する。
【0036】プラグが凸形状の曲線および/または直線
をz軸のまわりに回転させてできる曲面で構成されてい
る場合には、肉厚圧下の開始位置をロールゴージの上流
側(圧延機入側)とすると、ロールゴージでの肉厚圧下
をある値以下に下げることが幾何学的に不可能になる。
これを図10の模式図に基づいて説明する。
【0037】もし材料がゴージ上流側でプラグと接触す
れば、ゴージ位置での半回転の肉厚圧下量が最も小さく
なるのは、リーリング開始位置と材料がプラグに当たり
始める位置を結んだ直線をz軸周りに回転させてできる
曲面で構成されたプラグの場合である。ロールのゴージ
より出側は、下流側に行くほどパスライン(Z)との距
離G(z)/2が大きくなっていくため、プラグ表面と
z軸の距離p(z)との間に下式が成立している必要が
ある。 G′(z)/2<p′(z) ・・・
【0038】従って、p′(z)に制約があるためロー
ルゴージでの肉厚圧下のピークを下げるのに限界がある
ことになる。
【0039】ところが、条件Bを満足する場合には、材
料がゴージ下流側でプラグと接触を開始するため、式
の制約は受けない。プラグの隙間g(z)に対して下式
の関係があれば良く、プラグの接線角p′(z)には制
約がなく、無限のロール長さ、無限のプラグ長さが許さ
れれば、G′(z)/2=p′(z)のプラグ、すなわ
ち肉厚圧下率0のプラグでの圧延が可能となる。 g′(z)<0 但し、g(z)=G(z)/2−p(z)・・・
【0040】しかし現実には、ロールの長さは全長で通
常600〜1000mm程度であり、プラグ長さもロー
ルの長さ以上に長くすることができないが、それでも条
件Bを満足するプラグの肉厚圧下量のピークは、従来技
術で使用されるプラグの場合の1/2程度である。
【0041】条件Bを適用すれば、図11に示すよう
に、プラグによる肉厚圧下開始位置をロールゴージの下
流側とすることにより肉厚圧下が部分的に集中しなくな
り、プラグと材料の周方向の接触長さが小さくなってプ
ラグ熱負荷が部分的に集中しなくなってプラグ寿命が延
びる。
【0042】なお、図11に示すような噛込角の分布
は、必ずしも条件Bを満足するプラグ形状である必要は
なく、図12に示したようなロールの凸形状に合わせた
凹形状のプラグ形状にすれば噛込角の最大値を小さくす
ることができる。
【0043】しかし、このような凹形状プラグでは、ロ
ールの凸形状に合わせてプラグの軸方向の設定位置を固
定しなければ、目的とする噛込角パターンは得られな
い。凹形状のプラグでプラグの軸方向設定位置を変動さ
せると、図12に併記したような異常な噛込角パターン
となり、内面疵、外面疵発生原因となり極端な場合には
圧延不能となる。実操業ではプラグ位置を変動させるこ
とが頻繁に行われるため、凹形状のプラグは実用的では
ない。
【0044】条件Bを満足するプラグ、例えば図11の
プラグは、凸形状の滑らかな曲線で構成され、しかも噛
込角の最大値は図12のプラグと同等である。図11の
プラグは、滑らかな曲線で構成されているためプラグの
軸方向設定位置を変動させても噛込角パターンが大きく
変化することがなく操業上問題がない。実操業時に想定
される設定位置の変動範囲の中で条件Bを常に満足させ
るような形状であることが望ましいのは当然である。
【0045】条件Cおよび条件Dの説明 条件Cおよび条件Dは先に提案した条件bおよび条件c
に対応し、偏肉の少ない熱間継目無鋼管を製造するため
のものである。これらの条件は図13〜図16に示す実
験結果から導き出された。
【0046】図13は肉厚圧下回数が偏肉に及ぼす影響
を表わし、図14はリーリング回数が偏肉に及ぼす影響
を、肉厚圧下回数をパラメータとして表わしたものであ
る。
【0047】肉厚圧下回数とは、材料とプラグを接して
いるパスライン方向Zの長さLtの区間で、材料が1/
N回転(図はN=2で半回転)に1回の割合で肉厚加工
を受ける回数である。また、リーリング回数とは、プラ
グのリーリング部のパスライン方向zの長さLrの区間
で、材料がロールとプラグの間を通過する回数で、これ
も1/N回転(図はN=2で半回転)に1回の割合とな
る。
【0048】傾斜延伸圧延では、材料が傾斜ロールから
パスライン方向の移動と周方向の回転とを与えられる。
その結果、材料の1点は螺旋状に回転しながら圧延機の
入側から出側へロールとプラグの隙間を何回か通過して
肉厚が減じられて行く。したがって、偏肉がない熱間継
目無鋼管をつくるためには、材料のすべての点が肉厚圧
下を受け、且つ、最終的に通過するロールとプラグの間
隙が同じ大きさでなければならない。即ち、リーリング
部は、1回以上のリーリング回数を確保できるパスライ
ン方向の長さを必要とする。この条件を表したのが条件
Cである。
【0049】条件C中、π・D1・SIN(F)・η/
Nは、材料が1/N回転で前進する距離である。ここ
で、前進効率ηは、例えば実験により次式で求める。 η=V1/{π・DR ・NR ・SIN(F)/60} ・・・ 但し、DR :ロールの代表径 NR :ロールの回転数(rpm)
【0050】図15に示すように、条件Cは偏肉抑制に
有効である。
【0051】一方、図16は、リーリング部の中央Zr
でのリーリング部面角αP とロール実効面角αR との偏
差が、偏肉改善効果に及ぼす影響を表わしている。ロー
ル実効面角αP は、圧延する状態にロールを設定したと
きのロール間隔Gの軸方向分布G(z)を用いて次式で
定義される。 αR (z)=TAN-1{0.5・(G(z)−G(z−Δz))/Δz} Δz:微小長さ ・・・
【0052】従って、条件Cおよび条件Dを満足させる
ことにより、内面疵と合わせて偏肉を抑えることもでき
る。
【0053】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0054】ピアサで得たシェルを2ロール・ロータリ
ーエロンゲータにより内面潤滑なしで熱間傾斜延伸圧延
するにあたり、5種類の製造条件を適用した。材料は、
いずれもJIS STH12(0.35%C,0.2%S
i,1.55%Mn)とした。各条件につき、350本の
圧延を行ない、それぞれの偏肉、内面粗さおよび内面疵
を調査した。製造条件および調査結果を表1および表2
に示す。
【0055】本発明(1)は条件Aを満足し、従来技術
に比して優れた内面品質を得ている。本発明(2)は条
件Aおよび条件Bを満足し、優れた内面品質を得てい
る。本発明(3)は条件A、条件Bおよび条件C,Dを
満足し、優れた内面品質および偏肉率を得ている。本発
明(4)は条件Aおよび条件C,Dを満足し、やはり優
れた内面品質および偏肉率を得ている。
【0056】そして本発明をマンネスマンピアサ、ロー
タリーエロンゲータ、プラグミル、リーラ、サイザで構
成されるマンネスマンプラグミルライン工程に適用した
ところ、製品である熱間継目無鋼管の内面肌が改善さ
れ、内面疵いわゆる中ピット疵の発生率が約1/3とな
り、ロータリーエロンゲータのプラグ寿命が約50%向
上した。また、製品偏肉率も改善された。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の熱間継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法は、プラグの周方
向における素管内面とプラグ外面の接触角である材料と
プラグの噛込角φ(z)を規定することにより、浸炭の
おそれがある内面黒鉛潤滑を行わずに内面疵の発生を抑
えることができ、その製品鋼管の品質向上に大きな効果
を発揮する。また、噛込角φ(z)の規定と合わせてプ
ラグ長さの規定を行うことにより、内面疵および偏肉を
抑え、製品鋼管の更なる品質向上を達成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】2ロール・ロータリーエロンゲータの概略構成
を示す3面図である。
【図2】交叉型ロータリーエロンゲータに使用されるロ
ールの平面図である。
【図3】非交叉型ロータリーエロンゲータに使用される
ロールの平面図である。
【図4】ロータリーエロンゲータによる傾斜延伸圧延の
説明図である。
【図5】材料とロールの噛込角を表わす断面図である。
【図6】従来技術における噛込角の分布図である。
【図7】噛込角と内面疵発生率との関係を示すグラフ
で、条件Aの有効性を示すものである。
【図8】傾斜延伸圧延中の材料とプラグの接触状態を示
す模式図である。
【図9】圧延中の材料と工具の接触状態を示す模式図で
ある。
【図10】条件Bの解説図である。
【図11】本発明における噛込角の分布図である。
【図12】本発明条件を満足しないプラグ位置の説明図
である。
【図13】条件Cの根拠となる実験データの図表であ
る。
【図14】条件Cの根拠となる実験データの図表であ
る。
【図15】条件Dの根拠となる実験データの図表であ
る。
【図16】条件Dの根拠となる実験データの図表であ
る。
【符号の説明】
1 ロール 2 プラグ 3 中空素管(材料) 4 ガイドシュー 5 ロールゴージ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内面側にプラグを位置させた状態で中空
    素管をN個(N≧2)のロールで延伸圧延する傾斜延伸
    圧延方法において、プラグの周方向における素管内面と
    プラグ外面の接触角である材料とプラグの噛込角φ
    (z)を φ(z)≦24° ・・・(A) φ(z)は次式で定義し、zはパスライン上での下流側
    を正としたロールゴージからの距離である。 φ(z)=TAN-1〔COS(F) ・{2・rp(z)・δt(z)}1/2 /rp(z)〕 F:ロール傾斜角(Feed Angle) rp(z):z位置でのプラグ半径 δt(z)は材料の1/N回転当りの肉厚圧下率で次式
    で表される。 δt(z)=t(z′)−t(z) z′=z位置より1/N回転前の位置(=z−p(z)
    /N) p(z):材料が1回転するときに進むパスライン上の
    距離 t(z′):z位置より1/N回転前の位置での材料肉
    厚 t(z):z位置での材料肉厚 として圧延することを特徴とする継目無鋼管の傾斜延伸
    圧延方法。
  2. 【請求項2】 プラグがその軸線に対して凸な曲線また
    は/および直線を前記軸線回りに回転させてできた曲面
    または/および円錐面で構成される形状であり、材料が
    プラグと接触を開始する位置がロールゴージ後方とな
    り、材料がプラグと接触を開始する位置とロールゴージ
    のパスライン上の距離Lsが 0<Ls≦π・D1・SIN(F)・η/(N・e)・・・(B) eは傾斜延伸圧延機での延伸比、ηは前進効率で実験に
    より次式で求める。 η=V1/{π・DR ・NR ・COS(F)} D1:傾斜延伸圧延後の材料の外径 DR :ロールの代表径 NR :ロール回転数(rpm) となるようにして圧延することを特徴とする請求項1に
    記載の継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法。
  3. 【請求項3】 プラグのリーリング部のパスライン方向
    の長さLrが Lr≧π・D1・SIN(F)・η/N ・・・(C) となり、リーリング部の面角αP とロールの実効面角α
    R との関係が αR ≦αP ≦αR +0.25(deg.) ・・・(D) となるようにして圧延することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の継目無鋼管の傾斜延伸圧延方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11169914A (ja) * 1997-12-12 1999-06-29 Sumitomo Metal Ind Ltd マルテンサイト系ステンレス継目無管の製造法

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