JPH06251978A - 軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜 - Google Patents

軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜

Info

Publication number
JPH06251978A
JPH06251978A JP6088993A JP6088993A JPH06251978A JP H06251978 A JPH06251978 A JP H06251978A JP 6088993 A JP6088993 A JP 6088993A JP 6088993 A JP6088993 A JP 6088993A JP H06251978 A JPH06251978 A JP H06251978A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
soft magnetic
magnetic thin
ions
plating bath
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6088993A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Shinoura
治 篠浦
Satoshi Uejima
聡史 上島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP6088993A priority Critical patent/JPH06251978A/ja
Publication of JPH06251978A publication Critical patent/JPH06251978A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thin Magnetic Films (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低保磁力、高飽和磁束密度および高耐食性を
有する軟磁性薄膜を、特性のばらつきを抑え安定して提
供する。 【構成】 Co、FeおよびCuを主成分とする軟磁性
薄膜を湿式めっき法を用いて製造する方法であって、有
機酸イオンを含むめっき浴および/または実質的にCl
イオンを含有しないめっき浴を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿式めっき法を用いて
軟磁性薄膜を製造する方法と、軟磁性薄膜とに関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッドや薄膜トランスの磁性薄
膜には、低保磁力、高飽和磁束密度等の優れた軟磁気特
性が要求されると同時に、信頼性向上のために高耐食性
が必要とされる。このような磁性薄膜は、スパッタ法等
の気相成膜法やめっき法等の液相成膜法により形成され
るのが一般的であるが、めっき法には、大面積の成膜が
容易でしかも均一性の高い膜が得られ、また、工数が少
なく設備が安価であるという利点がある。
【0003】近年の記録密度の上昇は、記録媒体の保磁
力の上昇による部分が大きい。保磁力の大きな記録媒体
に十分に書き込むためには、記録ヘッドからより強い磁
界を発生する必要がある。また、MRインダクティブ複
合ヘッドのシールド層の磁性材料にも、高密度記録のた
めにはより薄い膜で所望のシールド効果が期待できる高
飽和磁束密度材料が必要となってきている。このため、
従来から広く使用されてきたNi−Fe合金(パーマロ
イ)以上の高飽和磁束密度材料が求められている。
【0004】このような磁気特性的な要求を満たす軟磁
性めっき膜の一つとしては、Co−Fe系合金が挙げら
れる。例えば、特願平3−122515号には、ナフタ
レントリスルホン酸とプロピンオールとを用いSを共析
したCoFe軟磁性膜が開示されている。このCoFe
軟磁性膜では粒子微細化が実現し、保磁力1 Oe 以下の
値が報告されている。
【0005】また、国際電気化学協会(ISE)のPROC
EEDINGS OF THE SYMPOSIUM ON MAGNETIC MATERIALS,PRO
CESSES AND DEVICES,90-8,361(1990) には、Feが10
〜14重量%のCoFe合金の結晶構造、磁気特性、熱
処理による磁気特性の劣化等が報告されている。この報
告では、Feが11.5重量%付近で最小の保磁力(約
3 Oe )が得られている。
【0006】しかし、CoFe合金は、従来から広く使
用されている比較的低飽和磁束密度材料であるNi−F
e合金と比較すると耐食性が劣っていた。また、結晶磁
気異方性の大きな組成系であるために、目的とされる一
軸磁気異方性を付与するための粒子の微細化は困難であ
った。
【0007】耐食性向上のためには第3元素の添加が有
効であり、例えば、Rhを添加した場合には高特性を保
ちつつ耐食性を向上することができる(特願平4−41
92号)が、Rhは極めて高価である。
【0008】ところで、CoFe合金めっき膜へのCu
の添加が保磁力低下に効果のあることが国際電気化学協
会(ISE)のPROCEEDINGS OF THE SYMPOSIUM ON MAGN
ETICMATERIALS,PROCESSES AND DEVICES,91-2,p579に報
告されている。この報告では、0.6 Oe の保磁力とパ
ーマロイの2倍の飽和磁束密度がFe含有量10.5重
量%のときに得られている。この報告におけるCoFe
Cu合金めっき膜は、fcc相とbcc相とが混在した
構造である。また、保磁力の低い組成範囲は主としてF
eの含有量によって支配され、Feの含有量が10〜1
2重量%の狭い範囲でだけ1 Oe 以下の保磁力となって
いる。一方、Cuに関しては、2重量%以上含まれれば
保磁力が低くなり、Hk の制御のために添加量を決定す
ることなどが開示されている。
【0009】しかし、CoおよびFeとCuとは析出電
位が大きく異なるために安定した成膜が困難であり、特
にめっき浴のpHにより組成が大きく変化するため、連
続成膜では組成変動による磁気特性変化が問題となる。
また、上記報告ではbccとfccとの混合相のときに
高特性が得られているが、これらの相の存在比率が変化
したときに特性も変化しやすいと考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、低保磁力、高飽和磁束密度
および高耐食性を有する軟磁性薄膜を、特性のばらつき
を抑え安定して提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。 (1)Co、FeおよびCuを主成分とする軟磁性薄膜
を湿式めっき法を用いて製造する方法であって、Coイ
オン、FeイオンおよびCuイオンに加え、有機酸イオ
ンを含むめっき浴を用いることを特徴とする軟磁性薄膜
の製造方法。 (2)前記有機酸イオンがコハク酸イオン、クエン酸イ
オン、マロン酸イオン、マレイン酸イオン、グルコン酸
イオンおよび酒石酸イオンから選択される少なくとも1
種である上記(1)の軟磁性薄膜の製造方法。 (3)前記有機酸イオンとして酒石酸イオンを用いる上
記(2)の軟磁性薄膜の製造方法。 (4)前記有機酸イオンのめっき浴中の濃度が0.01
〜1.0モル/リットルである上記(1)ないし(3)
のいずれかの軟磁性薄膜の製造方法。 (5)Co、FeおよびCuを主成分とする軟磁性薄膜
を湿式めっき法を用いて製造する方法であって、実質的
にClイオンを含有しないめっき浴を用いることを特徴
とする軟磁性薄膜の製造方法。 (6)めっき浴中のCoイオン、FeイオンおよびCu
イオンの供給源として硫酸塩を用いる上記(5)の軟磁
性薄膜の製造方法。 (7)前記めっき浴として上記(1)ないし(4)のい
ずれかに記載のめっき浴を用いる上記(5)または
(6)の軟磁性薄膜の製造方法。 (8)軟磁性薄膜形成後、磁界中アニールを施す上記
(1)ないし(7)のいずれかの軟磁性薄膜の製造方
法。 (9)Cu含有量が4〜30重量%、Fe含有量が2〜
13重量%、残部が実質的にCoであって、上記(1)
ないし(8)のいずれかの製造方法により形成されたこ
とを特徴とする軟磁性薄膜。 (10)Co、FeおよびCuを主成分とする軟磁性薄
膜であって、fcc相から構成され、保磁力が1 Oe 以
下であることを特徴とする軟磁性薄膜。
【0012】
【作用および効果】本発明では、酒石酸イオン等の有機
酸イオンを含むめっき浴を用いるので、めっき浴の安定
性、特にpH安定性が良好であり、高特性の軟磁性薄膜
を安定して製造することができる。
【0013】また、連続成膜を行なうとめっき浴のpH
が高くなりやすく、このときには形成される膜の保磁力
が高くなってしまうが、本発明ではClイオンを実質的
に含有しないめっき浴を用いることにより、めっき浴の
pHが高くなったときにも低保磁力の軟磁性薄膜を形成
することができる。また、この場合、内部応力の小さい
軟磁性薄膜を形成できるので、厚さを4μm 以上とした
場合でも低保磁力が得られ、薄膜磁気ヘッドや薄膜トラ
ンスのコアに極めて好適な軟磁性薄膜が得られる。
【0014】本発明の軟磁性薄膜は、Cuを含有するた
めに耐食性が良好であり、磁気特性の経時的変化が少な
く信頼性が高い。具体的には、0.1N−HCl溶液中
で銀/塩化銀電極を基準電極に用いたときの自然電位と
して−100mV以上の値が得られる。これはパーマロ
イと同等以上の耐食性である。また、2 Oe 以下、さら
には1 Oe 以下の低保磁力が容易に得られる。fcc相
とbcc相との混合相では、製造条件の微妙な違いによ
り各相の割合が変動し、これに伴なって磁気特性も変動
してしまうが、本発明ではfcc単相構造で1 Oe 以下
の低保磁力が得られるので、低保磁力軟磁性薄膜を安定
して製造することができる。
【0015】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0016】本発明では、湿式めっき法を用いて軟磁性
薄膜を形成する。本発明により製造される軟磁性薄膜
は、Co、FeおよびCuを主成分とする。
【0017】Cuの含有量は好ましくは4〜30重量
%、より好ましくは5〜25重量%である。Cu含有量
が前記範囲未満であると十分な磁気特性および耐食性が
得られず、前記範囲を超えると飽和磁束密度が低下して
しまう。
【0018】Feの含有量は好ましくは2〜13重量
%、より好ましくは8〜12重量%である。Fe含有量
が前記範囲未満であると飽和磁束密度が低く、前記範囲
を超えるとbcc相が現れ、磁歪が正側に大きくなると
同時に磁気特性も低くなる。
【0019】本発明では、めっき浴としてCoイオン、
FeイオンおよびCuイオンを含むめっき浴を用いる。
本発明ではClイオンを実質的に含有しないめっき浴を
用いることが好ましいので、Co、Fe、Cuの各イオ
ンの供給源は、硫酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、硝
酸塩等の塩化物を含まない水溶性の塩から選択すること
が好ましく、安価であることから特に硫酸塩を用いるこ
とが好ましい。また、CoイオンおよびFeイオンは、
金属をめっき浴中に浸漬して自然溶解させたり、電解に
より陽極を溶解させることにより供給することもでき
る。
【0020】なお、めっき浴中にはClイオンが全く含
有されないことが最も好ましいが、実質的に含有されな
ければ、例えばClイオン濃度が好ましくは0.01モ
ル/リットル以下であれば、十分な効果が得られる。
【0021】めっき浴中におけるCoイオンの濃度は、
好ましくは0.05〜5モル/リットル、より好ましく
は0.1〜1モル/リットルである。Coイオン濃度が
前記範囲未満であると析出速度の低下が著しくなり、前
記範囲を超えるとめっき浴の粘度が上昇して作業性が低
下し、また、微細なレジストパターン内への成膜が困難
となる。
【0022】めっき浴中におけるFeイオン濃度は、C
oイオン濃度とFeイオン濃度との比が膜組成を決定す
る大きな要因なので、所望の膜組成が得られるように適
宜決定すればよいが、好ましくは0.001〜5モル/
リットル、より好ましくは0.01〜1モル/リットル
である。
【0023】めっき浴中におけるCuイオンの濃度も目
的とする組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましく
は0.005〜50グラム/リットル、より好ましくは
0.01〜25グラム/リットルである。
【0024】めっき浴中には、これらのイオンに加え、
安定化剤として有機酸イオンが含まれる。有機酸イオン
としては、コハク酸イオン、クエン酸イオン、マロン酸
イオン、マレイン酸イオン、グルコン酸イオンおよび酒
石酸イオンから選択される少なくとも1種が好ましく、
特に酒石酸イオンが効果的である。酒石酸イオンの供給
源としては、酒石酸、酒石酸ナトリウムカリウム(ロッ
シェル塩)、酒石酸ナトリウム等から適宜選択して用い
ればよい。めっき浴中における有機酸イオンの濃度は、
0.01〜1.0モル/リットルとすることが好まし
い。有機酸イオンの濃度が前記範囲未満であると添加に
よる効果が不十分であり、前記範囲を超えているとめっ
き浴の粘性の上昇や析出速度の低下が生じる他、めっき
浴調合のコストが高くなってしまう。なお、有機酸イオ
ンのモル濃度は、めっき浴中の金属イオンのモル濃度の
0.1〜2倍であることが好ましい。
【0025】めっき浴のpHは、好ましくは2.0〜
5.0、より好ましくは2.5〜4.0である。pHが
前記範囲未満であると水素発生が支配的となって成膜速
度が遅くなり、前記範囲を超えると3価鉄の沈殿が特に
生じやすい。
【0026】なお、めっき浴中には通常用いられる各種
添加剤を添加してもよいが、前述したように本発明では
Clイオンを含有させないことが好ましいので、導電性
向上剤として一般的に使用されている塩化ナトリウムな
どの塩化物は使わないことが好ましい。
【0027】上述しためっき浴を用いた湿式めっき法で
は、電流密度により膜組成は変化する。すなわち、低電
流密度でCo、Feの析出電位未満のときには純Cu膜
が形成され、高電流密度になりCo、Feの析出電位以
上となればCo−Fe−Cu合金が析出する。そして、
電流密度の上昇につれてCo、Feの析出速度が速くな
り、膜中のCu含有量は相対的に低下していく。Cuの
相対的析出比率を一定に保つためには、膜形成が進むに
つれて減少する浴中のイオンを補充する。イオン消費量
が安定していれば補充も容易となる。また、成膜時の電
流密度、すなわち電位を管理することによっても、Cu
の相対的析出比率を一定に保つことができる。この場合
には成膜速度が変化するが、浴管理の手間を省くことが
可能となる。
【0028】めっき浴中のFeイオンは2価イオンであ
ることが好ましいが、2価イオンは酸化されて3価イオ
ンとなって沈殿を生じやすい。3価のFeイオンを還元
する方法としては、アスコルビン酸、次亜りん酸あるい
はその塩のような還元剤の添加や、Co、Feの金属を
めっき浴に浸漬し自然溶解する際の副反応を利用する方
法が一般的に知られている。ただし、3価のFeイオン
は少量ならば問題なく、レベリング性等に効果がある場
合もある。なお、沈殿防止のために、EDTAやグルコ
ン酸などのキレート剤を添加することも好ましい。上記
した有機酸イオンは、このような沈殿防止効果も有す
る。
【0029】めっき浴中には、有機光沢剤を含有させて
もよい。有機光沢剤としてはサッカリンが好ましい。添
加量は0.5グラム/リットル以上とすれば十分である
が、使用中の消耗等を考慮して1〜6グラム/リットル
とすることが好ましい。
【0030】めっき浴中には、これらの他、ラウリル硫
酸ナトリウム等の界面活性剤など、通常の電気めっき浴
に添加される成分が適宜含有されることが好ましい。
【0031】優れた磁気特性の軟磁性薄膜を得るため
に、連続フィルタリングによりめっき浴中の微粒子や水
酸化物を取り除くことが好ましい。この場合、めっき浴
の容量をVとすると、濾過流量はV×0.11/分間以
上が望ましい。フィルターメッシュは用途に応じて適宜
選択すればよいが、特に微細なレジストパターン内へ成
膜する場合には、0.2μm 以下とすることが好まし
い。
【0032】陽極は、微粒子除去の観点からは不溶解性
のTiPt、フェライト電極が好ましい。しかし、陽極
において酸化反応が起こるので、例えばイオン交換膜に
より陰極部と分離することが望ましい。
【0033】成膜時の電流密度は、例えば0.01〜5
A/dm2 の範囲で目的に合わせて選択すればよい。直流以
外にもパルス電解や陰極溶解まで行なう交流併用型も可
能である。特にパルス電解において電圧ゼロを含む3種
類以上の複数の電圧を印加することで、Cuの共析量に
大きな差を生じさせて多層膜構造とすることも可能であ
る。この場合、ゼロ電流の際にはCuの置換反応が起こ
り、非磁性のCu膜が成膜されるので、高周波特性の良
好な薄膜が得られる。
【0034】また、電流密度を連続的に変化させること
により、Cuの含有量が膜の厚さ方向で変化する傾斜構
造とすることも容易にできる。Cu含有量により膜の飽
和磁束密度は変化する。薄膜磁気ヘッドに適用する際
に、ギャップ側を高飽和磁束密度とし反対側を低飽和磁
束密度とすることで、再生時の孤立波形を整えることも
可能である。
【0035】また、外部から印加する電圧を変化させる
のではなく、陰極の近傍にスリットや穴のある遮蔽板を
置き、これを移動することによっても多層化は可能であ
る。この場合、スリット等により局部的に電流密度が集
中した領域と他の低電流密度領域とが異なる組成とな
り、多層膜が得られる。
【0036】多層構造の膜は、高周波特性を向上させる
目的の場合にはそのまま使用するが、熱処理等による拡
散作用を利用して均一組成膜として使用することも可能
である。
【0037】めっき浴の溶媒としては、通常の水の他に
非水系溶媒、たとえばメチルアルコール、ジメチルホル
ムアミド、エチルアルコール、プロピレンカーバイド、
溶融塩等も使用可能である。
【0038】また、本発明の軟磁性薄膜は、Cr、S
n、Ru、Au、Pd、Ag、Mn、P、B、In、M
o、Pb、Re、W、Zn、Rh、Zr、Pt等から選
択される1種以上の元素を3重量%以下含有すること
で、高周波特性の向上等も期待される。また、これらの
元素を不純物として微量含有することも特に支障は認め
られないので、安価な試薬の使用によるコスト低減も可
能である。ただし、含有量が3重量%を超える場合に
は、磁気特性に悪影響を及ぼしたり飽和磁束密度の低下
を招く場合が多いので注意が必要である。
【0039】膜に微量含有されるC、Sは、磁気特性に
大きな影響を与えるので注意が必要となる。具体的には
共に500ppm 以下であることが望ましい。
【0040】本発明の軟磁性薄膜には、目的とする方向
に一軸異方性を付与することが好ましい。一軸異方性付
与の方法としては、磁界中成膜や成膜後の磁界中アニー
ルを用いることができる。磁界中成膜としては、一定の
直流磁界中で成膜する方法が一般的である。しかし、本
発明の軟磁性薄膜では異方性磁界Hkが大きくなりすぎ
ることが多く、高透磁率を得るためにはHkの適正化が
要求される場合も多い。Hkの適正化方法としては直交
磁界中成膜や回転磁界中アニール、あるいは直流磁界中
成膜時と直流磁界中アニール時の磁界方向を面内直交さ
せる等の方法が有効である。直交磁界中成膜は、磁場を
コイルで発生させ交互に電流を印加することで可能であ
る。また、永久磁石を用いる場合には陰極を90°回転
させることで可能となる。アニールの際には飽和磁歪値
が正の方向に増加することが多いので、アニール後の飽
和磁歪値が所望の値となるように成膜を行なうことが好
ましい。薄膜磁気ヘッドのバルクハウゼンノイズを低減
するためには、軟磁性薄膜の飽和磁歪値を小さな負の値
に保つ必要があるとされている。この目的のためには、
成膜時にはやや大きな負の磁歪とし、アニール後に小さ
な負の値となるように設計を行なう。
【0041】本発明の軟磁性薄膜の厚さは、目的に応じ
て適宜決定すればよく、特に制限はないが、低い保磁力
を得るためには、通常、0.5〜10μm 程度とするこ
とが好ましく、また、薄膜磁気ヘッドに適用する場合は
0.5〜4.5μm 程度、薄膜トランスに適用する場合
は3〜7μm 程度とすることが好ましい。
【0042】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0043】<実施例1>10mm×10mm×0.7mm厚
のコーニング7059ガラス上に、スパッタ法によりチ
タンを50A 、さらにパーマロイを500A 成膜した基
板を使用した。めっき前処理として1N−塩酸(常温)
に30秒浸漬し、水洗した後、以下のめっき条件にて軟
磁性薄膜サンプルを成膜した。なお、飽和磁歪値測定用
の試料には、別途0.1mm厚のガラス板に上記基板と同
様の処理を施した基板を使用した。
【0044】めっき浴中の基板の周囲には銅板で補助カ
ソードを設けた。陰極全体の形状は3インチの円盤状で
あり、陽極には4インチ径のTiPt板を使用した。攪
拌には断面が三角形のパドルを用い、60回/分間の周
期で陰極から2mmの場所でパドル攪拌を行なった。めっ
き液は下記組成とし、その総量は約7リットルとした。
【0045】めっき浴組成(1リットル中) 硫酸コバルト 0.2mol 硫酸鉄(II) 0から0.02mol 硫酸銅 0から3g 硫酸アンモニウム 15g ほう酸 25g サッカリンナトリウム 1g 酒石酸ナトリウムカリウム 0.1mol
【0046】めっき浴温度は40℃、めっき浴のpHは
3.7、電流密度は1.5A/dm2 、めっき時間は5分間
とし、600Oeの直流磁界を印加しながら電気めっきを
行ない、厚さ1.2μm の軟磁性薄膜サンプルを得た。
【0047】成膜後、誘導磁気異方性制御を目的とし
て、成膜時の磁化困難軸方向に2kOeの直流磁界を印加
しながら300℃にて1時間の真空中アニールを行なっ
た。
【0048】得られた各サンプルについて、下記の測定
を行った。
【0049】(組成)蛍光X線分析装置、ICPを用い
て測定した。
【0050】(保磁力Hc)交流B−Hトレーサーによ
り60Hzにて測定した。
【0051】(飽和磁束密度Bs)VSMにより測定し
た。
【0052】(自然電極電位)基準電極に銀/塩化銀電
極を用い、常温の0.1N−HCl溶液中で測定した。
【0053】(飽和磁歪値)光てこ法により3Hz、10
0Oeの磁界中で測定した。
【0054】(透磁率)8の字コイル法により5MHz 、
3mOe にて測定した。
【0055】(X線回折)Cu−kα線(30kV,40
mA)にて評価した。結晶格子は、格子間隔2.05A を
fcc(111)面、1.98A をbcc(110)面
と同定した。
【0056】(C、S分析)CS計を用いて定量分析を
行った。
【0057】Cu含有量と保磁力との関係を図1に、F
e含有量と保磁力との関係を図2に、Fe含有量と飽和
磁歪値との関係を図3に、Cu含有量と自然電位との関
係を図4に示す。
【0058】図1に示されるように、特に低い保磁力は
Cu含有量5〜25重量%の範囲で得られている。な
お、Cu含有量が5〜25重量%の範囲であっても保磁
力の高いサンプルが存在するが、これらはFe含有量が
多すぎるために飽和磁歪値が大きいサンプルである。
【0059】また、図2および図3に示されるように、
特に低い保磁力はFe含有量が2〜13重量%の範囲で
得られており、この範囲では飽和磁歪値がゼロ以下とな
っている。なお、図2においてFe含有量が2〜13重
量%の範囲であっても保磁力の高いサンプルが存在する
が、これらはCu含有量が好ましい範囲を外れるサンプ
ルである。
【0060】また、図4に示されるように、Cuを含有
することにより自然電位がゼロに近づき、耐食性が著し
く改善されることがわかる。
【0061】なお、Co−10重量%Fe−10重量%
Cu膜のC含有量は410ppm 、S含有量は330ppm
であり、他のサンプルもほぼ同等の値を示した。
【0062】X線回折の結果は、飽和磁歪値の正負によ
り2つに大別された。すなわち飽和磁歪値がゼロ以下の
サンプルでは、図5の上段に示されるようにbcc(1
10)面のピークがほとんど検出されないのに対して、
飽和磁歪値が正のサンプルでは図5の下段に示されるよ
うにbcc(110)面が明瞭に観察された。すなわち
薄膜磁気ヘッドとして好ましい飽和磁歪値が負の膜は、
実質上、fcc(111)の単相であることが判明し
た。
【0063】また、Co−10重量%Fe−10重量%
Cuのサンプルに、真空中で300℃1時間の磁場中ア
ニールを施して誘導磁気異方性を制御し、Hk=8 Oe
としたサンプルでは、透磁率2000(5MHz )が得ら
れた。なお、このサンプルは、アニールの前後ともにf
cc(111)の単相であった。また、飽和磁歪値はア
ニール前は−3.2×10-6であったがアニール後は−
0.9×10-6となっており、好ましい範囲であった。
【0064】<実施例2>下記めっき浴を用いて、軟磁
性薄膜サンプルを作製した。
【0065】めっき浴組成(1リットル中) スルファミン酸コバルト 0.1mol スルファミン酸鉄 0.008mol スルファミン酸銅 2g スルファミン酸アンモニウム 15g ほう酸 30g サッカリンナトリウム 1g 酒石酸カリウム 0.2mol
【0066】めっき浴のpHは初期に3.0に設定し、
その後連続して基板に成膜を行なった。
【0067】めっき浴温度は45℃、電流密度は1A/dm
2 、めっき時間は10分間とし、200 Oe の直流磁界
を印加して、厚さ1.6μm の軟磁性薄膜サンプルを成
膜した。成膜中のめっき浴は透明であった。
【0068】<比較例1>めっき浴に酒石酸カリウムを
添加しなかった他は実施例2と同様の条件で、サンプル
を作製した。成膜途中からめっき浴は濁り、成膜終了後
にめっき液をめっき浴槽から排出したところ、浴槽の壁
面、底にコロイド状の物質が付着していた。
【0069】実施例2および比較例1のそれぞれのサン
プルの保磁力を測定した。結果を図6に示す。図6に示
されるように、酒石酸イオンを含有するめっき浴を用い
た場合には長時間にわたる多数枚の連続成膜でも軟磁性
薄膜の磁気特性が変化しないのに対し、酒石酸イオンを
含有しないめっき浴では、成膜数が増えるに従って軟磁
性薄膜の磁気特性が急激に劣化することが判明した。
【0070】<実施例3>実施例1のめっき浴において
硫酸鉄を0.02mol 、硫化銅を2.5g に固定し、一
方、めっき浴のpHは2から4.6の範囲で変動させ、
そのつど1回の成膜を行なった。
【0071】めっき浴温度は45℃、電流密度は1.5
A/dm2 、めっき時間は20分間とし、600 Oe の直流
磁界を印加した。得られたサンプルの膜厚はpHが低い
ほど薄くなっており、析出効率が低下していることが判
明した。pH3.5以上ではほぼ一定(約5μm )の厚
さが得られた。
【0072】<比較例2>硫酸アンモニウムのかわりに
同量の塩化アンモニウムを使用した他は実施例3と同様
にしてめっき浴を調合し、実施例3と同様にしてpHを
変化させて成膜を行なった。
【0073】実施例3および比較例2それぞれで得られ
たサンプルについて、保磁力を測定した。図7に、めっ
き浴のpHと軟磁性薄膜の保磁力との関係を示す。図7
に示されるように、Clイオンが存在するめっき浴を用
いた比較例2では、低保磁力が得られるpH範囲が狭く
なっていることが明らかである。また、Clイオンが存
在するめっき浴から得られた膜厚2μm 以上のサンプル
は基板との密着性が悪く、部分的に剥離が見られた。こ
れは内部応力が高いためと考えられる。Clイオンを含
まないめっき浴を用いた場合には、このような現像は認
められなかった。
【0074】以上の結果から、本発明の効果が明らかで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】軟磁性薄膜のCu含有量と保磁力との関係を示
すグラフである。
【図2】軟磁性薄膜のFe含有量と保磁力との関係を示
すグラフである。
【図3】軟磁性薄膜のFe含有量と飽和磁歪値との関係
を示すグラフである。
【図4】軟磁性薄膜のCu含有量と自然電位との関係を
示すグラフである。
【図5】軟磁性薄膜のX線回折チャートである。
【図6】軟磁性薄膜の成膜数増加による保磁力変化を示
すグラフである。
【図7】めっき浴のpHと軟磁性薄膜の保磁力との関係
を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】ところで、CoFe合金めっき膜へのCu
の添加が保磁力低下に効果のあることがThe Ele
ctrochemical SocietyのPROC
EEDINGS OF THE SYMPOSIUM
ON MAGNETIC MATERIALS,PRO
CESSES AND DEVICES,91−2,p
579に報告されている。この報告では、0.60eの
保磁力とパーマロイの2倍の飽和磁束密度がFe含有量
10.5重量%のときに得られている。この報告におけ
るCoFeCu合金めっき膜は、fcc相とbcc相と
が混在した構造である。また、保磁力の低い組成範囲は
主としてFeの含有量によって支配され、Feの含有量
が10〜12重量%の狭い範囲でだけ10e以下の保磁
力となっている。一方、Cuに関しては、2重量%以上
含まれれば保磁力が低くなり、Hkの制御のために添加
量を決定することなどが開示されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】(X線回折)Cu−kG線(30kV,4
0mA)にて評価した。結晶構造は(111)面、(2
00)面からfcc、(110)面からbccと同定し
た。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co、FeおよびCuを主成分とする軟
    磁性薄膜を湿式めっき法を用いて製造する方法であっ
    て、Coイオン、FeイオンおよびCuイオンに加え、
    有機酸イオンを含むめっき浴を用いることを特徴とする
    軟磁性薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記有機酸イオンがコハク酸イオン、ク
    エン酸イオン、マロン酸イオン、マレイン酸イオン、グ
    ルコン酸イオンおよび酒石酸イオンから選択される少な
    くとも1種である請求項1の軟磁性薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記有機酸イオンとして酒石酸イオンを
    用いる請求項2の軟磁性薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記有機酸イオンのめっき浴中の濃度が
    0.01〜1.0モル/リットルである請求項1ないし
    3のいずれかの軟磁性薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 Co、FeおよびCuを主成分とする軟
    磁性薄膜を湿式めっき法を用いて製造する方法であっ
    て、実質的にClイオンを含有しないめっき浴を用いる
    ことを特徴とする軟磁性薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 めっき浴中のCoイオン、Feイオンお
    よびCuイオンの供給源として硫酸塩を用いる請求項5
    の軟磁性薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記めっき浴として請求項1ないし4の
    いずれかに記載のめっき浴を用いる請求項5または6の
    軟磁性薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 軟磁性薄膜形成後、磁界中アニールを施
    す請求項1ないし7のいずれかの軟磁性薄膜の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 Cu含有量が4〜30重量%、Fe含有
    量が2〜13重量%、残部が実質的にCoであって、請
    求項1ないし8のいずれかの製造方法により形成された
    ことを特徴とする軟磁性薄膜。
  10. 【請求項10】 Co、FeおよびCuを主成分とする
    軟磁性薄膜であって、fcc相から構成され、保磁力が
    1 Oe 以下であることを特徴とする軟磁性薄膜。
JP6088993A 1993-02-25 1993-02-25 軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜 Pending JPH06251978A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6088993A JPH06251978A (ja) 1993-02-25 1993-02-25 軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6088993A JPH06251978A (ja) 1993-02-25 1993-02-25 軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06251978A true JPH06251978A (ja) 1994-09-09

Family

ID=13155382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6088993A Pending JPH06251978A (ja) 1993-02-25 1993-02-25 軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06251978A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007123598A (ja) * 2005-10-28 2007-05-17 Rikogaku Shinkokai フェライト膜成膜用水溶液、フェライト膜の製造方法及びフェライト膜
US7288333B2 (en) 2002-09-12 2007-10-30 Alps Electric Co., Ltd. Magnetic film and thin film magnetic head using this magnetic film
JP4710136B2 (ja) * 1999-04-06 2011-06-29 ソニー株式会社 正極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4710136B2 (ja) * 1999-04-06 2011-06-29 ソニー株式会社 正極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法
US7288333B2 (en) 2002-09-12 2007-10-30 Alps Electric Co., Ltd. Magnetic film and thin film magnetic head using this magnetic film
JP2007123598A (ja) * 2005-10-28 2007-05-17 Rikogaku Shinkokai フェライト膜成膜用水溶液、フェライト膜の製造方法及びフェライト膜

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4732668B2 (ja) コバルト鉄モリブデン合金およびコバルト鉄モリブデン合金めっき磁性薄膜の製造方法
US5582927A (en) High magnetic moment materials and process for fabrication of thin film heads
JP3229718B2 (ja) 軟磁性合金、軟磁性薄膜および多層膜
JPS6353277B2 (ja)
JP3201892B2 (ja) 軟磁性薄膜とそれを用いた磁気インダクティブmrヘッド
Takata et al. Electrodeposition of magnetic CoPd thin films: Influence of plating condition
JPS63307294A (ja) 強磁性コーティング用メッキ浴及びその使用方法
JP3102505B2 (ja) 軟磁性多層めっき膜の製造方法および軟磁性多層めっき膜ならびに磁気ヘッド
JP2005086012A (ja) 磁性薄膜およびその製造方法並びに磁性薄膜を用いた磁気ヘッド
JPH06251978A (ja) 軟磁性薄膜の製造方法および軟磁性薄膜
JP3211815B2 (ja) 軟質磁性薄膜及びその製造方法
JP3298930B2 (ja) 磁性薄膜の製造方法
JP3233963B2 (ja) 磁性薄膜およびその製造方法
US5935403A (en) Magnetic thin film and magnetic thin film manufacturing method
JP3826323B2 (ja) めっき磁性薄膜の製造方法
JP3431238B2 (ja) 軟磁性めっき薄膜およびその製造方法
JP3837694B2 (ja) 磁性薄膜、磁性薄膜の製造方法、及び、磁気ヘッド
Fujita et al. Electrochemical deposition of amorphous FeB films with soft magnetic properties
US5182009A (en) Plating process
JPH08236349A (ja) 軟磁性薄膜およびそれを用いた薄膜磁気デバイス
EP1821289A2 (en) Soft magnetic thin film, method of producing the same, and magnetic head
JP4645784B2 (ja) 軟磁性薄膜およびその製造方法、並びにその薄膜を用いた薄膜磁気ヘッド
JP2007158091A (ja) 軟磁性薄膜の製造方法
JPH0499303A (ja) 軟磁性薄膜およびその製造方法
JP2002057031A (ja) 軟磁性膜と、この軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と、前記薄膜磁気ヘッドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20021001