JPH0625416A - 高溶融安定性ポリアリーレンチオエーテルケトン及びその製造方法 - Google Patents

高溶融安定性ポリアリーレンチオエーテルケトン及びその製造方法

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JPH0625416A
JPH0625416A JP5123329A JP12332993A JPH0625416A JP H0625416 A JPH0625416 A JP H0625416A JP 5123329 A JP5123329 A JP 5123329A JP 12332993 A JP12332993 A JP 12332993A JP H0625416 A JPH0625416 A JP H0625416A
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JP
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mol
polymer
temperature
δhmc
inh
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JP5123329A
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Michitomo Kawakami
進盟 川上
Yoshiya Shiiki
善彌 椎木
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 粒状で高溶融安定性のポリアリーレンチオエ
ーテルケトン及びその製造方法。 【構成】 溶液粘度(ηinh)が0.30dl/g以
上、溶融結晶化エンタルピー(ΔHmc)保持率(40
0℃/20分)が60%以上、融点340〜360℃、
ガラス転移温度125℃以上、及び平均粒径0.1〜2
mmの粒状の高溶融安定性ポリアリーレンチオエーテル
ケトンであって、 で表される繰り返し単位を含む。含水有機アミド溶媒
中、アルカリ金属硫化物と4,4′−ジハロベンゾフェ
ノンを含むジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリ
ーレンチオエーテルケトンを製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融安定性が高く、か
つ、粒状のポリアリーレンチオエーテルケトンに関す
る。また、本発明は、相分離重合法により粒状で高溶融
安定性のPTKを製造する方法に関する。なお、本発明
における「相分離重合法」とは、重合反応の進行により
生成したポリマーの融液相(溶融ポリマー濃厚相ともい
える)と溶媒相(溶融ポリマー希薄相ともいえる)とか
らなる液−液2相の相分離条件下での更なる重合反応工
程を含む重合方法を意味する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンチオエーテルケトン(以
下、PTKと略記)は、高融点と高ガラス転移温度を併
せ持ち、しかも優れた機械的特性を有する芳香族ポリマ
ーであるため、電気・電子産業分野、自動車・航空機産
業分野、精密機械産業分野などの産業分野でその供給が
要望されている。
【0003】従来、PTKの製造方法として、アルカリ
金属硫化物と4,4′−ジハロベンゾフェノンとを脱ハ
ロゲン/硫化反応させる各種の方法が提案されている。
PTKの製造方法に関する代表的な特許文献としては、
例えば、米国特許第4,716,212号(特開昭6
3−113020号、EP−A−0258866)、
米国特許第4,795,799号(特開平1−1013
32号、EP−A−0306884)、米国特許第
5,071,944号(特開平2−276826号、E
P−A−0385299)、米国特許第5,097,
003号(特開平1−308428号、特開平1−31
1124号、EP−A−0346085)、及び米国
特許第4,886,871号(特開昭64−54031
号、EP−A−0293115)がある。
【0004】米国特許第4,716,212号には、
4,4′−ジハロベンゾフェノンに対して過剰量のアル
カリ金属硫化物を使用することにより、高分子量のPT
Kを得る方法が開示されている。しかし、この方法で得
られるポリマーは、溶融安定性が悪く、しかも平均粒径
20μm以下の微粉状である。米国特許第4,795,
799号には、重合系にアルカリ金属炭酸塩を共存させ
ることにより、高分子量のPTKを得る方法が開示され
ている。この方法によれば、平均粒径0.1mm以上の
粒状ポリマーを得ることができるものの、生成ポリマー
の溶融安定性は、極めて不十分である。
【0005】米国特許第5,071,944号には、第
1重合工程で、重合反応混合物中の水分量が極性有機溶
剤の重量を基準として約0.1〜約10重量%となるま
で脱水し、次いで、第2重合工程では、低水分状態で重
合を行うPTKの製造方法について開示されている。こ
の方法によれば、溶融安定性が比較的良好で高分子量の
ポリマーを得ることができるが、生成ポリマーは、重合
系の水分量が少ないためか微粉状である。
【0006】米国特許第5,097,003号には、重
合前に極性有機溶媒中でアルカリ金属硫化物の遊離水や
水和水の除去を行わず、かつ未反応ジハロゲン化合物の
残存率が2%以下になるまでの重合初期においては80
〜170℃の範囲で、それ以後は200〜345℃の範
囲で反応を行うPTKの製造方法について開示されてい
る。しかし、この方法では、170℃以下の低温で前段
重合を行うため、未反応モノマーや低分子量のオリゴマ
ー等が残存し、それによって、高温での後段重合で有害
反応が起こり易く、溶融安定性に優れたポリマーを得る
ことが困難である。また、前段重合において、低温での
反応を長時間行うことは、生産性の点から不利である。
【0007】米国特許第4,886,871号には、共
存水分量、モノマー仕込比、重合温度等の重合条件を適
切に選択することにより、溶融安定性に優れたPTKを
製造する方法が開示されている。しかし、この方法で
は、重合温度を60〜300℃、好ましくは150〜2
90℃、より好ましくは220〜280℃の範囲に制御
することが必要であるため、粒状ポリマーを高収率で得
ることが困難である。本発明者らの研究結果によれば、
生成PTKを粒状ポリマーとして取り出すには、比較的
多量の共存水分の存在下に、重合の後段で、少なくとも
300℃超過の高温に加熱することが必要である。
【0008】PTKの溶融安定性は、該ポリマーを溶融
状態で一定期間保持し、その際の結晶性の保存性、例え
ば、溶融結晶化エンタルピー(ΔHmc)の保持率によ
って評価することができる。溶融結晶化エンタルピーの
保持率が小さく、PTKの溶融安定性が劣悪であると、
押出成形、射出成形、溶融紡糸等の一般溶融加工法を適
用することができない。
【0009】一方、生成ポリマーが微粉状であると、重
合後のポリマーの回収・精製工程等において、反応混合
物からの濾別、洗浄、乾燥、輸送、充填等の操作性が悪
く、高価な設備、煩雑な操作、長大な処理時間等を要す
ることになる。成形加工においても、微粉状ポリマー
は、ハンドリングが難しく、計量性の悪さやホッパー中
でのブロッキング等の多くのトラブルを起こし易い。微
粉状PTKは、通常の押出機で溶融加工することが困難
であり、コンパクター等を付設した押出機を必要とす
る。したがって、重合反応系からポリマーを粒状で回収
することが、生産性及び経済的見地から極めて重要であ
る。
【0010】重合反応完了後のPTKを粒状化する方法
として、EP−A−0311040(特開平1−129
027号、特開平1−315420号)には、PTKを
極性有機溶媒中で加熱して液化し、得られた液状混合物
に水等の分離剤を加え、次いで、温度を下げてポリマー
を凝固させることにより増加した嵩密度を有するように
する処理法が提案されている。しかしながら、この処理
法では、重合反応完了後、共存水分量が少なく、液−液
相分離の起こらない状態でPTKを300℃超過の高温
で溶解するため、急速に劣化するという問題がある。し
たがって、このような処理法では、PTKの溶融安定性
が低下し、溶融結晶化エンタルピー保持率の充分高いP
TKは得難い。このように、従来、高溶融安定性を有
し、かつ、粒状のPTKを得ることは、非常に困難であ
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粒状
で高溶融安定性のポリアリーレンチオエーテルケトン及
びその製造方法を提供することにある。本発明者らは、
生成PTKが高溶融安定性で、しかも粒状のPTKを製
造する方法について、鋭意研究を行った。
【0012】その結果、含水有機アミド溶媒中で、アル
カリ金属硫化物と4,4′−ジハロベンゾフェノンを含
むジハロ芳香族化合物とを反応させるPTKの製造方法
において、重合反応を特定条件下での二段階重合法によ
り行うことが有効であることを見いだした。すなわち、
(1)先ず、前段工程で、アルカリ金属硫化物と4,
4′−ジハロベンゾフェノンとの反応が活発に起きる温
度以上であるが、生成ポリマーが未反応アルカリ金属硫
化物等による劣化を受けない180〜260℃の温度域
で重合反応を行い、次工程でポリマーの融液相と溶媒相
とからなる液−液2相の相分離を形成するに足る分子量
を持つポリマー(プレポリマー)を生成させ、(2)後
段工程では、前記プレポリマーを溶融させるに足る温度
以上であるが、溶媒やポリマーの熱劣化が有意に起きな
い300℃超過350℃未満の温度域で、かつ、共存水
分量の多い状態で、ポリマーの融液相と溶媒相とからな
る液−液2相の相分離を形成させ、ポリマー同士を効率
よく縮合反応させて、プレポリマーよりも有意に大きな
分子量のポリマーが生成するまで相分離状態で重合反応
を継続する方法である。
【0013】この後段工程では、液−液相分離を形成す
るために、共存水分量が充分でないときは、水を添加し
共存水分量を有機アミド溶媒1kg当り7モル以上とな
るように調整することも許容される。相分離状態での重
合反応では、ポリマーの融液相内でプレポリマーの縮合
反応が効率よく進行し、充分高分子量のポリマーが生成
する。重合反応終了後は、反応混合物を攪拌しながら降
温する。この相分離重合法により、粒状で高溶融安定性
のPTKを得ることができると考えられる。
【0014】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、式(I)
【0015】
【化3】 で表される繰り返し単位を含むポリアリーレンチオエー
テルケトンであって、(a)溶液粘度(ηinh)が0.
30dl/g以上〔ただし、ηinhは、m−クロロフェ
ノールと1,2,4−トリクロロベンゼンの1:1(重
量比)混合溶媒中、濃度0.4g/dl、30℃で測定
した値である。〕、(b)溶融結晶化エンタルピー(Δ
Hmc)保持率(400℃/20分)が60%以上〔た
だし、ΔHmc保持率(400℃/20分)は、差動走
査熱量計を使用してポリマーを不活性ガス雰囲気中で5
0℃に5分間保持した後、100℃/分の速度で400
℃まで昇温し、次いで、400℃で1分間保持した
後、10℃/分の速度で降温した際の溶融結晶化エンタ
ルピーΔHmc(400℃/1分)と、400℃で2
1分間保持した後、10℃/分の速度で降温した際の溶
融結晶化エンタルピーΔHmc(400℃/21分)を
測定し、式 ΔHmc保持率(400℃/20分)=[ΔHmc(4
00℃/21分)/ΔHmc(400℃/1分)]×1
00 により算出した値である。〕、(c)融点(Tm)が3
40〜360℃、(d)ガラス転移温度(Tg)が12
5℃以上、及び(e)平均粒径が0.1〜2mm、で定
義される粒状の高溶融安定性ポリアリーレンチオエーテ
ルケトンが提供される。
【0016】また、本発明によれば、含水有機アミド溶
媒中で、アルカリ金属硫化物と4,4′−ジハロベンゾ
フェノンを含むジハロ芳香族化合物とを反応させて式
(I)
【0017】
【化4】 で表される繰り返し単位を含むポリアリーレンチオエー
テルケトンを製造する方法において、この反応を少なく
とも下記の(A)前段工程及び(B)後段工程の二段階
工程で行い、後段工程終了後、そのまま撹拌を維持しつ
つ降温することを特徴とする粒状の高溶融安定性ポリア
リーレンチオエーテルケトンの製造方法が提供される。
【0018】(A)前段工程: ジハロ芳香族化合物の仕込量/アルカリ金属硫化物の
仕込量の比を0.95〜1.2(モル/モル)とするこ
と。 共存水分量/有機アミド溶媒仕込量の比を1〜15
(モル/kg)とすること。 含水有機アミド溶媒中、アルカリ金属硫化物とジハロ
芳香族化合物とを180〜260℃で0.3〜30時間
反応させて、溶液粘度(ηinh)が0.15dl/g以
上のプレポリマーを生成させること〔ただし、η
inhは、m−クロロフェノールと1,2,4−トリクロ
ロベンゼンの1:1(重量比)混合溶媒中、濃度0.4
g/dl、30℃で測定した値である。〕。
【0019】(B)後段工程: 反応混合物中の共存水分量/有機アミド溶媒仕込量の
比を7〜15(モル/kg)とすること。 前記プレポリマーを含む反応混合物をさらに300℃
超過350℃未満で0.05〜10時間反応させて、該
プレポリマーの溶液粘度(ηinh)より少なくとも0.
03dl/g増大した溶液粘度(ηinh)を有するポリ
マーを生成させること。
【0020】以下、本発明について詳述する。 (ポリアリーレンチオエーテルケトンの製造方法)A.原料 本発明の粒状で高溶融安定性のPTKの製造には、主原
料として、アルカリ金属硫化物、ジハロゲン置換芳香族
化合物(ジハロ芳香族化合物)、有機アミド溶媒、及び
水を用いる。
【0021】(アルカリ金属硫化物)本発明で用いるア
ルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化ナトリウム、
硫化リチウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セ
シウム、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、反応装置中で、in situで形成されるアル
カリ金属硫化物も用いられる。これらのアルカリ金属硫
化物は、水和物、水性混合物あるいは無水物の形で用い
ることができる。水和物または水性混合物の水分が多す
ぎる場合は、重合前に蒸留等により除去して用いる。さ
らに、本発明の目的を害しない範囲内で、アルカリ金属
もしくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩、炭酸塩等を
重合系に添加することもできる。
【0022】(ジハロ芳香族化合物)本発明では、ジハ
ロ芳香族化合物として、4,4′−ジクロロベンゾフェ
ノンや4,4′−ジブロモベンゾフェノンなどの4,
4′−ジハロベンゾフェノンを主原料として用いる。特
に、4,4′−ジクロロベンゾフェノンは、反応性、経
済性、及び生成ポリマーの物性の観点から好ましい。本
発明において、4,4′−ジハロベンゾフェノン以外の
ハロゲン置換芳香族化合物を少量成分として併用しても
よい。
【0023】260℃以下の低温域でのアルカリ金属硫
化物に対する反応活性が4,4′−ジハロベンゾフェノ
ンと同程度以上のものを、(a)グループのハロゲン置
換芳香族化合物として分類すると、(a)グループに
は、4,4′−ジハロジフェニルスルホン、ジハロベン
ゾフェノン異性体、ビス(ハロベンゾイル)ベンゼン異
性体等のジハロ芳香族化合物が属する。これら(a)グ
ループのジハロ芳香族化合物を適宜少量成分として併用
してもよい。ただし、高融点かつ高ガラス転移温度のP
TKを得るには、仕込みジハロ芳香族化合物中の4,
4′−ジハロベンゾフェノンの割合を98モル%超過〜
100モル%とすることが好ましい。
【0024】一方、低温域でのアルカリ金属硫化物に対
する反応活性が4,4′−ジハロベンゾフェノンに比べ
て有意に劣るものを(b)グループのハロゲン置換芳香
族化合物として分類すると、(b)グループには、ベン
ゼン、アルキルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエー
テル等のモノハロ、ジハロ、トリハロ、またはこれ以上
のポリハロ置換芳香族化合物が属する。(b)グループ
のハロゲン置換芳香族化合物は、低温域では反応性が低
いため、実質的に不活性な溶媒成分としか機能し得ない
が、290℃以上の高温域に昇温した段階で活性とな
る。そこで、これら(b)グループのハロゲン置換芳香
族化合物は、生成ポリマーの末端封止剤として使用する
ことができる。
【0025】(有機アミド溶媒)本発明のPTKの製造
方法に用いる反応媒体としては、熱安定性、耐アルカリ
性に優れたアプロチック極性有機溶媒、特にその中で
も、有機アミド溶媒(カルバミン酸アミド類を含む)が
好ましく用いられる。このような有機アミド溶媒として
は、例えば、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリ
ドン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、
ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルアセタミド等
が挙げられる。これらの中でも、熱安定性、化学的安定
性、重合反応の円滑性、経済性の観点から、N−メチル
ピロリドンが特に好ましい。
【0026】B.重合方法と反応条件 本発明のPTKの製造方法では、含水有機アミド溶媒中
で、アルカリ金属硫化物と4,4′−ジハロベンゾフェ
ノンを含むジハロ芳香族化合物とを反応させるが、この
反応を少なくとも(A)前段工程及び(B)後段工程の
二段階工程で行うことを特徴とする。
【0027】本発明のPTKの製造において、(A)前
段工程では、未反応のアルカリ金属硫化物が豊富に存在
するが、反応温度が260℃以下の低温域のため、生成
ポリマー劣化反応や分解反応は起こり難く、しかもプレ
ポリマーの生成に伴ってアルカリ金属硫化物の大部分が
消費されてしまう。前段工程が180℃未満の低温で
は、未反応のアルカリ金属硫化物の残存量が多くなり、
後段工程での有害反応が起こるおそれがある。
【0028】本発明の製造方法の(B)後段工程(相分
離重合工程)では、相分離状態での重合反応が進行す
る。ポリマー融液相が溶媒相から分離して液−液相分離
状態となるため、ポリマーは主としてポリマー融液相の
内部で、ポリマー同士効率よく縮合を繰り返して、高分
子量化することになると思われる。以下、本発明の製造
方法及び反応条件について、さらに具体的に述べる。
【0029】(1)ハロゲン置換芳香族化合物の組成 本発明のPTK製造方法においては、主成分として4,
4′−ジハロベンゾフェノンを用いる。この外に、ポリ
マーを共重合により変性する必要があれば、前述の
(a)グループに属するジハロ芳香族化合物を少量混入
して用いることができる。ただし、高融点かつ高ガラス
転移温度のPTKを得るためには、4,4′−ジハロベ
ンゾフェノンと(a)グループに属するジハロ芳香族化
合物の合計仕込量の中で、4,4′−ジハロベンゾフェ
ノンの含有率を98モル%超過、より好ましくは99モ
ル%超過とすることが好ましい。
【0030】一方、(b)グループに属するハロゲン置
換芳香族化合物は、(A)前段工程では、アルカリ金属
硫化物と実質的に反応しないが、(B)後段工程では、
高温域で活性化する。(B)後段工程では、未反応アル
カリ金属硫化物の残存量は僅少であるから、(b)グル
ープのハロゲン置換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化
物と縮合反応するよりも、主としてポリマー鎖の末端官
能基と反応して末端封止剤として機能する。
【0031】(b)グループのハロゲン置換芳香族化合
物は、(B)後段工程の前または該工程中に仕込むこと
も可能であるが、(A)前段工程では、実質的に反応に
関与しないから、当初から反応系に仕込んでおいても、
(B)後段工程で末端封止剤として機能し得る。ただ
し、(b)グループのハロゲン置換芳香族によるアルカ
リ金属硫化物の消費量は、仕込量の計算に入れることを
要しない。
【0032】(2)共存水分量 本発明の製造方法の(A)前段工程において、共存水分
量は、有機アミド溶媒仕込量に対して、1〜15(モル
/kg)(もしくは1.8〜27重量%)、好ましくは
7〜15(モル/kg)(もしくは12.6〜27重量
%)の範囲とする。共存水分量が1モル/kg未満の場
合には、分解反応が起こるおそれがあり、逆に、15モ
ル/kgを越えると、重合反応が大幅に遅延し、高分子
量ポリマーが得られなくなるおそれがある。また、前段
工程において、アルカリ金属硫化物仕込量に対する共存
水分量は、好ましくは2.5〜18(モル/モル)、よ
り好ましくは7.8〜18(モル/モル)の範囲とする
ことが望ましい。
【0033】本発明の製造方法の(B)後段工程におい
て、共存水分量は、有機アミド溶媒仕込量に対して7〜
15(モル/kg)(もしくは12.6〜27重量
%)、好ましくは7.5〜14(モル/kg)(もしく
は13.5〜25.2重量%)の範囲とする。共存水分
量が7モル/kg未満の場合には、相分離の形成が不十
分となるおそれがあり、逆に、15モル/kgを越える
と、重合反応が大幅に遅延し、高分子量ポリマーが得ら
れなくなるおそれがある。また、後段工程において、ア
ルカリ金属硫化物仕込量に対する共存水分量は、通常
7.5〜18(モル/モル)、好ましくは8〜17(モ
ル/モル)、より好ましくは9〜16(モル/モル)の
範囲とすることが望ましい。後段工程において、アルカ
リ金属硫化物仕込量に対する共存水分量の割合が7.5
モル/モル未満であると、相分離の形成が不十分となる
おそれがあり、逆に、18モル/モル超過では、重合反
応が大幅に遅延するおそれがある。
【0034】後段工程において、共存水が前段工程から
所定量共存していない場合には、後段工程開始までに追
加して所定量となるようにしておく。しかし、途中で水
を追加することは、製造工程上煩雑であるから、前段工
程から充分な水分を共存させることにより、水の追加を
しないで重合を行う方が、生産性や製造性の点から望ま
しい。
【0035】(3)仕込組成 アルカリ金属硫化物(in situで生成されるもの
を含む)の仕込量は、有機アミド溶媒仕込量に対し、通
常0.1〜5モル/kg、好ましくは、0.2〜4モル
/kg、より好ましくは、0.3〜2モル/kgの範囲
である。0.1モル/kg未満では、生産性が低く経済
性の点から不利であり、5モル/kg超過では反応系の
粘度が高くなり、撹拌が困難になるおそれがある。
【0036】4,4′−ジハロベンゾフェノンを含むジ
ハロ芳香族化合物の仕込量〔(b)グループのハロゲン
置換芳香族化合物の仕込量を除く〕は、アルカリ金属硫
化物仕込量に対し、0.95〜1.2モル/モル、好ま
しくは0.98〜1.1モル/モル、より好ましくは
1.00モル/モル超過1.05モル/モル未満の範囲
である。0.95モル/モル未満では、分解反応を起こ
したり、生成PTKの溶融安定性が低下するおそればあ
り、逆に、1.2モル/モル超過では、高分子量のポリ
マーが得られ難くなるおそれがある。また、ジハロ芳香
族化合物の内の少量(これらの仕込量の約1/20以下
が望ましい)は、(A)前段工程途中、(B)後段工程
前、または(B)後段工程途中に仕込むことができる。
これによって溶融安定性のより高いPTKが得られ易
い。
【0037】前述の(b)グループに属するハロゲン置
換芳香族化合物は、(A)前段工程では、殆ど不活性で
あるので、(A)前段工程中に存在させた場合、これら
によるアルカリ金属硫化物の消費は実質的に考慮しなく
てもよい。これらは、もちろん(B)後段工程の高温域
においては活性となり、ポリマー末端封止等として作用
させることができる。
【0038】(4)(A)前段工程(予備工程) 重合の(A)前段工程は、相分離重合の予備工程であ
る。すなわち、4,4′−ジハロベンゾフェノンを含む
ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とを、低温度
域で接触させて、(B)後段工程の相分離重合に必要な
分子量を有するプレポリマーを生成させる工程である。
【0039】この工程は、豊富に存在するアルカリ金属
硫化物等による劣化反応を軽減させるため、180〜2
60℃、好ましくは190〜255℃の比較的低温域で
重合を行う。反応温度が180℃未満では、相当量の未
反応アルカリ金属硫化物が残存し、後段工程で分解反応
を起したり、ポリマーの溶融安定性を劣化させる等の有
害反応を起すおそれがあり、また、重合反応を大幅に遅
延させるおそれがある。260℃超過では、生成プレポ
リマーが劣化したり、分解したりするおそれがある。
【0040】この工程では、生成ポリマー(プレポリマ
ー)の溶融粘度(ηinh)が0.15dl/g以上、好
ましくは0.2dl/g以上となるまで反応を行う。η
inh が0.15dl/g未満では、次の(B)後段
工程での相分離形成が不十分になるおそれがある。この
工程での反応時間は、0.3〜15時間、好ましくは
0.5〜10時間である。0.3時間未満では、プレポ
リマーの分子量が不十分となるおそれがあり、15時間
超過では、生産性の点から経済的に不利である。
【0041】このプレポリマーの生成反応に付随してモ
ノマーの1つであるアルカリ金属硫化物が消費され、そ
の残存量が低減される。この残存量の低減も、次の
(B)後段工程での劣化反応の軽減に寄与する。なお、
溶融安定性の高いポリマーを得る手段の一つは、反応系
の気相中及び液相中の酸化剤成分、とりわけ酸素を、モ
ノマーや溶剤等仕込時及び重合時を通じて、極力排除す
ることである。気相の酸素の排除には、徹底した不活性
ガスとの置換、減圧排気、重合中の気密保持等が有効で
ある。液相(有機アミド、水等を含む)中の酸素の排除
には、蒸留したての溶剤の使用、煮沸もしくは減圧によ
る排気、加圧不活性ガスによる酸素の希釈等が有効であ
る。
【0042】(5)(B)後段工程(相分離重合工程) 重合の(B)後段工程は相分離重合工程である。すなわ
ち、前段工程で生成したプレポリマーを加熱して溶融化
し、反応系中にポリマー融液相(または溶融ポリマー濃
厚相)と溶媒相(または溶融ポリマー希薄相)とからな
る液−液相分離を起こさせ、該ポリマー融液相中でポリ
マー同士の結合をさせる工程である。この工程では、ポ
リマーは主としてポリマー融液相中で、効率よく縮合を
繰り返して高分子量ポリマーに成長する。
【0043】この工程における相分離の形成には、プ
レポリマーの存在、多量の水の存在、及び適当な高
温が必要である。プレポリマーは、(A)前段工程で
生成させる。水は、有機アミド仕込量当たり7モル/
kg以上で、アルカリ金属硫化物の仕込量当たり7.5
モル/モル以上の共存が望ましい。適当な温度は、3
00℃超過350℃未満、好ましくは303℃超過34
5℃未満、より好ましくは305℃超過340℃未満で
ある。後段工程における反応温度が300℃以下ではポ
リマー融液相と溶媒相からなる液−液相分離の形成が不
十分となるおそれがあり、逆に、350℃以上では、溶
媒やポリマーが熱劣化するおそれがある。
【0044】この(B)後段工程は、前段工程で生成し
たプレポリマーに比べて有意に鎖長が成長したポリマー
が得られるまで行う。すなわち、分子量を溶液粘度(η
inh)でみると、プレポリマーのηinhに比べて、少なく
とも0.03dl/g、好ましくは、少なくとも0.0
5dl/g、より好ましくは、少なくとも0.1dl/
g増大したポリマーが生成するまで行うことが望まし
い。また、最終的に得られるPTKのηinhは、0.3
0dl/g以上とする。
【0045】反応時間は、0.05〜10時間、好まし
くは0.2〜5時間行う。0.05時間未満では、相分
離重合が不充分のおそれがあり、逆に、10時間超過で
は、溶媒やポリマーが熱劣化するおそれがある。 (B)後段工程の終了後は、反応混合物を撹拌しなが
ら、降温することにより、粒状ポリマーを得ることがで
きる。
【0046】(ポリアリーレンチオエーテルケトン)A.化学構造 本発明の相分離重合法によって得られる粒状の高溶融安
定性で高分子量のPTKは、下記式(I)で表される繰
り返し単位を含む芳香族ポリマーである。
【0047】
【化5】
【0048】高溶融粘度かつ高ガラス転移温度の高耐熱
性PTKを得るには、ポリマー中、式(I)で表される
繰り返し単位の割合が98基本モル%を越え100基本
モル%以下〔ただし、基本モル%とは、1つの繰り返し
単位を構成する全原子の原子量の総和を1グラム分子=
1基本モル(=100基本モル%)として算出した値で
ある。〕であることが好ましい。ただし、末端封止剤と
して使用する(b)グループのハロゲン置換芳香族化合
物の使用割合は、この計算から除外する。
【0049】このPTKは、酸化架橋処理(キュアー)
等を受けて高溶融粘度化したものでないから、分子内に
酸化架橋処理に基ずく架橋構造を実質的に含まない。し
たがって、溶融安定性の点で、高温酸化架橋型PTKよ
り、特段にまさっている。さらに、溶融紡糸性、延伸加
工性、ウェルド強度、強靭性、等において有意に高温酸
化架橋型PTKよりも優れている。ただし、本発明のP
TKに必要に応じて酸化架橋処理を行うことは許容され
る。
【0050】B.物性 (1)分子量 ポリマーの分子量を表現する指標として溶液粘度(η
inh)の値を用いると、本発明の製造方法では、ηinh
0.30dl/g以上、好ましくは0.35dl/g以
上、より好ましくは0.45dl/g以上の高分子量の
PTKが得られる。PTKのηinhが0.30dl/g
未満では、実用上、機械的特性などの物性が不十分とな
る。ただし、ηinhは、m−クロロフェノールと1,
2,4−トリクロロベンゼンの1:1(重量比)混合溶
媒中、濃度0.4g/dl、30℃で測定した値であ
る。本発明のPTKは、ηinhが0.35dl/g以上
の高分子ポリマーでも前記混合溶媒に均一に溶解させる
ことが可能である。
【0051】(2)溶融安定性 溶融安定性は、一般溶融加工法の適用において、実用上
極めて重要な因子の一つであり、溶融安定性の低いポリ
マーでは、押出成形、射出成形、溶融紡糸等の一般溶融
加工が適用できない。ポリマーの溶融安定性は、結晶性
ポリマーの場合には、これを溶融状態で一定時間保持
し、その際の結晶性の保存性、例えば、溶融結晶化エン
タルピー(ΔHmc)の保持率によって評価することが
できる。
【0052】本発明のPTKは、溶融結晶化エンタルピ
ー(ΔHmc)保持率(400℃/20分)が60%以
上の高溶融安定性ポリマーである。ただし、ΔHmc保
持率(400℃/20分)は、差動走査熱量計を使用し
てポリマーを不活性ガス雰囲気中で50℃に5分間保持
した後、100℃/分の速度で400℃まで昇温し、次
いで、400℃で1分間保持した後、10℃/分の速
度で降温した際の溶融結晶化エンタルピーΔHmc(4
00℃/1分)と、400℃で21分間保持した後、
10℃/分の速度で降温した際の溶融結晶化エンタルピ
ーΔHmc(400℃/21分)を測定し、式「ΔHm
c保持率(400℃/20分)=ΔHmc(400℃/
21分)/ΔHmc(400℃/1分)×100」によ
り算出した値である。400℃での溶融安定性の高いポ
リマー程、ΔHmc保持率(400℃/20分)は高
い。
【0053】PTKは、通常、分子量と溶融安定性が相
反する傾向があり、高分子量化と高溶融安定性とを両立
させることは難しい。しかし、本発明の製造方法によれ
ば、ηinhが0.30dl/g以上の高分子量のPTK
でも、ΔHmc保持率(400℃/20分)が60%以
上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上
の高溶融安定性を有するPTKを得ることができる。ち
なみに、重合反応終了後、300℃以上の高温で生成ポ
リマーを液状化し、しかる後に相分離剤を加えて粒状化
するという特開平1−31420号やEP−A−031
1040(特開平1−129027号)等の先行技術の
方法によって回収されたPTKは、ΔHmc保持率が約
10%以下であり、一般溶融加工法の適用は難しい。
【0054】(3)耐熱性 ポリマーの耐熱性を表わす指標として、融点(Tm)と
ガラス転移温度(Tg)との値を用いると、本発明の製
造方法により得られるPTKは、Tmが340〜360
℃、好ましくは、345〜360℃で、Tgが125℃
以上の高耐熱性ポリマーである。
【0055】C.その他の性状 本発明の製造方法により得られるPTKは、平均粒径
0.1〜2mm、好ましくは0.15〜1.5mmの粒
状物である。本発明の製造方法によれば、粒状のPTK
が重合反応混合物から回収されるので、濾別、洗浄、輸
送、乾燥等の後処理のハンドリングが著しく簡便で経済
的である。また、この粒状PTKを利用して溶融加工す
る場合、通常のホッパーを備えた押出機が使用できるの
で、加工コストが大巾に削減できる。本発明の粒状PT
Kの見掛け比重は、通常0.15〜0.60g/ccの
範囲である。
【0056】本発明の製造方法によるPTKは、一旦加
熱溶融後、急冷して低結晶化状態にすると、クロロフェ
ノール/トリクロロベンゼン混合溶媒などの有機溶媒に
均一に溶解できる。したがって、このポリマー溶液から
キャスト法により均一な膜や糸を得ることが可能であ
り、また、このポリマー溶液はコーティングなどにも用
いられる。
【0057】(用途)本発明のPTKは、それ単独で、
あるいは他の熱可塑性樹脂とブレンドして、一般溶融成
形加工法により各種成形品とすることができる。また、
溶液化してキャスト成形加工もできる。本発明のPTK
は、特に、溶融紡糸法、延伸加工法、ブロー成形法に適
しており、射出成形加工、圧縮成形加工等も容易であ
る。また、本発明のPTKは、高融点、高ガラス転移温
度で、電気絶縁性、耐薬品性、耐酸化性などに優れてい
るので、例えば、電気電子部品(コネクター、テープキ
ャリヤー、FPC、磁気記録用フィルム、絶縁紙等)、
機械部品(カメラ部品、時計部品等)、自動車部品(キ
ャブレター、キャニスター、反射板等)などの種々の分
野に使用できる。その他、成形品以外としては、粒状あ
るいは溶液状で、コーティング材、コーキング材等とし
て用いられる。
【0058】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。
【0059】[実施例1〜5]チタン材で内張りし、撹
拌装置を備えたオートクレーブに、表1に示したよう
に、有機アミド溶媒としてN−メチルピロリドン(NM
P)、アルカリ金属硫化物としてNa2S・nH2O(n
=5.06)、ジハロ芳香族化合物として4,4′−ジ
クロロベンゾフェノン(DCBP)を仕込み、必要に応
じてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)、4,4′−
ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)、及び蒸留
水を仕込んだ。仕込み組成は、表1に示したとおりであ
る。次いで、窒素ガスで置換後、撹拌しながら所定温度
に加熱して(A)前段工程の重合を行った。ただし、実
施例1及び2の場合は、仕込み後、約3Torrで約1
0分間減圧脱ガス、次いで、窒素ガスで約3気圧加圧し
て重合反応を開始した。
【0060】(A)前段工程の終了後、撹拌しながら、
必要に応じてDCBP、1,2,4−トリクロロベンゼ
ン(TCB)、NMP、または水を表1に示すとおり追
加チャージした。(B)後段工程の開始直前に混合液を
少量サンプリングし、溶液粘度ηinhを測定した。次い
で、反応混合物を昇温して、(B)後段工程の重合を行
った。(B)後段工程終了後、撹拌を継続しながら、室
温まで降温し、反応混液を取おろして、NMPで約2倍
量に希釈後、濾別し、アセトン洗浄し、アセトンスラリ
ーとしてから目開き0.1mmのスクリーンで粒状物を
篩分し、通過液は濾紙で濾して、ポリマーを捕集した。
それぞれ水洗し、80℃で、減圧乾燥した。
【0061】分子量の指標となる溶液粘度(ηinh
は、各重合物サンプルにつき、ホットプレスを用い、3
80℃/10秒間加熱溶融し、直ちに氷水に投入して急
冷し、厚さ約0.2mmの実質的に非晶のシートを調製
し、このシートの一部について、m−クロロフェノール
/1,2,4−トリクロロベンゼン=1:1(重量比)
の混合溶媒を用い、濃度0.4g/dl、30℃でη
inhを測定した。
【0062】溶融結晶化エンタルピー(ΔHmc)の保
持率については、以下の方法で測定し、算出した。差動
走査熱量計(DSC)を用い、窒素ガス雰囲気下で、各
重合物につき、50℃に5分間保持した後、50℃から
400℃まで100℃/分の昇温速度で急速昇温し、4
00℃で1分間保持して完全に溶融させ、次いで、10
℃/分の速度で降温してΔHmc(400℃/1分)を
測定した。また、各重合物につき、同様に50℃から4
00℃まで100℃/分の昇温速度でで急速昇温し、4
00℃で21分間溶融状態を保持し、次いで10℃/分
の速度で降温してΔHmc(400℃/21分)を測定
した。
【0063】ΔHmc保持率は、次の式から算出した。 ΔHmc保持率(400℃/20分)=[ΔHmc(4
00℃/21分)/ΔHmc(400℃/1分)]×1
00 TmとTgは、ηinh測定に用いたシート試料につい
て、DSCを用いて30℃から400℃まで10℃/分
の速度で昇温加熱して求めた。粉体特性については、粒
径0.1mm以上の粒状物について、JIS K−00
69−31及びJIS K−6721−33に準拠し
て、平均粒径及び見掛け比重を求めた。結果は一括して
表2に示した。
【0064】[比較例1〜5]重合条件は、表1に示す
ように一部を変更した以外は、実施例と同様にして、重
合反応及び後処理を行いポリマーを回収した。ただし、
減圧脱ガス及び窒素ガス加圧の操作は比較例1〜3のみ
実施した。ポリマーの物性も実施例と同様に測定した。
ただし、Tm、Tg、粒子平均径、及び粒子見掛け比重
に関しては粒状物(0.1mm以上)のものについてだ
け、実施例と同様にして測定した。物性の結果は表2に
示した。
【0065】[比較例6] (液化再析法)4,4′−ジクロロベンゾフェノン2.
0モル、NaHS水溶液189.4g(NaHS2.0
モルと水4.4モル)、NaOH2.0モル、NMP
2.40kg、及び水6.4モルをオートクレーブ中
で、撹拌しながら250℃で3時間重合させた。重合反
応完了後、ポリマーを反応混合物から分離せず、そのま
ま300℃に昇温加熱して、一旦溶液化し、しかる後、
280℃に降温して、水25.0モルを圧入し、オート
クレーブ中で撹拌しながら次いで1℃/分の速度で徐冷
し、取おろした。回収ポリマーを水洗し、125℃で5
時間乾燥して、粒状ポリマーを得た。
【0066】[比較例7]4,4′−ジクロロベンゾフ
ェノン0.43モル、NaHSフレーク0.443モ
ル、水0.97モル、NaOH0.432モル、及びN
MP343gをオートクレーブ中で、窒素ガスで置換
後、1時間かけて250℃まで昇温し、250℃で3時
間保持後、200℃まで冷却し、4,4′−ジクロロベ
ンゾフェノン3重量%含有NMP溶液103gを仕込
み、250℃で1時間保持した。反応混合物を濾別し、
熱水洗後80℃で減圧乾燥し微粉状ポリマーを得た。
【0067】[比較例8]4,4′−ジクロロベンゾフ
ェノン2.0モル、NaHSフレーク2.0モル、水
6.0モル、NaOH1.0モル、Na2CO31.0モ
ル、及びNMP2380gをオートクレーブ中で窒素ガ
ス置換後、250℃で3時間保持し、300℃まで昇温
して完全に液状化後、撹拌しながら相分離剤として水6
00mlを圧入して降温した。反応混合物を濾別し、ア
セトン洗浄し、120℃で減圧乾燥し顆粒状ポリマーを
得た。
【0068】[比較例9]4,4′−ジクロロベンゾフ
ェノン2.0モル、NaHSの2水塩2.03モル、N
aOH2.0モル、及びNMP2.46Kgをオートク
レーブ中で、窒素ガスで置換後、250℃で1時間保持
し、160℃に冷却し、コンデンサーを取付け約200
℃まで昇温しながら脱水した。捕集した水分量から過剰
に脱水した分を計算し、水を追加チャージし、NMP当
り2.9重量%になるように調整した。次いで、250
℃で2時間、270℃で0.5時間保持し一晩放冷し
た。反応混合物を水中に投入し、濾別、水洗後、NaO
H1%水溶液で120℃で洗浄し、さらにCaCl2
溶液で180℃で0.5時間洗浄後、100℃で乾燥し
微粉状ポリマーを得た。
【0069】[比較例10]4,4′−ジクロロベンゾ
フェノン5.36モル、Na2S5.26モル、水1
4.9モル、及びNMP7.0kgをオートクレーブ中
で、150℃で3時間保持して前段重合を行い、次い
で、260℃で3時間保持して後段重合を行った。反応
終了後、室温まで冷却し、反応混合物を濾別し、熱水洗
し、100℃で乾燥し微粉末状ポリマーを得た。
【0070】[比較例11]4,4′−ジクロロベンゾ
フェノン9.0モル、Na2S9.0モル、水45.0
モル、及びNMP9.0kgをオートクレーブ中で窒素
ガス置換後、240℃で2.5時間保持し、4,4′−
ジクロロベンゾフェノン0.9モル、NMP1.5K
g、及び水7.5モルを圧入し、260℃で0.33時
間保持して反応させた。反応終了後、反応混合物を冷却
し、アセトンを投入し、濾別後、アセトン洗浄、水洗
し、80℃で乾燥し微粉末状ポリマーを得た。ポリマー
の物性値を実施例と同様にして測定し、その結果を表2
に示した。
【0071】
【表1】
【0072】(脚注) NMP :N−メチルピロリドン DCBP:4,4′−ジクロロベンゾフェノン TCB:1,2,4−トリクロロベンゼン p−DCB:p−ジクロロベンゼン DCDPS:4,4′−ジクロロジフェニルスルホン (*1)アルカリ金属硫化物の結晶水も含む。 (*2)(A)前段工程の水分量と追加水との総和。 (*3)実施例1〜5及び比較例1〜2については、オ
ートクレーブの内温が300℃から312℃まで上が
り、再び300℃まで戻るまでの所要時間を表す。同様
に、比較例3については、オートクレーブの内温が28
5℃から291℃まで上がり、再び285℃まで戻るま
での所要時間を表す。 (*4)仕込み後、減圧脱ガス(約3Torrで約10
分間)及び窒素ガス加圧(約3気圧)操作を実施した。 (*5)水量過少 (*6)プレポリマーのηinh過少で、(B)工程で分
解反応が生じた。 (*7)温度過低 (*8)水量過少、温度過低 (*9)(B)後段工程なし
【0073】
【表2】 (脚注) (*10)回収ポリマーの中、目開き0.1mmスクリ
ーン不通過粒子の割合 (*11)繰り返し単位I/繰り返し単位II=99.
5/0.5(基本モル%/基本モル%)のコポリマー 繰り返し単位I
【0074】
【化6】 繰り返し単位II
【0075】
【化7】 (*12)液化再析法 (*13)Na2S過剰 (*14)Na2CO3添加 (*15)水量過少 (*16)前段温度低い (*17)後段温度低い
【0076】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、重合工程を
工夫することにより、粒状で高溶融安定性ポリアリーレ
ンチオエーテルケトンが得られる。また、本発明によれ
ば、粒状で高溶融安定性に優れたポリアリーレンチオエ
ーテルケトンが提供される。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 で表される繰り返し単位を含むポリアリーレンチオエー
    テルケトンであって、(a)溶液粘度(ηinh)が0.
    30dl/g以上〔ただし、ηinhは、m−クロロフェ
    ノールと1,2,4−トリクロロベンゼンの1:1(重
    量比)混合溶媒中、濃度0.4g/dl、30℃で測定
    した値である。〕、(b)溶融結晶化エンタルピー(Δ
    Hmc)保持率(400℃/20分)が60%以上〔た
    だし、ΔHmc保持率(400℃/20分)は、差動走
    査熱量計を使用してポリマーを不活性ガス雰囲気中で5
    0℃に5分間保持した後、100℃/分の速度で400
    ℃まで昇温し、次いで、400℃で1分間保持した
    後、10℃/分の速度で降温した際の溶融結晶化エンタ
    ルピーΔHmc(400℃/1分)と、400℃で2
    1分間保持した後、10℃/分の速度で降温した際の溶
    融結晶化エンタルピーΔHmc(400℃/21分)を
    測定し、式 ΔHmc保持率(400℃/20分)=[ΔHmc(4
    00℃/21分)/ΔHmc(400℃/1分)]×1
    00 により算出した値である。〕、(c)融点(Tm)が3
    40〜360℃、(d)ガラス転移温度(Tg)が12
    5℃以上、及び(e)平均粒径が0.1〜2mm、で定
    義される粒状の高溶融安定性ポリアリーレンチオエーテ
    ルケトン。
  2. 【請求項2】 含水有機アミド溶媒中で、アルカリ金属
    硫化物と4,4′−ジハロベンゾフェノンを含むジハロ
    芳香族化合物とを反応させて式(I) 【化2】 で表される繰り返し単位を含むポリアリーレンチオエー
    テルケトンを製造する方法において、この反応を少なく
    とも下記の(A)前段工程及び(B)後段工程の二段階
    工程で行い、後段工程終了後、そのまま撹拌を維持しつ
    つ降温することを特徴とする粒状の高溶融安定性ポリア
    リーレンチオエーテルケトンの製造方法。 (A)前段工程: ジハロ芳香族化合物の仕込量/アルカリ金属硫化物の
    仕込量の比を0.95〜1.2(モル/モル)とするこ
    と。 共存水分量/有機アミド溶媒仕込量の比を1〜15
    (モル/kg)とすること。 含水有機アミド溶媒中、アルカリ金属硫化物とジハロ
    芳香族化合物とを180〜260℃で0.3〜30時間
    反応させて、溶液粘度(ηinh)が0.15dl/g以
    上のプレポリマーを生成させること〔ただし、η
    inhは、m−クロロフェノールと1,2,4−トリクロ
    ロベンゼンの1:1(重量比)混合溶媒中、濃度0.4
    g/dl、30℃で測定した値である。〕。 (B)後段工程: 反応混合物中の共存水分量/有機アミド溶媒仕込量の
    比を7〜15(モル/kg)とすること。 前記プレポリマーを含む反応混合物をさらに300℃
    超過350℃未満で0.05〜10時間反応させて、該
    プレポリマーの溶液粘度(ηinh)より少なくとも0.
    03dl/g増大した溶液粘度(ηinh)を有するポリ
    マーを生成させること。
  3. 【請求項3】 前段工程の共存水分量/有機アミド溶媒
    仕込量の比を7〜15(モル/kg)とする請求項2記
    載の製造方法。
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