JPH06282841A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH06282841A
JPH06282841A JP9385293A JP9385293A JPH06282841A JP H06282841 A JPH06282841 A JP H06282841A JP 9385293 A JP9385293 A JP 9385293A JP 9385293 A JP9385293 A JP 9385293A JP H06282841 A JPH06282841 A JP H06282841A
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JP
Japan
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vapor deposition
film
magnetic
oxide
recording medium
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Withdrawn
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JP9385293A
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English (en)
Inventor
Tomio Kobayashi
富夫 小林
Kenichi Sato
研一 佐藤
Hiroshi Uchiyama
浩 内山
Kazunobu Chiba
一信 千葉
Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
Tsutomu Takeda
勉 武田
Takao Mori
敬郎 森
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Coを主体とする磁性蒸着薄膜2を磁性層と
する磁気記録媒体において、前記磁性蒸着薄膜上に、保
護膜としてSi酸化物マトリックス層と金属酸化物分散
層よりなる2層組織構造の複合酸化物蒸着膜3を形成す
る。 【効果】 上記複合酸化物蒸着膜は磁性蒸着薄膜上に強
固に密着形成されるので、走行耐久性,耐食性に優れた
磁気記録媒体を得ることができる。また、上記複合酸化
物蒸着膜は成膜速度の速い真空蒸着法によって成膜され
るので磁気記録媒体の生産性が向上できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性蒸着薄膜を磁性層と
する,いわゆる蒸着型の磁気記録媒体及びその製造方法
に関し、特に磁性蒸着薄膜上に形成する保護膜の改良に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、VTR(ビデオテープレコーダ)
等の分野においては、高画質化を図るべく密度記録の向
上を目的として種々の改良が進められている。例えば、
記録媒体として、ベースフィルム上にCo、あるいはC
o−Cr系合金,Co−Cr−Ni系合金,Co−Ni
系合金等の強磁性金属材料を真空蒸着法により直接被着
してなる磁性蒸着薄膜を磁性層とする,いわゆる蒸着テ
ープが使用されるようになっている。
【0003】この蒸着テープは、磁性層の厚みを極めて
薄くすることが可能であるため記録減磁や再生時の厚み
損失が著しく小さい、磁性層中の強磁性金属原子の占有
体積率を大きくできるため高保磁力,高磁束密度が得ら
れる等,高密度記録に適した特長を有するものである。
【0004】ところで、このような蒸着テープにおいて
は、磁性層として形成される磁性蒸着薄膜表面の平滑性
が極めて高いため、磁気ヘッドやガイドローラ等の摺動
部材に対する実質的な接触面積が大きく、従って摩擦係
数が大きくなり凝着現象(いわゆる貼り付き),テープ
表面の損傷が起き易く走行耐久性に欠ける。また、上記
磁性蒸着薄膜は金属材料より構成されるために保存中、
特に高温ないしは高湿度下に放置された場合に磁性層表
面に腐食を生じ易く、このために飽和磁化量の如き磁気
特性が経時的に劣化する問題もある。
【0005】そこで、このような蒸着テープにおいて
は、磁性層上に保護膜としてSiO2,ZrO2 ,ダイ
ヤモンドライクカーボン等の非磁性高硬度膜を真空薄膜
形成技術により成膜し、この非磁性高硬度膜によりテー
プ表面の摩擦係数の低減,損傷の防止を図るとともに金
属酸化因子の磁性層への侵入を抑えるようになされてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダイヤ
モンドライクカーボン膜は、真空蒸着法で成膜するのに
適さず、成膜速度が真空蒸着法に比べて格段に遅いカー
ボンをターゲットとしたRFスパッタリング法,炭化水
素ガスを用いたプラズマCVD法によって成膜するしか
ない。すなわち、RFスパッタリング法,プラズマCV
D法の成膜速度は、真空蒸着法(斜め蒸着法を含む)の
成膜速度が約5000〜50000nm/分であるのに
対して約50〜1000nm/分と遅く、このような成
膜方法でしか成膜できないダイヤモンドライクカーボン
膜を保護膜に用いた場合には、保護膜の成膜工程にかな
りの時間を要し、生産性の点で不利である。
【0007】一方、SiO2 ,ZrO2 等の非磁性高硬
度膜は、RFスパッタリング法,反応性スパッタリング
法によっても成膜されるが、真空蒸着法によっても成膜
できるといった利点がある。しかし、これら非磁性高硬
度膜は、磁性蒸着薄膜に対する密着強度が不足してお
り、磁性層上に保護膜として形成した場合に、摺動部材
との繰り返し摺動により徐々に磁性層から剥離して保護
効果が劣化する。
【0008】ここで、SiO2 ,ZrO2 等の非磁性高
硬度膜の密着強度は、該非磁性高硬度膜を蒸着法で成膜
する場合、成膜基板を200〜300℃に加熱すること
によって向上できることが一般に知られている。しか
し、蒸着テープにおいて汎用されている基板が耐熱温度
約100℃以下と耐熱性に劣るポリエチレンテレフタレ
ート(PET)基板であることを考慮すると、基板の加
熱を行うことはPET基板を変形させる危険性があるこ
とから妥当ではない。
【0009】この他、非磁性高硬度膜の密着強度を増大
させる方法としては、蒸着に先んじて成膜面にボンバー
ド処理,逆スパッタリング処理,ドライエッチング処理
等の処理を施しておく方法もある。しかし、これら処理
を上記蒸着テープに適用しても、磁性層と保護膜の密着
強度の向上は極僅かに過ぎず、保護効果の大幅な延長を
達成するには至らない。
【0010】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、保護膜の磁性層に対する
密着強度を向上させるとともに保護膜の成膜時間を短縮
し、走行耐久性,耐食性,生産性に優れた磁気記録媒体
及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上にCo
を主成分とする磁性蒸着薄膜が形成され、該磁性蒸着薄
膜上に保護膜としてSi酸化物を主成分とする複合酸化
物蒸着膜が形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0012】また、上記複合酸化物蒸着膜がSi酸化物
とCr,Sn,Cu,Al,B,Fe,Ni,Ti,C
o,Zr,Mg,Bi,Ba,希土類金属から選ばれる
少なくとも1種の酸化物を含有することを特徴とするも
のである。さらに、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、上記磁気記録媒体の複合酸化物蒸着膜を形成するに
際し、蒸着源としてSiを主成分とするSiとCr,S
n,Cu,Al,B,Fe,Ni,Ti,Co,Zr,
希土類金属から選ばれる少なくとも1種からなるSi合
金を用い、酸素ガス雰囲気中で真空蒸着すること特徴と
するものである。
【0013】また、上記磁気記録媒体の複合酸化物蒸着
膜を形成するに際し、蒸着源としてSiOとTiO2 ,
B2 O3 ,MgO,Bi2 O3 ,NiO,BaO,Al
2 O3 の中から選ばれる少なくとも1種の酸化物からな
る混合酸化物を用いることを特徴とするものである。
【0014】本発明が適用される磁気記録媒体は、非磁
性支持体上にCoを主成分とする磁性蒸着薄膜が形成さ
れてなるいわゆる蒸着型の磁気記録媒体である。
【0015】上記磁性蒸着薄膜は、CoあるいはCo−
Cr系合金,Co−Cr−Ni系合金,Co−Ni系合
金等のCo系合金を蒸着源として用い、微量の酸素混入
雰囲気下、真空蒸着を行うことで成膜されるものであ
る。ここで、蒸着に際しては斜め蒸着,垂直蒸着のいず
れでもよいが、通常は斜め蒸着とされる。
【0016】図1に、斜め蒸着によって形成された磁性
蒸着薄膜の組織構造を模式的に示す。このようにして成
膜される磁性蒸着薄膜は、CoあるいはCo合金がカラ
ム状に斜めに結晶成長しており、その結晶カラム1の境
界域及び膜表面がCo−O層2となっている。この結晶
カラム1の構造は、成膜雰囲気中へ導入する酸素量によ
って制御され、成膜雰囲気中の酸素の混入量が多い場合
程、結晶カラム及び結晶カラム内粒子が微細化される。
【0017】ここで、本発明においては、このような磁
性蒸着薄膜上に、媒体表面の摩擦係数を低減するととも
に該磁性蒸着薄膜を摺動部材との摺動,金属酸化因子と
の接触から保護するために、Si酸化物を主成分とする
複合酸化物蒸着膜3を保護膜として形成する。
【0018】上記複合酸化物蒸着膜の主成分となるSi
酸化物とは、SiOx (但し、xは1〜2である。)で
表されるものであり、具体的にはSiOとSiO2 の混
合酸化物である。上記複合酸化物蒸着膜では、このSi
酸化物を主成分としていることにより、摩擦係数が低い
ものとなり、且つ磁性蒸着薄膜上に強固に密着形成でき
る。
【0019】ここで上記複合酸化物蒸着膜の密着強度
は、Si及びSiOがCoよりも酸素との親和力が高い
ことに起因している。以下に、この複合酸化物蒸着膜と
磁性蒸着薄膜の密着機構について説明する。
【0020】すなわち、Coを主体とする磁性蒸着薄膜
は、上述の如く膜表面がCo−O層2となっている。し
たがって、上記複合酸化物蒸着膜3は、このCo−O層
の上に直接成膜されることとなる。
【0021】例えば図2に示す如く、Co−O層2上
に、Siを蒸着源として、酸素混入雰囲気下、Si酸化
物蒸着膜4を成膜したとする。すると、Co−O層2表
面では、被着した活性なSi及びSiOが、その酸素親
和力がCoよりも大きいことから化1,化2に示す如く
CoOを還元してCoを生成し、それ自身はそれぞれ酸
化されてSiO2 あるいはSiOを経てSiO2 とな
る。
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】このような酸化還元反応によって生成され
るCoは、反応に関与していないCo−O層2との密着
強度が高く、その一方、酸化還元反応によって生成した
SiO2 との密着強度も高い。またこの酸化還元反応に
よって生成したSiO2 はさらにその上に順次被着され
るSiOとSiO2 よりなるSi酸化物蒸着膜4とも強
固に密着する。つまり、上述のような酸化還元反応によ
ってCo−O層2とSi酸化物蒸着膜4の界面にCo
O,SiO,Co,SiO2 の反応混在層5が形成さ
れ、この反応混在層5がCo−O層2とSi酸化物蒸着
膜4を強固に密着させる。
【0025】しかし、上述のようにして成膜されるSi
酸化物蒸着膜4は、Si酸化物がアモルファス単一相と
なって連続的に成長,膜形成した単一相組織であるた
め、CoOとの相互作用及びSi酸化物膜成長時に膜内
に生成する内部要因的歪との和として生成される膜内応
力が同一方向性を持って内在している。
【0026】このように同一方向性を持った膜内応力を
内在している保護膜は、一部にクラックが入るとそれが
広い範囲に伝播して広面積に及ぶクラックが誘発され、
耐久性の点で問題がある。
【0027】そこで、本発明においては、Si酸化物蒸
着膜そのものではなく、Si酸化物蒸着膜をマトリック
ス相とし、このマトリックス相にCr,Sn,Al,
B,Fe,Ni,Ti,Co,Zr,Mg,Bi,B
a,希土類金属から選ばれる少なくとも一種の酸化物を
微細に分散せしめた複合酸化物蒸着膜を保護膜として形
成する。
【0028】すなわち、このような複合酸化物蒸着膜
は、図3に示すように、Si酸化物マトリックス相11
と金属酸化物分散相12の2相構造組織である。このた
め、膜内応力が分散されてクラックが発生し難く、ま
た、図4に示すようにたとえSi酸化物マトリックス相
11にクラック13が入ったとしても金属酸化物分散相
12の存在によってクラックの伝播が停止され、クラッ
クが広面積に及ぶのが防止される。
【0029】なお、上記複合酸化物蒸着膜において、主
成分となるSi酸化物,すなわちSiOx の酸素含有量
xは複合酸化物膜の密着強度,膜強度に影響を与え、密
着強度,膜強度をともに向上させるには1.1〜1.9
の範囲とすることが好ましい。また、金属酸化物分散相
のクラック伝播防止効果は、金属酸化物の分散量,用い
る金属酸化物の種類の適正化,あるいは図5に示すよう
に2種類以上の金属酸化物分散相12を組み合わせるこ
とにより向上できる。しかし金属酸化物分散相12の複
合酸化物蒸着膜3に占める割合があまり大きくなると該
複合酸化物蒸着膜3の耐久性が劣化し、保護膜としての
機能が十分に得られなくなる。したがって、金属酸化物
分散相12を構成する金属原子とSi酸化物マトリック
ス相11を構成するSiとは、金属原子/Si酸化物
(モル比)が2/10以下となるように量設定すること
が好ましい。また、上記複合酸化物蒸着膜3には、組織
構造に影響を与えない程度の微量の窒素が含有されてい
てもよい。
【0030】上述のようなSi酸化物マトリックス相1
1に金属酸化物分散相12が微量分散した二相組織構造
の複合酸化物蒸着膜3は、例えばSiと、微量のCr,
Sn,Cu,Al,B,Fe,Ni,Ti,Co,Z
r,希土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属から
なるSi合金を蒸着源とし、酸素ガス導入雰囲気中で真
空蒸着することによって成膜できる。
【0031】蒸着源となるSiと上記に例示した金属元
素のSi合金を酸素ガス導入雰囲気中で加熱蒸発させる
と、Siと金属元素は酸化されてそれぞれSi酸化物と
金属酸化物となる。そして、これら酸化物は互いに固溶
することなく、Si酸化物マトリックス相11中に金属
酸化物が微量分散相として析出し、上記二相組織構造の
複合酸化物蒸着膜3が形成される。
【0032】ここで、Si酸化物と固溶しない酸化物を
生成する金属としては上記に例示した金属元素以外にも
各種存在するが、本発明において特に上記金属元素を選
定したのは、上記金属元素の蒸発速度がSiの蒸着速度
と近似しているか,あるいは若干遅いからである。
【0033】すなわち、Si合金を蒸着源として真空蒸
着する場合に、Siと、Siと合金を構成する金属元素
の蒸発速度が大きく異なっていると成膜される蒸着膜の
組成比が蒸着の進行に伴って経時的に変化し、蒸着初期
に成膜された蒸着膜と蒸着後期で成膜された蒸着膜とで
組成比が大きくずれる。これにより、形成される複合酸
化物蒸着膜は走行耐久性が不安定なものとなる。上記に
例示した金属元素は、蒸発速度が比較的Siと近似して
いる。したがって、このような金属元素のSi合金を蒸
着源として用いることにより、組成比変動を生ずること
なく耐久性の均一な複合酸化物蒸着膜が成膜される。
【0034】参考のため、各種元素の温度と蒸発速度
(mol/m2 ・秒)の関係を図6に示す。これら元素
の内、Siと蒸着速度が近似している元素は、上述の如
く蒸着膜の組成変動を生じ難く、蒸着源となるSi合金
の構成金属元素として適している。また、Siより蒸着
速度が適度に遅い元素は、蒸着速度が遅いことがむしろ
Si酸化物中に微細析出するのに有利に働く。一方、A
gよりも蒸発速度の速い元素は、Siとの組成比コント
ロールが困難であり、走行耐久性の安定な保護膜が形成
できない点から幾分不適当である。
【0035】また、さらに上記2相組織構造の複合酸化
物蒸着膜3は、蒸着源としてSiO2 及びSiOとTi
O2 ,B2 O3 ,MgO,Bi2 O3 ,NiO,Ba
O,Al2 O3 の中から選ばれる少なくとも1種の金属
酸化物からなる混合酸化物を用いて真空蒸着するこによ
っても形成できる。
【0036】ここで、蒸着源として上記金属酸化物を選
んだのはSi酸化物と蒸着速度が近似しているからであ
る。図7に、各種酸化物の温度と蒸発速度(mol/時
間・面積)の関係を示す。SiO2 よりも蒸発速度が極
端に速い金属酸化物は、Si酸化物中に微量分散物とし
て析出させることが難く、2相組織構造の形成が困難で
ある。逆に、SiO2 よりも金属酸化物の蒸発速度が極
端に遅い場合には、金属酸化物を蒸発させるために蒸着
温度を高温に設定しなければならず、蒸着膜を形成する
非磁性支持体に熱損傷を生じさせる虞れがある。
【0037】なお、本発明の磁気記録媒体において、上
記磁性蒸着薄膜1,複合酸化物蒸着膜3が形成される非
磁性支持体1としては、高分子フィルムや剛性プラスチ
ック基板,AlやAl合金等よりなる金属板,ガラス板
等、通常の磁気記録媒体で使用されているものがいずれ
も使用可能であり、その形態もシート状,テープ状,デ
ィスク状,カード状,ドラム状等、用途に応じて適宜選
択することができる。
【0038】
【作用】本発明では、Coを主体とする磁性蒸着薄膜を
磁性層とする磁気記録媒体において、前記磁性蒸着薄膜
上に、Si酸化物を主成分とし、所定の金属酸化物を微
量分散成分とする複合酸化物蒸着膜を保護膜として成膜
する。上記複合酸化物蒸着膜は、その主成分であるSi
酸化物と磁性蒸着薄膜表面のCo−O層とが酸化還元反
応を起こすことによって磁性蒸着薄膜上に強固に密着形
成される。また、上記複合酸化物蒸着膜は、金属酸化物
を微量分散成分として含んでいることにより、膜内応力
が分散され、また一部にクラックが入った場合でもその
伝播が微量分散する金属酸化物によって停止されクラッ
クが広面積に及ぶことがない。したがって、このような
複合酸化物蒸着膜が保護膜として形成された磁気記録媒
体は、摺動部材に対して繰り返し摺動した場合でも保護
膜の保護効果が十分に維持され、優れた走行性,耐久
性,耐酸化性を示す。
【0039】なお、上記複合酸化物蒸着膜は、例えばS
iと、微量のCr,Sn,Cu,Al,B,Fe,N
i,Ti,Co,Zr,希土類金属から選ばれる少なく
とも1種の金属からなるSi合金を蒸着源とし、酸素ガ
ス導入雰囲気中で真空蒸着するか、あるいは蒸着源とし
てSiO2 及びSiOとTiO2 ,B2 O3 ,MgO,
Bi2 O3 ,NiO,BaO,Al2 O3 の中から選ば
れる少なくとも1種の金属酸化物からなる混合酸化物を
用いて真空蒸着することによって短時間に形成される。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0041】実施例1 本実施例は保護膜となるSi複合酸化物蒸着膜を、蒸着
源としてSi合金を用い、酸素ガス導入雰囲気下、真空
蒸着によって成膜した例である。
【0042】先ず、厚さ10μm,幅150mmのポリ
エチレンテレフタレート(PET)製非磁性支持体上
に、アクリルエステルを主成分とする水溶性ラテックス
を約1000万個/mm2 の密度で載置し下塗り層を形
成した。そして、この下塗り層が形成された非磁性支持
体上に、磁性層としてCo−Ni斜方蒸着薄膜を、保護
膜として複合酸化物蒸着膜を真空蒸着法によって成膜
し、蒸着テープ原反を作製した。
【0043】本実施例で使用した蒸着装置について図面
を参照しながら説明する。上記蒸着装置は、図8に示す
ように、排気管9によって内部が高真空状態となされた
チャンバー11内に、巻き出しロール8,巻き取りロー
ル7,冷却キャン6よりなる走行系と、蒸発源である金
属磁性材料が収容された収容容器2と、蒸着時に酸素ガ
スを導入する酸素ガス導入管4とを収容することにより
構成されている。
【0044】上記巻き出しロール8,冷却キャン6,巻
き取りロール7には、長尺状の非磁性支持体12が順次
掛け渡され、前記巻き出しロール8より冷却キャン6側
に送り出されて最終的に前記巻き取りロール7に巻き取
られるようになされている。また、上記冷却キャン6の
内部には、図示しない冷却装置が設けられ、前記非磁性
支持体12の温度上昇による変形等を防止するようにな
されている。
【0045】上記収容容器2は、前記冷却キャン6の下
方に配設されている。そして、この収容容器2内に収容
される蒸着源は、電子銃1によって加熱蒸発させられ、
前記冷却キャン6の外周囲を走行する非磁性支持体12
上に蒸着膜として被着形成されるようになされている。
【0046】また、上記冷却キャン6の外周囲近傍部に
は、前記金属磁性材料の加熱蒸発による金属蒸気流を遮
蔽するシャッター3が配設されている。上記シャッター
3は、蒸気流が前記非磁性支持体12に対して所定角度
範囲で斜めに蒸着されるように当該非磁性支持体12の
所定範囲を覆うものである。
【0047】また、上記非磁性支持体12の走行方向の
下流側,すなわち金属蒸気流の低入射角側には、外部よ
りチャンバー11内へ導かれ酸素ガス導入管4が配設さ
れており、この酸素ガス導入管4から導入される酸素に
よって非磁性支持体上に被着された蒸着元素が酸化でき
るようになっている。さらに、この酸素ガス導入管4の
近傍には、イオン化電極5が配設されている。このイオ
ン化電極5は、蒸着流を帯電させて非磁性支持体との電
位差を大きくして加速し、付着強度を増加させるための
ものである。
【0048】このように構成された蒸着装置を用いて非
磁性支持体12上に磁性蒸着薄膜,複合酸化物蒸着膜を
形成するには、先ず、チャンバー11内を真空状態とし
た後、巻き出しロール8から巻き取りロール7に亘って
非磁性支持体12を走行させる。そして、金属磁性材料
を加熱蒸発させ、この蒸気流を前記シャッター3の操作
により非磁性支持体12の所定角度範囲に供給する。こ
のとき同時に前記酸素ガス導入管4より所定量の酸素ガ
スを導入し、非磁性支持体12の幅方向全体に亘って酸
素ガスを供給する。すると、前記冷却キャン6の周面に
沿って走行する非磁性支持体12上に蒸着膜が被着され
る。そして、蒸着膜が形成された非磁性支持体12は上
記巻き取りロール7に巻き取られる。
【0049】なお、本実施例で採用したCo−Ni斜方
蒸着薄膜,複合酸化物蒸着膜の蒸着条件を以下に示す。 Co−Ni斜方蒸着薄膜蒸着条件 蒸着源 :Co80Ni20(重量%) 入射角 :90°〜45° テープスピード:0.17m/秒 O2 導入流量 :3.3×10-6m3 /秒 テープの幅 :127mm 蒸着時クーリングロール温度:−20℃ 蒸着時真空度:7×10-2Pa 蒸着薄膜膜厚 :0.2μm 複合酸化物蒸着膜蒸着条件 蒸着源 :Si90Ti10(重量%) 入射角 :−20°〜+20° テープスピード:0.2m/秒 O2 導入流量 :6.0×10-6m3 /秒 蒸着時真空度 :7×10-2Pa 蒸着膜膜厚 :0.02μm
【0050】そして、このようにして作製された蒸着テ
ープ原反について、非磁性支持体のCo−Ni蒸着薄膜
が成膜された側とは反対側の面にカーボンがウレタンバ
インダーに分散されてなるバックコート塗料を塗布して
厚さ0.6μmのバックコート層を形成し、複合酸化物
蒸着膜の表面にはパーフルオロポリエーテルを塗布して
トップコート層を形成し、8mm幅に裁断して磁気テー
プを作製した。
【0051】実施例2〜実施例16 複合酸化物蒸着膜を成膜する際の蒸着源,酸素流量,蒸
着時真空度を表1に示すように変えたこと以外は実施例
1と同様にして磁気テープを作製した。
【0052】実施例17〜実施例23 本実施例は、保護膜となる複合酸化物蒸着膜を、蒸着源
としてSi酸化物と金属酸化物を用い、真空蒸着によっ
て成膜した例である。
【0053】複合酸化物蒸着膜を成膜する際の蒸着源,
蒸着時真空度を表2に示すように変え、蒸着雰囲気中に
酸素ガスを導入しなかったこと以外は実施例1と同様に
して磁気テープを作製した。
【0054】比較例1 Co−Ni斜方蒸着膜上に保護膜としてAl蒸着膜を以
下の蒸着条件で成膜したこと以外は実施例1と同様にし
て磁気テープを作製した。 Al蒸着膜蒸着条件 蒸着源 :Al 入射角 :−20°〜+20° テープスピード:0.2m/秒 O2 導入流量 :6.0×10-6m3 /秒 蒸着時真空度 :7×10-2Pa 蒸着膜膜厚 :0.02μm
【0055】比較例2 Co−Ni斜方蒸着膜上に保護膜としてSiO2 蒸着膜
を以下の蒸着条件で成膜したこと以外は実施例1と同様
にして磁気テープを作製した。 SiO2 蒸着膜蒸着条件 蒸着源 :SiO2 入射角 :−20°〜+20° テープスピード:0.2m/秒 O2 導入流量 :6.0×10-6m3 /秒 蒸着時真空度 :7×10-2Pa 蒸着膜膜厚 :0.02μm
【0056】以上のようにして作製された各種磁気テー
プについて、信号記録を行い、TSSヘッドでスチル再
生したときに再生出力が3dB減少するまでの時間(ス
チル耐久時間)を測定した。なお、測定には、ソニー社
製,商品名EV−S900の8mmVTR改造機を用い
た。その結果を蒸着条件とともに表1〜表3に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】表1〜表3を見てわかるように、保護膜と
してAl蒸着膜,SiO2 蒸着膜が形成された比較例
1,比較例2の磁気テープに比べて、保護膜として複合
酸化物蒸着膜が形成された実施例1〜実施例23の磁気
テープは遙に長いスチル耐久時間を示す。また、スチル
再生2時間経過後に実施例1〜実施例4の磁気テープ及
び比較例1,比較例2の磁気テープについてテープ表面
の様子を観察したところ、比較例1,比較例2の磁気テ
ープには損傷が認められたが、実施例1〜実施例4の磁
気テープにはそのような損傷は認められなかった。
【0061】このことから、複合酸化物蒸着膜は保護膜
として適しており、このような複合酸化物蒸着膜を保護
膜として形成することは磁気記録媒体の走行耐久性の向
上を図る上で非常に有効であることがわかった。
【0062】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、非磁性支持体上に磁性層としてCoを主成分と
する磁性蒸着薄膜が形成されてなる磁気記録媒体におい
て、前記磁性蒸着薄膜上に保護膜としてSi酸化物を主
成分とする複合酸化物蒸着膜を形成するので、磁性蒸着
薄膜に対する密着強度が非常に優れた保護膜が得られ、
走行耐久性,耐食性に優れた磁気記録媒体を得ることが
可能である。また、上記複合酸化物蒸着膜は、成膜速度
の比較的早い真空蒸着法によって成膜されるので、保護
膜の形成時間が短縮でき、磁気記録媒体の生産性の向上
を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Coを主体とする磁性蒸着薄膜の組織構造を示
す模式図である。
【図2】複合酸化物蒸着膜と磁性蒸着薄膜の密着機構を
説明する模式図である。
【図3】Si酸化物マトリックス相と金属酸化物微細分
散相よりなる複合酸化物蒸着膜を示す模式図である。
【図4】上記複合酸化物蒸着膜にクラックが入った様子
を示す模式図である。
【図5】Si酸化物マトリックス相と2種類の金属酸化
物微細分散相よりなる複合酸化物蒸着膜を示す模式図で
ある。
【図6】各種金属元素の温度と蒸着速度の関係を示す特
性図である。
【図7】各種金属酸化物の温度と蒸着速度の関係を示す
特性図である。
【図8】蒸着装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・結晶カラム 2・・・Co−O層 3・・・複合酸化物蒸着膜 4・・・Si酸化物蒸着膜 5・・・反応混在層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 一信 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 平塚 亮一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 蟻坂 裕一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 武田 勉 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 森 敬郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上にCoを主成分とする磁
    性蒸着薄膜が形成され、該磁性蒸着薄膜上に保護膜とし
    てSi酸化物を主成分とする複合酸化物蒸着膜が形成さ
    れていることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記複合酸化物蒸着膜がSi酸化物とC
    r,Sn,Cu,Al,B,Fe,Ni,Ti,Co,
    Zr,Mg,Bi,Ba,希土類金属から選ばれる少な
    くとも1種の酸化物を含有することを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の磁気記録媒体の複合酸
    化物蒸着膜を形成するに際し、蒸着源としてSiとC
    r,Sn,Cu,Al,B,Fe,Ni,Ti,Co,
    Zr,希土類金属から選ばれる少なくとも1種からなる
    Si合金を用い、酸素ガス雰囲気中で真空蒸着すること
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の磁気記録媒体の複合酸
    化物蒸着膜を形成するに際し、蒸着源としてSiO2 ,
    SiOとTiO2 ,B2 O3 ,MgO,Bi2O3 ,N
    iO,BaO,Al2 O3 の中から選ばれる少なくとも
    1種の金属酸化物からなる混合酸化物を用いて真空蒸着
    することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5679473A (en) * 1993-04-01 1997-10-21 Asahi Komag Co., Ltd. Magnetic recording medium and method for its production

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US5679473A (en) * 1993-04-01 1997-10-21 Asahi Komag Co., Ltd. Magnetic recording medium and method for its production

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