JPH06321827A - 光学活性な1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオールおよびその製造方法 - Google Patents

光学活性な1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオールおよびその製造方法

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JPH06321827A
JPH06321827A JP13245393A JP13245393A JPH06321827A JP H06321827 A JPH06321827 A JP H06321827A JP 13245393 A JP13245393 A JP 13245393A JP 13245393 A JP13245393 A JP 13245393A JP H06321827 A JPH06321827 A JP H06321827A
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JP
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diol
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syn
hydroxy
spectrum
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Application number
JP13245393A
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English (en)
Inventor
Toshio Kubota
俊夫 久保田
Norihisa Iijima
典久 飯島
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反強誘電性液晶の中間原料あるいはビルディ
ングブロック剤等として有用な新規化合物およびその製
造方法を提供する。 【構成】 新規化合物である光学活性な1,1,1−ト
リフルオロアルカン−2,3−ジオールのanti体お
よびsyn体ならびに、光学活性な1−ヒドロキシ−
2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンを金属
水素化物を用いて有機溶媒中で還元して得たジアステレ
マー混合物を、上記各新規化合物に分離することにより
各新規化合物を製造する方法。 【効果】 この新規化合物は、反強誘電性液晶の中間原
料あるいはビルディングブロック剤等として有用であ
り、高光学純度、高収率で製造し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば反強誘電性液晶
等の電子デバイスの中間原料として、あるいは医薬、農
薬に用いられる化合物に種々の官能基を導入できるビル
ディングブロック剤等として有用である、新規な光学活
性な含フッ素化合物の提供とその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】反強誘電性液晶等の電子材料の中間原料
で、重要なキラル部位の原料として有用である(R)−
1−トリフルオロメチルアルキルアルコールは知られて
いる。しかしながら、この化合物をキラル部位の原料と
して用いた反強誘電性液晶は、反強誘電性液晶相がかな
り高温側に存在するため、室温で作動する液晶表示素子
の実用化が困難であり、室温で反強誘電性液晶相を発現
せしめる材料が強く求められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
反強誘電性液晶相を室温で発現し、かつ高速応答性が期
待できる反強誘電性液晶の、重要なキラル部位を構成す
る原料化合物として期待され、また医薬、農薬に用いら
れる化合物に種々の官能基を導入できるビルディングブ
ロック剤等に有用な新規の化合物につき鋭意研究した結
果、本発明化合物を発明し、また該化合物を高光学純度
で高収率で製造する方法を見出し、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規化合物で
ある式(1)で示されるanti−(2S,3S)−
1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオール
(以下、anti体(2S,3S)型という)、式
(2)で示されるanti−(2R,3R)−1,1,
1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオール(以下、
anti体(2R,3R)型という)、式(3)で示さ
れるsyn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオ
ロアルカン−2,3−ジオール(以下、syn体(2
S,3R)型という)および式(4)で示されるsyn
−(2R,3S)−1,1,1−トリフルオロアルカン
−2,3−ジオール(以下、syn体(2R,3S)型
という)である。なお、以下、これら4種類の化合物を
総称して本発明化合物という。
【0005】
【化7】
【0006】
【化8】
【0007】
【化9】
【0008】
【化10】
【0009】また、本発明は、式(5)で示される
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルアルキルケトンを金属水素化物を用いて有機溶媒中
で還元して得たジアステレオマー混合物を、anti体
(2S,3S)型およびsyn体(2S,3R)型に分
離することを特徴とするanti体(2S,3S)型お
よびsyn体(2S,3R)型の製造方法である。
【0010】
【化11】
【0011】また、本発明は、有機溶媒中で式(6)で
示される(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフ
ルオロエチルアルキルケトンを金属水素化物を用いて有
機溶媒中で還元して得たジアステレオマー混合物を、a
nti体(2R,3R)型およびsyn体(2R,3
S)型に分離することを特徴とするanti体(2R,
3R)型およびsyn体(2R,3S)型の製造方法で
ある。
【0012】
【化12】
【0013】〔本発明化合物〕本発明化合物において、
式(1)〜(4)中におけるRで表わされるアルキル基
は、炭素数3〜10の直鎖状アルキル基、すなわち、n
−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘ
キシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニ
ル基およびn−デシル基であり、製造の容易性から有用
であるアルキル基は、Rが炭素数4〜8の直鎖状アルキ
ル基である。
【0014】anti体(2S,3S)型の好ましい具
体例を示すと、anti−(2S,3S)−1,1,1
−トリフルオロヘプタン−2,3−ジオール、anti
−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロオクタン
−2,3−ジオール、anti−(2S,3S)−1,
1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオール、an
ti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロデカ
ン−2,3−ジオールおよび、anti−(2S,3
S)−1,1,1−トリフルオロウンデカン−2,3−
ジオールである。
【0015】anti体(2R,3R)型の好ましい具
体例を示すと、anti−(2R,3R)−1,1,1
−トリフルオロヘプタン−2,3−ジオール、anti
−(2R,3R)−1,1,1−トリフルオロオクタン
−2,3−ジオール、anti−(2R,3R)−1,
1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオール、an
ti−(2R,3R)−1,1,1−トリフルオロデカ
ン−2,3−ジオールおよび、anti−(2R,3
R)−1,1,1−トリフルオロウンデカン−2,3−
ジオールである。
【0016】syn体(2S,3R)型の好ましい具体
例を示すと、syn−(2S,3R)−1,1,1−ト
リフルオロヘプタン−2,3−ジオール、syn−(2
S,3R)−1,1,1−トリフルオロオクタン−2,
3−ジオール、syn−(2S,3R)−1,1,1−
トリフルオロノナン−2,3−ジオール、syn−(2
S,3R)−1,1,1−トリフルオロデカン−2,3
−ジオールおよび、syn−(2S,3R)−1,1,
1−トリフルオロウンデカン−2,3−ジオールであ
る。
【0017】syn体(2R,3S)型の好ましい具体
例を示すと、syn−(2R,3S)−1,1,1−ト
リフルオロヘプタン−2,3−ジオール、syn−(2
R,3S)−1,1,1−トリフルオロオクタン−2,
3−ジオール、syn−(2R,3S)−1,1,1−
トリフルオロノナン−2,3−ジオール、syn−(2
R,3S)−1,1,1−トリフルオロデカン−2,3
−ジオールおよび、syn−(2R,3S)−1,1,
1−トリフルオロウンデカン−2,3−ジオールであ
る。
【0018】〔本発明化合物の製造方法〕以下、本発明
化合物の製造方法について述べる。本発明化合物の原料
化合物は、前述の式(5)または式(6)で示される
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルアルキルケトンまたは(R)−1−ヒドロキシ−
2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンであ
り、以下、これらを原料化合物と総称する。
【0019】〔原料化合物〕原料化合物は新規化合物で
あり、既に出願済である。
【0020】式(5)で示される(S)−1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンに
おいて、式中Rで表わされるアルキル基は、式(1)ま
たは式(3)におけるRに対応し、好適な化合物の具体
例としては、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−ト
リフルオロエチルブチルケトン、(S)−1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルペンチルケトン、
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトン、(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘプチルケトンおよび
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルオクチルケトンが挙げられる。
【0021】式(6)で示される(R)−1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンに
おいて、式中Rで表わされるアルキル基は、式(2)ま
たは式(4)におけるRに対応し、好適な化合物の具体
例としては、(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−ト
リフルオロエチルブチルケトン、(R)−1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチルペンチルケトン、
(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトン、(R)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘプチルケトンおよび
(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルオクチルケトンが挙げられる。
【0022】〔原料化合物の製造方法〕原料化合物は、
その鏡像異性体混合物をまず製造し、次いで光学活性な
アミロースカルバメート系誘導体を有効成分とする分離
剤を用いて、液体クロマトグラフィーによって前記混合
物を光学分割することにより取得することが出来る。そ
の具体的な方法を以下に述べる。
【0023】 (1)原料化合物の鏡像異性体混合物の製造方法 上記で述べた原料化合物の鏡像異性体混合物は、式
(7)に示される新規化合物であり、既に出願済みであ
る。
【0024】
【化13】
【0025】この化合物の製造方法について具体的に説
明すると、例えば2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフ
ルオロプロピオニトリルと、式(8)で示されるグリニ
ャール試薬(以下、グリニャール試薬という)を反応さ
せ(第一段反応)、次いで該反応生成物を鉱酸で加水分
解する(第2段反応)。 RMgBr (8) (ただし、式中Rは炭素数3〜10の直鎖状アルキル基
であり、式(7)のRに対応する。)
【0026】第一段反応を具体的に説明すると、例え
ば、反応温度−5℃〜5℃にて、グリニャール試薬を溶
解したジエチルエーテル等のエーテル溶液に、2−ヒド
ロキシ−3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルを
滴下し、滴下終了後、2時間程度攪拌して反応を充分完
結させ、付加生成物を生成させる。
【0027】上記反応における2−ヒドロキシ−3,
3,3−トリフルオロプロピオニトリルとグリニャール
試薬の供給割合は、2−ヒドロキシ−3,3,3−トリ
フルオロプロピオニトリル1モルに対して、グリニャー
ル試薬2〜3モルが好ましい。また2−ヒドロキシ−
3,3,3−トリフルオロプロピオニトリルの滴下は、
1モルを100分〜250分程度かけて行なうのが好ま
しい。
【0028】次に、第二段反応について説明すると、第
一段反応で得られた付加生成物を、塩酸等の鉱酸で加水
分解することにより、原料化合物を製造する。鉱酸は、
2−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロプロピオニ
トリル1モルに対して、3〜4グラム当量が好ましく、
鉱酸の濃度は1〜5Nが好ましい。加水分解反応は、先
に得られた付加生成物を含有する反応液に、鉱酸の水溶
液を滴下して行っても、また鉱酸の水溶液に付加生成物
を含有する反応液を滴下して行ってもよい。
【0029】上記加水分解反応は出来るだけ穏やかな温
度で行うが好ましく、常温が特に好適である。鉱酸の滴
下後、更に常温付近で20分〜60分程度攪拌放置する
ことにより反応を完結させる。次いでエーテル抽出等の
操作により、反応液から目的生成物を分離し、無水硫酸
マグネシウムを加えて、水分を除去した後、溶媒を減圧
で留去し、残ったシロップ状物質をカラムクロマトグラ
フィー等により精製し、原料化合物の鏡像異性体混合物
である無色透明で液状の1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルアルキルケトンを取得することが出
来る。
【0030】(2)原料化合物の製造方法 原料化合物は、上記のようにして得られた原料化合物の
鏡像異性体混合物を、光学活性なアミロースカルバメー
ト系誘導体を有効成分とする分離剤を用い、液体クロマ
トグラフィーによって光学分割することにより得られ
る。
【0031】光学活性なアミロースカルバメート系誘導
体は、光学活性なアミロースの有する水酸基の水素原子
の一部または全てがカルバメート誘導体で置換されたも
のであり、特に全ての水酸基の水素原子がカルバメート
誘導体で置換されたものが好適である。
【0032】具体的なアミロースカルバメート系誘導体
としては、例えばアミロース・トリス((S)−1−フ
ェニルエチルカルバメート)あるいはアミロース・トリ
ス(3,5−ジメチルフェニルカルバメート)等が挙げ
られ、特にアミロース・トリス((S)−1−フェニル
エチルカルバメート)が好適である。
【0033】光学活性なアミロースカルバメート系分離
剤は、例えばシリカゲル等によりコーティングされて、
耐有機溶剤性および機械的磨耗性に優れた固定相となさ
れたものが好適である。
【0034】光学活性なアミロースカルバメート系分離
剤を用いて分割するための液体クロマトグラフィーとし
ては、高速液体クロマトグラフィー等が挙げられる。
【0035】溶離液としては、光学活性なアミロースカ
ルバメート系分離剤を溶解したり、またはこれと反応す
るものでなければ特に制約されるものではないが、溶離
液によって原料化合物である光学異性体の分離特性が変
化するので、各種の展開溶媒を適宜選択すればよい。好
ましい溶離液としてはn−ヘキサン/イソプロピルアル
コールの混合溶離液が挙げられ、その好ましい混合比
は、n−ヘキサン/イソプロピルアルコールの混合比が
99/1〜90/10(重量部)であり、特に好ましく
は97/3〜95/5(重量部)である。
【0036】溶離液の流速は1.0ml/minを超えないよ
うにするのが好ましく、特に0.3〜0.5ml/minが好
ましい。
【0037】また操作温度は常温、例えば25℃前後が
好ましい。
【0038】原料化合物の鏡像異性体混合物の供給量
は、4.6mmφ×250mmH の液体クロマトグラフィー
を用いた場合では、0.5mgを超えないようにするの
が好ましく、特に好ましくは0.2mgである。
【0039】溶離した光学異性体の検出は、波長254
nmの紫外検知器で確認する。これに基づいて分取された
(S)−体および(R)−体の各化合物の溶離液をそれ
ぞれ減圧濃縮し、原料化合物である(S)−1−ヒドロ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトン
および(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルアルキルケトンを取得する。
【0040】〔本発明化合物の製造方法〕本発明化合物
は式(9)または式(10)に示す反応によって製造さ
れる。
【0041】
【化14】
【0042】
【化15】
【0043】式(9)および式(10)における反応を
説明すると、原料化合物である(S)−1−ヒドロキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトンまた
は(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロ
エチルアルキルケトンの3位の炭素であるカルボニル炭
素への水素陰イオンのジアステレオ面区別した攻撃を経
由して、アルコキシドが生成し、これを酸処理すること
によって、まず光学活性なanti体および光学活性な
syn体の混合物である光学活性なジアステレオマー混
合物すなわち、anti体(2S,3S)型およびsy
n体(2S,3R)型の混合物または、anti体(2
R,3R)型およびsyn体(2R,3S)型の混合物
を生成する。
【0044】上記製造方法において、金属水素化物は、
カルボニル基を還元する化合物であれば特に限定される
ことなく使用出来、例えば水素化アルミニウムリチウ
ム、水素化トリメトキシアルミニウムリチウム、水素化
ジイソブチルアルミニウムおよび水素化ホウ素ナトリウ
ム等が挙げられる。
【0045】これらの金属水素化物は、原料化合物のカ
ルボニル基をジアステレオ面区別還元し、光学活性なa
nti体と光学活性なsyn体との生成比率に最も大き
な影響を及ぼすと考えられる。従って、目的に応じて、
金属水素化物を適宜選択すればよい。すなわち、特定の
金属水素化物を用いる事により、anti体(2S,3
S)型あるいはanti体(2R,3R)型を選択的に
優位に生成させることが出来る。
【0046】例えば、光学活性なanti体に富んだジ
アステレオマー混合物を得るのに好適な金属水素化物と
しては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリメト
キシアルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミ
ニウムおよび水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられ、更
に好適には水素化アルミニウムリチウムおよび水素化ジ
イソブチルアルミニウムであり、その中でも水素化アル
ミニウムリチウムが最適である。
【0047】原料化合物と金属水素化物の反応系への供
給割合は、原料化合物1モルに対して、金属水素化物を
2〜2.4グラム当量(金属水素原子換算、以下同じ)
が好ましく、特に好ましくは2.05〜2.15グラム
当量である。金属水素化物の量が2グラム当量未満では
収率の低下を招く恐れがあり、2.4グラム当量を越え
ると、後処理工程が煩雑になる。
【0048】原料化合物と金属水素化物の好適な混合方
法は、金属水素化物の種類によって異なり、例えば水素
化アルミニウムリチウムの場合は、これを含有した有機
溶媒の懸濁液中に、原料化合物を含有した有機溶媒溶液
を滴下するのが好適であり、また水素化ジイソブチルア
ルミニウムの場合は、原料化合物を含有した有機溶媒溶
液中に、水素化ジイソブチルアルミニウムを含有した有
機溶媒溶液を滴下するのが好適である。いずれの場合も
液の滴下時間は30分程度が好ましく、あまり早い滴下
時間では、急激に水素が発生して突沸や発火の危険が生
じる可能性があり、あまりに遅い滴下時間では経済的と
は言えない。
【0049】有機溶媒としては、n−ヘキサン、ジエチ
ルエーテル、トルエンおよびTHF等が好ましい。光学
活性なジアステレオマー混合物における光学活性なan
ti体と光学活性なsyn体の生成比率は、有機溶媒の
種類によっても影響を受けるため、金属水素化物の種類
に対応させて有機溶媒の種類を適宜選択することが望ま
しい。
【0050】例えば、光学活性なanti体に富んだジ
アステレオマー混合物を得るのに好適な有機溶媒の一例
はジエチルエーテルであり、これと光学活性なanti
体の生成を優先させる水素化アルミニウムリチウム等の
金属水素化物を用いることによって、生成する光学活性
なanti体を効果的に増加させることが出来る。
【0051】有機溶媒の使用割合は、原料化合物1モル
を基準として、1.0〜2.0リットルが好ましく、特
に好ましくは1.3〜1.7リットルである。
【0052】例えば原料化合物1モルと、金属水素化物
として水素化アルミニウムリチウムを前述した特に好適
な量である2.05〜2.15グラム当量用いた場合、
上記した有機溶媒の好適な量のうちの1リットル程度を
用い、残りの量を原料化合物に対して用いるのが好適で
ある。あまり有機溶媒が少ないと金属水素化物を分散さ
せるに不充分となり、反応の制御が困難となる恐れがあ
り、2リットルを超えると経済的とは言えない。
【0053】原料と金属水素化物との反応温度は−10
〜10℃が好ましい。−10℃未満では経済的とはいえ
ず、10℃を超えると突沸が起こりやすい。滴下完了
後、室温に昇温して、6時間程度攪拌放置することによ
り反応を完結させる。6時間未満では反応が完結しない
場合がある。
【0054】次いで、得られた生成物を酸処理すること
により、光学活性なジアステレオマー混合物を生成させ
る。
【0055】酸としては鉱酸が適しており、具体的には
塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。例えば、塩酸を用い
た場合は、原料化合物1モルを基準として、1規定塩酸
1〜2リットルを10分程度かけて滴下し、30分程度
攪拌する。1規定塩酸1リットル未満では目的物を分離
する際、抽出が困難となり易く、2リットルを超えると
抽出回数を増やさなければならず経済的とはいえない。
酸の濃度は1N程度とするのが良く、これより高いと副
反応が生じる場合があり、低濃度であると後の抽出工程
での非効率化につながる。
【0056】上記酸処理温度は、0℃〜10℃が好まし
い。0℃未満では経済的とは言えず、10℃を超えると
突沸の恐れがある。
【0057】酸処理後、室温に昇温し、反応生成液にエ
ーテル等の抽出溶剤を加えて目的生成物を抽出し、抽出
液を一般的には減圧濃縮して、光学活性なジアステレオ
マー混合物を取得する。
【0058】上記のようにして得られた光学活性なジア
ステレオマー混合物は、光学異性体分離用カラムを有す
るガスクロマトグラフィーによって、第1ピークである
第1フラクションとして光学活性なsyn体が検出され
る。また第2ピークである第2フラクションとして、光
学活性なanti体が検出される。これらのピークの面
積比から、光学活性なanti体および光学活性なsy
n体の生成比率を確認することが出来る。
【0059】上記の製造方法によれば、金属水素化物の
種類にもよるが、光学活性なanti体/syn体=5
6〜88/44〜12(面積比)である光学活性なジア
ステレオマー混合物が得られる。
【0060】次いで、光学活性なジアステレオマー混合
物を、該混合物に採用されている通常の分離手段、例え
ばシリカゲルカラムクロマトグラフィーあるいは蒸留等
によって分離することにより、本発明化合物を取得す
る。
【0061】分離手段としてシリカゲルカラムクロマト
グラフィーを用いた場合を例示すると、上記のようにし
て得た光学活性なジアステレオマー混合物を、通常の条
件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、第1
フラクションおよび第2フラクションに各々分取し、溶
媒を留去することにより、第1フラクションより光学活
性なsyn体を、また第2フラクショより光学活性なa
nti体を取得することが出来る。
【0062】すなわち、式(9)に示すように、原料化
合物として(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリ
フルオロエチルアルキルケトンを用いて生成させた、a
nti体(2S,3S)型およびsyn体(2S,3
R)型からなるジアステレオマー混合物をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにかけた場合は、第1フラクシ
ョンよりsyn−(2S,3R)−1,1,1−トリフ
ルオロアルカン−2,3−ジオールを、また第2フラク
ションよりanti−(2S,3S)−1,1,1−ト
リフルオロアルカン−2,3−ジオールを各々取得する
ことが出来る。
【0063】また、式(10)に示すように、原料化合
物として(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフ
ルオロエチルアルキルケトンを用いて生成させた、an
ti体(2R,3R)型およびsyn体(2R,3S)
型からなるジアステレオマー混合物をシリカゲルカラム
クロマトグラフィーにかけた場合は、第1フラクション
よりsyn−(2R,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロアルカン−2,3−ジオールを、また第2フラクショ
ンよりanti−(2R,3R)−1,1,1−トリフ
ルオロアルカン−2,3−ジオールを各々取得すること
が出来る。
【0064】
【実施例】以下、参考例、実施例および同定例に基づい
て本発明を具体的に説明する。
【0065】(参考例1) 〔原料化合物の鏡像異性体混合物:1−ヒドロキシ−
2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの製
造〕還流冷却器、温度計、攪拌機、ロートを備えた四ツ
口丸底フラスコに、n−ヘキシルマグネシウム=ブロミ
ド19.8g(105ミリモル)のエーテル溶液42ml
を入れ、0℃に冷却した。この溶液を攪拌しながら、2
−ヒドロキシ−3,3,3−トリフルオロプロピオニト
リル6.3g(50ミリモル)を、滴下ロートから20
分間かけて滴下し、滴下完了後、更に2時間攪拌した。
反応温度は0℃に保った。次いで、攪拌しながら室温ま
で昇温し、3Nの塩酸75mlを室温で10分間かけて滴
下し、滴下完了後、10分間攪拌した。
【0066】得られた反応液をエーテル抽出し、抽出液
に無水硫酸マグネシュウムを加え、水分を除去し、ろ液
からエーテルを減圧留去して、残ったシロップ状物質を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(商品名:イナー
トシルPREP−ODS 分取、ガードカラム2点セッ
トNo.5020−35112 ジーエルサイエンス
(株)製:内径10mm×高さ250mm,充填剤:純
度99.9%の10μmシリカゲルにオクタデシル基を
化学結合したもの,溶離液:n−ヘキサン/イソプロピ
ルアルコール=90/10,流速2ml/min,試料
供給量1g,検出254nm)で精製し、無色透明な液
状の生成物9.6g(45ミリモル 収率90%)を得
た。
【0067】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸収スペクトル(IR吸収スペクトル)および質量ス
ペクトル(MSスぺクトル)を測定した結果は次の通り
であり、1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトンであることが確認された。また、 1
H核磁気共鳴スペクトル図および赤外線吸収吸収スペク
トル図を、それぞれ図1および図2に示す。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ):0.7 〜2.0ppm(11H,
m):2.5 〜2.95ppm( 2H,m):3.7 〜4.75ppm( 1H,br)19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ):-2.1
7 ppm ( q,J=6.8Hz) IR吸収スペクトル(neat): 3,510cm-1(OH): 1,73
0cm-1(CO) MSスペクトル: m/z 212(M+
【0068】(参考例2) 〔原料化合物:(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトンおよび(R)−1−
ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシル
ケトンの製造〕参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンの鏡像異性
体混合物を、下記条件で液体クロマトグラフィーにより
光学分割し、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−ト
リフルオロエチルヘキシルケトンおよび(R)−1−ヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケ
トンを取得した。
【0069】<光学分割条件> ・光学異性体分離カラム(商品名:アミロース系光学異
性体分離用HPLCカラム;ダイセル化学工業(株)
製) :分離剤…アミロース・トリス((S)−1−フェニル
エチルカルバメート)をシリカゲルでコーティングした
もの(商品名 CHIRALPAK AS) :サイズ4.6mmφ×250mmH ・溶離液 :n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=
96/4重量% ・流速 :0.4ml/min ・カラム温度 :常温 ・検出 :紫外検出器で波長254nmの紫外吸収を用い
た。 ・試料 :0.1mg(濃度0.5mg/mlの溶液を20μl
使用)
【0070】なお、上記液体クロマトグラフィーによる
光学分割により得られた化合物が(S)−体および
(R)−体であることの確認を以下に述べる。
【0071】上記光学活性な液体クロマトグラフィーの
チャートは図3(紫外検出器)の通りであり、また図3
の解析結果より、第1ピークである第1フラクションお
よび第2ピークである第2フラクションの保持時間は以
下の通りであった。 保持時間:第1フラクション 10.69分 :第2フラクション 12.76分
【0072】次いで、第1フラクションおよび第2フラ
クションをそれぞれ分取し、各々比施光度〔α〕25 D
よび光学純度を求めたところ以下の通りであった。 比施光度: :第1フラクション〔α〕25 D :−9.50(C=3.
47,メタノール) :第2フラクション〔α〕25 D :+9.50(C=3.
47,メタノール) 光学純度:第1フラクション 99.5%ee :第2フラクション 99.5%ee
【0073】分取した第1フラクションおよび第2フラ
クションの、核磁気共鳴スペクトル( 1HNMRスペク
ルおよび19FNMRスペクトル)、赤外線吸収スペクト
ル(IR吸収スペクトル)および質量スペクトル〔MS
スペクトル〕の測定結果は、参考例1で得た1−ヒドロ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン
と同じであり、第1フラクションと第2フラクションは
互いに鏡像異性体であることが判明した。
【0074】また、後述する参考例3で得た(S)−1
−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシ
ルケトン体(標品)と、本参考例2で得た第1フラクシ
ョンの保持時間が一致したこと、更に比施光度の符号が
一致したことにより、第1フラクションの不斉中心が
(S)−配置であることが判明し、第1フラクションは
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトンであることが確認され、残りの第2
フラクションは必然的に(R)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンであること
が判明した。
【0075】(参考例3)立体配置既知の(S)−トリ
フルオロ乳酸(光学純度99.5%ee)〔日本化学会
誌,1989(9)P1576〜1586 久保田等著
「含トリフルオロメチル化合物構成試薬としてのα−ア
ルコキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペ
ンの合成と反応」の文献記載の方法により合成したも
の〕をエタノール300ml及び濃硫酸中で加熱還流し、
得られた生成物をエーテルで抽出し、エーテルを減圧留
去し、残ったシロップ状物質を減圧蒸留し、(S)−ト
リフルオロ乳酸エチルエステルを得た。
【0076】この生成物の沸点、核磁気共鳴スペクトル
1HNMRスペクルおよび19FNMRスペクトル)、
および赤外線吸収スペクトル(IR吸収スペクトル)お
よび質量スペクトル〔MSスペクトル〕で測定した結果
は次の通りであり、またこの化合物の不斉炭素の立体配
置は変化していない。 沸点 :58℃/28mmHg1 HNMRスペクトル( CCl4 ):1.33ppm(t,J=7.0Hz,3
H):4.31ppm(q,J=7.0Hz,2H):4.42ppm ( S,1H):4.50p
pm(q,J=7.0Hz,1H)19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ):-2.5
0 ppm ( d,J=7.0Hz) IR吸収スペクトル(neat): 3,480cm-1(OH): 1,75
0cm-1(CO) MSスペクトル:m/Z 172(M + )
【0077】この(S)−トリフルオロ乳酸エチルエス
テルのエーテル溶液とn−ヘキシルマグネシウム=ブロ
ミドのエーテル溶液を反応させ、反応液をエーテルで抽
出し、エーテルを減圧留去し、残ったシロップ状物質を
シリカゲルカラムクロマトグラフフィーで精製し、生成
物を得た。
【0078】この生成物を核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクルおよび19FNMRスペクトル)、赤外線
吸収スペクトル(IR吸収スペクトル)および質量スペ
クトル〔MSスペクトル〕で測定した結果、参考例1で
得た1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル
ヘキシルケトンの鏡像異性体混合物と同じであり、該生
成物は(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフル
オロエチルヘキシルケトンであることが確認され、これ
を標品とした。
【0079】上記(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2
−トリフルオロエチルヘキシルケトン(標品)を参考例
2と同様に光学活性な液体クロマトグラフィーにかけた
結果、そのチャートは図4(紫外検出器)の通りであ
り、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオ
ロエチルヘキシルケトン(標品)の保持時間は次の通り
であった。 保持時間:10.69分
【0080】次いで、(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン(標品)の
比施光度〔α〕25 D および光学純度を求めたところ以下
の通りであった。 ・比施光度〔α〕25 D :−9.50 (C=3.47,
メタノール) ・光学純度:99.5%ee
【0081】(実施例1) 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオールおよびsyn−(2S,3
R)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオ
ールの製造〕 (還元剤:水素化アルミニウムリチウム) 還流冷却器、温度計、攪拌機、ロートを備えた四つ口丸
底フラスコに、水素化アルミニウムリチウム1.9g
(50ミリモル)とジエチルエーテル100mlを入れ
氷水バス中に挿入した。滴下ロートに参考例2で得た
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトン21.2g(100ミリモル)とジ
エチルエーテル50mlを入れ、攪拌しながら30分間
で滴下した。滴下完了後、攪拌しながら室温迄昇温し、
室温で6時間攪拌放置した。
【0082】次いで、反応液を再度0℃に冷却し、攪拌
しながら、1規定塩酸150mlを10分間掛けて滴下
し、0℃で攪拌しながら30分間保持した。更に攪拌し
ながら室温迄昇温した後、反応液にジエチルエーテルを
加えて生成物を抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウム
を加えて脱水後、減圧濃縮し、無色透明な液状の生成物
21.0g(98ミリモル、収率98%。なお収率は参
考例2で得た原料化合物基準であり、以下同じであ
る。)を得た。
【0083】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸スペクトル(1R吸収スペクトル)および質量スペ
クトル(MSスペクトル)を測定した結果は次の通りで
あり、1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオ
ールであることが確認された。また、 1HNMRスペク
トル図および1R吸収スペクトル図を、それぞれ図5お
よび図6に示す。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ):0.65〜2.16ppm(13H,
m):2.90〜3.60ppm( 2H,m):3.60〜4.24ppm( 2H,m )19 FNMRスペクトル(ジエチルエーテル, from ext.
CF 3 COOH ):-1.85ppm (d ,6.7Hz ):-0.40ppm (d
,6.7Hz ) IR吸収スペクトル(neat):3,400 cm-1(OH) MSスペクトル: m/z 214 (M+
【0084】上記化合物が光学活性なジアステレオマー
混合物であることを下記条件で光学異性体分離用カラム
を有するガスクロマトグラフィーにより確認した。 カラム:商品名シクロデックスβ236M(クロムパッ
ク社製) 内径0.25mmφ、長さ25m シリカキャピラリーカラム カラム温度:80℃×10分保持した後、昇温速度4℃
/minで、200℃まで昇温。 キャリヤーガス:ヘリウム :流速 ガス流量70ml/min、 スプリット比100/1 検出 :FID
【0085】そのガスクロマトグラフィーのチャートは
図7の通りであり、図7の解析結果は次の通りであり、
出発物質して(S)−体のケトンを用いたことおよび、
第1フラクションおよび第2フラクションの保持時間に
間隔が有るところから、この生成物がsyn−(2S,
3S)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジ
オールおよびanti−(2S,3S)−1,1,1−
トリフルオロノナン−2,3−ジオールのジアステレオ
マー混合物であることが判明した。また、後記の同定例
1より、syn−(2S,3S)−1,1,1−トリフ
ルオロノナン−2,3−ジオールおよびanti−(2
S,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3
−ジオールの割合は12/88(面積比)であることが
判明した。
【0086】第1フラクション 〔syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*1〕 ・面積比 :12% ・保持時間:37.0分 第2フラクション 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*1〕 ・面積比 :88% ・保持時間:38.5分 (*1 同定例1により確認)
【0087】上記ジアステレオマー混合物を、参考例1
と同じ溶離液n−ヘキサンのシリカゲルカラムクロマト
グラフィーにかけ、第1フラクションおよび第2フラク
ションを各々分取し、溶媒を留去して目的生成物を得
た。
【0088】後記の同定例1より、第1フラクションは
syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロノ
ナン−2,3−ジオールであることが確認され、その収
得量は2.3g(10.9ミリモル 収得収率10.9
%)であった。
【0089】また第2フラクションはanti−(2
S,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3
−ジオールであることが確認され、その収得量は17.
1g(80ミリモル 収得収率80%)であった。
【0090】(同定例1)還流冷却器、温度計、攪拌
機、ロートを備えた四つ口丸底フラスコに、実施例1に
おいて第1フラクションおよび第2フラクションとして
分離取得した各目的生成物5ミリモルと、2,2−ジメ
トキシプロパン5mgおよびパラトルエンスルホン酸
0.1gを加えて、液温度90℃で5時間還流し、アセ
タール交換反応を行い、反応終了後、各反応生成物を溶
離液n−ヘキサンのシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーを用いて分取し、82℃で蒸留し、留分を濃縮し、い
ずれも無色透明で液状の生成物を得た。
【0091】これら各生成物の60MHzの 1HNMR
スペクトル、19FNMRスペクトル、1Rスペクトルお
よびMSスペクトルを測定した結果は、いずれも次の通
りであり、2,2−ジメチル−4−n−ヘキシル−5−
トリフルオロメチル−1,3−ジオキソランであること
が確認された。また、 1HNMRスペクトル図および1
Rスペクトル図を、それぞれ図8および図9に示す。
【0092】1HNMRスペクトル(CDCl3 ):0.8 〜
2.0 ppm(13H,m):2.8 〜4.3 ppm(2H,m )19 FNMRスペクトル( from ext. CF 3 COOH ):-0.2
7ppm (d ,6.7 Hz),:-3.5ppm (d ,6.7 Hz ), IR吸収スペクトル(neat): 2,940cm-1(CH): 1,08
5cm-1(COC ) MSスペクトル: m/z 254 (M+
【0093】また、上記の各2,2−ジメチル−4−n
−ヘキシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキ
ソランの270MHzの 1HNMRスペクトルを求めた
結果は表1の通りであり、第1フラクションから誘導さ
れた生成物は、式(11)に示すtrans−2,2−
ジメチル−4−n−ヘキシル−5−トリフルオロメチル
−1,3−ジオキソランであり、同じく第2フラクショ
ンから誘導された生成物は、式(12)に示すcis−
2,2−ジメチル−4−n−ヘキシル−5−トリフルオ
ロメチル−1,3−ジオキソランであることが確認され
た。
【0094】
【表1】
【0095】
【化16】
【0096】
【化17】
【0097】従って、上記の結果より、第1フラクショ
ンはsyn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオールであり、また第2フラクシ
ョンはanti−(2S,3S)−1,1,1−トリフ
ルオロノナン−2,3−ジオールであることがそれぞれ
確認された。
【0098】(実施例2) 〔anti−(2R,3R)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオールおよびsyn−(2R,3
S)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオ
ールの製造〕 (還元剤:水素化ジイソブチルアルミニウム)〕 還流冷却器、温度計、攪拌機、ロートを備えた四つ口丸
底フラスコに、参考例2で得た(R)−1−ヒドロキシ
−2,2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン2
1.2g(100ミリモル)とジエチルエーテル100
mlを入れ、滴下ロートに水素化ジイソブチルアルミニ
ウム29.8g(210ミリモル)のn−ヘキサン溶液
(1モル/リットル)を入れた以外は、実施例1と同様
にして反応を行い、無色透明な液状の生成物20.8g
(97ミリモル、収率97%)を得た。
【0099】この生成物の核磁気共鳴スペクトル( 1
NMRスペクトルおよび19FNMRスペクトル)、赤外
線吸スペクトル(1R吸収スペクトル)および質量スペ
クトル(MSスペクトル)を測定した結果は実施例1と
同様であり、1,1,1−トリフルオロ−2,3−ジオ
ールであることが確認された。
【0100】上記化合物を、実施例1と同様にして光学
異性体分離用カラムを有するガスクロマトグラフィーに
掛けた。そのガスクロマトグラフィーのチャートは図1
0の通りであり、図10の解析結果は次の通りであり、
出発物質として(R)−体ケトンを用いていることおよ
び、第1フラクションおよび第2フラクションの保持時
間に間隔が有るところから、この生成物がsyn−(2
R,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3
−ジオールおよびanti−(2R,3R)−1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールのジアステ
レオマー混合物であることが判明した。また、後記の同
定例1より、syn−(2R,3S)−1,1,1−ト
リフルオロノナン−2,3−ジオールおよびanti−
(2R,3R)−1,1,1−トリフルオロノナン−
2,3−ジオールの割合は44/56(面積比)である
ことが判明した。
【0101】第1フラクション 〔syn−(2R,3S)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*2〕 ・面積比 :44% ・保持時間:36.8分 第2フラクション 〔anti−(2R,3R)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*2〕 ・面積比 :56% ・保持時間:38.7分 (*2 同定例2により確認)
【0102】ついで、上記ジアステレオマー混合物を、
実施例1と同様にして溶離液n−ヘキサンのシリカゲル
カラムクロマトグラフィーにかけ、第1フラクションお
よび第2フラクションを各々分取し、溶媒を留去して目
的生成物を得た。
【0103】後記の同定例2より、第1フラクションは
syn−(2R,3S)−1,1,1−トリフルオロノ
ナン−2,3−ジオールであることが確認され、その収
得量は8.6g(40ミリモル 収得収率40%)であ
った。第2フラクションはanti−(2R,3R)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールで
あることが確認され、その収得量は10.9g(50.
9ミリモル 収得収率50.9%)であった。
【0104】(同定例2)実施例2において、第1フラ
クションおよび第2フラクションとして取得した各目的
生成物を用いた以外は、同定例1と同様の反応を行い、
いずれも無色透明で液状の生成物を得た。
【0105】これら各生成物の 1HNMRスペクトル、
19FNMRスペクトル、1RスペクトルおよびMSスペ
クトルを測定した結果は、いずれも同定例1と同じであ
り、2,2−ジメチル−4−n−ヘキシル−5−トリフ
ルオロメチル−1,3−ジオキソランであることが確認
された。
【0106】また、上記各生成物、すなわち第1フラク
ションから誘導された生成物および第2フラクションか
ら誘導された生成物の270MHzの 1HNMRスペク
トルを求めた結果は、それぞれ同定例1と同じであり、
第1フラクションから誘導された生成物は、式(13)
に示すtrans−2,2−ジメチル−4−n−ヘキシ
ル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソランで
あり、同じく第2フラクションから誘導された生成物
は、式(14)に示すcis−2,2−ジメチル−4−
n−ヘキシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオ
キソランであることが判明した。
【0107】
【化18】
【0108】
【化19】
【0109】従って、上記の結果より、第1フラクショ
ンはsyn−(2R,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオールであることが確認され、第
2フラクションはanti−(2R,3R)−1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールであること
が確認された。
【0110】
【発明の効果】本発明は、例えば反強誘電性液晶等電子
デバイスの中間原料として期待され、また医薬、農薬に
用いられる化合物に種々の官能基を導入できるビルディ
ングブロック剤等として有用である新規な光学活性な
1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジオール
のanti体およびsyn体の提供であり、また、該各
化合物を高光学純度で高収率に製造することが出来る製
法を提供するものであり、更に本発明の製法では、an
ti体/syn体の組成比が異なる光学活性なジアステ
レオマー混合物を製造することが出来、取得可能な4種
類のジアステレオマーのうち、光学活性なanti体を
選択的に優位に製造することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトンの 1H核磁気共鳴ス
ペクトル図である。
【図2】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルヘキシルケトンの赤外線吸収スペク
トル図である。
【図3】参考例2で得た(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトンおよび
(R)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チルヘキシルケトンの光学活性な液体クロマトグラフィ
ーのチャートである。
【図4】参考例3で得た(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルヘキシルケトン(標品)の
光学活性な液体クロマトグラフィーのチャートである。
【図5】実施例1で得た1,1,1−トリフルオロノナ
ン−2,3−ジオールの 1H核磁気共鳴スペクトル図で
ある。
【図6】実施例1で得た1,1,1−トリフルオロノナ
ン−2,3−ジオールの赤外線吸収スペクトル図であ
る。
【図7】実施例1で得たsyn−(2S,3R)−1,
1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールおよび
anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオールの光学異性体分離用カラムを
有するガスクロマトグラフィーのチャートである。
【図8】同定例1で得た2,2−ジメチル−4−n−ヘ
キシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラ
ンの 1H核磁気共鳴スペクトル図である。
【図9】同定例1で得た2,2−ジメチル−4−n−ヘ
キシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラ
ンの赤外線吸収スペクトル図である。
【図10】実施例2で得たsyn−(2R,3S)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールお
よびanti−(2R,3R)−1,1,1−トリフル
オロノナン−2,3−ジオールの光学異性体分離用カラ
ムを有するガスクロマトグラフィーのチャートである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示されるanti−(2S,
    3S)−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−
    ジオール。 【化1】
  2. 【請求項2】 式(2)で示されるanti−(2R,
    3R)−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−
    ジオール。 【化2】
  3. 【請求項3】 式(3)で示されるsyn−(2S,3
    R)−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジ
    オール。 【化3】
  4. 【請求項4】 式(4)で示されるsyn−(2R,3
    S)−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−ジ
    オール。 【化4】
  5. 【請求項5】 式(5)で示される(S)−1−ヒドロ
    キシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトン
    を金属水素化物を用いて有機溶媒中で還元して得たジア
    ステレオマー混合物を、請求項1記載の化合物と請求項
    3記載の化合物に分離することを特徴とする各化合物の
    製造方法。 【化5】
  6. 【請求項6】 式(6)で示される(R)−1−ヒドロ
    キシ−2,2,2−トリフルオロエチルアルキルケトン
    を金属水素化物を用いて有機溶媒中で還元して得たジア
    ステレオマー混合物を、請求項2記載の化合物と請求項
    4記載の化合物に分離することを特徴とする各化合物の
    製造方法。 【化6】
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