JPH06338101A - 磁気テープ駆動装置およびそのキャプスタン軸の製造方法 - Google Patents

磁気テープ駆動装置およびそのキャプスタン軸の製造方法

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JPH06338101A
JPH06338101A JP5146977A JP14697793A JPH06338101A JP H06338101 A JPH06338101 A JP H06338101A JP 5146977 A JP5146977 A JP 5146977A JP 14697793 A JP14697793 A JP 14697793A JP H06338101 A JPH06338101 A JP H06338101A
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capstan
tape
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダイヤモンド状薄膜がコートされたキャプス
タン軸のテープ駆動力をさらに向上することを目的とす
る。 【構成】 複数のキャプスタン軸素体1aを転動させな
がらキャプスタン軸素体1aに荷電粒子を照射し、キャ
プスタン軸素体1aの表面に微少なアーク放電を生ぜし
めて、キャプスタン軸素体1aの表面に高さ10nm以
上100nm以下、ピッチ500nm以上2μm以下の
微細な凹凸1bを形成し、この凹凸1b上にさらにダイ
ヤモンド状薄膜1cを成膜してキャプスタン軸1を製作
する。これにより、従来のダイヤモンド状薄膜がコート
されたキャプスタン軸より、高駆動力を有する磁気テー
プ駆動装置が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオムービーやカセ
ットデッキなどの磁気記録再生装置に使用される磁気テ
ープ駆動装置およびそのキャプスタン軸の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ビデオムービー等の磁気記録再生装置
は、年々、小型、軽量、高機能化を目指して研究開発が
進められている。このため、磁気テープ駆動装置のキャ
プスタン軸などに代表されるメカニズムの精密機構部品
においても各種薄膜をコーティングし、より高精度なメ
カニズムを実現しようとする検討がなされている。
【0003】その一例は出願中の特願平3−20916
1号に示されており、その構成について図14により説
明する。
【0004】図14において、キャプスタン軸11は非
磁性のステンレス鋼で形成され、その表面には少なくと
もビッカース硬度1500kg/mm2 以上の硬さを有
するダイヤモンド状薄膜14が約0.2ミクロンの膜厚で
形成されている。
【0005】磁気テープ13(以下、テープという)は
キャプスタン軸11とキャプスタン軸11に圧接された
ピンチローラー12によって挟圧され、キャプスタン軸
11の低速回転によって図の矢印R方向へ駆動される。
この駆動において、ピンチローラー12の圧接力が小さ
いとテープスリップが生じて十分なテープ駆動が行なえ
ないことがある。したがって、従来は、テープ13をス
リップさせないようにピンチローラー12に1kg以上
の圧接力を加えてテープ13を圧接する必要があった。
【0006】これに対して、キャプスタン軸11にダイ
ヤモンド状薄膜14をコーティングするとピンチローラ
ー12の圧接力を約半分に低減することができるという
利点が得られる。
【0007】ところで、通常、ダイヤモンド状薄膜14
は低摩擦係数であるといわれているが、磁気テープ13
との相対速度が極めて低速である場合にはダイヤモンド
状薄膜14の摩擦係数は通常の金属に比べて高い値を示
すのである。そして、テープ駆動装置においては、キャ
プスタン軸11とテープ13との相対速度は、約0.1m
m/sec以下であり、静止摩擦と変わらないような低
速度である。したがって、ダイヤモンド状薄膜14をキ
ャプスタン軸11にコーティングすることにより、キャ
プスタン軸11のテープ13に対する摩擦係数を高くす
ることができるものである。
【0008】さらに、キャプスタン軸11によるテープ
駆動原理は、キャプスタン軸11の回転力がまずピンチ
ローラー12側へ伝達され、ピンチローラー12がテー
プ13を駆動すると考えられている。しかし、図14
(b)に示したように、キャプスタン軸11とテープ1
3との接触長さAがキャプスタン軸11とピンチローラ
ー12との接触長さBに比べて比較的大きい場合には、
キャプスタン軸11とテープ13との間の摩擦係数がテ
ープ駆動に大きく影響する。このため、ダイヤモンド状
薄膜14がコートされたキャプスタン軸11は、キャプ
スタン軸11とテープ13との間の摩擦係数が高くなっ
た分だけ、高いテープ駆動力が得られるものである。
【0009】この結果、ピンチローラー12の圧接力を
低減しても従来並のテープ駆動性能を得ることができる
ものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、物質の摩擦
現象において、物質表面の粗さが摩擦係数に影響するこ
とはよく知られており、通常、粗さを増加させると摩擦
係数も増加するということがいわれる。キャプスタン軸
11と磁気テープ13の摩擦に関しても、従来より、キ
ャプスタン軸11の表面の粗さを増加すれば摩擦係数が
増加するということが通説となっており、それにより駆
動力も向上するといわれていた。しかし、キャプスタン
軸11の表面粗さが大きいと、圧接されたテープ13に
表面粗さの凸部分が食い込む形となり、このくさび的な
効果がテープ13の走行に対する抵抗となって摩擦係数
が増加するのであるが、キャプスタン軸11とテープ1
3の摩擦において、キャプスタン軸11の表面粗さがあ
る特定範囲以上に大きくなると却って駆動力を低下する
傾向を示す。すなわち、表面粗さが大きすぎると、つま
り、表面粗さの密度が疎であると凸部のくさび的な効果
の増加よりも、むしろテープ13とキャプスタン軸11
の接触面積の減少につながり、摩擦係数が小さくなると
いう問題があった。
【0011】また、逆にキャプスタン軸11の表面粗さ
が小さいと、つまり表面粗さの密度が密であるとテープ
13とのキャプスタン軸11の摩擦係数は表面粗さの影
響がきわめて小さくなり、その材料がもつ固有の摩擦係
数値で決定されるようになる。すなわち、ダイヤモンド
状薄膜14の本来有する摩擦係数によってテープ駆動力
が決定され、摩擦係数が小さくなるという問題があっ
た。
【0012】このような問題に対し、本発明者らは、ダ
イヤモンド状薄膜14がコートされたキャプスタン軸1
1の表面粗さとテープ駆動力の関係についてさらなる検
討を行った結果、以下に示す粗さにおいて、従来のダイ
ヤモンド状薄膜14がコートされたキャプスタン軸以上
にテープ駆動力を向上させることができる事実を見出し
たのである。
【0013】本発明は、上記検討結果に基き、ダイヤモ
ンド状薄膜がコートされたキャプスタン軸のテープ駆動
力をさらに向上させることができる磁気テープ駆動装置
およびそのキャプスタン軸の製造方法を提供することを
目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題を解決
するもので、磁気テープを駆動するキャプスタン軸と、
前記磁気テープを前記キャプスタン軸へ圧接するピンチ
ローラーとを備え、前記キャプスタン軸は、キャプスタ
ン軸素体の表面に高さ10nm以上100nm以下、ピ
ッチ500nm以上2μm以下の微細な凹凸面を形成
し、前記凹凸面上にダイヤモンド状薄膜を成膜して形成
したものである。
【0015】また、複数のキャプスタン軸素体を転動し
て互いに接触させながら前記キャプスタン軸素体に荷電
粒子を照射し、前記照射により前記キャプスタン軸素体
の表面に微細な凹凸を形成するようにしたものである。
【0016】
【作用】上記構成において、キャプスタン軸の表面に高
さ10nm以上100nm以下、ピッチ500nm以上
2μm以下の微細な凹凸面を形成したことにより、ダイ
ヤモンド状薄膜がもつ固有の摩擦係数にキャプスタン軸
の表面凹凸のテープへのくさび的な効果が付加され、両
者の相乗効果によってテープ駆動力が向上される。
【0017】また、上記製造方法において、複数のキャ
プスタン軸を転動させることにより、キャプスタン軸は
互いに不安定な接触状態で位置移動する。この状態で荷
電粒子を照射してキャプスタン軸に電流が流されると、
電流は不安定な接触状態にある複数のキャプスタン軸間
を自由に流れてキャプスタン軸間で瞬時アーク放電を起
こしキャプスタン軸の表面に放電痕を残す。この放電痕
は、最大高さ10nm以上100nm以下、ピッチ50
0nm以上2μm以下の微細な凹凸となり、さらに、キ
ャプスタン軸の転動が続けられることによりキャプスタ
ン軸の表面に無数の微細な凹凸が均一に形成される。
【0018】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図1から
図13を参照しながら説明する。
【0019】(実施例1)図1(a)は、本発明の第1
の実施例において使用したキャプスタン軸素体の表面に
微少な凹凸を形成する装置の構成図、(b)はキャプス
タン軸素体を保持する保持部枠の構成図である。
【0020】図において、真空チャンバー21内にはイ
オン源22を設置され、その上方に未加工の複数のキャ
プスタン軸素体(以下、素体という)1aを保持する保
持枠23が設けられている。保持枠23には窓24が設
けられてあり、イオン源22からのイオン22aが素体
1aに直接衝突するようにされている。また、保持枠2
3はモーター25に連動する偏心カム26によって振動
が与えられ、保持する素体1aにランダムな転動を与え
るようになっている。さらに、保持枠23には直流電源
部27が接続され、素体1aにバイアス電圧を印加する
ようになっている。
【0021】上記装置において、まず、真空チャンバー
21内を真空ポンプ(図示せず)によって10-4〜10
-6torrまで真空排気し、イオン源22の熱フィラメ
ントを通電加熱するとともに、不活性ガスのアルゴンを
導入して、アルゴンイオンを発生させる。次いで、保持
枠23をモーター25によって振動させ、素体1aを保
持枠23でランダムに転動させる。そして、直流電源2
7から素体1aに−1.0〜−3.0kVの負バイアス電圧
を印加し、アルゴンイオン22aを加速して素体1aの
表面に衝突させる。このとき、素体1aに到達したアル
ゴンイオン22aが有する電荷は転動している素体1a
間を移動し、最終的に直流電源27へ流入する。
【0022】このような処理によって、素体1aの表面
には電荷の移動とともに生じる微少なアーク放電によっ
て、無数の微細な凹凸1b(図4参照)が均一に形成さ
れる。
【0023】図2に本実施例で粗面処理を行なった素体
1aの表面粗さの実測データを示す。
【0024】(a)は処理前の素体1aの表面の粗さを
示し、(b)は処理後の素体1aの表面の粗さを示すも
ので、本発明の第1の実施例によれば、素体1aの表面
に無数の微小な凹凸1bが形成されていることが解る。
この凹凸1bの大きさは、最大なものでもピッチが約1
μm以下、高さが0.1μm以下となっている。
【0025】なお、(b)に示したものの処理条件は、
バイアス電圧−1.5kV、照射イオン電流10mA、処
理時間30分であった。
【0026】このような粗面処理を行った素体1aに、
図4に示したようにダイヤモンド状薄膜1cをコートし
てキャプスタン軸1を作製し、その評価を行なった。
【0027】ダイヤモンド状薄膜1cの成膜は、図3に
示した装置により行った。この装置の基本的な構成は、
第1の実施例に示したものと同じで、素体1aを回転保
持するようにしたキャプスタン軸の保持具28が異なる
のみである。
【0028】上記装置において、粗面処理を行った素体
1aを保持具28で保持してイオン源22の上方に設置
し、モーター25で回転させながらダイヤモンド状薄膜
1cを成膜する。この原料ガスにはベンゼンを使用し、
これを第1の実施例と同様にイオン化22bし、加速衝
突させることにより素体1aの素面上にダイヤモンド状
薄膜1cが成膜される。
【0029】ダイヤモンド状薄膜1cはその成膜条件に
よって、その膜特性が大きく変化する。そこで、本実施
例の場合、比較的硬い膜を付着性よく成膜できる成膜条
件として、バイアス電圧−3.0kV、照射イオン電流1
0mA、成膜時間30分の条件で、約0.2μm成膜し
た。
【0030】このようにして成膜されたダイヤモンド状
薄膜コートキャプスタン(以下、キャプスタンという)
1の評価はテープ駆動力の測定によって行なった。
【0031】このテープ駆動力の測定方法は図14によ
り説明する。キャプスタン11へのピンチローラー12
の圧接力を一定にし、かつ磁気テープ13には駆動方向
Rと逆向きのテープテンションTを加えつつ走行させ
る。磁気テープ13に加えるテープテンションを変化さ
せた時に、キャプスタン11の周速とテープ13の走行
速度との間に0.5%のスリップが生じたときのテープテ
ンション値Tをテープ駆動力と定義した。
【0032】上記測定方法で評価した試料は、本実施例
により処理されたキャプスタン軸1の他に、表面粗さ形
状の異る素体1aにダイヤモンド状薄膜1cを成膜した
もの2種類を比較例として用いた。
【0033】図5に上記したキャプスタン軸1の表面粗
さ実測データを示す。(a)は本実施例の処理によるも
ので、素体1aの表面に高さ10nm以上100nm以
下、ピッチ500nm以上2μm以下の微細な凹凸1b
を形成したもの。
【0034】(b)は第1の比較例で、素体1aの表面
に高さ100nm、ピッチ2μmをそれぞれ越える粗さ
の凹凸を形成したもの。
【0035】(c)は第2の比較例で、素体1aの表面
をラッピングして鏡面化したもので、高さ10nm、ピ
ッチ500nmよりそれぞれ小さい凹凸を形成したもの
である。
【0036】また、図6に上記(a),(b),(c)
に示した各キャプスタン軸1の表面の金属組織の写真を
示す。
【0037】そして、図7に上記(a),(b),
(c)に示した各キャプスタン軸1によるテープ駆動力
の比較を示す。
【0038】横軸に磁気テープの駆動時間(エージング
時間)、縦軸にテープ駆動力の変化を示している。な
お、ピンチローラー12の圧接力は600gとした。本
実施例(a)の駆動力は、第1,第2の比較例(b),
(c)に比べて最も高い駆動力を示し、1000時間駆
動後にも高駆動力を維持している。
【0039】この結果の理由は次のように考えられる。
本実施例(a)では、素体1aに微細な凹凸1bを形成
した結果、磁気テープ13の凸部に接触する面積が増加
し、これにより摩擦係数が増加して駆動力が向上する。
【0040】一方、第1の比較例(b)のもの、すなわ
ち、微細な凹凸がないもの、換言すれば凸部の密度が高
いものは、実施例(a)のものに比べて、凸部が少ない
分だけ、換言すれば凸部の密度が低い分だけキャプスタ
ンとテープとの接触は面積は小さくなる。このため、摩
擦係数も低下し、駆動力は低下している。また、第2の
比較例(c)の場合、素体1aは鏡面であるため表面粗
さの影響がなく、ダイヤモンド状薄膜1cのもつ性質に
よって摩擦係数および駆動力は決定され、駆動は低いも
のとなっている。
【0041】この結果から明らかなように、本発明の第
1の実施例によれば、ダイヤモンド状薄膜1cがもつ固
有の摩擦係数と素体1aの表面に形成した微細な凹凸1
bのテープへのくさび的な効果の相乗作用によってテー
プ駆動力を向上することができるという効果が得られ
る。
【0042】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
について図8により説明する。
【0043】図8(a)は本発明の第2の実施例におい
て使用したキャプスタン素体の表面に微少な凹凸を形成
する装置の構成図で、図1に示した装置とは素体の保持
枠が異るのみである。
【0044】図において、素体1aの保持部30は、素
体1aの両端部を保持する1対の円筒形部材30aとこ
れらを両端に保持する中心軸30bとから構成されてい
る。そして、中心軸30bの中央部はアルゴンイオン2
2aが直接加速衝突できるようにイオン源22に対向し
て設置されている。この保持部30はモーター25に連
結され、保持部30が回転することにより複数の素体は
ランダムに回動されるようになっている。
【0045】上記装置において、第1の実施例に示した
ものと同様にして、素体1aには無数の微細な凹凸1b
が均一に形成される。
【0046】なお、処理条件は、バイアス電圧−1.5k
V、照射イン電流10mA、処理時間30分とした。
【0047】図9(d)に本実施例で粗面処理を行った
素体1aの表面粗さデータを示す。なお、参考のため、
同図(a)に処理前の素体1aの表面粗さデータを、
(b)に、保持部30を回転により、素体1aを単に回
動させたものの表面粗さデータを(c)に、アルゴンイ
オン22aの照射をせずに、バイアス電圧のみを印加し
ながら素体1aを回動させたものの表面粗さデータを示
した。
【0048】上記データから明らかなように、本実施例
(d)によれば、素体1aの表面に無数の微小な凹凸1
bが形成されていることが解る。また、本実施例(d)
と各参考例(a),(b),(c)との比較から、素体
1aの表面に凹凸1bを形成する効果はイオンの照射に
よって得られるということが理解され、単に素体1aを
転動させることだけや、バイアス電圧を印加するだけで
は得られないということが理解される。
【0049】以上の各参考例(a),(b),(c)と
本実施例(d)について、この表面に第1の実施例と同
条件によってダイヤモンド状薄膜1cを形成し、そのテ
ープ駆動力評価を行なった。
【0050】ダイヤモンド状薄膜1cを成膜した後のキ
ャプスタン軸1の表面粗さを測定したが、図9に示した
ものと同様であった。
【0051】また、図10に各参考例(a),(b),
(c)と本実施例(d)の表面写真を示し、さらに図1
1にテープ駆動力の比較を示した。図11から明らかな
ように、参考例(a),(b),(c)はいずれも差異
がなく同じ傾向を示している。一方、本実施例(d)は
第1の実施例のものと同様に高いテープ駆動力を示して
いる。また、この駆動力の値は図7に示した(b),
(c)に比較しても高くなっていることが解る。
【0052】この結果から明らかなように、本発明の第
2の実施例によれば、第1の実施例のものと同様にダイ
ヤモンド状薄膜1cと表面粗さの相乗効果によってテー
プ駆動力を向上することができるという効果が得られ
る。
【0053】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例
について説明する。
【0054】第2の実施例に示した装置を用いた微少な
凹凸1bが形成された素体1aを複数本用意し、これに
数種の硬さのダイヤモンド状薄膜1cを成膜してそのテ
ープ駆動評価を行なった。ダイヤモンド状薄膜1cの硬
さは、素体1aに印加するバイアス電圧を変化させるこ
とにより制御できる。ダイヤモンド状薄膜1cの種類
は、(a)ビッカース硬度1500kg/mm2 のも
の、(b)3000kg/mm2 のもの、(c)600
0kg/mm2 のものの3種類について成膜を行い、そ
のテープ駆動力特性を比較評価した。
【0055】その結果を図12に示す。(a)のもの、
すなわち、ダイヤモンド状薄膜1cの硬さが低いもので
はキャプスタン1の表面は摩耗しやすく、テープ駆動力
は従来並にまで低下している。これは、ダイヤモンド状
薄膜1cの膜質が柔らかいために、素体1aの表面の凹
凸1bの形状を維持できないためであると考えられる。
また、(c)のもの、すなわち、ダイヤモンド状薄膜1
cが非常に硬いものではそれ自身の内部応力によりダイ
ヤモンド状薄膜1cが剥離した。この結果、キャプスタ
ン軸1の素体1aの金属が露出し、そのテープ駆動力は
極端に低下した。本発明における微細な凹凸1bの形状
を維持するには、ダイヤモンド状薄膜1cの硬さ(c)
のものより硬くすることが望ましく、(b)のものの値
が最もよい特性を示した。
【0056】(実施例4)次に、本発明の第4の実施例
について説明する。
【0057】第2の実施例に示した装置を用いて、微少
な凹凸1bが形成された素体1aを複数本用意し、ダイ
ヤモンド状薄膜1cの中間層として珪素含有薄膜を成膜
し、さらに、その上に数種の硬さのダイヤモンド状薄膜
1cを成膜してその駆動力評価を行なった。珪素含有薄
膜の成膜は図3に示した装置を用いて、原料にはテトラ
メチルシラン(TMS)を用い、ダイヤモンド状薄膜1
cの成膜と同様な手段で約50nmの膜厚だけ成膜し
た。成膜条件はバイアス電圧−3.0kV、イオン電流1
0mA、成膜時間は15分とした。さらに引続いて、数
種の硬さを有するダイヤモンド状薄膜1cを成膜した。
ダイヤモンド状薄膜1cの種類は、(a)ビッカース硬
度1500kg/mm2 のもの、(b)3000kg/
mm2 のもの、(c)6000kg/mm2 のものの3
種類で、第3の実施例のものと同様である。そして、こ
れについてテープ駆動力特性を比較評価した。
【0058】その結果を図13に示す。(c)のもので
は、第3の実施例では剥離したが、珪素含有薄膜を中間
層に成膜したことにより、付着性が向上して剥離しなか
った。しかも、硬さが最も硬いため、(a),(b)の
ものに比べて駆動力が高くなっている。一方、(a),
(b)のもののテープ駆動力は第3の実施例と大差はな
かった。
【0059】以上の各実施例の説明から明らかなよう
に、本発明の磁気テープ駆動装置およびそのキャプスタ
ン軸の製造方法によれば、素体1aの表面に微細な凹凸
1bを形成し、その表面にダイヤモンド状薄膜1cを成
膜することにより、従来のダイヤモンド状薄膜をコート
したキャプスタンの特徴を維持しながら、テープ駆動力
をさらに向上させることができるという効果がある。
【0060】なお、本実施例において、照射する荷電粒
子は不活性ガスのアルゴンをイオン化しているが、活
性、不活性に限らず、また、ガスに限るものでもない。
たとえば、電子を用いてもよいもので、電荷を有するす
べての粒子を利用することができるものである。
【0061】また、各実施例において、微細な凹凸1b
を形成する装置とダイヤモンド状薄膜1cあるいは、珪
素含有薄膜の成膜を別の装置を示して実施するようにし
ているが、同一チャンバーを用いて、素体1aの保持部
だけを交換することによって、連続的に製造することも
可能である。
【0062】また、本発明の凹凸形成処理は従来の機械
的な仕上げ加工方法では実現することが難しく、本実施
例で示した方法によってのみ容易に実現できるものであ
る。しかも、本実施例に述べた方法を用いるならば、大
量のキャプスタン軸の処理を一括で行なうことも可能で
あり、量産効果も非常に高いものである。
【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ダイヤモンド状薄膜がコートされたキャプス
タン軸のテープ駆動力をさらに向上させることができ、
かつ、量産性に優れた工業的価値の高い磁気テープ駆動
装置とそのキャプスタン軸の製造方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の磁気テープ駆動装置の製造方
法の第1の実施例において使用した粗面処理装置の概略
の構成図 (b)は同要部の斜視図
【図2】(a)は粗面処理前のキャプスタン軸素体の表
面粗さのグラフ (b)は同第1の実施例による粗面処理後のキャプスタ
ン軸素体の表面粗さのグラフ
【図3】同第1の実施例において使用したダイヤモンド
状薄膜形成装置の概略の構成図
【図4】(a)は本発明の磁気テープ駆動装置のキャプ
スタン軸の斜視図 (b)は同要部の側断面図
【図5】(a)は同第1の実施例によるキャプスタン軸
の表面粗さのグラフ (b)は(a)と対比する第1の比較例のキャプスタン
軸の表面粗さのグラフ (c)は同第2の比較例のキャプスタン軸の表面粗さの
グラフ
【図6】(a)は図5(a)に対応するキャプスタン軸
の表面の金属組織を表わす写真 (b)は図5(b)に対応するキャプスタン軸の表面の
金属組織を表わす写真 (c)は図5(c)に対応するキャプスタン軸の表面の
金属組織を表わす写真
【図7】同第1の実施例におけるテープ駆動力の比較特
性図
【図8】(a)は同第2の実施例において使用した粗面
処理装置の概略の構成図 (b)は図要部の分解斜視図
【図9】(a)は粗面処理前のキャプスタン軸素体の表
面粗さのグラフ (b)はキャプスタン軸素体を単に回動させたときのキ
ャプスタン軸素体の表面粗さのグラフ (c)はキャプスタン軸素体にバイアス電圧を印加して
回動させたときのキャプスタン軸素体の表面粗さのグラ
フ (d)は同第2の実施例による粗面処理後のキャプスタ
ン軸素体の表面粗さのグラフ
【図10】(a)は図9(a)に対応するキャプスタン
の表面の金属組織を表わす写真 (b)は図9(b)に対応するキャプスタンの表面の金
属組織を表わす写真 (c)は図9(c)に対応するキャプスタンの表面の金
属組織を表わす写真 (d)は図9(d)に対応するキャプスタンの表面の金
属組織を表わす写真
【図11】同第2の実施例におけるテープ駆動力の比較
特性図
【図12】同第3の実施例におけるテープ駆動力の比較
特性図
【図13】同第4の実施例におけるテープ駆動力の比較
特性図
【図14】(a)は従来例の磁気テープ駆動装置の要部
の側面図 (b)は同平面図
【符号の説明】
1 キャプスタン軸 1a キャプスタン軸素体(素体) 1b 微小な凹凸 1c ダイヤモンド状薄膜 12 ピンチローラー 13 磁気テープ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気テープを駆動するキャプスタン軸
    と、前記磁気テープを前記キャプスタン軸へ圧接するピ
    ンチローラーとを備え、前記キャプスタン軸は、キャプ
    スタン軸素体の表面に高さ10nm以上100nm以
    下、ピッチ500nm以上2μm以下の微細な凹凸を形
    成し、前記凹凸面上にダイヤモンド状薄膜を成膜して形
    成したことを特徴とする磁気テープ駆動装置。
  2. 【請求項2】 ダイヤモンド状薄膜のビッカース硬さが
    3000kg/mm2以上であることを特徴とする請求
    項1記載の磁気テープ駆動装置。
  3. 【請求項3】 キャプスタン軸の凹凸面とダイヤモンド
    状薄膜の間に珪素を含有する薄膜層を形成したことを特
    徴とする請求項1または2記載の磁気テープ駆動装置
  4. 【請求項4】 複数のキャプスタン軸素体を転動して互
    いに接触させながら前記キャプスタン軸素体に荷電粒子
    を照射し、前記照射により前記キャプスタン軸素体の表
    面に微細な凹凸を形成することを特徴とする磁気テープ
    駆動装置のキャプスタン軸の製造方法。
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