JPH0634819B2 - 生体適合性に優れた成形物の製造法 - Google Patents

生体適合性に優れた成形物の製造法

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JPH0634819B2
JPH0634819B2 JP61050785A JP5078586A JPH0634819B2 JP H0634819 B2 JPH0634819 B2 JP H0634819B2 JP 61050785 A JP61050785 A JP 61050785A JP 5078586 A JP5078586 A JP 5078586A JP H0634819 B2 JPH0634819 B2 JP H0634819B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は生体適合性に優れた成形物の製造法に関する。
さらに詳しくは、成形物の表面に生体適合性に優れたエ
チレン−ビニルアルコール系ポリマー(以下EVAと略
記する)層を形成させる成形物の製造法に関するもので
ある。
〔従来の技術〕 生体適合性に優れた材料についての検討は数多くなされ
ており、現在も精力的に進められている。例えば、ヘパ
リンなどの血栓形成防止剤やウロキナーゼなどの血栓溶
解剤材料をポリマーに固定化し、ヘパリンやウロキナー
ゼなどを徐々に放出させて血栓を形成させないか、ある
いは形成された血栓を除去することが行なわれている。
また、ポリウレタン系のポリマーなどにおいては、疎水
性セグメントと親水性セグメントを数100Åのラメラ
状にミクロ相分離することも行なわれている(瓜生敏之
「工業材料」33(10)、45(1985))。
さらに、親水部分と疎水部分よりなるEVAのジメチル
スルホキシド溶液を湿式成形して得たEVA中空繊維膜
を、人工腎臓として用いて血液の体外循環を行なう場合
には、血液中にヘパリンなどの血栓防止剤を投与しなく
とも血栓形成による目詰りを起こさず、順調に透析しう
ることが見出されている(内藤秀宗他「人工臓器」11
(1)、3(1982))。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ヘパリンやウロキナーゼなどをポリマーに固定化する場
合は、いろいろの点で不安定な生理活性物質を取り扱わ
ねばならず、また血栓防止の有効期間に限度がある。ま
た、ラメラ状ミクロ相分離構造を有するポリウレタン系
成形物の場合は、ポリマーの合成が複雑であり、かつミ
クロ相分離構造とするために厳密な成形条件をとらねば
ならず、再現性を得るのが困難である。
EVAのジメチルスルホキシド溶液を湿式成形した中空
繊維膜が抗血栓性に優れているのは、ポリマー自体及び
成形法とも単純な点できわめて驚くべきことである。し
かしながら、前述のように該成形法は湿式成形法による
ものであり、湿式成形法では非常に限定された成形物し
か得られない。またEVA単独での成形物ではその強
度、弾性、柔軟性などの物性に大略の範囲があるため、
制限された成形物でのみ実用的である。
又、各種成形物の生体適合性を改良する方法としてジメ
チルスルホキシドやN−メチルピロリドン等の極性溶媒
にEVAを溶解した溶液を成形物に接触させて形成する
方法も考えられるが、このような溶媒は高沸点であるた
め、常温常圧で蒸発させるのに長時間を要し、実用的で
なく、高温で蒸発させると成形物自体が損傷を受け、又
減圧で蒸発させると不均一蒸発となりやすく、操作も面
倒である。さらに、これらの極性溶媒は高粘度であるた
め均一な表面改質をし難い。
従つて、本発明の目的は、上記問題点のない生体適合性
に優れた成形物の製造法を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
優れた生体適合性を必要とする成形物には、例えば適度
な硬度や耐キンク性を要するカテーテル、柔軟性を要す
る体外循環用等の回路チューブ、血管と同じレオロジー
的性質を要する人工血管、複雑な形状を有する血液回路
中のフイルター等があり、これらは種々の目的に応じた
物性を有する素材から成形されている。これらの多くは
組合せで1つのシステムを形成して用いられる場合がほ
とんどであり、この場合、生体適合性の最もわるい成形
物によつて全システムの生体適合性が支配される。従つ
て、全ての成形物の生体適合性のレベルを上げる必要が
ある。
本発明者らは、以上の点に鑑み、各成形物は各々の目的
に最も適した素材を最も合理的な方法で成形し、体液が
接触する表面を生体適合性に優れるように改質すれば如
何なる素材の如何なる形状の成形物でも生体適合性を向
上させることができることに着目し、成形物の少なくと
も体液接触面を生体適合性に優れたものとすべく鋭意検
討し、本発明に到達した。すなわち本発明は、EVAを
ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶解した溶液を成
形物に接触させ、次いでヘキサフルオロ−2−プロパノ
ールを除去することにより、成形物表面にEVAの層を
形成することを特徴とする生体適合性に優れた成形物の
製造法である。
本発明のもつとも特徴とするところは生体適合性のある
EVAをよく溶解し、しかも容易に除去しやすい溶媒を
見出したことにあるが、ヘキサフルオロ−2−プロパノ
ールは上記特徴を最もよく発現する溶媒である。
本発明において用いるEVAは極めて単純な組成を有し
ており、再現性や取扱い性に全く問題のないエチレンと
ビニルアルコールの共重合体である。かかる共重合体は
最も一般的にはエチレンと酢酸ビニルを共重合し、得ら
れたエチレン−酢ビ共重合体をケン化して製造される。
エチレン/ビニルアルコールの共重合比は通常90/10〜1
0/90(モル比)の範囲が好ましく、60/40〜20/80の範囲
内であると抗血栓性にさらに優れるのでさらに好まし
い。また、エチレンとビニルアルコール以外にEVAの
抗血栓性を阻害しない程度例えば20モル%を越えない
範囲で、例えば酢酸ビニルなどのエステルユニツト、イ
タコン酸、アクリル酸などのイオン性ユニツト、ビニル
ピロリドンなどの親水性ユニツトなどを含有していても
よい。
成形物としては、生体に対し為害性が少なく、表面にE
VA層が形成できるものであればとくに材質、形状等に
制限はなく、例えばポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、
ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、ポリウレタン
などからなる気管内チューブ、回路チューブ、人工血
管、カニユーレ、シヤント、輸液用、輸血用チューブ、
外科手術用縫合糸、人工気管、血液導管即ち、人工心肺
や人工腎臓等の血液循環回路、心臓の補助循環装置用材
料、血液バツグ、人工尿管、結紮糸、バルーン等があげ
られる。
本発明の成形物の製造法においては、上記EVAをヘキ
サフルオロ−2−プロパノールに溶解し、成形物を該E
VA溶液に接触させればよい。EVA溶液の濃度は0.1
〜20重量%とするのが本発明の方法を実施するのには
実用的であるが、成形物の表面をさらに均一に改質する
には1〜10重量%とするのが好ましい。
成形物を該溶液と接触させる方法としては、成形物の表
面を上記EVA溶液で十分に濡らすことができる方法で
あればとくに制限はなく、通常の浸漬法、スプレー法等
が用いられる。又、チューブ類等の成形物は該溶液をチ
ューブ内に流通させる方法によつて内部にEVA層を形
成させてもよい。
次に、成形物をEVA溶液に接触させて濡らしてから溶
媒であるヘキサフルオロ−2−プロパノールを除去する
必要があるが、溶媒除去方法としては蒸発法が一般的で
ある。蒸発させる際に高温や減圧にしてもよいが、本発
明の方法においては蒸発しやすい溶媒を用いているので
あえてそのような手段によらなくても簡便に自然乾燥あ
るいは送風乾燥するだけでよい。なお、蒸発させる前に
溶液の付着量を均一化するために、例えば振るとか回転
させて遠心脱液をさせることは自由である。
成形物表面に形成させるEVA層の厚さについては医療
材料としての機能を損なわない範囲であればとくに制限
はないが、実用的には0.01〜10μmが適当である。
〔作用〕
本発明の方法によれば、極めて容易にEVA層を成形物
表面に形成することができる。その理由は必らずしも明
らかではないが、ヘキサフルオロ−2−プロパノールが
ジメチルスルホキシド等と異なり、水素供与性によりE
VAを溶解する溶媒であること、該溶媒は表面張力が小
さいためEVAを溶解した溶液に成形物を接触させると
成形物の表面が濡れやすいこと、しかも該溶媒が容易に
蒸発しやすいものであるためEVA層が成形物表面に効
率的に形成されやすいことが考えられる。
以下、本発明の製造法を具体的に実施例によつて説明す
る。
〔実施例〕
実施例1 エチレン/ビニルアルコールが33/67(モル比)のエバ
ールF((株)クラレ製)をヘキサフルオロ−2−プロ
パノール(セントラル硝子製)に溶解し、5重量%溶液
とした。血液の体外循環に使用するPET製のメツシユ
フイルターをこのEVA溶液中に浸漬し、充分濡らした
後引き上げ、軽く2回振つて液切りを行なつた後、風乾
した。
得られたメツシユフイルターを拡大鏡で観察したとこ
ろ、いずれの部分もほぼ均一透明にEVAがコートされ
ていることがわかつた。
EVA中空繊維モジユールによる抗凝固剤を使用しない
犬の血液透析において、通常のメツシユフイルターを用
いると血液回路中のメツシユフイルターの部分で凝血す
るため順調に血液透析ができなかつたが本実施例で得た
改質メツシユフイルターを用いると5時間凝血すること
なく順調に血液透析を行なうことができた。
比較例1 溶媒としてジメチルスルホキシドを用いる以外は全て実
施例1と同様にしてメツシユフイルターを処理した。得
られたメツシユフイルターを拡大鏡で観察したところ、
EVA付着量に斑がありかつ白い斑点状の異常部がみら
れ、良好なコートはできなかつた。
〔発明の効果〕
本発明の方法により、各種医療用の成形物表面をEVA
で改質することができる。このため、血栓防止剤を全く
用いないかあるいは用いても通常の半分以下の使用で血
栓を形成しない生体適合性に優れた材料を容易に得るこ
とができ、産業上の有用性が極めて大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−ビニルアルコール系ポリマーを
    ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶解した溶液を成
    形物に接触させ、次いでヘキサフルオロ−2−プロパノ
    ールを除去することにより、成形物表面にエチレン−ビ
    ニルアルコール系ポリマーの層を形成することを特徴と
    する生体適合性に優れた成形物の製造法。
JP61050785A 1986-03-07 1986-03-07 生体適合性に優れた成形物の製造法 Expired - Fee Related JPH0634819B2 (ja)

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