JPH0645764A - 多層配線基板 - Google Patents

多層配線基板

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JPH0645764A
JPH0645764A JP19537092A JP19537092A JPH0645764A JP H0645764 A JPH0645764 A JP H0645764A JP 19537092 A JP19537092 A JP 19537092A JP 19537092 A JP19537092 A JP 19537092A JP H0645764 A JPH0645764 A JP H0645764A
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新一郎 宮治
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健次 喜田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、熱寸法安定性、高周波特性、吸湿特性
等が高次元でバランスし、かつ接着力、導体抵抗に優
れ、小型(薄肉化)、高多層化(高密度化)、信号の高
速処理化、高周波対応に適した多層配線基板を提供す
る。 【構成】繊維シート(A)にポリ−p−フェニレンスル
フィドを主成分とする樹脂組成物(B)が含浸されてな
るシートとp−フェニレンスルフィド単位以外の少なく
とも1種以上の共重合単位を含有する共重合ポリフェニ
レンスルフィドからなる樹脂組成物(C)層からなる積
層体のC層の表面に電気回路を設けた積層体配線基板
と、ポリ−p−フェニレンスルフィドフィルムとCの積
層フィルムのC層表面に電気回路を設けたフィルム配線
基板とを有する多層配線基板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層配線基板に関する
ものである。さらに詳しくはポリ−p−フェニレンスル
フィド樹脂を繊維シートに含浸せしめた樹脂含浸シート
を絶縁基材とした配線基板と、ポリ−p−フェニレンス
ルフィドフィルムを絶縁基材とした配線基板からなる多
層配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気、電子部品分野において、機器の小
型化、高機能化の観点から、耐熱性、熱寸法安定性、低
吸湿性、難燃性、高周波特性などの諸特性が高次元でバ
ランスした多層配線基板の要求が増加している。中で
も、信号の高速処理化、高周波特性、回路の低抵抗化、
スルーホールの加工性、薄肉化などがポータブル電子機
器の発展から特に要求されつつある。
【0003】この分野の多層配線基板として、ガラスク
ロスにエポキシ樹脂を含浸した基材(以下ガラエポとい
う。)に銅などの金属箔で電気回路を形成し多層化した
もの、ポリイミドフィルム、弗素系フィルムなどに電気
回路を形成し多層化したものがある。更に、ポリ−p−
フェニレンスルフィド(以下PPSという。)の未延伸
フィルム(以下未延伸PPSフィルムという。)及び二
軸配向フィルム(以下二軸配向PPSフィルムとい
う。)を絶縁基材とした多層配線基板が最近特に注目を
浴びている。また、PPS樹脂をガラス繊維などの繊維
シートで補強したもを絶縁基材とした多層配線基板(特
開平2−415004公報等)も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のフィル
ムや積層体は、それぞれ下記のような問題点を有してい
る。
【0005】ガラエポを絶縁基材としたものは、低吸湿
性、高周波特性に劣り、薄肉化が難しい。ポリイミドフ
ィルムを用いたものは耐熱性に富むが、低吸湿性、高周
波特性が劣る。また、弗素系フィルムをもちいたものは
接着性に乏しく、スルーホールの加工時に導電ペースト
やメッキが乗り難い。
【0006】一方、未延伸PPSフィルム単体を絶縁基
材としたものは、熱寸法安定性、低吸湿性、難燃性、高
周波特性などの諸特性は満足しているが、二軸配向フィ
ルムに比べると耐熱温度が低く(ガラス転移点を越える
と熱変形し易い。)、加熱工程が増加する程結晶化が進
み脆くなる。プリント基板として用いる場合は、結晶サ
イズ等をコントロールして、耐熱性と脆さをある程度満
足させているが、急激に熱が加わると熱変形し易いと言
う問題点を有している。
【0007】また、二軸配向PPSフィルム単体を絶縁
基材としたものは、熱収縮による寸法変化を起こすた
め、例えば回路基板の製造工程で熱が加わると回路のズ
レが生じ易い。また積層回路基板のスルーホール加工時
に裂け易いなどの問題点を有している。
【0008】またPPS樹脂をガラス繊維で補強したも
のを絶縁基材とした多層配線基板は、耐熱性、熱寸法安
定性、高周波特性、難燃性、吸湿特性等に優れるが、電
気回路となる銅などの金属箔との熱融着、金属メッキが
しにくく接着力が弱いという問題点がある。一方、接着
剤を介して金属箔を積層することは可能であるが、接着
剤の高周波特性、吸湿特性等が回路基板に悪影響を与え
(つまり接着剤の特性が回路基板全体としての特性を支
配する。)、PPSの優れた特性を活かしきれない。ま
た導電ペーストで回路を形成することが提案されている
が、回路の導体抵抗値が大きく(例えば銅の20倍)、
回路のファインパターン化に限界があり、回路設計が一
部のものに限定される可能性がある。さらに大きな問題
点は、繊維シートで補強しているため繊維シートの厚み
が律速となり多層配線基板の薄肉化が難しい(一層当た
りの絶縁基材の厚みが40μmが限界)。本発明は、P
PSの優れた低吸湿性、難燃性、高周波特性に注目し、
かつ耐熱性、寸法安定性を格段に向上させることができ
る繊維シートにPPS樹脂を含浸せしめたシートを絶縁
基材に用い、高周波特性、寸法安定性、耐熱性を保持し
回路の抵抗値が小さく、ファインパターン化が可能であ
り、かつ超薄型、高多層化を目的とし特に信号の高速処
理、高周波対応の用途に最適な多層配線基板を提供せん
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、繊維シート
(A)にポリ−p−フェニレンスルフィドを主成分とす
る樹脂組成物(B)が含浸されてなるシートとp−フェ
ニレンスルフィド単位以外の少なくとも1種以上の共重
合単位を含有する共重合ポリフェニレンスルフィド(以
下共重合PPSという。)の樹脂組成物(C)層からな
る積層体のC層の表面に電気回路を設けた積層体配線基
板と、ポリ−p−フェニレンスルフィドフィルムとCの
積層フィルムのC層表面に電気回路を設けたフィルム配
線基板とを有する多層配線基板であって、積層体配線基
板とフィルム配線基板が少なくとも各1層以上C層を介
して積層されてなる多層配線基板である。
【0010】本発明における繊維シートとは、繊維の集
合体によって構成された薄葉体であって、クロス、布、
フェルト、不織布、紙などの総称で厚み10〜500μ
mが好ましく、より好ましくは10〜300μmであ
る。該繊維シートは、易接着、着色などの加工及び2種
以上の素材を混合したり積層してあってもよい。繊維シ
ートの中でもクロスが好ましく、特にガラス繊維のクロ
スが耐熱性、寸法安定性及び加工性の点で好ましい。こ
こで含浸とは、繊維シートを構成する素繊維の周りに樹
脂が入り込んで該素繊維と接着固化していることを意味
する。
【0011】上記繊維シートは、400℃の温度まで融
点を有しないものが好ましく、この繊維シートとは、4
00℃の温度に対して不融である繊維シートを言う。こ
こで不融とは400℃の温度にさらされたときに、溶融
したり、軟化したりしない状態を言う。本発明に用いる
繊維シートが上記の特性を有しないと、本発明の含浸シ
ートが300℃付近の温度までさらされたとき、熱寸法
安定性が不足する。
【0012】本発明において、PPSとは、繰り返し単
位の80モル%以上、好ましくは90モル%以上が構成
【化1】 で示される構成単位からなる重合体をいう。かかる成分
が80モル%未満ではポリマの結晶性、熱転移温度等が
低くPPSを主成分とする樹脂組成物の特徴である耐熱
性、寸法安定性、機械特性等を損なう。
【0013】上記PPSにおいて、繰り返し単位の20
モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば共重合
可能なスルフィド結合を含有する単位が含まれていても
差し支えない。また該重合体の共重合の仕方は、ランダ
ム、ブロック型を問わない。
【0014】本発明において、ポリ−p−フェニレンス
ルフィドを主成分とする樹脂組成物(以下PPS組成物
という。)とは、ポリ−p−フェニレンスルフィドを6
0重量%以上含む組成物をいう。PPSの含有量が60
重量%未満では、該組成物からなる積層体の機械特性、
耐熱性、熱融着性等を損なう。また、該組成物中の残り
の40重量%未満はPPS以外のポリマ、無機または有
機のフィラー、滑剤、着色剤などの添加物を含むことが
できる。さらに、PPS組成物の溶融粘度は、温度30
0℃、剪断速度200sec−1 のもとで、100〜5
0000ポイズ、より好ましくは500〜20000ポ
イズの範囲が積層の加工性の点で好ましい。
【0015】本発明において、共重合PPSとは、p−
フェニレンスルフィド単位を主たる繰り返し単位とし
て、1種以上の共重合単位を共重合して構成されたもの
を言う。該共重合PPSにおけるp−フェニレンスルフ
ィド単位の含有量は、全繰り返し単位に対して50〜9
5モル%、好ましくは70〜92モル%の範囲である。
該含有量が50モル%未満では、多層回路基板の耐熱
性、熱寸法安定性が乏しく、逆に95モル%を越える
と、電気回路層との接着力が低下したり、含浸後のシー
トの平面性が著しく悪化する。
【0016】共重合単位としては、m−フェニレンスル
フィド単位、
【化2】
【化3】 (ここでXは、アルキレン、CO、SO2 単位を示
す。)
【化4】
【化5】 (ここでRはアルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキ
シ基を示す。)が挙げられ、これらの複合の単位が存在
してもかまわない。好ましい共重合単位はm−フェニレ
ンスルフィド単位である。これら単位の共重合量は、共
重合PPSの主たる繰り返し単位であるp−フェニレン
スルフィド単位に次いで多い共重合単位が、全繰り返し
単位に対して3〜50モル%、好ましくは5〜30モル
%の範囲である。該含有量が3モル%未満では、電気回
路層との接着力が低下したり、含浸後のシートの平面性
が著しく悪化する。逆に50モル%を越えると、多層回
路基板の耐熱性、熱寸法安定性が乏しくなる。共重合P
PSの繰り返し単位の残りの部分については、他の共重
合可能な単位で構成されていてもよいが、
【化6】 で代表される3官能フェニレンスルフィド単位は、共重
合体全体の1モル%以下であることが好ましい。
【0017】また本発明の共重合PPSの共重合の態様
は、ランダム、ブロックを問わないが、ランダムである
ことが好ましい。なお、共重合組成は、その組成に応じ
たあらゆる手段によって決定できる。
【0018】さらに共重合PPSからなる樹脂組成物
(以下共重合PPS組成物という。)とは、該樹脂分の
内、上記の共重合PPSが80重量%以上、好ましくは
90重量%以上占めるものを言う。残りの20重量%未
満であれば、共重合PPS以外の有機、無機の添加剤、
不活性粒子等を含むことは差し支えない。
【0019】本発明の共重合PPS組成物の融点は、2
00〜285℃の範囲が好ましい。溶融粘度は温度30
0℃、剪断速度200sec−1 のもとで、50〜20
000ポイズ、好ましくは、100〜10000ポイズ
である。
【0020】本発明の多層配線基板に用いられる一つ目
の配線基板は、繊維シートを上記のPPS組成物で含浸
せしめた樹脂含浸シートの表面(少なくとも電気回路が
形成される面)に共重合PPS組成物の層が積層され、
さらにその表面に電気回路を設けてなるものである(以
下積層体配線基板という。)。含浸状態は例えばインキ
の染み込み度により測定することができる。本発明の積
層体配線基板の絶縁層(電気回路層以外の層)は、基本
的にはPPS組成物(B)が繊維シート(A)に含浸さ
れており、樹脂含浸繊維シートのPPS組成物層の上部
に共重合PPS組成物(C)層が熱融着されているもの
であるが、該C層の一部がBと一緒にAに含浸していて
もよい。すなわち本発明の積層体配線基板の絶縁層の基
本構成は次の3つの態様が考えられる。
【0021】(1)AにBが含浸された樹脂含浸繊維シ
ートのAの厚みとBの厚みが同じ構成体の少なくとも片
方の面に、C層が熱融着された絶縁基材。
【0022】(2)AにBが含浸された樹脂含浸繊維シ
ートのAの厚みに比べてBの厚みが厚い構成体の少なく
とも片方の面に、C層が熱融着された絶縁基材。
【0023】(3)AにBが含浸された樹脂含浸繊維シ
ートの少なくとも片方の面にC層の一部が入り込んでい
る(C層の一部がBと一緒にAに含浸されていることを
意味する。)絶縁基材。
【0024】また、本発明の絶縁基材におけるC層は実
質的に無配向であっても、一軸または二軸に配向してい
てもよい。ここでA、B、Cの厚みの比率の限定は特に
ないが、樹脂含浸繊維シートの断面から各層厚みを顕微
鏡等で測定した時に、樹脂含浸後のBの厚みをb、Aの
厚みをaとすると、b/aが0.25〜2.5の範囲が
含浸性と熱寸法安定性の点で好ましい。また本発明のA
の層が必ずしも樹脂含浸繊維シートの厚み方向の中央に
存在する必要はなく、ずれた位置にあっても良い。
【0025】また本発明のC層の厚みは1〜100μm
の範囲が好ましく、Cの厚みをcとすると、c/bが
0.01〜2.5の範囲が接着力と耐熱性、寸法安定性
のバランスの点で特に好ましい。なお、B層、C層の厚
みは両者の樹脂組成物の結晶化の挙動の違いから、例え
ば偏光顕微鏡で絶縁基材の断面写真から測定できる。ま
たB層の樹脂組成物に含有される共重合PPSの含有量
(Bcopモル%)とC層の樹脂組成物に含有される共
重合PPSの含有量(Ccopモル%)の関係はBco
p<Ccopであることが好ましく、Bの樹脂組成物の
融点とCの樹脂組成物の融点の差が5〜90℃の範囲が
加工性および本発明の目的を達成しやすい点で好まし
い。また本発明の絶縁基材は以下に記載するインキの染
み込み度が2.0以下、より好ましくは1.5以下であ
る。該染み込み度が2.0を越えると、熱寸法変化率が
大きくなったり、スルーホール加工が難しくなり、本発
明の目的を達成しにくくなる。ここでインキの染み込み
度とは、該絶縁層の断面方向(厚み方向)の面にマジッ
クインキを付けたとき、該インキが内部に染み込むが、
その染み込んだ長さ(マジックインキを付けた位置から
該インキが到達した最長距離)を該シートの表面から測
定した長さ(mm)で表わした値であり、該絶縁層の含
浸度合いを表わすパラメーターである。また本発明の積
層体配線基板の絶縁層の厚みは20〜1000μmの範
囲が好ましい。
【0026】次に本発明の多層配線基板に用いる二つ目
の配線基板は、PPSフィルムの表面(少なくとも電気
回路が形成される面)に前記C層が積層され、さらにそ
の表面に電気回路が形成されてなるものである(以下フ
ィルム配線基板という。)。該フィルム配線基板の絶縁
層の主体となるPPSフィルムとは前記PPS樹脂組成
物(B)を溶融成形してなる未延伸(無配向)フィル
ム、一軸または二軸延伸(配向)し熱処理してなるフィ
ルムで厚み4〜300μmのものをいう。また該配線基
板の絶縁層は該フィルムに前記共重合PPS樹脂組成物
(C)層が積層されており、この両者の比率は該絶縁層
の断面から各層厚みを顕微鏡等で測定した時のPPSフ
ィルムの厚みをp、C層の厚みをcとすると、c/pが
0.02〜2の範囲が接着力と耐熱性のバランスの点で
特に好ましい。またPPSフィルム層の樹脂組成物に含
有される共重合PPSの含有量(Pcopモル%)とC
層の樹脂組成物に含有される共重合PPSの含有量(C
copモル%)の関係はPcop<Ccopであること
が本発明の目的を達成する上で特に好ましい。
【0027】本発明における電気回路とは銅、アルミニ
ウム、鉄などの単体または2種以上の合金からなる金属
またはこれらの金属やカーボンなど含有するペースト等
の導電体をパターン化した電気の通路をいい、厚み1〜
100μm、好ましくは1〜80μmの厚みをもつ層で
形成されている。回路の低抵抗化からは金属層の回路が
好ましい。更にまた配線基板とは、前記の如く絶縁層の
少なくとも片方の面に電気回路が形成されたもので電
気、電子部品等が実装されていてもよい。また本発明に
おける多層配線基板とは積層体配線基板とフィルム配線
基板が少なくとも各1層以上C層を介して積層されてな
るもので、各層を導電体で電気的に接続されたものであ
る。本発明の多層回路基板の層数、総厚み、また積層体
配線基板とフィルム配線基板の構成比率は特に限定され
ないが、該構成比率は多層配線基板の総層数に対するフ
ィルム配線基板の層数の比率が0.1〜0.7が多層配
線基板の薄肉化、高多層化と耐熱性のバランスのうえで
好ましい。また両配線基板の積層態様は特に限定されな
い。また該多層回路基板の各層の回路基板のサイズが同
一でなくてもよく、例えば一部の回路基板が多層回路基
板からはみだしていてもよい。
【0028】本発明の絶縁層と電気回路層の接合および
各配線基板の多層接合は全て共重合PPS樹脂層で行な
われていること(PPS以外の接着剤を使用しない。)
がPPSの特長である誘電特性、吸湿特性、耐熱性等の
諸特性を保持させるうえで重要である。
【0029】次に本発明の多層配線基板の製造方法につ
いて述べる。
【0030】共重合PPSおよびPPS樹脂組成物の製
造方法まず、本発明に用いる共重合PPSの重合法は、
種々の方法があるが、硫化アルカリとp−ジハロベンゼ
ン(主成分モノマ)および副成分モノマを本発明で言う
比率で配合し極性溶媒中で重合助剤の存在化に高温、高
圧で重合する方法が、得られるポリマの重合度が上昇し
やすく好ましい。特に、硫化アルカリとして硫化ナトリ
ウム、主成分モノマとしてp−ジクロルベンゼン、溶媒
としてN−メチルピロリドンを用いるのが好ましい。p
−ジハロベンゼン(主成分モノマ)とともに副成分モノ
マを共存させる副成分モノマとしては、
【化7】
【化8】
【化9】 (ここでXは、アルキレン、CO、SO2 単位を示
す。)
【化10】
【化11】 (ここでRは、アルキル、ニトロ、フェニレン、アルコ
キシ基を示す。)が挙げられ、これらの複数の副成分モ
ノマが存在してもかまわない。好ましい副成分モノマは
【化12】 である。
【0031】一方、本発明のPPSは、共重合PPSと
同様な方法で重合するが、本発明で言うように副成分モ
ノマを配合しないかまたはその配合を減ずる。
【0032】もちろん共重合PPSおよびPPSの溶融
粘度を調節する目的等で、重合の際に
【化13】 のような3官能モノマを配合してもよい。
【0033】こうして得られたPPSおよび共重合PP
Sに、必要に応じて、無機または有機の添加剤を加え、
PPS組成物および共重合PPS組成物とする。
【0034】絶縁基材の製造方法上記PPSポリマを繊
維シートに含浸し、共重合PPSを積層するには種々の
方法を使用できるが、代表的な方法としては次の方法を
例示することができる。 (1)上記のPPS組成物(B)、共重合PPS組成物
(C)を共押出によりBとCの未延伸、未配向の積層フ
ィルム(以下PPS積層フィルムという。)を作製し、
該PPS積層フィルムのBの面を繊維シートに合わせて
熱圧着して絶縁基材を製造する方法。
【0035】まず、上記のPPS積層フィルム(未延伸
フィルム)の製造方法について説明する。Bの組成物と
Cの組成物はエクストルーダに代表される溶融押出装置
と口金(スリット状のダイ)の間のポリマ流路内で合流
積層されるか、口金の中で合流積層される。すなわち、
別々のエクストルーダに供給され、個々の組成物の融点
以上の温度で溶融されたBの組成物とCの組成物は押出
装置と口金との間または口金の中に設けられた合流装置
で溶融状態で積層され、口金から押し出される。かかる
溶融積層物を該フィルムのガラス転移点以下の温度まで
急速冷却することにより、実質的に無配向のPPS積層
フィルムが得られる。ここで合流装置とは溶融状態で2
種以上のポリマ組成物を積層する機能を有するものであ
る。また、予め上記の条件でPPSフィルムのみを作製
した後、該フィルム上に共重合PPS組成物の未延伸フ
ィルム(以下共重合PPSフィルムという。)を口金か
ら押出して積層することもできる。
【0036】このようにして得られた無配向のPPS積
層フィルムのBの面を繊維シートに重ね合わせPPS組
成物の融点以上の290〜350℃の温度で、圧力1〜
30kg/cm2 の条件下で、加熱ロールプレスまたは
熱板プレスで熱圧着する。さらに該フィルムの平面性の
保持等を目的に冷却ロール、冷却板、フレッシュエア
ー、水等を介して冷却する。上記の熱圧着温度がPPS
組成物の融点未満の温度では、含浸性が乏しい。また圧
力が1kg/cm2 未満では含浸性が乏しく、逆に30
kg/cm2 を越えると得られる絶縁基材の平面性が悪
化する傾向にある。また本発明の絶縁基材の積層構成の
態様は、繊維シートとPPS積層フィルムの2層の場合
と、PPS積層フィルム、繊維シート、PPS積層フィ
ルムの3層をこの順序に重ね合わせて行なう場合がある
が、含浸性から後者の方が好ましい。また、熱圧着前の
繊維シートの厚みをa′、PPS積層フィルムの厚みを
b′+c′とすると、厚み比(b′+c′/a′)は
0.3〜3.0の範囲が樹脂含浸性の上で好ましい。
【0037】(2)樹脂組成物を溶融押出ししながら、
繊維シートに熱圧着して絶縁基材を製造する方法。
【0038】この方法は次の2種類考えられる。すなわ
ち(1)の方法で、共押出でPPS積層シートを押出し
ながら下方の繊維シートに積層し熱圧着する。この場
合、熱圧着は積層と同時に行なってもよいし、積層後別
の工程で行なってもよい。熱圧着の条件は(1)と同様
である。さらにもう一つの方法は、PPS組成物を押出
しながら、下方の繊維シートに積層し、その後の熱圧着
工程で共重合PPSフィルムを積層するものである。こ
の場合も熱圧着は積層と同時に行なってもよいし、積層
後別の工程で行なってもよい。熱圧着の条件は(1)と
同様である。
【0039】(3)PPSフィルムおよび共重合PPS
フィルムを繊維シートに熱圧着して絶縁基材を製造する
方法。
【0040】まず(1)の方法および条件でPPSフィ
ルムおよび共重合PPSフィルムを作製する。得られた
フィルムを繊維シート/PPSフィルム/共重合PPS
フィルムまたは共重合PPSフィルム/PPSフィルム
/繊維シート/PPSフィルム/共重合PPSフィルム
の順に重ね合わせて(1)の条件で熱圧着する。含浸性
から後者の構成の方が好ましい。また、先に繊維シート
とPPSフィルムを熱圧着して含浸させた後共重合PP
Sフィルムを熱圧着してもよく、予め共重合PPSフィ
ルムとPPSフィルムを熱圧着した後、PPSフィルム
部分を繊維シートに熱圧着して含浸してもよい。
【0041】(4)配向積層フィルムから本発明の絶縁
基材を製造する方法。
【0042】(1)のPPS積層フィルムを一軸または
二軸に延伸し配向したフィルム(以下PPS積層一軸
(または二軸)配向積層フィルムという。)のPPSの
面を繊維シートに重ね合わせて熱圧着する。熱圧着の方
法及び条件は、(1)と同じである。ここでPPS積層
の一軸及び二軸配向フィルムの製造方法を述べる。一軸
配向フィルムはPPS積層フィルムを長手方向または幅
方向に周知の方法で一軸延伸して配向させる。延伸条件
は長手方向、幅方向とも延伸温度は90〜120℃で
2.0〜4.5の範囲で通常行なわれる。PPS積層二
軸配向フィルムはPPS積層フィルムを周知の方法で二
軸延伸し配向する。たとえば、逐次二軸延伸法を用いる
と、延伸条件は長手方向および幅方向とも、上記一軸延
伸時の条件を用いることができる。続いて必要に応じて
熱処理が行なわれる。熱処理の方法としては、テンター
法を用いる。熱処理条件は200〜290℃の温度範囲
で定長または15%以下の制限収縮下で通常行なわれ
る。この場合、PPS積層二軸配向フィルムの共重合P
PS組成物層は配向していても、していなくてもよい。
さらに該フィルムの熱寸法安定性を向上させるため両方
向をリラックスしてもよい。本発明を効果的にするに
は、後者の二軸延伸フィルムを用いた方が好ましい。ま
た上記PPS積層一軸配向または二軸配向フィルムの製
造方法は、押出機から口金の間または口金の中で共重合
PPS組成物層とPPS組成物層を積層した未延伸シー
トを延伸したものであるが、共重合PPSフィルム(未
延伸フィルム)の単膜を一軸または二軸延伸し配向させ
た(以下一軸または二軸配向PPSフィルムという。)
後に別の口金から共重合PPS組成物を押出して該一軸
配向または二軸配向PPSフィルムと積層する方法も用
いることができる。また本発明の絶縁基材の積層構成の
態様は、繊維シートとPPS積層一軸または二軸配向フ
ィルムの2層の場合と、繊維シートの両面にPPS積層
一軸または二軸配向フィルムを熱圧着する3層の場合が
あるが、樹脂の含浸性から後者の態様が好ましい。また
熱圧着前の繊維シートの厚みをa′、PPS積層一軸ま
たは二軸配向フィルムの厚みをb′+c′とすると厚み
比(b′+c′/a′)は0.3〜3.0の範囲が樹脂
含浸性のうえで好ましい。
【0043】(5)樹脂組成物を溶融押出ししながら、
繊維シート、一軸または二軸配向フィルムに熱圧着して
絶縁基材を製造する方法。
【0044】(1)の要領でPPS組成物を押出し、下
方の繊維シート上に積層しながら、予め(4)の要領で
製造した一軸延伸または二軸延伸の共重合PPSフィル
ムの単膜とともに熱圧着する。また熱圧着は積層と同時
に行なってもよいし、積層後行なってもよい。熱圧着の
条件は(1)と同様である。またPPS組成物を繊維シ
ートに含浸させる工程と上記のフィルムを積層(熱圧
着)の工程を別々に行なってもよい。
【0045】(6)PPSフィルムおよび一軸または二
軸配向共重合PPSフィルムを繊維シートに熱圧着して
絶縁基材を製造する方法。
【0046】繊維シート(A)、PPSフィルム
(B)、一軸または二軸配向共重合PPSフィルム
(C)をA/B/Cまたは、C/B/A/B/Cの順に
重ね合わせて(4)の条件で熱圧着する。含浸性から後
者の構成の方が好ましい。また、A/B(またはB/A
/B)の含浸工程とその後のCの積層(熱圧着)の工程
または、B/Cの積層(熱圧着)とA層への熱圧着を別
々に行なってもよい。
【0047】また、粉状、粒状またはペレット状のPP
S組成物を、繊維シートに直接接触させて、上記(1)
〜(6)の条件で含浸させた後、共重合PPSシート、
一軸配向または2軸配向の共重合PPSフィルムを積層
(熱圧着)させる方法もある。
【0048】さらに上記の方法またはそれ以外の方法
で、本発明の積層構成にした後、該絶縁基材の表面を物
理的または化学的な方法で、研磨したりエッチングした
りしても、最終製品が本発明の目的を達成していれば差
し支えない。
【0049】またPPSフィルムに共重合PPS層を積
層した積層フィルムは上記(1)および(4)の方法で
得られる積層フィルムを用いることができる。
【0050】多層配線基板の製造方法 本発明の絶縁基材の表面に金属層を設ける方法は、例え
ば上記の絶縁基材の共重合PPS樹脂層と金属箔を重ね
合わせて、温度200〜300℃、好ましくは共重合P
PS組成物の融点をTmkとすると、Tmk−30℃〜
Tmk+50℃、圧力1〜30kg/cm2 の条件で熱
融着して行なう。また上記(1)〜(6)の絶縁基材の
製造と同時に金属箔を熱融着して積層することもでき
る。更に金属を蒸着法、スパッタリング法、メッキなど
の方法で絶縁基材の共重合PPS樹脂層の面に金属層を
設けることもできる。
【0051】このようにして得られた絶縁基材の金属層
をエッチング法(例えば塩化第2鉄水溶液で)で所望の
回路パターンを作成し配線基板を得る。また銀、銅など
の金属およびそれらの合金またはカーボンなどの導体を
含有する導電性の塗料をシルク印刷法などの方法で電気
回路を形成し、配線基板を得ることもできる。このよう
にして得られた配線基板から多層配線基板を製造するに
は両面に共重合PPS樹脂層を積層した本発明の樹脂含
浸シート、積層フィルムの片面に電気回路を形成した配
線基板を回路面と共重合PPS面が接するように2層以
上重ね合わせて温度200〜300℃、好ましくはTm
k−30℃〜Tmk+50℃、圧力1〜10kg/cm
2 の条件で熱融着して積層する。また本発明の絶縁基材
の両面に電気回路を設けた回路基板を共重合PPS樹脂
シートを介して積層してもよい。さらに各層をメッキ
法、導電性塗料印刷法などの方法で層間接続される。ま
た、必要に応じて電子部品等が半田などで実装される。
【0052】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明の特
性値は次の評価方法、評価基準による。
【0053】(1)耐熱性 260℃の温度にセットした半田浴中に、2cm角の回
路基板の試料を浮かべ、次の基準で評価した。
【0054】○ : 全く変化なし。
【0055】△ : 一部に軟化、変形、回路の剥が
れ、シワが見られる。
【0056】× : 全面が波打ちまたは曲がりなどの
変形または回路の剥離があり、寸法変化率が大きい。
【0057】(2)インキの染み込み度 絶縁基材の断面方向(厚み方向)の面にマジックインキ
(マジックのインキ部分)を3秒間接触させたとき、該
インキが内部に染み込む。その染み込んだ長さ(マジッ
クインキを接触した位置から該インキが到達した最長距
離)を該シートの表面から測定した長さ(mm)で表わ
した。なお使用したマジックはペンテル社(ペンテルペ
ン中字N50の油性)のものである。
【0058】(3)熱収縮率 多層配線基板のある方向を基準方向とし、該基準方向お
よび基準方向の90度方向にそれぞれ100mm×10
mmに切り出し、回路の導体部分にマークを付け該長手
方向のマーク間の距離を顕微鏡で正確に読みとる(xm
m)。次に240℃の温度に加熱した炉(熱風方式)で
30分間エージングした後、上記の距離を正確に測定す
る(ymm)。次式で各方向の熱収縮率(%)を求め、
熱収縮率の大きい方向の値で示した。
【0059】熱収縮率(%)=(x−y)/x×100 (4)接着力 絶縁基材を厚さ1.5mmのアルミニウム板に両面粘着
テ−プで固定し、回路の金属層をテンシロン(東洋ボー
ルドウイン社製)で剥離し、その引剥し力を測定した。
試料幅は10mm、引剥し速度は50mm/minであ
り、kg/cmで表わした。
【0060】(5)多層化後の各層間の接着性 多層配線基板の端面を5回折曲げた後の各層間の接着状
態を次の基準で評価した。
【0061】○ :剥離が全く発生しない。
【0062】△ :一部剥離する場合がある。
【0063】× :簡単に剥離する。
【0064】(6)誘電特性(誘電損失) 周波数を変えて、誘電損失の変化を調べた。(JIS−
C−6481に準じて測定した。) (7)回路のズレ 回路基板を240℃の温度にセットした炉(遠赤外線方
式)に5秒間通過させ、該炉を通過させていないものと
の回路のズレを見た。
【0065】(8)回路の導体抵抗値 ACP−TESTER、LORESTA−FP(三菱油
化(株)製)を用いて測定した。
【0066】(9)絶縁基材のPPS樹脂層と共重合P
PS樹脂層の厚み測定 偏光顕微鏡で断面観察、写真撮影し、該写真から各々の
層の厚みを求めた。
【0067】(10)多層配線基板の厚さ ダイヤルゲージで測定した。
【0068】(11)溶融粘度 高化式フローテスタ法によって測定した。
【0069】(12)融点 示差走査熱量計(DSC−2型)を用いて測定した。
【0070】
【実施例】次に本発明を実施例を挙げて詳細に説明す
る。
【0071】実施例1、実施例2、実施例3 (1)共重合PPS組成物の調製 オートクレーブに、100モルの硫化ナトリウム9水
塩、45モルの水酸化ナトリウム及び25リットルのN
−メチル−ピロリドン(以下NMPという。)を仕込
み、撹拌しながら徐々に220℃まで昇温して含有され
ている水分を蒸留により除去した。
【0072】脱水の終了した系内へ主成分モノマとして
91モル%のp−ジクロルベンゼン、副成分モノマとし
て10モル%のm−ジクロルベンゼン、および0.2モ
ル%の1,2,4トリクロロベンゼンを5リットルのN
MPとともに添加し、170℃で窒素を3kg/cm2
加圧封入後、昇温し、260℃にて4時間重合した。重
合終了後冷却し、蒸留水中にポリマを沈澱させ、150
メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマを
採取した。
【0073】このポリマを90℃の蒸留水により5回洗
浄した後、減圧下120℃にて乾燥して溶融粘度が10
00ポイズ、融点が253℃の白色粒子状の共重合PP
S組成物を得た。
【0074】次いで、該共重合PPSを10kgに、直
径0.5μmの球状シリカを50g配合し、320℃に
て30mmφ2軸押出機によりガット状に押出し、ペレ
ット化した。
【0075】(2)PPS組成物の調製 主成分モノマとして101モルのp−ジクルベンゼンを
用い、副成分モノマを用いないこと以外は全て(1)の
共重合PPS組成物の製造と同様にしてPPS組成物を
製造した。なお、該PPS組成物の溶融粘度は、300
0ポイズ、融点は285℃であった。
【0076】(3)共重合PPSとPPSの積層シート
の製膜 上記(1)および(2)で得られた共重合PPS組成物
およびPPS組成物をそれぞれ180℃にて3時間、1
mmHgの減圧下で乾燥後、別々のエクストルーダに供
給し、溶融状態で口金上部にある二重管型の積層装置で
上記の両ポリマが積層するよう導き、続いて設けられた
Tダイ型口金より吐出させ冷却回転ドラムで冷却固化
し、共重合PPS/PPSの2層積層フィルム(未配
向)を3種類得た。該積層シートの厚みは25μmで、
共重合PPS層の厚み(C)が12μmのもの(PPS
積層フィルム−1)、該C層の厚みが7μmのもの(P
PS積層フィルム−2)、さらに該C層の厚みが17μ
mのもの(PPS積層フィルム−3)の3種類のPPS
積層フィルムであった。
【0077】次にPPS組成物を40mm孔径の押出機
に供給しTダイ型口金より吐出させ冷却回転ドラムで冷
却固化し、PPSフィルム(未延伸フィルム)の25μ
m厚さのものを得た(p−PPSフィルム−1)。
【0078】(4)繊維シートの調整 ガラスクロス(EPC030(株)有沢製作所製)の3
4μmを用いた(繊維シート)。
【0079】(5)本発明の積層体配線基板の製造 上記繊維シートの両面に、PPS積層フィルム−1とp
−PPSフィルム−1を各々繊維シート面とPPS組成
物層を合わせて(PPS積層フィルム−1/繊維シート
/p−PPSフィルム−1)熱融着した(積層体−
1)。熱融着の方法は上記の構成に各3層を重ね合わせ
て、熱板プレス法で行ない、条件は温度300℃、圧力
20kg/cm2 であり、プレス時間(加熱ホールド時
間)1時間とし、その後プレスした状態で50℃まで急
冷した。得られた含浸シートのインキ染み込み度は0.
2mmであり樹脂含浸性は本発明の目的を十分達成して
いた。更に同様にしてPPS積層フィルム−2、3を用
いて積層体を作製した(順に積層体−2、積層体−
3)。
【0080】積層体−1〜3の共重合PPS組成物層の
面に1オンス(36μm厚み)の圧延銅箔を温度260
℃、圧力10kg/cm2 の条件で熱板プレス法で熱融
着した。該銅箔層を塩化第2鉄水溶液で電気回路パター
ンにエッチングして3種類(積層体−1を用いたものは
配線板−1、積層体−2のものを配線板−2、積層体−
3のものを配線板−3)の配線基板を得た。
【0081】(6)本発明のフィルム配線基板の製造 PPS積層フィルム−1の共重合PPS組成物層の面に
1オンスの圧延銅箔を上記(5)の条件で熱融着し、電
気回路を形成せしめた(配線板−A)。
【0082】(7)本発明の多層配線基板の製造 p−PPSフィルム−1と同様の製造方法で共重合PP
S組成物の未延伸フィルムの25μm厚みを得た(m−
PPSフィルム)。また配線板−1および配線板−Aに
スルーホールとなる穴を明けた。m−PPSフィルムを
介して配線板−1を4層、配線板−Aを3層交互に重ね
合わせて、温度260℃、圧力7kg/cm2 の条件で
熱融着した。熱融着は熱板プレス法を用いた。さらに金
属メッキでスルーホール加工して7層の多層配線基板
(実施例1)を得た。同様の方法で配線板−2と配線板
−Aの組み合わせ、配線板−3と配線板−Aの組み合わ
せの多層配線基板を作製した(順に実施例2、実施例
3)。
【0083】比較例1 実施例1、実施例2、実施例3の配線板−1をm−PP
Sフィルムを介して、実施例1、実施例2、実施例3の
条件で7層の多層配線基板を作製した。
【0084】比較例2 実施例1、実施例2、実施例3のp−PPSフィルム−
1を繊維シート1の両面に重ね合わせ、実施例1、実施
例2、実施例3の条件で熱融着してPPS組成物のみの
含浸シート(インキ染み込み度は0.3であった。)を
得た後、該シートの片面に同条件で1オンスの圧延銅箔
を熱融着して該銅箔を電気回路パターンにエッチングし
た(配線板−4)。次にp−PPSフィルム−1の片面
に同条件で電気回路を形成した(配線板−B)。該配線
板−4を4層、配線板−Bを3層交互に重ね合わせて温
度300℃、圧力10kg/cm2 の条件で熱融着し
た。
【0085】比較例3 PPS積層フィルム−2の片面に実施例1、実施例2、
実施例3の配線板−Aの条件で配線基板を作製し、m−
PPSフィルムを介して7層の多層配線基板を作製した
比較例4 実施例1、実施例2、実施例3と同様の方法で得たPP
S積層フィルムを二軸延伸した。延伸条件は、逐次二軸
延伸法を用い長手方向はロール延伸法で延伸温度90
℃、延伸倍率3.5倍であり、幅方向はテンター法で延
伸温度100℃、延伸倍率3.5倍である。続いて同一
テンター内で260℃10秒間熱処理した。更に200
℃、3分間のフリーリラックスを行なった。該フィルム
の厚みは25μmで共重合PPS層の厚みは7μmであ
った。こうして得られたPPS積層二軸配向フィルムの
共重合PPS組成物層の面に1オンスの銅箔を実施例
1、実施例2、実施例3の方法で熱融着し電気回路パタ
ーンを形成した。
【0086】比較例5 比較例2の配線板−4と配線板−Bを下記の接着剤を介
して、比較例4の構成で7層の多層配線基板を作製し
た。用いた接着剤はエポキシ系接着剤(“ケミット”エ
ポキシTE5920東レ(株)製)で、アプリケーター
で配線板の非回路面に15μm/Dryの厚さに塗布し
た。乾燥条件は100℃で3分間である。該配線板を7
層重ね合わせて温度120℃、圧力3kg/cm2 の条
件で積層し、さらに150℃、1時間接着剤を硬化し
た。
【0087】実施例4、実施例5 実施例1、実施例2、実施例3の配線板−1を6層、配
線板−Aを1層を配線板−Aが中心層になるように実施
例1、実施例2、実施例3の条件で7層の多層配線基板
を作製した(実施例4)。また同様にして配線板−1を
2層、配線板−Aを5層を両端に配線板−1がくるよう
に積層し7層の多層配線基板(実施例5)を得た。
【0088】実施例6 主成分モノマのp−ジクロルベンゼンの添加量94.8
モル%、副成分モノマm−ジクロルベンゼンの添加量を
5モル%にし、他は実施例1の条件で共重合PPSを重
合した(融点263℃)。またPPSは実施例1と同様
のものを用いた。さらに実施例1条件でPPS積層フィ
ルムを作製し、積層体配線基板を得た。該配線基板と実
施例1の配線板−Aを実施例1の構成で多層配線基板と
した。
【0089】実施例7 主成分モノマのp−ジクロルベンゼンの添加量69.8
モル%、副成分モノマm−ジクロルベンゼンの添加量を
30モル%にし、他は実施例1、実施例2、実施例3の
条件で共重合PPSを重合した(融点201℃)。また
PPSは実施例1、実施例2、実施例3と同様のものを
用いた。さらに実施例6と同様にして7層の多層配線基
板を作製した。
【0090】実施例8 実施例1、実施例2、実施例3の積層体−1の共重合P
PS層の面に銀ペーストをシルク印刷法で電気回路パタ
ーンを設けた(配線板−5)。回路厚みは15μmであ
った。またPPS積層フィルム−1の共重合PPS層側
のも同様の回路を形成した(配線板−B)。上記の配線
板−5と配線板−Bを実施例1、実施例2、実施例3の
構成および方法で積層し7層の多層配線基板を作製し
た。
【0091】実施例、比較例の評価 実施例1〜8、比較例1〜5の多層配線基板の評価結果
を表1、表2に示す。
【0092】実施例1〜8の本発明の多層配線基板は耐
熱性、熱寸法安定性、高周波特性等の特性が高次元でバ
ランスしており、かつ薄肉化、回路の低抵抗化、ファイ
ンパターンにも対応できる高機能配線基板であることが
判る。本発明の多層配線基板の回路となる導体層とPP
S樹脂組成物を主成分とする絶縁基板の接合、および各
配線基板を多層化するための接合は全てPPSであるた
め、PPSのもつ高周波特性、低吸湿性、難燃性等の諸
特性を低下させることなく、接着性に富むものとなっ
た。さらに樹脂と繊維シートの含浸度も高いためスルー
ホールの信頼性も高い。
【0093】実施例1〜実施例3までの各配線基板の断
面を顕微鏡観察すると、絶縁基材の積層構成が本発明の
態様に区別されていた。すなわち実施例1は繊維シート
の層にPPS組成物が含浸された層の厚さと該PPS組
成物層の厚さが等しく、その上に共重合PPS組成物の
層が設けられていた。実施例2は該樹脂含浸層よりPP
S樹脂組成物層の厚みが厚く、その上に共重合PPS樹
脂組成物層が設けられていた。実施例3は該樹脂含浸層
よりPPS樹脂組成物層の厚みが薄く、その上に設けら
れている共重合PPS樹脂組成物層の厚み方向の一部が
樹脂含浸層に入りこんでいる。これら3種類の特性は表
1、表2からも判るように全て本発明の目的を達成して
いる。
【0094】また比較例1のようにPPSフィルムを絶
縁基材とした配線基板を含まないと、多層配線基板の総
厚みを薄くするのが困難(耐熱性、熱寸法安定性に寄与
する樹脂含浸繊維シートは繊維シートの厚さが律速であ
るため)で少しでも薄肉化したい傾向にある電子機器の
市場ニーズに答えにくい。
【0095】比較例2の多層配線基板は共重合PPS樹
脂組成物層を介さずに、回路層との接合、配線基板の多
層化を行なったものであるが、回路層との接着力および
多層後の各配線基板の層間接合力が弱い。
【0096】また比較例3はPPS未延伸フィルム単体
を絶縁基材としたもので、耐熱性に乏しく、比較例4は
PPS二軸配向フィルム単体を絶縁基材としたもので、
熱寸法安定性に問題があることが判る。
【0097】比較例5の多層配線基板は実施例1、実施
例2、実施例3のものと同様の積層構成であるが各層間
はPPS以外の接着剤を介しているため、PPSの特長
である高周波特性、吸湿特性等を大きく阻害することが
判る。
【0098】また実施例4、実施例5から本発明の多層
配線基板における全層総数に対すフィルム配線基板(フ
ィルム単体を絶縁基材としたもの)の積層構成比率は
0.1〜0.7が本発明の目的を達成するうえで好まし
いことが判る。すなわち該積層構成比が小さい実施例4
は本発明の目的の一つである多層配線基板の薄肉化(小
型化)、高多層化が達成しにくくなり、逆に該積層構成
比が大きい実施例5は耐熱性、熱寸法安定性が低下する
傾向にある。
【0099】また実施例1、2、3、6、7から回路層
と絶縁基材の接着層および各配線基板の層間接着層とな
る共重合PPSの主成分モノマと副成分モノマ(共重合
成分)の添加比率が変わっても本発明の目的を達成でき
るが、該共重合成分の添加率が30モル%を越えると耐
熱性、熱寸法安定性が低下し、逆に5モル%未満になる
と上記の接着力が低下する傾向にある。
【0100】更に実施例1、2、3、8から本発明の多
層配線基板は共重合PPS層を用いているため電気回路
の形成は金属層、金属を含む導電性のペースト層で行な
うことができるが、回路の導電抵抗からは金属層で回路
を形成する方が有利である。
【表1】
【表2】
【0101】
【発明の効果】本発明の多層配線基板は以上の構成とし
たため、耐熱性、熱寸法安定性、高周波特性、吸湿特性
等が高次元でバランスしたものとなり、かつ薄肉化(小
型化)、高多層化(高密度化)が可能な多層配線基板に
なった。本発明の多層配線基板は回路の抵抗値も小さく
でき、特に信号の高速処理化、高周波対応、小型軽量
化、高密度化等に適した配線基板である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維シート(A)にポリ−p−フェニレ
    ンスルフィドを主成分とする樹脂組成物(B)が含浸さ
    れてなるシートとp−フェニレンスルフィド単位以外の
    少なくとも1種以上の共重合単位を含有する共重合ポリ
    フェニレンスルフィドの樹脂組成物(C)層からなる積
    層体のC層の表面に電気回路を設けた積層体配線基板
    と、ポリ−p−フェニレンスルフィドフィルムとCの積
    層フィルムのC層表面に電気回路を設けたフィルム配線
    基板とを有する多層配線基板であって、積層体配線基板
    とフィルム配線基板が少なくとも各1層以上C層を介し
    て積層されてなることを特徴とする多層配線基板。
  2. 【請求項2】 繊維シートが400℃の温度で不融であ
    ることを特徴とする多層配線基板。
  3. 【請求項3】 繊維シートがガラス繊維であることを特
    徴とする多層配線基板。
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