JPH0647559B2 - 改良された安定性と徐放作用を有する標的化学療法用抗癌剤エマルジョン及びその製法 - Google Patents

改良された安定性と徐放作用を有する標的化学療法用抗癌剤エマルジョン及びその製法

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JPH0647559B2
JPH0647559B2 JP2090036A JP9003690A JPH0647559B2 JP H0647559 B2 JPH0647559 B2 JP H0647559B2 JP 2090036 A JP2090036 A JP 2090036A JP 9003690 A JP9003690 A JP 9003690A JP H0647559 B2 JPH0647559 B2 JP H0647559B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 癌に対して多くの治療法がある。これらの方法は3つの
カテゴリー、すなわち外科的切除、放射線療法及び化学
療法のいずれかに分類することができる。このうち外科
的切除及び放射線療法は副作用によって制限を受けるこ
とが多く、満足な結果が得られることは少ない。同様
に、最も多く採用されている化学療法も重篤な副作用を
引き起しがちであり、そのために医師が使用を躊躇する
ことも多く、満足な結果を得ることがほとんど不可能と
なっている。多くの場合、抗癌剤の副作用の重篤さは薬
剤の抗癌効果に比例する。抗癌剤の効果を最大にし、副
作用を防ぐことに関しては、ドラッグデバリーシステム
が薬理学的な問題の最も重要な側面であると今の所考え
られている。このようなシステムでは、担体を使用する
ことを通して、悪性細胞へ抗癌剤を効果的に分配する(d
eliver)よう試みられ、この方法が「標的化学療法(targ
eting chemotherapy)」と呼ばれている。この方法の目
的は、薬剤の局所濃度を上げることにより抗癌作用を最
大にし、同時に、薬剤の全身的な分布を最少限に抑える
ことにより副作用の発現を顕著に減少させることであ
る。
抗癌剤の通常の血管内投与後には、薬剤は急速に全身に
均等に分布する。投与された用量のうち1/100〜1/1000
のみが腫瘍部位に到達し、投与したものの大部分が正常
細胞に作用するために無数の副作用が生じるとの報告が
ある。抗癌剤を動脈に直接注入して腫瘍部位に供給しよ
うとする試みもなされている。この方法により初期に得
られる効果は全身投与のものより優れているが、これは
一時的な効果にすぎない。しばらくすると、毛細血管が
薬剤を運び去り、全身への血液循環により薬剤は腫瘍部
位に十分長時間残留することはできない。これが現在の
癌化学療法における克服すべき残された問題である。
リピオドール(lipiodol)はヨウ素を含む油状のリンパ管
造影剤である。リピオドールを使用した多くの大病院か
らの最近の報告によると、投与されたリピオドールは、
動脈内注射又は静脈内注射のいずれかにかかわらず、最
終的に肝臓に集まる。肝臓内に腫瘍部位があれば、滞留
時間はより長くなる。従って、リピオドールは肝細胞癌
の診断によく使用されている。リピオドールに抗癌剤を
含有させ、この混合物を動脈内に注射することによりリ
ピオドールのこの特性を利用することができれば、その
標的化学療法メカニズムにより抗癌剤を含むリピオドー
ルが肝臓組織に集積されるばかりではなく、リピオドー
ルは腫瘍部位の新しい血管をふさぐので、油相リピオド
ールから抗癌剤がゆっくりと放出され徐放の目的を達成
するであろう。
抗癌剤を標的に向けるためのリピオドールの使用につい
て広範な研究が行われているが、意義深い結果はほとん
ど得られていない。失敗の第一の理由は、ヒト又は動物
に注入した後に、リピオドールから抗癌剤が急速に分離
することである。不安定性についてのこの現象はin vit
roの実験で容易に観察できる。
上記の点を考えると、改良された安定性と徐放作用とを
有する標的化学療法用エマルジョンを見出す必要があ
る。
日本特許公報(昭)60-193529号明細書は、w/o/w
型エマルジョンの製法を開示している。この方法は、
(1)油相に親油性界面活性剤と高級脂肪酸を加え;(2)油
相に金属塩の水溶液を加えてw/o型エマルジョンと
し;そして(3)w/oエマルジョンを水中で乳化するこ
とからなる。内側と外側の水相の浸透圧が大きく異なる
ために、水相の動きによりw/o/wエマルジョンの質
が低下する。内側の水相に金属塩を加え、外側の水相に
親油性界面活性剤(HLB9以下)を加えることによ
り、より良いw/o/wエマルジョンが得られる。
米国特許第3,410,794号明細書は、類似の化学的又は物
理的特性を有する炭化水素混合物の成分を分離する方法
を開示している。この方法は、個々の乳化された液滴が
形成されている炭化水素混合物を乳化し、前記混合物の
少なくとも1つの成分を少なくとも1つの他の成分より
速く選択的に通過させる液体の界面活性剤膜で前記液滴
をコートし、前記のコートした液滴を添加溶媒で洗い、
それによってより通過しうる成分の少なくとも一部を前
記溶媒に溶解することからなる。
発明の概要 本発明は、抗癌剤を含む水相と、約10〜30重量%の油及
び約0.1〜2.0重量%のHCO−60親水性界面活性
剤を含む油相とを含んでなる新規の抗癌剤エマルジョン
を提供する。このエマルジョンは優れた安定性と改良さ
れた徐放作用を示す。このエマルジョンは抗癌剤を腫瘍
部位に効果的に分配でき、同時に抗癌剤の標的精度を向
上することができる。
本発明は、優れた安定性と改良された徐放作用を有する
抗癌剤分配用の新規なエマルジョンの製法をも提供す
る。
詳細な説明 エマルジョン処方の一般理論によると、良好なエマルジ
ョンを製造するためには親油性界面活性剤を油相に加え
なければならない。親水性界面活性剤を油相に加える
と、得られるエマルジョンは不安定であり、急速に相逆
転現象を示す。鋭意検討の結果、予想外にも、親水性界
面活性剤HCO−60(HLB:14、ポリオキシエチレン
水添ひまし油、Nikko Chemicals k.k.(日本)より入手
可)を、抗癌剤を含む水相と特定の油を含む油相からな
るエマルジョン油相に加えると、エマルジョンがw/o
型であっても、w/o/w型であっても、改良された安
定性と徐放作用を有するエマルジョンが得られることが
判明した。得られた特性は、Span 80(HLB:
4.3、Wako Pure Chemical In
dus.(日本)から入手可)のような親油性界面活性
剤又はPluronic L−64(HLB:14、S
ino−Japan Chemical Co.,Lt
d.,ROCから入手可)のような他の界面活性剤を加
えて得られる結果よりも優れている。本発明のエマルジ
ョンが非常に利用価値のあるものであることは明白であ
る。界面活性剤HCO−60の量は得られるエマルジョン
の量に対して約0.1〜2重量%、好ましくは約0.5
〜1.5重量%である。エマルジョンの油相は10〜30重
量%の油と0.1〜2.0重量%のHCO−60界面活性
剤を含んでいる。油はリピオドールであるのが好まし
い。エマルジョンの水相中の抗癌剤は、塩酸アドリアマ
イシン、塩酸ブレオマイシン、マイトマイシンC、シト
シンC、シクロホスファミド、シトシンアラビノシド、
メトトレキサート、アクチノマイシンD、シスプラチ
ン、塩酸ダウノマイシン及び塩酸エピルビシンからなる
群から選択する。
更に、少量のレシチンを油相に加えると、得られるエマ
ルジョンはより制御可能な初期(溶離(dissolution)期
間の間の最初の6〜8時間)安定性とより良好な徐放作
用を示すことも発見された。
本発明の抗癌剤エマルジョンは、得られるエマルジョン
に対して約10〜30重量%の油、好ましくはリピオドール
と、得られるエマルジョンに対して約0.1〜2.0重
量%のHCO−60親水性界面活性剤とを含む油相に、抗
癌剤の水溶液を加え、次に約50〜100℃の温度でホモジ
ナイザー内で撹拌することにより得られた混合物を乳化
することにより製造する。このようにして、本発明のw
/o型エマルジョンが得られる。エマルジョンの水相中
の抗癌剤は、塩酸アドリアマイシン、塩酸ブレオマイシ
ン、マイトマイシンC、シトシンC、シクロホスファミ
ド、シトシンアラビノシド、メトトレキサート、アクチ
ノマイシンD、シスプラチン、塩酸ダウノマイシン及び
塩酸エピルビシンからなる群から選択する。
又、界面活性剤を任意的に含む水溶液をw/o型エマル
ジョンに加えることができ、上記方法の条件下で混合物
をミキサー内で振盪する。このようにして、本発明のw
/o/w型エマルジョンが得られる。内側の水相はエマ
ルジョンの約5〜15重量%であるのが好ましく、外側の
水相はエマルジョンの約35〜80重量%であるのが好まし
い。
本発明の薬剤エマルジョンの投与経路は腫瘍の部位によ
る。肝癌が疑われるときには、エマルジョンを肝動脈に
注射して投与することができる。肺癌が問題のときに
は、エマルジョンを静脈注射(注入)すべきである。原
則としては、標的とする腫瘍部位に浸透している血管に
注射(注入)することによりエマルジョンを投与すべき
である。腫瘍部位に到達した後、エマルジョンは腫瘍部
位に留まり、その中の有効成分をゆっくりと放出するで
あろう。一定の長時間に亘り抗癌剤の局所濃度は高く維
持され、従って、癌細胞を殺す薬剤の有効性が最大とな
る。
以下の非限定実施例により本発明を更に説明する。特記
しない限り、本明細書に使用されている部及び%は全て
重量に対してのものである。
実施例 実施例1 抗癌剤の代りに食用の赤色2号0.6gを蒸留水0.6
mlに溶解し、次に2mlのリピオドール内に静かに注い
だ。混合物を70℃で1時間撹拌し、w/o型エマルジョ
ンとした。次に、10%Pluronic F-68(Nikko Chemicals
k.k.(日本)から入手可)を溶液に静かに注ぎ入れ、混
合物をミキサー内で20秒間振盪し、w/o/w型エマル
ジョンとした。リピオドールに界面活性剤を加えなかっ
たため、得られたエマルジョンは非常に不安定で、すぐ
に分離した。混合物について半透膜溶離テストを行い、
その結果を第1図に示す。第1図に示すように、その溶
離速度は染料水溶液のものと同様であり、従って、混合
物は徐放作用を示さない。
実施例2 リピオドール相に1.2%のHCO−60を使用して実施
例1の手順を繰り返した。得られたw/o/wエマルジ
ョンは非常に安定であった。24時間後の染料放出量は約
20%のみであった。1.2%HCO−60の代りに0.6
%HCO−60を使用して手順を繰り返した。そのときの
染料放出量は40%であった(第1図参照)。第5図は本
実施例のw/o/w型エマルジョンを示す写真である。
実施例3 リピオドール相に0.65%レシチン及び0.4%HC
O−60を使用して実施例1の手順を繰り返した。得られ
たw/o/w型エマルジョンは優れた安定性を示した。
第2図に示すように、その初期溶離速度は0のオーダー
の速度(kinetic rate)(直線)の放出を示している。
実施例4 リピオドール相に0.65%レシチン及び0.4%Span
80を使用して実施例1の手順を繰り返した。得られた
w/o/w型エマルジョンは最初は優れた安定性を示し
た。しかし、2時間放置した後に相分離が観察され始
め、第2図に示すように溶離速度が上昇した。
実施例5 リピオドール相に0.65%レシチン及び0.4%Plur
onic L-64を使用して実施例1の手順を繰り返した。得
られたw/o/w型エマルジョンは初め中等度の安定性
を示した。30分間放置した後に相分離が観察され始め、
第2図に示すように、その後は溶離速度が非常に速くな
った。
実施例6 赤色染料の代りに抗癌剤塩酸アドリアマイシン(Farmita
lig Carlo Ergb S.P.A.)を使用し、リピオドール相には
種々の濃度のHCO−60を用いて実施例1の手順を繰り
返した。得られたw/o/w型エマルジョンは優れた安
定性を示すだけではなく、改良された徐放作用も認めら
れた。第3図に示すように、72時間後の抗癌剤の放出量
は約50〜約80%のみであった。
実施例7 ある量の抗癌剤塩酸アドリアマイシンを蒸留水0.6mlに
溶解した。次に、混合物を0.4%HCO−60含有リピ
オドール2mlに静かに注いだ。得られた混合物をホモジ
ナイザーで1分間撹拌し、w/o型エマルジョンとし
た。エマルジョンは優れた安定性を示し、第4図に示す
ように、徐放作用は更により顕著であり、96時間後には
薬剤の20%のみが放出されただけであった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、油相にHCO−60界面活性剤を含む又は含ま
ない、そして染料水溶液を含むw/o/w型エマルジョ
ンについての溶離曲線を示す。 第2図は、油相にレシチンと種々の型の界面活性剤を含
むw/o/w型エマルジョンについての溶離曲線を示
す。 第3図は、抗癌剤水溶液及び油相に種々の濃度のHCO
−60を含むw/o/w型エマルジョンについての溶離曲
線を示す。 第4図は、抗癌剤水溶液及び油相にHCO−60を含むw
/o型エマルジョンについての溶離曲線を示す。 第5図は、油相にHCO−60を含むw/o/w型エマル
ジョンの粒子構造を示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/44 J 7433−4C

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗癌剤を含む水相と、約10〜30重量%の油
    及び約0.1〜2.0重量%のHCO−60親水性界面活性剤を
    含む油相とを含んでなる抗癌剤エマルジョン。
  2. 【請求項2】前記油がリピオドールである請求項1に記
    載の抗癌剤エマルジョン。
  3. 【請求項3】塩酸アドリアマイシン、塩酸ブレオマイシ
    ン、マイトマイシンC、シトシンC、シクロホスファミ
    ド、シトシンアラビノシド、メトトレキサート、アクチ
    ノマイシンD、シスプラチン、塩酸ダウノマイシン及び
    塩酸エピルビシンからなる群から抗癌剤を選択する請求
    項1に記載の抗癌剤エマルジョン。
  4. 【請求項4】前記HCO−60界面活性剤の量により安定
    性及び徐放速度が調節される請求項1に記載の抗癌剤エ
    マルジョン。
  5. 【請求項5】前記HCO−60界面活性剤の量が約0.5〜
    1.5重量%である請求項4に記載の抗癌剤エマルジョ
    ン。
  6. 【請求項6】前記油相が更にレシチンを含有する請求項
    1に記載の抗癌剤エマルジョン。
  7. 【請求項7】得られるエマルジョンに対し約10〜30重量
    %の油及び得られるエマルジョンに対し約0.1〜2.0重量
    %のHCO−60親水性界面活性剤を含む油相に抗癌剤の
    水溶液を加え、次いで、ホモジナイザー内で約50〜100
    ℃の温度にて撹拌することにより得られた混合物を乳化
    してエマルジョンを得ることを特徴とする請求項1に記
    載の抗癌剤エマルジョンの製法。
  8. 【請求項8】前記油がリピオドールである請求項7に記
    載の製法。
  9. 【請求項9】塩酸アドリアマイシン、塩酸ブレオマイシ
    ン、マイトマイシンC、シトシンC、シクロホスファミ
    ド、シトシンアラビノシド、メトトレキサート、アクチ
    ノマイシンD、シスプラチン、塩酸ダウノマイシン及び
    塩酸エピルビシンからなる群から抗癌剤を選択する請求
    項7に記載の製法。
  10. 【請求項10】界面活性剤を任意的に含むもう1つの水
    溶液を前記エマルジョンにさらに加え、次いでミキサー
    内で振盪する請求項7に記載の製法。
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