JPH0651676B2 - (5e)−プロスタグランジンe▲下2▼類の製造法 - Google Patents

(5e)−プロスタグランジンe▲下2▼類の製造法

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JPH0651676B2
JPH0651676B2 JP61037308A JP3730886A JPH0651676B2 JP H0651676 B2 JPH0651676 B2 JP H0651676B2 JP 61037308 A JP61037308 A JP 61037308A JP 3730886 A JP3730886 A JP 3730886A JP H0651676 B2 JPH0651676 B2 JP H0651676B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈技術分野〉 本発明は(5E)−プロスタグランジンE類の新規製
造法に関する。更に詳細にはα,β−不飽和ケトンであ
る4−置換−2−シクロペンテノン類に有機銅化合物を
共役付加反応せしめて生成するエノレート中間体を炭酸
エステル誘導体と反応せしめる工程を経由して元のα,
β−不飽和ケトンのβ位に置換アルケニル基,α位に置
換アリルオキシカルボニル基が導入された新規2−アリ
ルオキシカルボニルシクロペンタノン誘導体を製造し、
次いでこのものを0価のパラジウム錯体と反応せしめる
ことにより目的とする(5E)−プロスタグランジンE
類を製造する新規技術に関するものである。
〈従来技術〉 天然プロスタグランジン(以下PGと略記することがあ
る)類は生物学的および薬理学的に高度な活性を持つ局
所ホルモン(オータコイド)として知られている。それ
故、PGの持つこれらの生理的な特徴を巧妙に利用して
新しいタイプの医薬品を開発する研究は、天然PG類に
関してのみならず各種誘導体についても実施されてい
る。
天然PG類のなかでもPGE,PGF類はもつとも古く
から知られている化合物であり、PGE,PGFα
はその子宮平滑筋収縮作用を利用して陣痛促進剤として
すでに医薬品化されており、PGEは血小板凝集抑制
作用,血圧降下作用等の生理作用を利用して末梢循環治
療薬として用いられている。これらの有用な天然PG類
のなかでもPGE類はPGE類あるいはPGFα
類への合成原料としても重要な意味を持つ化合物であ
り、合成化学上の重要な標的化合物ともなつている。
従来これらのPGE類およびPGF類の製造にあたつて
は数多くの方法が開発され、報告されており〔ジエー・
ビー・ビンドラ(J.B.Bindra)ら、プロスタグラン
ジン・ジンセシス(Prostaglandin Synthesis),アカ
デミツク・プレス(Academic Press)(1977)〕および
寺島ら、プロスタグランジンと関連生理活性物質,講談
社サイエンテイフイク,P.62〜P.176(1981)
参照)、その中でも画期的な代表例としては (I)アラキドン酸またはジホモ−−リノレン酸より生
合成によつて得る方法〔ビー・サムエルソン(B.Samu
elsson)ら、アンゲバンテ・ケミー・インターナシヨナ
ル・エデイシヨン・イン・イングリツシユ(Angew.Che
m.Int.Ed.Engl.),410(1965),参照) (II)重要中間体であるコーリー(Corey)ラクトンを経
由する方法〔イー・ジエー・コーリー(E.J.Cere
y)ら、ジヤーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル
・ソサイエテイー)J.Am.Chem.Soc.),92,397(1
970)参照〕 (III)重要中間体である2−置換−2−シクロペンテノ
ン体を経由する方法〔シー・ジエー・シン(C.J.Si
n)ら,ジヤーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル
・ソサエテイー(J.Am.Chem.Soe.),97,865(197
5)参照)〕 (IV)5,6−デヒドロPGEまたはPGFαを選択
的還元する方法〔イー・エス・フエルデイナンデイー
(E.S.Ferdinandi)ら,カナデイアン・ジヤーナル
・オブ・ケミストリー(Can.J.Chem.)49,1070(19
71)参照〕〔シー・エツチ・リン(C.H.Lin)ら,プ
ロスタグランジン(Prostaglandin),11,377(1976)
参照)〕 等が挙げられる。
しかるに、これらの方法において、生合成によつて得る
方法では原料である多価不飽和脂肪酸が入手困難であ
り、しかもこれからの収率が非常に低く、副生成物から
の精製取が困難である。化合合成によつて得る方法では
出発原料を得るのに多くの工程を有し、他方容易に出発
原料が得られてもかかる出発原料からのプロスタグラン
ジンの製造はまだ多くの工程を経由し、それ故、全収率
は非常に低い等の欠点がある。
近年これらの諸難点を克服すべく、PG骨格の直接合成
法として2−シロクペンテノン系への共役付加反応につ
づくエノレートの捕捉過程を用いた3成分連結プロセス
法が考案されてい〔ジー・ストーク(G.Stork)ら,
ジヤーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイ
エテイー(J.Am.Chem.Soc.),97,6260(1975),
ケー・ジー・ウンチ(K.G.Unteh)ら,ジヤーナル
・オブ・オルガニツク・ケミストリー(J.Org.Che
m.),44,3755参照〕。
しかし、これらの試みはエノレートの捕捉を低分子化合
物であるホルムアルデヒド・トリメチルシリルクロリド
を用いて行ない、得られた重要中間体を経由し化学合成
によりPG骨格合成を達成するという多段階を経なけれ
ばならない難点を有し、全収率も低いという欠点を有し
ている。
本発明者はかかる点に着目し、プロスタグランジンE,
F類の有利な化学合成法、すなわち(I)容易に得られる
出発原料を用いる、(II)反応工程が短かい、(III)全収
率が高い等の利点を有する合成法を見出すべく鋭意研究
した結果、保護された4−ヒドロキシ−2−シクロペン
テノンより一段の反応により高収率で得られる7−ヒド
ロキシプロスタグランジンE類から、7位のヒドロキシ
基を選択的に除去し、所望により官能基変換することに
よりPGE,PGF類が得られることを見出し、以前に
別途報告している。〔(野依ら,テトラヘドロン・レタ
ーズ(Tetrahedron Letters),23,4057(1982)および
テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),2
3,5563(1982)参照〕。
また、かなり以前より前記のエノレートを直接アルキル
ハライド類で捕捉することによりPG骨格を構築しよう
とする努力がなされているが、モデル系では成功してい
ても天然PGEの骨格を構築する実用的な製造法は未
だ確立されていない。〔(1)ジー・エツチ・ポズナー
(G.H.Posner)ら,テトラヘドロン・レターズ(Te
trahedron Letters),2591(1974)およびジヤーナル・
オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサイエテイー
(J.Am.Chem.Soc.),97,107(1974);(2)田中
ら,特開昭50−96542および50−101337(1975);(3)
ジエー・ダブリユー・パターソン(J.W.Patterso
n)ら,ジヤーナル・オブ・オルガニツク・ケミストリ
ー(J.Org.Chem.),39,2506(1974);(4)ジー・ス
トーク(G.Stork)ら,ジヤーナル・オブ・ザ・アメ
リカン・ケミカル・ソサイエテイー(J.Am.Chem.So
c.),97,6260(1975);(5)ジエー・エー・ノグエツ
(J.A.Noguez)ら,シンセテイツク・コミユニケー
シヨン(Synthetic Communications),,39(1976);
(6)アール・ダウイス(R.Dauis)ら,ジヤーナル・オ
ブ・オルガニツク・ケミストリー(J.Org.Che
m.),44,3755(1979);(7)エー・ジエー・デイクソン
(A.J.Dixon)ら,ジヤーナル・オブ・ザ・ケミカ
ル・ソサイエテイー(J.Chem.Soc.),パーキン(P
arkin)I,1407(1981)〕 さらに、本発明方法により製造される(5E)−プロス
タグランジンE類はその特異な生理活性が注目されて
いたにもかかわらず効率的な製造法が開発されなかつた
ために医薬品の開発を意図した研究が比較的おくれてい
た化合物群である。すなわち、前述の各種合成法では天
然の立体構造を有する(5Z)−プロスタグランジンE
類の製造に有利な方法であり、今までに報告されてい
る(5E)−プロスタグランジンE類の製造は海産物
(Plexaura homomalla)由来の(5E)−プロスタグラ
ンジンAからの誘導法もしくは(5Z)−プロスタグ
ランジンE類の光異性化による(5E)−プロスタグ
ランジンE類の製造法〔ジエー・イー・パイク(J.
E.Pike)ら,ジヤーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケ
ミカル・ソサイエテイー(J.Am.Chem.Soc.),9
4,2124(1972)および同じく99,1222(1977)参照〕の
みであり、前方法は天然骨格のみ入手可能であり、後方
法では収率が低く医薬品の開発にあたつては効率的な製
造法とはいいがたい。
〈発明の目的〉 本発明者らは前記3成分連結プロセス法によるPG骨格
の構築法に注目し、さらに反応工程が短かく、より効率
的なPG骨格合成法を確立すべく鋭意研究を進めた結
果、光学活性4−置換−2−シクロペンテノン類に有機
銅化合物を共役付加反応せしめて生成するエノレート中
間体をPGEのα側鎖に相当する成分を備えた炭酸エ
ステル誘導体と反応させる工程を経て一担、2−アリル
オキシカルボニルシクロペンタノン類とした後、これを
0価のパラジウム錯体と反応せしめることにより脱炭酸
−再カツプリング反応を経由して目的とする(5E)−
プロスタグランジンE類の合成に成功し本発明に到達
したものである。
従来、α−アリルオキシカルボニルケトンを出発原料と
し0価のパラジウム触媒を用いる脱炭酸−アリル化反応
は既に三枝らおよび辻らによつて相前後して報告されて
いる〔(三枝ら,ジヤーナル・オブ・ザ・アメリカン・
ケミカル・ソサイエテイー(J.Am.Chem.Soc.),1
02,6381(1980)および辻ら,テトラヘドロン・レターズ
(Tetrahedron Letters),21,3199(1980)〕。しかし
これらの報告ではシクロヘキサノン系およびシンクペン
タノン系などの比較的単純な系での実施例についてしか
報告はなく、PG合成に必要な3,4−ジ置換−2−ア
リルオキシカルボニルシクロペンタノン類のような2位
でのアリル化に比較的に立体障害が予想される系に対す
る応用例は報告されていない。
一方、本発明者らは以前に3,4−ジ置換−2−アリル
オキシカルボニルシクロペンタノン類で本脱炭酸−アリ
ル化反応を報告した(田中ら,特開昭59−44336)。
その概要を反応式で示すと次のとおりである。
上記の例は3,4−ジ置換−2−(無置換)アリルオキ
シカルボニルシクロペンタノン類に関するものであり、
3,4−ジ置換−2−(置換)アリルオキシカルボニル
シクロペンタノン類については本発明者らが別途提案し
た方法〔(田中ら,テトラヘドロン・レターズ(Tetrah
edron Letters),26,5575(1985)も参照〕が知られて
いる。その概要も反応式で示すと次のとおりであり、こ
のような系における脱炭酸−アリル化反応においてはE
異性体からはもちろんのこと、Z異性体からも本反応の
途中で二重結合がほぼ完全に転位した(5E)−プロス
タグランジンE類が得られるという特徴を有してお
り、しかもその際にアリル転位生成物の副生が認められ
ないという特徴を有した(5E)−プロスタグランジン
類の製造法である。
上記の例は3,4−ジ置換−2−(3−置換)アリルオ
キシカルボニルシクロペンタノン類の結果であるが3,
4−ジ置換−2−(1−置換)アリルオキシカルボニル
シクロペンタノン類を出発原料として用いると驚くべき
ことに完全にアリル転位した生成物のみが得られること
が見出され、本発明に到つたものである。
〈発明の構成および効果〉 本発明では、下記式〔I〕 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物である2−アリルオキシカルボニル
シクロペンタノン誘導体を0価のパラジウム錯体と反応
せしめることを特徴とする下記式〔II〕 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物である(5E)−プロスタグランジ
ンE類の新規製造法が提供される。
本発明において原料として用いられる上記式〔I〕で代
表される2−アリルオキシカルボニルシクロペンタノン
誘導体は新規化合物であり、本発明者らが別途提案した
方法〔(田中ら,特開昭59−44336)ならびに融ら,
テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),4
087(1976)およびアール・ジー・サロモン(R.G.Sal
omon)ら,ジヤーナル・オブ・オルガニツク・ケミスト
リー(J.Org.Chem.),40,1488(1975)〕に記載さ
れている方法に準じて製造される。
すなわち、下記式〔III〕 で表わされる4−置換−2−シクロペンテノン類または
その鏡像体あるいはそれらの任意の割合の混合物を下記
式〔IV〕 で表わされる有機リチウム化合物と下記式〔V〕 CuQ………………〔V〕 で表わされる銅化合物とから得られる有機銅化合物と共
役付加反応せしめ、次いで下記式〔VI〕 で表わされる炭酸エステル誘導体と反応せしめ、場合に
よつて保護された水酸基および/またはカルボン酸の脱
保護反応に付すことにより、下記式〔I〕 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物である2−アリルオキシカルボニル
シクロペンタノン誘導体を製造する方法である。なお、
本特許明細書において式で表わされる化合物およびその
鏡像体あるいはそれらの任意の割合の混合物を表現する
場合、式で代表される化合物という表現で表わす。
本発明において上記式〔I〕で代表される2−アリルオ
キシカルボニルシクロペンタノン誘導体を製造するため
の原料である4−置換−2−シクロペンテノン類は上記
式〔III〕で表わされる。上記式〔III〕においてR21
はトリ(C〜C炭化水素)シリル基を表わす。
トリ(C〜C)炭化水素シリル基としては、例え
ば、トリメチルシリル基,トリエチルシリル基,トリイ
ソプロピルシリル基,t−ブチルジメチルシリル基のよ
うなトリ(C〜C)アルキルシリル基、t−ブチル
ジフエニルシリル基のようなジフエニル(C〜C
アルキルシリル基、またはトリベンジルシリル基などを
好ましいものとして挙げることができるが、なかでもt
−ブチルジメチルシリル基が特に好ましい。
かかるシリル基は水酸基の保護基であると理解されるべ
きである。この保護基は最終生成物の段階で弱酸性から
中性の条件で容易に除去されて薬剤として有用な遊離の
水酸基とすることができる。したがつてこのような性状
を有している水酸基の保護基はシリル基の代わりとして
使用することができる。
上記式〔III〕で代表される4−置換−2−シクロペン
テノン類の具体例としては上記R21が置換したものす
べてを挙げることができる。
ここで特記すべきは上記式〔III〕の化合物は不斉炭素
を有しており、このため光学異性体が存在するというこ
とである。プロスタグランジン類を合成するという立場
からいえば4位の絶対配置はRが好ましいが、α体
(RとSの混合物)であつても後の工程の適当な段階で
立体異性体を分離することが可能であるから十分その目
的を達成する。
本発明においてはまず上述した4−置換−2−シクロペ
ンテノン類を、式〔IV〕で表わされる有機リチウム化合
物と式〔V〕で表わされる銅化合物とから得られる有機
化合物と共役付加反応せしめることにより実施される。
式〔IV〕の有機リチウム化合物の入手は、例えば対応す
るヨウ化物とt−ブチルリチウムとからそれ自身公知の
方法により反応せしめることにより可能である。式〔I
V〕においてR31はトリ(C〜C炭化水素)シリ
ル基を表わし、前述のR21と同様のものが好ましく挙
げられる。
式〔IV〕においてRは水素原子,メチル基,またはビ
ニル基を表わす。
式〔IV〕においてRは直鎖もしくは分枝鎖C〜C
アルキル基,フェニル基、もしくはC〜C10シクロ
アルキル基;またはC〜Cアルコキシ基,フェニル
基,フェノキシ基、もしくはC〜C10シクロアルキ
ル基で置換されている直鎖もしくは分枝鎖C〜C
ルキル基を表わす。直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアル
キル基としてはプロピル基,ブチル基,ベンチル基,ヘ
キシル基,ヘプチル基,2−ヘキシル基,2−メチル−
2−ヘキシル基,2−メチルブチル基,2−メチルペン
チル基,2−メチルヘキシル基,2,2−ジメチルヘキ
シル基などを挙げることができるが、ブチル基,ペンチ
ル基,ヘキシル基,ヘプチル基,2−ヘキシル基,2−
メチル−2−ヘキシル基,2−メチルブチル基,2−メ
チルペンチル基が好ましい。
〜C10のシクロアルキル基としては、例えば、シ
クロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル
基,シクロヘキセニル基,シクロヘプチル基,シクロオ
クチル基,シクロデシル基などを挙げることができる
が、シクロペンチル基,シクロヘキシル基が好ましい。
〜Cアルコキシ基,フエニル基,フエノキシ基,
もしくはC〜C10シクロアルキル基で置換されてい
る直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基のうちで、
〜Cアルコキシ基としては、例えばメトキシ基,
エトキシ基,プロピルオキシ基,イソプロピルオキシ
基,ブトキシ基,t−ブトキシ基,ヘキシルオキシ基な
どが挙げられる。C〜C10シクロアルキル基として
は前述の例示と同じものを挙げることができる。直鎖も
しくは分枝鎖C〜Cアルキル基としては、例えば、
メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブ
チル基,イソブチル基,sec−ブチル基,t−ブチル
基,ペンチル基などを挙げることができる。かかるR
としてはシクロペンチルメチル基,シクロヘキシルメチ
ル基などを好ましいものとして挙げることができる。な
お、置換基はその任意の位置に結合していてもよい。
式〔IV〕においてnは0または1を表わす。
一方、式〔V〕の銅化合物におけるQは、塩素原子,臭
素原子,ヨウ素原子などのハロゲン原子,シアノ基,フ
エニルチオ基、または1−ペンチニル基を表わす。
式〔IV〕の有機リチウム化合物と式〔V〕の銅化合物と
から有機銅化合物を得るには、例えば文献ジー・エツチ
・ホズナー(G.H.Posner),オルガニツク・リアク
シヨン(Organic Reaction),vol.19,1(1972);テト
ラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),21,12
47(1980);野依ら,テトラヘドロン・レターズ(Tetrah
edron Letters),21,1247(1980),23,4057(1982),2
3,5563(1982),24,1187(1983),24,4103(1983),お
よび25,1383(1984)などが参考とされる。
本発明方法では有機銅化合物とともに、三価の有機リン
化合物、例えば、トリアルキルホスフイン(例えば、ト
リエチルホスフイン,トリブチルホスフインにど),ト
リアルキルホスフアイト(例えば、トリメチルホスフア
イト,トリエチルホスフアイト,トリイソプロピルホス
フアイト,トリ−n−ブチルホスフアイトなど),ヘキ
サメチルホスホラストリアミド、あるいはトリフエニル
ホスフインなどを用いると本共役付加反応が円滑に進行
するが、特にトリブチルホスフイン,ヘキサメチルホス
ホラストリアミドが好適に用いられる。
本発明方法は前記式〔III〕で代表される4−置換−2
−シクロペンテノン類を上述の有機銅化合物と、三価の
有機リン化合物および非プロトン性不活性有機媒体の存
在下に反応せしめることにより実施される。
4−置換−2−シクロペンテノン類と該有機銅化合物と
は、化学量論的には等モル反応を行なうが、通常、4−
置換−2−シクロペンテノン類1モルに対して、0.5〜
2.0倍、好ましくは0.8〜1.5倍、特に好ましくは1.0〜1.
3モル倍の有機銅化合物を用いて行なわれる。
反応温度は−100℃〜20℃、特に好ましくは−78
℃〜0℃程度の温度範囲が採用される。反応時間は反応
温度により異なるが、通常−78℃〜−20℃にて約1
時間程度反応せしめれば充分である。
反応は有機媒体の存在下に行なわれる。反応温度下にお
いて液状であつて、反応試剤とは反応しない不活性の非
プロトン性の有機媒体が用いられる。
かかる非プロトン性不活性有機媒体としては、例えば、
ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,シクロヘキサンのよう
な飽和炭化水素類、ベンゼン,トルエン,キシレンのよ
うな芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル,テトラヒド
ロフラン,ジオキサン,ジメトキシエタン,ジエチレン
グリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶媒、
その他ヘキサメチルホスホリツクトリアミド(HM
P),ジメチルスルホキシド,スルホランのようないわ
ゆる非プロトン性極性溶媒等があげられ、二種以上の溶
媒の混合溶媒として用いることも可能である。また、か
かる非プロトン性不活性有機媒体としては、有機銅化合
物を製造するに用いられた不活性媒体を、そのまま用い
ることもできる。すなわち、この場合、有機銅化合物を
製造した反応系内に該4−置換−2−シクロペンテノン
類を添加せしめて反応を行なえばよい。有機媒体の使用
量は反応を円滑に進行させるに十分な量があれば良く、
通常は原料の1〜100倍容量、好ましくは2〜20倍
容量が用いられる。
三価の有機リン化合物は有機銅化合物の前記した調製時
に存在せしめておくこともでき、その系内に4−置換−
2−シクロペンテノン類を加えて反応を実施することも
できる。
本発明方法において、これまでの操作によつて反応系内
には該4−置換−2−シクロペンテノン類の3位の位置
に該有機銅化合物の有機基部分である置換アルケニル基
が付加し、2位に陰イオンが生成したいわゆる共役付加
エノレートが形成されていると想定される。本発明では
この共役付加エノレートに対して前記式〔VI〕で表わさ
れる炭酸エステル誘導体を反応せしめることにより目的
とする前記式〔I〕で代表される2−アリルオキシカル
ボニルシクロペンタノン類が製造される。
式〔VI〕で表わされる炭酸エステル誘導体においてZは
塩素原子,臭素原子,フエニルチオ基または1−イミダ
ゾール基を表わすが、塩素原子が好ましい。
式〔IV〕においてR11はC〜C10アルキル基を表
わす。
〜C10のアルキル基としては、例えば、メチル
基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル
基,イソブチル基,sec−ブチル基,t−ブチル基,ベ
ンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニ
ル基,デシル基などの直鎖状または分枝状のものをあげ
ることができる。
本発明方法において反応系内に生成している該共役付加
エノレートと式〔VI〕で表わされる炭酸エステル誘導体
との反応は有機銅化合物を4−置換−2−シクロペンテ
ノン類に共役付加せしめた反応系内に前述の非プロトン
性有機媒体(特に好ましくはヘキサメチルホスホリツク
トリアミド)の存在または非存在下に前記式〔VI〕で表
わされる炭酸エステル誘導体を添加せしめることにより
実施される。
該炭酸エステル誘導体は共役付加反応により生成したエ
ノレートと化学量論的には等モルで反応を行なうが、通
常、最初に用いた4−置換−2−シクロペンテノン類に
対して0.5〜5.0モル倍、好ましくは0.7〜2.0モル倍、特
に好ましくは0.8〜1.2モル倍量を用いて実施される。
反応温度は−100℃〜0℃、好ましくは−78℃〜−
20℃程度の温度範囲が採用される。反応時間は用いる
炭酸エステル誘導体の種類や反応温度によつて非常に異
なり、通常、−78℃〜−30℃にて約1時間〜50時
間反応せしめて反応を終結させるが、反応の終点は薄層
クロマトグラフイーなどで追跡し決定するのが効率的で
ある。
本発明方法における炭酸エステル誘導体によるアルキル
化反応に際しては、前述の非プロトン性極性溶媒、なか
でもヘキサメチルホスホリツクトリアミドの共存下に実
施するのが好ましく、しばしば良い結果を与える。反応
後、通常の手段(後処理,抽出,洗浄,クロマトグラフ
イー,蓄留、あるいはこれらの適当な組み合わせにより
分離,精製される。
かくして下記式〔I′〕 で代表される保護された2−アリルオキシカルボニルシ
クロペンタノン誘導体が得られるが、このものをそれ自
身公知の方法により保護された水酸基および/またはカ
ルボン酸の脱保護反応を実施することにより目的とする
新規化合物群である前記式〔I〕で代表される2−アリ
ルオキシカルボニルシクロペンタノン誘導体が得られ
る。
以上の説明で判断されるように本発明の反応は位置特異
的に進行して、4−置換−2−シクロペンテノン類の3
位に置換アルケニル基,2位に置換アリルオキシカルボ
ニル基が導入され、また立体特異的に進行して最初の4
位の置換基と3位に新たに導入された置換基、および3
位と2位に新たに導入された置換基どうしは、それぞれ
トランスの関係を保つて導入される。それ故に前記式
〔III〕で表わされる立体構造を有する4−置換−2−
シクロペンテノン類からは前記式〔I〕で表わされる立
体構造を有する2−アリルオキシカルボニルシクロペン
タノン誘導体が生成物として得られ、前記式〔III〕の
鏡像体からは前記式〔I〕の鏡像体が得られ、立体異性
混合体からは最初の混合比を反映した生成物が得られる
ことになる。
今一つ、式〔IV〕で代表される有機リチウム化合物中に
も不斉炭素が存在するが本発明方法ではいずれの立体異
性体も含むものであり、任意の割合の立体異性混合物で
もさしつかえなく用いることができる。しかも任意の割
合の立体異性混合物を用いても、もう一方の原料である
4−置換−2−シクロペンテノン類が光学純品であれば
適当な段階で分離された最終生成物は光学純品となる可
能性を有しており、本発明方法の大きな特徴の一つとな
つている。
また上記の一連の反応過程において、式〔VI〕で表わさ
れる炭酸エステルのかわりに下明式〔IX〕 Z−COOR6………………〔IX〕 で表わされる炭酸エステル誘導体を反応させることによ
り同様に得られる下記式〔VII〕 で表わされる置換シクロペンタノン誘導体を不活性有機
溶媒中で4−ジメチルアミノピリジン存在下に式〔VI〕
で表わされる炭酸エステルの部分構造である下記式〔VI
II〕 〔式中、R11は前記定義に同じである。〕 で表わされるアリルアルコール誘導体と反応せしめ、場
合によつて保護された水酸基および/またはカルボン酸
の脱保護反応に付すことによつても下記式〔I〕 で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
任意の割合の混合物である2−アリルオキシカルボニル
シクロペンタノン誘導体を製造することもできる。
式〔IX〕においてZは前記式〔VI〕で表わされる炭酸エ
ステル誘導体での定義と同様であり、塩素原子,臭素原
子,フエニルチオ基、または1−イミダゾール基を表わ
すが、塩素原子が好ましい。
式〔IX〕および〔VII〕においてRはC〜Cの飽
和または不飽和炭化水素基を表わす。かかるC〜C
の飽和または不飽和炭化水素基としてはメチル基,エチ
ル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,イソブ
チル基,sec−ブチル基,t−ブチル基,アリル基など
をあげることができるが、メチル基,エチル基、または
アリル基が特に好ましい。
4−ジメチルアミノピリジンによるβ−ケトカルボン酸
エステル類のエステル交換反応はそれ自身公知の方法
〔デイー・エフ・ターバー(D.F.Taber)ら,ジヤ
ーナル・オブ・オルガニツク・ケミストリー(J.Or
g.Chem.),50,3618(1985)参照〕であり、本文献記
載の反応条件が本発明の系においてもそのまま好適に用
いられることが判明し、本発明方法の原料合成にも供す
ることが可能となつた。すなわち、本方法では式〔VI
I〕で表わされる置換シクロペンタノン誘導体を0.1〜1
0.0モル倍、好ましくは0.5〜5.0モル倍の式〔VIII〕で
表わされるアリルアルコール誘導体と、0.1〜10.0モル
倍、好ましくは0.3〜5.0モル倍の4−ジメチルアミノピ
リジン存在下に不活性有機溶媒中で反応せしめることに
より該エステル交換反応が達成される。
上記反応において用いられる不活性有機溶媒としてはヘ
キサン,ヘプタン,オクタンなどの飽和炭化水素類、ベ
ンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素類、
またはジメチルスルホキシド,スルホラン,N,N−ジ
メチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,
アセトニトリル,1,2−ジクロロエタンなどが用いら
れるが、トルエンが特に好ましい。かかる不活性有機溶
媒の使用量は反応剤の容量に対して1〜100倍容量、
好ましくは5〜30倍容量用いられる。
反応温度は室温付近から用いられる不活性有機溶媒の沸
点の範囲で選ばれ、反応時間は反応温度および4−ジメ
チルアミノピリジンの使用量により大きく異なるが通常
数時間〜3日間で完結する。後処理は常法により実施さ
れる。
かくして前記式〔I〕で表わされる新規2−アリルオキ
シカルボニルシクロペンタノン類およびその鏡像体ある
いはそれらの任意の割合の混合物が得られるが、その具
体例を式〔I〕で表わされる立体構造を有する誘導体を
代表例にとり、以下例示する。
(01)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−1−オクテニル)−4−ヒドロ
キシシクロペンタノン (02)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−オクテニル)
−4−ヒドロキシシクロペンタノン (03)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((R)−
(E)−3−ヒドロキシ−3−メチル−1−オクテニル)
−4−ヒドロキシシクロペンタノン (04)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((E)−
3−ヒドロキシ−3−ビニル−1−オクテニル)−4−
ヒドロキシシクロペンタノン (05)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−3−シクロペンチル−1−プロ
ペニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (06)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−3−シクロヘキシル−1−プロ
ペニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (07)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((3
S,5S)−(E)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−
ノネニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (08)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((3
S,5E)−(E)−3−ヒドロキシ−5−メチル−1−
ノネニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (09)2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ−
1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−(E)
−3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル−1−ブテニ
ル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (10)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−5−シクロペンチル−1−ペン
テニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (11)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−1−オクテ
ニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (12)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−4−フエノキシ−1−ブテニ
ル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (13)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−4−(m−クロロフエノキシ)
−1−ブテニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (14)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−5,9−ジメチル−1,8−デ
カジエニル)−4−ヒドロキシシクロペンタノン (15)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((S)−
(E)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)
−4−ヒドロキシシクロペンタノン (16)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((E)−
4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)−4−
ヒドロキシシクロペンタノン (17)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((E)−
4−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテニル)−4−
ヒドロキシシクロペンタノン (18)(2R,3R,4R)−2−(4−カルボキシ
−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3−((E)−
4−ヒドロキシ−4−ビニル−1−オクテニル)−4−
ヒドロキシシクロペンタノン (19)(01)〜(18)のメチルエステル類 (20)(01)〜(18)のエチルエステル類 (21)(01)〜(18)のt−ブチルエステル類 (22)(01)〜(18)のデシルエステル類 (23)(01)〜(18)のフエニルエステル類 (24)(01)〜(18)のシクロヘキシルエステル
類 (25)(01)〜(18)のベンジルエステル類 (26)(01)〜(18)のフエネチルエステル類 (27)(01)〜(26)のビス(t−ブチルジメチ
ルシリル)エーテル類 (28)(01)〜(26)のビス(2−テトラヒドロ
ピラニル)エーテル類 (19)(01)〜(26)の4−t−ブチルジメチル
シリル−3′(または4′)−トリメチルシリルエーテ
ル類 (30)(01)〜(26)の4−t−ブチルジメチル
シリル−3′(または4′)−(2−テトラヒドロピラ
ニル)エーテル類 (31)(01)〜(26)の4−(2−テトラヒドロ
ピラニル)−3′(または4′)−t−ブチルジメチル
シリルエーテル類 (32)(01)〜(31)の鏡像体類 などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
本発明方法はこうして得られた本発明方法の原料である
前記式〔I〕で代表される2−アリルオキシカルボニル
シクロペンタノン類を0価のパラジウム錯体と反応せし
めることにより達成される。
本発明と類似の効果は、0価のパラジウムに代えて、他
の低原子価の遷移金属、例えば0価のニッケル、0価の
白金、1価のロジウム等を用いることによっても達成さ
れる。これらの低原子価の遷移金属は適当な配位子を配
位させた錯体の形で使用するのが好ましい。かかる錯体
の配位子としてはトリフエニルホスフインが最も好まし
く、しかるにトリフエニルホスフイン錯体を例にとつて
具体例をあげるとテトラキス(トリフエニルホスフイ
ン)パラジウム(O),テトラキス(トリフエニルホスフ
イン)ニツケル(I),テトラキス(トリフエニルホスフ
イン)白金(O)、またはトリス(トリフエニルホスフイ
ン)ロジウム(I)クロライドなどであるが、テトラキス
(トリフエニルホスフイン)パラジウム(O)が特に好ま
しい。
かかる遷移金属錯体は2−アリルオキシカルボニルシク
ロペンタノン類の脱炭酸アリル化反応に対して触媒的に
作用するために、その使用量は2−アリルオキシカルボ
ニルシクロペンタノン類に対して0.1モル%〜30モル
%、通常は1〜10モル%、好ましくは3〜5モル%量
で触媒として十分の機能を発揮する。
一般にこの種の反応は用いる溶媒によつて反応の進行状
況および生成物が微妙に変化することが知られている
が、本発明方法においてはN,N−ジメチルホルムアミ
ド,N,N−ジメチルアセトアミド,テトラヒドロフラ
ン,ベンゼン,t−ブタノールなどを好適に用いること
ができ、特にN,N−ジメチルホルムアミド,テトラヒ
ドロフランが好ましく用いられる。溶媒の使用量は反応
剤の容量に対して1〜100容量倍、好ましくは5〜3
0容量倍量用いられる。
反応温度は0℃〜100℃、好ましくは20℃〜60℃
の範囲が選ばれ、反応時間は反応温度によつて異なるた
め薄層クロマトグラフイーなどで反応を追跡しながら行
なうが、通常は20℃〜60℃で10分〜5時間実施す
れば十分である。
反応後は通常の方法により抽出,洗浄,クロマト分離な
どによる単離操作を経て前記式〔II〕で代表される脱炭
酸後、アリル転位し、再カツプリングした生成物である
5E)−プロスタグランジンE類またはその立体異性
体が得られる。
すなわち本発明方法の脱炭酸アリル化反応は完全なアリ
ル転位をともないながら位置特異性を保持し、しかも立
体特異的に進行することが見出されたことになる。その
ために出発物質である2−アリルオキシカルボニルシク
ロペンタノン類の2位の立体配置はそのまま生成物であ
る(5E)−プロスタグランジンE類にひきつがれ、
効果的に2位の立体配置は一義的に決定される。このこ
とを言いかえると今まで詳述してきた4−置換−2−シ
クロペンテノン類を出発原料とする3成分連結反応とこ
れに続く脱炭酸アリル化反応の二工程をかけて最初の4
−置換−2−シクロペンテノン類の3位に有機銅リチウ
ム化合物の有機基部分である置換アルケニル基を4位の
置換基とはトランスの立体関係を保持して導入し、続い
て2位に置換アリル基を今後は3位の置換アルケニル基
とトランスの立体関係を保つて導入したことになる。さ
らに本発明方法において特徴的な結果は、上記脱炭酸ア
リル化の過程で式〔VI〕で表わされる炭酸エステル誘導
体由来の置換ビニル基の二重結合がアリル転位後再結合
しE型、すなわち5,6−トランスの立体構造を有して
いる(4E)−プロスタグランジンE類が生成する点
にある。
かくして得られた式〔II〕で代表される(5E)−プロ
スタグランジンE類のうち、R,Rが水素原子で
ある誘導体はそれ自身生理活性であり、天然のプロスタ
グランジンE類が5Zの立体構造を有しているのと比
してそれら生理活性もユニークな特徴を発現することが
期待され、医薬品としても有用な化合物群である。
以下、本発明方法を実施例により更に詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 (S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−1−
ヨード−オクテン(2.024g,5.5mmol)のエー
テル(20ml)溶液に1.9Mのt−ブチルリチウムの
ペンタン溶液(5.79ml,11.0mmol)を−78℃
で加え、2時間攪拌した。この溶液に、1−ペンチニル
銅(718mg,5.5mmol)とヘキサメチルホスホラス
トリアミド(1.79g,11.0mmol)のエーテル
(5ml)溶液を加え、−78℃で1時間攪拌した。次い
で(R)−4−t−ブチルジメチルシリルオキシ−2−シ
クロペンテノン(1.06g,5.0mmol)のエーテル
(10ml)溶液をこの反応液に−78℃で加え、−40
℃で2時間攪拌を継続した。さらに4−メトキシカルボ
ニル−1−ビニルブチルクロロホルメート(2.43
g,11.0mmol)のエーテル(10ml)溶媒を加え、
−40℃で1時間攪拌した。4.0Mの酢酸緩衝液を加
え、ヘキサンで抽出し、得られた有機層を塩化アンモニ
ウム水溶液、食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、ロカ後濃縮して粗生成物を得た。このもの
をシリカゲルカラムクロマトグラフイー(ヘキサン:酢
酸エチル=10:1)に付して分離し、(2R,3R,
4R)−2−(4−メトキシカルボニル−1−ビニルブ
チルオキシカルボニル)−3−((S)−(E)−3−t−ブ
チルジメチルシリルオキシ−1−オクテニル)−4−t
−ブチルジメチルシリルオキシシクロペンタノン(2.
36g,3.7mmol,74%)を得た。 HNMR(CDCl3,δ(ppm)); 0.06(12H,s),0.87(21H),1.1〜1.9(12H,m),1.9
〜2.8(5H,m),3.15(1H,m),3.75(3H,s),3.9
〜4.45(3H,m),5.15〜b.10(3H,m),5.65〜5.85(2
H,m)。
IR(液膜,cm-1); 3080,1760,1740,1660,1255,
1120,965,855,835,775。
FD−MS; 639(M+1),581(M−57)。
EI−MS(20V;m/e);581(M−5
7)。
実施例2 (2R,3R,4R)−2−アリルオキシカルボニル−
3−((S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ
−1−オクテニル)−4−t−ブチルジメチルシリルオ
キシシクロペンタノン(241mg,0.448mmol)と
5−ヒドロキシ−6−ヘキセン酸メチル(212mg,
1.344mmol)のトルエン(5ml)溶液に4−ジメチ
ルアミノピリジン(55mg,0.448mmol)を加え窒
素雰囲気下1時間加熱還流した。冷却後塩化アンモニウ
ム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層
を硫酸水素カリウム水溶液,食塩水の順に洗浄し乾燥
(MgSO4),濃縮して487mgの粗生成物を得た。この
ものをシリカゲルカラムクロマトグラフイー(ヘキサ
ン:酢酸エチル=12:1)に付して生成物を分離し、
実施例1で得られた生成物に一致する(2R,3R,4
R)−2−(4−メトキシカルボニル−1−ビニルブチ
ルオキシカルボニル)−3−((S)−(E)−3−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシ−1−オクテニル)−4−t−
ブチルジメチルシリルオキシシクロペンタノン(217
mg,0.340mmol,76%)を得た。
このものの各種スペクトルデーターおよび物性データー
は実施例1で得られたそれと一致した。
実施例3 実施例1および2で得られた(2R,3R,4R)−2
−(4−メトキシカルボニル−1−ビニルブチルオキシ
カルボニル)−3−((S)−(E)−3−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシ−1−オクテニル)−4−t−ブチルジ
メチルシリルオキシシクロペンタノン(1.59g,
2.50mmol)を30mlのテトラヒドロフランに溶か
し、アルゴン置換の後、テトラキス(トリフエニルホス
フイン)パラジウム(O)(87mg,0.075mmol,3m
ol%)を加えて室温で2.5時間攪拌した。この反応混
合物を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフイー(ヘキサン:酢酸エチル=25:1)
に付して(5E)−11,15−ビス(t−ブチルジメ
チルシリル)プロスタグランジンEメチルエステル
(1.16g,1.95mmol,75%)を得た。 HNMR(CDCl3,δ(ppm)); 0.06(12H,s),0.87(21H),1.1〜1.7(10H,m),1.7
〜2.9(10H,m),3.64(3H,s), 3.8〜4.3(2H,m),5.25〜5.60(4H,m)。
IR(液膜,cm-1); 1745,1250,1095,1005,965,9
27,835,775。
〔α〕22 −42°(C0.81,MeOH) FD−MS;537(M−57)。
EI−MS(20eV;/m/e,%); 579(M−15,3),538(100),537
(99),512(23),463(17),405
(50),379(41),337(58),277
(78),245(49),215(43),161
(37),73(98)。13 CNMR(CDCl3,δ); −4.6,−4.2,14.1,18.1,18.3,22.7,24.6,25.1,
25.9,30.4,31.9,33.4,38.6,47.7,51.4,52.1,5
3.9,72.8,73.4,127.4,128.6,132.2,136.5,174.
0,215.4。
実施例4 実施例3で得られた(5E)−11,15−ビス(t−
ブチルジメチルシリル)プロスタグランジンEメチル
エステル(510mg,0.86mmol)を10mlのアセト
ニトリルに溶解し、ピリジン(0.5ml),フツ化水素
酸−ピリジン(1.0ml)を加えて室温で3時間攪拌し
た。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて得られた水
溶液に酢酸エチルを加えて抽出し、分離した有機層を飽
和硫酸水素カリウム水溶液,食塩水で洗浄後、乾燥(Mg
SO4),濃縮して300mgの粗生成物を得た。このもの
をシリカゲルカラムクマロトグラフイー(ヘキサン:酢
酸エチル=1:2)に付して分離し(5E)−プロスタ
グランジンEメチルエステル(184mg,0.50mm
ol,58%)を得た。 HNMR(CDCl3,δ(ppm)); 0.85(3H,m),1.0〜2.9(22H,m),3.54(3H,s),
3.65〜4.20(2H,m),5.05〜5.30(2H,m), 5.30〜5.50(2H,m)。
IR(液膜,cm-1); 3410,1740,1245,1160,1075,
1015,965,910,730。
〔α〕24 −62°(C0.90,MeOH) FD−MS;367(M+1),349(M−17) EI−MS(20eV;m/e,%); 348(M−18,10),330(20), 317(6),299(8),277(23), 245(16),208(42),190(100),
164(28),141(33),133(27),1
19(50),109(21),108(23),10
7(22),99(24)。13 CNMR(CDCl3,δ); 14.0,22.6,24.5,25.2,30.1,31.7,31.8,33.4,3
7.4,46.3,51.5,53.2,54.6,72.1,72.8,127.2,13
0.5,132.5,137.3,174.1,213.9。
実施例5〜13 実施例1および2と同様にして次の化合物を合成した。
実施例5;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキシ
カルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3
−((S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−
1−オクテニル)−4−t−ブチルジメチルシリルオキ
シシクロペンタノン(68%)。
実施例6;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキシ
カルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3
−((E)−3−トリメチルシリルオキシ−3−メチル−
1−オクテニル)−4−t−ブチルジメチルシリルオキ
シシクロペンタノン(64%)。
実施例7;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキシ
カルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3
−((S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−
3−シクロペンチル−1−プロペニル)−4−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシシクロペンタノン(73%)。
実施例8;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキシ
カルボニル−2−ヘキセニルオキシカルボニル)−3−
((S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−3
−シクロヘキシル−1−プロペニル)−4−t−ブチル
ジメチルシリルオキシシクロペンタノン(73%)。
実施例9;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキシ
カルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−3
−((3S,5S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシ
リルオキシ−5−メチル−1−ノネニル)−4−t−ブ
チルジメチルシリルオキシシクロペンタノン(72
%)。
実施例10;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキ
シカルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−
3−((3S,5R)−(E)−3−t−ブチルジメチル
シリルオキシ−5−メチル−1−ノネニル)−4−t−
ブチルジメチルシリルオキシシクロペンタノン(71
%)。
実施例11;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキ
シカルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−
3−((S)−(E)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ
−4,4−ジメチル−1−オクテニル)−4−t−ブチ
ルジメチルシリルオキシシクロペンタノン(61%)。
実施例12;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキ
シカルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−
3−((E)−4−トリメチルシリルオキシ−4−メチル
−1−オクテニル)−4−t−ブチルジメチルシリルオ
キシシクロペンタノン(58%)。
実施例13;(2R,3R,4R)−2−(4−メトキ
シカルボニル−1−ビニルブチルオキシカルボニル)−
3−((E)−4−トリメチルシリルオキシ−4−ビニル
−1−オクテニル)−4−t−ブチルジメチルシリルオ
キシシクロペンタノン(56%)。
これらの化合物の特徴的なスペクトルデーターを表1に
列挙する。
実施例14〜22 実施例3と同様の方法により次の化合物を合成した。
実施例14;(5E)−11,15−ビス(t−ブチル
ジメチルシリル)PGEメチルエステル(80%)。
実施例15;(5E)−11−t−ブチルジメチルシリ
ル−15−トリメチルシリル−15−メチル−PGE
メチルエステル(59%)。
実施例16;(5E)11,15−ビス(t−ブチルジ
メチルシリル)−16,17,18,19,20−ペン
タノル−15−シクロペンチル−PGEメチルエステ
ル(63%)。
実施例17;(5E)−11,15−ビス(t−ブチル
ジメチルシリル)−16,17,18,19,20−ペ
ンタノル−15−シクロヘキシル−PGEメチルエス
テル(61%)。
実施例18;(5E)−11,15−ビス(t−ブチル
ジメチルシリル)−17(S),20−ジメチルPGE
メチルエステル(58%)。
実施例19;(5E)−11,15−ビス(t−ブチル
ジメチルシリル)17(R),20−ジメチル−PGE
メチルエステル(59%)。
実施例20;(5E)−11,15−ビス(t−ブチル
ジメチルシリル)−16,16−ジメチルPGEメチ
ルエステル(60%)。
実施例21;(5E)−11−t−ブチルジメチルシリ
ル−15−デオキシ−16−トリメチルシリルオキシ−
16−メチル−PGEメチルエステル(55%)。
実施例22;(5E)−11−t−ブチルジメチルシリ
ル−15−デオキシ−16−トリメチルシリルオキシ−
16−ビニル−PGEメチルエステル(49%)。
これらの化合物の特徴的なスペクトルデーターを表2に
列挙する。
実施例23〜30 実施例4と同様の方法により次の化合物を合成した。
実施例23;(5E)−15−メチルPGEメチルエ
ステル(65%)。
実施例24;(5E)−16,17,18,19,20
−ペンタノル−15−シクロペンチル−PGEメチル
エステル(82%)。
実施例25;(5E)−16,17,18,19,20
−ペンタノル−15−シクロヘキシル−PGEメチル
エステル(79%)。
実施例26;(5E)−17S,20−ジメチル−PG
メチルエステル(89%)。
実施例27;(5E)−17R,20−ジメチル−PG
メチルエステル(87%)。
実施例28;(5E)−16,16−ジメチル−PGE
メチルエステル(79%)。
実施例29;(5E)−15−デオキシ−16−ヒドロ
キシ−16−メチル−PGEメチルエステル(82
%)。
実施例30;(5E)−15−デオキシ−16−ヒドロ
キシ−16−ビニル−PGEメチルエステル(74
%)。
これらの化合物の特徴的なスペクトルデーターを表3に
列挙する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[I] で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
    任意の割合の混合物である2−アリルオキシカルボニル
    シクロペンタノン誘導体を0価のパラジウム錯体と反応
    せしめることを特徴とする下記式[II] で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
    任意の割合の混合物である(5E)−プロスタグランジ
    ンE類の製造法。
  2. 【請求項2】0価のパラジウム錯体がテトラキス(トリ
    フェニルホスフィン)パラジウム(O)である特許請求
    の範囲第1項記載の製造法。
  3. 【請求項3】0価のパラジウム錯体との反応をN,N−
    ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中で実
    施する特許請求の範囲第1項または第2項のいずれか1
    項記載の製造法。
  4. 【請求項4】下記式[III] で表わされる4−置換−2−シクロペンテノン類または
    その鏡像体あるいはそれらの任意の割合の混合物を、下
    記式[IV] で表わされる有機リチウム化合物と下記式[V] CuQ…[V] で表わされる銅化合物とから得られる有機銅化合物と共
    役付加反応せしめ、次いで下記式[VI] で表わされる炭酸エステル誘導体と反応せしめ、場合に
    よって保護された水酸基および/またはカルボン酸の脱
    保護反応に付すことにより、下記式[I] で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
    任意の割合の混合物である2−アリルオキシカルボニル
    シクロペンタノン誘導体を製造し、次いで0価のパラジ
    ウム錯体と反応せしめることを特徴とする下記式[II] で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
    任意の割合の混合物である(5E)−プロスタグランジ
    ンE類の製造法。
  5. 【請求項5】下記式[VII] で表わされる置換シクロペンタノン誘導体を不活性有機
    溶媒中で4−ジメチルアミノピリジン存在下に下記式
    [VIII] [式中、R11は前記定義に同じである。] で表わされるアリルアルコール誘導体と反応せしめ、場
    合によって保護された水酸基および/またはカルボン酸
    の脱保護反応に付すことにより、下記式[I] で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
    任意の割合の混合物である2−アリルオキシカルボニル
    シクロペンタノン誘導体を製造し、次いで0価のパラジ
    ウム錯体と反応せしめることを特徴とする下記式[II] で表わされる化合物およびその鏡像体あるいはそれらの
    任意の割合の混合物である(5E)−プロスタグランジ
    ンE類の製造法。
  6. 【請求項6】Rがメチル基,エチル基、またはアリル
    基である特許請求の範囲第5項記載の(5E)−プロス
    タグランジンE類の製造法。
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