JPH0653034B2 - コマクサ属植物の育苗方法 - Google Patents

コマクサ属植物の育苗方法

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JPH0653034B2
JPH0653034B2 JP32379789A JP32379789A JPH0653034B2 JP H0653034 B2 JPH0653034 B2 JP H0653034B2 JP 32379789 A JP32379789 A JP 32379789A JP 32379789 A JP32379789 A JP 32379789A JP H0653034 B2 JPH0653034 B2 JP H0653034B2
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浩 濱崎
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、コマクサ属植物の育苗方法に係り、特に、器
官培養により幼苗を短期間で大量に得るのに好適なコマ
クサ属植物の育苗方法に関するものである。
[従来の技術] コマクサは、ケシ科の多年草、代表的な高山植物であ
り、7,8月頃淡紅色もしくは白色の花を咲かせる。す
なわち、コマクサ属植物は観賞用植物として人気があ
り、しかも、全草にアルカロイド・デイセントリン(C
2021N),プロトピン(C2019N)など麻
酔作用をもつ成分を含有する有用な植物である。
コマクサ属植物の増殖方法は、実生による増殖と、株分
けによる増殖とがある。しかし、実生から発芽させるこ
とは難かしく、これら実生,株分けの両者の方法とも、
その増殖率は極めて低いものであった。
[発明が解決しようとする課題] 上記のように、コマクサ属植物は、実生,株分けの両者
の方法とも、その増殖率は極めて低く、また、開花株に
生育させるには、2年以上を要するなど、コマクサ属植
物の大量生産は極めて困難である。
さらに、従来の方法では、季節に影響され、春だけにし
か幼苗を生産することができない。
現在、洋蘭栽培等で植物の組織培養により大量に幼苗を
得ることが行われているが、コマクサ属植物からこのよ
うな方法で幼苗を得ることは全く知られていない。
また、キャベツなど通常の植物の組織培養では、増殖し
たカルスを不定芽誘導培地に移した際、ただちに光の照
射を開始するが、コマクサ属の培養においては同様のタ
イミングで光照射を開始すると、誘導される不定芽の本
数が少なく、また、誘導までの日数が長く、大量生産と
いう点では問題がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになさ
れたもので、コマクサ属植物の幼苗を短期間で大量に、
しかも季節に影響されず、年間を通じて生産しうるコマ
クサ属植物の育苗方法を提供することを、その目的とす
るものである。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成するために、本発明に係るコマクサ属植
物の育苗方法の構成は、コマクサ属植物の器官の一部を
採取して、その採取したものを、植物ホルモンとして少
なくともオーキシン類を含有するカルス誘導用培地で培
養してカルスを誘導する工程、そのカルスを、カルス増
殖用培地を用いて分割移植を繰り返して増殖させる工
程、増殖したカルスを不定芽誘導用培地に移して不定芽
を誘導する工程、および、その不定芽を発根用培地に移
して発根させ幼苗とする工程を有し、発根させた幼苗を
育成して植物体を再生させるコマクサ属植物の育苗方法
において、培養中の光条件として、前記カルス誘導工程
および前記カルス増殖工程は暗所で行い、さらに不定芽
誘導工程では、少なくとも1週間、最大3週間は暗所で
培養したのち、1000〜15000ルクスの光照射下
で培養を行い、発根工程においても、1000〜150
00ルクスの光照射下で培養を行うようにしたものであ
る。
図面はコマクサ属植物の育苗方法の工程説明図である。
本発明は、図面に示すように、コマクサの器官(葉片)
を採取し(工程)、カルス誘導用培地でカルスを誘導
し(工程)、そのカルスの分割移植を繰り返し大量に
増殖する(工程)。増殖したカルスを別の不定芽誘導
用培地に移して不定芽を誘導し(工程)、その不定芽
を発根用培地に移し発根させ(工程)、その幼苗を育
成しコマクサの植物体を再生させる(工程)各工程か
らなる方法である。
なお、ここで植物の器官とは、根,茎,葉,花,果実な
どであり、一般に同じような形と働きをもつ細胞が集ま
ったものを組織といい、組織がいくつか集まって器官と
なる。
また、植物学上のカルスとは、実験的に細胞分裂で形成
される無定形の植物の細胞塊(かたまり)いう。
さらに、培地は試験管または培養容器に形成される。
次に、本発明の方法を、より具体的に説明する。
まず、コマクサ属植物の葉,茎,根など器官の一部、例
えば葉片などを切り取り、これをカルス誘導用培地で培
養してカルスの誘導を行う。
カルス誘導用培地としては、植物組織培養に通常用いら
れるガンボルグのB5培地,ムラシゲ・スクーグの培
地,ホワイトの培地,リンスマイヤースクーグの培地,
およびこれらの改変培地などが用いられ、これにオーキ
シン類,サイトカイニン類の植物成長ホルモンが添加さ
れている。
なお、上記ならびに以下の説明におけるガンボルグB5
培地については、ガンボルグ,ミラー,オジマ(O、
L、Gamborg,R.A.Miller,K.Oj
ima)によるExp.Cell Res.50,ペー
ジ151〜158,1968年に記載されている。
ここで植物成長ホルモンとして少なくともオーキシン類
は必ず添加されるもので、オーキシン類の種類として
は、例えば、2.4−ジクロロフエノキシ酢酸(2.4
−D)、インドール酢酸(IAA)、ナフタレン酢酸
(NAA)、インドール酪酸(IBA)等がある。サイ
トカイニン類の種類としては、例えば、カイチネン、ベ
ンジルアデニン、ゼアチン等がある。
オーキシン類は、通常、その濃度0.01〜10ppmの
割合で培地中に必ず入れる。また、サイトカイニン類
は、その濃度10ppm以下の割合で培地中に入れるが必
ずしも入れなくてもよい。一方、これらの添加量(濃
度)が10ppmを超えて多すぎると、死滅,生長阻害等
が認められる。また、オーキシン類が0.01ppmより
少ないときは、カルス以外に不定根等の器官が直接分化
したり、もしくは死滅,生長阻害が認められる。
コマクサの葉片をカルス誘導用培地で、周囲温度15〜
30℃、暗所で培養を行うと、15〜30日後には葉片
の切断面にカルスが形成される。
次に、その培養されたカルスを、カルス増殖用培地に移
植してカルスの増殖を行う。
カルス増殖用培地としては、ガンボルグのB5培地など
植物組織培養に通常用いられる培地を用い、これに寒天
を入れた寒天培地などの固体培地、または水を入れた液
体培地が利用される。また、先に述べたカルス誘導培地
を用いてもよい。
増殖を促進する植物ホルモンとしてオーキシン類および
サイトカイニン類を、共に10ppm以下の濃度で添加す
るか、もしくは無添加でもよい。これらの量が多すぎる
(10ppmをこえる)と、死滅,生長阻害等が認められ
る。
培養は周囲温度18〜30℃で通常暗所で行われる。増
殖したカルスは図面の,工程に示すように分割移植
を繰り返すことによってさらに増殖される。
次に、増殖したカルスを不定芽誘導用培地に移して不定
芽を誘導する。
不定芽誘導培地としては、植物組織培養に通常用いられ
るムラジゲ・スクーグの培地が用いられる。ムラジゲ・
スクーグの培地の成分組成は、T.Murashig
e,F.SkoogによるPhysiol Plant
arum,15,ページ473〜497,1962年に
記載されている。
不定芽誘導培地は、前記ムラジゲ・スクーグの培地など
に、不定芽誘導促進用の植物ホルモンとしてベンジルア
デニン,カイネチンなどのサイトカイニン類を濃度5pp
m以下で添加するか、もしくは無添加とする。オーキシ
ン類は、無添加とするか、もしくは添加する場合は、カ
ルス増殖用培地よりも低く2ppm以下とする。ここで、
サイトカイニン類は添加した方が不定芽誘導の結果がよ
く、オーキシン類はむしろ無添加の方がよい結果が出
る。また、サイトカイニン類は濃度5ppmを超えて多す
ぎると茶色くなって死滅し、オーキシン類が濃度2ppm
を超えて多すぎると不定芽の分化は行われず、カルスの
増殖のみが行われる。
このような不定芽誘導用培地にカルスを置床し、周囲温
度15〜30℃で、カルス置床後少なくとも1週間、最
大3週間の一定期間暗所で培養したのち、1000〜1
5000ルクスの光照射下で培養を行うと、15〜40
日で不定芽が誘導される。
次に、このようにして誘導された不定芽を、発根培地に
移して発根させる。
発根培地としては、植物組織培養に通常用いられるガン
ボルグのB5培地などを用い、発根促進の植物ホルモン
として、インドール酪酸(IBA)インドール酢酸(I
AA)などのオーキシン類を5ppm以下の濃度で添加す
るか、もしくは無添加とする。また、サイトカイニン類
は、通常無添加か、添加する場合は0.5ppm以下とす
る。ここで、オーキシン類が濃度5ppmを超えて多く添
加されると不定芽は枯れてしまい、サイトカイニン類が
濃度0.5ppmを超えて多く添加されると発根されなく
なるものである。
このような発根培地に不定芽を植え、周囲温度15〜3
0℃の温度条件下で1000〜15000ルクスの光を
照射して培養を行うと、20〜50日で発根し、コノク
サ属の幼苗が得られ、これを育成することで植物体が再
生される。
[作用] 上記の技術的手段(育苗方法の各工程)による働きは次
のとおりである。
従来の実生,株分けの方法では、コマクサ属植物の増殖
率はきわめて低いが、本発明の方法では、植物ホルモン
を含有する培地で有効にカルスが誘導される。このカル
スの形態においては増殖は速やかに行われる。そこで、
この増殖したカルスから不定芽を誘導し、発根させるこ
とにより大量のコマクサ属植物の幼苗が短期間で得られ
る。
また、従来の方法では、幼苗が得られる時期は、季節に
影響され春にしか得られないが、本発明の方法では、季
節に影響されず、年間を通じ幼苗を得ることができる。
[実施例] 以下に本発明の実施例について述べる。
実施例1 (1)コマクサの葉片採取(図面の工程参照) コマクサの苗を適当な大きさに切り取り、これを70%
エタノール水溶液に60秒間浸漬し、さらに次亜塩素酸
ナトリウム水溶液(Cl濃度2.0%)に12分間浸
漬して殺菌処理を行なった。これを無菌水での洗浄を3
回繰返したのち、葉が3枚ついた状態に切断した。
(2)カルスの誘導(図面の工程参照) 前記葉が3枚ついた状態の葉片をカルス誘導用培地に置
床した。
カルス誘導用培地しては、オーキシン類として2.4D
を0.2ppmの割合で、サイトカイニン類としてはベン
ジルアデニンを0.1ppmの割合で含有するガンボルグ
B5の固形培地(ゲルライト0.2%)を用いた。
前記葉片を置床したカルス誘導用培地を、周囲温度24
℃で暗所にて20日間培養を行なったところ、葉片の切
口にカルスが形成された。
(3)カルスの増殖(図面の工程参照) (2)で形成されたカルスをカルス増殖用培地に移植し
た。
カルス増殖用培地としては、オーキシン類として2.4
Dを0.2ppmの割合で、サイトカイニン類としてはベ
ンジルアデニンを0.2ppmの割合で含有するガンボル
グB5の固形培地(ゲルライト0.2%)を用いた。
カルスを移植した前記カルス増殖用培地を、周囲温度2
4℃で暗所にて30日間培養を行ない、図面の工程,
に示すようにカルスの分割移植を繰り返してカルスを
増殖した。
(4)不定芽の誘導(図面の工程参照) (3)で得られた増殖カルスを不定芽誘導培地に移植し
た。
不定芽誘導用の培地としては、サイトカイニン類として
ベンジルアデニンを0.2ppmの割合で含有し、オーキ
シン類を含有しないムラシゲ・スクーグの固形培地(ゲ
ルライト0.2%)に、カザミノ酸0.1%,硫酸アデ
ニン25ppm含有したものを用いた。
増殖カルスを移植した前記不定芽誘導培地を、周囲温度
24℃で、光条件としては、12日間暗所で培養したの
ち3000ルクスの照射下で培養した。置床後、約20
日間で不定芽誘導が始まり、約30日で直径25mmの試
験管中に20本以上の不定芽が誘導された。
(5)発根(図面の工程参照) (4)で誘導された不定芽を根元から切り、発根培地上
に移植した。
発根培地としては、オーキシン類としてインドール酪酸
を0.2ppmの割合で含有し、サイトカイニン類を含有
しないガンボルグB5の固形培地(ゲルライト0.2
%)を用いた。
前記不定芽を移植した発根培地を、周囲温度20℃,3
000ルクスの光条件下で培養を行なった。置床後約2
0日間で発根が始まり、40日間で20〜40mmの数本
の根が発生し、鉢に移植可能なコマクサの幼苗が得られ
た。
このように、本実施例によれば、従来の実生から発芽さ
せる方法や株分けによる方法にくらべて短期間で幼苗が
得られる。
実施例2 (2)コマクサの葉片採取 実施例1(1)と同様である。
(2)カルスの誘導 実施例1(2)と同様である。
(3)カルスの増殖 (2)で形成されたカルスを、オーキシン類として2.
4Dを0.2ppmの割合で含有し、サイトカイニン類を
含有しないガンボルグB5の液体培地に移植し、往復旋
回方式の振盪培養器により培養を行なった。
同上培地にカルスを2週間毎に植え替えることにより、
カルスは液体培地中に懸濁状態となり、その増殖率は、
固形培地上でのそれより大きい値となった。その他の培
養条件としては実施例1(3)と同様である。
(4)不定芽の誘導 前記(3)で得られた懸濁状態のカルスを実施例1
(4)で用いた不定芽用培地上に懸濁状態のまま移植
し、実施例1(4)と同様の温度,光条件下で培養し
た。
移植後約20日間で不定芽の誘導が始まり、約30日後
には、大きさがほぼ均一な多数の不定芽が誘導された。
(5)発根 前記(4)で得られた不定芽を実施例1(5)と同様の
方法で培養したところ、約40日間で鉢に移植可能なコ
マクサの幼苗を得た。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように、本発明によれば、コマクサ
属植物の幼苗を短期間で大量に、しかも季節に影響され
ず、年間を通じて生産しうるコマクサ属植物の育苗方法
を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
第1図はコマクサ属植物の育苗方法の工程説明図であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コマクサ属植物の器官の一部を採取して、
    その採取したものを、植物ホルモンとして少なくともオ
    ーキシン類を含有するカルス誘導用培地で培養してカル
    スを誘導する工程、 そのカルスを、カルス増殖用培地を用いて分割移植を繰
    り返して増殖させる工程、 増殖したカルスを不定芽誘導用培地に移して不定芽を誘
    導する工程、および、 その不定芽を発根用培地に移して発根させ幼苗とする工
    程を有し、 発根させた幼苗を育成して植物体を再生させるコマクサ
    属植物の育苗方法において、 培養中の光条件として、前記カルス誘導工程および前記
    カルス増殖工程は暗所で行い、 さらに不定芽誘導工程では、少なくとも1週間、最大3
    週間は暗所で培養したのち、1000〜15000ルク
    スの光照射下で培養を行い、 発根工程においても、1000〜15000ルクスの光
    照射下で培養を行うことを特徴とするコマクサ属植物の
    育苗方法。
  2. 【請求項2】カルス誘導用培地は、オーキシン類の濃度
    が0.01〜10ppmで、かつ、サイトカイニン類の濃
    度が10ppm以下であることを特徴とする請求項1記載
    のコマクサ属植物の育苗方法。
  3. 【請求項3】カルス増殖用培地は、オーキシン類および
    サイトカイニン類の各濃度がいずれも10ppm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載のコマクサ属植物の育
    苗方法。
  4. 【請求項4】不定芽誘導用培地は、オーキシン類の濃度
    が2ppm以下で、かつ、サイトカイニン類の濃度が5ppm
    以下であることを特徴とする請求項1記載のコマクサ属
    植物の育苗方法。
  5. 【請求項5】発根用培地は、オーキシン類の濃度が5pp
    m以下で、かつ、サイトカイニン類の濃度が0.5ppm以
    下であることを特徴とする請求項1記載のコマクサ属植
    物の育苗方法。
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JP6059446B2 (ja) * 2012-04-10 2017-01-11 住友電気工業株式会社 ヤトロファ属植物の細胞に由来するシュートの発根を促進させる方法

Non-Patent Citations (1)

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Title
山田康之,岡田吉美編集「現代化学増刊5植物バイオテクノロジー」東京化学同人社1986.4.25発行

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