JPH0660387B2 - 加工耐食性の優れた製缶用表面処理鋼板の製造方法 - Google Patents

加工耐食性の優れた製缶用表面処理鋼板の製造方法

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JPH0660387B2
JPH0660387B2 JP5257188A JP5257188A JPH0660387B2 JP H0660387 B2 JPH0660387 B2 JP H0660387B2 JP 5257188 A JP5257188 A JP 5257188A JP 5257188 A JP5257188 A JP 5257188A JP H0660387 B2 JPH0660387 B2 JP H0660387B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は絞りしごき缶(Drawn & Ironed Can、DI缶)、
絞り再絞り缶(Drawn & Redrawn Can、DRD缶)、絞り缶
および缶蓋など厳しい加工を受ける缶用素材として適し
た加工耐食性の優れた製缶用表面処理鋼板の製造方法に
関する。
〔従来の技術〕
Snめっき鋼板、いわゆるぶりき、および金属Crとクロム
水和酸化物の二層構造の皮膜で被覆された鋼板、いわゆ
るティン・フリー・スチール(以下TFSと略す)は缶
用素材として、広く使用されている。近年、製缶用材料
の分野にはアルミニウムなどの競合材料の進出が著し
く、安価で、かつ加工耐食性と優れた製缶用表面処理鋼
板の開発が要望されている。安価な製缶用表面処理鋼板
としてすでにTFSがあるが、TFSは塗料密着性は優
れているが、加工耐食性の改良が必要であり、また、安
価な溶接缶用表面処理鋼板として最近開発された薄Snめ
っき鋼板があるが、めっき層が薄いため、加工部などの
耐食性は通常のぶりきより劣り、加工の厳しい用途に使
用するには、めっき素地鋼板自体の耐食性を改良するこ
とが必要である。その方法として、製鋼時にCrなどを添
加する方法(特開昭61−6293、特開昭62−30
896)、鋼板表面にNiめっきを施し、熱処理によって
鋼板にNi拡散層を形成させる方法(特開昭57−200
592、特開昭60−155685)、鋼板表面にSnめ
っきあるいは、Sn−Ni合金めっきを施し、熱処理によっ
て鋼板にSnあるいはSnとNiの拡散層を形成させる方法
(特開昭60−5894、特開昭60−89594)、
また、Crを先にめっきし、その上にSnをめっきして熱処
理を施し、CrとSnを鋼中に拡散させる方法が検討されて
いる。
〔発明が解決しようとする課題〕
特開昭62−30896などに示される製鋼時にCrを添
加する方法は鋼板自体の耐食性を改善するが、Cr添加に
よる鋼板のコストアップだけでなく、熱間圧延後の脱ス
ケール性、Snなどのめっき性、製缶加工製などに問題を
生じ、安価なぶりき、TFSの素地鋼板に適した素材と
いいがたい。また、特開昭57−200592などに示
されるNiを鋼板表面に拡散させた素地鋼板を用いたぶり
き、TFSは加工を受けるとNi拡散層にクラックが入り
やすく、この状態で果汁などの飲料中に浸せきされる
と、Ni拡散層の割れ目に露出している鋼は、Ni拡散層の
カソードによってアノード溶解を起こしやすく、孔食の
危険性がある。さらに、特開昭60−5894、特開昭
60−89594に示される、SnあるいはSnとNiの拡散
層形成させる方法はSnのみでは十分な耐食性を示さず、
また、SnとNiを拡散させたものは未加工時には耐食性は
改善されるものの加工した場合、Niを拡散させた鋼板と
同様に飲料中でSn、Ni拡散層の割れ目に露出している鋼
はアノード溶解を起こしやすく、缶用表面処理鋼板の素
地鋼板として十分なものでない。また、Cr、Snを鋼中に
拡散させる目的は同一であっても、手法の異なる方法と
して、Crめっきを施した後、Snめっきを施し、熱拡散さ
せる方法は、製造方法も簡単で、また、Crの拡散率も高
い。しかし、2ステップ法であるために、設備費、保全
費が高くなる欠点に加え、現状ラインに組込む場合、ス
ペースが取れないことも起こりうる。これらの問題点を
解決し、安価で、特に加工耐食性に対して効果があり、
かつ冷間圧延以降の工程において特別な問題点を生じな
い製缶用表面処理鋼板の製造方法について、表面処理さ
れる素地鋼板の面から種々検討を重ねた結果、本発明に
至ったものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は主として冷間圧延、電解クリーニング後の鋼板
表面にCr−Sn合金めっきを施すか、あるいはCr−Sn−Ni
合金めっきを施した後、鉄の非酸化性雰囲気中で熱処理
を施し、鋼板の表面層にCrとSn、あるいはCr、SnとNiの
熱処理拡散層を形成させた表面処理鋼板および該熱処理
拡散層上に下層が金属Cr層、上層がクロム水和酸化物層
からなる皮膜、いわゆるTFS処理皮膜を形成させた加
工後の耐食性に優れた製缶用表面処理鋼板を提供するこ
とにある。
以下、本発明の方法について具体的に説明する。冷間圧
延、電解クリーニング後の鋼板表面にCr量3〜150mg
/m2、Sn量25〜800mg/m2のCr−Sn合金めっきを施
すか、あるいはCr量3〜150mg/m2、Sn量25〜80
0mg/m2、Ni量2〜100mg/m2、かつNi/Snの重量比
が0.50以下であるCr−Sn−Ni合金めっきを施した
後、鉄の非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、鋼板の表層
にめっきしたSn量の95%以上およびめっきしたCr量の
1mg/m2以上を含み、あるいはめっきしたSn量、Ni量の
95%以上およびめっきしたCr量の1mg/m2以上を含
み、かつ、Cr/Sn+Crの重量比が0.02〜0.50で
ある熱処理拡散層を形成させた鋼板および該熱処理拡散
層の上に公知の1ステップ法あるいは2ステップ法によ
り下層が金属Crと上層がクロム水和酸化物からなるTF
S処理皮膜を形成させるものである。
まず、TFS処理の下地鋼板として、あるいはそのまま
製缶用表面処理鋼板として使用可能なCr−Sn合金めっき
を施した後、鉄の非酸化性雰囲気中で熱処理を施した表
面処理鋼板の製造方法について説明する。冷間圧延、電
解クリーニング後に施されるCr−Sn合金めっき中のCr量
が3mg/m2以下であると、その後施されるTFS処理に
支障をきたすことはないが、熱処理によって1mg/m2
上のCrを鋼板表層に拡散させることが出来ず、本発明の
目的とする加工耐食性の優れた表面処理鋼板は得られな
い。金属Crは非常に酸化されやすく、めっきされたCrの
一部は鉄の非酸化性雰囲気中での熱処理によって酸化Cr
になる。めっきされたCrはこのように自己酸化して鉄の
酸化を防ぐとともに、鋼板中に含まれるCの表面濃化を
防止するが、そのままでは耐食性を改良する効果も少な
く、さらに、その後施されるTFS処理時にTFS処理
皮膜の均一性およびTFS処理皮膜の析出効率を悪くす
る。酸化Crが少量の時はTFS処理の前に施される電解
クリーニングで除去でき、結果的には素地鋼板表面の清
浄化に寄与しているが、Cr−Sn合金めっき中のCr量が1
50mg/m2以上であると、そのまま使用する場合、耐錆
性は改良されるが、熱処理時に形成される酸化Crの量も
増加し、電解クリーニング後も残存し、TFS処理時に
支障をきたすので好ましくない。したがって、Cr−Sn合
金めっき中のCr量は3〜150mg/m2の範囲が好ましい
が、より好ましくは10〜70mg/m2の範囲である。つ
ぎに、Cr−Sn合金めっき中のSn量は25〜800mg/m2
の範囲が好ましい。Sn量が25mg/m2以下では、本発明
の目的とする加工耐食性の優れた表面処理鋼板は得られ
ず、またSn量が800mg/m2以上であると、鋼板表層に
形成されるCrとSnの熱処理拡散層が厚く、脆くなり、加
工耐食性が改良されない。さらに熱処理後、めっきされ
たSnの一部が酸化Snとして残存しやすく、TFS処理前
の電解クリーニングで十分に除去されず、TFS処理皮
膜の均一性を低下させることがあり、好ましくない。こ
のCr−Sn合金めっきには、硫酸浴、塩化物浴、硫酸塩−
塩化物混合浴などが浴管理、薬品コストなどの点で適し
ている。例えば、SnSO410〜20g/、Cr2(SO4)35H2
O40〜120g/、クエン酸ソーダ50〜100g/
、NaF5〜10g/、H3BO320〜40g/からなる
浴をpH1.5〜3.0に調整し、浴温度40〜50℃で
陰極電流密度20〜60A/dm2の条件で電解時間を変
えることによって、本発明において限定したCr量および
Sn量のCr−Sn合金めっきは得られる。このCr−Sn合金め
っきの場合、陰極電流密度が15A/dm2以下になる
と、金属Crの析出はほとんど起こらず、電流密度の管理
は特に重要である。
つぎに、冷間圧延、電解クリーニング後の鋼板表面に、
すでに記したCr−Sn合金めっきに代わり、Cr量3〜15
0mg/m2、Sn量25〜800mg/m2、Ni量2〜100mg
/m2、かつNi/Snの重量比が0.50以下であるCr−Sn
−Ni合金めっきを施した後、鉄の非酸化性雰囲気中で熱
処理を施した表面処理鋼板の製造方法について説明す
る。Cr−Sn合金めっきに適量のNiを共析させると、Niは
Snと常温で経時させた時、容易にNi Snを主体とするNi
−Sn合金を形成する。このNi−Sn合金自体は耐食性に優
れ、かつ熱処理によって鋼板表層に拡散せずに、鋼板表
面に残存しても、金属Snおよび酸化Snが残存した場合に
比較し、その後施されるTFS処理時に支障をきたす危
険性が少ない。すなわち、Cr−Sn−Ni合金めっきはすで
に記したCr−Sn合金めっきに比較し、無塗装の状態にお
ける耐錆性が向上し、さらに熱処理後に残存する危険性
のある金属Sn量および酸化Sn量を減少させ、その後施さ
れるTFS処理によって形成される皮膜の均一性を改良
する効果がある。したがって、Cr−Sn−Ni合金めっき中
のCr量、Sn量は、Cr−Sn合金めっきの場合と同様な理由
で限定されるが、Ni量についてはつぎに示す理由によっ
て限定される。Ni量が2mg/m2以下であると、浴組成を
複雑にし、Niを共析させても、本発明の基盤となる鋼板
の耐食性をより一層改良する効果がほとんどない。ま
た、Ni量を100mg/m2とすると、めっきされたNiはN
i、Snを主体とするNi−Sn合金以外に、熱処理後も金属N
iおよび酸化Niとして鋼板表面に残存する危険性があり
無塗装の状態における耐錆性は改良されるが、飲料容器
材として使用した場合、孔食発生の要因となり、これを
防止するためには、Cr−Sn−Ni合金めっき中のSn量の増
加を必要とし、その結果、熱処理によって形成される熱
拡散処理層が厚くなるので、加工性が低下し孔食の危険
性が増加する。したがって、めっきされるCr−Sn−Ni合
金めっき中のNi量の適正範囲は2〜100mg/m2であ
る。さらに、本発明において、Ni量はNi/Snの重量比か
らも限定される。Ni/Snの重量比が0.50以上、すな
わち合金めっき中のNiが多いと、すでに記したように金
属Niおよび酸化Niとして鋼板表面に残る恐れがあり、好
ましくなので、Ni/Snの重量比を0.50以下、より好
ましくは0.37以下に限定される。このCr−Sn−Ni合金め
っきはSnSO410〜20g/、Cr2(SO4)35H2O40〜1
20g/、NiSO4・6H2O40〜80g/、クエン酸ソー
ダ50〜90g/、H3BO320〜40g/、NaF5〜1
0g/、pH1.5〜3.0の硫酸塩を主体とした浴を
用い、浴温度40〜50℃で、陰極電流密度20〜40
A/dm2の条件で電解することによって、本発明で限定
した量のCr量、Sn量およびNi量のCr−Sn−Ni合金めっき
が可能である。特に陰極電流密度を60A/dm2以上に
すると、Niの析出が抑制されるので、陰極電流密度の管
理が重要である。めっきしたNiもすでに記した熱処理条
件で鋼板表層に十分拡散されるので、Cr−Sn−Ni合金め
っきの場合もCr−Sn合金めっきの場合と同様な熱処理条
件で、めっきしたSn量およびNi量の95%以上、めっきし
たCrの1mg/m2を含む熱拡散処理層を形成されることが
できる。
つぎに、Cr−Sn合金めっき後、あるいはCr−Sn−Ni合金
めっき後施される鉄の非酸化性雰囲気中での熱処理につ
いて説明する。本発明の方法で得られる表面処理鋼板は
製缶用の素材であり、優れた加工耐食性のほかに、製缶
性の良い機械的特性も兼ね備えていることが必須の条件
である。したがって、ぶりきおよびTFSなどの缶用鋼
板の素地鋼板と同様な条件で熱処理を施すことによっ
て、鋼板表層にCr、SnあるいはCr、Sn、Niの熱処理拡散
層を形成させることが本発明における前提である。すな
わち、例えば、水素6%、窒素94%の鉄の非酸化性雰
囲気中で520〜750℃の温度で15〜30000秒
の熱処理を施すことによって、めっきしたSn量の95%
以上およびめっきしたCrの1mg/m2以上あるいはめっき
したSn量、Ni量の95%以上およびめっきしたCr量の1
mg/m2以上を含む熱処理拡散層を鋼板表層に形成させる
ことが本発明の方法において不可欠である。例えば、ぶ
りきなどの素地鋼板の製造工程である連続焼鈍設備を用
い、めっきしたCrとSnを含む熱拡散処理層を形成させる
場合、均熱時間が15〜60秒と短い。この熱処理条件
では、めっきしたSnおよびNiのほとんどは素地鋼板と反
応するが、めっきしたCrの50%以上を鋼板表層に拡散
させることはむずかしく、めっきしたCrの約5〜35%
が拡散させるにすぎない。したがって、鋼板表層中に拡
散させようとするCr量の少なくとも3倍程度のCr量をも
つCr−Sn合金めっき、あるいはCr−Sn−Ni合金めっきを
熱処理前に施すことが必要である。めっきしたCrを十分
拡散させるには、高温度で熱処理することが好ましい
が、あまり高温度で熱処理を施すと、鋼板の形状が悪く
なったり、缶用材料に要求される材質をもつ鋼板が得ら
れないので、最高温度は約750℃に限定される。箱型
焼鈍炉を用い、熱処理を施す場合は、加熱時間が長いの
で、比較的低温でも、めっきしたSn、Niのみならず、め
っきしたCrもかなり拡散される。この熱処理によって、
形成される熱拡散処理層において、Cr/Sn+Crの重量比
が0.02以下であると、鋼板表層にCr量が1mg/m2
上拡散させた表面処理鋼板に、さらにTFS処理を施し
ても、加工耐食性はあまり改良されない。これは形成さ
れる熱拡散処理層中のCr量の僅かの増加によっても、Si
量の著しい増加をきたし、熱拡散処理層が厚く、脆くな
るためと考えられる。また、Cr/Sn+Crの重量比を0.
50以上にするには、すでに記した熱処理条件下におけ
るめっきしたCrの拡散程度から考え、熱処理前にめっき
されるCr量を増加させる必要がある。その結果、熱処理
後拡散せずに残存する酸化Cr量の増加をきたし、無塗装
の状態における耐錆性は改良されるが、該熱処理拡散層
上にTFS処理を施す場合、TFS処理前にほどこされ
る電解クリーニングで十分除去されず、TFS皮膜の均
一性および析出効率を低下させる危険性がある。したが
って、本発明の方法において、Cr−Sn合金めっき後に施
される熱処理によって形成される熱拡散処理層における
Cr/Sn+Crの重量比は重要な因子であり、0.02〜
0.50の範囲が好ましく、0.05〜0.20の範囲
がより好ましい。また、TFRなどの缶用鋼板の素地鋼
板の製造時における熱処理条件下では、本発明で限定し
た範囲のSn量あるいはNi量であれば、すでに記したよう
に素地鋼板と反応し、金属Sn、酸化Sn、あるいは金属N
i、酸化Niとしてほとんど残ることはないが、かりに残
存すると、その後施されるTFS処理に支障をきたす恐
れがあり、あえてめっきしたSn量あるいはNi量の95%
以上が形成される熱拡散処理層に含まれるべきであると
限定した。また、本発明において、鋼板表層中に拡散さ
れるCr量の下限は1mg/m2に限定したが、この下限は本
発明の目的とする加工耐食性の優れた製缶用表面処理鋼
板を得るために不可欠な因子である。鋼板表層中に拡散
されるCr量が1mg/m2以下であると、たとえCr量が3mg
/m2以上のCr−Sn合金めっき、あるいはCr−Sn−Ni合金
めっきを施した後、熱処理を施した表面処理鋼板にTF
S処理を施しても、加工耐食性は改良されない。
本発明はこれらの合金めっき、鉄の非酸化性雰囲気中で
の熱処理後、ぶりきなどの素地鋼板と同様に調質圧延を
施し、その後、公知の方法で電解クロム酸処理(TFS
処理)を施し、熱拡散処理層の上に下層が金属Cr層、上
層がクロム水和酸化物層からなる皮膜、いわゆるTFS
皮膜を形成させることによって塗装し、さらに絞り加工
した後の耐食性は著しく改良されるが、金属Cr量および
クロム水和酸化物量は市販のTFSのそれらと同等で十
分である。すなわち、金属Cr量は10〜200mg/m2
クロム水和酸化物量はCr量として5〜30mg/m2のTF
S皮膜を適量の硫酸、ふっ素化合物などの助剤を添加し
たクロム酸溶液を用い、同時に形成させる1ステップ
法、あるいは金属Crを析出後、クロム水和酸化物を形成
させる2ステップ法で熱拡散処理層上に形成させればよ
い。TFS処理前の熱拡散処理層を有する本発明の表面
処理鋼板はぶりきなどの缶用素地鋼板に比較し、優れた
耐食性、塗料密着性をもっているので、厳しい耐食性を
要求されない用途であれば、TFS処理を施さずに、無
塗装で、あるいは塗装した後で缶用材料に使用すること
が可能である。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を比較例の対比し、具体的に説明
する。
実施例1 板厚0.21mmの冷延鋼板を4%オルソケイ酸ソーダ水
溶液中で、温度90℃、電流密度20A/dm2、電解時
間5秒の条件で、圧延油の脱脂処理を施し、水洗後、
(イ)に示す条件でCr−Sn合金めっきを施し、水洗乾燥し
た。この試料を鉄の非酸化性雰囲気(水素6%、窒素9
4%)の中に入れ、温度640〜680℃で30秒の熱
処理を施した。
(イ) Cr−Sn合金めっき条件 浴組成 Cr2(SO4)3・5H2O 80g/ SnSO4 12g/ クエン酸ソーダ 50g/ H3BO3 30g/ NaF 5g/ pH 2.0 浴温度 45℃ 陰極電流密度 20A/dm2 Cr−Sn合金めっき中のCr量 22mg/m2 Cr−Sn合金めっき中のSn量 65mg/m2 実施例2 実施例1と同様の冷延鋼板を実施例1と同様の前処理を
施した後、(イ)に示す条件でCr−Sn−Ni合金めっきを施
し、水洗乾燥した。ついで、実施例1と同じ条件で熱処
理を施した。
(イ) Cr−Sn−Ni合金めっき条件 浴組成 Cr2(SO4)3・5H2O 60g/ SnSO4 15g/ NiSO4・6H2お 50g/ クエン酸ソーダ 60g/ H3BO3 30g/ NaF 6g/ pH 2.0 浴温度 50℃ 陰極電流密度 33A/dm2 Cr−Sn−Ni合金めっき中のCr量 25mg/m2 Cr−Sn−Ni合金めっき中のSn量 150mg/m2 Cr−Sn−Ni合金めっき中のNi量 28mg/m2 比較例1 実施例1と同様の冷延鋼板を実施例1と同様の前処理を
施し、水洗乾燥後、実施例1と同じ条件で熱処理を施し
た。
比較例2 実施例1と同様の冷延鋼板を実施例1と同様の前処理を
施した後、浴温度55℃のCrO3250g/、H2SO42.
5g/の浴中で、陰極電流密度40A/dm2の条件で1
5mg/m2のCrめっきを施し、水洗乾燥した。ついで、実
施例1と同じ条件で熱処理を施した。
比較例3 実施例1と同様の冷延鋼板を実施例1と同様の前処理を
施した後、浴温度50℃のNiSO4・6H2O250g/、NiC
l2・6H2O50g/、H3BO340g/の浴中で、陰極電流
密度10A/dm2の条件で40mg/m2のNiめっきを施
し、水洗乾燥した。ついで、実施例1と同じ条件で熱処
理を施した。
比較例4 実施例1と同様の冷延鋼板を実施例1と同様の前処理を
施した後、浴温度45℃のSnSO460g/、フェノール
スルホン酸15g/(硫酸として)、エトキシ化α・
ナフトール7g/のフェロスタン浴中で、陰極電流密
度20A/dm2の条件で200mg/m2のSnめっきを施
し、水洗乾燥した。ついで、実施例1と同じ条件で熱処
理を施した。
実施例3 実施例1得られた試料に2%の調質圧延を施した後、
(イ)に示す条件でTFS処理を施し、水洗乾燥した。
(イ) 熱処理、調質圧延後のTFS処理条件浴組成 Cro3 80g/ NaF 4g/ H2SO4 0.5g/ 浴温度 50℃ 陰極電流密度 40A/dm2 金属Cr量 89mg/m2 クロム水和酸化物量(Crとして) 14mg/m2 実施例4 実施例1と同様の冷延鋼板を実施例1と同様の前処理を
施した後、実施例1の(イ)に示す条件で時間をかえてCr
−Sn合金めっきを施し、水洗乾燥した。ついで、実施例
1と同じ非酸化性雰囲気中で温度560〜600℃で8
時間箱型焼鈍炉を用いて熱処理を施し、さらに2%の調
質圧延を施した。その後、つぎの(イ)に示す2ステップ
法でTFS皮膜を形成させ、水洗乾燥した。
Cr−Sn合金めっき中のCr量 85mg/m2 Cr−Sn合金めっき中のSn量 260mg/m2 (イ) 熱処理、調質圧延後のTFS処理条件 ※Crめっき条件 浴組成 CrO3 180g/ Na2SiF6 5g/ H2SO4 0.5g/ 浴温度 50℃ 陰極電流密度 40A/dm2 ※クロム水和酸化物皮膜形成条件 浴組成 CrO3 30g/ NaF 1.5g/ 浴温度 40℃ 陰極電流密度 24A/dm2 金属Cr量 105mg/m2 クロム水和酸化物量(Crとして) 16mg/m2 実施例5 実施例2で得られた試料に2%の調質圧延を施した後、
実施例3の(イ)に示す条件でTFS処理を施し、水洗乾
燥した。
比較例5 比較例1で得られた試料に2%の調質圧延を施した後、
実施例3の(イ)に示す条件でTFS処理を施し、水洗乾
燥した。
比較例6 比較例2で得られた試料に2%の調質圧延を施した後、
実施例3の(イ)に示す条件でTFS処理を施し、水洗乾
燥した。
比較例7 比較例3で得られた試料に2%の調質圧延を施した後、
実施例4の(イ)に示す条件でTFS処理を施し、水洗乾
燥した。
比較例8 比較例4で得られた試料に2%の調質圧延を施した後、
実施例4の(イ)に示す条件でTFS処理を施し、水洗乾
燥した。
以上の方法で得られた鋼板の表面皮膜組成を螢光X線法
で測定後、無塗装での耐錆性、耐食性および塗装後の加
工耐食性を次に示す方法で調査した。その結果を一括し
て第1表に示す。
(1) 熱処理によるCr、SnおよびNiの鋼板中への拡散量
および率 TFS処理する前の試料の全Cr量、全Sn量および全Ni量
を螢光X線法で測定後、室温の1規定NaOH水溶液中で電
流密度5A/dm2の条件で陰極電解、陽極電解をそれぞ
れ30秒行い、鋼板表層の金属Cr、酸化Cr、金属Sn、酸
化Snを溶解し、その後、再び螢光X線法で残存Cr量およ
び残存Sn量を測定した。この残存Crおよび残存Sn量が熱
処理で形成された熱処理拡散層中のCr量及びSn量とし
た。また、この処理前後のSn量よりSnの拡散率を求め
た。Niの拡散率は光電子分光計を用い、試料を表層から
スパッターした時、NiとFeの面積強度比Ni/Fe<1にな
るまでスパッターされた量を未拡散のNi量とし、Niの拡
散率を算出した。
(2) 塩水噴霧試験による無塗装での耐錆性JIS Z
2371に従い、塩水噴霧試験機に無塗装の試料を鉛直
線から30度の角度で立てかけ、35℃の5%NaCl水溶
液を3時間噴霧し、錆の発生程度を10段階にわけ評価
した。錆の発生なしを10とし、発錆面積25〜50%
を1とした。
(3) 屋内暴露試験による耐錆性 海岸付近の工場屋内に45度の角度で無塗装の試料を立
てかけ、1ケ月放置し、錆の発生程度を10段階にわけ
評価した。錆の発生なしを10とし、発錆面積25〜5
0%を1とした。
(4) 無塗装時の耐食性 25℃の100%グレープフルーツ溶液100mlに試験
面積20cm2の試料を1ケ月浸漬し、溶出Fe量を原子吸
光法で測定し、mg/dm2・dayに換算した。
(5) 塗装加工後の耐食性 試料表面に60mg/dm2(乾燥重量)のフェノール・エ
ポキシ系塗料を塗布し、210℃で10分キュアーした
後、エリキセン試験機を用い5mm張出し加工を施し、そ
の後、試験面積20cm2の試料を25℃のCH3COOH水溶液
100mlに2週間浸漬し、溶出Fe量を原子吸光法で測定
し、mg/dm2・dayに換算した。
〔発明の効果〕 本発明の方法で得られた表面処理鋼板は塗装加工後の耐
食性に優れ、かつ工業的に高速で連続生産することが可
能であり、安価な製缶用表面処理鋼板として産業上きわ
めて有用なものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板表面に片面当り、Cr量が3〜150mg
    /m2、Sn量が25〜800mg/m2のCr−Sn合金めっきを
    施し、引き続き鉄の非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、
    めっきしたSn量の95%以上、およびめっきしたCr量の
    1mg/m2以上を含み、かつ、Cr/Sn+Crの重量比が0.
    02〜0.50である熱拡散処理層を形成させたことを
    特徴とする加工耐食性の優れた製缶用表面処理鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】鋼板表面に片面当り、Cr量が3〜150mg
    /m2、Sn量が25〜800mg/m2、Ni量が2〜100mg
    /m2、かつ、Ni/Snの重量比が0.50以下であるCr−
    Sn−Ni合金めっきを施し、引き続き、鉄の非酸化性雰囲
    気中で熱処理を施し、めっきしたSn量、Ni量の95%以
    上、およびめっきしたCr量の1mg/m2以上を含み、か
    つ、Cr/Sn+Crの重量比が0.02〜0.50である熱
    拡散処理層を形成させたことを特徴とする加工耐食性の
    優れた製缶用表面処理鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】鋼板表面に片面当り、Cr量が3〜150mg
    /m2、Sn量が25〜800mg/m2のCr−Sn合金めっきを
    施し、引き続き鉄の非酸化性雰囲気中で熱処理を施し、
    めっきしたSn量の95%以上、およびめっきしたCr量の
    1mg/m2以上を含み、かつ、Cr/Sn+Crの重量比が0.
    02〜0.50である熱拡散処理層を形成させ、該熱拡
    散処理層上に下層が10〜200mg/m2の金属Cr、上層
    がCrとして5〜30mg/m2のクロム水和酸化物からなる
    皮膜を形成させたことを特徴とする加工耐食性の優れた
    製缶用表面処理鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】鋼板表面に片面当り、Cr量が3〜150mg
    /m2、Sn量が25〜800mg/m2、Ni量が2〜100mg
    /m2、かつ、Ni/Snの重量比が0.50以下であるCr−
    Sn−Ni合金めっきを施し、引き続き、鉄の非酸化性雰囲
    気中で熱処理を施し、めっきしたSn量、Ni量の95%以
    上、および、めっきしたCr量の1mg/m2以上を含み、か
    つ、Cr/Sn+Crの重量比が0.02〜0.50である熱
    拡散処理層を形成させ、該熱拡散処理層上に下層が10
    〜200mg/m2の金属Cr、上層がCrとして5〜30mg/
    m2のクロム水和酸化物からなる皮膜を形成させたことを
    特徴とする加工耐食性の優れた製缶用表面処理鋼板の製
    造方法。
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