JPH0662655B2 - 新規フェロセン誘導体,それを含有する界面活性剤及び有機薄膜の製造方法 - Google Patents

新規フェロセン誘導体,それを含有する界面活性剤及び有機薄膜の製造方法

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JPH0662655B2
JPH0662655B2 JP1054956A JP5495689A JPH0662655B2 JP H0662655 B2 JPH0662655 B2 JP H0662655B2 JP 1054956 A JP1054956 A JP 1054956A JP 5495689 A JP5495689 A JP 5495689A JP H0662655 B2 JPH0662655 B2 JP H0662655B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規フェロセン誘導体,それを含有する界面
活性剤及び有機薄膜の製造方法に関し、詳しくはその置
換基である主炭素鎖に分岐鎖として置換あるいは無置換
フェニル基を結合した構造の新規なフェロセン誘導体、
及び該フェロセン誘導体を含有し、フタロシアニン等の
疎水性有機物質を可溶化することのできる界面活性剤、
並びにこの界面活性剤を用いて疎水性有機物質の薄膜を
製造する方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般に、フタロシアニンあるいはその誘導体等の色素
は、水に対して不溶であり、また、ジメチルホルムアミ
ド(DMF),テトラヒドロフラン(THF)等の有機
溶媒には可溶であるが、その可溶化量は少なく、数mg程
度の溶解度しかない。
従来からこのフタロシアニン等を水に溶かすための界面
活性剤が研究されているが、未だ満足しうるものは開発
されていない。官能基置換したフタロシアニン誘導体に
ついては、スルホン系界面活性剤で若干水に溶解できる
ことが報告されているが、その溶解度は必ずしも充分に
高くなく、しかも無置換のフタロシアニンについては全
く溶解することができない。
また、水に不溶性のポリマーについても、上述したと同
様に水に溶かすための界面活性剤が研究されているが、
未だ充分な成果が得られていないのが現状である。
本発明者らのグループは、先般、フタロシアニンやその
誘導体等の色素あるいは水に不溶性のポリマー等を可溶
化する界面活性剤として、ポリオキシエチレン鎖を有す
るフェロセン誘導体を開発し、また該フェロセン誘導体
を用いて所謂ミセル電解法にて有機薄膜を形成する方法
を開発した(PCT/JP88/00855)。
本発明者らは、上記界面活性剤を改良して、疎水性有機
物質の可溶化能を高く維持しつつ、ミセル電解法の際の
電解性能を向上させ、フェロセン誘導体の酸化還元反応
を円滑に進行させ、有機薄膜の製造効率を一段と向上さ
せる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、その置換基の主炭素鎖に分岐鎖として置換あ
るいは無置換フェニル基を結合した新規な構造のフェロ
セン誘導体が、目的を達成しうるものであることを見出
した。本発明はかかる知見に基いて完成したものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、一般式 〔式中、R及びRはそれぞれメチル基,メトキシ
基,アミノ基,ジメチルアミノ基、水酸基あるいはハロ
ゲンを示す。またRは水素,メチル基あるいはエチル
基を示し、Xは−O−又は を示し、Rは水素又はメチル基を示す。aは0〜4の
整数,bは0〜5の整数を示し、k,mはそれぞれ0≦
k+m≦10を満たす正の整数を示し、nは2〜70の
実数を示す。〕 で表わされる新規フェロセン誘導体を提供するととも
に、この新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤を
提供する。さらに、本発明は疎水性有機物質を、水性媒
体中で前記新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤
にて可溶化することを特徴とする疎水性有機物質の可溶
化方法、ならびにこの可溶化方法で得られるミセル溶液
を電解して電極上に前記疎水性有機物質の薄膜を形成す
ることを特徴とする有機薄膜の製造方法をも提供する。
本発明のフェロセン誘導体は、一般式〔I〕で表わされ
るものである。ここで、一般式〔I〕中の各記号は前述
した通りである。つまり、R及びRはそれぞれメチ
ル基(CH3),メトキシ基(OCH3),アミノ基(NH2),ジメチ
ルアミノ基(N(CH3)2),水酸基(OH)あるいはハロゲン
(塩素,臭素,弗素等)を示す。R及びRは同一で
あっても異なってもよく、さらにR及びRがそれぞ
れ複数フェロセンの五員環に存在した場合にも、複数の
置換基がそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
又、Rは水素,メチル基(CH3),あるいはエチル基(CH
2CH3)を示す。置換位置は、o−,m−あるいはp−の
いずれでもよい。Xは酸素(-O-)又はオキシカルボニル
を示す。さらにRは水素あるいはメチル基(CH3)であ
る。従って、 は、-O(CH2CH2O)nH, あるいは である。ここで、nはオキシエチレン基あるいは1−メ
チルオキシエチレン基の繰返し数を示すもので、2〜7
0の整数のみならず、これらを含む実数を意味し、これ
らの基の繰り返し数の平均値を示すものである。
またフェロセン骨格の五員環に結合している置換あるい
は無置換のフェニル基を有する主炭素鎖の長さ、すなわ
におけるk,mはそれぞれ0≦k+m≦10を満たす正
の整数である。kは好ましくは1〜5であり、またmは
好ましくは1〜5である。k+mが10を超えたフェロ
セン誘導体は電解性能が低下したものとなる。
本発明の化合物は、この主炭素鎖に フェニル基 メチルフェニル基 あるいはエチルフェニル基 が分枝鎖として結合したものである。
このような一般式〔I〕で表わされる新規フェロセン誘
導体は、様々な方法により製造することができる。具体
的には、Xはオキシカルボニル基 である場合、塩化メチレン,二硫化炭素,四塩化炭素,
ニトロベンゼン等の溶媒中で一般式 (式中、R1,R2,a及びbは前記と同じである。)で表
わされる置換あるいは無置換のフェロセンに一般式 (式中、R,k及びmは前記と同じである。)で表わ
される置換あるいは無置換のフェニル基を有するジカル
ボン酸無水物をフリーデルクラフツ触媒(例えば、AlCl
3,FeCl2,FeCl3,SbCl5,SnCl4等)の存在下、−20℃〜
還流温度で反応させて、一般式 (式中、R1,R2,R3,a,b,k及びmは前記と同じで
ある。) で表わされる化合物を得る。次に上記一般式〔IV〕で表
わされる化合物に、アルコール(メタノールやエタノー
ルなど),ジメチルエーテル,トルエン,酢酸等の溶媒
中で、亜鉛又は亜鉛アマルガムと濃塩酸を還元剤として
用いて20〜120℃にてクレメンゼン還元を行い、一
般式 (式中、R1,R2,R3,a,b,k及びmは前記と同じで
ある。) で表わされる化合物が製造する。しかる後にこれに (n,Rは前記と同じ。)で表わされるポリエチレン
グリコール化合物、すなわちHO(CH2CHO)nHあるいは をp−トルエンスルホン酸あるいは硫酸などの触媒下に
て脱水縮合させて、目的とする一般式 (式中、R1,R2,R3,R4,a,b,k,m及びnは前記
と同じである。) の新規フェロセン誘導体を製造する。
また、例えばXが酸素(−O−)の場合は、一般式〔I
I〕で表わされる化合物に一般式 (式中、R3,k及びmは前記と同じである。) で表わされる化合物を、前述の一般式〔II〕と〔III〕
の反応と同様の条件にて反応させ、一般式 (式中、R1,R2,R3,a,b,k及びmは前記と同じで
ある。) で表わされる化合物を得る。次いで、一般式〔IV′〕で
表わされる化合物にメチルアルコールあるいはエチルア
ルコールと、p−トルエンスルホン酸あるいは硫酸等の
触媒下にて、3〜10時間還流させることによりエステ
ル化して、一般式〔VI〕 (式中、R1,R2,R3,a,b,k及びmは前記と同じ、
R5はメチル基あるいはエチル基を示す。) で表わされる化合物を得る。さらに一般式〔VI〕の化合
物を、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)あるいは水素化
アルミニウムリチウム(LiAlH4)等の還元剤の存在下に、
テトラヒドロフラン;1,4−ジオキサン;ジエチルエ
ーテル;ジメチルエーテル等の非プロトン性極性溶媒中
にて、0.5〜10時間還流させることにより、一般式 (式中、R1,R2,R3,a,b,k及びmは前記と同じで
ある。) で表わされる化合物が得られる。続いて、一般式〔VI
I〕の化合物に、四塩化炭素あるいは四臭化炭素をトリ
フェニルホスフィンの存在下、クロロホルム溶媒中で0.
5〜6時間還流させて、ハロゲン化し、一般式 (式中、R1,R2,R3,a,b,k及びmは前記と同じ、
Yは塩素あるいは臭素を示す。) で表わされる化合物を製造する。この反応において、反
応原料として四塩化炭素を用いる場合には、この四塩化
炭素を溶媒に用いてもよい。
上述の反応によって得られた一般式〔VIII〕の化合物
を、式 (n,Rは前記と同じ。)で表わされるポリエチレン
グリコール化合物と、ナトリウム,リチウム,カリウム
等のアルカリ金属の存在下に50℃〜200℃,3〜3
0時間反応させて、 一般式 (式中、R1,R2,R3,R4,a,b,k,m及びnは前記
と同じである。) の新規フェロセン誘導体が製造される。
以上の如き方法によって得られる本発明の新規フェロセ
ン誘導体は、界面活性剤として有効であり、特に疎水性
有機物質を水性媒体に可溶化する界面活性剤(ミセル化
剤)として用いることができる。ミセル化剤として、本
発明のフェロセン誘導体を使用する場合は、単独である
いは二種類以上のフェロセン誘導体を混合して用いるこ
とができる。
本発明の界面活性剤は、上記一般式〔I〕(前記一般式
〔I′〕,〔I″〕を含む)で表わされるフェロセン誘
導体を主成分として含むものであり、その他必要に応じ
て各種の添加剤を適宜加えることもできる。
この本発明の界面活性剤を用いれば、様々な疎水性有機
物質を水性媒体に可溶化することが可能である。このよ
うな疎水性有機物質は、様々なものがあるが、例えばフ
タロシアニン,フタロシアニンの金属錯体およびこれら
の誘導体、ナフタロシアニン,ナフタロシアニンの金属
錯体およびこれらの誘導体、ポルフィリン,ポルフィリ
ンの金属錯体およびこれらの誘導体などの光メモリー用
色素や有機色素をはじめ1,1′−ジヘプチル−4,
4′−ビピリジニウムジブロマイド,1,1′−ジドデ
シル−4,4′−ビピリジニウムジブロマイドなどのエ
レクトロクロミック材料,6−ニトロ−1,3,3−ト
リメチルスピロ−(2′H−1′−ベンゾピラン−2,
2′−インドリン)(通称スピロピラン)などの感光材
料(フォトクロミック材料)や光センサー材料,p−ア
ゾキシアニソールなどの液晶表示色素、更に「カラーケ
ミカル辞典」株式会社シーエムシー,1988年3月2
8日発行の第542〜717頁に列挙されているエレク
トロニクス用色素,記録用色素,環境クロミズム用色
素,写真用色素,エネルギー用色素,バイオメディカル
用色素,食品・化粧用色素,染料,顔料,特殊着色用色
素のうちの疎水性の化合物などがあげられる。また、
7,7,8,8−テトラシアノキノンジメタン(TCN
Q)とテトラチアフルバレン(TTF)との1:1錯体
などの有機導電材料やガスセンサー材料,ペンタエリス
リトールジアクリレートなどの光硬化性塗料,ステアリ
ン酸などの絶縁材料,1−フェニルアゾ−2−ナフトー
ルなどのジアゾタイプの感光材料や塗料等をあげること
ができる。さらには、水に不溶性のポリマー、例えばポ
リカーボネート,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプ
ロピレン,ポリアミド,ポリフェニレンサルファイド
(PPS),ポリフェニレンオキサイド(PPO),ポ
リアクリロニトリル(PAN)などの汎用ポリマー、ま
たポリフェニレン,ポリピロール,ポリアニリン,ポリ
チオフェン,アセチルセルロース,ポリビニルアセテー
ト,ポリビニルブチラールをはじめ、各種各様のポリマ
ー(ポリビニルピリジンなど)あるいはコポリマー(メ
タクリル酸メチルとメタクリル酸とのコポリマーなど)
をあげることができる。
本発明の新規フェロセン誘導体を界面活性剤として用い
るにあたっては、様々な態様があるが、特に本発明の有
機薄膜の製造方法において、ミセル化剤として使用する
と効果的である。本発明の方法では、前記一般式〔I〕
の新規フェロセン誘導体よりなる界面活性剤(ミセル化
剤)(濃度は限界ミセル濃度以上),支持塩ならびに疎
水性有機物質を入れて、超音波,ホモジナイザーあるい
は攪拌機等により充分に分散させてミセルを形成せしめ
る。通常1時間〜10日間行なう。その後必要に応じて
過剰の疎水性有機物質を除去し、得られたミセル溶液を
静置したままあるいは若干の撹拌を加えながら後述の電
極を用いて電解処理する。また、電解処理中に疎水性有
機物質をミセル溶液に補充添加してもよく、あるいは陽
極近傍のミセル溶液を系外へ抜き出し、抜き出したミセ
ル溶液に疎水性有機物質を加えて充分に混合撹拌し、し
かる後にこの液を陰極近傍へ戻す循環回路を併設しても
よい。この際の電解条件は、各種状況に応じて適宜選定
すればよいが、通常は液温0〜70℃、好ましくは20
〜30℃、電圧0.03〜1.00V、好ましくは0.15〜0.7V
とし、電流密度10mA/cm2以下、好ましくは50〜30
0μA/cm2とする。
この電解処理を行うと、フェロセン誘導体の酸化還元反
応が進行する。これをフェロセン誘導体中のFeイオンの
挙動に着目すると、陽極ではフェロセンのFe2+がFe3+
なって、ミセルが崩壊し、疎水性有機物質の粒子(60
0〜900Å程度)が陽極上に析出する。一方、陰極で
は陽極で酸化されたFe3+がFe2+に還元されてもとのミセ
ルに戻るので、繰返し同じ溶液で製膜操作を行うことが
できる。本発明の方法で使用する新規フェロセン誘導体
は、主炭素鎖に分枝鎖として置換あるいは無置換のフェ
ニル基をを有するフェロセン誘導体であって、疎水性物
質の可溶化能が高く、さらに上記の酸化還元反応の効率
が非常によく、薄膜が短時間で形成される。
このような電解処理により、陽極上には所望する疎水性
有機物質の600〜900Å程度の粒子による薄膜が形
成される。
上記本発明の方法で用いる支持塩(支持電解質)は、水
性媒体の電気伝導度を調節するために必要に応じて加え
るものである。この支持塩の添加量は通常は上記界面活
性剤(ミセル化剤)の0〜300倍程度の濃度、好まし
くは10〜200倍程度の濃度を目安とする。この支持
塩は添加することなく電解を行うこともできるが、この
場合には支持塩を含まない純度の高い薄膜が得られる。
また、支持塩を用いる場合、この支持塩の種類は、ミセ
ルの形成や電極への前記疎水性有機物質の析出を妨げる
ことなく、水性媒体の電気伝導度を調節しうるものであ
れば特に制限はない。
具体的には、一般に広く支持塩として用いられている硫
酸塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,
アルミニウムなどの塩),酢酸塩(リチウム,カリウ
ム,ナトリウム,ルビジウム,ベリリウム,マグネシウ
ム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,アルミニ
ウムなどの塩),ハロゲン化物塩(リチウム,カリウ
ム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,マグネシウ
ム,アルミニウムなどの塩),水溶性酸化物塩(リチウ
ム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,
マグネシウム,アルミニウムなどの塩)が好適である。
また、本発明の方法で用いる電極は、フェロセンの酸化
電位(+0.15V対飽和甘コウ電極)より貴な金属もしく
は導電体であればよい。具体的にはITO(酸化インジ
ウムと酸化スズとの混合酸化物),白金,金,銀,グラ
シーカーボン,導電性金属酸化物,有機ポリマー導電体
などがあげられる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく
説明する。
製造例1 (1)無水塩化アルミニウム14.6gの存在下、フェロセ
ン9.4gと2−フェニルグルタル酸無水物10.0gを塩化
メチレン溶媒中、室温で2時間反応させた。
反応終了後、希塩酸で処理した後、塩化メチレン抽出,
アルカリ抽出,酸処理を行って、下記化合物及びの
異性体混合物16.6g(収率86%)を得た。
(2)亜鉛9.6gと塩化第二水銀4.4gから調製した亜鉛
アマルガム存在下、化合物及びの混合物8.3gを、
濃塩酸と1,2−ジメトキシエタンの混合溶媒中、80
℃で2時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで抽出
し、シリカゲルカラムにて精製を行ない、下記化合物
及びの異性体混合物3.9g(収率49%)を得た。
実施例1 製造例1で得られた化合物及びの異性体混合物3.9
gに、66gのポリエチレングリコール(平均分子量6
00)と濃硫酸0.5mlを加えて、80℃で8時間反応を
行った。
この反応液を水−n−ブタノール等量混合物で抽出し
た。抽出物を水で洗浄後、シリカゲルカラムを用い、展
開溶媒として酢酸エチル−メタノール(4:1)の混合
物を用いて展開し、クロマト精製した。
乾燥後、得られた精製物は収量3.5g(収率34%)で
あった。このものの元素分析値は炭素61.0%,水素8.2
%であり、H−NMRの測定結果は、第1図に示すと
おりであった。
以上の結果より、上記精製物は下記の構造(異性体)を
有するフェロセン誘導体であることが同定された。
実施例2 100ccの水に、実施例1で得られたフェロセン誘導体
を加えて、2mM溶液とした後、このミセル容液20cc
にフタロシアニン(東京化成製)を0.1g加えて、超音
波で10分間撹拌して分散,可溶化させた。さらに、ス
ターラーにより二昼夜撹拌した後、得られた分散可能化
ミセル溶液を2000rpmで30分間遠心分離を行っ
た。この上澄み液の可視吸収スペクトルから、フタロシ
アニンが分散していることを確認し、さらに吸光度よ
り、該ミセル化剤の可溶化能は、8.4mM/2mMミセ
ル化剤であることが判った。
この分散可溶化ミセル溶液に、臭化リチウムを0.1Mの
濃度になるように加え、スターラーで10分間撹拌し
た。この溶液を電解液とて、陽極にITO透明ガラス電
極,陰極に白金板,参照極として飽和甘コウ電極を用い
て、25℃、印加電圧0.5Vで定電位電解を行った。こ
の時の電流密度は9.8μA/cm2、通電時間は30分間、
通電量は0.015クーロン(C)であった。
その結果、フタロシアニンの薄膜が、ITO透明ガラス
電極上に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタ
ロシアニンの吸収スペクトルと分散可溶化ミセル溶液の
吸収スペクトルが一致することから、ITO透明ガラス
電極上の薄膜はフタロシアニンであり、吸光度より膜厚
が2.2μmであることが判った。
一方、ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウムを0.1
Mになるように加え、サイクリックボルタンメトリーに
より、酸化還元電位を測定した結果、0.192V,酸化と
還元ピークの電位差は60mVであった。
製造例2 (1)製造例1(1)で得られた化合物及びの混合
物8.0gを1ccの硫酸存在下、エタノール溶媒中で5時
間還流を行った。反応終了後、濃縮,アルカリ処理,エ
ーテル抽出を行って、乾燥後、エーテルを留去し、下記
化合物及びの異性体混合物8.1gを得た。
(2)上記(1)で得られた化合物及びの混合物8.
1gと無水塩化アルミニウム8.0g,水素化ホウ素ナトリ
ウム3.8gをテトラヒドロフラン溶媒中、2時間還流さ
せた。反応終了後、希塩酸で処理し、酢酸エチルで抽出
後、シリカゲルカラムにて精製して、下記化合物及び
の異性体混合物を4.2g(収率60%)を得た。
(3)上記(2)で得られた化合物及びの混合物4.
2gとトリフェニルホスフィン4.7g,四臭化炭素6.0g
をクロロホルム溶媒中、3時間還流した。反応終了後、
濃縮し、n−ペンタン抽出を行い、シリカゲルカラムに
て精製して、下記化合物及びの異性体混合物を3.4
g(収率69%)を得た。
実施例3 ポリエチレングリコール(平均分子量1000)42g
に金属ナトリウム0.30gを加え、80℃で一昼夜攪拌し
た。次いでこれに製造例2(3)で得られた化合物及
びの異性体混合物3.3gを加え、110℃で10時間
反応させた。この反応液を水−n−ブタール等量混合物
で抽出した。抽出物を水で洗浄後、シリカゲルカラムを
用い、展開溶媒として、酢酸エチル−メタノール(4:
1)の混合物を用いて、クロマト精製した。
得られた精製物は収量3.9g(収率37%)であり、こ
のものの元素分析値は炭素58.5%,水素8.1%,H−
NMRの測定結果は第2図に示すとおりであった。
以上の結果より、上記精製物は下記の構造(異性体)を
有するフェロセン誘導体であることが同定できた。
実施例4 100ccの水に、実施例3で得られたフェロセン誘導体
を加えて、2mM溶液とした後、このミセル溶液20cc
にフタロシアニン(東京化成製)を0.1g加えて、超音
波で10分間攪拌した後、可溶化させた。さらに、スタ
ーラーにより二昼夜攪拌した後、得られた分散可溶化ミ
セル溶液を2000rpmで30分間遠心分離を行った。
この上澄み液の可視吸収スペクトルから、フタロシアニ
ンが分散していることを確認し、さらに吸光度より、該
ミセル化剤の可溶化能は7.9mM/2mMミセル化剤で
あることが判った。
この分散可溶化ミセル溶液に臭化リチウムを0.1Mの濃
度になるように加え、スターラーで10分間攪拌した。
この溶液を電解液として、陽極にITO透明ガラス電
極,陰極に白金板,参照極として飽和甘コウ電極を用い
て、印加電圧0.5Vで定電位電解を行った。この時の電
流密度は、9.4μA/cm2,通電時間は30分間,通電量
は0.02Cであった。
その結果、フタロシアニンの薄膜が、ITO透明ガラス
電極上に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタ
ロシアニンの吸収スペクトルと分散可溶化ミセル溶液の
吸収スペクトルが一致することから、ITO透明ガラス
電極上の薄膜はフタロシアニンであり、吸光度により薄
厚が1.9μmであることがわかった。
一方、ミセル溶液に支持塩として臭化リチウムを0.1M
になるように加え、サイクリックボルタンメトリーによ
り、酸化還元電位を測定した結果、0.189Vであり、酸
化と還元ピークの電位差は55mVであった。
比較例1 実施例2において実施例1で得られた化合物の代わり
に、式 の化合物を用い、実施例2と同様にして、フタロシアニ
ンの分散可溶化ミセル溶液を得た。このものの可溶化能
は8.2mM/2mMミセル化剤であることが判った。
このミセル化剤を用いて、実施例2と同様にして定電位
電解を行った。この時の電流密度は16.7μA/cm2,通
電時間は30分間,通電量は0.03Cであった。
得られた薄膜は吸収スペクトルより、フタロシアニンで
あり、吸光度より膜厚が1.85μmであることが判った。
また、実施例2と同様にして、酸化還元電位を測定した
結果、0.239Vであり、酸化と還元ピークの電位差は8
8mVであった。
比較例2 実施例2において実施例1で得られた化合物の代わり
に、式 の化合物を用い、実施例2と同様にして、フタロシアニ
ンの分散可溶化ミセル溶液を得た。このものの可溶化能
は1.8mM/2mMミセル化剤であることが判った。
このミセル化剤を用いて、実施例2と同様にして定電位
電解を行った。この時の電流密度は11.9μA/cm2,通
電時間は30分間,通電量は0.02Cであった。
得られた薄膜は吸収スペクトルより、フタロシアニンで
あり、吸光度より膜厚が0.05μmであることが判った。
また、実施例2と同様にして、酸化還元電位を測定した
結果、0.124Vであり、酸化と還元ピークの電位差は3
5mVであった。
〔発明の効果〕
本発明のフェロセン誘導体は、従来にない新しい化合物
であり、界面活性剤(ミセル化剤)をはじめ、触媒,助
燃剤,浮選剤,潤滑助剤,分散剤,液晶など様々な用途
に供することができる。特にこのフェロセン誘導体を界
面活性剤(ミセル化剤)として用いると、水溶液系でミ
セルを形成し、利用分野の広いフタロシアニン等の色素
や各種疎水性ポリマー等様々な疎水性の有機物質を可溶
化することができる。また、この界面活性剤(ミセル化
剤)を加えるとともに、水溶液電解によりミセルの集合
離散を利用する本発明の方法に従えば、膜厚の極めて薄
い有機膜を形成することができる。しかも、上記界面活
性剤の酸化還元効率がすぐれているため、製膜能が著し
く高い。
このような本発明の方法によって形成される有機薄膜
は、光電変換材料,感光材料,太陽電池をはじめ、様々
な分野に有効な利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られたフェロセン誘導体の1H−
NMRを示し、第2図は実施例3で得られたフェロセン
誘導体の1H−NMRを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // H01L 31/04 31/08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 〔式中、R及びRはそれぞれメチル基,メトキシ
    基,アミノ基,ジメチルアミノ基,水酸基あるいはハロ
    ゲンを示す。またRは水素,メチル基あるいはエチル
    基を示し、Xは−O−又は を示し、Rは水素又はメチル基を示す。aは0〜4の
    整数,bは0〜5の整数を示し、k,mはそれぞれ0≦
    k+m≦10を満たす正の整数を示し、nは2〜70の
    実数を示す。〕 で表わされる新規フェロセン誘導体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の新規フェロセン誘導体を含
    有する界面活性剤。
  3. 【請求項3】疎水性有機物質を、水性媒体中で請求項1
    記載の新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤にて
    可溶化することを特徴とする疎水性有機物質の可溶化方
    法。
  4. 【請求項4】疎水性有機物質を、水性媒体中で請求項1
    記載の新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤にて
    可溶化し、得られるミセル溶液を電解して電極上に前記
    疎水性有機物質の薄膜を形成することを特徴とする有機
    薄膜の製造方法。
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