JPH0665272A - 植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌 - Google Patents

植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌

Info

Publication number
JPH0665272A
JPH0665272A JP4222983A JP22298392A JPH0665272A JP H0665272 A JPH0665272 A JP H0665272A JP 4222983 A JP4222983 A JP 4222983A JP 22298392 A JP22298392 A JP 22298392A JP H0665272 A JPH0665272 A JP H0665272A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
plant
plant protection
measured
methanol solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4222983A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Tezuka
塚 保 行 手
橋 篤 ▲高▼
Atsushi Takahashi
Takeshi Tamamura
村 健 玉
Yayoi Mimura
村 弥 生 三
Sei Sato
藤 聖 佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOYAKU BIO TECHNOL KAIHATSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
Original Assignee
NOYAKU BIO TECHNOL KAIHATSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOYAKU BIO TECHNOL KAIHATSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI filed Critical NOYAKU BIO TECHNOL KAIHATSU GIJUTSU KENKYU KUMIAI
Priority to JP4222983A priority Critical patent/JPH0665272A/ja
Publication of JPH0665272A publication Critical patent/JPH0665272A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Compounds Of Unknown Constitution (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の植物保護物質は、例えば、特定の生産
菌[寄託者が付した識別標示:AB3951]により生
産される。 【効果】本発明によれば、病原菌に対して植物の生体防
御機能を活性化することにより各種植物病原菌から植物
を保護することができ、動物に対して毒性がないなど安
全でかつ環境汚染の少ないような植物保護物質が提供さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、植物病原菌に対し植物の
生体防御機構を活性化する新規な生理活性物質およびそ
の製造法並びに植物保護物質生産菌に関する。さらに詳
しくは、本発明はストレプトミセス属に属する生理活性
物質生産菌の培養によって生産され、植物病原菌に対
し、植物の防御機構を活性化する生理活性物質、および
その製造法並びに新規な微生物としての上記生産菌に関
する。
【0002】
【発明の技術的背景】糸状菌やバクテリアなどの植物病
原菌に対し、植物に潜在する生体防御機構を活性化し得
るような植物保護物質がいくつか報告されており、その
中には、既に殺菌剤として実用化されているものもあ
る。
【0003】しかしながら、病原菌に対して植物の生体
防御機能を活性化することにより各種植物病原菌から植
物を保護することができ動物に対して毒性がないなど、
安全でかつ環境汚染の少ないような植物保護物質は得ら
れていない。
【0004】本発明者らは、動物に対して毒性がなく、
安全で環境汚染の少ないような新規な植物保護物質を得
るべく種々の土壌から種々の微生物を分離し、その微生
物が生産する植物保護物質について鋭意研究した。
【0005】その結果、ある種の微生物は、生体防御機
構を活性化する物質を生産することができること等を見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は上記のような従来技術に伴う問
題点を解決しようとするものであって、病原菌に対して
植物の生体防御機能を活性化することにより各種植物病
原菌から植物を保護することができ、動物に対して毒性
がないなど、安全でかつ環境汚染の少ないような新規な
植物保護物質を提供することを目的としている。
【0007】また、本発明は上記のような植物保護物質
の製造法、並びに該植物保護物質を生産し得る新規な微
生物を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明にに係る新規な植物保護物質は、
下記(1)〜(12)の物理化学的性質を有することを
特徴としている。 (1)無色結晶であって、(2)分子式がC20343
で表わされ、(3)マススペクトル (FABMS) m / z
測定値が 323(M+H)+であり、(4)融点が18
4℃であり、(5)メタノール溶液中、濃度1.0g/
dlで測定した比旋光度[α]23 Dが+96.7゜であ
り、(6)メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペ
クトルの最大吸収波長λmax215nmにおける分子吸
光係数(ε)が2200であり、(7)臭化カリウム錠
剤中で測定した赤外線吸収スペクトルが図2のとおりで
あり、(8)重メタノール溶液中、400MHzで測定
した1H−NMRスペクトルが図3のとおりであり、
(9)重メタノール溶液中、100MHzで測定した13
C−NMRスペクトルが図4のとおりであり、(10)
メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトンおよび
ジメチルスルホキシドに可溶であり、かつ水、クロロホ
ルム、n−ヘキサンおよびジエチルエーテルに難溶であ
り、(11)吸着剤としてメルク社製シリカゲル薄層
(Art.5715)を用い、展開溶剤としてクロロホ
ルム−メタノール(9:1)を用いた薄層クロマトグラ
フィーのRf値が0.31であり、上記吸着剤を用い、
展開溶剤として酢酸エチル−ヘキサン(4:1)を用い
た薄層クロマトグラフィーのRf値が0.10であり、
(12)バニリン硫酸、リンモリブデン酸およびヨウ素
反応に陽性の呈色反応を示し、ニンヒドリンおよび塩化
第二鉄反応に陰性の呈色反応を示すこと。
【0009】本発明に係る植物保護物質の製造法は、ス
トレプトミセス属に属する植物保護物質生産菌を培養
し、得られた培養物から上記の植物保護物質を採取する
ことを特徴としている。
【0010】本発明によれば、上記の植物保護物質を生
産できる、ストレプトミセス属の植物保護物質生産菌
[寄託者が付した識別標示:AB3951、工業技術院
微生物工業技術研究所の受託番号:微工研菌寄第130
65号(FERM P-13065)]が提供される。
【0011】本発明によれば、病原菌に対して植物の生
体防御機能を活性化することにより各種植物病原菌から
植物を保護することができ、動物に対して毒性がないな
ど安全でかつ環境汚染の少ないような植物保護物質が提
供される。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る植物保護物質
およびその製造法並びに植物保護物質生産菌について具
体的に説明する。
【0013】なお、図1は、メタノール溶液中で測定し
た本発明に係る植物保護物質の紫外部吸収スペクトルを
示し、図2は、KBr錠剤法で測定した植物保護物質の
赤外部吸収スペクトルを示し、図3は、重メタノール
中、400MHzで測定した植物保護物質の1H−NM
Rスペクトルを示し、図4は、重メタノール中、400
MHzで測定した植物保護物質の13C−NMRスペクト
ルを示す。
【0014】植物保護物質 本発明に係る新規な植物保護物質は、下記の物理化学的
性質を有している。 (1) 無色結晶であって、(2) 分子式がC2034
3で表わされ、(3) マススペクトル (FABMS) m / z
の測定値が 323(M+H)+であり、(4) 融点が
184℃であり、(5)メタノール溶液中、濃度1.0
g/dlで測定した比旋光度[α]23 Dが+96.7゜
であり、(6)メタノール溶液中で測定した紫外線吸収
スペクトルの最大吸収波長λmax215nmにおける分
子吸光係数(ε)が2200であり、(7)臭化カリウ
ム錠剤中で測定した赤外線吸収スペクトルが図2のとお
りであり、(8)重メタノール溶液中、400MHzで
測定した1H−NMRスペクトルが図3のとおりであ
り、(9)重メタノール溶液中、100MHzで測定し
13C−NMRスペクトルが図4のとおりであり、(1
0) メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトン
およびジメチルスルホキシドに可溶であり、かつ水、ク
ロロホルム、n−ヘキサンおよびジエチルエーテルに難
溶であり、(11) 吸着剤としてメルク社製シリカゲ
ル薄層(Art.5715)を用い、展開溶剤としてク
ロロホルム−メタノール(9:1)を用いた薄層クロマ
トグラフィーのRf値が0.31であり、上記吸着剤を
用い、展開溶剤として酢酸エチル−ヘキサン(4:1)
を用いた薄層クロマトグラフィーのRf値が0.10で
あり、(12) バニリン硫酸、リンモリブデン酸およ
びヨウ素反応に陽性の呈色反応を示し、ニンヒドリンお
よび塩化第二鉄反応に陰性の呈色反応を示す。
【0015】また、この新規植物保護物質は、塩基性、
酸性、中性の区別においては、中性を示す。この植物保
護物質は、病原菌に対して植物の生体防御機能を活性化
することにより各種植物病原菌から植物を保護すること
ができ、動物に対して毒性がないなど安全であり、環境
汚染が少ない。
【0016】このような植物保護物質は、例えば、下記
のようなストレプトミセス属の植物保護物質生産菌[寄
託者が付した識別標示:AB3951]により生産され
る。以下、上記のような植物保護物質を生産する、スト
レプトミセス属に属する生産菌およびその培養方法につ
いて具体的に説明する。
【0017】植物保護物質の生産菌 上記した植物保護物質を生産する、ストレプトミセス属
に属する生産菌として、具体的には、例えば、本発明者
らが神奈川県厚木市の土壌より分離した菌株AB395
1が挙げられる。この菌株AB3951はストレプトミ
セス属に属する菌株[ストレプトミセス・エスピーAB
3951(Streptomyces. sp. AB3951)]であり、本発
明の方法に最も好適に用いられる。
【0018】この菌株AB3951の菌学的性質につい
て、形態的性質、各種培地上での生育状態、生理学的性
状、細胞壁成分に分けて以下に詳説する。I 形態的性質 菌株AB3951は、光学顕微鏡下で観察すると、下記
に示したような生育状態を示す。
【0019】気菌糸は分枝した基生菌糸より伸長し、主
に直線状であり、その一部は先端が鈎状あるいは渦巻状
を呈する。輪生枝および菌束糸などの特殊な器官は認め
られない。成熟した胞子は通常30〜50個以上連鎖
し、その大きさは0.5〜0.7×1.1〜1.4μm
で桿菌様を呈し、表面は平滑である。また、比較的生育
のよいISP No.2寒天培地、ISP No.4寒
天培地、グリセリン・硝酸塩寒天培地および酵母エキス
・スターチ寒天培地上においては、気菌糸は相互に絡み
合い、成熟するにしたがい分節胞子の塊となるような構
造がよく観察される。この分節胞子の塊は大きさおよび
形に変化が認められるが、膜に包まれていない。基生菌
糸および気菌糸の分断は認められない。II 各種培地上での生育状態 下記に示す各種培地上で、菌株AB3951の生育状態
を調べ、その色調を求めた。菌株AB3951の色調
は、日本色彩研究所“色の標準”1951年刊に従って
記載した。また、[ ]内には、コンテイナー・コーポ
レーション・オブ・アメリカ(Container Corporation
of America)のカラー・ハーモニー・マニュアル(Colo
r harmony manual)に準じて色調を記載した。
【0020】 1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27℃で培養) 無色の発育上にうっすらと白色の気菌糸を着生し、溶解
性色素は認められない。生育は比較的不良である。
【0021】 2)グリセリン・硝酸塩寒天培地(27℃で培養) 無色の発育上にうっすらと白色の気菌糸を着生し、溶解
性色素は認められない。生育はわずかによいほうであ
る。
【0022】3)グルコース・アスパラギン寒天培地<
Krainsky's Dextrose>(27℃で培養) 発育は無色であり、気菌糸は着生せず、溶解性色素は認
められない。生育は比較的悪いほうである。
【0023】4)イースト・麦芽寒天培地(ISP N
o.2)(27℃で培養) 無色の発育上に明るい茶灰色[3de〜3fe]の気菌
糸を着生し、溶解性色素は認められない。生育はわずか
によいほうである。
【0024】5)オートミール寒天培地(ISP N
o.3)(27℃で培養) 生育は極めて悪いか、または全く認められない。 6)スターチ・無機塩(ISP No.4)(27℃で
培養) 無色の発育上に明るい茶灰色[3fe]の気菌糸を比較
的豊富に着生し、溶解性色素は認められない。生育は良
好である。
【0025】7)グリセリン・アスパラギン寒天培地
(ISP No.5)(27℃で培養) 無色の発育上に白色の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。生育は比較的悪いほうである。
【0026】8)ペプトン・イースト・鉄寒天培地(I
SP No.6)(27℃で培養) 無色の発育上に白色の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。生育は比較的悪いほうである。
【0027】9)チロシン寒天培地(ISP No.
7)(27℃で培養) 無色の発育上に明るい茶灰色[3dc]の気菌糸を着生
し、溶解性色素は認められない。生育は比較的悪いほう
である。
【0028】 10)普通栄養寒天培地(27℃で培養) 薄黄茶色[3ec]の発育上に明るい茶灰色[3dc]
の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。生育は
中程度である。
【0029】11)スターチ寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に白色の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。生育は比較的悪いほうである。
【0030】 12)リンゴ酸石灰寒天培地(27℃培養) 無色の発育上に白色の気菌糸をうっすらと着生し、溶解
性色素は認められない。生育は比較的悪いほうである。III 生理学的性状 1)生育温度範囲 可溶性デンプンが1.0%の量で、酵母エキスが0.2
%の量で、ひも寒天が3.0%の量でそれぞれ含有さ
れ、pHが7.0であるイースト・スターチ寒天培地を
用い、6℃、10℃、20℃、24℃、27℃、37
℃、40℃および50℃の各温度で菌株AB3951を
培養したところ、40℃および50℃を除き、上記6℃
〜37℃のいずれの温度でも該菌株AB3951は生育
し、特に24℃〜27℃では良好に生育した。菌株AB
3951の生育最適温度は24℃〜27℃と思われる。
【0031】2)ゼラチンの液化 (1)単純ゼラチン培地(20℃で培養) 菌株AB3951を単純ゼラチン培地で培養したとこ
ろ、培養2日目頃から培地の液化が認められ、21日目
には培地の1/4〜1/2が液化された。
【0032】(2)グルコース・ペプトン・ゼラチン培地
(27℃で培養) 菌株AB3951をグルコース・ペプトン・ゼラチン培
地で培養したところ、培養2日目頃から培地の液化が認
められ、21日目には培地の1/4〜全部が液化され
た。
【0033】3)スターチの加水分解性 (1)スターチ・無機塩寒天培地(ISP No.4)
(27℃で培養) 菌株AB3951をスターチ・無機塩寒天培地で培養し
たところ、培養7日目頃から培地の加水分解が認めら
れ、その作用は一般の放線菌と比較して中程度である。
【0034】(2)スターチ寒天培地(27℃培養) 菌株AB3951をスターチ寒天培地で培養したとこ
ろ、培養7日目頃から培地の加水分解が認められ、その
作用は一般の放線菌と比較して中程度である。
【0035】4)脱脂牛乳の凝固およびペプトン化(脱
脂牛乳、37℃で培養) 菌株AB3951を脱脂牛乳で培養したところ、培養2
1日目においても、脱脂牛乳の凝固およびペプトン化は
認められなかった。
【0036】5)メラニン様色素の生成(トリプトン・
イースト・ブロス;ISP No.1、ペプトン・イー
スト・鉄寒天培地;ISP No.6、チロシン寒天培
地;ISP No.7、いずれも27℃で培養) 菌株AB3951をトリプトン・イースト・ブロス、ペ
プトン・イースト・鉄寒天培地、およびチロシン寒天培
地で培養したところ、上記全ての培地においてメラニン
様色素の生成は陰性であった。
【0037】6)リンゴ酸石灰の利用(リンゴ酸石灰寒
天培地、27℃で培養) 菌株AB3951をリンゴ酸石灰寒天培地で培養したと
ころ、培養10日目頃より培地の溶解が観察され、その
作用は一般の放線菌と比較して中程度である。
【0038】7)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カリ
ウム含有ペプトン水;ISP No.8、27℃で培
養) 菌株AB3951を0.1%硝酸カリウム含有ペプトン
水で培養したところ、わずかに還元能を示した(亜鉛粉
末添加により、濃赤色に呈色)。
【0039】8)炭素源の利用性(プリドハム・ゴトリ
ーブ寒天培地;ISP No.9、27℃で培養) 菌株AB3951をプリドハム・ゴトリーブ寒天培地
で、D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロー
ス、D−フラクトース、シュクロース、L−ラムノー
ス、ラフィノース、イノシトールおよびD−マンニトー
ルを利用して発育させる。各糖を用いた菌株AB395
1の生育程度は陽性対象のD−グルコースと同程度であ
る。IV 細胞壁成分 Lechevalier,M. P. & H. A. Lechevalier, "Actinomyce
tes Taxonomy Warkshop" Soc. Ind. Microbiol. Aug. 1
3. 1978 のテキストの方法に従い、AB3951株の
全菌体の細胞壁タイプを調べた。
【0040】1)全菌体の細胞壁中に含まれる2,6−
ジアミノピメリン酸の光学異性体の判定:該判定では、
全菌体の細胞壁中に含まれる2,6−ジアミノピメリン
酸の光学異性体はLL−型を示した。
【0041】2)全菌体の細胞壁中に含まれる還元糖:
全菌体の細胞壁中に含まれる還元糖としては、リボー
ス、キシロース、グルコースおよびガラクトースが検出
されたが、アラビノースが認められなかったことから全
菌体の糖パターンはC型と判定した。
【0042】菌株AB3951につき上記した各種性状
を要約すると、菌学的に次の特色がある。すなわち、菌
株AB3951では、分岐した基生菌糸より直状の気菌
糸を伸長し、胞子の連鎖は30〜50個以上を数え、そ
の表面は平滑である。さらに生育が良好な寒天培地にお
いて気菌糸が絡み合って形成され、大きさ、形が定まら
ないという特徴を持つ分節胞子の塊の形成がよく認めら
れる。また、気菌糸および基生菌糸の分断は認められな
い。種々の寒天培地で、無色から薄黄茶色の発育上に白
色ないし明るい茶灰色の気菌糸を着生し、溶解性色素は
認められない。メラニン様色素は生成されない。スター
チの加水分解性は陽性であり、タンパク分解能は陰性、
硝酸塩の還元能は弱いほうである。全菌体に含まれる
2,6−ジアミノピメリン酸はLL−型を認め、糖パタ
ーンはC型である。
【0043】以上の知見を総合的に判断し、前述したよ
うに菌株AB3951をストレプトミセス・エスピーA
B3951(Streptomyces. sp. AB3951)と同定してい
る。なお、菌株AB3951は、工業技術院微生物工業
技術研究所に寄託申請され、平成4年7月13日に、微
工研菌寄第13065号として受託されている。
【0044】以上、本発明に係る植物保護物質の生産菌
の一例について説明したが、一般的に放線菌の菌学上の
性状は極めて変異しやすく、一定したものではない。放
線菌は、周知のように、例えば、自然に変異し、あるい
は通常行われている紫外線照射、X線照射、変異誘発剤
(例えば、N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグア
ニジンおよびエチルメタンスルホネート等)または遺伝
子組換えを用いる人為的変異手段などにより変異するこ
とがある。このような自然変異株ならびに人工変異株も
含め、ストレプトミセス属に属し、かつ上述した植物保
護物質を生産する能力を有する菌株はすべて本発明にお
いて使用することができる。
【0045】植物保護物質の製造 本発明に係る植物保護物質は、例えば、上記のようなス
トレプトミセス属の植物保護物質生産菌を用いて、下記
のような方法で製造される。
【0046】すなわち、本発明の製造方法では、まず上
記植物保護物質を生産し得るストレプトミセス属に属す
る生産菌を、通常の微生物が利用し得るような栄養物を
含有する培地にて培養する。本菌の培養においては、一
般に放線菌の培養法が用いられる。菌培養時の栄養源と
しては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、さらに必
要に応じて無機塩など、従来放線菌の培養に利用されて
いる公知のものが利用できる。
【0047】炭素源としては、具体的には、例えば、グ
ルコース、シュクロース、ガラクトース、デキストリ
ン、グリセロール、澱粉、水飴、糖蜜、動・植物油など
を用いることができる。また、窒素源としては、大豆
粉、小麦胚芽、コーンスティープリカー、綿実かす、肉
エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝
酸ナトリウム、尿素などを用いることができる。そのほ
か必要に応じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マ
グネシウム、コバルト、塩素、リン酸、硫酸およびその
他のイオンを生成し得るような無機塩類を添加してもよ
い。また、菌の発育を助け、植物保護物質の生産を促進
するような無機物や有機物を適宜添加してもよい。
【0048】上記のような栄養源を用いた、例えば菌株
AB3951の培養方法としては、好気的条件下での培
養法、例えば振とう培養法あるいは通気攪拌培養法など
が好適である。菌株AB3951をこのような方法で培
養する場合、通常15〜40℃、好ましくは25〜35
℃の温度で、pH値を通常4〜9、好ましくは7付近に
設定して培養することが望ましい。
【0049】植物保護物質の生産量は用いられる培地の
種類や培養条件によって異なるが、振とう培養、タンク
培養とも4〜10日の間で植物保護物質の蓄積量は最高
に達する。このように蓄積された植物保護物質は常法に
従って単離することができ、植物保護物質の蓄積量が最
高に達したときに菌株AB3951の培養を停止し、菌
体内および培養液から発酵生産物を採取する一般的な方
法に準じて単離することが好ましい。なお、これらの培
養地の栄養源や培地の組成、培地の液性、培養温度、攪
拌速度および通気量等の培養条件は、使用する菌株の種
類および外部条件等に応じて、好ましい結果が得られる
ように適宜調節あるいは選択される。液体培養時に発泡
が認められる場合には、シリコン油、植物油および界面
活性剤等の消泡剤を適宜使用することができる。
【0050】このようにして得られた培養物中に蓄積さ
れた植物保護物質は、前述した物理化学的性状を有する
ので、その性状にしたがって培養物から分離精製するこ
とができる。特に、以下の方法を用いることにより効率
的に植物保護物質を分離精製することができる。
【0051】すなわち、培養物中に蓄積された菌体を遠
心分離またはろ過などにより取得し、次いで、アセト
ン、メタノールなどの有機溶剤を用いて該菌体から植物
保護物質を抽出することにより、あるいは水または二種
以上の有機溶剤による分配により、あるいは吸着樹脂、
シリカゲル、シラナイズドシリカゲル、アルミニウム、
セルロース、珪藻土、ゲルろ過剤などを用いるカラムク
ロマトグラフィーもしくは薄層クロマトグラフィーによ
る活性物質の吸脱着処理あるいは逆相カラムを用いた高
速液体クロマトグラフィーなどによって植物保護物質を
単離することができる。
【0052】以上の説明においては、主として菌株AB
3951を例示して本発明に係る植物保護物質の製造法
について説明したが、本発明で用いられる植物保護物質
生産菌としては、上記のような植物保護物質を生産する
能力を有するものであればいかなる微生物でもよい。
【0053】植物保護物質の使用方法 本発明にかかる植物保護物質を農園芸用の植物保護剤と
して使用する場合、使用目的に応じてそのまま使用して
もよく、また効果を助長あるいは安定にするために該植
物保護物質と農業補助剤とを混合して、慣用の処法によ
り各種剤形に製剤化してもよい。
【0054】このような植物保護剤(植物保護物質)の
剤形としては、例えば、乳剤、水和剤、液剤、フロアブ
ル(ゾル)剤、粉剤、ドリフトレス(DL)粉剤、粒
剤、微粒剤、錠剤などが挙げられるが、このような剤形
に限定されない。
【0055】農業補助剤としては、担体およびその他の
補助剤を挙げることができる。担体としては、例えば、
固体担体、液体担体などを挙げることができ、その他の
補助剤としては、例えば、乳化剤、分散剤、展着剤、湿
展剤、固着剤、崩壊剤などを挙げることができ、農園芸
用薬剤に常用されるものならば特に限定されない。
【0056】固体担体として、具体的には、カオリン、
ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、珪
藻土、雲母、バーミキュライト、炭酸カルシウム、ホワ
イトカーボン、消石灰、珪砂、硫安、尿素などの鉱物質
粉末、大豆粉、小麦粉、木粉、デンプン、結晶セルロー
スなどの植物質粉末、石油樹脂、ポリ塩化ビニル、ケト
ン樹脂、ダンマルガムなどの高分子化合物、アルミナ、
ケイ酸塩、糖重合体、高分散性ケイ酸、ワックス類など
が挙げられる。
【0057】また、液体担体として、具体的には、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチ
レングリコールなどのアルコール類、トルエン、ベンゼ
ン、キシレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素
類、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルメタン、クロ
ルエチレン、モノクロルベンゼンなどのハロレゲン化炭
化水素類、エチルエーテル、エチレンオキシド、ジオキ
サンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢
酸ブチル、エチレングリコールアセテートなどのエステ
ル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドな
どの酸アミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルな
どのニトリル類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキ
シド類、エチレングリコールモノメチルエーテルなどの
アルコールエーテル類、n−ヘキサン、シクロヘキサン
などの脂肪族または脂環式炭化水素類、石油エーテル、
ソルベントナフサなどの工業用ガソリン、パラフィン
類、灯油、軽油などの石油留分および水などが挙げられ
る。
【0058】また、乳剤、水和剤、フロアブル剤などの
製剤を調製するに際して、乳化、分散、可溶化、湿潤、
発泡、潤滑、拡展などの目的で各種の界面活性剤(乳化
剤または分散剤)が使用される。
【0059】このような界面活性剤としては、非イオン
型(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビ
タンアルキルエステルなど)、陰イオン型(アルキルベ
ンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、ア
ルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサル
フェート、アリールスルホネートなど)、陽イオン型
(アルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミ
ン類など)、両性イオン型(硫酸エステル塩など)など
各種タイプの界面活性剤が挙げられるが、これらの例示
のみに限定されるものではない。
【0060】また、展着剤として具体的には、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンラウリルエーテルなどが挙げられ、浸展剤として具体
的には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ジアルキルスルホサクシネートなどが挙げられ、固着剤
として具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシ
メチルセルロースなどが挙げられ、崩壊剤として具体的
には、リグニンスルホン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナ
トリウムなどが挙げられる。
【0061】本発明においては、前記した各種製剤を製
造するに際して、植物保護物質を0.001重量%〜9
5重量%、好ましくは0.01重量%〜90重量%の範
囲で活性成分として含有するように製剤化することがで
きる。例えば、通常、粉剤、DL粉剤、微粉剤(F)の
場合は、0.01重量%〜5重量%の量で、粒剤の場合
は、0.01重量%〜10重量%の量で、水和剤、乳
剤、液剤などの場合は、1重量%〜75重量%の量で植
物保護物質を含有することができる。
【0062】このように調製された製剤は、例えば、粒
剤の場合は、そのまま土壌表面、土壌中または水中に活
性成分としての植物保護物質量が10アール当たり0.
3g〜300g程度の範囲になるような量で散布すれば
よい。水和剤、乳剤、およびゾル剤などの場合は、水ま
たは適当な溶剤に希釈し、活性成分量が10アール当り
0.3g〜300g程度の範囲となるような量で散布す
ればよい。
【0063】また、本発明の植物保護物質を各種植物保
護剤として使用する際には、該植物保護物質と、従来公
知の植物保護剤あるいは殺菌剤などとを混合して適用範
囲の拡大を図ることができ、このように混合して用いる
ことにより、場合によっては、相乗効果を期待すること
もできる。
【0064】
【発明の効果】本発明に係る植物保護物質は、植物の生
体防御機構を活性化し、各種植物病原菌から植物を保護
することができる。しかもこの植物保護物質は、病原菌
に対して直接の抗菌活性をほとんど示さず、また動物に
対して毒性を有していないため、安全で、かつ環境汚染
の少ない植物保護剤として使用できる。
【0065】したがって、本発明に係る植物保護物質
(新規化合物)は化学工業および農園芸分野で有効に利
用できる。
【0066】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の菌株AB39
51による植物保護物質の製造方法につき、より具体的
に説明するが、かかる実施例により本発明はなんら限定
されるものではない。
【0067】植物保護物質の製造
【0068】
【実施例1】種培地および生産培地として、グルコース
2.0%、大豆粉 2.0%、ポリペプトン 0.2
%、硝酸ナトリウム 0.2%、リン酸−カリウム
0.1%、硫酸マグネシウム七水和物 0.05%、塩
化カリウム 0.05%、硫酸第一鉄 0.0001%
の組成からなる培地(pH7.0)を用いた。
【0069】前記の種培地110mlを分注した500ml
容量バッフル付き三角フラスコ3本を121℃で20分
間高圧減菌し、これにストレプトミセス・エスピーAB
3951株(微工研菌寄第13065号)の斜面寒天培
養の1〜2白金耳を植菌した。その後、ロータリーシェ
ーカー(180rpm)を用い、27℃で72時間振と
う培養し、種培養液とした。次いで、種培地と同一成分
からなる生産培地110mlを分注した500ml容量バッ
フル付きフラスコ95本を121℃で20分間高圧減菌
し、これに種培養液を1mlずつ植菌し、27℃で4日間
振とう培養した。
【0070】培養終了後、得られた培養液(10リット
ル)を遠心分離機(3000rpm、20分間)りで遠
心分離をすることにより培養菌体と培養液上清を得た。
この培養菌体にアセトン(2リットル)を加え十分に攪
拌し、培養菌体から活性成分をアセトン中に溶出し、セ
ライトを用いてろ過することにより培養菌体を除き、活
性成分を含むアセトン抽出液を得た。次に、このアセト
ン抽出液を、減圧下で濃縮することによりアセトンを取
り除き、アセトンを含まない菌体抽出液を得た。この培
養菌体からの抽出液を遠心分離により得られた培養液上
清と混合し、この溶液に酢酸エチル10リットルを加え
十分に攪拌し、分液ロートを用いて分液した。その後、
活性成分を含む酢酸エチル層を採取し、無水硫酸ナトリ
ウムで脱水した後、減圧下で濃縮させ活性成分を含有す
る茶褐色の油状濃縮物を得た。
【0071】この茶褐色の油状物を、予めクロロホルム
−メタノール(19:1)を用いてシリカゲル(キーゼ
ルゲル60、ART7734:メルク社製)を充填させ
たカラム(内径15mm×長さ250mm)に吸着させ、ク
ロロホルム−メタノール(19:1)の組成からなる混
合溶媒で展開溶出した。100滴ずつ分画すると、活性
画分はフラクションNo.56〜85にかけて溶出さ
れ、これを集めて減圧下で濃縮乾固することにより、活
性成分を含む黄褐色の油状濃縮物を得た。この濃縮物を
再度、クロロホルム−アセトン(7:3)を用いてシリ
カゲル(キーゼルゲル60、ART7734:メルク社
製)を充填させたカラム(内径15mm×長さ250mm)
に吸着させ、クロロホルム−アセトン(7:3)の組成
からなる混合溶媒で展開溶出した。100滴ずつ分画す
ると、活性画分はフラクションNo.16〜150にか
けて溶出され、これを集めて減圧下で濃縮乾固すること
により、活性成分を含む黄褐色の油状濃縮物161mgを
得た。
【0072】次に、この油状濃縮物を1mlのメタノール
に溶解し、高速液体クロマトグラフィーにより精製し
た。なお、精製に際してカラムはODS−4251−S
(内径10mm×長さ250mm)、溶出溶媒は80%メタ
ノール水、検出はUV検出器(波長220nm)、流速
は、4.6ml/分で行った。その結果、活性成分は約1
2分で溶出し、この溶出液を減圧下で濃縮乾固すること
により、78.4mgの白色粉末を得た。さらに、この白
色粉末を酢酸エチル5mlに溶解し、室温で1日放置する
ことにより純粋な植物保護物質AB3951を無色結晶
として47.9mg得た。
【0073】得られた植物保護物質について、種々の物
理化学的性質を調べた。その結果を以下に示す。 (1)外観:無色結晶 (2)分子式:C20343 (3)マススペクトル (FABMS) m / z : 323(M+
H)+ (4)融点:184℃ (5)比旋光度:[α]23 D=+96.7゜(C1.0、
メタノール) (6)紫外部吸収スペクトル(メタノール溶液中):添
付図面の図1に示す。
【0074】λmax,nm(ε):215(2200) (7)赤外部吸収スペクトル(臭化カリウム錠剤中):
添付図面の図2に示す。 (8)1H−NMRスペクトル(400MHz,重メタ
ノール溶液中):添付図面の図3に示す。 (9)13C−NMRスペクトル(100MHz,重メタ
ノール溶液中):添付図面の図4に示す。 (10)溶解性:メタノール、エタノール、酢酸エチ
ル、アセトン、ジメチルスルホキシドに可溶。
【0075】水、クロロホルム、n−ヘキサン、ジエチ
ルエーテルに難溶。 (11)薄層クロマトグラフィー 吸着剤:メルク社製シリカゲル薄層(Art.571
5) 展開溶剤:[1]クロロホルム−メタノール(9:1) Rf値:0.31 [2]酢酸エチル−ヘキサン(4:1) Rf値:0.10 (12)呈色反応:バニリン硫酸、リンモリブデン酸、
ヨウ素反応に陽性。
【0076】ニンヒドリン、塩化第二鉄反応に陰性。 (13)塩基性、酸性、中性の区別:中性。
【0077】
【実施例2】種培地および生産培地として、グルコース
2.0%、大豆粉 2.0%、ポリペプトン 0.2
%、硝酸ナトリウム 0.2%、リン酸−カリウム
0.1%、硫酸マグネシウム七水和物 0.05%、塩
化カリウム 0.05%、硫酸第一鉄 0.0001%
の組成からなる培地(pH7.0)を用いた。
【0078】前記の種培地110mlを分注した500ml
容量バッフル付き三角フラスコ3本を121℃で20分
間高圧減菌し、これにストレプトミセス・エスピーAB
3951株(微工研菌寄第13065号)の斜面寒天培
養の1〜2白金耳を植菌した。その後、ロータリーシェ
ーカー(180rpm)を用い、27℃で72時間振と
う培養し、種培養液とした。次いで、種培地と同一成分
からなる生産培地110mlを分注した500ml容量バッ
フル付きフラスコ295本を121℃で20分間高圧減
菌し、これに種培養液を1mlずつ植菌し、27℃で7日
間振とう培養した。
【0079】培養終了後、培養液(32リットル)を濃
硫酸でpH2.0に調整し、セライトを用いてろ過する
ことにより培養菌体を得た。この培養菌体にアセトン
(7リットル)を加え十分に攪拌し、培養菌体から活性
成分をアセトン中に溶出し、セライトを用いてろ過する
ことにより培養菌体を除き、活性成分を含むアセトン抽
出液を得た。次に、このアセトン抽出液に5N水酸化ナ
トリウムを添加しpHを7.0に調整後、減圧下で濃縮
することによりアセトンを取り除き、アセトンを含まな
い菌体抽出液を得た。この抽出液(2リットル)に酢酸
エチル3リットルを加え十分に攪拌し、活性成分を酢酸
エチルに溶解させた。この酢酸エチル層を分液し、無水
硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧下で濃縮させ活性成
分を含有する茶褐色の油状濃縮物を得た。
【0080】この茶褐色の油状物を、予め酢酸エチル−
ヘキサン(8:2)を用いてシリカゲル(キーゼルゲル
60、ART7734:メルク社製)を充填させたカラ
ム(内径30mm×長さ450mm)に吸着させ、酢酸エチ
ル−ヘキサン(8:2)の組成からなる混合溶媒600
mlで展開溶出し、次いで酢酸エチル1000mlでさらに
溶出した。15gずつ分画すると、活性画分はフラクシ
ョンNo.38〜100にかけて溶出され、これを集め
て減圧下で濃縮乾固し、活性成分を含む粗精製油状物6
87mgを得た。この粗精製油状物を酢酸エチル30mlに
溶解し、室温で2日間放置することにより純粋な植物保
護物質AB3951の無色結晶530mgが得られた。
【0081】得られた植物保護物質について、種々の物
理化学的性質を調べた。その結果は、実施例1の場合と
同様であった。製剤例 次に、本発明の植物保護物質AB3951を植物保護剤
として製剤化する方法について、以下の製剤例1〜4を
以てより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの
製剤例に限定されるものではなく、他の種々の添加物と
任意の割合で混合でき、また前述のような他の植物保護
剤あるいは殺菌剤などを任意の割合で混合し製剤化する
こともできる。
【0082】なお、製剤例中で部とは、すべて重量部を
示す。
【0083】
【製剤例1】(粒剤) 植物保護物質AB3951:1部、ラウリル硫酸ナトリ
ウム:1部、リグニンスルホン酸カルシウム:1部、ベ
ントナイト:30部および白土:67部に水15部を加
えて混練機で混練した後、造粒機で造粒し、流動乾燥機
で乾燥して、活性成分1%を含む粒剤を得た。
【0084】
【製剤例2】(水和剤) 植物保護物質AB3951:15部、ホワイトカーボ
ン:15部、リグニンスルホン酸カルシウム:3部、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル:2部、珪藻
土5部およびクレー:60部粉砕混合機で均一に混合し
て、活性成分15%を含む水和剤を得た。
【0085】
【製剤例3】(乳剤) 植物保護物質AB3951:20部、ソルポール700
H(東邦化学工業株式会社乳化剤):20部およびキシ
レン:60部を混合して、活性成分20%を含む乳剤を
得た。
【0086】
【製剤例4】(粉剤) 植物保護物質AB3951:0.5部、無水珪酸微粉
末:0.5部、ステアリン酸カルシウム:0.5部、ク
レー:50部およびタルク:48.5部を均一に混合粉
砕して、活性成分0.5%を含む粉剤を得た。
【0087】試験例 本発明に係る植物保護物質(化合物)からなる植物保護
剤を例証するために以下に試験例1〜2を示す。
【0088】
【試験例1】 [イネいもち病防除試験]1/10,000アールの大
きさのプラスチック製ポットに種もみ(品種;朝日)を
播種して、3週間生育させた。このイネに製剤例2に準
じて水和剤を調製し、その供試化合物が所定濃度で含ま
れた薬液を植物体の茎葉に直接散布した。散布3日後に
イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液を
噴霧接種し、接種後24℃の湿室に24時間静置し、温
室内で発病させた。調査は接種6日後に拡大性病斑数を
数え、下記式により防除価(%)を算出した。
【0089】その結果を表1に示した。
【0090】
【数1】
【0091】
【表1】
【0092】
【試験例2】 [オオムギうどんこ病防除試験]1/10,000アー
ルの大きさのプラスチック製ポットに種もみ(品種;カ
シマムギ)を播種して、3週間生育させた。このイネに
製剤例3に準じて乳剤を調製し、その供試化合物が所定
濃度で含まれた薬液を植物体の茎葉に直接散布した。散
布3日後にオオムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis
f. sp. hordei)の胞子懸濁液を噴霧接種し、接種後2
0℃の湿室にて24時間静置し、温室内で発病させた。
調査は接種8日後に病斑数を数え、下記式により防除価
(%)を算出した。
【0093】その結果を表2に示した。
【0094】
【数2】
【0095】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、メタノール溶液中で測定した本発明に
係る植物保護物質の紫外部吸収スペクトルを示す。
【図2】図2は、KBr錠剤で測定した本発明に係る植
物保護物質の赤外部吸収スペクトルを示す。
【図3】図3は、重メタノール中、400MHzで測定
した本発明に係る植物保護物質の1H−NMRスペクト
ルを示す。
【図4】図4は、重メタノール中、400MHzで測定
した本発明に係る植物保護物質の13C−NMRスペクト
ルを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:465) (C12P 1/06 C12R 1:465) (72)発明者 三 村 弥 生 神奈川県横浜市緑区荏田南1丁目20番6− 401号 (72)発明者 佐 藤 聖 神奈川県秦野市東田原200番地96

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の物理化学的性質を有する植物保護
    物質: (1)無色結晶であって、(2)分子式がC20343
    で表わされ、(3)マススペクトル (FABMS) m / z
    測定値が 323(M+H)+であり、(4)融点が18
    4℃であり、(5)メタノール溶液中、濃度1.0g/
    dlで測定した比旋光度[α]23 Dが+96.7゜であ
    り、(6)メタノール溶液中で測定した紫外線吸収スペ
    クトルの最大吸収波長λmax215nmにおける分子吸
    光係数(ε)が2200であり、(7)臭化カリウム錠
    剤中で測定した赤外線吸収スペクトルが図2のとおりで
    あり、(8)重メタノール溶液中、400MHzで測定
    した1H−NMRスペクトルが図3のとおりであり、
    (9)重メタノール溶液中、100MHzで測定した13
    C−NMRスペクトルが図4のとおりであり、(10)
    メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトンおよび
    ジメチルスルホキシドに可溶であり、かつ水、クロロホ
    ルム、n−ヘキサンおよびジエチルエーテルに難溶であ
    り、(11)吸着剤としてメルク社製シリカゲル薄層
    (Art.5715)を用い、展開溶剤としてクロロホ
    ルム−メタノール(9:1)を用いた薄層クロマトグラ
    フィーのRf値が0.31であり、 上記吸着剤を用い、展開溶剤として酢酸エチル−ヘキサ
    ン(4:1)を用いた薄層クロマトグラフィーのRf値
    が0.10であり、(12)バニリン硫酸、リンモリブ
    デン酸およびヨウ素反応に陽性の呈色反応を示し、 ニンヒドリンおよび塩化第二鉄反応に陰性の呈色反応を
    示すこと。
  2. 【請求項2】 ストレプトミセス属に属する植物保護物
    質生産菌を培養し、得られた培養物から請求項1に記載
    の植物保護物質を採取することを特徴とする植物保護物
    質の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の植物保護物質を生産で
    きることを特徴とするストレプトミセス属の植物保護物
    質生産菌。
JP4222983A 1992-08-21 1992-08-21 植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌 Pending JPH0665272A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4222983A JPH0665272A (ja) 1992-08-21 1992-08-21 植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4222983A JPH0665272A (ja) 1992-08-21 1992-08-21 植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0665272A true JPH0665272A (ja) 1994-03-08

Family

ID=16790965

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4222983A Pending JPH0665272A (ja) 1992-08-21 1992-08-21 植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0665272A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH04217986A (ja) 抗高コレステロール血症薬
JP2746372B2 (ja) F−0368物質
JPH0665272A (ja) 植物保護物質およびその製造法並びに植物保護物質生産菌
JP3107326B2 (ja) 生理活性物質nk−04000p、nk−04000q、その製造法及びそれを有効成分として含有する除草剤
JPH03141290A (ja) 抗腫瘍抗生物質bmy―41339
JPS6053597B2 (ja) 新抗生物質n−461物質、その製法及びこれを有効成分とする農園芸用殺菌剤
US4847284A (en) Antifungal fermentation product and derivatives and compositions thereof
JPH03157372A (ja) Yl―01869p物質及びその製造法
JP3273965B2 (ja) 生理活性物質mj286−a物質、その製造法及び除草剤の薬害軽減剤
JP3500670B2 (ja) Mk8383物質、その製造法および農園芸用殺菌剤
JPH09157266A (ja) 新規抗生物質エポキシキノマイシンaおよびbとその製造法
JPH0515385A (ja) 新規な抗生物質アリサマイシンおよびその製法
JPH0398593A (ja) 抗生物質5’―o―スルファモイルツベルサイジンの製造法およびその用途
JPH01320992A (ja) イソオキサゾール−4−カルボン酸の製造法及びそれを含有する除草剤
JPH09241167A (ja) 抗生物質アフラスタチンa又はその塩、それを有効成分とするアフラトキシン汚染防止剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤、及びその製造法
JPH0767676A (ja) 4−クロロスレオニンの製造法及び該化合物を含有する農園芸用除草剤
JP3262177B2 (ja) 抗生物質nk10958pその製造法及びそれを有効成分として含有する農園芸用除草剤、植物生長調節剤および殺菌剤
EP0786471A1 (en) Arthrichitin, a process for its production and its use
JPS632438B2 (ja)
JPH0559078A (ja) 抗生物質nba−2006
JPH0748348A (ja) 新規抗生物質ab4015−bおよびab4015−l、ならびにその製造法および用途
JPH06184157A (ja) 新規物質及び該物質を生産する微生物
JPS6228959B2 (ja)
JPH1045662A (ja) 新規抗生物質ab5362−a、−bおよび−cならびにその製造法と用途
JPS6322583A (ja) Si−4228系物質およびそれを有効成分とする殺菌剤