JPH0672035A - 機能素子の可逆的機能発現方法 - Google Patents

機能素子の可逆的機能発現方法

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JPH0672035A
JPH0672035A JP5171153A JP17115393A JPH0672035A JP H0672035 A JPH0672035 A JP H0672035A JP 5171153 A JP5171153 A JP 5171153A JP 17115393 A JP17115393 A JP 17115393A JP H0672035 A JPH0672035 A JP H0672035A
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JP5171153A
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Kyoji Tsutsui
恭治 筒井
Takehito Yamaguchi
岳人 山口
Hideaki Ema
英昭 江間
Masaru Shimada
勝 島田
Hiroshi Goto
寛 後藤
Ichiro Sawamura
一郎 澤村
Eiichi Kawamura
栄一 川村
Katsuji Maruyama
勝次 丸山
Hironori Kuboyama
浩紀 久保山
Takashi Kubo
敬司 久保
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の状態間を容易かつ迅速に転移させるこ
とのできる新しい原理に基づいた機能素子の可逆的機能
発現方法を提供する。 【構成】 二種類の化合物が相互作用した状態と相互作
用していない状態をとり、該相互作用した状態は、両者
の化合物が共同して形成した規則的な凝集構造の状態で
あり、該相互作用していない状態は、少なくとも一方の
化合物が単独で凝集または結晶化した状態である機能素
子を用い、これら二つの状態間を可逆的に転移させるこ
とを特徴とする機能素子の可逆的機能発現方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の性質の異なる状
態間を可逆的に転移させる工程を含む機能素子の可逆的
機能発現方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、複数の安定な状態をとり、何らか
の刺激により、状態間を任意に転移させることができる
現象を示す物質を可逆的な機能素子として利用すること
は知られている。このような機能素子としては、例え
ば、液晶性化合物の配列変化を電界や熱により可逆的に
変化させる表示素子や、無機化合物や有機化合物の非晶
状態と結晶状態間の可逆的な転移、二種類の結晶状態間
の可逆的な転移、分子の会合状態間の可逆的な転移等を
利用した情報記録素子のように、結晶状態や分子の配列
状態、凝集状態の熱的な可逆的転移を利用するものがあ
る。これらは実用化され広く用いられているものもある
が、素子構成の複雑さやシステム全体の複雑さ、あるい
は表示、記録画像のコントラストなどにおいて改善の余
地がある。また、フォトクロミズムやエレクトロミズム
などのように分子構造の可逆的な変化を利用するものが
あるが、これらは繰り返し性や応答速度などに問題があ
り、ほとんど実用化されていない。
【0003】一方、二種類の化合物間の可逆的な反応を
利用したものも提案されている。このようなものとして
は、従来、感熱記録材料として実用に供されている電子
供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反
応を利用した熱発色性素子を示すことができる。このよ
うな熱発色性素子は、これを加熱することにより機能発
現させて発色状態のものに変えることができる。材料系
によってはこの発色状態の素子は再び元の消色状態のも
のに変えることができる。しかし、この場合、発色状態
の素子を消色状態の素子に再び変えるためには、長時間
を要したり、消色剤と言われる化合物を用いたり、有機
溶剤や水を用いた面倒な操作が必要とされ、さらに、発
色状態の素子を消色状態の素子に変化させても、完全に
は元の消色状態には戻りにくい等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
見られる前記問題を解決し、複数の状態間を容易かつ迅
速に転移させることのできる新しい原理に基づいた機能
素子の可逆的機能発現方法を提供することをその課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、二種類の
性質の異なる化合物の固相中における両者の分子構造と
相互作用の強さおよび両者の集合状態の関係を解析した
結果、本来相互作用としてはあまり強くなく、両者が相
互作用したままの状態で固体化することが難しいもので
あっても、規則的な凝集構造をとることによって安定化
でき、逆にこの凝集構造を崩壊させることによって直ち
に相互作用のない状態に戻すことができることを見い出
した。また、この凝集構造の形成は、機能素子を構成す
る化合物の分子構造によってコントロールすることがで
き、特に直鎖状炭化水素鎖のような長鎖構造の凝集力が
重要な役割を果たすことを見い出した。本発明による機
能素子の可逆的機能発現方法は、これらの知見に基づい
て成されたものである。すなわち、本発明によれば、二
種類の化合物が相互作用した状態と相互作用していない
状態をとり、該相互作用した状態は、両者の化合物が共
同して形成した規則的な凝集構造の状態であり、該相互
作用していない状態は、少なくとも一方の化合物が単独
で凝集または結晶化した状態である機能素子を用い、こ
れら二つの状態間を可逆的に転移させることを特徴とす
る機能素子の可逆的機能発現方法が提供される。
【0006】ここで、二種類の化合物がとる規則的凝集
構造は、両者を加熱溶融混合した状態から急冷すること
により得ることができ、この状態をとることによって、
両者の化合物間の相互作用は安定に保持される。また、
この規則的凝集構造を昇温によって崩壊させることによ
り、少なくとも一方の化合物を単独で凝集または結晶化
させて相互作用のない状態に戻すことができる。
【0007】本発明における素子の機能発現には、二種
類の化合物が相互作用した状態と相互作用していない状
態の性質の違いを利用するが、ここにおける相互作用と
は、比較的弱い結合を形成した状態を示すもので、たと
えば水素結合による複合体の形成や、電荷移動型の相互
作用により結合した複合体あるいは配位による複合体の
形成などに見られるような結合状態がある。二種類の化
合物を溶融状態から急冷したときに規則的な凝集構造が
形成されれば、両者の相互作用が弱いものであっても相
互作用した状態は室温において安定に保持される。一
方、このような凝集構造をとるような二種類の化合物を
溶融状態から徐冷するときには、それぞれの同種化合物
分子間の凝集力のほうが両者間の相互作用より強いの
で、共同した凝集構造をとらず、同種化合物の分子間の
凝集力が作用して同種化合物による安定な結晶を形成
し、両者が相互作用していない状態となるのが一般的で
ある。したがって、規則的な凝集構造の形成によっては
じめて相互作用を保持している二種類の化合物を昇温し
ていき、この構造を崩壊させてしまえば、その状態では
同種化合物の分子間の凝集力を優先的に作用させること
ができ、相互作用のない状態に戻すことができる。本発
明で用いる機能素子の可逆的機能発現方法は、前記のよ
うな比較的弱い相互作用の複合体を形成する機能素子へ
適用されるものであり、このような機能素子は本発明に
より効果的に機能発現させることができる。
【0008】本発明の機能発現方法は、二種類の化合物
の相互作用の強さ、相互作用により形成される複合体の
間に作用する凝集力、同種化合物の分子間に作用する凝
集力の三種類の力の関係を熱的にコントロールすること
により二つの状態間を可逆的に転移させる工程を含む。
二種類の化合物が規則的な凝集構造を保持した状態は、
その複合体間の凝集力の作用によるものであるが、この
凝集力は、基本的にはそれぞれ同種の化合物間に働く凝
集力の作用を含むものでもあり、その二種類の化合物の
うちの少なくとも一方の化合物は比較的強い凝集力を持
つ構造や規則的に凝集しやすい構造を持つことが好まし
い。このような構造としては、長い炭化水素鎖などの高
級脂肪族鎖を結合させた構造(長鎖構造)を示すことが
できる。このような長鎖構造は、脂肪族鎖の長さにより
凝集力を変化させることができるため、種々の利点を得
ることができ、たとえば相互作用した複合体の凝集構造
が崩壊する温度をコントロールすることができる。ま
た、化合物分子構造中の機能性を担う部分と、凝集力、
凝集性を担う部分を別々に設計することができる上、機
能性を担う部分に対して必要な長さの長鎖構造を容易に
選択することでき、可逆的機能発現を容易に行なわせる
ことができる。
【0009】本発明で用いる機能素子において見られる
性質の異なる二種類の化合物が相互作用したときと相互
作用しないときに現われる性質の違いは、たとえば光に
対する吸収、透過、散乱、屈折などの光学的特性、複屈
折、偏光特性などの結晶光学的な特性、第二次高調波
(SHG)特性など非線形光学的な特性、電導度、電気
抵抗、電子あるいは正孔易動度、誘電率、強誘電性、圧
電性、焦電性、帯電性などの電気的性質、熱伝導性など
の熱特性、磁気的特性、機械的性質、濡れ性などの表面
物性などがある。本発明によれば、これらの性質を熱的
に可逆的に変化させる機能発現法が得られる。
【0010】本発明をより具体化して説明するために、
二種類の性質の異なる化合物からなる熱発色性機能素子
として、電子供与性呈色性化合物(発色剤)と電子受容
性化合物(顕色剤)からなるものを取り上げ、これら二
種類の化合物が相互作用して結合を作り発色体を形成し
た発色状態と、その相互作用が解離して形成される消色
状態を可逆的に転移させる機能発現法について以下に説
明する。
【0011】発色剤と顕色剤からなる可逆的機能素子に
おいて、それらの発色剤と顕色剤とが共同して形成した
規則的な凝集構造の状態(相互作用状態)が発色状態を
示し、一方、その規則的な凝集構造が崩解し、発色剤及
び/又は顕色剤が独立して凝集又は結晶化した状態(相
互作用していない状態)が消色状態を示すものである。
加熱され発色剤と顕色剤が溶融混合した状態では、両方
の分子が運動しながら接触して部分的には相互作用した
状態が形成されるため、素子は全体として発色状態とな
る(ただし、相互作用した分子の割合は、組み合わせに
よって異なる。)。溶融発色した状態から徐冷すると両
者間の相互作用より顕色剤間の凝集力が強いため、降温
過程で相互作用を切って顕色剤が単独で結晶化して消色
する。一方、急冷すると両者の相互作用を保持したまま
共同して規測的な凝集構造を形成し発色状態が形成でき
る。急冷して得られた発色状態は、溶融して発色した状
態よりむしろ発色している発色剤分子の割合が多くなる
場合が多い。これは凝集構造の形成が、より相互作用し
やすい状態を形成させているからである。しかし、この
規則的凝集構造を形成して相互作用した状態は、常温で
安定に存在するものの、その発色剤と顕色剤の相互結合
力は本来は弱いものであるため、この規則的凝集構造を
形成した素子を溶融温度より低い温度に加熱すると、固
相状態のままその規則的な凝集構造が崩壊して、凝集構
造による安定化の効果が失なわれ顕色剤が発色剤との結
合から解離し、顕色剤単独で結晶化ないし凝集してしま
い、相互作用してない状態(消色状態)に転移する。し
かも、この加熱により形成された相互作用していない状
態の素子は、これを室温に冷却しても、その非相互作用
の状態は安定に保持される。
【0012】次に、前記した可逆的熱発色性機能素子の
機能発現について、図面により説明する。図1は、前記
した機能素子の発色濃度と温度の関係を示す。この図の
横軸は温度を示し、縦軸は濃度を示している。図中、A
は常温で消色状態にある素子を示し、Bは加熱・溶融状
態にあり発色した状態の素子を示す。また、Cは常温で
発色状態にある素子を示している。はじめ、常温で消色
状態にある素子を、この状態から昇温していくと、素子
を構成する発色剤と顕色剤が混合・溶融(共融)しはじ
める温度T1で発色濃度が上り発色状態にある素子Bに
変化する。この素子Bを冷却すると、発色状態を維持し
たまま、常温に戻り発色状態の素子Cに変化する(図中
の実線の経路)。次に、この素子Cを再び昇温していく
と、温度T2で濃度が低下し、ついには消色状態の素子
Dに変化する。この素子Dを冷却し降温するとそのまま
消色状態の素子Aに戻る(図中の鎖線の経路)。図1に
示された温度T1は素子の発色開始温度であり、T2は素
子の消色開始温度である。また、T2からT1までの温度
が素子の消色温度領域となる。
【0013】図1からもわかるように、発色性機能素子
が示す可逆的な発色・消色現象の特徴は、素子が溶融し
て発色する温度よりも低い温度領域に素子の消色温度範
囲があり、常温発色状態の素子をこの範囲に加熱するこ
とにより消色させ得ることである。また、この発色と消
色の現象はすぐれた可逆性を有し、繰り返し再現できる
ことである。なお、図1は熱発色性機能素子の代表的な
発色・消色現象について示したものであり、素子の発色
開始温度及び消色開始温度は用いる発色剤と顕色剤の組
合わせで異なる。また、溶融して発色している素子Bの
濃度と、これを冷却して得た発色状態の素子Cにおける
濃度は必らずしも一致するものではなく、異なる場合も
ある。
【0014】顕色剤と発色剤からなる機能素子を常温で
発色した状態に転移させるには、加熱していったん混合
溶融状態として発色させた後、急冷させる。一方、発色
状態の素子を常温で消色した状態に転移させるには、発
色温度より低い消色温度に加熱していったん消色した
後、降温させる。従来の発色剤と顕色剤よりなる感熱材
料に用いられている可逆性のない又は乏しい素子は、発
色状態のものを加温しても直ちに消色するようなことは
ない。発色剤と、それを発色状態にすることが可能な様
々な化合物(顕色剤)からなる素子を用いて、それをい
ったん溶融させて発色させた後、降温させる際の発色状
態の変化について調べてみると、必らずしも発色状態を
保持できるものばかりではなく、降温とともに消色して
いくものもあることがわかった。またこのような現象
は、降温の条件によっても大きく変化することもわかっ
た。本発明者らは、従来の感熱材料に用いられる顕色
剤、顕色能を示す分子構造部に対し高級脂肪族鎖を結合
させた顕色剤、さらに顕色能そのものの強さを変化させ
た顕色剤を含む素子について、その降温時の発色状態の
保持特性について調べた。この場合、降温の条件として
は、徐冷の場合と急冷の場合の2つの条件を用いた。こ
こで言う徐冷とは、おおむね毎分5℃以下の冷却速度の
冷却であり、急冷とはおおむね毎秒50℃以上の速度の
冷却である。実際には、発色剤と顕色剤をヒーター上で
ガラス板に溶融してはさんだ素子をヒーターを切って放
冷したり、ガラス板を空気中に浮かせて放冷すれば徐冷
になり、一方、冷水中に浸漬すれば急冷となる。この中
間の速度で冷却する時には、場合によっては、徐冷時の
状態と急冷時の状態が混在した状態になったり、中間的
な状態が形成されたりする場合がある。なお、通常の感
熱記録に用いられるサーマルヘッドによる熱の印加は、
短時間の加熱であるため冷却は速く、急冷条件になる。
また降温後の素子の構造をX線回折を用いて調べた。こ
れらの測定結果に基づき、素子をその特性と構造面から
分類し表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】表1の結果からわかるように、加熱溶融し
て発色させた素子を徐冷し、室温まで降温すると、素子
によって、発色状態を形成するものと、ほとんど消色し
てしまうものとがある。これらの素子はいずれも、溶融
発色状態からの急冷では発色状態が形成される。徐冷ま
たは急冷により形成された発色状態は、長期間にわたり
安定に保持できるものと、経時的に徐々に消色していく
ものが含まれている。溶融状態から徐冷したとき消色す
る素子は、その降温過程のX線回折測定から、消色が顕
色剤の分離結晶化によって起きていることがわかる。ま
た、経時的に徐々に消色していくときも同様である。表
1の分類Bで示した素子は、徐冷すると発色状態を形成
できず消色してしまうが、急冷すると発色状態を形成す
るものである。分類Bの素子の場合は、その急冷後の構
造は、X線回折の結果から、発色体が規則的に凝集した
構造を形成していることが明らかになった。これらの結
果から、徐冷によって発色状態を形成できない素子は、
それを構成する顕色剤と発色剤の相互作用が比較的弱い
ため、溶融発色状態から徐冷する過程で両者の混合溶融
温度以下になると、顕色剤間の凝集力が作用し、顕色剤
が発色体から分離結晶化して消色してしまうが、一方、
急冷したときには発色体が規則的な凝集構造を作り、そ
の凝集構造によって顕色剤と発色剤の間の結合が安定化
し、発色状態を形成できるようになるものと考えられ
る。したがって、Bに分類される素子によって形成され
た発色体の規則的凝集構造を、昇温することによって熱
運動を起こさせ、崩壊させてやれば、その発色体の規則
的凝集構造を維持できなくなるため、顕色剤が単独で結
晶化して消色状態が形成される。
【0017】以下において、分類Bの素子を中心とし
て、これを他の分類の素子と対比させて説明する。急冷
によって規則的構造を形成したときのみ発色状態を形成
する分類Bの素子では、顕色剤と発色剤の間の結合力は
ある程度強く、またその発色体間に働く凝集力も強いも
のである。顕色剤と発色剤との間の結合力はある程度強
くないと、急冷時に発色体を維持したまま凝集構造を作
ることはできない。急冷によって発色状態にあるBに分
類される素子を昇温していくと、ある温度までは凝集構
造を維持し、発色状態を保つが、その温度を越えると凝
集構造が崩壊し、しかもこの温度は顕色剤単独で結晶と
して存在できる温度でもあるので、直ちに顕色剤が結晶
化して消色してしまう。その上、この際の顕色剤間の凝
集力が強いため、その消色は速やかに起こる。
【0018】一方、溶融発色状態から徐冷したときに発
色状態を形成する素子(A1,A2)は、急冷したとき
にも発色状態を形成するが、その発色状態が非晶状態に
なる素子(A1)と規則的な凝集構造を形成する素子
(A2)がある。非晶状態のまま発色状態を形成するA
1に分類される素子は、発色剤と顕色剤の間の結合力が
強く、発色体の凝集力が弱いものである。ただし、A1
に含まれる素子でも顕色剤が比較的強い凝集力を持つも
のは、徐冷あるいは急冷後の発色状態は非晶状態にある
にもかかわらず、経時的に顕色剤が結晶化し析出して消
色する傾向がある。急冷したとき規則的凝集構造を形成
する分類A2の素子は、発色体の凝集力も強いが、顕色
剤と発色剤との間の結合力がそれ以上に強いため、凝集
構造が昇温により崩壊しても発色体を維持できるか、ま
たは規則構造が高温まで保たれる。この場合の崩壊はす
なわち溶融発色状態への移行であり、消色には結びつか
ないものである。また、凝集構造が崩壊してもその温度
では顕色剤間の凝集力が弱く、十分な結晶化が起こらな
いか、顕色剤の凝集構造(たとえば液晶構造)中に発色
剤を取り込みやすく、完全な消色状態にならないものが
ある。前者のものは急冷発色状態から昇温しても消色は
実質的に起こらないが、後者のものは凝集構造の崩壊に
よりある程度消色が起こり、可逆的発色素子として利用
可能のものであるが、前述のBに分類される素子ほどの
完全な消色は起こらないため、利用の範囲は制限され
る。
【0019】以上のように、顕色剤と発色剤からなる熱
発色性素子における消色現象は、顕色剤と発色剤の結合
の強さ、発色体間に作用する凝集力および顕色剤間に作
用する凝集力の間の相対的な関係により起こるものであ
る。この関係を定量的に表わすのは困難であるが、特に
有用な可逆的発色現象を示すものは、溶融発色状態から
の徐冷によっては発色状態を形成できないが、急冷によ
っては規則的な凝集構造を形成して発色状態を形成する
特性を有するものである。換言すれば、このような特性
を有する素子であれば、可逆的熱発色性にすぐれた素子
ということができる。そして、このような素子は、溶融
発色温度より低い消色温度への加熱により発色体の規則
的凝集構造を崩壊させ、顕色剤間の凝集力を優先して働
かせて顕色剤を単独結晶化させることにより、容易かつ
すみやかに消色状態を形成することができる。
【0020】本発明における急冷および徐冷の条件は、
化合物の組み合わせにより変化するので、その境界を明
示することは困難であるが、前記のとおり急冷はおおむ
ね50℃/秒以上の降温速度の場合であり、徐冷はおお
むね5℃/分以下の降温速度の場合である。本発明の主
旨から言えば、二種類の化合物が相互作用を保持し規則
的な凝集構造を形成するときの条件が急冷の条件であ
り、少なくとも一方が単独で結晶化または凝集して分離
してしまうときの条件が徐冷の条件とも言える。
【0021】次に、本発明による可逆的熱発色性素子の
可逆的機能発現方法をさらに詳細に説明する。本発明に
よる可逆的熱発色性素子の形成に用いられる代表的な顕
色剤である飽和炭化水素鎖(直鎖アルキル基)を持つホ
スホン酸を例にとり、長鎖構造の長さと発色状態の形成
および素子の凝集構造の関係について説明する。顕色剤
ホスホン酸と発色剤として2−(o−クロルアニリノ)
−6−ジブチルアミノフルオラン(以下D1と略す)を
モル比5/1で混合して175℃に加熱溶融して発色状
態としてガラス板にはさみ素子を作製し、175℃から
約4℃/分の速度で徐冷すると、炭素数14〜22の直
鎖アルキル基を持つホスホン酸(以下P14〜P22と
略す)を用いた素子ではほぼ消色した状態となる。各素
子を175℃から急冷すると、これらP14〜P22を
用いた素子は発色状態を形成する。炭素数12のアルキ
ル鎖を持つホスホン酸P12では急冷すると発色状態を
形成するが、室温が高いと経時的に消色が進行する。P
10は徐冷によっても急冷によってもいったん発色状態
を形成するが、長期間発色を保持できず経時的に消色が
進行する。またアルキル鎖が短かい炭素数4のアルキル
鎖を持つホスホン酸P4を用いた素子では、徐冷によっ
ても急冷によっても発色状態が形成され安定に保持され
る。
【0022】溶融発色状態より急冷した素子のX線回折
を測定すると、図2及び図3に示す回折パターンが得ら
れる。これらの図に示されたP22〜P12を用いた素
子のX線回折(a)〜(f)には、発色体の規則的凝集
構造を示す回折ピークが認められる。回折角10°以下
の低角度側には層状構造を示すピークがあり、20〜2
1°にはアルキル鎖の凝集を示すピークがある。しか
し、(g)のP10を用いた素子には発色体の凝集構造
によるピークはなく、代わりにP10そのものの結晶の
ピークが認められ、測定の間にP10の分離結晶化が進
行していることを示す。このP10の結晶のピークは時
間とともに強くなっていく。一方、(h)のP4を用い
た素子には回折ピークはなく非晶状態である。なお、各
素子の急冷後の状態は、P4、P10を用いた素子はタ
ール状であり、それ以外はアルキル鎖長が長くなるほど
堅い固体状の膜になる。
【0023】以上より、ホスホン酸P14〜P22を用
いた素子は、溶融発色状態からの徐冷では発色状態を形
成できず、急冷では発色体が規則的な凝集構造をとり発
色状態を形成・保持し、前述のBに分類される素子であ
る。P10を用いた素子は、徐冷でも急冷でも発色状態
を形成し、経時的にP10の結晶が析出し消色するが、
その発色体は非晶状態にあり、A1に分類される素子で
ある。P4を用いた素子は徐冷でも急冷でも発色状態を
形成・保持し、その発色体は非晶状態にあり、A1に分
類される素子である。
【0024】次に、Bに分類されるP14〜P22を用
いた素子について、溶融状態から急冷して形成した発色
状態の膜を4℃/分の速度で昇温したときの透光量の変
化を図4に示す。各素子の透光量は、ある温度から増加
し消色することがわかる。この消色する温度は、アルキ
ル鎖長により変化し、長くなるほど高温側へシフトす
る。この昇温過程の凝集構造の変化をX線回折でとらえ
ると、たとえばP18を用いた素子では図5、P22を
用いた素子では図6のようになる。これらの図におい
て、(a)は低角度側、(b)は高角度側での変化を示
す。いずれの場合も、昇温とともに低角度側の層状構造
を示すピークが弱まり、高角度側のアルキル鎖の凝集構
造を示すピークは強まる。消色する温度付近では、これ
らの発色体の凝集構造を示すピークは消え、代わって顕
色剤P18またはP22単独のピークが現われ、顕色剤
が単独で結晶化して消色したことがわかる。この変化
は、P14〜P22を用いた素子すべてについて同様で
あり、またBに分類された他の顕色剤および発色剤から
なる素子についても同様の変化が認められる。したがっ
て、Bに分類される組成物、すなわち溶融発色状態から
の徐冷では発色状態が形成できず、急冷することによっ
て発色体の規則的凝集構造を形成して発色状態を形成・
保持する素子は、昇温によって凝集構造が崩壊すること
により、顕色剤が単独で結晶化して消色することがわか
る。特にこの凝集構造の崩壊と結晶化は、長鎖構造部分
の溶融と再配列と考えてもよく、このような変化により
顕色剤と発色剤の結合を切るシステムは、これまでに例
がなく全く新しいものである。
【0025】一方、P4を用いた素子は、非晶状態であ
りながら発色状態を安定に保持できる。この点では、従
来の可逆性のないあるいは乏しい感熱記録媒体で用いら
れるような顕色剤たとえば2,2′−ビス(p−ヒドロ
キシフェニル)プロパンなどを用いた場合も同様であ
る。これらのものは、前述の分類ではA1に入る素子で
あり、その発色した状態の素子は、昇温してもある温度
で急に消色が起ることはない。
【0026】次に、オクタデシルホスホン酸(P18)
に対し発色剤として2−アニリノ−3−メチル−6−ジ
エチルアミノフルオラン(D2)を組合せた素子につい
て調べると、このものは、溶融発色状態からの徐冷でも
急冷でも発色状態を形成・保持することがわかる。急冷
した素子のX線回折は、図7のように規則的な凝集構造
であることを示す。したがって、この素子は前述のA2
に分類されるものである。この素子は発色状態から昇温
しても、発色体としての凝集構造の変化は認められる
が、消色は全く起こらない。
【0027】顕色剤として没食子酸オクタデシルエステ
ルを、D1の発色剤に組合せた素子は、溶融発色状態か
らの徐冷でも急冷でも発色状態を形成する。急冷した素
子のX線回折は、図8に示すように規則的な凝集構造を
形成しており、この素子は前述のA2に分類されるもの
である。急冷して発色した素子を昇温していくと45〜
50℃で発色体の凝集構造の崩壊とともに消色がある程
度起こるが、このとき顕色剤は明確な結晶化を起こさな
い。さらに昇温すると、再び発色が起こるとともに、初
めの発色体構造のピークとは異なる強いピークがX線回
折に現われ、別の凝集構造を形成して発色状態となって
いることがわかる。P12とD1を組合わせた素子も、
昇温すると40〜45℃である程度消色は起こるが、P
14/D1の素子ほどの完全な消色にはならず、50℃
以上では再び凝集構造を持った発色状態へ移行する。こ
れらの素子の場合には、顕色剤の凝集力が十分ではない
こと、昇温時に液晶状態で安定な発色状態をとることに
より、Bに分類される素子とは異なり、消色が十分に起
こらない。
【0028】以上のように、顕色剤と発色剤を用いた熱
発色性素子では、溶融発色状態からの徐冷によっては発
色状態を形成できず、急冷したとき発色体が規則的凝集
構造を形成して発色状態を形成するものが、良好な可逆
的熱発色性素子となる。本発明による素子の可逆的熱発
色方法は、このような素子における規則的凝集構造によ
る発色状態を崩壊させて顕色剤を単独結晶化させる転移
工程を含むものである。
【0029】本発明の可逆的熱発色素子に用いられる顕
色剤は、凝集構造の発色体から分離結晶化し得るもので
ある限り、基本的に分子内に発色剤を発色させることが
できる顕色能を示す構造を持てばよく、他に限定される
ものはないが、上記の観点から顕色剤間の凝集力を強め
あるいはコントロールするためにも長鎖構造を持つこと
が特に好ましい。長鎖構造としては炭素数12以上の高
級脂肪族基であることが好ましく、これより短かいと凝
集力が不十分であることが多い。この場合の高級脂肪族
基は、直鎖状または分枝状のアルキル基、アルケニル基
が包含され、ハロゲン、アルコキシ基、エステル基等の
置換基を持っていてもよい。顕色剤の具体例を以下に示
す。
【0030】(a)有機リン酸化合物 下記一般式(1)で表わされるものが好ましく用いられ
る。 R1−PO(OH)2 (1) (ただし、R1は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物の具体例と
しては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルホ
スホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホス
ホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン
酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘ
キサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。
【0031】(b)脂肪族カルボン酸化合物 下記一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪酸類
が好ましく用いられる。 R2−CH(OH)−COOH (2) (ただし、R2は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボ
ン酸化合物としては、たとえば以下のものが挙げられ
る。α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラ
デカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロ
キシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、
α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン
酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘ
キサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸等。
【0032】脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲ
ン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を持つ脂
肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ
位の炭素にハロゲン元素を持つものも好ましく用いられ
る。このような化合物の具体例としては、たとえば以下
のものを挙げることができる。2−ブロモヘキサデカン
酸、2−ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカ
ン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン
酸、2−ブロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカ
ン酸、3−ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオク
タデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテ
トラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フル
オロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−
フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−
ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3
−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸
等。
【0033】脂肪族カルボン酸化合物としては、炭素鎖
中にオキソ基を持つ炭素数12以上の脂肪族基を有する
脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位
またはγ位の炭素がオキソ基となっているものも好まし
く用いられる。このような化合物の具体例としては、た
とえば以下のものを挙げることができる。2−オキソド
デカン酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキ
サデカン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエ
イコサン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソド
デカン酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキ
サデカン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエ
イコサン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘ
キサデカン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソ
ドコサン酸等。
【0034】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(3)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられ
る。 (ただし、R3は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
Xは酸素原子またはイオウ原子を表わし、nは1または
2を表わす)一般式(3)で表わされる二塩基酸の具体
例としては、たとえば、以下のものが挙げられる。ドデ
シルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリ
ンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、
ドコシルリンゴ酸、デトラコシルリンゴ酸、ドデシルチ
オリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシル
チオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシル
チオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチ
オリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジ
チオリンゴ酸、ヘキサデシルジチオリンゴ酸、オクタデ
シルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコ
シルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸等。
【0035】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(4)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられ
る。 (ただし、R4,R5,R6は水素又は脂肪族基を表わ
し、このうち少なくともひとつは炭素数12以上の脂肪
族基である)一般式(4)で表わされる二塩基酸の具体
例としては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシ
ルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブ
タン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタ
ン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、
2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3−ジオクタ
デシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシルブタン二
酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二酸、2−メ
チル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エチル−3−
ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−ドデシルブタ
ン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、
2−テトラデシル−3−オクタデシルブタン二酸等。
【0036】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(5)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられ
る。 (ただし、R7,R8は水素又は脂肪族基を表わし、この
うち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基であ
る)一般式(5)で表わされる二塩基酸の具体例として
は、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルマロン
酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オ
クタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマ
ロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、
ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジ
オクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコ
シルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエ
イコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテ
トラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エ
チルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エ
チルテトラコシルマロン酸等。
【0037】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(6)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられ
る。 (ただし、R9は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
nは0または1を表わし、mは1,2または3を表わ
し、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場
合はmは1または2を表わす)一般式(6)で表わされ
る二塩基酸の具体例としては、たとえば以下のものが挙
げられる。2−ドデシル−ペンタン二酸、2−ヘキサデ
シル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペンタン二
酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコシル−ペ
ンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2−ペンタ
デシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘキサン二
酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコシル−ヘ
キサン二酸等。
【0038】脂肪族カルボン酸化合物としては、長鎖脂
肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三塩基酸も好
ましく用いられる。その具体例としては、たとえば以下
のものが挙げられる。
【0039】(c)フェノール化合物 下記一般式(7)で表わされる化合物が好ましく用いら
れる。
【化1】 (ただし、Yは−S−,−O−,−CONH−又は−C
OO−を表わし、R10は炭素数12以上の脂肪族基を表
わし、nは1,2または3の整数である)。一般式
(7)で表わされるフェノール化合物の具体例として
は、たとえば以下のものが挙げられる。p−(ドデシル
チオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノー
ル、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オク
タデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フ
ェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テ
トラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)
フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、
p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタ
デシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)
フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−
(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカル
バモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフ
ェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、
p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコ
シルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイ
ルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノー
ル、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデ
シルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸
ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等。
【0040】(d)有機リン酸化合物 下記一般式(8)で表わされるα−ヒドロキシアルキル
ホスホン酸を好ましく使用することもできる。 (ただし、R11は炭素数11〜29の脂肪族基である)
一般式(8)で表わされるα−ヒドロキシアルキルホス
ホン酸を具体的に示すと、α−ヒドロキシドデシルホス
ホン酸、α−ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α−
ヒドロキシヘキサデシルホスホン酸、α−ヒドロキシオ
クタデシルホスホン酸、α−ヒドロキシエイコシルホス
ホン酸、α−ヒドロキシドコシルホスホン酸、α−ヒド
ロキシテトラコシルホスホン酸等があげられる。
【0041】(e)メルカプト酢酸の金属塩 一般式(9)で表わされるアルキル又はアルケニルメル
カプト酢酸の金属塩を好ましく用いることもできる。 (R12−S−CH2−COO)2 M (9) (ただし、R12は炭素数10〜18の脂肪族基を表わ
し、Mはスズ、マグネシウム、亜鉛又は銅を表わす)一
般式(9)で表わされるメルカプト酢酸金属塩の具体例
としては、例えば以下のものが挙げられる。デシルメル
カプト酢酸スズ塩、ドデシルメルカプト酢酸スズ塩、テ
トラデシルメルカプト酢酸スズ塩、ヘキサデシルメルカ
プト酢酸スズ塩、オクタデシルメルカプト酢酸スズ塩、
デシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ドデシルメルカ
プト酢酸マグネシウム塩、テトラデシルメルカプト酢酸
マグネシウム塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸マグネシ
ウム塩、オクタデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、
デシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ドデシルメルカプト酢酸
亜鉛塩、テトラデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ヘキサデ
シルメルカプト酢酸亜鉛塩、オクタデシルメルカプト酢
酸亜鉛塩、デシルメルカプト酢酸銅塩、ドデシルメルカ
プト酢酸銅塩、テトラデシルメルカプト酢酸銅塩、ヘキ
サデシルメルカプト酢酸銅塩、オクタデシルメルカプト
酢酸銅塩等。
【0042】熱発色性素子における発色剤は電子供与性
を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染料前
駆体であり、特に限定されず、従来公知のもの、たとえ
ばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系
化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系
化合物、インドリノフタリド系化合物などが用いられ
る。その発色剤の具体例を以下に示す。
【0043】本発明に用いる好ましい発色剤として下記
一般式(10)または(11)の化合物がある。
【化2】
【化3】 (ただし、R3は水素または炭素数1〜4のアルキル
基、R4は炭素数1〜6のアルキル基、シクロヘキシル
基または置換されていてもよいフェニル基を示す。フェ
ニル基に対する置換基としては、メチル基、エチル基な
どのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコ
キシ基またはハロゲン等が示される。R5は水素、炭素
数1〜2のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲンを
表わす。R6は水素、メチル基、ハロゲンまたは置換さ
れていてもよいアミノ基を表わす。アミノ基に対する置
換基としては、例えば、アルキル基、置換されていても
よいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基を
示す。ここでの置換基はアルキル基、ハロゲン、アルコ
キシ基などである)。このような発色剤の具体例として
は、たとえば次の化合物が挙げられる。
【0044】2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチル
アミノフルオラン 2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミ
ノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N
−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−
アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−
メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル
−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラ
ン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル
−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−(N−sec−ブチル−N−エチルアミ
ノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N
−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−ア
ニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−
エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル
−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)
フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シ
クロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−ア
ニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジ
ノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N
−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−ト
リクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリ
ノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2
−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6
−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラ
ン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−
6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p
−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリ
ノ)フルオラン、2−(N−メチル−p−トルイジノ)
−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)
フルオラン、
【0045】2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−
N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロルアニ
リノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−ブ
ロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−
(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラ
ン、2−(o−フロロアニリノ)−6−ジブチルアミノ
フルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)
−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p−アセチル
アニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルア
ミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エ
チル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミ
ノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フ
ルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−
2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジベンジ
ルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオ
ラン、2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−
トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジ
ルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フル
オラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N
−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルア
ミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メ
チルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フル
オラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−ト
ルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−
メチル−2,4,−ジメチルアニリノ)フルオラン、2
−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4,−ジメチ
ルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−
(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミ
ノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエ
チルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フル
オラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−
トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−
(N−メチル−アニリノ)フルオラン、2−ジプロピル
アミノ−6−(N−エチル−アニリノ)フルオラン、2
−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2
−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2
−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フル
オラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジ
ノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p
−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メ
チル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−
6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリ
ノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,
4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−
(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラ
ン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチ
ルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチ
ル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6
−(N−エチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、2
−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロルアニリノ)
フルオラン、
【0046】2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフ
ルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイ
ジノ)フルオラン、2−クロル−6−ジエチルアミノフ
ルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、2−クロル−6−ジプロピルアミノフルオラン、3
−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−
ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−ク
ロル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フル
オラン、2−クロル−3−メチル−6−ジエチルアミノ
フルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−(o−クロルアニリノ)−3−
クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−
(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロル−6−
ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロルア
ニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルア
ミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミ
ノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N
−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ
−6−(N−エチル−トルイジノ)フルオラン、その
他。
【0047】本発明において好ましく用いられる他の発
色剤の具体例を示すと以下の通りである。2−アニリノ
−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−
エチルアミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリ
ノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、2
−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−パルミチル
アミノ)フルオラン、2−(p−クロルアニリノ)−6
−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、2−ベンゾ
イルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フル
オラン、2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−
(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジベ
ンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオ
ラン、2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N
−メチル−P−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジル
アミノ−4−メチル−6−(N−エチル−P−トルイジ
ノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−
4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(p
−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチ
ル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(o−メトキシ
カルボニルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トル
イジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−
トリフルオルメチルアニリノ)フルオラン、4−メトキ
シ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−エトキシエチルアミノ−3−クロル−6−ジブチル
アミノフルオラン、2−ジベンジルアミノ−4−クロル
−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2
−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロル−6−ジ
エチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジル−p−ト
リフロロメチルアニリノ)−4−クロル−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピ
ロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−
ピロリジノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6
−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)
フルオラン、2−メシジノ−4′,5′−ベンゾ−6−
ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチ
ルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラ
ン、2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−
4′−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシ
ルアミノ)フルオラン、2−ピペリジノ−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−(N−n−プロピル−p−トリ
フロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラ
ン、2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミ
ノ)−6−ピロリジノフルオラン、2−(N−n−プロ
ピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォ
リノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−
N−n−オクチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ
−6−ジアリルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6
−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラ
ン、
【0048】ベンゾロイコメチレンブルー、2−〔3,
6−ビス(ジエチルアミノ)〕−6−(o−クロルアニ
リノ)キサンチル安息香酸ラクタム、2−〔3,6−ビ
ス(ジエチルアミノ)〕−9−(o−クロルアニリノ)
キサンチル安息香酸ラクタム、3,3−ビス(p−ジメ
チルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−
ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリ
ド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−
ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルア
ミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェ
ニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブ
チルアミノフェニル)フタリド、3−(2−メトキシ−
4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ
−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、3−(2−ヒ
ドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−
メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−(2−
ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−
(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、3−
(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3
−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、3
−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−
3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−
3−(2−ヒドロキシ−4−クロル−5−メトキシフェ
ニル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フル
オレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタ
リド、6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリ
ノ−スピロピラン、6′−ブロモ−2′−メトキシ−ベ
ンゾインドリノ−スピロピラン、その他。
【0049】可逆的熱発色性素子を構成する発色剤と顕
色剤の割合は、使用する化合物の物性によって適切な比
率を選択する必要があるが、その範囲はおおむね、モル
比で発色剤1に対し顕色剤が1から20の範囲であり、
好ましくは2から10の範囲である。発色剤と顕色剤の
割合によって消色特性は変化し、比較的顕色剤が多い場
合には消色開始温度が低くなり、比較的少ない場合には
消色が温度に対してシャープになる。したがって、この
割合は用途や目的に応じて適当に選択すればよい。本発
明で用いる可逆的熱発色性素子は、基本的に前記の顕色
剤と発色剤によって成り立つものであるが、種々の特
性、たとえば消色性や保存性などの改善を目的として、
顕色剤の結晶化をコントロールする効果のある添加剤を
含有させることができる。
【0050】次に、可逆的熱発色性素子を用いた可逆的
感熱記録媒体について説明する。なお、本明細書におけ
る記録媒体は表示体も包含するものである。可逆的感熱
記録媒体は、前記の可逆的熱発色性素子を含む記録層を
支持体上に設けたものである。支持体としては、たとえ
ば、紙、合成紙、プラスチックフィルムあるいはこれら
の複合体、ガラス板などであり、記録層を保持できるも
のであればよい。記録層は、前記の可逆的熱発色性素子
が存在すれば、どのような態様のものでもよい。通常よ
く行われるように、層としての形態をとらせるために、
必要に応じてバインダー樹脂を用いて素子を保持させる
ことができる。バインダーとしては、たとえばポリ塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ
樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル類、ポ
リメタクリル酸エステル類、アクリル酸共重合体、マレ
イン酸共重合体、ポリビニルアルコールなどがある。素
子は、マイクロカプセル中に内包して用いることができ
る。素子のマイクロカプセル化は、コアセルベーション
法、界面重合法、インサイチュ重合法など公知の方法に
よって行うことができる。記録層の形成は、従来公知の
方法に従い、素子をバインダーと共に水または有機溶剤
により均一に分散もしくは溶解して、これを支持体上に
塗布・乾燥することによって行う。またバインダーを用
いない場合、素子を混合・溶融して膜とし、冷却して記
録層とすることができる。記録層のバインダー樹脂の役
割は、発色・消色の繰り返しによって可逆的熱発色性素
子を均一に分散させた状態を保持することにある。特
に、発色時の熱印加で素子が集合して不均一化すること
が多いから、バインダー樹脂は耐熱性の高いものが好ま
しい。
【0051】可逆的感熱記録媒体において、その耐光性
は、光安定化剤を記録層中に含有させることにより向上
させることができる。光安定化剤としては、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素の消光剤、ス
ーパーオキシドアニオンの消光剤等が挙げられる。
【0052】可逆的熱発色性素子を用いた記録媒体を用
いて記録を行うには、素子を一時的に溶融温度以上に加
熱することにより発色状態とする。一方、その記録を消
去するには、発色状態の記録層を溶融温度以下の消色温
度に加熱する。記録媒体に形成される画像には、消色状
態の地肌部に対し発色状態の画像を形成したものと、逆
に発色状態の地肌部に対し消色状態の画像を形成したも
のがある。どちらの場合にも画像状に熱を印加するとき
は、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー光加熱など部分
的に熱を加えられる手段を用いればよい。また、全面消
色あるいは全面発色を行う場合はヒートローラー、全面
ヒーターなどに接触させるか、温風を吹き付けるか、加
熱された恒温槽内に入れるか、赤外線を照射するなどの
方法がある。もちろんサーマルヘッドで全面に熱を加え
てもよい。
【0053】以上、本発明の機能素子の可逆的機能発現
方法について、発色剤と顕色剤を用いた可逆的熱発色性
素子の例を用いて説明したが、本発明の主旨は、この例
に限定されるものではなく、二種類の化合物が相互作用
した状態と相互作用していない状態を可逆的にとらせる
他の機能素子にも適用できる方法を提供するものであ
る。
【0054】上記の可逆的熱発色性素子とは異なる相互
作用を制御する例として、長鎖アルキルホスホン酸と没
食子酸の長鎖アルキルエステルを組み合わせた素子につ
いて示す。ドコシルホスホン酸と没食子酸オクタデシル
エステルをモル比5:1で混合し、溶融した状態から急
冷した素子と徐冷した素子の赤外吸収スペクトルを図9
に示す。スペクトルの1700cm-1付近に現られてい
る没食子酸オクタデシルエステルのC=O伸縮振動の吸
収ピークは、急冷と徐冷で大きく異なり、ホスホン酸分
子との相互作用の状態に差があることがわかる。急冷し
た素子を昇温しながら赤外吸収スペクトル測定した結果
を図10に示す。スペクトルは、両者が混合溶融する9
3℃よりかなり低い60℃付近で変化し、徐冷したとき
と同じ状態になることがわかる。そして、70〜90℃
の温度から降温した素子は、徐冷した素子のスペクトル
を一致する。
【0055】一方、急冷した素子と徐冷した素子のX線
回折の結果を図11および図12に示す。急冷した素子
は1.59°、3.22°、4.84°および21.1
°に規則的凝集構造の形成を示すピークが認められる。
これらの回折ピークは、ドコシルホスホン酸及び没食子
酸オクタデシルエステルのそれぞれ単独の結晶のピーク
とは一致せず、両者が相互作用し共同して規則的凝集構
造を形成していることがわかる。徐冷した素子は急冷し
た素子とは異なり、1.76°、2.16°、4.00
°、4.34°、6.54°、8.74°、10.94
°、22.34°、23.94°などに回折ピークがあ
る。これらはすべてドコシルホスホン酸の単独結晶のピ
ークと一致する。したがって、徐冷した状態はドゴシル
ホスホン酸が単独で結晶した状態であることがわかる。
図13は、急冷した素子を昇温しながらX線回折を測定
した結果である。(a)は低角度側、(b)は高角度側
の変化を示す。どちらも50〜60℃付近で、両者が相
模作用して形成した凝集構造からドコシルホスホン酸単
独の結晶へ変化していくことがわかる。
【0056】以上の結果から、ドコシルホスホン酸と没
食子酸オクタデシルエステルの組からなる素子において
も、急冷して規則的凝集構造を形成させることと、それ
を昇温し凝集構造を崩壊させて一方を単独結晶化させる
という方法により、両者が相互作用した状態と相互作用
していない状態を可逆的に任意にとらせることが可能に
なることがわかる。このような二状態間の変化は、たと
えば非線形光学的な性質の可逆的な変化として機能化す
ることができるものであり、本発明の可逆的機能発現方
法の有効性を示しているものと言える。
【0057】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。なお、実施例中、部及び%はいずれも重量基準で
ある。 実施例1 発色剤として、2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブ
チルアミノフルオランを用い、顕色剤には表2の長鎖ア
ルキル基を持つホスホン酸を使って熱発色性素子を以下
のように作成した。まず発色剤と顕色剤を1:5の混合
比(モル比)となるように秤量し、乳鉢で粉砕・混合し
た。厚さ1.2mmのガラス板をホットプレート上で温
度170℃に加熱した。このガラス板上に、上記の混合
物を少量のせて溶融させた。混合物は溶融と同時に発色
し黒色となった。続いて、溶融混合物の上からカバーグ
ラスをかぶせ、融液を一様な厚さに広げ、すぐにガラス
板ごと全体を用意しておいた氷水中に沈め、急冷した。
降温後、すぐに氷水中から取り出し、付着した水を除
き、薄膜状の発色した素子を得た。なお、これらの6種
類の素子は、加熱溶融状態から4℃/分で降温すると発
色状態を保てず、ほとんど消色してしまった。
【0058】次に、この素子の発色・消色特性を調べる
ため、以下のような測定を行った。光学顕微鏡の試料台
上に試料加熱装置を設置し、上記の発色した素子試料を
室温で観察すると共に、昇温速度4℃/分で昇温しなが
ら観察した。また同時に、顕微鏡の光源から試料を通過
し接眼部に到達する光量の変化を測定した。この結果、
素子がある温度で消色すると同時に光量が増加し、さら
に昇温を続けると再び溶融する温度で再発色することを
確認した。また、透過光量の変化から消色開始温度を求
めた。炭素数12から22の直鎖アルキル基を持つホス
ホン酸を用いた発色状態の素子について透光量の温度変
化を測定し、図4の結果を得た。図の透光量は、初期発
色状態を1.0として表示したものである。この図よ
り、各ホスホン酸とも消色する温度領域を持ち、消色開
始温度はアルキル鎖長が長くなるほど高温側にずれるこ
とがわかる。各ホスホン酸の消色開始温度は表2のとお
りである。また、急冷発色時の濃度(DQ)と最大消色
時の濃度(DE)から消色率を求めた。その結果を表2
に示す。 消色率=[(DQ−DE)/DQ]×100(%) アルキル鎖長が長くなるほど消色率が高く、良好な可逆
性が得られることがわかる。
【0059】
【表2】
【0060】実施例2 顕色剤にエイコシルチオリンゴ酸を用い、発色剤には表
3に示すフルオラン化合物を用い、混合比2/1(顕色
剤/発色剤:モル比)で実施例1と同様にして発色状態
の素子を作成した。これらの素子は急冷では発色状態を
保つことができたが、徐冷ではほとんど消色してしまっ
た。X線回折から、急冷では顕色剤と発色剤が共同して
基則的な凝集構造を作っており、徐冷では顕色剤が単独
で結晶化していることがわかった。これらの発色状態の
素子についての透過光量の温度変化を図14に示す。ま
た、この図から求めた消色開始温度を表3に示す。これ
らの素子も明確な消色温度領域を持ち、可逆的熱発色性
素子であることがわかる。
【0061】
【表3】
【0062】実施例3 長鎖構造を持つ顕色剤と発色剤からなる可逆的熱発色性
素子を含む記録層を作成するため、下記表4に示す組成
物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉砕分散し
て記録層塗布液を調製した。ここで用いた顕色剤と発色
剤の組合わせを表4に示す。上記組成の各塗布液を、厚
さ100μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバー
を用いて塗布し、乾燥して膜厚約6.0μmの記録層を
持つ可逆的感熱記録媒体を作成した。これらの記録媒体
を熱傾斜試験機(東洋精機製作所製)を用いて、加熱条
件を温度130℃、圧力1kg/cm2、1秒間として
発熱体を接触させて、発色状態とし、発色濃度を測定し
た。濃度の測定にはマクベス濃度計RD−918を使用
した(以下の実施例すべて同じ)。各記録体の発色濃度
を表5に示す。次に、この発色した記録媒体を表5に示
した消色温度の恒温槽中に約20秒間入れて、消色さ
せ、消色濃度を測定した。各記録媒体の消色濃度を表5
に示す。さらに、上記の発色操作と消色操作を10回繰
り返して行ない、発色の可逆性を調べたところ、実施例
のすべての組合わせについて、発色消色の繰り返しが可
能であることを確認できた。
【0063】
【表4−(1)】
【0064】
【表4−(2)】
【0065】
【表4−(3)】
【0066】
【表4−(4)】
【0067】
【表4−(5)】
【0068】
【表4−(6)】
【0069】
【表4−(7)】
【0070】
【表5−(1)】
【0071】
【表5−(2)】
【0072】
【表5−(3)】
【0073】
【表5−(4)】
【0074】
【表5−(5)】
【0075】実施例4 発色剤として、表6に示すフルオラン化合物を用い顕色
剤にオクタデシルホスホン酸を用い実施例1と同様にし
て、可逆的熱発色性素子を作成し、消色開始温度と消色
率を求めた結果を表6に示す。
【0076】
【表6】
【0077】
【発明の効果】本発明による機能素子の機能発現方法
は、性質の異なる二種類の化合物からなる機能素子を用
い、これを両者の化合物が相互作用した状態と相互作用
していない状態との間を可逆的に転移させる工程を含む
ものである。しかも、その相互作用した状態は、両者の
化合物が共同して形成された規則的な凝集構造の状態で
あり、またその相互作用していない状態は、両者の化合
物の少なくとも一方の化合物が単独で凝集又は結晶化し
た状態であることから、その機能素子のそれら状態間の
可逆的転移による機能発現は、極めて速やかに生起させ
ることができ、かつそのための手段として熱的手段を使
用し得るという利点がある。本発明は、感熱記録媒体
や、感熱表示媒体を初めとした各種の分野に応用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆的熱発色性素子の発色、消色と温度の関係
を示す図。
【図2】熱発色性素子を溶融発色状態から急冷したとき
の状態を示すX線回折図。
【図3】熱発色性素子を溶融発色状態から急冷したとき
の状態を示す他のX線回折図。
【図4】可逆的熱発色性素子を急冷発色状態から昇温し
たときの消色の様子を示す図。
【図5】可逆的熱発色性素子を急冷発色状態から昇温し
たときのX線回折の変化を示す図。
【図6】可逆的熱発色性素子を急冷発色状態から昇温し
たときのX線回折の変化を示す図。
【図7】比較素子を溶融発色状態から急冷したときの状
態を示すX線回折図。
【図8】比較素子を溶融発色状態から急冷したときの状
態を示すX線回折図。
【図9】機能素子の相互作用の状態変化を示す赤外吸収
スペクトル図。
【図10】急冷した素子を昇温したとき相互作用の状態
が変化する様子を示す赤外吸収スペクトルの温度変化を
示す図。
【図11】急冷した素子の規則的凝集構造形成を示すX
線回折図。
【図12】徐冷した素子が単独結晶化した状態にあるこ
とを示すX線回折図。
【図13】急冷した素子の規則的凝集構造が昇温により
崩壊して単独結晶化していく様子を示すX線回折図。
【図14】可逆的熱発色性素子を急冷発色状態から昇温
したときの消色の様子を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 勝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 後藤 寛 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 澤村 一郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 川村 栄一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 丸山 勝次 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 久保山 浩紀 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 久保 敬司 神奈川県横浜市中区本牧荒井1−3−2

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二種類の化合物が相互作用した状態と相
    互作用していない状態をとり、該相互作用した状態は、
    両者の化合物が共同して形成した規則的な凝集構造の状
    態であり、該相互作用していない状態は、少なくとも一
    方の化合物が単独で凝集または結晶化した状態である機
    能素子を用い、これら二つの状態間を可逆的に転移させ
    ることを特徴とする機能素子の可逆的機能発現方法。
  2. 【請求項2】 該機能素子が、溶融後急冷させると規則
    的な凝集構造の状態を示し、一方、溶融後徐冷させると
    少なくとも一方の化合物が単独で凝集または結晶化した
    状態を示すものであることを特徴とする請求項1の機能
    素子の可逆的機能発現方法。
  3. 【請求項3】 二種類の化合物が共同して形成した規則
    的な凝集構造の状態が、両者の化合物を加熱溶融混合し
    た状態から急冷したときに形成されるものであることを
    特徴とする請求項1又は2の機能素子の可逆的機能発現
    方法。
  4. 【請求項4】 二種類の化合物が共同して形成した規則
    的な凝集構造の状態のものを、両者の化合物が溶融混合
    する温度より低い温度に昇温させてその規則的な凝集構
    造を崩壊させることにより、少なくとも一方の化合物を
    単独で凝集または結晶化させ、相互作用しない状態にす
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの機能素子
    の可逆的機能発現方法。
  5. 【請求項5】 二種類の化合物が相互作用を保持した状
    態で示す規則的な凝集構造が、少なくともどちらか一方
    の化合物が持つ長鎖構造の凝集力の作用により形成され
    るものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    の機能素子の可逆的機能発現方法。
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JP19164692 1992-06-25
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