JPH0677458B2 - 電池活物質 - Google Patents

電池活物質

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JPH0677458B2
JPH0677458B2 JP59236852A JP23685284A JPH0677458B2 JP H0677458 B2 JPH0677458 B2 JP H0677458B2 JP 59236852 A JP59236852 A JP 59236852A JP 23685284 A JP23685284 A JP 23685284A JP H0677458 B2 JPH0677458 B2 JP H0677458B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電池活物質に関する。更に詳細には、本発明は
共有結合性黒鉛層間化合物の熱分解残留炭素のフッ素化
によって得られるフッ化黒鉛よりなり、放電電位、電位
平坦性及び放電容量において極めて優れた電池を供給す
ることのできる新規な電池活物質に関する。
従来、電池の正極物質として用いられるフッ化黒鉛には
(CF)n及び(C2F)nの2種のものが知られている
(特公昭48−25565号明細書及び米国特許第3,536,532号
明細書、ならびに米国特許第4,247,608号明細書)。(C
F)n及び(C2F)nをそれぞれ正極電池活物質とする電
池には、夫々長所、短所を有している。即ち、前者はフ
ッ素含有率が大きい故、当然に放電容量が大きいが、過
電圧が大きく、又その製造には分解が多くて収率の点で
難点を有する。後者は、収率が100%であるという点で
製造上有利であると同時に過電圧が小さい点で優れてい
るが、フッ素含有率が少ないということから放電容量に
制限がある。このことを次に更に詳しく説明する。フッ
化黒鉛は高分子多結晶体の形で得られ、現在のところそ
の短結晶は得られていないが、黒鉛化度の高い炭素材料
(たとえば天然黒鉛)から合成した比較的結晶性の良い
(CF)n,(C2F)nについてその放電特性を比較する
と、 1.開路電位はほぼ等しい(3.2〜3.3V vs Li in 1M LiCl
O4−PC)(PC:プロピレンカーボネート) 2.過電圧は(C2F)nの方が小さい〔(CF)nにくらべ
てc軸方向結晶子厚みが小さいことなどによりリチウム
イオンの層間移動がより容易であることによる〕。
3.放電容量は(CF)nの方が大きい(理論容量;(CF)
n:860mAh/g,(C2F)n:700mAh/g単位重量あたりのフッ素
の含有量の違いによる)。
などがあげられる。このほか(CF)n,(C2F)nによら
ず一般に 4.高結晶性の試料ほど放電電位の平坦性が良い(結晶子
のバルクが放電している間はたえず放電生成物である黒
鉛層間化合物の分解、相分離により電位が一定に保たれ
るので放電の進行方向である結晶子のab軸方向が長い高
結晶性の試料ほど電位の平坦部が長くなる)。
5.低結晶性の試料ほど過電圧が小さい(c軸方向結晶子
厚みが小さくリチウムイオンの層間移動が容易にな
る)。
6.低結晶性の黒鉛を低温でフッ素化した試料は初期開路
電位が高結晶性の試料より0.2〜0.3V程度高いが若干の
自己放電を伴う(低温でフッ素化した試料で特に多量の
吸着フッ素を含んでいる場合一時的に高いOCVを示す
が、この吸着フッ素は電解質溶液溶媒と徐々に反応して
しまう)。
などがあげられる。電池として放電電位が高く(あるい
は出力が大きく)、電位平坦性に優れ、放電容量が大き
く、貯蔵性の良いものが望まれるわけであるが、上記の
ごとくこれらの諸条件を全て満足しつつ活物質の改良を
行うことは容易でない。このほか合成上の制約もあり、
たとえば(C2F)nは黒鉛化度の高い炭素材からしか合
成できず、低温で反応させるため長時間の反応を要す
る。また低結晶性の炭素材料(たとえば石油コークス)
は低温でフッ素化できるが高温では低級フルオロカーボ
ンに分解してしまう。さらに出発炭素材の結晶性は生成
するフッ化黒鉛の結晶性に反映されるが、炭素材料は一
般にab軸方向に結晶が発達していれば当然c軸方向結晶
子厚みも大きいので電位平坦性と低過電圧は相容れない
条件でもある。
このように、従来のフッ化黒鉛を電池活物質とする電池
は、二酸化マンガン等の他の電池活物質を用いる電池に
比較して一般に電位の平坦性などについて優れていると
いわれながらも、なお解決すべき諸問題を含んでいた。
そこで本発明者らは鋭意研究を行なった結果、式(CF)
n、(C2F)n又はその混合物であるフッ化黒鉛、及び
酸化黒鉛よりなる群から選ばれる共有結合性黒鉛層間化
合物を、その分解温度以上の温度で加熱処理することに
より該黒鉛層間化合物を分解せしめて分解残留炭素を
得、その際、該加熱分解処理は、 共有結合性黒鉛層間化合物がフッ化黒鉛の場合には、フ
ッ化黒鉛を不活性ガス、空気または真空中で580〜620℃
まで加熱して行ない、 共有結合性黒鉛層間化合物が酸化黒鉛の場合には、酸化
黒鉛を不活性ガスまたは空気中で1℃/分以下の昇温速
度で200〜400℃まで昇温した後、真空中において400〜5
00℃に加熱して行ない、 次いで、該分解残留炭素をフッ素化することによって得
られるフッ化黒鉛を電池の活物質として用いると、驚く
べきことに、放電電位が高く、電位平坦性に優れ、放電
容量が大きく貯蔵性が良いというすべての点に於いて従
来のフッ化黒鉛系電池に対して優れた電池が得られるこ
とを意外にも知見し本発明を完成するに到った。
従がって、本発明の一つの目的は、放電電位、電位平坦
性及び放電容量において共に優れた電池を提供し得る新
規な電池活物質を提供することにある。
本発明の他の一つの目的は、上記の特徴を有する電池活
物質にして、安価に効率よく得られる新規な電池活物質
を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴及び諸利益は
次に添付の図面を参照しながら記載する説明より明らか
になろう。
即ち、基本的には、本発明によれば、式(CF)n、(C2
F)n又はその混合物であるフッ化黒鉛、及び酸化黒鉛
よりなる群から選ばれる共有結合性黒鉛層間化合物を、
その分解温度以上の温度で加熱処理することにより該黒
鉛層間化合物を分解せしめて分解残留炭素を得、その
際、該加熱分解処理は、 共有結合性黒鉛層間化合物がフッ化黒鉛の場合には、フ
ッ化黒鉛を不活性ガス、空気または真空中で580〜620℃
まで加熱して行ない、 共有結合性黒鉛層間化合物が酸化黒鉛の場合には、酸化
黒鉛を不活性ガスまたは空気中で1℃/分以下の昇温速
度で200〜400℃まで昇温した後、真空中において400〜5
00℃に加熱して行ない、 次いで、該分解残留炭素をフッ素化することによって得
られるフッ化黒鉛よりなることを特徴とする電池活物質
が提供される。
共有結合性黒鉛層間化合物がフッ化黒鉛の場合について
次に説明する。フッ化黒鉛は次のようにして製造するこ
とができる。(CF)nは石油コークスのような無定形の
炭素材料とフッ素を約200℃から約450℃で反応させるこ
とによって製造することができる。天然あるいは人造黒
鉛のような結晶形の炭素材料とフッ素を約500℃から約6
30℃の温度で反応させると、(CF)nまたは(CF)nに
富む(CF)nと(C2F)nの混合物が製造される。フッ
素化反応を630℃以下で行う理由は(CF)nの分解が630
℃以上で促進されるからであり、またそのような高温で
フッ素による腐食に耐えられるような反応容器の材料が
得られないからである。(CF)nの混合物は様々な結晶
化度のものが製造され、結晶化度の高いものは白色の固
体である。一方(C2F)n、あるいは(C2F)nに富む
(C2F)nと(CF)nの混合物は、天然もしくは人造黒
鉛のような結晶形の炭素材料をフッ素と約300℃から約5
00℃で反応させて製造することができる。この生成条件
下では(C2F)nは黒色を呈しており、結晶化度を高め
るために約600℃まで温度を上げてこれを加熱すると、
黒色から灰色を経て白色へと変化する。原料に天然黒鉛
を使用すると、製造されるフッ化黒鉛は、約500℃以上
でフッ素化が行なわれた場合には(CF)nに富むが、反
対に約500℃以下の温度でフッ素化が行なわれた場合に
は(C2F)nに富む。高温であるほで生成物中の(CF)
n含量は増加し、反対に低温であるほど(C2F)n含量
が増加する。同じことが人造黒鉛に関しても当てはまる
が、天然黒鉛と異なるのは、境界温度が500℃でなく約4
70℃であるということである。
反応時間は臨界的でない。炭素材料のフッ素化反応を完
全に行いたければ、フッ化黒鉛の重量増加が見られなく
なるまでフッ素化反応を続ければよい。フッ素化を途中
で意図的に中止し、それを篩を用いて目的のフッ化黒鉛
を得るという効率的な方法もある(特開昭58−60606号
明細書)。
炭素材料としては結晶形及び無定形いずれの炭素材料も
使用することができる。適合する炭素材料として、例え
ば、人造黒鉛、天然黒鉛、石油コークス、ピッチコーク
ス、活性炭、カーボン・ブラックおよび繊維状炭素が挙
げられる。上述の炭素材料は市販のものでよい。たとえ
ば、様々な粒径あるいは塵径の石油コークス(無定形炭
素)は原油から揮発性成分を除き、その結果生じた油お
重合して未精製のコークスとし、それをロータリー・キ
ルンやリードハンマーの焼炉で約140℃で加熱して
焼コークスとし、さらに予め決めておいた大きさにすり
つぶすことにより製造される。さらに人造黒鉛(結晶形
炭素)は上記で得られたコークスを約2400〜3000℃で黒
鉛化することにより製造される。炭素材料の結晶度の差
異によって、(CF)n又は(C2F)nが得られることは
前述の通りである。
フッ素化に用いるフッ素ガスは、KF−2HF融解塩の電気
分解により発生するものをそのままかあるいは不純物と
して含まれるHFガスを除去して使えばよい。もちろん、
市販のフッ素ガスボンベのフッ素ガスも使用可能で便利
である。フッ素化反応は、フッ素ガス単独もしくはF2
圧が100−760mmHgとなるように稀釈ガスとの混合ガス雰
囲気下で行なわれる。通常はフッ素化反応は760mmHgの
圧力下で行なわれる。希釈ガスとして適するものとし
て、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、空気、パー
フルオロハイドロカーボンガス並びに炭酸ガスが挙げら
れる。
上述のように、炭素材料のフッ素化により精製するフッ
化黒鉛の組成は、反応温度や炭素原材料の種類や結晶化
度に依存して変化する。
次に、このようにして得られたフッ化黒鉛を分解して分
解残留炭素を得る。フッ化黒鉛の分解について次に説明
する。フッ化黒鉛は加熱することにより分解することが
できる。フッ化黒鉛の熱分解はアルゴンガス、窒素ガス
等の不活性ガス又は空気などの雰囲気下、または真空中
で約580〜620℃まで加熱することにより行なうことがで
きる。加熱時の昇温速度は臨界的ではない。フッ化黒鉛
は、その製造に用いた炭素材料の種類によっても異なる
が、昇温の過程で約400〜500℃になった時点で分解が始
まり、上述の約580〜620℃にまで加熱すると分解は終了
する。分解温度は示差熱分解によって測定することがで
きる。フッ化黒鉛の分解残留炭素は、前記したように一
度フッ化黒鉛を製造、単離した後、分解することにより
製造できるが、フッ化黒鉛の製造に伴うフッ化黒鉛の熱
分解によって生成する分解残留炭素も用いることができ
る。しかしながら、この場合分解残留炭素の粒子が不揃
いになりやすいのでフッ化黒鉛を一度製造し、単離した
後分解させる方が好ましい。このようにして得られたフ
ッ化黒鉛の分解残留炭素はフッ素を約3〜5重量%含有
しているが、この残留フッ素分は次のフッ化黒鉛を作る
フッ化黒鉛を作るフッ素化工程に何ら支障とはならな
い。
次に共有結合性黒鉛層間化合物が酸化黒鉛の場合につい
て説明する。酸化黒鉛は結晶性炭素又は無定形炭素を酸
化処理することにより製造できる。酸化黒鉛の製造には
公知のいかなる方法をも用いることができる。例えば、
ハマーズら〔ダブリュー.エス.ハマーズ エト アル
(W.S.Hummers etal),ジェイ.アメル.ケム.ソク.
(J.Amer. Chem.Soc.),1339頁(1958年)〕の方法、岡
田ら〔材料試験、第2巻、第8号、363〜366頁(1953
年)〕の方法、ストーレイ〔オー.ダブリュ.ストーレ
イ(O.W.Storey),トランス.アメル.エレクトロケ
ム.ソク.〔Trans.Amer.Electrochem.Soc.),第53
巻、119〜127頁(1928年)〕の方法、ブラウンら〔ビ
ー.ケー.ブラウン エト アル(B.K.Brown et a
l),トランス.アメル.エレクトロケム.ソク(Tran
s.Amer.Electrochem.Soc.),第53巻、129〜147頁(192
8年)〕の方法などを用いることができる。酸化黒鉛の
製造方法について一般的な説明を以下に述べる。酸化黒
鉛は、炭素材料である結晶性炭素又は無定形炭素と強酸
系酸化剤及び水とからなる反応系を120℃を越えない温
度、好ましくは約100℃で加熱することによって製造す
ることができる。炭素材料としては上述の通り結晶形お
よび無定形いずれの炭素材料も使用することができる。
適合する炭素材料として、たとえば人造黒鉛、天然黒
鉛、石油コークス、ピッチコークス、活性炭、カーボン
・ブラックおよび繊維状炭素が挙げられる。炭素材料の
大きさは臨界的ではないが、粒径約10μ程度のものから
数mmのフレーク状のものまで用いることができる。強酸
系酸化剤としては通常の酸化処理に用いられる強酸系酸
化剤ならば特に制限なく用いることができる。例えば過
マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、重クロム酸カリ
ウムなどと発煙硫酸、発煙硝酸などとの混合物を用いて
行なうことができる。酸化黒鉛が生成すると反応系の色
が黒色から茶褐色に変化するので、反応系の色を見るこ
とによって酸化黒鉛の生成を確認することができる。従
って、反応時間は臨界的ではないが通常2〜20分で反応
は完了する。反応系における炭素材料、強酸系酸化剤及
び水の量比については臨界的ではないが、水の量が余り
多すぎると酸化黒鉛の生成が収率よく行なわれない可能
性がある。適当な量比は、予備テストを行なって収率よ
く酸化黒鉛が得られることを反応系の色で判断して決め
ることができる。炭素材料と強酸系酸化剤および水とか
らなる反応系を得るには炭素材料と強酸系酸化剤および
水を最初から混合してもよいし、炭素材料を予め強酸系
酸化剤に浸漬しておいた混合物に水を加えてもよい。例
えば、前記ハマーズらの方法に例をとって説明すると、
酸化黒鉛は炭素材料を強酸系酸化剤として発煙硫酸、硝
酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムに予め浸漬した
後水を加えることによって得ることができる。詳しく
は、炭素材料を硝酸ナトリウムと混合し発煙硫酸を加え
冷却しながら過マンガン酸カリウムを加えた後約25〜45
℃で約10分から約30時間放置し、次いで水を加えて、水
と酸の水和熱で温度を約70〜120℃に上昇させて反応さ
せることによって製造することができる。
このようにして反応系中に得られる酸化黒鉛を反応混合
物中から過などにより取りだし、メタノールやエタノ
ールなどのアルコールで洗浄する。得られた酸化黒鉛は
黒色ないしは黒褐色を呈している。酸化黒鉛はまた、電
解酸化の方法によっても製造することができる。
次にこのようにして得られた酸化黒鉛を分解して分解残
留炭素を得る。酸化黒鉛の分解について次に説明する。
酸化黒鉛は加熱することにより分解することができる。
酸化黒鉛の熱分解はアルゴンガス、窒素ガス等の不活性
ガス又は空気などの雰囲気中で約1.0℃/分以下、好ま
しくは0.2℃/分以下の昇温速度で約200〜400℃まで昇
温した後、真空中で約400〜500℃で約1〜3時間熱処理
することにより行なうことができる。加熱に際し昇温速
度を約1.0℃/分以上になると酸化黒鉛が爆発的に分解
して危険である。酸化黒鉛の分解残留炭素はまた、前期
反応系で生成した酸化黒鉛を反応系から単離することな
く、そのまま120℃以上約230℃くらいまで加熱昇温する
ことによって製造することができる。反応系を120℃以
上約230℃くらいまで加熱する方法としては、反応系内
に酸化黒鉛が生成した後、反応系をそのまま加熱しても
よいし、また、反応系に更に水を加えて加えた水と反応
系内の酸との水和熱によって昇温することもできる。水
を更に加えて昇温する方が水を加えないで加熱する方法
よりも速く分解残留炭素ができる。水を更に加えて昇温
する場合の加える水の量は臨界的ではない。上記の昇温
のための熱の少なくとも一部を水と酸との水和熱により
供給することもできる。即ち、昇温の必要な熱の全部を
水と酸との水和熱によって得ることもできるが、水と酸
との急激な反応を避けるために徐々に水を加えることに
より水和熱だけでは上記反応温度が得られない場合は反
応混合物を補助的な他の熱源により加熱して反応温度が
120℃以上230℃くらいまでになるように行なうこともで
きる。反応系を加熱昇温する際の昇温速度は臨界的では
ない。また、加熱昇温後の反応時間は臨界的ではなく昇
温速度により左右される。一般的に約2分間以上昇温後
の温度で反応系を保持せしめることにより分解残留炭素
が得られるが昇温速度によっては2分以内に得ることも
できる。酸化黒鉛を反応系から単離せず、そのまま反応
系を加熱昇温して分解残留炭素を得る方法は酸化黒鉛の
分解を液体中で行なうので酸化黒鉛が爆発的に分解する
危険性がなく、また反応系から単離する工程を省略でき
るので有利である。次に生成した分解残留炭素を含む反
応混合物に更に水を加えて冷却し、分解残留炭素を水洗
し乾燥する。乾燥条件は臨界的ではないが、例えば100
〜400℃で数時間真空乾燥することができる。このよう
にして得られた酸化黒鉛の分解残留炭素は酸素を約5〜
25重量%含有しているが、この残留酸素分は次のフッ化
黒鉛を作るフッ素化工程に何ら支障とならない。
フッ化黒鉛、酸化黒鉛などの共有結合性黒鉛層間化合物
を上記のようにして分解して得られた分解残留炭素は黒
色を呈しており、また、c軸方向の結晶子厚みが天然黒
鉛、人造黒鉛などに比べて著しく小さく、層の重なり方
も大きく乱れているなどの結晶の乱れを有しており、し
かもab軸方向の結晶子サイズはc軸方向のそれに比べて
数〜数10倍という特異な構造を有する。
たとえば、走査型電子顕微鏡写真で拡大した写真や、格
子定数や結晶子の大きさの測定値からこの分解残留炭素
の特異な構造を認めることができる。第1図にマダガス
カル産天然黒鉛を350℃21日間フッ素化して得られた(C
2F)n(F/C比:0.65)をアルゴンガス雰囲気下で約5℃
/分の昇温速度で600℃まで加熱することにより分解し
て得られた分解残留炭素の走査型電子顕微鏡による2000
倍拡大写真を示す。また、日本学術振興会第117委員会
により制定された炭素材料の格子定数及び結晶子の大き
さの測定法により測定した上記(C2F)nの分解残留炭
素の格子定数及び結晶子の大きさを、マダガスカル産天
然黒鉛、2800℃で熱処理した石油コークス、熱処理をし
ない石油コークス、HNO3黒鉛層間化合物(この層間化合
物での層間侵入体との結合はイオン結合)から製造した
膨張黒鉛及びMgF2及びF2と黒鉛から得られる3成分系黒
鉛層間化合物(この層間化合物での層間侵入体との結合
はイオン結合)から製造した膨張黒鉛の格子定数と結晶
子の大きさを比較したものを第1表に示す。
次に、上記のようにして得た分解残留炭素をフッ素化し
て本発明の電池活物質となる新規なフッ化黒鉛を得る。
分解残留炭素のフッ素化について以下に説明するが、次
に述べる方法はフッ素ガスを用いるフッ素化法の一例を
示すものであり、本発明に用いるフッ化黒鉛の製造は以
下の方法に限定されるものではなく、電解フッ素化によ
っても得ることができる。
分解残留炭素のフッ素化は一般にフッ素気流中約20〜55
0℃で行なわれるが、分解残留炭素がフッ化黒鉛の分解
残留炭素の場合は一般に350〜550℃、好ましくは380〜5
20℃、更に好ましくは400〜500℃で行なわれる。分解残
留炭素が酸化黒鉛の場合は、酸化黒鉛を製造するときの
炭素材料の種類によってその得られた酸化黒鉛の分解残
留炭素のフッ素化温度は異なる。一般に天然黒鉛から製
造した酸化黒鉛分解残留炭素の方が、石油コークスから
製造した酸化黒鉛分解残留炭素よりもフッ素化温度は高
く300〜500℃、好ましくは350〜450℃である。石油コー
クスから製造した酸化黒鉛分解残留炭素のフッ素化温度
は20〜550℃、好ましくは100〜450℃、更に好ましくは1
50〜400℃である。反応温度が550℃よりも高くなると結
晶の乱れた部分が分解し結晶性の高い所だけが残り、従
来の(CF)nと変わらなくなるので好ましくない。フッ
素気流の流速は分解残留炭素の量によって異なるので臨
界的ではないが、例えば、数百〜数gの分解残留炭素を
フッ素化するためのフッ素の流速としては10〜50cc/分
の流速で行なうことができる。フッ素圧は100〜760mmHg
で行なうことができる。本発明におけるフッ素化反応
は、炭素のフッ素化反応による発熱が、認められなくな
った時点をもって終らせる。その時点は例えば、反応器
内の温度変化により確認することができる。その反応時
間は分解残留炭素の量やフッ素気流の流速によって異な
るが数十分から約6時間である。しかしながら、反応温
度が約500〜550℃の高温側で行う場合はフッ素化反応に
わずかだが分解反応を伴い、分解反応が発熱反応である
ためフッ素化反応と分解反応の発熱が重なるが、反応系
の温度が一定になた時点を目安として反応終了する。フ
ッ化温度が約500℃以上では反応時間が長くなると、即
ち上記の反応系の温度が一定となった時点よりも更に反
応を行うと、結晶の乱れ桁部分が分解して従来の(CF)
nと変わらなくなるので好ましくない。
以上、共有結合性黒鉛層間化合物としてフッ化黒鉛及び
酸化黒鉛を例にとり、その分解残留炭素のフッ素化によ
る本発明に用いる新規なフッ化黒鉛の製造方法について
説明したが、酸化黒鉛の分解残留炭素を用いる方法は原
料としての共有結合性黒鉛層間化合物の製造に高いフッ
素を必要としない点において有利であり、更に、酸化黒
鉛の生成と分解を同一反応系内で行なう方法はその操作
が連続的で且つ簡単であるという点で有利であるのみな
らず、後で示す実施例から明らかなように、それより作
製した電池の放電特性が極だって優れているのは注目す
べきことである。
このようにして得られたフッ化黒鉛は、F/Cは、高温側
で例えば450〜550℃でフッ素化して得たものは0.8〜1.2
である。色相は従来の(CF)nが白色であるのに対し、
本発明で用いるフッ化黒鉛は黒色ないし黒褐色もしくは
灰色であり、従来の(CF)nとは異なるものである。黒
色ないし黒褐色もしくは灰色を呈しているのは、非干渉
性の芳香族縮合炭環(以下しばしば欠陥部という)が存
在するためと考えられる。19F-NMRで分析するとこの欠
陥部に化学吸着した遊離のフッ素(以下単に吸着フッ素
という)の存在が認められるが、従来の一般の炭素材料
または結晶性炭素材料を直接フッ素化して得られる(C
F)nにはこの吸着フッ素の存在は認められない。第3
図に本発明で用いられる新規なフッ化黒鉛と従来の(C
F)n及び(C2F)nの19F-NMR分析の結果を示す。第3
図において本発明で用いられるフッ化黒鉛はマダガスカ
ル産天然黒鉛を350℃で21日間フッ素化して得られた(C
2F)nをアルゴン雰囲気中で600℃まで昇温して分解さ
せ分解残留炭素を得、得られた分解残留炭素を450℃で3
0分間フッ素化して得られたものである。第3図に示す
従来の(CF)nはマダガスカル産天然黒鉛を直接600℃
でフッ素化して得られたものであり、(C2F)nはマダ
カスカル産天然黒鉛を直接350℃でフッ素化して得られ
たものである。第3図から明らかなように、本発明で用
いられるフッ化黒鉛は従来の(CF)n及び(C2F)nと
異なり、吸着フッ素に由来する鋭い狭幅ピークが認めら
れる。
以上から明らかなように、本発明で電池活物質として用
いられるフッ化黒鉛は、特公昭48−25565号明細書に開
示されているような一般の炭素材料または結晶性炭素材
料を直接フッ素化して得られる(CF)nとは全く異なる
構造の新規なフッ化黒鉛である。この従来の(CF)n及
び(C2F)nとは異なる本発明の新規なフッ化黒鉛より
なる電池活物質を用いると、放電電位が高く、電位平坦
性が優れ、放電容量が大きいという電池の特性として必
要なすべての特性において極めて優れた電池が得られる
ことは驚くべきことである。
次に、上記のようにして分解残留炭素のフッ素化によっ
て得られる新規なフッ化黒鉛よりなる電池活物質を用い
て電池を作製する方法について説明する。例えば、本発
明のフッ化黒鉛をカーボンブラック、アセチレンブラッ
クのような導電材料及びポリエチレン、フッ素樹脂(例
えばポリ四フッ化エチレン)或いは膨張黒鉛のようなバ
インダーと混合して電池活物質混合物を調製する。この
混合物は一定のサイズに容易に成形することができ、そ
れによって本発明の電池活物質を含む正極を得ることが
できる。この場合導電材料として渡辺らの開発したCxF
(MFz)yで表わされる黒鉛とフッ化金属及びフッ素との3
成分黒鉛層間化合物(式中、Mはアルカリ金属、アルカ
リ土類金属、遷移金属、周期律表IIIA族の金属、及び鉛
から選ばれた金属を表わし、xは約1〜約100、yは約
0.0001〜約0.15、zは上記のMで表わされる金属の原子
価を示す)特開昭58−60607号、58−60608号、59−5001
1号及び59−164603号明細書)を用いると、優れた導電
性を付与すると同時にそれに含有されるフッ素分によっ
て電池の放電特性が更に改善されて有利である。導電材
料としてのカーボンブラック又はアセチレンブラックの
量は臨界的でなく、電池活物質に対して約100重量%位
までを用いることができ、好ましくは3〜20重量%、更
に好ましくは8〜15重量%である。バインターの量も臨
界的ではなく、電池活物質に対して約100重量%位まで
を用いることができ、好ましくは1〜10重量%である。
膨張黒鉛は、バインダーとしてのみならず導電材料とし
ても作用するので有利であり、その使用量は臨界的では
なく、電池活物質に対して約100重量%位までを用いる
ことができるが、好ましくは25〜75重量%である。この
ようにして、正極は上記の電池活物質混合物を成形する
ことによって簡単に製造できるが、好ましくは、補強材
としてのニッケルスクリーンを中に入れて成形するのが
よい。補強材としては、また、種々の金属スクリーン、
金属グリッド、多孔板、薄片板、炭素繊維などを用いる
こともできる。
本発明による電池活物質よりなる正極の対極としての負
極の材料としては、軽金属又は軽金属合金を挙げること
ができる。その例は、リチウム、ナトリウムのようなア
ルカリ金属、マグネシウム、カルシウムのようなアルカ
リ土類金属、アルミニウム、及びそれらの金属の合金で
ある。
本発明の電池活物質を用いる電池に使用する電解液は用
いる負極の種類に依存するが、普通は非水系のものが用
いられる。電解液の濃度は臨界的ではなく、高い電導度
を与えるように選ぶことができる。電解液の溶質として
は種々の化合物を用いることができ、例えばLiBF4,LiC
lO4,KPF6,LiAlCl4などがある。電解液の非水系溶媒と
しては、例えば、プロピレンガーボネート、エチレンカ
ーボネート、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラ
ン、ジメホルスルホキサイド、ジメチルサルファイト、
1,2−ジメトキシエタン、メチルホルメート、アセトニ
トリルなどが挙げられる。又、固体電解質を使うことも
できる。
上記のように、本発明の新規なフッ化黒鉛よりなる電池
活物質は、前述の従来の(CF)nに比較して放電電位、
電位平坦性、放電容量、貯蔵安定性共に優れた電池を与
えることはまことに意外なことであり、従来のフッ化黒
鉛系電池において、電位平坦性に優れていれば放電電位
に問題があり、一方放電電位が高いと電位平坦性に問題
があるというような技術的ジレンマを見事に解決したも
のであり、その工業的価値は極めて高いものである。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1 マダガスカル産天然黒鉛(200〜250メッシュ、タイラ
ー)を350℃で21日間フッ素化してF/C比が0.65の(C
2F)nを得た。得られた(C2F)nをアルゴン気流中で
5℃/分昇温速度で加熱した。(C2F)nの熱分解は示
差熱分析により追跡した。分解開始温度は480℃、熱分
解温度のピークは574℃で、分解終了は600℃であった。
分解終了後降温した。このようにして得られた分解残留
炭素は元素分析の結果4重量%のフッ素を含有してい
た。分解残留炭素の走査型電子顕微鏡による2000倍拡大
写真を第1図に示す。得られた分解残留炭素はフッ素雰
囲気下450℃で30分間フッ素化し、フッ化黒鉛を得た。
得られたフッ化黒鉛の走査型電子顕微鏡による2000倍拡
大写真を第2図に示す。得られたフッ化黒鉛は元素分析
の結果F/C比が0.99であった。
得られたフッ化黒鉛をアセチレンブラック及びポリエチ
レンと重量比1:1:1で混合し約4600Kg/cm2の圧で1分間
圧縮し、直径9mmのペレット状に成形した。電解質の調
整に用いるプロピレンカーボネート(以下PCと略す)は
含水率100ppmのものを用いた。即ち、10torr、100℃以
下で真空蒸留により脱水精製した後、4Aモレキュラーシ
ーブ(4Åのふるいサイズをもつ、デュポン社製、米
国)上で乾燥させながらデシケーター内に保存したもの
を用いた。過塩素酸リチウムは五酸化リンで乾燥させた
後、1週間以上真空乾燥したものを用いた。電解質とし
ては過塩素酸リチウムの1M PC溶液を用いた。過塩素酸
リチウムの酸1M PC溶液は使用まで4Aモレキュラシーブ
上で乾燥させデシケーターまたはドライボックス内で保
存した。負極及び参照極はリチウムブロックから切り出
したリチウムをそのまま用いた。セルはフッ素樹脂(ポ
リフロン)製で、電極間距離を10mmとした。フッ化黒鉛
電極はニッケル網または黒鉛繊維(カーボロン)によっ
て電気的接続を行ない、セルの溝にはめこみ保持した。
リチウムアノード極(10mm×35mm)はニッケル網によっ
て電気的接続を行ない、同様にセルの溝に保持した。リ
チウム参照極はニッケル線または白金線で電気的接続を
行ない、各々のリード線はポリエチレンで絶縁した。
アルゴン雰囲気下25℃で電流密度0.5mÅ/cm2で定電流
放電を行ない、閉回路電圧(CCV)、25%放電時の開回
路電圧(OCV)、過電圧、及び放電容量の放電特性を調
べた。結果を第2表に示す。また放電容量と電位との関
係を第4図の曲線IIIに示す。
比較例1 マダガスカル産天然黒鉛(200〜250メッシュ、タイラ
ー)を600℃でフッ素化して得られたフッ化黒鉛(CF)
nを電池活物質として用いる以外は実施例1と同様の方
法により電池を構成し、同様に放電特性を調べた。得ら
れた結果を第2表に示す。また放電容量と電位の関係を
第4図の曲線Iに示す。
比較例2 マダガスカル産天然黒鉛(200〜250メッシュ、タイラ
ー)を350℃でフッ素化して得られたフッ化黒鉛(C2F)
nを電池活物質として用いる以外は実施例1と同様の方
法により電池を構成し、同様に放電特性を調べた。得ら
れた結果を第2表に示す。また放電容量と電位との関係
を第4図の曲線IIに示す。
実施例2〜5 マダガスカル産天然黒鉛(20〜50メッシュ、タイラー)
10gを硝酸ナトリウム5gと混合しフラスコに入れ、硫酸2
30mlを加えて攪拌冷却しながら過マンガン産カリウムを
除々に30g加えた。次に混合物を35℃で20分間放置した
後、水を加えて水和熱で180℃まで温度を上昇させてそ
の温度で30分間反応させた。反応終了後、さらに水を加
えて温度を下げ、得られる分解残留炭素を水洗して分解
残留炭素を得た。得られた分解残留炭素をX線回折で調
べた。得られたX線回折パターンを第9図の曲線1及び
第10図の曲線1に示す。分解残留炭素の走査型電子顕微
鏡写真(2000倍)を第5図に示す。次に分解残留炭素を
400℃で2時間真空乾燥した。乾燥後の分解残留炭素の
走査型電子顕微鏡写真(2000倍)を第6図に示す。また
乾燥後の分解残留炭素のX線回折パターンを第10図の曲
線1−Bに示す。乾燥した分解残留炭素のフッ素化は第
3表に示す反応条件で行なった。得られたフッ化黒鉛の
回折パターンを第10図の曲線1−Cに示す。また得られ
たフッ化鉛のフッ素化条件が500℃(F−1)のもの及
び400℃(F−3)のものの走査型電子顕微鏡写真(200
0倍)をそれぞれ第7図及び第8図に示す。得られたフ
ッ化黒鉛を電池活物質として用いる以外は実施例1と同
様にして電池を構成し、同様に放電特性を測定した。結
果を第3表に示す。また放電容量と電位の関係を第12図
及び第13図に示す。第12図において曲線I及びIIは比較
例1及び2で得た(CF)n及び(C2F)nの放電特性を
示す。
比較例3 分解残留炭素のフッ素化を600℃で4時間行う以外は実
施例2と同様の方法でフッ化黒鉛を得た。得られたフッ
化黒鉛のX線回折パターンを第14図の曲線F−5に示
す。得られたフッ化黒鉛のX線回折パターンは、後に述
べる従来の(CF)nのX線回折パターンと実質的に同一
である。得られたフッ化黒鉛を電池活物質として用いる
以外は実施例1と同様にして電池を構成し、同様に放電
特性を調べた。結果を第3表に示す。また放電容量と電
位の関係を第15図に示す。
比較例4 熱処理していない石油コークスを直接フッ素化して得ら
れる(CF)nを電池活物質として用いる以外は実施例1
と同様にして電池を構成し、同様に放電特性を調べた。
得られた放電容量と電位の関係を第13図の曲線IVに示
す。
実施例6〜8 マダガスカル産天然黒鉛(20〜50)メッシュ、タイラ
ー)10gに硝酸ナトリウム5gを混合しフラスコに入れ硫
酸230mlを加えて攪拌冷却しながら過マンガン酸カリウ
ムを除々に30g加えた。次に混合物を40℃で22時間半放
置した後、水を加えて水和熱で98℃まで温度を上昇させ
てその温度で15分間反応させた。反応修了後、反応混合
物中に生成したフレーク状の酸化黒鉛をガーゼを用いて
分離し、アルコールで洗浄した。得られた酸化黒鉛のX
線回折パターンを第9図の曲線2及び第11図の曲線2に
示す。この酸化黒鉛を0.2℃/分の昇温速度で400℃まで
加熱昇温して分解し、さらに400℃及び500℃でそれぞれ
真空中2時間加熱分解し、加熱分解後X線回折により調
べた。0.2℃/分の昇温速度で400℃まで加熱して得た分
解残留炭素、更に400℃真空中で2時間加熱して得た分
解残留炭素、及び更に500℃真空中で2時間加熱して得
た分解残留炭素のX線回折パターンをそれぞれ第11図の
曲線2−B、2−C及び2−Dに示す。500℃真空中で
の2時間の加熱分解によって得られた上記の分解残留炭
素についてそれぞれ450℃で2.5時間、400℃で2.5時間及
び350℃で4時間フッ素化し、電池活物質となる各フッ
化黒鉛を得た。得られたフッ化黒鉛のX線回折パターン
を第11図の曲線2−Eに示す。
実施例9 2800℃で30分間熱処理した石油コークス10gを硝酸ナト
リウム5gと混合しフラスコに入れ、硫酸230mlを加えて
攪拌冷却しながら過マンガン酸カリウムを除々に30g加
えた。次に混和物を室温で30分間放置した後、水を加え
て水和熱で180℃まで温度を上昇させてその温度で5分
間反応させた。反応修了後、さらに水を加えて温度を下
げ、分解残留炭素を得た。得られた分解残留炭素を水洗
した後400℃で2時間真空乾燥した。得られた分解残留
炭素をフッ素雰囲気下300℃で2時間フッ素化し、フッ
化黒鉛を得た。得られたフッ化黒鉛は元素分析の結果F/
C比が1.19であった。また得られたフッ化黒鉛をX線回
折で調べた。得られたX線回折パターンを第16図に示
す。得られたフッ化黒鉛を電池活物質として用いる以外
は実施例1と同様にして電池を構成し、同様に放電特性
を測定した。その結果、放電容量は860mAh/g、エネルギ
ー密度は1730VAh/Kgであった。
実施例10 未熱処理石油コークス10gを硝酸ナトリウム5gと混和し
たフラスコに入れ、硫酸200mlを加えて攪拌冷却しなが
ら過マンガン酸カリウムを除々に30g加えた。次に混和
物を室温で30分間放置した後、水を加えて180℃まで温
度を上昇させてその温度で20分間反応させた。反応終了
後、さらに水を加えて温度を下げ、分解残留炭素を得
た。得られた分解残留炭素を水洗した後400℃で2時間
真空乾燥した。得られた分解残留炭素をフッ素雰囲気下
200℃で170時間フッ素化し、フッ化黒鉛を得た。得られ
たフッ化黒鉛は元素分析の結果F/C比が1.28であった。
また得られたフッ化黒鉛をX線回折で調べた。得られた
X線回折パターンを第17図に示す。
比較例5 マダガスカル産天然黒鉛(150〜200メッシュ、タイラ
ー)を591℃で27.5時間フッ素化してフッ化黒鉛(CF)
nを得た。得られたフッ化黒鉛(CF)nをX線回折に供
してX線回折パターンを得た。結果を第18図に示す。得
られたフッ化黒鉛を電池活物質として用いる以外は実施
例1と同様にして電池を構成し、同様に放電特性を測定
した。放電容量と電位の関係を第19図に示す。
本発明において、X線回折は日本電子社製X線回折装置
JDX−8Fを用いてCu−Kα線で30kV、10mAの条件で行な
った。又、19F-NMR分析はバリアン社(米国)製NMR分析
装置WL109を用いてH0=3750G、ν=15MHzの条件で行な
った。
【図面の簡単な説明】
第1図はマダガスカル産天然黒鉛から製造した(C2F)
nの分解残留炭素の走査型電子顕微鏡写真を示す。第2
図はマダガスカル産天然黒鉛から製造した(C2F)nの
分解残留炭素をフッ素化して得られたフッ化黒鉛の走査
型電子顕微鏡写真を示す。第3図は従来の(CF)n及び
(C2F)n、および(C2F)nの分解残留炭素をフッ素化
して得られる本発明の新規なフッ化黒鉛の19F-NMR分析
による分析結果を示す。第4図は従来の(CF)n及び
(C2F)n、および本発明の新規なフッ化黒鉛の放電特
性と電位の関係を示すグラフである。第5図は酸化黒鉛
の分解残留炭素の走査型電子顕微鏡写真を示す。第6図
は酸化黒鉛の分解残留炭素の乾燥後の走査型電子顕微鏡
写真を示す。第7図は酸化黒鉛の分解残留炭素を500℃
でフッ素化して得られたフッ化黒鉛の走査型電子顕微鏡
写真である。第8図は酸化黒鉛の分解残留炭素を400℃
でフッ素化して得られたフッ化黒鉛の走査型電子顕微鏡
写真である。第9図は酸化黒鉛のX線回折パターンと、
酸化黒鉛の製造及び分解を連続的に行う方法で得られた
分解残留炭素のX線回折パターンを示す。第10図は酸化
黒鉛の製造及び分解を連続的に行う方法で得られた分解
残留炭素、それを400℃で2時間真空乾燥後の分解残留
炭素及び該真空乾燥後の分解残留炭素をフッ素化して得
られたフッ化黒鉛のX線回折パターンを示す。第11図は
酸化黒鉛とその熱分解残留炭素及び分解残留炭素をフッ
素化して得られたフッ化黒鉛のX線回折パターンを示
す。第12図及び第13図は酸化黒鉛の分解残留炭素をフッ
素化して得られたフッ化黒鉛の放電特性と従来の(CF)
nまたは(C2F)nの放電特性とを比較して示すグラフ
である。第14図は酸化黒鉛の熱分解残留炭素を600℃で
フッ素化して得られたフッ化黒鉛のX線回折パターンを
示す。第15図は酸化黒鉛の熱分解残留炭素を600℃でフ
ッ素化して得られたフッ化黒鉛の放電特性を示すグラフ
である。第16図は熱処理石油コークスの酸化黒鉛の熱分
解残留炭素を300℃でフッ素化して得られたフッ化黒鉛
のX線回折パターンを示す。第17図は未熱処理石油コー
クスの酸化黒鉛残留炭素を200℃でフッ素化して得られ
たフッ化黒鉛のX線回折パターンを示す。第18図及び第
19図は従来の(CF)nのX線回折パターン及び放電特性
をそれぞれ示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(CF)n、(C2F)n又はその混合物で
    あるフッ化黒鉛、及び酸化黒鉛よりなる群から選ばれる
    共有結合性黒鉛層間化合物を、その分解温度以上の温度
    で加熱処理することにより該黒鉛層間化合物を分解せし
    めて分解残留炭素を得、その際、該加熱分解処理は、 共有結合性黒鉛層間化合物がフッ化黒鉛の場合には、フ
    ッ化黒鉛を不活性ガス、空気または真空中で580〜620℃
    まで加熱して行ない、 共有結合性黒鉛層間化合物が酸化黒鉛の場合には、酸化
    黒鉛を不活性ガスまたは空気中で1℃/分以下の昇温速
    度で200〜400℃まで昇温した後、真空中において400〜5
    00℃に加熱して行ない、 次いで、該分解残留炭素をフッ素化することによって得
    られるフッ化黒鉛よりなることを特徴とする電池活物
    質。
  2. 【請求項2】分解残留炭素のフッ素化によって得られる
    フッ化黒鉛が、20〜550℃の温度でのフッ素ガスによる
    フッ素化によって得られるフッ化黒鉛であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の電池活物質。
  3. 【請求項3】結晶性炭素又は無定形炭素と強酸系酸化剤
    および水とからなる反応系より得られる酸化黒鉛を該反
    応系から単離することなくそのまま120〜230℃まで加熱
    昇温することにより分解せしめて分解残留炭素を得、該
    分解残留炭素をフッ素化して得られるフッ化黒鉛よりな
    ることを特徴とする電池活物質。
  4. 【請求項4】昇温のための熱の少なくとも一部が反応系
    に更に水を加えることにより生じる反応系中の強酸系酸
    化剤と加えた水との水和熱によって供給されることを特
    徴とする特許請求の範囲第3項記載の電池活物質。
  5. 【請求項5】分解残留炭素のフッ素化によって得られる
    フッ化黒鉛が、20〜550℃の温度でのフッ素ガスによる
    フッ素化によって得られるフッ化黒鉛であることを特徴
    とする特許請求の範囲第3項記載の電池活物質。
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