JPH067794B2 - 新規酸性カルボキシペプチダ−ゼ及びその製法 - Google Patents

新規酸性カルボキシペプチダ−ゼ及びその製法

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JPH067794B2
JPH067794B2 JP79786A JP79786A JPH067794B2 JP H067794 B2 JPH067794 B2 JP H067794B2 JP 79786 A JP79786 A JP 79786A JP 79786 A JP79786 A JP 79786A JP H067794 B2 JPH067794 B2 JP H067794B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本考案は、例えば、蛋白質加水分解物の苦味ペプチドの
除去の如き飲食品類分野、蛋白質のアミノ酸配列の決定
の如き蛋白質研究分野、消化剤としての利用の如き医薬
品分野、その他、広いプロテアーゼ利用分野において有
用な酸性カルボキシペプチダーゼ及びその製法に関し、
さらに詳しくは、モナスカス属(Monascus)に属する酸性
カルボキシペプチダーゼ生産菌が生産した新規な酸性カ
ルボキシペプチダーゼ及びその製法に関する。
プロテアーゼは大別すると、エンドペプチターゼとエキ
ソペプチダーゼに大別され、前者は、末端を同時に切断
するものを包含して蛋白構成ペプチド結合をその末端以
外のところで必ず切断する酵素作用を有し、後者は、蛋
白構成ペプチド結合をその末端NH又は末端COOH
で切断する酵素作用を有する点で、酵素学的に異なるプ
ロテアーゼとして区別されている。
後者のエキソペプチダーゼ型のペプチターゼ中、蛋白構
成ペプチド結合をその末端NHで切断する酵素はアミ
ノペプチダーゼと呼ばれ、その末端COOHで切断する
酵素はカルボキシペプチダーゼと呼ばれている。本発明
は上記エキソペプチダーゼ型のペプチターゼ中、酸性カ
ルボキシペプチダーゼに関し、特に、モナスカス属に属
する酸性カルボキシペプチダーゼ生産菌が生産した酸性
カルボキシペプチダーゼに関する。従来、モナスカス属
に属する微生物中に、エキソペプチダーゼ型に属する酸
性カルボキシペプチダーゼを生産する微生物が存在する
ことは全く知られていない。
酸性カルボキシペプチダーゼは動植物中から数多く見出
されており、その作用機作も多岐にわたっている。たと
えば、下表1に示すような植物源の酸性カルボキシペプ
チダーゼ及び下記表2に示すような動物源の酸性カルボ
キシペプチダーゼが知られている。
更に、微生物から或は微生物が生産する酸性カルボキシ
ペプチダーゼについても数多く知られており、例えば、
下記表3に示す微生物源の酸性カルボキシペプチダーゼ
が知られている。
上述の如き従来公知の酸性カルボキシペプチダーゼの酵
素学的性質は多岐にわたるが、例えば、表1及び表2に
示したような動植物源のカルボキシペプチダーゼは、そ
の原料上の制約、分離採取の操作、収量などの点で種々
の制約をうける難点があり、微生物源の量が望まれる。
しかしながら、前表3に示したような微生物源の酸性カ
ルボキシペプチダーゼにおいても、その基質特異性など
の点で必ずしも満足し得ないのが実情である。
かかる、微生物源の酸性カルボキシペプチダーゼとし
て、糸状菌に属する前表3に示したアスペルギルス属、
ペニシリウム属に属する微生物が生産するペプチダーゼ
の他に、モナスカス属に属する糸状菌が生産する酸性プ
ロテアーゼについても、いくつかの報告が知られてい
る。
例えば、Int.J.Peptide Protein Res.,12,(197
8),293〜302及びBiochimiaet.Biophysica,Act
a、614,(1980),607〜612には、モナス
カス属に属する菌株モナスカス・カオリアン(Monascus
kaoliang)が酸性プロテアーゼ(acid protease)を生産し
たことが報告されている。これらの報告によれば、該モ
ナスカス・カオリアンの生産した酸性プロテアーゼは、
分子量34000(電気泳動法、SDS−ポリアクリル
アミドゲル)のエンドペプチダーゼ型の酸性プロテアー
ゼであることが示されており、本発明が対象とするエキ
ソペプチダーゼ型に属する酸性カルボキシペプチダーゼ
とはタイプを異にするし、且つ分子量(約75000及
び約150000)の点でも明瞭に異なっている。
又、日本農芸化学会 昭和57年大会講演要旨集、酵素
99、1H−2には、モナスカス属に属する菌株モナス
カスsp.3403(Monascus sp.3403)の生産する
酸性プロテアーについて報告されている。この報告によ
れば、該モナスカスsp.3403の生産した酸性プロテ
アーゼは分子量約43000(超遠心分析法)でミルク
カゼイン、ヘモグロビン、牛血清アルブミン等によく作
用することで示されるエンドペプチダーゼ型の酸性プロ
テアーゼであると認められる。従って、本発明が対象と
するエキソペプチダーゼ型に属する酸性カルボキシペプ
チダーゼとはタイプを異にするし、且つ分子量の点でも
明瞭に異なっている。
本発明者等は、実用価値の高い微生物起源のペプチダー
ゼを提供すべく、その生産菌を検索していたところ、上
述のエンドペプチダーゼ型の酸性プロテアーゼとはタイ
プを異にするエキソペプチダーゼ型である酸性カルボキ
シペプチダーゼを生産するモナスカス属に属する酸性カ
ルボキシペプチダーゼ生産菌を発見した。更に意外なこ
とには、該生産菌はモナスカス属に属する公知自由分譲
菌として容易に入手可能な菌株から選択でき、強力な酸
性カルボキシペプチダーゼを産生することを発見した。
従って、本発明の目的は従来公知のモナスカス属微生物
産生酸性カルボキシペプチダーゼを提供するにある。
本発明の他の目的は、該酸性カルボキシペプチダーゼの
製法の提供するにある。
本発明の上記目的及び更に多くの他の目的ならびに利点
は、以下の記載から一層明らかとなるであろう。
本発明によれば、モナスカス属に属する酸性カルボキシ
ペプチダーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペプチダ
ーゼが提供できる。該酸性カルボキシペプチダーゼは、
モナスカス属に属する従来公知の酸性ペプチダーゼ生産
菌であるモナスカス・カオリアンやモナスカスsp.34
03が産生するペプチダーゼが、エンドペプチダーゼ型
であったのに対して、エキソペプチダーゼ型に属するペ
プチダーゼである点で大きく異なっている。
本発明のモナスカス属に属する酸性カルペキシペプチダ
ーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペプチダーゼは、
モナスカス属に属する酸性カルボキシペプチダーゼ生産
菌を培養し、培養物から酸性カルボキシペプチダーゼを
採取することによって容易に製造することができる。
上記モナスカス属に属する酸性カルボキシペプチダーゼ
生産菌の例としては、例えば、下記例示の如き公知の自
由分譲菌を例示することができる。
モナスカス・アンカ Monascus anka IFO 4478,IF 06
540,IAM 8602,ATCC 16360 モナスカス・アンカ Monascus anka uar.rubell ファール・ルベルス us ATCC 16379 モナスカス・ Monascus fulignosus フリジノスス ATCC 16378 モナスカス・ カジュール monascus kajor AHU 9089 モナスカス・ Monascus pubigerus ブビゲルス ATCC 16364 モナスカス・ Monascus purpureus IFO プルプレウス 4513,OUT 2013,OUT 2014, モナスカス・ Monascus vitreus ヴィトレウス ATCC 16371 モナスカス・ Monascus major ATCC メイジャー 16362 モナスカス・ Monascue rubiginosus ルビギノサス ATCC 16367 モナスカス・ ルバー Monascus ruber NHL 2399 本発明において、上記例示の如きモナスカス属に属する
酸性カルボキシペプチダーゼ生産菌の培養は、例えば適
当な炭酸源、更には適当な窒素源、有機酸源、ミネラル
類などを適宜に含有する培地に於て、該生産菌を培養す
ることにより行うことができる。培養条件は、利用する
菌株の種類、培地組成、培養方式などによっても、適当
に選択変更できるが、例えば、pH約2〜約7、温度約1
5〜約40℃、培養期間約10時間〜約7日間の如き培
養条件を例示することができる。培養は、好気性条件下
に行なうのが普通であり、培養方式としては、静置条件
下、振盪条件下、撹拌条件下、通気条件下など適当な好
気性条件下での液体培養もしくは固体培養を挙げること
ができる。
上記培養の数態様について例示すると、上記例示した如
きモナスカス属に属する酸性カルボキシペプチダーゼ生
産菌株を、例えば米粒、破砕米、バガス、食パンもしく
はパン粉などに接種し、好ましくは有機酸を添加してpH
2〜5前後に調整した培地を堆積し通気培養するなどの
固体培養方式を採用して行うことができる。或いは又、
例えば糖類、デキストリン、澱粉、廃糖密などの炭水化
物と主成分として、これに有機及び/又は無機窒素化合
物、マグネシウム塩、リン酸塩及びその他の無機塩類及
びビタミンなどを含む培地で、例えばpH2.5−7.
0、約20〜35℃において、約4日〜8日間静置、振
盪、撹拌もしくは通気培養などを行う液体培養方式の態
様を採用することもできる。
上述のようにして、モナスカス属に属する酸性カルボキ
シペプチダーゼ生産菌を適当な培地で培養して、該生産
菌株の菌体内及び菌体外に所望の従来文献末記載のエキ
ソペプチダーゼ型に属する酸性カルボキシペプチダーゼ
を産生蓄積させることができる。斯くて得られる培養物
(菌体内及び/又は菌体外生産物)から、それ自体公知
の採取手法を利用して、本発明のモナスカス属に属する
酸性カルボキシペプチダーゼ生産菌が生産した酸性カル
ボキシペプチダーゼを採取することができる。
例えば、上述のようにして得ることのできる液体培養の
培養液もしくは、固体培養物を、摩砕法、音波法、凍結
融解、自己消火、酸素処理、界面活性剤などを用いた抽
出などを行ったのち、酸性下で種々の塩を含む水溶液あ
るいは緩衝液を用いて、酵素を抽出した後、限外ろ過塩
析、有機溶媒による分別沈殿など常法の酵素分離手段に
より分離を行い、更にSephadex等によるゲル過、或い
は各種の吸着樹脂を用いて精製することにより本発明の
酸性カルボキシペプチダーゼを得ることができる。
本発明のモナスカス属に属するカルボキシペプチダーゼ
生産菌が産生した酸性カルボキシペプチダーゼは、上述
したように該生産菌の菌体外に産生蓄積されるものと、
菌体に結合した形で産生蓄積されるものがあり、その比
率は、遊離型(菌体外)約25%、菌体結合型(菌体
内)約75%であった。菌体結合型の酵素は培養物から
分離した菌体そのまま、あるいは分離菌体を真空乾燥、
もしくは例えばアセトン、エタノール、n-ブタノール等
の水混和性有機溶媒で脱水乾燥することにより、一挙に
固定化酵素として有用な乾燥物の形で得ることができ
る。また一方、菌体結合型の酵素は例えば培養物のpHを
約5.5〜約7.5に調製し、更にクロロホルム、酢酸
エチル、トルエンなどの有機溶媒を用いて抽出可溶化す
ることにより、菌体外に蓄積された遊離型酵素と全く同
様に扱うことができる。
本発明のモナスカス属に属する酸性カルボキシペプチダ
ーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペプチダーゼは、
ペプチドのカルボキシ末端からアミノ産を逐次遊離する
エンドペプチダーゼであり、これまで知られていたモナ
スカス属菌株の産生する酸性プロテアーゼが蛋白質分解
作用もつエンドペプチダーゼであるのと全く異なり、本
発明者等によって始めて発見されたものである。以下本
発明の酸性カルボキシペプチダーゼの諸性質及び公知の
酸性カルボキシペプチダーゼとの相違点を詳細に説明す
る。
本発明のモナスカス属に属する酸性カルボキシペプチダ
ーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペプチダーゼと、
モナスカス属に属する菌株が生産する従来公知の酸性プ
ロテアーゼとの主な特性を対比して示すと下表Aのよう
に示すことができる。
以下に、本発明のモナスカス属に属する酸性カルボキシ
ペプチダーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペプチダ
ーゼの酵素学的性質の詳細について説明する。
(1)酵素作用 本酵素はpH2乃至6の酸性下で蛋白質及びペプチドのカ
ルボキシ末端のペプチド結合を加水分解し、調整、酸性
あるいは塩基性アミノ酸ならびにプロリンからなるアミ
ノ酸のいずれをも逐次遊離することができる酸性カルボ
キシペプチダーゼ〔エキソ・ペプチダーゼ〕である。
(2)基質特異性 本発明の酸性カルボキシペプチダーゼの遊離型及び菌体
結合型酵素の低分子合成基質に対する基質特異性を表4
に示す。
尚、Zはベンジルオキシカルボニル基を表わし、BZは
ベンゾイル基を表わす。
表4の結果から明らかな如く、本発明酵素はカルボベン
ゾキシ−グリシル−ロイシンアミド〔Z−Gly−Leu−
NH〕に対して活性が認められないことからアミダー
ゼ活性をもたず、また第1図に示した如くテトラペプチ
ドであるZ−Gly−Pro−Leu−Glyに本酵素を作用さ
せ(pH5.0、30℃)、反応時間1.5時間、4.5時
間、17時間、24時間、40時間の各時間ごとに反応
物からサンプリングし、ニンヒドリン試薬を用いた生成
アミノ酸量の定量及び該アミノ酸の高速液体クロマト分
析による構成アミノ酸の分析を行ったところ、明らかに
カルボキシル末端のグリシンが最初に分離し、次いでロ
イシン、が分離してくることが認められ、本酵素が真の
カルボキシペプシダーゼ作用を示すことが確認された。
(3)作用至適pH及び安定pH範囲 本発明のモナスカス属に属する酸性カルボキシペプチダ
ーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペプチダーゼの至
適pHを第2図及び第3図に示す。カルボベンゾキシ−グ
ルタミル−チロシンに作用させた場合の至適pHは、遊離
型酵素の場合(第2図)pH3.0及び菌体結合型酵素の
場合(第3図)はpH4.4であり、至適pH3〜5〔30
℃、10分〕と認められた。
また安定pH範囲は、第4図(遊離型)及び第5図(菌体
結合型)に示したように30℃、10分処理後、共にpH
2〜pH6のpH域である。
(4)力価測定法及び力価表示 力価の測定は、ペプチドの加水分解により生ずる遊離ア
ミノ酸を比色法で定量することにより行った。すなわ
ち、0.05M酢酸緩衝液(pH3.1)に溶解した酢酸
液2mを30℃、10分間予熱ののち、これに0.0
5M酢酸緩衝液(pH3.1)に10−3Mのカルボベン
ゾキシ−グルタミル−チロシンを溶解した基質2mを
一定時間反応させ、次いで、0.3MNaOHD2m
を添加混合して、反応を停止させる。さらに30℃、3
0分間放置したのち、2.5%酢酸2mを加えpHを調
整後、必要により紙過を行なう。この液2mを
とり、0.5Mクエン酸緩衝液(pH5.0)2mとニ
ンヒドリン試薬1mを加え、100℃、15分加熱
後、急冷し、分光光度計日立228型(日立製作所)を
用い、570nmあるいは、440nmの吸光度を測定し
た。
酵素単位は、1分間に1μmolのアミノ酸を生成する活
性を1unitとして算定し、ACPase活性(Unit/me)とし
て表わした。
(5)作用適温 本酵素の温度−活性曲線は第6図(遊離型)及び第7図
(菌体結合型)に示す通り約30°〜約55℃である。
(6)温度による失活の条件 本酵素を各温度で10分間処理後、直ちに氷水中で冷却
し、次いで(4)項記載の条件でカルボベンゾキシ−グル
タミル−チロシンに作用させた結果を第8図(遊離型)
及び第9図(菌体結合型)に示す。これらの図から明ら
かな如く、本酵素は40℃以下では安定であるが、60
℃、10分間の加熱でほぼ失活した。
(7)阻害剤 各種阻害剤および金属塩の酵素作用に及ぼす影響を、
0.05M酢酸緩衝液(pH3.1)に10−3Mのカル
ボベンゾキシ−グルタミル−チロシンを溶解させたもの
を基質として検討した。酵素液に各種阻害剤又はキレー
ト剤を添加し、これに基質を加えて第(4)項に記載した
条件で作用させた時の残存活性の変化を調べた。その結
果を表5に示した。
表5の結果から明らかな通り、本発明のモナスカス属に
属する酸性カルボキシペプチダーゼ生産菌が生産した酸
性カルボキシペプチダーゼは、TPCK(トシルフェニ
ルアラニルクロロメチルケトン)[濃度10−3モル、
30℃、1時間]で完全に阻害される酸性カルボキシペ
プチダーゼであり、活性中心にヒスチジンを持つことが
推定される。また、キレート剤たとえばEDTAにより
阻害を受けないので金属酵素ではないと認められる。更
に、PCMB(パラクロルメルクリベンゾエート)[濃
度10−3モル、30℃、1時間]及びPMSF(フエ
ニルメチルスルホニルフルオレート)[濃度10−3
ル、30℃、1時間]で完全には阻害されなかった。
(8)精製方法 常法により得られた液体培養液もしくは、固体培養物を
pH3〜5の酸性下で水または塩を含む水溶液あるいは緩
衝液を用いて抽出を行うが、その際、摩砕法、音波法、
凍結融解、自己消化、酵素処理、界面活性剤を用いた抽
出、有機溶媒を用いた抽出・可溶化などと組合せること
により、酵素収率を上げることが出来る。
抽出液は、限外過などにより濃縮するかそのまま硫安
塩析、有機溶媒を用いた分別沈殿などの操作を行ったの
ち、Sephadex等によるゲル過或いは各種の吸着樹脂ま
たは、これらの組合せにより精製することができるが、
殊に弱酸性イオン交換樹脂による精製が好適である。こ
れらの具体例は実施例1〜4に示す通りである。
(9)分子量 本酵素の分子量は、アンドリウスの方法に準じ、セファ
デックマスG−200のゲル過法によって求めたとこ
ろ、第10図及び第11図に示した如く約75000と
約150000の2形態が認められた。かかる分子量を
有するカルボキシペプチダーゼは、従来公知の動植物起
源のものとは顕著に異なり、また、ストレプトミセス
属、ペニシリウム属及びアスペルキス属などの微生物の
産生するものにも知られていない。
(10)結晶構造 本酵素は高度に精製することによって、極端な活性低下
が認められるため、結晶化するに到っていない。
以上の如く、本発明酵素は、作用至適pHが3乃至5の酸
性側にあり、動物起源のカルボキシペプダーゼA及びB
とは異なる。また、前記した如くZ−Gly−Pro−Leu
−Glyの加水分解でみられたようにカルボキシ末端から
逐次アミノ酸を遊離し、更にカルボキシ末端のプロリン
も容易に加水分解することは、本酵素が通常のカルボキ
シ末端のペプチド結合のほかにカルボキシ末端イミドペ
プチド結合をも加水分解することを示している。
これらの挙動及び至適pHからみると本酵素は小麦及び小
麦麸から得られるカルボキシペプチダーゼと類似してい
るが、分子量が全く異なり、阻害剤による阻害に差異が
認められることから、これらのカルボキシペプチダーゼ
とも別種のものであると推定される。
以下実施例により本発明の数態様を更に詳細に説明す
る。
実施例 (実施例1) グルコース3%、ペプトン0.5%、硝酸カリウム0.
1%、リン酸1カリウム0.04%、リン酸2ナトリウ
ム0.3%、硫酸マグネシウム0.03%を含有するpH
5.5の培地1.2を容量2のガラス製ミニジャー
に入れ、120℃にて15分間滅菌し、次いでモナスカ
ス・アンカIFO4478の種菌を3%接種して、36
℃、1000rpm、通気量0.2v.v.m.の条件で72時
間撹拌培養した。
得られた培養液にセルロースパウダーを添加して紙
過を行い液1080m[pH4.2、ACPase活性
7.8Unit/ml、全活性(ACPase活性×液量)8
463Unit、比活性(1m当りの活性を280nmにお
ける吸光度A280で除した値、Unit/A280で表わ
す。以下同)0.25Unit/A280]および湿潤状態
の菌体(以下、湿菌体と称す)61.8gを得た。
次いで、得られた液を中空糸膜型限外過装置(旭化
成社製ACL−1010型、膜面積0.2m2)を用いて濃
縮し、全活性9309Unit、比活性0.80Unit/A
280濃縮液286mを得た。この濃縮液を0.1M
クエン酸緩衝液(pH5.2)20mを用いて透析処理
し、更に処理液を凍結乾燥し、全活性8467Unit、比
活性0.87Unit/A280の本発明酵素の粉末8.9
5gを得た。
実施例2 実施例1の方法によって得られた培養液(全活性42
9Unit比治性0.25Unit/A280)265mに多孔生
重合樹脂吸着剤HP−20(三菱化成)10gを添加
し、10分間撹拌して來雑物を吸着させた後過し、得
られた液を更に限外過してHP−20非吸着部液
24.7mを得た。この液の全活性は245Unit/
m、比活性2.76Unit/A280であり、初発の培
養液に比べ、比活性は11倍に上昇していた。またこ
の操作による酸性カルボキシペプチダーゼの回収率は5
7%であった。
次いで得られた液をセファデックスG−200(Pharm
acia Fine Chemicals Ins.)を用いてゲル過を行っ
た。先ず、セファデックスG−200を、0.01M酢
酸緩衝液(pH3.0)に0.2M塩化ナトリウムを加え
た溶液で平衡化し、2×80cmのガラスカラムに充填
し、上記液9.0mを吸着せしめる。次いで上記緩
衝液で溶出させピーク1及びピーク2を分画した(第1
0図参照)。
これらのピークに相当する画分は、標準タンパク質を用
いて分子量を求めたところ、それぞれ分子量約1500
00及び約75000であった。
またピーク1画分の全活性は83.9Unit、比活性7.
43Unit/A280(初発の約44倍)及びピーク2画
分の全活性は72.3Unit比活性6.82Unit/A
280(初発の57倍)であった。この操作によるカル
ボキシペプチダーゼの活性を基にした収率はそれぞれ5
0%及び43%であった。
実施例3 グルコース5%、燐三第二カリウム0.3%、硝酸カリ
ウム0.2%、塩化ナトリウム0.1%、硫酸マグネシ
ウム0.05%、酵母エキス0.05%よりなるpH6.
0の培地1.2を容量2のミニジャーに仕込み、1
21℃で20分間滅菌する。冷却後これにモナスカス・
プレプレウスIFO 4513の種母を3%接種して、
通気量0.6/min、撹拌500rpm、30℃にて96
時間培養し、次いで培養液を遠心分離して、ACPase
活性1.31Unit/m及び比活性1.26Unit/A
280の培養液1120m及び湿菌体45gを得た。
得られた培養液50mを採り、予め0.01M酢酸緩
衝液(pH3.5)で平衡化したダイヤイオンWK−11
(三菱化成、弱酸性イオン交換樹脂)を充填したカラム
(2×30cm)に流して吸着させた。該カラムに上記緩
衝液を食塩、次いでエタノールを順次濃度を挙げて添加
調製した緩衝液を通液して溶融させ、各フラクションを
得、これらの活性、280nmにおける吸収(A280
を測定した。その結果を表6に示す。
表6の結果から明らかな通り、弱酸性イオン交換樹脂を
用いて、5%エタノールを含有する0.01M酢酸緩衝
液で溶出したフラクション5の画分に比活性5.84Un
it/m・A280を有し、培養液における比活性の
4.6倍に濃縮された本発明のカルボキシペプチダーゼ
を得た。またフラクション5画分の活性回収率は88.
1%であった。
実施例4 実施例1で得られた湿菌体60g(351Unit/g、全
活性21060Unit)に0.1Mリン酸緩衝液(pH6.
5)600mを添加混合して、30℃、20時間放置
の後、紙過を行い、液650m(全活性375
0Unit、比活性7.23Unit/A280nm)を得た。
次いで、これを限外過装置(東洋紙、分画分子量1
0000)で濃縮後、遠心分離(10000g×10
分)を行い、上澄12.3m(全活性412Unit、比
活性2.64Unit/A280可溶化率2%)を得た。次
に得られた液10mを実施例2と同じく、0.01M
酢酸緩衝液(pH3.0)に0.2M塩化ナトリウムを加
えた溶液で平衡化を行ったセファデックスG−200の
カラム(2×80cm)にかけ、同緩衝液で溶出した(第
11図参照)。別に標準タンパク質を用いて溶出量−分
子量のグラフを作成し、分子量を求めたところ、分子量
約75000のピーク2およびVoにピーク1の2つの
ピークがみとめられた。しかし、実施例2の遊離型カル
ボキシペプチダーゼのクロマトグラフィーでみられた分
子量約150000のピークは認められず、このものが
高分子化してVoに溶出したか、または、該カルボキシ
ペプチダーゼが何らかの理由で多形性を示すものと推定
する。
実施例5〜11 300mの三角フラスコに、それぞれパン粉20g及
び水4gを加え、120℃にて15分間滅菌した後、モ
ナスカス属に属する7種の菌株(表7にまとめて示す)
をそれぞれ接種し、30℃にて216時間培養した。培
養物に0.1M酢酸緩衝液(pH6.5)各200m添
加し、良く混合した後、30℃に200時間静置して、
酵素を抽出した。
次いでこれを紙過し、液のpHを3.5に調整後
0.05M酢酸緩衝液(pH3.5)で透析した。得られ
たそれぞれの酵素液について、Z−Glu−Tyrを基質と
して酸性カルボキシペプチダーゼ活性を測定した。その
結果を表7に示す。
表7の結果から明らかな通り、本発明のモナスカス属に
属する各種の菌を培養した培養物には何れも高い活性の
酸性カルポキシペプチダーゼを著量に産生した。
発明の効果 モナスカス属に属する微生物が産生する酸性プロテアー
ゼは従来から知られてしたが、これらのプロテアーゼは
蛋白質に対して分解作用をもつエンドペプチダーゼであ
る。モナスカス属菌株が上記酸性プロテアーゼのほかに
酸性カルポキシペプチダーゼを産生することは従来知ら
れておらず、かかる入手が容易で汎用されているモナス
カス属に属する微生物から新規な酸性カルボキシペプチ
ダーゼが得られることは酵素製造上極めて有利である。
更に本酵素は、近来蛋白質源の不足から重視されている
大豆その他の動植物蛋白質酵素分解物製造の際に問題と
なっている苦味ペプチド類の除去をはじめとして、ペプ
チド類のカルボキシ末端分析、アミノ酸配列の決定及び
消化剤としての利用など、蛋白研究分野、食品工業分野
及び医薬分野への応用など広く利用可能で産業上極めて
有用な酵素である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明酵素のテトラペプチドZ−Gly-Pro-L
eu-Glyに対する分解作用を示す。第2図及び第3図は
夫々本発明酵素の遊離型及び菌体結合型の至適pHを示
す。第4図及び第5図は夫々本酵素の遊離型及び菌体結
合型の安定pH範囲を示す。第6図及び第7図は夫々本酵
素の遊離型及び菌体結合型の作用適温を示す。第8図及
び第9図は夫々本発明酵素の遊離型及び菌体結合型の温
度安定性を示す。第10図及び第11図は夫々本酵素の
遊離型及び菌体結合型のセファデックスG−200によ
るゲル過の溶出パターンを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モナスカス属(Monascus)に属する酸性カル
    ボキシペプチダーゼ生産菌が生産した酸性カルボキシペ
    プチダーゼ。
  2. 【請求項2】モナスカス属に属する酸性カルボキシペプ
    チダーゼ生産菌が生産した下記特性 (1)酸素作用 酸性カルボキシペプチダーゼ作
    用、 (2)基質特異性 合成基質Z−Glu-Tyr(Z:ベン
    ジルオキシカルボニル基)を分解し〔pH3.1、30℃〕 且つ合成基質Gly-Leuを実質的に分解し ない〔pH3.1、30℃〕 (3)至適pH 3〜5〔30℃、10分〕 (4)安定pH範囲 2〜6〔30℃、10分〕 を有することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    酸性カルボキシペプチダーゼ。
  3. 【請求項3】モナスカス属に属する酸性カルボキシペプ
    チダーゼ生産菌を培養し、培養物から酸性カルボキシペ
    プチダーゼを採取することを特徴とする酸性カルボキシ
    ペプチダーゼの製法。
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