JPH0680845B2 - ジョゼフソン素子の作成方法 - Google Patents

ジョゼフソン素子の作成方法

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JPH0680845B2
JPH0680845B2 JP60113825A JP11382585A JPH0680845B2 JP H0680845 B2 JPH0680845 B2 JP H0680845B2 JP 60113825 A JP60113825 A JP 60113825A JP 11382585 A JP11382585 A JP 11382585A JP H0680845 B2 JPH0680845 B2 JP H0680845B2
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博 仲川
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、ジョゼフソン素子の作成方法に関し、特に、
一つの大きなジョゼフソン接合構成体から個々の微小な
ジョゼフソン素子を所定パターンに即して切り出してい
く切り出し法における改良に関する。
〈従来の技術〉 ジョゼフソン素子は、周知のように、一般にシリコンSi
で代表される適当な基板の上に、下部電極(ベース・エ
レクトロード)、トンネル障壁、上部電極(カウンタ・
エレクトロード)を順に積層して構成されるが、その製
作手法は、大概して二つの流れに分けることができる。
一つは、半導体集積回路等の作成に関して比較的長い歴
史を持つリフト・オフ法に頼るものである。
しかしこの手法によると、各層形成ごとのフォト・レジ
スト露光、現像工程や、リフト・オフ時の残存レジスト
除去工程等にあって、その層の下の既に形成されていた
層部分に汚染が招く欠点があり、止むなくクリーニング
工程を付加しても、原子層オーダでのクリーニングは不
可能であるため、結局は作成された個々のジョゼフソン
素子のトンネル障壁層に物理的、電気的性質のばら付き
や劣化を生じていた。
これに対し、第二の手法として、各層の製作工程を真空
に破らずに連続して行なえ、ために原理的には相当な良
好なトンネル障壁を得ることのできるジョゼフソン素子
作成方法に、本出願人が特願昭57−60571号にて開示し
た、いわば“切り出し法”がある。
その詳細は当該出願に係る特開昭58−17683号公報中に
詳しいが、本書でも第3図に即し、この従来例に関して
簡単に説明する。
まず第3図(A)に示されるように、シリコン基板11の
大域的面積部分、一般に全面の上に、鉛合金系とかニオ
ブ系等、適当な超電導体材質の面状下部電極層12を形成
する。
次いでその上に、連続して面状トンネル障壁層13、面状
上部電極層14を順に形成し、第3図(B)に示されるよ
うに、一つの大きなジョゼフソン接合ともみなせる構成
体15を作ってしまう。
特にこの際、最初に面状下部電極層12の作成のために使
用した装置、例えば真空蒸着装置とか高周波スパッタリ
ング装置は、以降の各層の形成時においても同様に使用
し、各工程ごとに半完成品を当該装置内から出すことな
く、換言すれば当該装置内の真空を破らずに、上記第3
図(B)までの工程を一連の連続工程とするように図
る。
従って、当該構成体15の内部のトンネル障壁層13は、製
作過程での汚染等の問題にさらされる余地がなく、極め
て均一で良好なものとなる。
この従来法では、このようにして、トンネル障壁層13の
完全さを確保した上で、第3図(B)に示される当該構
成体15から、個々の微小なジョゼフソン素子を切り出す
ようにしていた。もっとも、切り出しとは言っても、物
理的な切断加工ではなく、フォト・リソグラフィによ
る。
すなわち、面状上部電極層14の全面上に適当なフォト・
レジスト16を塗布した後、完成した後の各ジョゼフソン
素子の下部電極に要する面積部分に相当するレジスト部
分16を残すように、所定パターンに従って当該フォト・
レジスト16を露光し、現像処理する。
その結果を示す第3図(C)中にあっては、この残存レ
ジスト部16は一個所しか示されていないが、一般に基板
11の上には多数個のジョゼフソン素子が集積されるの
で、当該残存レジスト部16も、これら多数のジョゼフソ
ン素子群に予定の平面配置パターンに従って複数個所に
残されたものとなる。
こうした後、望ましくはドライ・エッチングにより、面
状の上部、下部電極層、及びトンネル障壁層の不要部分
取除いて第3図(D)に示される構造を得る。この時点
で残った各層の各残余部分12′,13′,14′の中、下部電
極のそれ12′は、最終的に作成すべき素子に必要な下部
電極に面積的にそのまま相当する部分となる。
しかし、上部電極の残余部分14′及び対応するトンネル
障壁層13の残余部分13′は、必要に応じてさらに小面積
化される。
その場合には、前工程の残存レジスト部16を除去し、新
たに塗布したレジストに対してパターニング処理し、第
3図(E)に示されるように、上部電極に必要な面積の
レジスト部17を残した後、当該上部電極残余部分14′と
トンネル障壁層残余部分13′のさらに不要な面積部分を
除去して、第3図(F)に示される構造を得た後、残存
レジスト部17を除去して、第3図(G)に示されるよう
に、所定面積のトンネル障壁層13″と、同じく所定面積
の上部電極14″を有する所要構造のジョゼフソン素子18
を得る。
〈発明が解決しようとする問題点〉 第3図に示したジョゼフソン素子作成法は、既述のよう
に、各ジョゼフソン素子18を所定パターンに従って切り
出す前の大きなジョゼフソン接合構成体15の段階では、
確かに、良好で均一な面状トンネル障壁層13を得ること
ができ、そのことは現に、当該ジョゼフソン接合構成体
15の電圧−電流特性等から確認されている。
また、連続工程を採用し、途中工程でのクリーニング処
理が省ける等のことから、この従来法は生産性も高める
利点がある。
しかし、この構成体15から切り出された各ジョゼフソン
素子を子細に点検した所、構成体15を形成した各層の材
質とか厚味の如何、特に下部電極のそれらの如何によっ
ては、良好であったはずのトンネル障壁13″に何等かの
問題が生じたとしか思えない結果を示すものが現れた。
例えば第4図を見てみよう。第4図(A)は、第3図
(B)における段階での上下の面状電極層を層厚約2000
ÅのニオブNbで、トンネル障壁層を酸化アルミニウムAl
2O3で構成した構成体15から、上記従来の切り出し法に
より、同一シリコン基板上に、各個あたり2.5μm口寸
法のジョゼフソン素子を100個、直列に作成して取った
電流−電圧特性(I−V特性)で、オシロ・スコープ写
真を正確にトレースしたものである。
してみるに、この素子列に得られた特性には、本来ある
べき姿としてのこの種ジョゼフソン素子に期待される固
有のヒステリシス特性は、そのかけらも見られない。
例えば臨界電流値Ioという概念がなく、零電圧状態(そ
れ自体の存在も定かではない)から、ギャップ電圧Vgで
規定されるはずの電圧状態への遷移は、だらだらとオー
ミック的なカーブをたどっている。
また、当該ギャップ電圧Vgも、上記材質のジョゼフソン
素子では、本来なら一個あたり2.8mV程度となることか
ら、100倍して約280mVと同図中には記したものの、実際
上、正確に読み取ることは不可能であり、また一般にニ
ー(Knee)点と呼ばれる電圧状態から零電圧状態乃至原
点Oへの戻り始めの点も、本特性中には存在しないと見
ざるを得ない。
第4図(B)は、第4図(A)の特性を取ったジョゼフ
ソン素子と同一の厚味、材質、製造方法を採用し、但
し、平面寸法のみを各個あたり10μm口に変えたもの
を、やはり同一シリコン基板上に100個、直列に作成し
て取った電流−電圧特性である。
この特性では、一応、この種ジョゼフソン素子に固有の
ヒステリシス特性形状が生まれており、臨界電流値Ioは
約560μAと読め、ギャップ電圧Vgもある程度明確に280
mV程度と読めるし、ニー点Pkの存在も認めることができ
る。
しかし、決して望ましいと言える程の特性ではない。ニ
ー点Pkは、一般に鋭く折れ曲がっている程、望ましいと
されるが、図示の特性ではまだまだ甘く、緩い弧を描い
ているし、また、ニー点Pkから原点Oに向かう経路部分
の電圧軸に対する傾斜角も比較的、大きい。これはトン
ネル障壁に本来的にはあってはならないオーミックな性
質が含まれていることを示唆している。
このように、第3図に示されるような従来法によった場
合、一つの大きなジョゼフソン接合としての構成体15の
段階では極めて良好で均質なジョゼフソン・トンネル障
壁層が得られているのに、それから個々のジョゼフソン
素子を切り出すと、完成したジョゼフソン素子中からは
そうした長所が最早、失われている場合があるという、
一種、不可思議な結果が起きることがある。
本発明は、これを事実として認めた上で、その解決策を
提供せんとするものである。
言い換えれば、本発明は、原理的には優れている第3図
示のジョゼフソン作成方法にあって、その欠点を是正
し、長所のみを伸ばすために成されたものである。
〈問題点を解決するための手段〉 上記目的を達成するため、本発明者は、まずもって種々
の観点から、上記切り出しによる特性劣化の原因を模索
した。
その結果、分かったことは、上記のように大きなジョゼ
フソン接合構成体15から個々のジョゼフソン素子18をフ
ォト・リソグラフィにより切り出したときに現れる特性
の劣化は、どうやら、構成体15を形成した時点で、シリ
コン基板11との関係で当該構成体内に蓄積された機械的
なストレス、すなわち内部応力がその一原因となってい
るのではないか、ということである。
例えば、第3図(B)の段階までにおいて、基板11の全
面上に大きなジョゼフソン接合構成体15を形成すると、
場合によっては肉眼で分かる程に、基板に“反り”が生
ずることがあった。これは顕かに、基板とこれに直接し
ている面状下部電極層との間に物理的な作用関係が生
じ、その結果として当該構成体内に極めて大きな応力が
蓄積されていることを示している。
従って、この仮説が正しいとすると、その後にフォト・
リソグラフィを適用して個々のジョゼフソン素子を切り
出す際には、基板面積に比して当該個々のジョゼフソン
素子の面積は極めて微小であるため、当然、基板の実質
的に殆どの面積部分に対して各層をエッチングするよう
になるので、当該エッチングにより残される素子両側が
物理的に開放されるに伴い、エネルギとして一気に開放
される内部応力は相当に大きなものとなり、その歪がト
ンネル障壁層に重大な物理的、電気的影響を及ぼすと理
解できるのである。
ここまで考え至ってから、再度、実際に幾つものジョゼ
フソン素子についてこうした観点から検討すると、この
仮説にはかなりの信憑性があるとの結果を得た。という
よりも、この内部応力開放現象が、全てではないにし
ろ、作成されたジョゼフソン素子に特性劣化を及ぼす大
きな要因の少なくとも一つとなっているとは断言し得る
ようである。逆にこれによれば、一つの大きなジョゼフ
ソン接合構成体から個々のジョゼフソン素子を切り出し
ただけであるのに、その特性に劣化が生じたことを良く
説明できるのである。
こうした観点に立った場合、当該ストレス低減のための
最も簡単な対策としては、基板上に形成する下部超電導
体層の厚味を薄くするという手法がある。すなわち、層
が薄ければ内部に蓄積される応力も小さくなるだろうと
いう考えである。
しかし、例えば、上記Nb系ジョゼフソン素子では、下部
電極の厚味を1000Å以下にもすると、超電導体遷移温度
Tcが低下するという現象が生ずることがある。こうした
現象は、具体的な厚味値こそ変わるが、この材料に限ら
ずとも生じ得る問題である。換言すれば、下部電極の厚
味には下限が設定されることが多いということである。
従って、上記のように、単に内部応力の低減をのみ目的
として、下部電極を任意に薄くすることは、実際上、不
可能であることが分かる。
本発明者は、こうした様々な方向からの知見に即し、従
来の切り出し法に対する改良として、次のような工程群
によるジョゼフソン素子作成方法を提案する。
(工程1) 基板上にあって、将来、ジョゼフソン素子を複数個形成
すべきそれぞれの所定個所に、ジョゼフソン素子の各々
に要求される平面寸法に対し、少なくともそれよりは小
さくない平面寸法を有し、かつ適当な厚味を有すると共
に、ジョゼフソン素子の各々の下部電極の一部をなし、
該各々のジョゼフソン素子にそれぞれ専用で、他のジョ
ゼフソン素子とは供用することのない、互いには独立な
台座を形成する。
(工程2) 上記のように、複数個の互いに独立な台座を形成された
基板上の大域的面積部分上に、下部超電導体層、トンネ
ル障壁形成用絶縁層、上部超電導体層を順に連続して積
層し、一つの大きなジョゼフソン接合構成体を形成す
る。
(工程3) こうしたジョゼフソン接合構成体を所望のパターンに応
じてエッチング加工し、上記の各台座上に一つづつ、そ
れぞれ所定平面寸法の下部電極、トンネル障壁、上部電
極より成る各ジョゼフソン素子を作成する。
〈作用〉 上記のような工程群1〜3による本発明によれば、基板
上に形成された個々の台座は、それぞれ、最終的に作成
された当該個々のジョゼフソン素子の下部電極の一部と
なるので、このように、各ジョゼフソン素子に専用の個
々の台座を十分に厚くすれば、その上に形成される下部
超電導体層の方が当該素子形成部分ではなかり薄くする
ことができる。
ただし、個々の台座がそれぞれ専用の各ジョゼフソン素
子の下部電極の一部をなすとはいっても、それは当該個
々のジョゼフソン素子が形成されている部分においての
み、そうなるのであって、これがその厚みを保ったま
ま、配線層として利用されることはない。そうであるな
らば、結果としてでも、一つの台座の上に複数個のジョ
ゼフソン素子が形成されることになり、このような構造
は本発明の範囲には含まれない。
いずれにしても、本発明によると、各台座の上に形成さ
れる下部超電導体層は薄くできるので、完成したジョゼ
フソン素子の超電導遷移温度Tcの低下という不都合を招
くことなく、一つの大きなジョゼフソン接合構成体を形
成した際の内部応力の問題から逃れることができる。
すなわち、厚い台座を形成するために当該台座形成用材
料層と基板との間に応力の蓄積関係が生まれ、その結
果、各台座をエッチング等により個々に切り出したとき
に、各台座ごとには応力の開放に伴う歪が生じたとして
も、その後にこれら各台座上に形成される下部電極用の
超電導体層には、この影響は既に済んでしまったことな
ので、全く及ばない。
そして、この下部電極用の下部超電導体層は、上記のよ
うに十分薄くても良いので、基板上の大域的面積部分、
例えば基板全面の上にそれが一連に面状に形成されたと
しても、そもそも、基板との間の物理的な作用関係によ
ってその内部に蓄積される応力は僅かなものとなり、そ
の後、素子形成のため、エッチング等による切り出し工
程を減ることによってその応力が開放されても、重大な
歪は発生することがない。
また、例え、下部電極用超電導体層内に、ある程度、内
部応力が蓄積された状態にあっても、今度は十分な物理
的強度を持つ部材として既に形成されている台座がこの
応力を受ける機械的な抵抗物体として作用する。
そのため、大きなジョゼフソン接合構成体から個々には
微小なジョゼフソン素子を適当なエッチング手段により
切り出したときにも、当該内部応力の開放の影響は生じ
ないか、少なくとも最小限度に抑えられ、作成された個
々のジョゼフソン素子におけるトンネル障壁層に悪影響
が及ぶことがない。
〈実施例〉 第1図には本発明に沿ったジョゼフソン素子の作成方法
の望ましい一実施例が示されている。
まず、第1図(A)に示されるように、普通にはシリコ
ンSiで代表される適当な基板20の大域的面積部分(一般
に基板全面)上に、将来作成されるジョゼフソン素子の
物理的な支持基部ともなり、また下部電極の一部ともな
る台座22を形成するため、出発層として、台座形成用材
料層21を蒸着、高周波スパッタリング等、適宜な手法に
より作成する。
ここにおける実施例では、上部、下部電極の材質にニオ
ブNbを、トンネル障壁の材質に酸化アルミニウムAl2O3
を選んだジョゼフソン素子を作成するものとして説明す
る。
この組合せのジョゼフソン素子は、特に第3図に示した
従来法によって作成した場合、シリコン基板との物理的
作用関係による内部応力開放の影響を受け易い。
従って、上記台座形成用材料層21の材質は、この場合、
電極材質と同じNbに選ぶことが好ましい。但し、後述の
手順によってその上に形成される下部電極と電気的、機
械的に馴染みの良いものなら、他の材料製でも良い。
次いで、この台座形成用材料層21を、各ジョゼフソン素
子の基板上に平面配置パターンに従って適当なエッチン
グ手法、望ましくはドライ・エッチングによりエッチン
グし、将来、各ジョゼフソン素子を形成する所定個所
に、台座22を形成する。
その結果を示す第1図(B)中では、この台座22は一個
しか示されていないが、もちろん、一般に基板21上には
多数個のジョゼフソン素子が形成されるので、この台座
22もその数分だけ、形成されることになる。
台座22の平面寸法Wbと厚味tbについては、最終的にその
上にジョゼフソン素子が完成した所で改めて説明する
が、厚味tbが厚いと、この台座と基板との間での応力開
放関係により、台座に物理的な歪が生ずることもある。
しかし、そうであっても、後述の工程により順次作成さ
れる各層構造には、この影響はもちろん、及ばない。台
座22が切り出され終わった時点で、この応力開放は既に
済んでしまった問題となるからである。
第1図(B)に示されるように、基板21の表面上の所定
個所に台座22が形成されたならば、次いで第1図(C)
に示されるように、望ましくは装置の真空を破らず、同
一の蒸着装置または高周波スパッタリング装置で、連続
的に下部超電導体層31、トンネル障壁形成用絶縁層32、
上部超電導体層33を基板21の大域的面積部分上、一般に
全面上に順に形成する。
例えば、Nbをスパッタして下部超電導体層31を形成した
ならば、当該スパッタリング装置の真空を破らずに、当
該下部超電導体層31の上にアルミニウムAl膜をスパッタ
し、次いで装置内に酸素を導入して当該Al膜を酸化する
ことによりAl2O3膜を形成し、これを将来、各ジョゼフ
ソン素子のトンネル障壁とする出発層としてのトンネル
障壁形成用絶縁層32とする。
酸素を排気した後、さらに、Al2O3膜の上にNbを同じ装
置でスパッタし、上部超電導体層33を形成して第1図
(C)に示されるジョゼフソン接合構成体34を得る。
すなわち、この段階までで構成された当該構成体34は、
基板21の上に載った一つの大きなジョゼフソン接合と考
えることができる。
ここまでの工程において、台座22を形成したことを除い
ては、既述したきた第3図に示される従来のジョゼフソ
ン素子作成法と同一の手法を採用しているので、当然の
ことながら、ジョゼフソン接合構成体34におけるトンネ
ル障壁層としての絶縁層32は、極めて均質で良好な電気
的、物理的特性を呈することができる。
但し、従来工程までにおいて、本発明の場合には、台座
22が、将来、作成されたジョゼフソン素子の下部電極の
一部を構成するので、台座22の上に形成される下部超電
導体層31の厚味は、従来に比して十分に薄くすることが
できる。
例えば従来、下部電極に約2000Å程度の厚味を必要とし
たのなら、本発明を適用する場合には、台座22の厚味tb
を約1500Å程度にし、下部超電導体層31の厚味は500Å
程度にまで薄くして差支えない。つまり、両者の厚味を
合せて大体、従来素子における下部電極の厚味に等しく
する等の設計が可能となる。
この結果、台座22のない部分において、この下部超電導
体層31がシリコン基板20に対し、直接に接するにして
も、そもそも、このように下部超電導体層31を十分に薄
くできれば、その内部に大きな応力が蓄積されるおそれ
は殆どない。蓄積されるにしても僅かで済む。
一方、トンネル障壁形成用絶縁層32の厚味は大体にして
従来と同程度、例えば30Å程度であって良く、また上部
超電導体層33の厚味も従来と同程度の2000Å程度であっ
て良い。それら自体の間では問題となる応力関係は発生
しないと考えられるからである。
上記のようにして、一つの大きなジョゼフソン接合構成
体34が構成されたならば、各台座22の上に各ジョゼフソ
ン素子が形成されるように、当該ジョゼフソン接合構成
体34に対して所定パターンに即した切り出しを行なう。
そのために適宜一般的なフォト・リソグラフィを援用す
るのであれば、上部超電導体層33の上面に適当なフォト
・レジスト層を付した後、第1図(C)に仮想線で示さ
れるように、台座22のこの場合、略ゞ同寸法面積部分に
のみ、パターン化残存レジスト部40を残し、これをエッ
チング・マスクとしてジョゼフソン接合構成体34の他の
部分を望ましくはドライ・エッチングし、第1図(D)
に示されるように、台座22の上に順次積み重ねられた下
部電極51、トンネル障壁52、上部電極53から成るジョゼ
フソン素子60を得る。
そしてさらに、トンネル障壁52、上部電極53について
は、これらをより小面積化する必要があるなら、第1図
(D)中に仮想線で示されるように、改めてパターン化
残存レジスト部41を形成し、これをエッチング・マスク
としてトンネル障壁52、上部電極53の不要部分を除去
し、第1図(E)に示されるような断面形状構成のジョ
ゼフソン素子60を得ても良い。
第1図(C)に示される段階から第1図(D)、第1図
(E)に至る過程での切り出し、すなわちエッチングに
関しては、本発明の方法による限り、内部応力により、
得られたトンネル障壁52に悪影響が及ぶことはない。先
に述べた理由により、下部電極形成用の下部超電導体層
31と基板20間の物理的な作用関係は、問題となる程の応
力を発生するようなものではないからである。
本発明の方法の有効性を具体的な特性例を挙げて実証す
る。
対比のため、台座22があることを除いては、先に従来例
の説明に関して取り挙げた第4図示特性に対応するジョ
ゼフソン素子と同寸法、同材質、同個数のジョゼフソン
素子群を本発明により作成したみた。
すなわち、第2図(A)は、台座厚味1500Å、下部電極
厚味500Å、従って第4図(A)に示される特性を取っ
たジョゼフソン素子の下部電極厚味約2000Åと実効的に
略ゞ同厚の下部電極構造を持つ2.5μm口のNb/Al2O3/Nb
ジョゼフソン素子を同一シリコン基板上に100個、直列
に形成して取った電流−電圧特性を示している。これも
従来例に関する特性例と同様、オシロ・スコープ写真を
極力正確にトレースするべく努力した。
本図と第4図(A)とを比べてみると顕かなように、本
発明を適用したジョゼフソン素子例では、見事な程の改
善効果が認められる。
従来法によっただけでは全くにして所求のヒステリシス
特性からは程遠かった第4図(A)に示される特性が、
本発明を適用した結果としての第2図(A)に示される
特性では明確なヒステリシスを伴って現れ、ニー点Pkも
明確に識別できる。しかも、かなり優秀な鋭さを持って
いる。
ちなみに、この第2図(A)においては、臨界電流Ioは
約20μAと読め、ギャップ電圧Vgも略ゞ理論値通りの約
280mVと明確に読むことができる。
同様に、第2図(B)は、平面寸法のみ、10μm口に変
えて、他は全く上記と同一の条件で取られた特性例を示
している。
この特性例もまた、十分に満足できるものである。約80
0μAの臨界電流Ioから電圧状態への遷移領域が殆どオ
ーミック成分のない現象として捕えられているし、ニー
点Pkも略ゞ文字通りの“点”として見ることができる
程、鋭いものとなっている。ニー点Pkから原点Oへの戻
り経路も、十分に電圧軸に近い。ギャップ電圧Vgはもち
ろん、理論値の約280mVを示している。
また、トンネル障壁が極めて良質であることは、臨界電
流Ioの絶対値が第4図(B)に示されたものに比して随
分と向上していることからも理解することができる。
上記実施例においては、作成すべきジョゼフソン素子を
Nb/Al2O3/Nb型としたが、もちろん、これに限られるい
われはない。本発明の原理からすれば顕かなように、基
板との間の物理的な相互作用関係の結果、下部電極乃至
下部電極形成用の下部超電導体層との間にストレスが生
じ、これが開放されることによって切り出されたジョゼ
フソン素子に特性上の問題を生ずるおそれのあるときに
は、いつでも本発明による台座構成をためらわずに使用
することができる。
そして、図中においては、この台座22をジョゼフソン素
子60の構成部分から外すように示してあるが、既に述べ
てきたように、この台座は下部電極51の一部をなすので
あるから、台座22までを含めて一つのジョゼフソン素子
が構成されていると考えてももちろん良い。
さらに、ジョゼフソン素子60に対して一般的に配される
保護層や配線層については、既存の手法をそのまま採用
して良く、そのため、第1図中にはこれらは示されてい
ない。
最後に、参考までに述べれば、上記実施例におけるNb/A
l2O3/Nb系のジョゼフソン素子で下部電極構造の総厚が
略ゞ2000Å程度の場合、台座厚味Wbがその上に形成され
る下部電極形成用下部超電導体層の厚味に対し、二倍程
度以上ないと、台座を設けたことの効果は有意のものと
しては現れなかった。このことからすれば、逆に、用い
る材質の如何や厚味により、台座厚には最適な設計値を
選び得ることが理解される。
〈発明の効果〉 本発明によれば、切り出し法によるジョゼフソン作製法
の欠点を除去し、その長所のみを伸ばすことができる。
すなわち、トンネル障壁には極めて良好なものを得られ
るという原理をそのままに、内部応力開放による歪の発
生という問題を克服することができる。
しかも、既存の切り出し法に対して単に台座構成の追加
というだけの簡単な手法で上記のように大きな効果を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のジョゼフソン素子作製法の望ましい一
実施例の工程図、第2図は本発明方法により作成された
ジョゼフソン素子の二例に関する特性図、第3図は従来
の切り出し法によるジョゼフソン作製法の工程図、第4
図は第3図示の従来法により作成されたジョゼフソン素
子の二例に関する特性図、である。 図中、20は基板、21は台座形成用材料層、22は台座、31
は下部超電導体層、32はトンネル障壁形成用絶縁層、33
は上部超電導体層、34はジョゼフソン接合構成体、50は
下部電極、51はトンネル障壁、52は上部電極、60は完成
されたジョゼフソン素子、である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上にあって、将来、ジョゼフソン素子
    を複数個形成すべきそれぞれの所定個所に、該ジョゼフ
    ソン素子の各々に要求される平面寸法に対し、少なくと
    もそれよりは小さくない平面寸法を有し、かつ適当な厚
    味を有すると共に、該ジョゼフソン素子の各々の下部電
    極の一部をなし、該各々のジョゼフソン素子にそれぞれ
    専用で、他のジョゼフソン素子とは共用することのな
    い、互いには独立な台座を形成する工程と; 該複数個の互いに独立な台座を形成された上記基板上の
    大域的面積部分上に、下部超電導体層、トンネル障壁形
    成用絶縁層、上部超電導体層を順に連続して積層し、一
    つの大きなジョゼフソン接合構成体を形成する工程と; 該ジョゼフソン接合構成体を所望のパターンに応じてエ
    ッチング加工し、上記各台座上に一つづつ、それぞれ上
    記所定の平面寸法の下部電極、トンネル障壁、上部電極
    より成る上記各ジョゼフソン素子を作成する工程と; を有して成ることを特徴とするジョゼフソン素子の作成
    方法。
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