JPH0683679B2 - 胆汁酸測定用試験紙 - Google Patents

胆汁酸測定用試験紙

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JPH0683679B2
JPH0683679B2 JP529988A JP529988A JPH0683679B2 JP H0683679 B2 JPH0683679 B2 JP H0683679B2 JP 529988 A JP529988 A JP 529988A JP 529988 A JP529988 A JP 529988A JP H0683679 B2 JPH0683679 B2 JP H0683679B2
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研一 河村
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は体液中の胆汁酸の量を測定する試験紙に関す
る。
(従来の技術) 胆汁に含有される胆汁酸は血液、尿などの体液中にも微
量含有される。このような体液中の胆汁酸は肝胆道系疾
患によりその量が変化し、特に血液中の胆汁酸量はこの
ような疾患の鋭敏なマーカーとなることが知られてい
る。例えば、乳児の胆道閉塞症においては血液中もしく
は尿中の胆汁酸量が増加することが知られている。胆道
閉塞症は乳児約1万人あたり1人という高率で発生して
おり、患者は迅速な手術が必要とされる。疾病の認知が
遅れた場合には死亡率も高い。このような疾患を早期発
見するためにも体液中、特に、血液中の胆汁酸を集団検
診時などに精度良く測定することが望まれる。
胆汁酸を含有する試料溶液中の胆汁酸量を測定する方法
は、例えば、特公昭59−13197号、特開昭56−144096号
および特開昭56−151499号公報に開示されている。それ
によれば、まず、胆汁酸を含む試料を酸性下で熱処理し
(特公昭59−13197号公報)、あるいは、オキサミド
酸、ピルビン酸などを添加して(特開昭56−144096号公
報、特開昭56−151499号公報)乳酸脱水素酵素(LDH)
などの、測定を妨害する酵素を失活させる。次いで、こ
れに3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3
α−HSD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(N
AD+)、ジアホラーゼおよびテトラゾリウム塩を含有す
る反応用溶液をPH8〜9のアルカリ条件下で反応させ
る。胆汁酸の水酸基は3α−HSDの存在下でNAD+と反応
してカルボニル基となり次のようにケト型の胆汁酸を生
じる。
NADHはジアホラーゼの存在下で電子受容性の色原体であ
るテトラゾリウム塩と反応して次のようにホルマザンを
生じる。NADHは再び酸化されてNAD+となる。テトラゾリ
ウム塩の代わりにレザズリンを用いてもよく、この場合
はレゾルフィンが生成する。
生じたホルマザン(レゾルフィン)のモル数はNADHのモ
ル数(つまり、胆汁酸のモル数)に相当する。そのた
め、このホルマザンの吸光度(レゾルフィンの蛍光強
度)を測定することにより胆汁酸を定量することが可能
である。
このような方法により試料中の胆汁酸を感度良く測定す
ることができるが、溶液系での反応を利用した測定法で
あるため煩雑な操作を必要とする。そのため、マススク
リーニングや簡便に胆汁酸を検出するためには不適当で
ある。
このような欠点を解決するため、特開昭61−268199号公
報では、高分子素材からなる担体に3α−HSD、NAD+
ジアホラーゼおよびテトラゾリウム塩からなる試薬系組
成物が担持された胆汁酸測定用試験紙が開示された。こ
の試験紙と体液中の胆汁酸が接触すると、溶液法の場合
と同様に胆汁酸の水酸基が3α−HSDの存在下でNAD+
反応してカルボニル基となりケト型胆汁酸を生じる。NA
DHはジアホラーゼの存在下でテトラゾリウム塩と反応し
てホルマザンを生じる。NADHは再び酸化されてNAD+とな
る。生じたホルマザンのモル数はNADHのモル数即ち胆汁
酸のモル数に相当する。そのため、このホルマザンによ
る呈色を肉眼または光学機器を用いて測定し胆汁酸の量
を測定する。
この場合、体液中に胆汁酸以外に試験紙の試薬系組成物
と反応することができる成分が存在し、その結果測定を
不正確なものにすることがある。特に重症患者由来の体
液の場合に、真の胆汁酸値からのズレが大きくなる例が
多い。そのような悪影響を与える成分としては、乳酸と
乳酸脱水素酵素(LDH)、アルコールとアルコール脱水
素酵素、グルタミン酸とグルタミン酸デヒドロゲナー
ゼ、アルデヒド類とアルデヒド脱水素酵素および/また
はホルムアミドとホルムアミドデヒドロゲナーゼ等があ
る。
例えば、乳酸と乳酸脱水素酵素(LDH)が存在すると、
試験紙の試薬系組成物中のNAD+と反応して、乳酸はピル
ビン酸を生じ、生成したNADHは、ジアホラーゼの存在下
でテトラゾリウム塩をホルマザンとし該試験紙を呈色せ
しめる。
この例のように、胆汁酸を測定すべき体液中に乳酸と乳
酸脱水素酵素が存在する場合には、試験紙の呈色には胆
汁酸による呈色に乳酸が乳酸脱水素酵素によって脱水素
反応したことによる呈色が加わるため、真の胆汁酸量を
測定することができない。
このような欠点を除くため、特公昭59−13197号公報で
は、検体である体液を酸性(pH0.1〜6.0)にし次いで熱
処理(温度20〜45℃、時間1〜30分間)することによ
り、体液中の酵素を予め失活させておくこと、特開昭61
−268199号公報の明細書中では、検体である体液に予め
オキサミド酸、ピルビン酸などを加えLDH反応などを阻
害させることが提案されている。
しかしながら、このような処理は検査技師にとって煩雑
で面倒なことであり、余分な時間を要するという問題点
があった。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は上記従来の問題点を解決するものであり、その
目的は体液中の胆汁酸を共存生体成分の影響を受けるこ
となく、正確かつ簡便に測定できる方法を提供すること
にある。
(問題点を解決するための手段および作用) 高分子素材からなる担体の同一個所にイ 3α−ヒドロキ
システロイドデヒドロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチドもしくはニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチドフォスフェイト、ジアホラーゼおよびテトラ
ゾリウム塩からなる試薬系組成物とロ エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(β−アミ
ノエチルエーテル)N,N,N′,N′四酢酸(EGTA)、EDTA
ないしはEGTAのアルカリ金属塩から成る群の中から選ば
れる一つ以上の添加剤Iとハ オキサミド酸、ピルビン
酸、蓚酸、8−クロロ−4ヒドロキシ−5メチルキノリ
ン−3カルボン酸およびこれらの塩から成る群の中から
選ばれる一つ以上の添加剤IIとが、担持されたことを特
徴とする胆汁酸測定用試験紙により上記目的が達成され
る。
更に好ましくは、高分子素材からなる担体の同一個所に
イ 3α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、ニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチドもしくはニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドフォスフェイト、ジアホラ
ーゼおよびテトラゾリウム塩からなる試薬系組成物とロ
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコー
ルビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N′,N′四酢
酸(EGTA)、EDTAないしはEGTAのアルカリ金属塩から成
る群の中から選ばれる一つ以上の添加剤Iとハ オキサ
ミド酸、ピルビン酸、蓚酸、8−クロロ−4ヒドロキシ
−5メチルキノリン−3カルボン酸およびこれらの塩か
ら成る群の中から選ばれる一つ以上の添加剤IIとが担持
された部分Aと、部分Aに担持されたものから3α−ヒ
ドロキシステロイドデヒドロゲナーゼのみを欠く成分が
担持された部分Bとの組合せよりなることを特徴とする
胆汁酸測定用試験紙により上記目的が達成される。
本発明の試験紙に用いられる担体は公知のすべての担体
が用いられうる。すなわち、それらは高分子素材からな
り、具体的には、天然もしくは合成繊維からなる抄紙や
不織布のほかメンブレンフィルターなどである。試料が
尿または血清である場合には、市販の濾紙など天然もし
くは合成繊維からなる抄紙や不織布が好適に用いられ
る。試料が全血である場合には、合成繊維からなる抄紙
や不織布、メンブレンフィルターなどが好適に用いられ
る。メンブレンフィルターとしては、穴径が0.1〜0.4μ
mの酢酸セルロース系の膜が好ましい。合成紙として
は、例えば、積水化学工業(株)製のセルポア(親水性タ
イプ)が好適である。
本発明に使用される試薬系組成物は、胆汁酸を基質とす
る3α−HSDおよびNAD+、更にNAD+の反応生成物であるN
ADHを基質とするジアホラーゼおよび発色基質であるテ
トラゾリウム塩から構成される。
上記試薬系組成物において、NAD+の代わりにニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドフォスフェイト(NADP+
が用いられてもよい。NADP+もNAD+と同様に補酵素とし
て働き、還元されると還元型ニコチンアミドアデニンジ
ヌクレオチドフォスフェイト(NADPH)を生じ、NADPHも
ジアホラーゼの基質として働く。以下の説明において、
NAD+はNADP+であってもよくNADHはNADPHであってもよい
ものとする。
これらの試薬系組成物のうち、NAD+、ジアホラーゼおよ
び発色基質は、3α−HSDの働きで体液中の胆汁酸と反
応して試験紙を呈色せしめるばかりでなく、体液中に含
まれる乳酸脱水素酵素などの酸化還元系の酵素とその基
質(例えば乳酸)と反応して試験紙を呈色せしめる。
そこで本発明者らは、該試験紙の同一個所に前記試薬系
組成物と共に、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチ
レングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,
N′,N′四酢酸(EGTA)、EDTAないしはEGTAのアルカリ
金属塩から成る群の中から選ばれる一つ以上の添加剤I
と、オキサミド酸、ピルビン酸、蓚酸、8−クロロ−4
ヒドロキシ−5メチルキノリン−3カルボン酸およびこ
れらの塩から成る群の中から選ばれる一つ以上の添加剤
IIとが担持された試験紙を調製し、体液中の胆汁酸を測
定したところ、共存生体成分の影響を殆どうけることな
く、胆汁酸量を正確に測定できることが分かり、本発明
を完成した。
添加剤の使用量は、添加剤Iは担体100cm2あたり1mg〜1
0,000mg、添加剤IIは担体100cm2あたり0.1〜500mgの範
囲で充分にその効果を発揮できる。
添加剤Iの担体への担持に際しては、EDTAおよびEGTAは
PHが7以下の時、水に溶解しにくいので、これらのアル
カリ金属塩、例えば、EDTAモノナトリウム、EDTAジナト
リウム、EDTAジカリウム塩等の形で添加する方が水に溶
解し易く、使用しやすい。
また添加剤を担体へ担持するに際しては、イ試薬系組成
物の一部を含浸させる時と同時に行う方法ロ該試薬系組
成物の全部を含浸させる時と同時に行う方法ハ該試薬系
組成物を含浸させる時とは別に、添加剤の溶液だけを含
浸させる方法などがあり、また添加剤Iと添加剤IIと
を、同時にあるいは別々に含浸させる方法が考えられる
が、いずれの方法も使用可能である。しかし、テトラゾ
リウム塩を含まない試薬系組成物を溶解した水溶液中に
添加剤Iおよび添加剤IIも同時に溶解しておくことによ
り、これらを同時に含浸させる方法が、工程数が増えな
いので好ましい。
次に試験紙の調製方法および使用方法について詳しく説
明する。
NAD+、3α−HSD、ジアホラーゼ、添加剤Iおよび添加
剤IIを蒸溜水に溶解した水溶液を調製する。これを前記
のような担体に含浸させた後、凍結乾燥を行う。ここで
用いられる酵素の由来は特に限定されないが、耐有機溶
剤性、経時安定性などに優れた酵素が好ましい。このよ
うな酵素として、3α−HSDとしてはシュードモナステ
ストステローニ(Pseudomonas testosteroni)由来のも
のが、そしてジアホラーゼとしてはバチルスステアロサ
ーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来の
ものが好適に用いられる。3α−HSDおよびジアホラー
ゼは担体100cm2あたりそれぞれ0.1〜10000IUの割合で、
NAD+は0.1〜100mgの割合で担持される。過少であると胆
汁酸による発色が充分におこらず、過剰であるとその分
解生成物により酵素反応が阻害される。
上記水溶液中に酵素や補酵素の活性化剤や安定化剤が含
有されていてもよい。酵素活性化剤としては、例えばト
リトンX−100(商品名)などの界面活性剤が好適に用
いられる。そして酵素安定化剤としては、例えばウシ血
清アルブミン(BSA)などの蛋白質が好適に用いられ
る。上記界面活性剤や蛋白質が添加されていると、NAD+
や酵素(3α−HSDおよびジアホラーゼ)がこれら化合
物に包含される。
このような界面活性剤や蛋白質は、後述のテトラゾリウ
ム塩を担持させる工程で使用される非水溶媒に溶解しな
いため、非水溶液中の色原体であるテトラゾリウム塩と
上記酵素や補酵素が直接接触するのが避けられる。その
結果、保存中における下地の発色が抑制される。
さらに、増粘剤が含有されていてもよい。増粘剤によ
り、いわゆる窓枠現象が抑制される。窓枠現象とは、例
えば、上記水溶液を担体に含浸させて乾燥させるときに
水溶液中の溶質が担体周辺部に移動して濃縮されたり、
得られた試験紙に検体溶液を滴下したときに試験紙に含
有されているNAD+、3α−HSDなどの試薬が試験紙周辺
部に移行して濃縮される現象をいう。このような窓枠現
象が起こると胆汁酸の測定が正確になされない。上記増
粘剤としては、メチルセルロース、ポリエチレングリコ
ール(PEG)などが挙げられる。増粘剤が含まれると担
体(試験紙)に含浸された液相の粘度が増大するため溶
質の移動が抑制され、その結果、窓枠現象が抑制され
る。上記酵素活性化剤、酵素安定化剤、増粘剤などはそ
れぞれ担体100cm2あたり200mg以下、好ましくは1〜100
mgの割合で担持される。
このように酵素などを含む水溶液が含浸された担体の凍
結乾燥工程では、充分に水分を除去することが重要であ
る。担体に水分が残留していると次工程で担持されるテ
トラゾリウム塩の安定性が極端に低下する。
次に、上記凍結乾燥後の担体にテトラゾリウム塩を非水
溶媒に溶解させた溶液を含浸させる。テトラゾリウム塩
としては、ニトロテトラゾリウムブルー(NTB)もしく
はニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と呼ばれる3・
3′−(3・3′−ジメトキシ−4・4′−ビフェニレ
ン)−ビス〔2−(p−ニトロフェニル)−5−フェニ
ル−2H−テトラゾリウムクロライド〕が好適に用いられ
る。
非水溶媒は、テトラゾリウム塩を溶解させることが可能
であればよく、メタノール、エタノールなどのアルコー
ル類;酢酸エチルなどが用いられる。
テトラゾリウム塩は担体100cm2あたり0.1〜500mgの割合
で担持される。過少であると胆汁酸による発色が充分に
おこらず、過剰であると溶媒に溶けにくくなり、また下
地の色が濃くなるので色調の変色の判別が難しくなる。
テトラゾリウム塩溶液を含浸させた担体は速やかに、好
ましくはは凍結乾燥により、乾燥される。
このようにして得られた試験紙を、適当な大きさの細片
に裁断しプラスチックフィルム製のスティックの端に貼
着させて試験紙が作製される。
この試験紙を用いて体液などの検体中の胆汁酸の測定が
行われる。
試験紙に検体を滴下させると、従来の技術の項で述べた
反応機構による反応が生じ、ホルマザンが生成し試験紙
が呈色される。この反応は、通常1〜300秒で起る。
検体中の胆汁酸濃度は次の手順で測定される。
イ 適当な反射光測定装置を使用して、検体が滴下され
た試験紙部分に一定波長の光を照射しその反射光強度を
求める。
ロ 検体滴下からの経過時間を変えて(例えば、検体滴
下から10秒後と120秒後)この測定を2回行う。
反射光強度は反応が進み呈色が進むと減少する。
ハ 2回の測定値の差、すなわち、この経過時間内の反
射光強度の減少度を求める。
ニ この反射光強度の差を、予め濃度既知の標準胆汁酸
溶液を検体として作成された、反射光強度の差と胆汁酸
濃度との関係を示す検量線と比較することにより、検体
中の胆汁酸濃度を決定する。
本発明によると、従来の胆汁酸測定試験紙の試薬系組成
物に、添加剤Iおよび添加剤IIを加えたところ、胆汁酸
の測定には何ら影響を与えることなく、胆汁酸以外によ
って呈色する反応をほぼ完全に抑制することができた。
この作用について次に考察する。
胆汁酸以外でこの試験紙の呈色を起こす原因物質は、イ
前述のLDHやアルコール脱水素酵素(ADH)などの各種の
酵素とその基質、ロ発色基質(テトラゾリウム塩)に対
する還元物質(例えばアスコルビン酸)、などが考えら
れる。
そして、これらの呈色原因物質の反応には、以下に示す
ように金属が微妙に関与している。すなわち、イに関し
ては、これらの酵素類は二価の金属イオンを含有し、こ
れらの金属イオンの存在で酵素活性を発現する場合が多
い。例えば、アルコール脱水素酵素やアルカリホスファ
ターゼは亜鉛、アミラーゼはカルシウム、エノラーゼは
マグネシウムをその活性発現に必要とする。ロに関して
は、例えば、アスコルビン酸の還元作用の発現には、金
属の酸化作用が関与していると考えられている。
一方、添加剤Iに含まれるEDTA、EGTAまたはこれらのア
ルカリ金属塩は、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属
ときわめて安定な水溶性の錯塩を形成して、金属を捕捉
する。また、微量の金属またはイオンを錯イオンにする
ことにより、その触媒としての作用を妨げる性質がある
(下記に示すアスコルビン酸が酸化されることの抑制
は、この性質による)。
そこで、EDTA、EGTAまたはこれらのアルカリ金属塩が試
験紙に添加されると、EDTAなどの金属イオン捕捉作用に
よって、LDH、ADHなどの脱水素酵素、その他この試薬系
に影響を与える体液中の諸酵素類の酵素活性の抑制、お
よび体液中のアスコルビン酸などの還元性を有する物質
が酸化されなくなるため、アスコルビン酸などによる発
色基質の還元反応の抑制などが起こると推定される。
尚、この時、3α−HSDおよびジアホラーゼの活性発現
には、金属イオンは関係していないように思われる。従
って、添加剤Iにより胆汁酸の測定に影響を与えること
なく、胆汁酸以外の物質による呈色反応が抑制できたも
のと考えられる。
また、添加剤IIのオキサミド酸、ピルビン酸、蓚酸、8
−クロロ−4ヒドロキシ−5メチルキノリン−3カルボ
ン酸およびこれらの塩は、いずれもLDHの阻害作用を有
する。従って、これらを使用すると、LDHを触媒とする
体液中の乳酸の反応が抑制される。
以上のように添加剤Iおよび添加剤IIの作用により、胆
汁酸以外の物質による呈色反応がそれぞれ単独で使用す
る場合に比べて、より完全に抑制される。
本発明において、更にいかなる検体においても常に正確
に胆汁酸の定量を行うには、一般の生化学物質の分析等
で通常実施されるブランク測定を行うことが好ましい。
即ち対照の試験紙(ブランク測定用)を準備し、一つの
検体を前述したような胆汁酸試験紙と対照の試験紙(ブ
ランク測定用)で試験紙、それぞれの反射光強度の差を
胆汁酸の量に相当させるような測定方法である。
このような測定方法には、次のような試験紙が使用され
る。
高分子素材からなる担体の同一個所にイ 3α−ヒドロキ
システロイドデヒドロゲナーゼ、ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチドもしくはニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチドフォスフェイト、ジアホラーゼおよびテトラ
ゾリウム塩からなる試薬系組成物とロ エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(β−アミ
ノエチルエーテル)N,N,N′,N′四酢酸(EGTA)、EDTA
ないしはEGTAのアルカリ金属塩から成る群の中から選ば
れる一つ以上の添加剤Iとハ オキサミド酸、ピルビン
酸、蓚酸、8−クロロ−4ヒドロキシ−5メチルキノリ
ン−3カルボン酸およびこれらの塩から成る群の中から
選ばれる1つ以上の添加剤IIとが、担持された部分A
と、部分Aに担持されたものから3α−ヒドロキシステ
ロイドデヒドロゲナーゼのみを欠く成分が担持された部
分Bとの組合せよりなることを特徴とする胆汁酸測定用
試験紙である。
この試験紙の調製は次のように行われる。
試験紙の部分Aは、イ試薬系組成物とロ添加剤Iとハ添
加剤IIとを、前述のようにして担体に担持せしめて調製
される。試験紙の部分Bは、部分Aに担持せしめた成分
から3α−HSDのみを欠く成分を、同様にして担体に担
持せしめて調製される。このようにして得られた試験紙
の部分A,Bを、適当な大きさの細片に裁断しプラスチッ
クフィルム製のスティックの端に貼着させて試験紙が作
製される。この時、試験紙の部分A,Bは、別々のスティ
ックに貼着されても良いし、または、一枚のスティック
の両端に貼着されても良い。
この試験紙を使用して、 検体中の胆汁酸濃度は次の手順で測定される。
イ 適当な反射光測定装置を使用して、検体が滴下され
た試験紙部分に一定波長の光を照射しその反射光強度を
求める。
ロ 検体滴下からの経過時間を変えて(例えば、検体滴
下から10秒後と120秒後)この測定を2回行う。
反射光強度は反応が進み呈色が進むと減少する。
ハ 2回の測定値の差、すなわち、この経過時間内の反
射光強度の減少度を求める。
ニ この測定を同一検体において試験紙の部分AとBに
ついて行い、その反射光強度減少度をそれぞれRef
(A),Ref(B)とする。
ホ △=Ref(A)−Ref(B)を求め、予め濃度既知の
標準胆汁酸溶液を検体として作成された、Ref(A)−R
ef(B)と胆汁酸濃度との関係を示す検量線と比較する
ことにより、検体中の胆汁酸濃度を決定する。
この試験紙を使用すると、このように、試験紙の部分A
に生じた呈色度から試験紙の部分Bに生じた呈色度を減
じた値を使用して、検体中の胆汁酸量を求められるの
で、検体中の共存成分による胆汁酸測定値への影響が除
かれる。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
実施例1 胆汁酸測定用試験紙の調製:3α−HSD30IU、ジアホラー
ゼ6800IU、β−NAD+10.2mg、EDTA−2Na(同仁化学製)1
00mg、オキサミド酸ナトリウム5mg、PEG16mg、BSA100mg
およびTritonX(商品名)10μを蒸留水10mlに溶解し
た。この水溶液を300cm2の濾紙(Whatmann No.3)に含
浸させ、凍結乾燥した。次に、ニトロブルーテトラゾリ
ウム(和光純薬製、NTB)の0.034W/W%エタノール溶液
を調整し、これを上記凍結乾燥後の濾紙に含浸させた
後、速やかに乾燥させた。このようにして得られた試験
紙を6mm×10mmの小片に切断し、試験紙の部分Aを得
た。
次に上記の試薬組成中3α−HSDを除いた以外は全く同
様な方法で試験紙の部分Bを調製した。
これらの試験紙の部分A,Bを6×60mmのポリスチレンフ
イルム製のスティックの端に両面テープで貼着して胆汁
酸測定用試験紙を得た。
(B) 反射光測定装置 反射光強度は第1図に示す装置を使用して測定した。
この測定装置1は、試薬を含浸させた胆汁酸測定用試験
紙部分2を載置する透明板3と、この透明板3の下方に
配置された発光素子4と、迷光防止板5を介してこの発
光素子4の近傍に配置された受光素子6と、この受光素
子6で検知された試験紙2からの反射光の強度を数値表
示する表示手段8とを有する。
表示手段8は増巾・測定回路・A−D変換器7を介して
受光素子6に電気的に接続される。発光素子4と増巾・
測定回路・A−D変換器7とは測定用スイッチ9にて接
続されている。発光素子4としては、500〜600nm付近に
発光スペクトルの極大を有する発光ダイオード(スタン
レー社製のEBG5504S)が用いられる。受光素子6として
は、500〜600nm付近の波長の光に感度を有する光検出素
子、シリコンホトダイオード(浜松ホトニクス社製のS1
226−5BQ)が用いられる。反射光の強度を数値表示する
手段8にはマイクロプロセッサーが内臓されている。
測定装置1を用い、胆汁酸は次のようにして測定され
る。ポリスチレンフイルム製のスティック21の先端に、
胆汁酸測定用試験紙部分2を貼着し、この試験紙部分2
に検体(尿、血清、検量線作成用標準液など)を滴下す
る。検体の滴下と同時に図外のタイマーをオンとし、同
時にこの試験紙部分2側を透明体3に対向させるかたち
で透明板3上に載置する。遮光カバー22を閉じる。そし
て、経時的に測定用スイッチ9をオンにし発光素子4を
発光させる。試験紙部分2にて反射された光を受光素子
6にて受け、増巾・測定回路・A−D変換器7を経て表
示手段8にて反射光強度を数値表示させる。
(C) 検量線の作成 正常人プール血清に胆汁酸(コール酸ナトリウム)を加
えて、胆汁酸濃度0、10、25、50、100μmol/の標準
胆汁酸溶液を調製した。
実施例1(A)で調製した試験紙の部分A,Bに標準胆汁
酸溶液を20μ滴下させた。滴下10秒後と120秒後に555
nmにおける反射光強度を実施例1(B)の反射光測定装
置を使用して測定し、それらの測定値から10秒と120秒
後の反射光強度の差を求めた。試験紙の部分A,Bについ
てこの差をそれぞれRef(A),Ref(B)とし、△=Ref
(A)−Ref(B)を求めると、第1表のようになっ
た。
第1表の反射光強度の差と胆汁酸濃度から第2図に示す
検量線が得られた。反射光強度差としてRef(A)のみ
をとれば、ブランク測定を行なわない試験紙に相当し、
Ref(A)−Ref(B)をとれば、ブランク測定を行う場
合に相当する。
(D) 患者血清中の胆汁酸濃度測定 検体を標準胆汁酸溶液の代わりに、肝疾患の患者血清と
した以外は実施例1(C)と全く同様にして、肝疾患患
者血清の胆汁酸濃度測定した。
肝疾患患者血清として、2検体について測定した。それ
ぞれの検体名を検体1および検体2として、その反射光
強度の差を第2表に示す。
Ref(A),△Ref(A)−Ref(B)の値を第2図の検
量線と比較することにより、胆汁酸濃度は次のように求
まった。
Ref(A)からのみ測定 検体1=29μmol/ 検体2=58μmol/ Ref(A)−Ref(B)から測定 検体1=27μmol/ 検体2=50μmol/ また、この患者血清中の胆汁酸の濃度を溶液法の胆汁酸
測定キット「エンザバイル」(第一化学薬品製)を用い
て測定すると、検体1=28μmol/,検体2=51μmol/
となった。
この値を本発明の試験紙で求めた値と比較すると、検体
1については、Ref(A)からのみの測定値(29μmol/
)およびRef(A)−Ref(B)からの測定値(27μmo
l/)と良く一致した。検体2については、Ref(A)
−Ref(B)からの測定値(50μmol/)と良く一致し
たが、Ref(A)からのみの測定値(58μmol/)と
は、かなりずれていた。
比較例1 実施例1(A)に記述した試験紙の調製法において、ED
TA−2Naおよびオキサミド酸ナトリウムを除いた以外
は、全く同様にして調製した試験紙を用いて、実施例1
と同様にして実施例1と同じ検体の胆汁酸濃度を測定し
た。
標準胆汁酸濃度と反射光強度の差の関係は第3表のよう
になり、これから第3図に示した検量線が得られた。
実施例1と同じ検体の胆汁酸濃度を測定すると、その反
射光強度の差は第4表のようになった。
Ref(A),△=Ref(A)−Ref(B)の値を第3図の
検量線と比較することにより、胆汁酸濃度は次のように
求まった。
Ref(A)からのみ測定 検体1=55μmol/ 検体2=110μmol/ Ref(A)−Ref(B)から測定 検体1=32μmol/ 検体2=56μmol/ この結果を実施例1のエンザバイルで測定した値と比較
すると、検体1,2ともに、Ref(A)からのみ測定したと
きは、エンザバイルの測定値と大きく異なっており、Re
f(A)−Ref(B)から測定したときも、エンザバイル
の測定値とは、かなりずれていた。
以上、実施例1と比較例1より、EDTA−2Naおよびオキ
サミド酸ナトリウムを添加した試験紙を使用すると、Re
f(A)からのみの測定の場合、検体によっては(例、
検体2)エンザバイルでの測定値とかなりずれるものが
あるが、これらの添加剤を含まない試験紙での測定値に
比較してエンザバイルの測定値にはるかに近い値を示
す。
また、Ref(A)−Ref(B)から測定すると、EDTA−2N
aおよびオキサミド酸ナトリウムを添加した試験紙のと
きは、これらを添加しない試験紙に比し、エンザバイル
の測定値により近い測定値が得られることが分った。
実施例2 実施例1(A)に記述した試験紙の調製法において、ED
TA−2Na 100mgの代わりに、EGTA−2Na 100mg(シグマ社
製)を加えた以外は、全く同様にして調製した試験紙を
用いて、実施例1と同様にして検量線を作成した。
この試験紙を用いて、実施例1と同じ検体について胆汁
酸濃度を求めると、次のようになった。
Ref(A)からのみ測定 検体1=30μmol/ 検体2=60μmol/ Ref(A)−Ref(B)から測定 検体1=29μmol/ 検体2=51μmol/ 実施例3 実施例1(A)に記述した試験紙の調製法において、オ
キサミド酸ナトリウム5mgの代わりに、ピルビン酸5mgを
加えた以外は、全く同様にして調製した試験紙を用い
て、実施例1と同様にして検量線を作成した。
この試験紙を用いて、実施例1と同じ検体について胆汁
酸濃度を求めると、次のようになった。
Ref(A)からのみ測定 検体1=27μmol/ 検体2=57μmol/ Ref(A)−Ref(B)から測定 検体1=28μmol/ 検体2=49μmol/ 実施例4 実施例1(A)に記述した試験紙の調製法において、ED
TA−2Na 100mgの代わりに、EGTA−2Na 100mg(シグマ社
製)を、オキサミド酸ナトリウム5mgの代わりに、ピル
ビン酸5mgを加えた以外は、全く同様にして調製した試
験紙を用いて、実施例1と同様にして検量線を作成し
た。
この試験紙を用いて、実施例1と同じ検体について胆汁
酸濃度を求めると、次のようになった。
Ref(A)からのみ測定 検体1=29μmol/ 検体2=61μmol/ Ref(A)−Ref(B)から測定 検体1=29μmol/ 検体2=52μmol/ 以上、実施例2,3および4のいずれの試験紙の測定値に
おいても、添加剤としてEDTA−2Naおよびオキサミド酸
ナトリウムを使用した実施例1とほぼ同じ結果を示し
た。
(発明の効果) 本発明の胆汁酸測定用試験紙は、高分子素材からなる担
体の同一個所にイ 3α−ヒドロキシステロイドデヒドロ
ゲナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドもし
くはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドフォスフェ
イト、ジアホラーゼおよびテトラゾリウム塩からなる試
薬系組成物とロ エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エ
チレングリコールビス(β−アミノエチルエーテル)N,
N,N′,N′四酢酸(EGTA)、EDTAないしはEGTAのアルカ
リ金属塩から成る群の中から選ばれる一つ以上の添加剤
Iとハ オキサミド酸、ピルビン酸、蓚酸、8−クロロ
−4ヒドロキシ−5メチルキノリン−3カルボン酸およ
びこれらの塩から成る群の中から選ばれる一つ以上の添
加剤IIとが、担持されたことを特徴とするものであるの
で、体液中の共存成分の影響を除いて、胆汁酸の量を測
定することが出来、胆汁酸量を正確に測定し得る。
更に、本発明の対照試験紙を使用し、Ref(A)−Ref
(B)から胆汁酸濃度を求めれば、体液中の種々の共存
物質の影響を更に抑制して、あらゆる種類の肝胆道系疾
患の検体中の胆汁酸の量を常に正確に測定し得ると共
に、同時再現性も向上する。
従って、試験紙という簡便な方法で、しかも短時間のう
ちに、溶液法のような煩雑な方法で得られる値に匹敵す
る正確さで胆汁酸の量を測定し得、本発明法は、集団検
診での病気の早期発見や、ベッドサイドでの緊急時の検
査などに利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明で使用した反射光測定装置を示す概略
図、 第2図は、標準胆汁酸容液を本発明の試験紙で測定した
時の標準胆汁酸濃度と反射光強度差の関係を示す検量
線、 第3図は、標準胆汁酸溶液を従来法の試験紙で測定した
時の標準胆汁酸濃度と反射光強度差の関係を示す検量線
である。 1……胆汁酸測定装置、2……胆汁酸測定用試験紙部
分、3……透明板、4……発光素子、5……迷光防止
板、6……受光素子、7……増巾・測定回路・A−D変
換器、8……表示手段、9……測定用スイッチ、21……
プラスチック製スティック、22……遮光カバー。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子素材からなる担体の同一個所にイ 3
    α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、ニコチン
    アミドアデニンジヌクレオチドもしくはニコチンアミド
    アデニンジヌクレオチドフォスフェイト、ジアホラーゼ
    およびテトラゾリウム塩からなる試薬系組成物とロ エ
    チレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビ
    ス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N′,N′四酢酸(E
    GTA)、EDTAないしはEGTAのアルカリ金属塩から成る群
    の中から選ばれる一つ以上の添加剤Iとハ オキサミド
    酸、ピルビン酸、蓚酸、8−クロロ−4ヒドロキシ−5
    メチルキノリン−3カルボン酸およびこれらの塩から成
    る群の中から選ばれる1つ以上の添加剤IIとが、担持さ
    れたことを特徴とする胆汁酸測定用試験紙。
  2. 【請求項2】高分子素材からなる担体の同一個所にイ 3
    α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、ニコチン
    アミドアデニンジヌクレオチドもしくはニコチンアミド
    アデニンジヌクレオチドフォスフェイト、ジアホラーゼ
    およびテトラゾリウム塩からなる試薬系組成物とロ エ
    チレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビ
    ス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N′,N′四酢酸(E
    GTA)、EDTAないしはEGTAのアルカリ金属塩から成る群
    の中から選ばれる一つ以上の添加剤Iとハ オキサミド
    酸、ピルビン酸、蓚酸、8−クロロ−4ヒドロキシ−5
    メチルキノリン−3カルボン酸およびこれらの塩から成
    る群の中から選ばれる1つ以上の添加剤IIとが担持され
    た部分Aと、部分Aに担持されたものから3α−ヒドロ
    キシステロイドデヒドロゲナーゼのみを欠く成分が担持
    された部分Bとの組合せよりなることを特徴とする胆汁
    酸測定用試験紙。
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