JPH06939B2 - 溶融還元製錬による高マンガン鉄合金の製造方法 - Google Patents

溶融還元製錬による高マンガン鉄合金の製造方法

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JPH06939B2
JPH06939B2 JP60114175A JP11417585A JPH06939B2 JP H06939 B2 JPH06939 B2 JP H06939B2 JP 60114175 A JP60114175 A JP 60114175A JP 11417585 A JP11417585 A JP 11417585A JP H06939 B2 JPH06939 B2 JP H06939B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電力に依存しないで、マンガン鉱石から高マン
ガン鉄合金を安価にかつマンガン歩留高く製造する方法
に関するものである。
更に詳しくは、上底吹転炉型反応容器を用いて溶融還元
製錬方法で高マンガン鉄合金を製造する場合の効率的な
操業方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、高マンガン鉄合金、例えばMnを60%以上含有する
ようなフエロマンガンは、電気炉においてマンガン鉱石
および/またはその予備還元物をコークス等の炭素質還
元剤および造滓剤と共に加熱,溶融,還元して製造され
てきた。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながらかかる方法において使用される電力は、例
えば高炭素フエロマンガンの場合で製品1t当り2200kW
H程度であり、電力単価の高い我が国ではコスト上昇の
主要因となっており、かつ一次エネルギーから見たエネ
ルギー効率は著しく低いことはいうまでもない。このエ
ネルギー源を一次エネルギー(特に、石炭、コークスな
どの石炭系固定炭素質物の燃焼エネルギー)に置換する
ことが出来れば経済的に極めて有利なものとなる。
また、電気炉による高炭素フエロマンガンの製造におい
ては、電気炉から排出されるスラグ中のマンガン含有量
は通常20〜30%と高く、マンガンの歩留りが低いという
欠点がある。
一方、電力を使用しないで高炭素フエロマンガンを製造
する方法として、最近高炉を用いる方法が見直されてき
ているが、溶融物の降下速度とマンガン酸化物の還元速
度の調整がむづかしく、また還元反応によって発生する
COガスのCO2への燃焼による燃焼熱の利用が不可能であ
るため、熱源としての炭材を多量に必要とすること、ま
た当然多量のCOガスが発生するため、エネルギー損失が
大きい。
かかる事情に鑑みて、本発明者らは前に加熱熱源として
安価な一次エネルギー(特に石炭,コークスなどの石炭
系固体炭素質物の燃焼エネルギー)を利用し、さらに高
エネルギー効率で、かつマンガンの歩留り高く、しかも
極めて簡単な操業方法で高マンガン鉄合金を製造しうる
方法を考案し、特許出願した(特願昭59−10814
3号)。
この方法は、酸素または酸素を含有するガスを上底吹で
きる転炉型反応容器に、マンガン鉱石およびその予備還
元物の何れか一方または双方と、固体炭素質物質および
造滓剤を装入し、前記転炉型反応容器内に酸素又は酸素
を含有するガスを供給して前記固体炭素質物質を燃焼さ
せて前記装入原料を溶融還元し、かくして生成した高マ
ンガン鉄合金およびスラグを取出すことを特徴とする高
マンガン鉄合金の製造方法である。
すなわち特願昭59−108143号は前記反応容器の
底部に設けられた底吹ノズルから前記反応容器の炉内に
吹込まれるガスにより、該反応容器内に残留している溶
融高マンガン鉄合金および溶融スラグを強撹拌しなが
ら、マンガン鉱石および/またはその予備還元物と固体
炭素質物質(熱源および還元剤として機能する)と造滓
剤を投入し、さらに上吹ランスにより酸素あるいは酸素
を含むガスを前記反応容器の炉内に吹込むことによって
前記装入原料を加熱,溶融,還元することからなるもの
である。
上記方法において、効率良く高マンガン鉄合金を製造す
るためには、生成スラグ中の酸化マンガン含有率を出来
るかぎり低くすること、操業中のマンガンの蒸発損失を
抑制することおよび耐火物の侵食を抑制することが必要
条件として上げられる。これら3つの条件に影響する要
因は数多くあるが、本発明者らは上記の点に関して詳細
に検討し、最も適切な条件を見出し、本発明を完成し
た。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、高マンガン鉄合金溶湯と溶融スラグが装入さ
れているガスを上底吹きできる転炉型反応容器に、原料
としてマンガン鉱石および/またはその予備還元物と固
体炭素質物質と造滓剤を装入し、前記容器内に酸素また
は酸素を含有するガスを供給して前記固定炭素質物質を
燃焼させることにより、前記原料を加熱、溶融、還元す
る際、前記原料の加熱、溶融工程の間の溶湯温度を15
00〜1600℃の範囲内に保持し、次いで前記原料の
溶融完了後、溶融原料中の酸化マンガンの還元工程にお
いては酸素を含有しないガスを底吹きし、かつ前記溶湯
温度を1500〜1700℃の範囲内でかつ前記加熱、
溶融工程と同じかまたはより高い温度条件で操業するこ
とを特徴とする溶融還元製錬による高マンガン鉄合金の
製造方法を要旨とする。
すなわち、上底吹転炉型反応容器を用いる溶融還元製錬
の操業は、1バッチの操業を大きく2つの部分に分ける
ことができるが、マンガン原料の装入を行う時期(以下
溶融還元期と称する)と、マンガン原料の装入をやめて
スラグ中の酸化マンガンを出来るだけ還元回収する時期
(以下仕上還元期と称する)との操業条件を変えてそれ
ぞれの還元期に最も適切な条件で操業することからなる
方法である。
(発明の構成及び作用効果) 溶融還元製錬方法でマンガン鉄合金を製造する場合には
前述したように次のような問題点がある。
まず、溶融スラグ中の酸化マンガン含有率は平衡関係に
よって下限が規定されるため、スラグ中のマンガン含有
率を低下させてマンガン収率を上げるにはその平衡を生
成系に片寄らせる条件とする必要があること、次に、マ
ンガン自体蒸気圧が高いため、操業中のマンガンの蒸発
損失が比較的大きいのでそれを出来るだけ抑制する必要
があること、また、クロムや鉄の場合と比較すると酸化
マンガンを含有するスラグは反応容器の耐火物の侵食が
大きいため、それを抑制する条件としなければならない
ことである。
本発明者らはこれらの点に関して詳細に研究したが、そ
の結果を次に述べる。
まず溶融スラグ中の酸化マンガン含有率に関係する要因
としては、操業温度,スラグ組成(塩基度:CaO/SiO2
など),生成メタルのマンガン含有率などがある。第1
図にマンガン鉱石が溶融した後の酸化マンガンと酸化鉄
の還元反応曲線の1例を示した。第1図によれば、鉄は
優先還元され、スラグ中の鉄含有率は速やかに0.5%程
度になって以後変らなくなる。この値は大部分スラグ中
に懸濁しているメタル粒子中の鉄であり、鉄はほぼ全量
が還元する。酸化マンガンは(1)式に示した一次反応速
度式に従って還元が進行し、平衡に到達する。
ただし、 (MnO)t0:スラグ中の酸化マンガンの初期濃度 (MnO)t:t分時のスラグ中の酸化マンガン濃度 (MnO)e:スラグ中の酸化マンガン平衡濃度 k :速度定数 第2図に溶湯温度1600℃、スラグ塩基度0.7〜1.4の条件
におけるメタル中のマンガン含有率とスラグ中の酸化マ
ンガンの還元反応速度定数kの関係を示したが、メタル
中のマンガン含有率が約30%以上ではkはほぼ一定で
ある。すなわちマンガン含有率30%以上のマンガン鉄
合金の製造において、スラグ中の酸化マンガンの還元反
応速度に対してはメタル中のマンガン含有率とスラグ塩
基度はほとんど関係ないことがわかる。
スラグ中の酸化マンガンとメタル中のマンガンの平衡関
係について第3図及び第4図に示した。第3図からメタ
ル中のマンガンが約20%まではメタル中のマンガンに
ほぼ比例してスラグ中の酸化マンガンが増加するが、メ
タル中のマンガンが約30%以上ではメタル中のマンガ
ン含有率のスラグ中の酸化マンガン含有率への影響は極
めて小さいこと、また第4図からスラグ中の酸化マンガ
ン含有率にスラグの塩基度が大きく影響することがわか
る。
平衡関係及び還元反応速度定数に対する溶湯温度の影響
を第5図及び第6図に示した。これらの結果から、溶湯
温度の高いほうがスラグ中の酸化マンガン含有率が低く
なること、また還元反応速度が速くなることがわかる。
以上のような検討の結果、溶融還元製錬法によって高マ
ンガン鉄合金を製造する場合は、還元反応速度を速め、
さらにスラグ中の酸化マンガン含有率を低下させるため
にはメタル中のマンガン含有率に関係なくスラグの塩基
度が大きく、溶湯温度が高いほうが有利である。しか
し、スラグの塩基度が大きすぎるとスラグ自体の融点が
高くなり、操業が困難になるためCaO/SiO2比=1.4〜1.
6が最適範囲である。また、溶湯温度が高すぎると後述
するようにマンガンの蒸発損失及び耐火物の溶損の2点
に対して悪影響が生じてくる。
マンガンの蒸発速度と生成したメタル溶湯の表面にある
溶融スラグの厚さとの関係の1例を第7図に示した。上
吹きO2流量が2000Nl/minの場合溶融スラグ層の厚さが約
90mm以下ではマンガンの蒸発速度が大きくなることが
分かる。これは溶融スラグ層がうすいと上吹き酸素のジ
ェットがスラグ層を突き抜けてメタル溶湯にふれ、その
箇所でメタル中のマンガン及び炭素を酸化し、その酸化
熱によって生ずる過熱部分でマンガンの蒸発が促進され
るためと考えられる。従ってマンガンの蒸発を抑制しな
がら操業を行うためには、上吹ガスのジェットがスラグ
層を突き抜けてメタル溶湯に接触しないだけの溶融スラ
グ層の厚さを必要とする。必要なスラグ厚さDOP(mm)
は、上吹きO2流量Ft-o2(Nm3/hr)の関数として(2)式で表
わされる。
実際の操業においては、原料投入が進むとスラグ量の増
加してくるので、上記スラグ厚さの問題は特に1パッチ
の操業の初期に注意すべき事である。
マンガンの蒸発損失に対する溶湯温度とメタル中のマン
ガン含有率の関係をそれぞれ第8図、第9図に示した。
第8図によれば、溶湯温度に比例してマンガン蒸発量が
増加する。このことは前述の反応速度及び平衡に対する
温度の影響を相反する結果であるため双方を勘案して最
適条件を決定する必要がある。
第9図はメタル中のマンガン含有率が増加するとそれに
比例してマンガン蒸発量が増加することを示している。
マンガンの蒸発損失を抑制する方法として底吹ノズルに
3重管を用いてその内管から粉石炭,粉コークスなどを
キャリアーガスとともに底吹きする方法が効果的であ
る。その抑制効果を第9図に示した。これは、反応容器
内にマンガン鉄合金溶湯が生成すると、底吹ノズルの近
傍で合金溶湯中のマンガン及び炭素が底吹きの酸素によ
って酸化反応が生じ、その酸化熱によって高温加熱ゾー
ンが生じる場合があるが、そのような部分に3重管によ
って粉石炭,粉コークスなどの吹込みを行うと過熱ゾー
ンの温度を低下させてその箇所からのマンガンの蒸発を
抑制できることによるためと考えられる。
底吹きガスとして実質的に遊離酸素を含まないガスのみ
を用いると、さらにマンガンの蒸発が抑制される。その
様子を第9図に示した。これは上記のような原因による
底吹ガス中の酸素による過熱ゾーンが出来なくなり、底
吹ガスによる蒸発損失が完全になくなるためである。
次に、反応容器のライニングに用いる耐火物はマグドロ
レンガを用いたが、その溶損速度に及ぼす温度の影響を
第10図に示した。耐火物溶損速度は約1550℃を超える
と温度の上昇と共に増大する。耐火物の溶損速度は反応
容器の操業回数に関係し、実操業では生産性に関係する
大切な要因であり、この点から見れば操業の大半は1550
℃以下で行うことが適切であるといえる。
実際的に遊離酸素を含まないガスを底吹きする効果とし
て、スラグ中の酸化マンガン含有率(平衡濃度)を低下
させることができる。第11図に通常の酸素を含むガス
を底吹きした場合とアルゴンガス単独底吹きの場合を比
較した結果を示した。第10図によると、アルゴンガス
単独底吹きのほうがスラグ中の酸化マンガンの還元反応
速度が早く、さらにその平衡濃度が低くなる。これは、
酸素を底吹きするとメタル溶湯中のマンガンが酸化する
反応が生じるため、スラグ中の酸化マンガンの還元反応
の一部と相殺されることによる考えられる。
以上のような研究結果から、上底吹転炉型反応容器を用
いて高マンガン鉄合金を製造する場合の最適操業方法を
見出し、本発明を完成した。
次に本発明による操業の態様およびその作用について説
明する。
本発明で用いる上底吹転炉型反応容器としては製鋼用上
底吹転炉を用いるのが望ましい。この反応容器の底部に
は1個または複数個のノズルが底部の中心にまたは同心
円状に配置される。ノズルの数は前記反応容器の容量及
び吹き込みガス量によって決定されるが、ノズルは2重
管または3重管とし、2重管のときは外管より冷却用ガ
ス、内管より冷均用ガス又は酸素あるいは酸素を含むガ
スを吹込むことのできる構造とする。前記冷却用ガスと
してはプロパンなどの炭化水素が好適であるが、N2,CO
2,Arあるいはスチームなども使用できる。また、3重
管の場合は内管から粉石炭あるいは粉コークスを含むガ
ス、中管から前記冷却用ガス又は酸素あるいは酸素を含
むガス、外管から前記冷却用ガスを吹込むことのできる
構造とする。
次に原料であるマンガン鉱石としては、乾燥した生鉱、
またはロータリーキルン、流動還元炉、焼結機等の予備
処理設備を用いて事前処理を行ったマンガン鉱石の予備
還元物または焼結鉱を、それぞれ単独または混合して使
用することができる。
固体炭素質物は、石炭,コークスなどの石炭系の固体炭
素質物を使用し、造滓剤としては主として石灰,石灰石
などが使用され、すべて乾燥状態であることが望まし
い。
これらの各原料を前記上底吹転炉型反応容器に装入する
際、予備処理を行なった原料の場合は予備処理後に冷却
することなく、直接前記反応容器に装入すれば、原料の
顕熱を利用することが出来るので、総エネルギーの節約
上有利である。例えばロータリーキルンでマンガン鉱石
の予備還元を行う場合はマンガン鉱石と炭素質物を前記
キルンに装入し、約1000℃程度で加熱還元を行うので、
前記キルンと上底吹転炉型反応容器を直結させて直接10
00℃程度の原料を装入することができる。
本発明の操業方法について次に述べる。上底吹転炉型反
応容器を用いて高マンガン鉄合金を製造する場合の操業
は、すでに述べたように1バッチの操業を溶融還元期と
仕上還元期に分けることができる。
まず、溶融還元期は一定量の高マンガン鉄合金溶湯と溶
滓の入っている上底吹転炉型反応容器にガスを吹込みな
がら各原料を装入して溶解する工程である。
上底吹転炉型反応容器内には高マンガン鉄合金溶湯と溶
滓を残しておき、底吹ノズルが2重管の場合は内管から
酸素または酸素を含むガスあるいは外管に使用されるガ
スのうちの何れかのガス、外管からプロパンなどの炭化
水素、N2,CO2,Arあるいはスチームのうちの何れかの
ガスを吹き込んでおく。また、底吹きノズルが3重管の
場合は内管の粉石炭あるいは粉コークスおよび/または
石炭粉をキャリアーガスと共に吹き込み、中管から酵素
又は酸素を含むガスあるいは外管に使用されるガスのう
ちの何れかのガス、外管からプロパンなどの炭化水素、
N2,Arあるいはスチームの何れかを吹き込む。前記キャ
リアーガスは外管に用いるガスのうちから何れかを使用
する。
この操業開始時において前記容器内に装入、あるいは残
留させる高マンガン鉄合金溶湯の量は、前記容器の定格
容量の10〜50%の範囲内が適当であり、また溶滓
は、マンガンの蒸発損失を抑制するために上吹きガスの
ジェットがスラグ層を突き抜けない厚さとなるように装
入あるいは残留させておくことが望ましい。
次に炭素質物質を前記容器内に装入して上吹きランスよ
り酸素又は酸素を含むガスの吹き込みを開始する。底吹
ガスが酸素又は酸素を含むガスの場合は上吹き、底吹き
の酸素の割合は97:3〜80:20の範囲内とするの
が好適である。
次にマンガン鉱石および/またはその予備還元物と炭素
質物質と造滓剤を前記炉内に装入する。この場合、これ
らの各原料は混合原料として装入しても良く、また別々
に装入することもできる。
溶融還元期には前記原料を連続的にまたは間欠的に反応
容器内に装入し、原料中の炭素質物質を酸素によって燃
焼させることによって加熱、溶融させる。その際、反応
容器内の溶湯温度が1500〜1600℃の範囲内を保
つように原料投入量、上吹きランスの高さおよび上吹き
ガス量を調節する。溶湯温度が1500℃未満では溶湯
の粘性が高く、還元反応速度も遅くなる。また、溶湯温
度が1600℃を超える耐火物の侵食が激しくなり、マ
ンガン鉄合金溶湯中のマンガンの蒸発損失が増加するの
で好ましくない。従って、溶融還元期においては、溶湯
温度を1500〜1600℃の範囲内に保持する。
前述したように、溶融還元期においてマンガンの蒸発損
失を制御する方法として三重管によって粉石炭あるいは
粉コークスなどを吹き込むことは大きな効果がある。
このようにして、一定量の原料を装入して溶融した後、
仕上還元期に入る。
仕上還元期は、溶融原料中に残留しているマンガン酸化
物を過剰の炭素によって出来るかぎり還元させる工程で
ある。
仕上還元期においては、原料の装入を中止し、さらに酸
素又は酸素を含むガスを底吹きしている場合は底吹きノ
ズルから吹き込むガスをすべて酸素を含まないガス、す
なわち、プロパンあるいは炭化水素、N2,Ar,CO2,CO
あるいはスチームなどの中から選ばれる何れか少なくと
も1種のガスに切り換える。これはマンガンが鉄,クロ
ムなどに比較して酸化されやすく、また、その酸化熱に
よって生じる過熱部分からのマンガンの蒸発損失を防止
するためである。
さらに、上吹きガスは酸素又は酸素を含むガスを強く吹
き込み、それにより反応容器内の溶湯温度を上昇させ
る。仕上還元期における溶湯温度は1500〜1700
℃の範囲内とし、かつ加熱、溶融工程と同じか、より高
い温度条件とする。1500℃未満では溶融還元期と同
様にスラグ中の酸化マンガンの反応速度が小さくかつ、
平衡酸化マンガン濃度が高く、仕上還元期の目的が達成
されない。また、スラグ中の酸化マンガンの還元反応速
度を速くして、かつ平衡濃度を低下させるためには、溶
湯温度を高くした方が良いこと第5図,第6図から明ら
かである。従つて、仕上還元期においては溶融還元期よ
りも溶湯温度を高くしてできるだけ短時間で還元反応を
終了させるのが良い。しかし、1700℃を超えると反
応容器の耐火物の溶損が多くなって長期操業にたえられ
なくなると、また、マンガンの蒸発が活発となり、マン
ガンの損失が激しくなるので、1700℃以下に保つ必
要がある。
以上のようにして一定時間反応させた後、上吹きランス
よりのガス吹きを止め、生成したメタル及びスラグを取
り出して通常の方法によって鋳造する。
この際、メタル溶湯および溶融スラグは一部反応容器内
に残して次の操業を行う。
(発明の効果) 本発明方法によれば、溶融還元製錬方法により高マンガ
ン鉄合金を安価にかつ効率良く製造できるという効果が
ある。
すなわち、操業過程をマンガン原料を装入する溶融還元
期と溶融した原料中のマンガン酸化物を極力還元させる
仕上還元期とに区別して、それぞれの温度条件、ガス吹
き条件などを変えることによって大きな効果が得られ
た。
まず温度条件を変えることによってマンガン酸化物の還
元反応速度を早くすることができたが、このことは操業
時間の短縮につながり、生産性が向上する。さらに、溶
融還元期に適切な温度を用いることにより、反応容器の
耐火物の溶損を極力少なくすることができる。
次に、温度条件ならびにガス吹き条件を変えることによ
って、スラグ中の酸化マンガンの平衡濃度を低くするこ
とができたこと、またマンガンの蒸発損失を大きく防止
することができた。
またマンガンの蒸発損失について、操業の始めから適正
な量の溶滓でメタル溶湯の表面を覆うことが、マンガン
の蒸発防止に大きな効果がある。以上のことは結果とし
てマンガンの収率を著るしく向上させることができる。
以上述べたように、本発明によれば、高生産性でかつマ
ンガンを高収率で、電力を使用することなく高マンガン
鉄合金を製造することができる。以下実施例について説
明する。
実施例1 反応容器としては、5トン小型転炉の底部に底吹ノズル
として二重管ノズルを中心に取付けたものを使用した。
使用するマンガン鉱石の品位の異なる二銘柄の塊状マン
ガン鉱石を別系統のロータリー・キルンにて、還元剤と
してコークスとともに1000℃に加熱・還元したもの
である。この時、マンガンの酸化度(4価のマンガンに
換算されたマンガンの全マンガンに占める割合)は5%
であった。この予備還元されたマンガン鉱石を熱鉱とし
て使用するため、密閉容器にて前記反応容器の投入設備
まで運搬し貯蔵した。
前記反応容器には予め、別の溶融炉で溶融した高マンガ
ン鉄合金溶湯を、1トン注入しておき、その表面に約20
0m/m厚さになるように溶融スラグを装入した。
又、この時、底吹ノズルよりは3kg/cm2の圧力で内管よ
りは酸素を、外管よりは冷却用ガスとしてアルゴンを各
々350/minで吹き込んでおいた。以上のような準
備が完了した後先ず、乾燥したコークスを前記反応容器
内に30Kg投入し上吹ランスより5kg/cm2の圧力で7Nm
3/minの酸素を吹き込んだ。着火確認後、90分の間に
前記予備還元されたマンガン鉱石1000Kg及びコーク
ス600Kgを連続的に又、石炭原石230Kgを間欠的に
投入した。
この間、溶湯温度は1550℃になる様、上吹ランス高
さ、吹酸量を随時調整した。
マンガン鉱石1000Kg投入完了後、スラグ中のマンガンを
回収する為底吹きの内管の酸素ガスをアルゴンガスに切
替えた。溶湯温度はマンガン鉱石の供給が停止されたた
め、上昇傾向となり1690℃まで上昇した。そこで上吹酸
素量を6Nm3/minに減らしランス高さ調整、溶湯温度を1
650℃になるようにした。コークスの供給は引き続き行
うが供給量は6Kg/minの速度に変更した。溶湯温度を16
50℃に維持した状態で10分間吹精を行った。吹酸停止
後、メタル、スラグとも一緒に製品床に流し取り、冷却
後メタル、スラグを分離し計量,分析を行った。
得られたメタルの重量は1580Kg、スラグは470Kgであ
った。メタルの成分はMn74.9%,Si0.1%,C7.2%,P
0.15%であり、スラグ成分はMn5.2%,Fe0.5%,SiO23
1.5%,CaO40.5%であった。この結果鉱石として装入し
たマンガン酸化物についてバランス計算を行うとスラグ
中に4%,蒸発損失が4%、従ってマンガンの歩留りは
92%となった。
実施例2 実施例1で述べた方法同様に試験を行い、マンガン鉱石
投入完了後、吹酸量を4Nm3/minに変更し、コークス投
入速度を4Nm3/minとし溶湯温度を変化させずに即ち155
0℃になる様上吹ランス高さを調整し15分間吹精を行
った。
吹酸停止後メタル,スラグとも製品床に鋳込み、冷却後
分離、計量分析を行った。得られたメタルの重量は1570
Kg、スラグは490Kgであった。
メタルの成分は、Mn74.7%,Si0.1%,C7.2%,P0.15
%であり、スラグ成分は、Mn7.8%,Fe0.8%,SiO230
%,CaO39%であった。マンガンのバランスは、メタル
へ90%、スラグへ6%及び蒸発損失が4%であった。
実施例3 反応容器としては5トン小型転炉の底部に底吹ノズルと
して三重管ノズルを中心に取り付けたものを使用した。
使用するマンガン鉱石,コークス及び石灰原石は実施例
1で示したものである。底吹ノズルは内管より0.5m/m以
下に粉砕したコークスを、キャリアーガスとしてアルゴ
ンを用い、コークスを100g/min、アルゴンガスを200
/min,3Kg/cm2の圧力で吹き込み、中管より酸素ガ
スを350/min,3Kg/cm2の圧力で外管よりアルゴ
ンガスを350/min,3Kg/cm2の圧力で吹き込ん
だ。
実施例1と同様に、反応容器には予め溶融しておいた高
マンガン鉄合金溶湯1トンと溶融スラグを厚さ約150
mmになる様に準備をしておいた。
先ずコースクを30Kg投入し、上吹ランスより5Kg/cm2
の圧力で7Nm3/minの酸素を吹き込んだ。着火確認後、
90分の間に予備還元されたマンガン鉱石1000Kgおよび
コースク600Kgを連続的に投入、又石灰原石を間欠的
に230Kg投入した。この間の溶湯温度は約1550℃にな
る様に、吹酸量,ランス高さを調整した。この調整は2
重管ノズル使用の場合と比較してかなり容易であった。
マンガン鉱石投入完了後、上吹酸素量は、6Nm3/minに
変更し溶湯温度を1650℃になる様に調整した。この時底
吹ノズルの内管よりの粉コークスの吹き込みは停止し、
アルゴンのみの吹き込みとした。炉口よりのコークスの
投入は引続き行うが、供給量は6Kg/minに減じた。そし
て10分間吹精を行った。
吹精停止後、反応容器内にメタルを約1000Kg残し、メタ
ル,スラグ共排出させ、更にスラグの1部を前記反応容
器内に、メタル表面に約150mm厚さとなる様に戻し、
残りの溶融メタルとスラグを製品床へ流し込み、冷却
後、分離し計量,分析を行なった。引き続き、溶融メタ
ル及びスラグの残った前記反応容器を用いて、コークス
30Kgを投入し、以下同様の操作を繰返した。このよう
な操業の1例として連続6回の結果を第1表に示した。
ただし、メタル,スラグの重量は吹精により製錬された
正味の値を示してある。
マンガン・バランスより蒸発損失は二重管使用時(コー
クス吹込み無し)と比較して、半分に抑えられたことに
なる。
【図面の簡単な説明】
第1図はマンガン鉱石溶融後の酸化マンガンと酸化鉄の
還元反応曲線の1例を示す図、第2図はメタル中のマン
ガン含有率とスラグ中の酸化マンガンの還元反応速度定
数kの関係を示す図、第3図と第4図はメタル中のマン
ガンとスラグ中の酸化マンガンの平衡関係を示す図、第
5図はスラグ中の酸化マンガンの平衡濃度に対する温度
の影響を示す図、第6図はスラグ中の酸化マンガンの還
元反応速度定数に対する温度の影響を示す図、第7図は
マンガンの蒸発速度と溶融スラグ層厚さの関係を示す
図、第8図はマンガン蒸発速度に対する温度の影響を示
す図、第9図はマンガン蒸発速度に対するメタル中のマ
ンガン含有率及び底吹きガスの種類の影響を示す図、第
10図は耐火物の溶損速度と温度の関係を示す図、第1
1図はスラグ中の酸化マンガンの還元反応速度及び平衡
濃度に対する底吹きガスの種類の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 裕之 福岡県北九州市八幡東区枝光1−1―1 新日本製鐵株式會社第3技術研究所内 (72)発明者 桑原 正年 福岡県北九州市八幡東区枝光1−1―1 新日本製鐵株式會社第3技術研究所内 (72)発明者 柴田 健治 東京都中央区日本橋小網町8番4号 日本 重化学工業株式会社内 (72)発明者 嶋貫 孝 東京都中央区日本橋小網町8番4号 日本 重化学工業株式会社内 (72)発明者 古賀 懿徳 東京都中央区日本橋小網町8番4号 日本 重化学工業株式会社内 (72)発明者 藤田 正樹 福岡県北九州市八幡東区大字前田字洞岡 2142―3 日本重化学工業株式会社九州工 場内 (56)参考文献 特開 昭54−97521(JP,A) 特開 昭58−104151(JP,A) 特開 昭60−67608(JP,A) 特開 昭60−251212(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高マンガン鉄合金溶湯と溶融スラグが装入
    されているガスを上底吹きできる転炉型反応容器に、原
    料としてマンガン鉱石および/またはその予備還元物と
    固体炭素質物質と造滓剤を装入し、前記容器内に酸素ま
    たは酸素を含有するガスを供給して前記固体炭素質物質
    を燃焼させることにより、前記原料を加熱、溶融、還元
    する際、前記原料の加熱、溶融工程の間の溶湯温度を1
    500〜1600℃の範囲内に保持し、次いで前記原料
    の溶融完了後、溶融原料中の酸化マンガンの還元工程に
    おいては酸素を含有しないガスを底吹きし、かつ前記溶
    湯温度を1500〜1700℃の範囲内でかつ前記加
    熱、溶融工程と同じかまたはより高い温度条件で操業す
    ることを特徴とする溶融還元製錬による高マンガン鉄合
    金の製造方法。
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