JPH0699548B2 - 溶融重合芳香族ポリエステルの末端封鎖法 - Google Patents

溶融重合芳香族ポリエステルの末端封鎖法

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JPH0699548B2
JPH0699548B2 JP62042460A JP4246087A JPH0699548B2 JP H0699548 B2 JPH0699548 B2 JP H0699548B2 JP 62042460 A JP62042460 A JP 62042460A JP 4246087 A JP4246087 A JP 4246087A JP H0699548 B2 JPH0699548 B2 JP H0699548B2
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    • C08G63/12—Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ビスフェノール化合物とジカルボン酸との改
良された線状芳香族ポリエステルに関する。より具体的
には、本発明は、末端置換基として安息香酸フェニルか
ら誘導された安息香酸エステル基(ベンゾエート基)を
含有する、末端封鎖された溶融重合芳香族ポリエステル
の製造方法に関する。
(従来の技術) ジカルボン酸(特に芳香族ジカルボン酸)とビスフェノ
ール化合物とから誘導された線状芳香族ポリエステル
は、型成形、押出、流延、および皮膜形成用途に適した
材料として周知である。たとえば、米国特許第3,216,97
0号は、イソフタル酸、テレフタル酸およびビスフェノ
ール化合物から製造される線状芳香族ポリエステルを開
示している。このような高分子量ポリエステルは、各種
フィルムおよび繊維の製造用に有用であることが知られ
ている。また、このようなポリマーを射出成形などの慣
用の成形法を使用して有用な成形品に加工すると、他の
線状ポリエステルから得た成形品より優れた特性が得ら
れる。たとえば、芳香族ポリエステルは、良好な引張特
性、衝撃および曲げ強度、高い熱変形温度および熱分解
温度、紫外線照射に対する耐性、および良好な電気的特
性などの多様な有用な特性を有することが知られてい
る。
(発明が解決しようとする問題点) 上記の線状芳香族ポリエステルは一般に優れた物理的お
よび化学的性質を示すが、その固有かつ厄介な問題点と
して、高温で加水分解による劣化に敏感であった。この
熱と水分の共存作用に敏感であることは、成形前に樹脂
の含水量を約0.05%以下に低下させることが望ましいこ
とから証明されるように、市販のポリカーボネート樹脂
でも同様に知見される。しかし、残念ながら、芳香族ポ
リエステル樹脂は、ポリカーボネート樹脂より顕著に急
速な劣化および脆化傾向を示すことが多い。これは、芳
香族ポリエステル樹脂を成形した後、沸騰水中に浸漬し
た場合に引張強度の低下が起こり得ることで証明され
る。この劣化傾向は、部分的には、このような条件下で
のエステル結合の加水分解に起因すると説明できる。い
ずれにしても、水分に敏感であることが芳香族ポリエス
テル樹脂の重要な問題点であり、そのため、オートクレ
ーブ中もしくは高温度の湿潤雰囲気中のような用途にお
けるその商業的利用性が著しく制限されていることは理
解されよう。
特開昭53−8696号公報(1978年1月26日発行)は、ビス
フェノール化合物およびジカルボン酸ジアシルハロゲン
加物の反応成分からのポリエステルの製造をp−tert−
ブチルフェノールのような1価フェノール化合物の存在
下に行うことにより、ビスフェノール化合物とジカルボ
ン酸の各モノマー残基からなる線状芳香族ポリエステル
の加水分解安定性が向上することを開示している。この
1価フェノール化合物は、ポリエステルの末端カルボニ
ルハロゲン化物置換基と反応して、p−tert−ブチルフ
ェニルカルボン酸エステル末端基を形成する。しかし、
p−tert−ブチルフェノールのような1価フェノール化
合物から誘導した末端カルボン酸エステル基を導入して
ポリエステルを変性させても、このポリエステル生成物
を商業的に優位にするほどはその加水分解安定性が向上
しない。
前述した従来のポリエステルはまた、一般に高温で加工
(例、射出成形加工)した場合にも不安定である。この
加工不安定性は、加工中に着色が増大し、ポリエステル
の固有粘度(intrinsic viscosity)および分子量が貯
しく低下することにより明らかである。
本発明の目的は、ビスフェノールおよびジカルボン酸の
残基からなる、加水分解安定性を示す構造的に変性され
た線状芳香族ポリエステルを製造することである。
本発明の別の目的は、ビスフェノールおよびジカルボン
酸残基からなる加工安定性の向上した構造的に変性され
た線状芳香族ポリエステルを製造することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明により、ポリエステル連鎖の末端残基にジカルボ
ン酸残基を含有するビスフェノール化合物とジカルボン
酸の残基からなる線状芳香族ポリエステルを改良した新
規な熱可塑性ポリエステルが提供される。
この改良によると、反応系に特定量の安息香酸フェニル
を共存させることにより、末端ジカルボン酸の残基が少
なくとも部分的に非置換ベンゾエート基で末端封鎖され
る。
本発明による末端基としてベンゾエート基を含有するビ
スフェノール化合物とジカルボン酸とのポリエステル
は、溶融重合法により製造される。一般に、従来の末端
カルボン酸エステル基(例、米国特許第4,278,785号お
よび前記の特開昭53−8696号公報に記載の遊離フェノー
ル。o−またはp−置換フェノール、および長鎖脂肪族
1価アルコール)を含有するビスフェノール化合物およ
びジカルボン酸残基からなる対応するポリエステルは、
ジカルボン酸のハロゲン価ジアシルおよびビスフェノー
ル化合物を使用した溶液重合法により製造されてきた。
本発明の芳香族ポリエステルは、実質的に加工時に安定
であり(すなわち、着色が少なく)、加工後に分子量は
実質的に未変化のままである。
本発明はまた、ジカルボン酸のジアリールエステル、ビ
スフェノール化合物および安息香酸フェニルをエステル
変換反応させることによりポリエステルを溶融重合法に
より製造する際に、安息香酸フェニルをポリエステル中
に反応させることからなる、本発明のポリエステルの製
造方法をも提供する。
本発明の方法は、反応成分が芳香族ジカルボン酸のジア
リールエステル、ビスフェノール化合物および前記ジカ
ルボン酸ジアリールエステルに対して2.5〜25モル%の
安息香酸フェニルのみからなる反応混合物を溶融し、こ
の混合物を100℃以上の温度で重合反応させることによ
り、前記ビスフェノール化合物と前記芳香族ジカルボン
酸の残基からなる線状芳香族ポリエステルであって、ポ
リエステル連鎖の末端に前記ジカルボン酸の残基を含有
し、この末端ジカルボン酸残基が少なくとも部分的に非
置換のベンゾエート基で末端封鎖されている線状芳香族
ポリエステルを製造することからなる、溶融重合芳香族
ポリエステルの末端封鎖方法である。
(作用) 本発明のポリエステルの製造に使用できるビスフェノー
ル化合物は周知の化合物であり、下記一般式(I)に対
応するビスフェノール化合物およびその官能性誘導体を
包含するものである。
式中、Xは−O−、−S−、−SO2−、−SO−、−CO
−、炭素数1〜4のアルキレン基、および炭素数1〜4
のアルキリデン基よりなる群から選ばれ、R1,R2,R3,R4,
R1′,R2′,R3′およびR4′は同一でも異別でもよく、そ
れぞれ水素原子、塩素原子、臭素原子および炭素数1〜
4のアルキル基よりなる群から選ばれた原子もしくは基
を意味する。
上記一般式(I)で示される好適なビスフェノール化合
物の例は、4,4′−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテ
ル、ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)エー
テル、ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)エ
ーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロ
ロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
ブロモフェニル)メタン、1,1−ビス(4′−ヒドロキ
シフェニル)エタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−
3′−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4′−
ヒドロキシ−3′−クロロフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクロロフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,
5′−ジブロモフェニル)プロパン、および1,1−ビス
(4′−ヒドロキシフェニル)−n−ブタンがある。2,
2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン(慣用
名:ビスフェノールA)が最も一般的かつ容易に入手で
きる化合物であり、したがって最もよく使用される。
本発明で使用可能なビスフェノール化合物の官能性誘導
体の代表例は、この化合物の金属塩および炭素数1〜3
の脂肪族モノカルボン酸とのジエステルである。ビスフ
ェノール化合物の好ましい官能性誘導体は、そのナトリ
ウム塩、カリウム塩およびジ酢酸エステルである。ビス
フェノール化合物は、1種類のみ、もしくは2種以上の
混合物のいずれも使用できる。
好適なジカルボン酸としては、イソフタル酸およびテレ
フタル酸のような芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
本発明のポリエステルの製造に使用するジカルボン酸
が、本発明の特に好ましい態様に従ってイソフタル酸と
テレフタル酸との混合物である場合、ポリエステル中の
イソフタル酸残基:テレフタル酸残基の重量比が約90:1
0〜10:90、好ましくは約75:25〜90:10の範囲内であると
特に良好な結果が得られる。
上述した本発明の改善された溶融エステル交換重合法を
用いて本発明のポリエステルを製造する場合、ジカルボ
ン酸反応成分は一般にジカルボン酸のジアリールエステ
ルである。
本発明の改善された溶融エステル交換重合法において反
応成分として使用されるジカルボン酸のジアリールエス
テルは、炭素数6〜20のベンゼンもしくはナフタレン系
列のモノヒドロキシ芳香族化合物とのジカルボン酸のジ
エステルである。このようなモノヒドロキシ芳香族化合
物の例は、フェノール、o−、m−もしくはp−クレゾ
ール、キシレノール、p−クロロフェノール、3,5−ジ
ブロモフェノールのようなハロフェノール類、o−、m
−もしくはp−ニトロフェノールのようなニトロフェノ
ール類、1−ナフトール、2−ナフトール、1−ヒドロ
キシ−4−メチルナフタレン、チオフェノール類などで
ある。好ましくは、このエステル反応成分は、モノヒド
ロキシ芳香族炭化水素、より好ましくはベンゼン系列の
モノヒドロキシ芳香族炭化水素、特にフェノール自体か
ら誘導したエステルである。ジカルボン酸エステル反応
成分の2個のエステル基は、互いに異なるモノヒドロキ
シ芳香族化合物から誘導することもできるが、好ましく
はジカルボン酸エステル反応成分の両方のエステル基は
同じモノヒドロキシ芳香族化合物から誘導される。
エステル交換重合によるビスフェノール化合物およびジ
カルボン酸の残基からなる従来の線状芳香族ポリエステ
ルの製造は、ビスフェノール化合物とジカルボン酸ジア
リールエステルとの混合物を、望ましくは実質的に無水
の不活性雰囲気(例、乾燥窒素雰囲気)中で、反応成分
を液状とする、すなわち溶融反応系を形成するのに十分
な高温(一般に約100℃以上)に加熱することにより行
われる。所望により、反応成分および生成物の融点によ
り低温での重合反応、すなわち固相重合反応により、さ
らにエステル交換重合反応を行うこともできる。
一般に、反応系は後述するような種類のエステル交換触
媒を含有する。続いて起こるエステル交換重合反応は、
反応系の温度を約350℃に昇温させると促進される。こ
の重合反応において、ジアリールエステルのアリール基
がビスフェノール化合物により置換されて、モノヒドロ
キシ芳香族化合物(例、フェノール)が副生する。反応
圧力は、反応中に、たとえば大気圧から約0.1mmHg以下
の減圧に通常低下させる。この反応を実施する際に、可
逆性のエステル交換反応を進行させて完了させるため
に、副性するモノヒドロキシ芳香族化合物を留去する手
段を一般に採用する。
ポリエステルのエステル交換反応による製造を2段階で
実施することが往々にして望ましい。たとえばビスフェ
ノール化合物とジアリールエステルとを約100℃以上な
いし約300℃、好ましくは約175〜300℃、特に約175〜25
0℃の温度で、上述した反応圧力条件下にエステル交換
反応させて、固有粘度が約0.1〜0.2dl/g程度と相対的に
低い低分子量ビスフェノール−ジカルボン酸ポリエステ
ル(これは一般にポリエステルプリポリマーと呼ばれ
る)を製造する。このプリポリマーを次いで、上述した
反応圧力条件下にやや高い反応温度、好ましくは約225
〜350℃、特に約250〜300℃に加熱して、重合反応を完
結させるのが好都合である。この後者の反応段階を一般
に重合段階と称し、所望により、この第2段階をポリエ
ステルプリポリマーの製造に使用したのとは別の反応容
器で行うともできる。
本発明の重合方法は、酸性、中性もしくは塩基性触媒の
存在下に実施する。この触媒の分類は、水のような極性
電離性溶媒に溶解させた触媒と慣用の酸塩基指示薬との
反応に基づいた分類である。
より好ましくは、塩基性触媒を使用する。この触媒を反
応系に導入する前に、好ましい塩基性触媒を液状状態に
変換させておくことが好ましい(例、溶融するか、ある
いは液体もしくは常態で固体の低融点溶剤に溶解させ
る)。
好適な塩基性触媒としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムのよ
うなアルカリ金属、ならびにこれらのアルカリ金属の炭
酸塩、水酸化物、水素化物、ホウ水素化物、フェネー
ト、ビスフェネート(すなわち、フェノールおよびビス
フェノールの塩)、酢酸塩もしくは安息香酸塩のような
カルボン酸塩、酸化物が挙げられる。上記の各種化合物
のアルカリ金属に代えてII族もしくはIII族元素を使用
することもできる。たとえば、カルシウム、マグネシウ
ムおよびアルミニウムの各金属および化合物を触媒とし
て使用することもできる。他の塩基としては、トリアル
キルもしくはトリアリールスズ水酸化物、酢酸塩、フェ
ネートなどがある。
触媒の具体例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ル
ビジウム、セシウムおよびフランシウムの各金属、炭酸
カリウムもしくはルビジウム、水酸化カリウム、水素化
リチウム、ホウ水素化ナトリウム、ほう水素化カリウ
ム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、アルミニウム
トリイソプロポキシド、および水酸化トリフェニルスズ
である。
常態で固体の触媒に対する好ましい溶剤はフェノールで
ある。使用できる置換フェノールとしては、式 (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10
のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、クロロ、
ブロモ、もしくはこれらの混合物であり、nは1もしく
は2である)で示されるものがある。
代表的な溶剤としては、o−ベンジルフェノール、o−
ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、m−クロロ
フェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジブロモフ
ェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,5−ジメトキシ
フェノール、o−エトキシフェノール、m−エチルフェ
ノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェ
ノール、m−メトキシフェノール、m−プロピルフェノ
ール、p−プロピルフェノールなどが挙げられる。さら
に、室温で液体であり、液体状態を維持するのに加熱を
必要としないある種のクレゾール類、たとえばm−クレ
ゾールも有用な溶剤である。
特に有用なその他の溶剤には、エーテル型のもの(例、
テトラヒドロフラン)および各種グライム類(例、エチ
レングリコールジメチルエーテル)などがある。
2種以上の触媒の混合物、および2種以上のフェノール
類もしくはフェノール類と溶剤との混合物を使用するこ
ともできる。
特に好ましい液状塩基性触媒は、フェノールのような常
態で固体の溶融した低融点有機溶剤に溶解させて使用に
供する。非常によい結果を生ずる特に好ましい触媒は、
塩基性触媒のルビジウムフェノキシド、カリウムフェノ
キシドもしくはカリウムボロフェノキシドをそれぞれ溶
融フェノールに溶解させたものである。
また、塩基性触媒を使用する場合、重合反応の開始前の
触媒の存在下での反応成分の加熱を避けるために、触媒
の上述した溶融反応成分と同時に重合反応器に導入する
ことが好ましい。
上に列挙したものより好ましくないが本発明で使用でき
る別の触媒としては、金属酸化物、金属酢酸塩、チタン
およびスズ化合物が挙げられる。好適な金属酸化物の例
には、三酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、三酸化砒
素、酸化鉛、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛があ
る。好適な金属酢酸塩には、酢酸コバルト、酢酸亜鉛、
酢酸カドミウムおよび酢酸マンガンがある。好適なチタ
ン化合物には、チタン酸テトラブチルおよびチタン酸テ
トライソプロピルのような有機チタン酸エステルがあ
る。好適なスズ化合物には、ジブチルスズオキシド、ジ
ブチルスズメトキシドおよびジブチルスズジラウレート
がある。
エステル交換反応によりビスフェノール化合物およびジ
カルボン酸の線状芳香族ポリエステルを製造する際の上
述のエステル交換触媒の従来の使用割合は、一般に触媒
有効量、たとえばビスフェノール反応成分およびジカル
ボン酸ジアリールエステル反応成分の合計重量に基づい
て約0.005〜2重量%、好ましくは約0.01〜1重量%の
範囲内である。好適なエステル交換触媒およびその好適
な使用量についてのより詳しい説明は、英国特許第924,
697号になされている。この特許および米国特許第3,39
9,170号および同第4,137,278号には、ビスフェノール化
合物およびジカルボン酸の残基からなるポリエステルの
エステル交換重合による従来の製造方法が説明されてい
る。上述した2段階方式のエステル交換重合法による線
状芳香族ポリエステルの製造については、G.Bier,ポリ
マー(Polymer),15,527-535(1974)およびK.Eiseet
al.,西独特許出願公開公報第2,232,877号に説明され
ているので、参照されたい。
本発明の改善されたエステル交換すなわち溶融重合法に
よれば、安息香酸フェニルをポリエステル中に反応させ
る、すなわちジカルボン酸のジアリールエステルをビス
フェノール化合物とエステル交換重合反応させるのと同
時もしくはそれより前にこのジアリールエステルと反応
させる。
安息香酸フェニルを上記の同時反応方式により反応させ
る本発明のポリエステルの製造にあっては、ジアリール
エステルとビスフェノール反応成分のエステル交換反応
の反応終了時、反応中、もしくは望ましくは反応前に安
息香酸フェニルを反応系に添加して、ジアリールエステ
ルと反応させる。換言すると、本発明の安息香酸フェニ
ル反応成分は、重合反応の開始のためにビスフェノール
化合物をジアリールエステルと混合するのと同時に、も
しくはこの混合に続いてジアリールエステルと反応させ
るものである。
本発明の改良されたエステル交換重合法は、触媒を使用
したエステル交換重合反応によるビスフェノール化合物
およびジカルボン酸残基からなる線状芳香族ポリエステ
ルの公知の製造方法において採用されるのと同様の重合
条件、触媒およびポリエステル生成物回収方法を用いて
実施される。最終的な最高重合反応温度は、前述のよう
に、約150〜350℃もしくはそれ以上となる。
ジカルボン酸反応成分に基づいて少量(すなわち、少な
くとも約0.1モル%)の安息香酸フェニル反応成分を用
いることにより、エステル末端封鎖基を実質的割合
(例、ポリエステル中の全末端基の少なくとも約5モル
%、これはポリエステルの重量に基づく末端封鎖基の量
に換算すると少なくとも約0.25重量%に相当する)で含
有するフェニルカルボキシレートエステル末端封鎖ポリ
エステルを、本発明の溶融重合法により得ることができ
る。
好ましくは、本発明のポリエステルは、ベンゾエート末
端基を加水分解安定化に有効な少量の重量割合(ポリエ
ステルの重量に基づく割合)で含有すべきである。この
割合は、ポリエステル中のビスフェノール化合物および
ジカルボン酸残基の種類に応じていくらか変動するが、
一般にはこの末端基のポリエステル中の割合が、ポリエ
ステルの重量に基づいて約0.5重量%以上、約10重量%
以下、好ましくは約1〜8重量%、特に約2〜5重量%
である場合に、満足すべき結果が本発明により得られ
る。この末端基の割合が10重量%超、たとえば20重量%
もしくはそれ以上のものも有用であるが、その製造に必
要な安息香酸フェニルの量を考えると経済的に不利とな
ろう。
一般に、加水分解安定性の向上したポリエステルを形成
するには、安息香酸フェニル反応成分を、ジカルボン酸
反応成分のモル量に基づいて約2.5〜25モル%、好まし
くは約3.0〜10モル%、特に好ましくは約3.0〜8モル%
の範囲内の量で反応系に使用する。
本発明のポリエステルの製造において、ジカルボン酸お
よびビスフェノールの各反応成分の使用割合は、ポリエ
ステル生成物の少なくとも一部がカルボキシレート基末
端となる割合(すなわち、生成ポリエステルの末端基に
ジカルボン酸反応成分のモノマー残基を含有するポリエ
ステルを形成する割合)とすべきである。既知のよう
に、ビスフェノールおよびジカルボン酸モノマー残基か
らなる線状芳香族ポリエステルにおいてカルボキシレー
ト基の末端部は、ビスフェノール化合物および任意の使
用した2官能性脂肪族変性剤反応成分の合計モル量に対
してジカルボン酸反応成分が化学量論的に過剰となる割
合から、ジカルボン酸反応成分が化学量論的にいくらか
不足する割合(ビスフェノール化合物および任意の2官
能性脂肪族変性剤反応成分の合計モル量が約5モル%化
学量論的に過剰となる割合に対応)までの範囲内のモル
割合でジカルボン酸反応成分を使用することにより得ら
れる。好ましくは、ビスフェノール化合物および使用し
た任意の2官能性脂肪族変性剤反応成分のモル量に対し
てほぼ化学量論的に当量となるモル量でジカルボン酸反
応成分を使用して、本発明のポリエステルを製造する。
本発明の安息香酸フェニル反応成分は、本発明のポリエ
ステル生成物に対して分子量抑制剤として作用する。す
なわち、ポリエステル製造系に装入したジカルボン酸反
応成分のモル量に対する安息香酸フェニルのモル比率が
高くなるほど、生成ポリエステルの分子量は一般に低下
する。したがって、本発明のポリエステルの製造におけ
る安息香酸フェニルの使用比率が高いほど、分子量の低
いポリエステルが得られる。
ジカルボン酸反応成分のモル量に基づいて一般に約25モ
ル%以下の安息香酸フェニルを使用して得られる本発明
の上述した高分子量ポリエステルは、約8以上の重合度
(d.p.)(重合度8とは、ポリエステル中に7個のビス
フェノール残基と8個のジカルボン酸残基が存在するこ
とに対応する)、たとえば35以下から50までもしくはそ
れ以上の重合度を有することを特徴とする。ジカルボン
酸反応成分のモル量に基づいて一般に約25モル%以上の
安息香酸フェニルを使用して得られる本発明の上述した
低分子量ポリエステルは、約8以下、たとえば約3の重
合度を有することを特徴とする。
本発明のポリエステル生成物は、従来のエステル末端基
(例、p−t−ブチルフェニルカルボキシレートエステ
ル末端基)を有する対応するポリエステルに比較して、
優れた加水分解安定性と優れた加工安定性とを示す。
本発明のポリエステルは、一般に従来のポリエステルに
匹敵しうる加工容易性を有する。その優れた特性から、
本発明の改良されたポリエステルは、自動車および電気
装置の成形部品のようなポリエステル成形品の製造に有
用である。
本発明のポリエステルは、有機もしくは無機充填材、難
燃剤、引張強度安定剤などの他の添加剤を任意に含有し
うる。
本発明のポリエステル組成物に使用しうる充填材は、好
ましくは粒子状充填材、たとえば粒子状ガラス(例、チ
ョップトガラス繊維、ガラスロービング、ガラス微小中
空球、ガラス微小球、および微粉状ガラス)、粒子状ク
レー、タルク、マイカ、無機天然繊維、合成有機繊維、
アルミナ、黒鉛、シリカ、炭酸カルシウム、カーボンブ
ラック、マグネシアなどである。一般にこのような充填
材を添加すると、ポリマーの構造一体性の強化、たとえ
ば、ポリマー組成物のたるみの阻止および/もしくは引
張強度および剛性の向上が図られ、さらにポリマー組成
物の縮みが少なくなり、ひび割れ(クレージング)が少
なくなり、材料コストが軽減され、色もしくは不透明性
が付与され、表面仕上げが改善される。一般に、本発明
の組成物における粒子状充填材の配合量は、ポリエステ
ルとモノエステル添加材の合計量に基づいて約5〜70重
量%、好ましくは約5〜40重量%、特に約8〜30重量%
の範囲内である。使用する充填材は無機充填材が好まし
い。一般に粒子状ガラス充填材、特にガラス繊維を使用
すると特に良好な結果が得られる。
本発明のポリエステルは、加水分解安定性が高いという
固有の利点を有するが、このポリエステルにさらにポリ
エステルを加水分解および/もしくは酸化に対して安定
化させる高分子量添加剤を混合して含有させることもで
きる。
好適な酸化防止剤の例は、慣用のフェノール系酸化防止
剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、アミン系酸化防止
剤、イオウ含有化合物、有機金属化合物およびエポキシ
化合物である。さらに、可塑剤、顔料および滑剤も本発
明の芳香族ポリエステル組成物に配合することができ
る。また、本発明の芳香族ポリエステル組成物をガラス
繊維による強化樹脂とすることもできる。
所望により、本発明の芳香族ポリエステル組成物は、た
とえばポリアルキレンテレフタレート(例、ポリエチレ
ンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレー
ト)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)、ポリカー
ボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミ
ド、ポリウレタン、ポリスチレン、ABS樹脂、EVAコポリ
マー、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンスルフ
ィド、およびゴムのような少なくとも1種の別のポリマ
ーを含有していてもよい。換言すると、芳香族ポリエス
テルと上に例示したような別のポリマーとの混合物を使
用することができる。
本発明のポリエステルに任意成分の添加剤として使用で
きる難燃剤には、ハロゲン含有難燃剤がある。
本発明の改良されたベンジルカルボキシレートエステル
基末端ポリエステルは、熱可塑性樹脂の成形に慣用され
ている装置、たとえば射出成形および押出成形装置を使
用して容易にフィルムおよび成形品に加工される。
代表的には、ポリエステル(および所望により1種もし
くは2種以上の上述した充填材もしくはポリエステルと
物理的に混合される他の添加剤)を溶融常態で混練し、
次いで適当な加工装置を使用してフィルム状にプレスす
るかもしくは成形する(押出もしくは好ましくは射出成
形法により)。本発明のポリエステルを射出成形したい
場合、最終的なポリマーの射出成形の前にミルで溶融ポ
リマーを処理する代わりに押出成形工程を採用するのが
望ましいこともある。フィルム、ならびにロッド、バ
ー、リングなどの各種成形品を本発明の熱可塑性ポリエ
ステルから製造することができる。
以下の実施例は本発明の各種態様をさらに例示するため
に挙げたものであって、本発明を制限する意図はない。
各種の変更を本発明の範囲内で採用することができる。
実施例1 各試験共通の基本的反応成分として、ビスフェノールA2
2.83g(0.100モル)、イソフタル酸ジフェニル23.87g
(0.075モル)、テレフタル酸ジフェニル7.96g(0.025
モル)、およびK2CO3として、もしくはK2CO3の溶融フェ
ノール中の溶液として添加された(いずれも触媒として
有効)カリウムフェネート(0.00005モル)を使用し
た。
反応成分および触媒を乾燥し(減圧乾燥器、75℃、1
夜)、秤量し、機械式撹拌機、ガス導入管、受け器およ
びジャケットの外側に加熱テープを巻付けたオイルジャ
ケットを備えたチューブ形のガラス反応器に装入した。
この系に乾燥窒素を流した。系に減圧を適用し(約0.2m
mHg)、ジャケットのオイルの温度を100℃に約1.5時間
上昇させた。
乾燥窒素を導入して減圧を解除し、温度を210℃に上げ
た。計が溶融かつ均質状態にある間に、撹拌を続けなが
ら排気して、次第に真空度を高めて、フェノールを除去
した。70〜85分後に、温度240℃、真空度約0.1mmHgに達
し、反応混合物は以上に粘稠となった。得られた「プリ
ポリマー」を反応器から取り出した(その前にまず乾燥
窒素で真空を解除してから)。この材料について固有粘
度の測定を行った。次いで、これをマイクロミルで粉末
状に粉砕した。
上記の粉砕したプリポリマー1.0gを250ccの丸底フラス
コに装入し、フラスコを熱油浴中でゆっくり回転させて
プリポリマーをフラスコの下半分に広げた。このフラス
コを真空(約0.1mmHg)に引いた。フラスコを次いで310
℃に設定した温度制御式油浴中に30分間浸漬した(ほぼ
半分の深さまで)。30分後、乾燥窒素を導入して真空を
解除し、ポリマーをフラスコから掻き集めた。このポリ
マーについて、下記の方法で固有粘度の測定および熱重
量分析(TGA)を行った。
精確に秤量した0.125gのポリマー試料を25ccのメスフラ
スコに取り、1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させ
た。30℃でキャノン−ウベルハード(Cannon-Ubelhard
e)粘度計により流れ時間を測定し、溶液の流れ時間、
溶媒の流れ時間およびk′=0.43(別の実験で求めた)
から固有粘度を算出した。結果を下記の第1表に示す。
TGA(熱重量分析)は、メトラー(Mettler)熱分析装置
TA2型を使用して行った。まず試料を乾燥した(真空下1
00℃で1夜)。これを精確に秤量し(0.100g)、白金カ
ップに入れ、このカップを装置に装着した。測定系を乾
燥空気流の雰囲気に保持した。温度を25℃/minの速度で
400℃に上昇させ、次いで400℃に2時間保持した。時間
の経過による重量減少を記録した。結果を第2表に示
す。
第1表のデータから、3モル%の量の安息香酸フェニル
の添加は、ポリマーの固有粘度増大に対して少ししか影
響しないことがわかる。6モル%の量では、固有粘度増
大の著しい抑制が現れる。安息香酸フェニルの添加量に
よるこの効果は、使用触媒の種類、さらにはポリマーの
製造に使用した装置および製造規模により変動しよう。
第2表のTGAのデータにはいくらか変動幅がある。しか
し、安息香酸フェニルをポリマー中に混入することによ
り、ポリマーの安定性が改善されることをはっきり示し
ている。
第1表および第2表の固有粘度増大および熱安定性の結
果を総合すると、3モル%の安息香酸フェニルの配合量
が好ましい。
このように、本発明により安息香酸フェニルの添加量を
適当に選択すると、十分な固有粘度増大を確保して熱安
定性を改善することができる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応成分が芳香族ジカルボン酸のジアリー
    ルエステル、ビスフェノール化合物、および前記ジカル
    ボン酸ジアリールエステルに対して2.5〜25モル%の安
    息香酸フェニルのみからなる反応混合物を溶融し、この
    混合物を100℃以上の温度で重合反応させることによ
    り、前記ビスフェノール化合物と前記芳香族ジカルボン
    酸の残基からなる線状芳香族ポリエステルであって、ポ
    リエステル連鎖の末端に前記ジカルボン酸の残基を含有
    し、この末端ジカルボン酸残基が少なくとも部分的に非
    置換ベンゾエート基で末端封鎖されている線状芳香族ポ
    リエステルを製造することからなる、溶融重合芳香族ポ
    リエステルの末端封鎖方法。
  2. 【請求項2】前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸、
    イソフタル酸、およびこれらの混合物よりなる群から選
    ばれたものである、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】前記ジアリールエステルが、テレフタル酸
    およびイソフタル酸のジアリールエステルの混合物から
    なる、特許請求の範囲第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】前記ジアリールエステルがジフェニルエス
    テルである、特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれか
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記ビスフェノール化合物が、下記一般式
    で示されるものもしくはその官能性誘導体である、特許
    請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の方法: 式中、Xは−O−、−S−、−SO2−、−SO−、−CO
    −、炭素数1〜4のアルキレン基、および炭素数1〜4
    のアルキリデン基よりなる群から選ばれ、R1,R2,R3,R4,
    R1′,R2′,R3′およびR4′は同一でも異別でもよく、そ
    れぞれ水素原子、塩素原子、臭素原子および炭素数1〜
    4のアルキル基よりなる群から選ばれた原子もしくは基
    を意味する。
  6. 【請求項6】前記ビスフェノール化合物がビスフェノー
    ルAである特許請求の範囲第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】前記重合を、重合帯域に液状で導入された
    前記重合用の塩基性触媒の存在下に行う、特許請求の範
    囲第1項〜第6項のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】前記重合を、第一段ではポリエステルオリ
    ゴマーを生成させ、第二段で重合を続けてポリエステル
    生成物を得ることにより行い、第二段での重合をバッチ
    式もしくは実質的に連続式に実施する、特許請求の範囲
    第1項〜第7項のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】第一段での重合をバッチ式で行う、特許請
    求の範囲第8項記載の方法。
  10. 【請求項10】第一段での重合を実質的に連続式で行
    う、特許請求の範囲第8項記載の方法。
  11. 【請求項11】前記混合物に前記ジカルボン酸のジアリ
    ールエステルに対して約3モル%の安息香酸フェニルを
    添加する、特許請求の範囲第1項〜第10項のいずれかに
    記載の方法。
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