JPH0710551A - 屈折率分布型光学素子の製造方法 - Google Patents

屈折率分布型光学素子の製造方法

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JPH0710551A
JPH0710551A JP17218893A JP17218893A JPH0710551A JP H0710551 A JPH0710551 A JP H0710551A JP 17218893 A JP17218893 A JP 17218893A JP 17218893 A JP17218893 A JP 17218893A JP H0710551 A JPH0710551 A JP H0710551A
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正之 山根
Takashi Koike
尚 小池
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分布形成した金属成分の濃度分布を、その後
の固定・乾燥処理工程中に乱すことなく、レンズ設計的
に有効な屈折率分布型光学素子を得る。 【構成】 ゾル・ゲル法により屈折率分布型光学素子を
製造するにあたり、少なくとも1種の金属塩を含有した
シリカゲルを、前記金属塩の金属種以外の少なくとも1
種の金属種からなる金属塩と、前記金属塩のいずれかの
金属塩のアニオンと同種のアニオンを発生する物質とを
含有する溶液中に浸漬する。これにより、少なくとも1
つの金属成分に凸形状、他の少なくとも1つの金属成分
に凹形状の濃度分布を付与し、屈折率分布型光学素子を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラ、顕微鏡等の光
学レンズとして利用される屈折率分布型光学素子のゾル
・ゲル法による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゾル・ゲル法により屈折率分布型光学素
子を作製する場合、分布を形成する金属種の原料に金属
塩を用いる方法として、特開平3−295818号公報
に開示される方法が知られている。
【0003】この方法を以下に簡単に説明する。まず、
骨格形成酸化物の原料にシリコンのアルコキシドを用い
て調製したゾルに、屈折率分布を付与するための金属成
分(第1金属成分)として酢酸鉛の水溶液を添加し、円
柱状のゲルを作製する。その後、このゲルを酢酸鉛に対
する溶解度の差を利用し、イソプロパノール(以下「I
PA」と略記)からアセトンへと、その混合比を段階的
に変化させ、溶解度を徐々に低下させた各溶液中に順次
浸漬することにより、ゲル細孔の壁面に酢酸鉛の微結晶
を沈殿させ、酢酸鉛の固定を行う。このときに段階を経
ず、溶解度の低いアセトンに直ちに浸漬すると酢酸鉛の
沈殿が急激に起こり、結晶がゲル中で成長するためにゲ
ルの骨格を破壊してしまう。
【0004】次に、ゲル中の酢酸鉛と交換を行う第2金
属成分である酢酸カリウムをエタノール中に溶解させた
分布付与液中にゲルを浸漬する。この工程で、鉛とカリ
ウムの相互拡散によって径方向の酢酸鉛の濃度に凸形
状、酢酸カリウムの濃度に凹形状の分布が形成される。
さらに、このゲルをIPA:アセトン=5:5(体積
比)、アセトン、アセトンの順に段階的に浸漬させ、酢
酸鉛・酢酸カリウムの微結晶をゲルの細孔中の壁面に沈
殿させることによって前記濃度分布をゲル骨格中に固定
する。こうして得られたウエットゲルを乾燥後、焼成
し、径方向に屈折率分布を有する光学素子を得る。
【0005】この方法で得られた屈折率分布型光学素子
の径方向の屈折率を測定したところ、図2に示すような
ものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】屈折率分布型光学素子
をカメラ等のレンズ系に用いる場合にはその屈折率の分
布形状が重要である。ここでは、径方向に屈折率分布を
有するラジアル型の屈折率分布型光学素子についての例
を用いて説明する。ここで、中心からの距離と屈折率の
関係は次式で表される。 N(r) =N0 +N1 2 +N2 4 +N3 6 + … ……(1) N(r) :中心からの径方向距離rの点での屈折率 N0 :中心の屈折率 N1 ,N2 ,N3 ,…:分布係数 分布形状で問題となるのは、中心部と周辺部との屈折率
差Δnと、収差を補正するためのレンズ周辺部での分布
係数である。ここに、屈折率分布型光学素子のパワーは
2 、N3 …の分布係数の影響の少ない場合には、N1
の値により決定される。N1 が大きい、つまり屈折率差
Δnの大きいものほど屈折率分布型光学素子の効果が出
せる。また、レンズ周辺部の収差補正には周辺部での分
布形状に影響の大きいN3 以降の分布係数が重要であ
る。
【0007】しかし、従来技術で示した方法を用いて作
製したガラスの径方向の各点における屈折率を測定し、
中心からの距離と屈折率とを最小二乗法により(1)式
にフィッテイングしたものは、分布係数のうちN3 の値
が正の値であり、かつ、その絶対値が大きいため、ガラ
ス周辺部での屈折率分布形状への影響が大きく、周辺部
で屈折率分布の凸凹が逆転したような分布形状であっ
た。また、中心部の屈折率が低下しており、Δn=0.
070と小さかった(図2参照)。
【0008】このような分布形状の屈折率分布型光学素
子でレンズ系を作製した場合には、Δnの値が小さいた
めに媒質自体のパワーが弱く、またレンズ周辺部で変曲
点を有するために光線が良好に集光できず、屈折率分布
型光学素子特有の収差補正効果が得られない。一方、こ
の周辺部での変曲点を避けようとすれば、レンズの有効
径が限られてしまうという問題がある。
【0009】このような分布形状の乱れを従来例の組成
系に基づいて説明すると、以下のようになると考えられ
る。従来例における組成系について、屈折率の分布形状
はおもに鉛の濃度分布形状によって支配されているた
め、ここでは、ゲル中の酢酸鉛の挙動に着目して考え
る。
【0010】すなわち、円柱状のゲルの分布付与時にお
ける酢酸鉛の径方向濃度分布の形成は拡散則に従ってお
り、酢酸鉛の濃度の高いゲル中から、酢酸鉛の濃度の低
い分布付与液中への鉛の拡散となるので、中心部から周
辺部へ向かっての酢酸鉛の濃度勾配は単調減少となって
いるものと考えられる。
【0011】しかし、一旦分布形成された酢酸鉛の分布
が、分布形成後の固定・乾燥の処理工程中で崩れていく
ことが分布の乱れの原因として挙げられる。分布固定工
程中では、酢酸鉛の溶媒に対する溶解度を利用して固定
を行っており、IPAからアセトンへとその混合比を変
化させた溶媒中に段階的に浸漬するため、IPA(また
は、IPAの混合比の高い溶媒)中に長時間浸漬してい
るときにはゲル中の酢酸鉛の一部は浸漬溶媒中に溶出し
てしまい、ゲル中の酢酸鉛の濃度は全体的に低下してし
まう。これによって、分布形状は中心部がつぶれた形と
なる。
【0012】一方、乾燥工程中には溶媒の蒸発がゲルの
周辺部からのみ起こるために、中心付近に存在する溶媒
もゲル骨格間を移動して周辺部から蒸発していく。この
ときの溶媒にも酢酸鉛は若干量溶解しているために、酢
酸鉛は溶媒とともに周辺部に移動していく。しかし、周
辺部では溶媒のみが蒸発するため、酢酸鉛は周辺部へ蓄
積されていくことになる。これにより、さらに中心部の
酢酸鉛濃度は低下し、また周辺部で酢酸鉛の濃度分布形
状に凸凹の逆転が起こり、図2に示すように、周辺部に
変曲点を有す分布形状となるものと考えられる。
【0013】本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので、分布形成した酢酸鉛の濃度分布を、その
後の固定・乾燥処理工程中に乱すことなく、レンズ設計
的に有効な屈折率分布型光学素子を得ることができる製
造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、ゾル・ゲル法により屈折率分布型光学素
子を製造するにあたり、少なくとも1種の金属塩を含有
したシリカゲルを、前記金属塩の金属種以外の金属種か
らなる少なくとも1種の金属塩と、前記金属塩のいずれ
かの金属塩のアニオンと同種のアニオンを発生する物質
とを含有する溶液中に浸漬し、少なくとも1つの金属成
分に凸形状、他の少なくとも1つの金属成分に凹形状の
濃度分布を付与する工程を有することとした。
【0015】また、本発明において、前記金属塩のアニ
オンが同種のアニオンであることが特に好ましい。
【0016】
【作用】ここでは、例えば酢酸鉛を含有するゲルを、酢
酸カリウムを含有する分布付与液中に浸漬する場合に、
シリカゲル中に導入した酢酸鉛のアニオン(酢酸イオ
ン)を発生する物質(以下「アニオン発生物質」と略
記)として「酢酸」を分布付与液中に添加した際の作用
について説明する。
【0017】分布付与液中にゲルを浸漬した際の酢酸鉛
の溶解は、化1(平衡式)で表される。
【0018】
【化1】
【0019】ここで、溶解度積について考えると、一般
に難溶性の化合物ABが溶媒中で解離したときの平衡式
を、化2とした場合に、KSP=[A+ ][B- ]が成立
し、このKSPを溶解度積(Solubility Pr
oduct)と呼ぶ。[A+]、[B- ]はA+ 、B-
のイオン濃度である。溶解度積は温度が一定ならば、常
に一定である。したがって、化1から酢酸鉛の溶解度積
は、化3である。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】化1で示した分布付与液中に酢酸を添加す
ると、酢酸は化4のように解離し、[CH3 COO-
を供給することになる。
【0023】
【化4】
【0024】したがって、分布付与液中の酢酸イオン濃
度、つまり[CH3 COO- ]が増大することになる。
すると、化3のKSPを一定に保つために、鉛のイオン濃
度[Pb2+]が低下するように化1の平衡は左側に移動
することになる。つまり、酢酸鉛はイオンとして解離し
にくくなり、酢酸鉛の沈殿の生成を促進することにな
る。
【0025】分布付与時に添加した酢酸は、分布固定・
乾燥工程中までゲル中に残存し、酢酸鉛の溶解度積を一
定に保つように働いて各溶媒に対する酢酸鉛の溶解度を
低下させるため、従来では溶媒に対する酢酸鉛の溶解に
よって崩されていた分布形状を、ドライゲルの段階まで
保つことが可能となる。この作用は、酢酸の添加により
固定溶媒に対する酢酸鉛の溶解度を低下させることを意
味するのであるが、アセトン等の単に溶解度の低い溶媒
に浸漬した場合と比較すると、急激な結晶の成長が起こ
らず、ゲル骨格の破壊をすることはなしに、分布形状を
固定できるという効果があり、単純に溶解度を低下させ
ただけではなく、微結晶を多く生成させるという効果が
あるものと考えられる。
【0026】このドライゲルを焼成することによって、
ガラス周辺部で変曲点のない、Δnの大きな屈折率分布
型光学素子を作製することができる。ただし、ここで分
布付与液中に添加するアニオン発生物質の量としては分
布付与液中に添加した金属塩が溶媒中で析出しない量で
あることが必要である。
【0027】ここではゲル中に酢酸鉛を含有させ、分布
付与液中に酢酸鉛、酢酸を添加した例を示したが、分布
付与液中に添加したアニオン発生物質のアニオンは、用
途によってゲル中に含有する金属塩および分布付与液中
に添加する金属塩の少なくとも一方のアニオンと同種の
ものであればよく、同種のアニオンを用いた金属塩のみ
が選択的に固定されやすくなる。
【0028】ただし、第1金属成分の金属塩のアニオン
と、第2金属成分の金属塩のアニオンとが異なる場合に
は、焼成工程中にアニオンの燃焼・分解等の温度域が異
なり、その都度に焼成スケジュールに温度のホールドを
設ける等の工程が必要となるため、両アニオンは同種の
ものである方がより好ましい。
【0029】ゲル中に含有させる第1金属成分の金属塩
および分布付与液中に溶解させる第2金属成分の金属塩
は、焼成の工程により分解・燃焼してガラス中にそのア
ニオンの成分が取り残されないものが好ましく、具体的
には蟻酸塩、酢酸鉛、シュウ酸塩、クエン酸塩、リンゴ
酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩や、硝酸塩、硫酸塩、
塩化物等の無機酸塩が適している。また、アニオン発生
物質としてはこれらの金属塩に合わせ、蟻酸、酢酸、シ
ュウ酸、マレイン酸、硝酸、硫酸、塩酸等を用いること
ができる。
【0030】以上を考慮すると、例えば表1のような組
合せが考えられる。
【0031】
【表1】
【0032】ここでは径方向の分布制御に関して説明を
行なったが、本発明は同様にして、径方向の屈折率が中
心から周辺に向かって増加する凹形状の屈折率分布型光
学素子、軸方向の屈折率分布型光学素子、球面方向の屈
折率分布型光学素子等にも応用可能である。
【0033】
【実施例1】テトラメチルシリケート(以下「TMO
S」と略記)30ml、テトラエチルシリケート(以下
「TEOS」と略記)30ml、トリエチルボレート1
2.4mlを混合し、これに1/100規定の塩酸水溶
液25mlを加え、室温で1時間撹拌して部分加水分解
反応を行った。ここに、1.25mol/lの酢酸鉛水
溶液107.6mlと酢酸15.4mlを混合したもの
を添加した。これをさらに室温で激しく撹拌した後、内
径30mmのテフロン製容器に分注し、ゲル化後、30
℃の恒温乾燥器中で5日間の熟成を行った。
【0034】次に、このゲルを60℃のIPA:水=
8:2(体積比、以下、溶媒比は体積比である)の混合
溶媒を用いた0.61mol/l酢酸鉛溶液中に浸漬
し、酢酸の除去およびゲルの熟成を行った。このゲルを
IPA、IPA:アセトン=8:2、5:5、アセトン
の順に各2日間ずつ浸漬することにより、ゲル細孔中に
酢酸鉛の微結晶を析出、固定させた。
【0035】得られた均質ゲルを、酢酸カリウム0.3
05mol/lおよび酢酸0.153mol/lのエタ
ノール溶液150mlに8時間浸漬して分布付与させ、
鉛に凸形状、カリウムに凹形状の分布を形成した後、I
PA:アセトン=5:5、アセトン、アセトンの順に各
2日間ずつ浸漬することにより、酢酸鉛および酢酸カリ
ウムの微結晶をゲル細孔中に析出、固定させた。
【0036】これを30℃で5日間乾燥した後、570
℃まで昇温させて焼成することにより、亀裂のない直径
11.4mmの無色透明ガラス体を得た。
【0037】このガラス体の径方向の屈折率の分布を測
定したところ、中心部の屈折率の値は1.712であ
り、中心部から周辺部へ屈折率が単調減少しており、周
辺部に変曲点のない、屈折率差Δn=0.095の屈折
率分布型光学素子であった。(図1参照)
【0038】(比較例1)実施例1と同様にしてゲルを
作製し、酢酸を含まない0.305mol/lの酢酸カ
リウムのエタノール溶液に浸漬し、8時間の分布付与操
作を行った。得られたゲルを実施例1と同様の方法で処
理し、乾燥後、焼結することにより得られたガラス体の
径方向に屈折率分布を測定したところ、図3に示すよう
になり、中心部の屈折率の値は1.686と低く、周辺
部に変曲点が見られ、Δn=0.052と小さいもので
あった(図3参照)。
【0039】
【実施例2】TMOS 10.4mlにメタノール10
mlを加え、均一に混合するまで撹拌した。ここに1/
100規定の塩酸5.2mlを加えて部分加水分解を行
った。発熱がおさまってから、硝酸バリウムの0.3m
ol/lの水溶液100mlを添加した。これを撹拌し
た後、内径36mmのポリプロピレン製の容器に分注
し、室温で静置することによって、乳白色透明のゲルを
得た。その後、このゲルを30℃の恒温槽中に1週間熟
成させた。
【0040】熟成後のゲルをメタノール、メタノール:
エタノール=5:5、エタノール、アセトンに2日間ず
つ浸漬することによって、ゲルの骨格中に硝酸バリウム
の微結晶を析出させ、硝酸バリウムの固定を行なった。
【0041】このゲルを硝酸カリウム0.6mol/l
および硝酸0.3mol/lのエタノール溶液中に8時
間浸漬することにより、バリウムに凸形状、カリウムに
凹形状の分布を形成した。これをIPA、IPA:アセ
トン=5:5、アセトンに2日間ずつ浸漬することによ
って各金属塩の分布形状を固定した。
【0042】このゲルを30℃恒温槽中で乾燥後、焼成
することによって、表面にクラックのない直径12mm
の透明なガラス体を得た。このガラス体の径方向の屈折
率の分布を測定したところ、中心部の屈折率の値は1.
621であり、中心部から周辺部へ屈折率が単調減少し
ており、周辺部に変曲点のない、Δn=0.072の屈
折率分布型光学素子であった。
【0043】(比較例2)実施例2と同様にしてゲルを
作製し、硝酸を含まない0.6mol/lの硝酸カリウ
ムのエタノール溶液に浸漬し、8時間の分布付与操作を
行った。得られたゲルを乾燥後、焼成することにより得
られたガラス体の径方向の屈折率分布を測定したとこ
ろ、中心部の屈折率の値は1.610と低く、周辺部に
変曲点が見られ、Δn=0.054と小さいものであっ
た。
【0044】
【実施例3】TMOS、TEOSの混合溶液を1/10
0規定の塩酸水溶液で処理し、部分加水分解を行った。
ここに1mol/lのプロピオン酸鉛水溶液を添加し、
室温で激しく撹拌した後、内径20mmのポリプロピレ
ン製の容器に分注し、ゲル化後、30℃の恒温乾燥器中
で5日間の熟成を行った。
【0045】このゲル骨格中にプロピオン酸鉛の結晶を
析出させた後、0.2mol/l硝酸ナトリウムおよび
0.1mol/lのプロピオン酸のメタノール溶液中で
18時間の分布付与を行い、鉛に凸形状、ナトリウムに
凹形状の分布を形成した。このゲルの分布の固定を行な
った後、乾燥・焼成することによって、直径7.2mm
の無色透明のガラス体を得た。
【0046】このガラス体の径方向の屈折率の分布を測
定したところ、中心部の屈折率は1.692であり、中
心部から周辺部へ屈折率が単調減少しており、周辺部に
変曲点のない、Δn=0.087の屈折率分布型光学素
子であった。
【0047】
【実施例4】TMOS、Ti(OnC4 9 4 を1/
100規定の塩酸水溶液で処理し、部分加水分解を行っ
た。ここに0.3mol/lの硝酸カリウム水溶液を添
加し、室温で撹拌した後、内径12mmのポリプロピレ
ン製の容器に分注し、ゲル化後、30℃の恒温乾燥器中
で5日間の熟成を行った。
【0048】このゲル骨格中に硝酸カリウムの沈殿を析
出させた後、0.6mol/lの酢酸鉛および0.15
mol/lの酢酸のメタノール溶液中で16時間の分布
付与を行い、カリウムに凸形状、鉛に凹形状の分布を形
成した。このゲルの分布の固定を行った後、乾燥・焼成
することによって、直径4.3mmの無色透明のガラス
体を得た。
【0049】このガラス体の径方向の屈折率の分布を測
定したところ、中心部の屈折率は1.621であり、径
方向の屈折率が中心部から周辺部に向かって増加してい
る凹形状の分布を有するΔn=0.052の屈折率分布
型光学素子であった。
【0050】
【実施例5】TMOS、TEOSの混合溶媒を1/10
0規定塩酸水溶液で処理し、部分加水分解を行った。こ
こに0.3mol/lの酢酸バリウム水溶液を添加し、
室温で激しく攪拌した後、内径20mmのポリプロピレ
ン製の容器に分注し、ゲル化後、30℃の恒温乾燥器中
で5日間の熟成を行った。
【0051】このゲル骨格中に酢酸バリウムの微結晶を
析出させた後、酢酸鉛0.3mol/l、酢酸0.1m
ol/lのエタノール溶液中で6時間の分布付与を行っ
た。そして、このゲルをIPA:エタノール=5:5、
IPA、IPA:アセトン=5:5、アセトンの順に浸
漬し、酢酸バリウムと酢酸鉛の固定を行った。
【0052】その後、さらに酢酸カリウム0.2mol
/l、酢酸0.1mol/lのエタノール溶液中に6時
間ゲルを浸漬することによってバリウムに凸、鉛に凹、
カリウムに凹の分布を形成した。分布形成後のゲルをI
PA:アセトン=5:5、アセトン、アセトンの順に浸
漬することによって各金属塩の分布形状を固定した。
【0053】得られたゲルを乾燥後、焼成することによ
って得られたガラス体の径方向の屈折率分布を測定した
ところ、中心部の屈折率は1.640であり、中心部か
ら周辺へ屈折率が単調減少しており、周辺部に変曲点の
ない、Δn=0.052の屈折率分布型光学素子であっ
た。
【0054】
【実施例6】TMOS、TEOSの混合溶媒を1/10
0規定塩酸水溶液で処理し、部分加水分解を行った。こ
こに0.3mol/lの酢酸バリウム水溶液、0.25
mol/lの酢酸カルシウムの水溶液、0.48mol
/lの硝酸鉛の水溶液を添加し、室温で激しく攪拌した
後、内径12mmのポリプロピレン製の容器に分注し、
ゲル化後、30℃の恒温乾燥器中で5日間の熟成を行っ
た。
【0055】このゲル骨格中に酢酸バリウム、酢酸カル
シウム、硝酸鉛の微結晶を析出させた後、硝酸ナトリウ
ム0.15mol/l、酢酸0.3mol/lのエタノ
ール溶液中で4時間の分布付与を行い、バリウムに凸、
カルシウムに凸、鉛に凸、ナトリウムに凹の分布を形成
した。各金属塩の濃度分布を固定した後、乾燥,焼成す
ることによって直径6mmの透明ガラス体を得た。ここ
では、分布付与液中にアニオン発生物質として酢酸を用
い、各種金属のうちの酢酸塩のみを選択的に固定したも
のである。
【0056】このガラス体の径方向の屈折率分布を測定
したところ、中心部の屈折率は1.713であり、中心
部から周辺部へ屈折率が単調減少しており、周辺部に変
曲点のない、Δn=0.063の屈折率分布型光学素子
であった。
【0057】また、このガラス体の径方向の各金属の組
成分布を分析したところ、バリウムおよびカルシウムの
濃度分布は中心部から周辺部に向けて単調減少してお
り、周辺部に変曲点のない放物分布であった。一方、鉛
の分布は分布勾配がなだらかとなっており、中心部と周
辺部の濃度差が3mol%と小さく、周辺部に変曲点が
存在した。
【0058】(比較例3)実施例6と同様にしてゲルを
作製し、各金属成分を一旦固定した後、硝酸ナトリウム
0.15mol/lのエタノール溶液中で4時間の分布
付与を行い、その後の操作も同様に行い、直径6mmの
ガラス体を得た。
【0059】このガラス体の径方向の屈折率分布を測定
したところ、中心部の屈折率は1.692であり、Δn
=0.038と小さく、周辺部に変曲点が存在した。ま
た、このガラス体の径方向の組成分布を分析したとこ
ろ、バリウム,カルシウム,鉛とも周辺部に変曲点を有
する組成分布形状であった。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の屈折率分布型光
学素子の製造方法によれば、分布付与時に形成した分布
形状を最終段階まで保つことができ、屈折率差Δnが大
きく、周辺部で変曲点のない、効果的な屈折率分布形状
を有する屈折率分布型光学素子を容易に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1によって得られたガラス体の
径方向の屈折率分布を示すグラフである。
【図2】従来法によって得られたガラス体の径方向の屈
折率分布を示すグラフである。
【図3】比較例1によって得られたガラス体の径方向の
屈折率分布を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゾル・ゲル法により屈折率分布型光学素
    子を製造するにあたり、少なくとも1種の金属塩を含有
    したシリカゲルを、前記金属塩の金属種以外の金属種か
    らなる少なくとも1種の金属塩と、前記金属塩のいずれ
    かの金属塩のアニオンと同種のアニオンを発生する物質
    とを含有する溶液中に浸漬し、少なくとも1つの金属成
    分に凸形状、他の少なくとも1つの金属成分に凹形状の
    濃度分布を付与する工程を有することを特徴とする屈折
    率分布型光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記金属塩のアニオンが同種のアニオン
    であることを特徴とする請求項1記載の屈折率分布型光
    学素子の製造方法。
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