JPH07112431B2 - 遺伝子発現調節法 - Google Patents

遺伝子発現調節法

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JPH07112431B2
JPH07112431B2 JP61137833A JP13783386A JPH07112431B2 JP H07112431 B2 JPH07112431 B2 JP H07112431B2 JP 61137833 A JP61137833 A JP 61137833A JP 13783386 A JP13783386 A JP 13783386A JP H07112431 B2 JPH07112431 B2 JP H07112431B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、コリネホルム細菌の遺伝形質発現の制御方
法に関する。
従来の技術 コリネホルム細菌には、大量のL−グルタミン酸を生産
するものが、またその変異株はリジン等のアミノ酸、イ
ノシン酸等のプリンヌクレオチドを生産するものが多く
知られており、工業的に重要な微生物である。
一方、最近DNA組換え技術による工業微生物の育種・改
良がエシェリヒア・コリ等で試みられている。一方、コ
リネホルム細菌については、これらの微生物を宿主とし
て増殖し、かつマーカーとしての薬剤耐性を発現するベ
クターは、既にいくつか知られているが(例えば欧州特
許出願公開第93611号)、挿入された外来遺伝子の発現
を人為的に調節する方法については、これまで明らかに
されておらず、コリネホルム細菌を宿主として用いて外
来遺伝子を発現させる際、それを人為的に調節すること
は困難であった。
発明が解決しようとする問題点 従って、この発明の目的は、コリネホルム細菌細胞内で
外来遺伝子の発現を調節しうるプラスミドベクターを見
い出すこと、およびその調節方法を見い出すことにあ
る。
問題点を解決するための手段 叙上のような問題点に対し、本発明者らはコリネホルム
細菌細胞内でプロモーターとして機能する塩基配列
(a)の下流にオペレーターとして機能する塩基配列
(b)、コリネホルム細菌細胞内でリボゾーム結合部位
として機能する塩基配列(e)、翻訳開始コドンとして
機能する塩基配列(d)及び塩基配列(d)に直接接続
されている発現されるべき遺伝子を有し、かつ、オペレ
ーターとして機能する塩基配列(b)に結合することが
出来るリプレッサー蛋白質を有するコリネホルム細菌細
胞内で複製できるプラスミドベクターを見い出した。
コリネホルム細菌は、好気性、グラム陽性桿菌であり、
非抗酸性でバーヂース・マニュアル・オブ・デターミネ
イティブバクテリオロジー第8版599頁(1974)に記載
されている。本発明の宿主菌として使用しうるコリネホ
ルム細菌のうちグルタミン酸生産性を有する野生株の例
としては次のようなものがあげられる。
ブレビバクテリウム・ディバリカタム ATCC 14020 ブレビバクテリウム・サッカロリティクム ATCC 14066 ブレビバクテリウム・インマリオフィルム ATCC 14068 ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタムATCC 13869 ブレビバクテリウム・ロゼウム ATCC 13825 ブレビバクテリウム・フラバム ATCC 13826 ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ATCC 19240 コリネバクテリウム・アセトアシドフィルムATCC 13870 コリネバクテリウム・アセトグルタミクム ATCC 15806 コリネバクテリウム・カルナエ ATCC 15991 コリネバクテリウム・グルタミクム ATCC 13032,13060 コリネバクテリウム・リリウム ATCC 15990 コリネバクテリウム・メラセコーラ ATCC 17965 ミクロバクテリウム・アンモニアフィルム ATCC 15354 コリネホルム細菌にはこれらのグルタミン酸生産菌より
誘導され、グルタミン酸生産性を失なった変異体、ある
いは、リジン、アルギニン等のアミノ酸、イノシン等の
プリンヌクレオシド、イノシン5′−モノリン酸等のプ
リンヌクレオチド、又はその他の生産物を生産する変異
株も含まれる。コリネホルム細菌細胞内で複製できるプ
ラスミドとしては、コリネホルム細菌細胞内で増殖する
ものであればどのようなものでもよく、このようなプラ
スミドの野性型のものとしては、以下のものがある。
(1)pAM 330 特開昭58-67699参照 (2)pHM 1519 特開昭58-77895参照 (3)pCG 1 特開昭57-134500参照 (4)pCG 2 特開昭58-35197参照 (5)pCG 4 特開昭57-183799参照 コリネホルム細菌細胞内で複製できるプラスミドとして
は、要はこれら野性型プラスミドの複製開始点を有して
おればよいのであるから、ベクター内に複製開始点以外
のDNAがあっても、特に問題はない。
プロモーターとして機能する塩基配列(a)としてはコ
リネホルム細菌細胞中でプロモーターとして機能する塩
基配列であればいかなる配列であってもよく、コリネホ
ルム細菌由来のプロモーターの塩基配列は勿論のこと、
エシェリヒア・コリ由来の各種プロモーターの塩基配列
(D.K.Hawley and W.McClure,Nucleic Acids Research,
11,2237〜2255(1983))など外来のプロモーターの塩
基配列であってもよい。
オペレーターとして機能する塩基配列(b)としてはも
ちいるリプレッサー蛋白質が結合できるような塩基配列
であればいかなる配列であってもよく、コリネホルム細
菌由来のオペレーターの塩基配列は勿論のこと、エシェ
リヒア・コリ由来の各種オペレーターの塩基配列、例え
ばlacオペレーター、trpオペレーター(中村研三,化学
の領域37(5),349〜362(1983)),λオペレーター
(Erik Remautら,Gene,15,81〜93(1981)),ホスファ
ターゼオペロンのオペレーター(品川日出夫ら,日本細
菌学雑誌40,211.(1985))など外来のオペレーターの
塩基配列であってもよい。
塩基配列(c)は、4塩基対よりなるAとGが豊富な配
列であり、特に上流2塩基対はAが、下流2塩基対はG
が豊富である。塩基配列(d)と塩基配列(c)との間
隔は、7塩基対以上であるが、20塩基対を超すような大
きな数になると目的遺伝子の発現効率は低くなる。
塩基配列(d)は、ATGまたはGTGがコリネホルム細菌細
胞内で翻訳開始コドンとして機能することが本発明者ら
の研究でわかった。
塩基配列(d)に直接接続されるところの発現させるべ
き遺伝子は、コリネホルム細菌、ストレプトマイセス属
糸状菌、サッカロマイセス属酵母、エシェリヒア属細
菌、バチルス属細菌等の微生物起源のもの、動物起源の
もの、人口的に合成されたもの等いずれでもよい。ま
た、発現されるべき遺伝子の発現産物は、加水分解酵
素、アミノ基転移酵素、脱炭酸酵素、リン酸転移酵素等
のアミノ酸、グルコース、ビタミン等の生産、油脂、蛋
白質、澱粉等の改質、及び抗生物質、化学物質等の修飾
等に関与する酵素、並びにリンホカイン等の免疫モジュ
レーター、動物ホルモン等の生理活性蛋白等である。
リプレッサー蛋白質をコードする遺伝子としては、コリ
ネホルム細菌細胞中でそのコードする蛋白質が用いたオ
ペレーターの塩基配列(b)に結合することが可能で、
かつその結合活性を人為的に調節できるような性質のも
のであればいかなる遺伝子でもよく、コリネホルム細菌
由来のリプレッサー遺伝子は勿論のこと、エシェリヒア
・コリ由来の各種リプレッサー遺伝子、例えばlacリプ
レッサー(lac I)(Miller and Reznikoff′s,The Ope
ron,Cold Spring Harbor Lab.,pp.31−88(1978)),tr
pリプレッサー(trp R)(R.L.Kelley and C.Yanofsky,
Proc.Natl.Acad.Sci USA,79,3120−3124(1982))、温
度感受性のλリプレッサー(cI 857)(J.J.Sninskyら,
Gene,16,275−286(1982))、あるいはホスファターゼ
オペロンのリプレッサー(H.Shinagawaら,J.Mol.Biol.,
168,477−488(1983))などが利用可能である。これら
リプレッサー蛋白質とオペレーター部位との結合を人為
的に調節する手段としては薬剤の添加、温度等の物理的
条件の調節などがある。例えば、lacオペレーターとlac
リプレッサーの結合はイソプロピル−β−チオガラクト
ピラノシド(IPTG)の添加、trpオペレーターとtrpリプ
レッサーの結合はインド−ルアクリル酸(IAA)の添
加、λオペレーターと温度感受性λリプレッサーとの結
合は培養温度を37℃以上に上昇させることにより、また
ホスファターゼオペロンのオペレーターとリプレッサー
との結合は、培地中のリン酸イオン濃度を低下させるこ
とにより阻止することが可能である。
以上のような方法でリプレッサーとオペレーターの結合
を阻止することにより、リプレッサーにより不活化され
ていたプロモーターが活性化し、その結果、非発現状態
にあった発現されるべき遺伝子を発現状態に切換えるこ
とが可能となる。
尚、オペレーターとして機能する塩基配列(b)とリプ
レッサー蛋白質をコードする遺伝子とは同一のプラスミ
ド上に組み込んでも、また、同一宿主内で共存可能な二
種類の別々のプラスミド上に独立して組み込んで、その
二種類のプラスミドを同じ宿主細胞内で共存させてもよ
い。いずれにしても、宿主細胞内でオペレーターにリプ
レッサー蛋白質が結合可能でありさえすればよい。
またプラスミドには、選択マーカーとなる抗生物質耐性
を発現する遺伝子等が通常更に挿入されている。
得られたプラスミドをコリネホルム細菌細胞内に導入す
る方法は、プロトプラスト法等、通常の方法が適用でき
る。
実施例1 pEB 001の造成 コリネホルム細菌の細胞内で複製可能でカナマイシン耐
性を発現し、プロモーター配列を欠失したクロラムフェ
ニコール耐性遺伝子を有し、プロモーター挿入可能部位
としてCla I,Hind III切断部位を有するプロモーター検
出用ベクターpEB001は第1図に示す方法によって造成し
た。即ちクロラムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝子
領域を含有するプラスミドpCM 7(Gene,20,305−316(1
982)参照)にコリネホルム細菌の細胞内で発現可能な
マーカーであるカナマイシン耐性を付与するため、まず
トランスポゾンTn 903由来のカナマイシン耐性遺伝子を
有するプラスミドpUC4K(Gene,19,259−268(1982),J.
Mol.Biol.147,217−226(1981)参照)をPst Iで切断
し、カナマイシン耐性遺伝子を含む約1.4キロベースのD
NA断片を取り出し、Pst Iで切断したpCM 7のDNAと混合
後、T4DNAリガーゼで結合させた。得られた組換えDNAを
エシェリヒア・コリHB101株に導入し、カナマイシン耐
性を有する株を選択した。分離した株からプラスミドDN
Aを得て、カナマイシン耐性遺伝子が正しく挿入されて
いることをプラスミドの大きさ、およびPst Iによる切
断で約1.4キロベースのDNA断片が得られることにより確
認し、このプラスミドをpAJ 2401Aと命名した。次にpAJ
2401Aにコリネホルム細菌の細胞内での複製能を付与す
るためにコリネホルム細菌の細胞内において複製可能な
プラスミドpHM 1519(特開昭58-77895参照)のDNAをBgl
IIで切断後、BamH Iで切断したpAJ 2401AのDNAと混合
し、T4DNAリガーゼを用い結合させた。得られた組換えD
NAをエシェリヒア・コリHB 101に導入し、カナマイシン
耐性を有する株を選択した。分離した株からプラスミド
DNAを得て、目的とするプラスミドであることをプラス
ミドの大きさならびにBamH I,Bgl IIで切断できないこ
とによって確認し、このプラスミドをpEB 001と命名し
た。pEB 001をブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タムAJ 12036(FERM BP−734)ならびにコリネバクテリ
ウム・グルタミクムATCC 13060に導入し、カナマイシン
耐性を有する株を選択した。分離した株からプラスミド
DNAを得てpEB 001のDNAであることをプラスミドの大き
さならびにPst I,BamH Iなどの制限酵素の切断パターン
によって確認した。これらの株より明瞭なpEB 001のDNA
のバンドが検出されたブレビバクテリウム・ラクトフェ
ルメンタムの1株をAJ 12177(FERM−P7942、FERM BP−
1245)として寄託した。以上のようにpEB 001は、エシ
ェリヒア・コリ、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメ
ンタムおよびコリネバクテリウム・グルタミカムで複製
可能でカナマイシン耐性を発現するシャトルベクターで
ありプロモーター部分を欠失したクロラムフェニコール
耐性遺伝子の構造遺伝子領域を有し、プロモーター挿入
可能部位としてCla I,Hind III切断部位を有する。
なお、実験に使用したpCM 7のDNAはエシェリヒア・コリ
ATCC 37173より調製し、pUC 4KのDNAは、ファルマシア
ジャパン(株)より購入した。またpHM 1519のDNAはそ
の保有株であるコリネバクテリウム・グルタミクムATCC
13058より調製した。
pEB 003の造成 コリネホルム細菌の細胞内で複製可能でカナマイシン耐
性を発現し、プロモーター配列を欠失したクロラムフェ
ニコール耐性遺伝子の構造遺伝子領域を有しプロモータ
ー挿入可能部位としてPst I,Hpa I,BamH I,Cla I,Hind
IIIの5種類の制限酵素切断部位を有するプロモーター
検出用ベクターpEB 003は第2図に示す方法によって造
成した。先ず、pAJ 2401AのDNAをPst Iで部分分解し、
一ヶ所切断で形成されたDNA断片をアガロースゲルより
回収し、DNAポリメラーゼ(Klenowフラグメント)によ
ってDNA断片両端に突出した一本鎖部分を削り平滑末端
とした後、T4DNAリガーゼで結合させた。得られた組換
えDNAをエシェリヒア・コリEB 101株に導入し、カナマ
イシン耐性を有する株を選択した。分離した株からプラ
スミドDNAを得て、Pst Iで1ヶ所が切断されるプラスミ
ドDNAを選択した。これらのプラスミドにはカナマイシ
ン耐性遺伝子の5′側のPst I切断部位を欠失したプラ
スミドと3′側のPst I切断部位を欠失したプラスミド
が存在し、前者をpEB 002A、後者をpEB 002Bと命名し
た。次にpEB 001のDNAをCla IならびにSal Iで切断し、
クロラムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝子領域およ
びコリネホルム細菌細胞中での複製開始点を含むDNA断
片Aを得た。一方pEB 002AをPst IならびにSal Iで切断
し、カナマイシン耐性遺伝子を含むDNA断片Bを得た。
また、フォスファイト法により第3図に示すようなオリ
ゴヌクレオチドを合成し、5′末端にPst I切断面、
3′末端にCla I切断面、中間にHpa IおよびBamH Iの切
断部位を有するDNA断片Cを調製した。DNA断片A,Bなら
びにCを混合後T4DNAリガーゼで結合させ、得られた組
換えDNAをブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタムA
J 12036(FERM BP−734)に導入しカナマイシン耐性を
有する株を選択した。分離した株からプラスミドDNAを
得て、プラスミドの大きさ、Pst I,Hpa I,BamH I等の制
限酵素による切断パターンにより目的のプラスミドDNA
であることを確認し、このプラスミドをpEB 003と命名
した。pEB 003はプロモーター挿入可能部位としてPst
I,Hpa I,BamH I,Cla I,Hind IIIの5種類の制限酵素切
断部位を有し、この内でPst I,Hpa I,BamH Iの切断部位
はベクター中一箇所のみであり、プロモーターの挿入に
極めて有用である。
pEB 003を導入したブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタムAJ 12036(FERM BP−734)はAJ 12178(FERM P
−7943、FERM BP−1201)として寄託した。
pEB 003へのtacプロモーター・lacオペレーターの組込
み 大腸菌tacプロモーター・lacオペレーターを有するプラ
スミドpDR 540(Gene,20,231(1982)参照)(市販品
(ファルマシアジャパン(株)より購入))のDNAをBam
H IおよびPst Iで切断し、得られたtacプロモーター、l
acオペレーターを含む約1100塩基対のDNA断片をアガロ
ースゲル電気泳動により分画精製し、Pst IおよびBamH
Iで切断したpEB 003のDNAと混合後、T4DNAリガーゼで結
合させた。得られた組換えDNAをエシェリヒア・コリHB
101株に導入し、クロラムフェニコール耐性を有する株
を選択した。分離した株からプラスミドDNAを得て、プ
ラスミドの大きさならびにPst I,BamH I等の制限酵素に
よる切断パターンにより目的通り大腸菌tacプロモータ
ーが組込まれたプラスミドであることを確認し、このプ
ラスミドをpEB 003TAと命名した。
次にpEB 003TAをブレビバクテリウム・ラクトフェルメ
ンタムAJ 12036(FERM−BP 734)に導入し、カナマイシ
ン耐性を示す株を選択した。分離した株から得られるプ
ラスミドがpEB 003TAであることをプラスミドの大き
さ、ならびにPst I,BamH I等の制限酵素による切断パタ
ーンから確認した。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 701の造成 tacプロモーターおよびlacオペレーター領域の下流に連
結した遺伝子の発現を調節遺伝子(lacリプレッサー)
の作用で調節可能なプラスミドpEC 701は第4図に示す
ような方法で造成した。まず、以上のごとく造成したpE
B 003TAをPst IおよびSal Iで切断後、約5.6キロベース
のDNA断片Dをアガロース・ゲルより回収し、一方、エ
シェリヒア・コリのプラスミドpIN III(Y.Masuiら,Exp
erimental Manipulation of Gene Expression,Ed.M.Ino
uye,pp.15,Academic Press,Inc.1983)をPst IおよびSa
l Iで切断しlacリプレッサー(lac I)を含む約5.6キロ
ベースのDNA断片Eをアガロース・ゲルより回収した。
さらにエシェリヒア・コリのプラスミドpUC 4K(Gene,1
9,256−268(1982))をPst Iで切断し、カナマイシン
耐性遺伝子を含む約1.2キロベースのDNA断片Fを同様に
アガロース・ゲルより回収した。以上のようにして得た
3種のDNA断片D,E,Fをほぼ等量混合し、T4DNAリガーゼ
で連結後、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム
AJ 12036(FERM BP−734)に導入しカナマイシン耐性を
有する株を選択した。分離した株からD,E,F3種のDNA断
片が連結してできた約12.4キロベースのプラスミドDNA
を得て、目的とするプラスミドであることをPst I,Sal
Iなどの制限酵素による切断パターンによって確認し、
このプラスミドをpEC 701と命名した。このプラスミドp
EC 701を再びブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタ
ムAJ 12036(FERM BP−734)ならびにコリネバクテリウ
ム・グルタミカムATCC 13060に導入し、カナマイシン耐
性を有する株を選択し、分離した株からプラスミドDNA
を得て、いずれもpEC 701のDNAであることをプラスミド
の大きさならびにPst I,Sal Iなどの制限酵素による切
断パターンで確認した。
以上のように造成したpEC 701はtacプロモーター、lac
オペレーターならびにラクトースオペロンのリプレッサ
ー(lacリプレッサー)を有し、エシェリヒア・コリ、
ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタムおよびコリ
ネバクテリウム・グルタミカムで複製可能でカナマイシ
ン耐性を発現するシャトルベクターであり、かつクロラ
ムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝子領域を有し、こ
のクロラムフェニコール耐性遺伝子の発現をlacリプレ
ッサーにより調節可能なベクターである。またlacオペ
レーターの下流にBamH Iなどの制限酵素切断部位があ
り、これらの部位をクローニング部位として利用し、有
用遺伝子のプロモーターを持たない構造遺伝子領域を組
み込むことにより該遺伝子の発現を制御可能なベクター
でもある。
実施例2 pEB 003へのlacプロモーター・オペレーターの組込み 大腸菌lac UV5プロモーター・オペレーターを有するプ
ラスミドpGL 101(J.Mol.Appl.Genet.,,139(1981)
参照)のDNAをPst IおよびPvu IIで切断して得られたla
c UV5プロモーターを含む約1000塩基対のDNA断片をアガ
ロースゲル電気泳動により分画精製し、Pst IおよびHpa
Iで切断したpEB 003のDNAと混合後、T4DNAリガーゼで
結合させた。得られた組換えDNAをエシェリヒア・コリH
B 101株に導入し、クロラムフェニコール耐性を有する
株を選択した。分離した株からプラスミドDNAを得て、
プラスミドの大きさ及びPst I,BamH I等の制限酵素によ
る切断パターンにより目的通り大腸菌lac UV5プロモー
ター・オペレーターが組込まれたプラスミドであること
を確認し、このプラスミドをpEB 003LAと命名した。
次にpEB 003LAをブレビバクテリウム・ラクトフェルメ
ンタムAJ 12036(FERM BP−734)に導入し、カナマイシ
ン耐性を示す株を選択した。分離した株から得られるプ
ラスミドがpEB 003LAであることをプラスミドの大きさ
及びPst I,BamH I等の制限酵素による切断パターンから
確認した。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 702の造成 lacプロモーターおよびlacオペレーター領域の下流に連
結した遺伝子の発現をlacリプレッサーの作用で調節可
能なプラスミドpEC 702は第5図に示すような方法で造
成した。pEB 003LAをPst IおよびSal Iで切断後アガロ
ースゲルよりlacプロモーター・オペレーターを含む約
5.5キロベースのDNA断片D′を回収し、実施例1と同様
にプラスミドpIN IIIから切り出したlacリプレッサー
(lac I)を含む約5.6キロベースのPst I−Sal I断片
E、ならびにpUC 4Kより切り出したカナマイシン耐性遺
伝子を含む約1.2キロベースのPst I断片FとT4DNAリガ
ーゼで連結後、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タムAJ 12036(FERM BP−734)に導入し、カナマイシン
耐性を有する株を選択した。分離した株からD′,E,F3
種のDNA断片が連結してできた約12.3キロベースのプラ
スミドDNAを得て、目的とするプラスミドであることをP
st I,Sal Iなどの制限酵素による切断パターンによって
確認し、このプラスミドをpEC 702と命名した。このプ
ラスミドpEC 702を再びブレビバクテリウム・ラクトフ
ェルメンタムAJ 12036(FERM BP−734)ならびにコリネ
バクテリウム・グルタミカムATCC 13060に導入し、カナ
マイシン耐性を有する株を選択し、分離した株からプラ
スミドDNAを得て、いずれもpEC 702のDNAであることを
プラスミドの大きさならびにPst I,Sal Iなどの制限酵
素による切断パターンで確認した。
以上のごとく造成したpEC 702はlacプロモーター、lac
オペレーターならびにlacリプレッサーを有し、エシェ
リヒア・コリ、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タムおよびコリネバクテリウム・グルタミカムで複製可
能でカナマイシン耐性を発現するシャトルベクターであ
り、かつ、クロラムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝
子領域を有し、このクロラムフェニコール耐性遺伝子の
発現をlacリプレッサーにより調節可能なベクターであ
る。またlacオペレーターの下流にBamH Iなどの制限酵
素切断部位があり、これらの部位をクローニング部位と
して利用し、有用遺伝子のプロモーターを持たない構造
遺伝子領域を組み込むことにより該遺伝子の発現を制御
可能なベクターである。
実施例3 遺伝子発現調節用ベクターpEC 701,pEC 702による遺伝
子発現の調節 pEC 701あるいはpEC 702を保持するブレビバクテリウム
・ラクトフェルメンタムAJ 12036(FERM−BP 734)を酵
母エキス1%、ポリペプトン1%、NaCl0.5%、グルコ
ース0.5%、カナマイシン10μg/mlを含むpH7.2の液体培
地50mlに接種し、30℃で振とう培養した。培養3時間後
にイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)
を0.2mMとなるよう添加して培養し、経時的に培養液を5
mlずつ採取し、遠心分離により集菌洗浄後、細胞を超音
波破砕し、15,000r.p.m.15分間遠心分離後の上澄液を粗
酵素液としてクロラムフェニコールアセチルトランスフ
ェラーゼの活性を測定した。クロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ活性はW.V.Shaw,Methods in En
zymology,43,737(1975)の方法によった。プラスミド
保持しないブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム
AJ 12036、tacプロモーター、lacオペレーターを有する
がlacリプレッサーを有さないプラスミドpEB003TAを保
持するAJ 12036株ならびにlacプロモーター、lacオペレ
ーターを有するがlacリプレッサーを有さないプラスミ
ドpEB 003LAを保持するAJ 12036株についても同様の実
験を行った。結果を第1表に示す。IPTGの添加によりpE
C 701保持株ならびにpEC 702保持株ではクロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼ活性がIPTG無添加時
のそれぞれ約10倍に高まり、pEC 701,pEC 702の各保持
株ではクロラムフェニコールアセチルトランスフェラー
ゼの遺伝子発現をIPTGの添加で人為的に調節できること
が証明された。一方、lacリプレッサーを有さないpEB 0
03TA,pEB 003LAの各保持株の場合、IPTGの有無にかかわ
らず高い活性が認められ、遺伝子発現の調節は不可能で
あった。
実施例4 pEB 003へのtrpプロモーター、trpオペレーターの組み
込み 大腸菌trpプロモーター、trpオペレーターを有するプラ
スミドpDR 720(Gene,20,231(1982)参照)(市販品
(ファルマシアジャパン(株)より購入))のDNAをPst
Iで切断し、得られたtrpプロモーター、trpオペレータ
ーを含む約1100塩基対のDNA断片をアガロースゲル電気
泳動により分画精製し、Pst Iで切断したpEB 003のDNA
と混合後、T4 DNAリガーゼで結合させた。得られた組換
えDNAをエシェリヒア・コリHB101株に導入し、クロラム
フェニコール耐性を有する株を選択した。分離した株か
らプラスミドDNAを得て、プラスミドの大きさならびにP
st I,Pvu I等の制限酵素による切断パターンから目的通
り大腸菌trpプロモーター、trpオペレーターが組込まれ
たプラスミドであることを確認しこのプラスミドをpEB
003TRと命名した。
次にpEB 003TRをブレビバクテリウムラクトフェルメン
タムAJ 12036(FERM BP−734)に導入し、カナマイシン
耐性を示す株を選択した。分離した株から得られるプラ
スミドがpEB 003TRであることをプラスミドの大きさ及
びPst I,Pvu I等の制限酵素による切断パターンにより
確認した。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 801の造成 trpプロモーターおよびtrpオペレーター領域の下流に連
結した遺伝子の発現を調節遺伝子(trpリプレッサー)
の作用で調節可能なプラスミドpEC 801は第6図に示す
ような方法で造成した。まず、以上のごとく造成したpE
B 003TRを、Sal Iで切断した。一方エシェリヒア・コリ
のプラスミドptrp R3(W.Roeder and R.L.Somerville,M
ol.Gen.Genet.,176,361(1979))をBamH Iで切断し、t
rpリプレッサー(trpR)を含む約1200塩基対のDNA断片
をアガロースゲルより回収した。以上のようにして得た
2種のDNAを、フォスファイト法により合成した合成DNA
アダプターを介して、T4DNAリガーゼで連結後、ブレビ
バクテリウム・ラクトフェルメンタムAJ 12036(FERM B
P−734)に導入し、カナマイシン耐性を有する株を選択
した。分離した株から、上記2種のDNA断片が連結して
できた約9.7キロベースのプラスミドDNAを得て、目的と
するプラスミドであることをBamH Iによる切断パターン
によって確認し、このプラスミドをpEC 801と命名し
た。このプラスミドpEC 801を再びブレビバクテリウム
・ラクトフェルメンタムAJ 12036(FERM BP−734)なら
びにコリネバクテリウムグルタミカムATCC 13060に導入
し、カナマイシン耐性を有する株を選択し、分離した株
からプラスミドDNAを得て、いずれもpEC 801のDNAであ
ることをプラスミドの大きさならびにBamH Iによる切断
パターンで確認した。
以上のように造成したpEC 801はtrpプロモーター、trp
オペレーターならびにtrpリプレッサーを有し、エシェ
リヒア・コリ・ブレビバクテリウム・ラクトフェルメン
タムおよびコリネバクテリウム・グルタミカムで複製可
能でカナマイシン耐性を発現するシャトルベクターであ
り、かつクロラムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝子
領域を有し、このクロラムフェニコール耐性遺伝子の発
現をtrpリプレッサーにより調節可能なベクターであ
る。またtrpプロモーターの下流にPst I,Hpa I,BamH I
などの制限酵素切断部位があり、これらの部位をクロー
ニング部位として利用し、有用遺伝子のプロモーターを
持たない構造遺伝子領域を組込むことにより該遺伝子の
発現を制御可能なベクターである。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 801による遺伝子発現の
調節 pEC 801を保持するブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタムAJ 12036(FERM BP−734)を酵母エキス1%、
ポリペプトン1%、NaCl0.5%、グルコール0.5%、カナ
マイシン10μg/mlを含むpH7.2の液体培地50mlに接種
し、30℃で振とう培養した。培養3時間後にインドール
アクリル酸(IAA)を0.13mMとなるよう添加して培養
し、経時的に培養液を5mlずつ採取し、遠心分離により
集菌洗浄後、細菌を超音波破砕し、15000r.p.m.15分間
遠心分離後の上澄液を粗酵素液としてクロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼの活性を測定した。ク
ロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性は
実施例3と同様の方法によった。プラスミドを保持しな
いブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタムAJ 1203
6、trpプロモーター、trpオペレーターを有するが、trp
リプレッサーを有さないプラスミドpEB003TRを保持する
AJ 12036株についても同様の実験を行なった。結果を第
2表に示す。IAAの添加によりpEC 801保持株ではクロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性がIAA
無添加時の約5倍に高まり、pEC 801保持株ではクロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの遺伝子発
現をIAAの添加で人為的に調節できることが証明され
た。一方trpリプレッサーを有さないpEB 003TR保持株の
場合、IAAの有無にかかわらず高い活性が認められ、遺
伝子発現の調節は不可能であった。
実施例5. 遺伝子発現調節用ベクターpEC 901の造成 ラムダファージのPRPLプロモーター、オペレーター領域
の下流に連結した遺伝子の発現を温度感受性のcI 857リ
プレッサーの作用で調節可能なプラスミドpEC 901は第
7図に示すような方法で造成した。pMY12−6(Mol.Ge
n.Genet 187 79−86 1982)をPst IおよびBamH Iで切断
後アガロースゲルより、PRPLプロモーターオペレータ
ー、cI 857リプレッサーを含む約1.35キロベースのDNA
断片を回収した。一方pEB 003をPst IおよびBamH Iで切
断し、アガロースゲルより約7.4キロベースのDNA断片を
回収し、両者DNA断片をT4DNAリガーゼによって連結後、
エシェリヒア・コリHB 101に導入し、カナマイシン耐性
を有する株を選択した。分離した株から、両者DNA断片
が連結してできた約8.7キロベースのプラスミドDNAを得
て、目的とするプラスミドであることをPst I,BamH Iな
どの制限酵素による切断パターンによって確認し、この
プラスミドをpEC 901と命名した。このプラスミドpEC 9
01をブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタムAJ 120
36(FERM−BP 734)ならびにコリネバクテリウム・グル
タミカムATCC 13060に導入し、カナマイシン耐性を有す
る株を選択し分離した株からプラスミドDNAを得て、い
ずれもpEC 901のDNAであることをプラスミドの大きさな
らびにPst I,BamH Iなどの制限酵素による切断パターン
で確認した。
以上のごとく造成したpEC 901はラムダファージPRPL
ロモーター、オペレーターならびにcI 857リプレッサー
を有し、エシェリヒア・コリ、ブレビバクテリウム・グ
ルタミカムで複製可能でカナマイシン耐性を発現するシ
ャトルベクターであり、かつクロラムフェニコール耐性
遺伝子の構造遺伝子領域を有し、このクロラムフェニコ
ール耐性遺伝子の発現をcI 857リプレッサーにより温度
による調節が可能なベクターである。またPRPLプロモー
ターの下流にBamH I、Cla Iなどの制限酵素切断部位が
あり、これらの部位をクローニング部位として利用し、
有用遺伝子のプロモーターを持たない構造遺伝子領域を
組み込むことにより該遺伝子の発現を制御可能なベクタ
ーである。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 901による遺伝子発現の
調節 pEC 901を保持するブレビバクテリウム・ラクトフェル
メンタムAJ 12036(FERM−BP734)を酵母エキス1%、
ポリペプトン1%、NaCl0.5%、グルコース0.5%、カナ
マイシン10μg/mlを含むpH7.2の液体培地150mlに接種
し、30℃で振とう培養した。OD570が0.3に達したところ
で、培養液を43℃5分間処理した後39℃で振とう培養
し、経時的に培養液を20mlずつ採取した。遠心分離によ
り集菌洗浄後、細胞を超音波破砕し、15000r.p.m15分間
遠心分離後の上澄液を粗酵素液としてクロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼの活性を測定した。ク
ロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性は
実施例3と同様の方法によった。pEB 003を保持するブ
レビバクテリウム・ラクトフェルメンタムAJ 12036を保
持するAJ 12036株についても同様の実験を行った。結果
を第3表に示す。温度を上昇させることによりpEC 901
保持株はクロラムフェニコールアセチルトランスフェラ
ーゼ活性が発現し、温度上昇させない場合には活性発現
は認められなかった。一方pEB 003を保持する株では温
度上昇によるクロラムフェニコールアセチルトランスフ
ェラーゼ活性の上昇は認められなかった。
実施例6. プラスミド共存による遺伝子発現の調節 オペレーターとリプレッサー蛋白質をコードする遺伝子
とを別々のプラスミドに組み込み同一宿主細胞内で共存
させることによって遺伝子発現を調節する方法につい
て、trpオペレーターとtrpリプレッサー遺伝子を用いる
例につき以下に示す。なおオペレーターとリプレッサー
の組み合せは本実施例に示すtrpオペレーターとtrpリプ
レッサーとの組み合せに限らず、lacオペレーターとlac
リプレッサーでも、また、ラムダファージPRPLオペレー
ターとラムダファージリプレッサー(cI 857リプレッサ
ーなど)の組み合せなど、いかなるものでもよく、この
実施例に限定されるものではない。
trpプロモーター、trpオペレーターならびにクロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を有する
プラスミドとして実施例4で造成したpEB 003TRを用い
た。pEB 003TRをブレビバクテリウム・ラクトフェルメ
ンタムAJ 12036(FERM BP−734)に単独で導入した場合
には、実施例4に示すごとくクロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ活性を調節することは不可能で
あった。
trpリプレッサー遺伝子を有するプラスミドとしてはコ
リネ型細菌細胞内でpEB 003TRと共存可能で、かつtrpリ
プレッサーを実現するものであればいかなるものでもよ
い。例えばtrpリプレッサー遺伝子をトリメトプリム耐
性のプラスミドベクターpAJ 228に組み込んだpEC 830な
どを用いることが出来る。
プラスミド・ベクターpAJ 228の作成 (1)ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ 1
2036より変異誘導されたトリメトプリム耐性変異株AJ 1
2146(FERM−P 7672、FERM BP−785)を1のCM2G培地
(ペプトン1g/dl、酵母エキス1g/dl、グルコース0.5g/d
l、及びNaCl0.5g/dlを含み、pH7.2に調整したもの)に
植菌し、30℃で約3時間振盪培養を行ない、対数増殖期
の菌体を集めた。この菌体をリゾチーム・SDSで溶菌さ
せたのち、通常のフェノール処理法により、染色体DNA
を抽出精製し、最終的に3.0mgのDNAを得た。
なおブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ 121
46は、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ 1
2036を1,000μg/mlのN−メチル−N′−ニトロ−N−
ニトロソグアニジンに0℃にて20分間接触せしめて変異
処理し、最小培地(グルコース2g/dl、硫安1g/dl、尿素
0.25g/dl、KH2PO40.1g/dl、MgSO4・7H2O0.04g/dl、サイ
アミン塩酸塩200μg/l、ビオチン50μg/l、2ppm鉄イオ
ン、2ppmマンガンイオン、寒天1.5g/dlを含み、pH7.0に
調整したもの)にトリメトプリム100μg/mlを加えた培
地で生育しうる菌株として分離したものである。
(2)ベクターとしてpAM 330を用いた。pAM 330は次の
様にして調製した。
まずpAM 330をプラスミドとして保有するブレビバクテ
リウム・ラクトファーメンタムATCC 13869を100mlのCM2
G培地に接種し、30℃で対数増殖期後期まで培養したの
ち、リゾチームSDS処理により溶菌させ、30,000×g30分
の超塩心により上清を得た。フェノール処理ののち、2
容のエタノールを加えてDNAを沈澱物として回収した。
これを少量のTEN緩衝液(20mMトリス塩酸塩、20mM NaC
l,1mM EDTA(pH8.0)に溶解後、アガロースゲル電気泳
動にかけ分離後、切り出してpAM 330プラスミドDNA約15
μgを得た。
(3)(1)で得た染色体DNA20μgと(2)で得たプ
ラスミドDNA10μgとを制限エンドヌクレアーゼMbo Iで
それぞれを37℃,30分間処理し、部分切断した。65℃,10
分の熱処理後、両反応液を混合し、ATP及びジチオスレ
イトール存在下、T4ファージ由来のDNAリガーゼによっ
て10℃,24時間DNA鎖の連結反応を行った。65℃,5分の熱
処理後、反応液に2倍容のエタノールを加えて連結反応
終了後のDNAを沈澱採取した。
(4)トリメトプリム感受性のブレビバクテリウム・ラ
クトファーメンタムAJ 12036を受容菌として用いた。
形質転換の方法としては、プロトプラストトランスフォ
ーメーション法を用いた。まず、菌株を5mlのCM2G液体
培地で対数増殖期の初期まで培養し、ペニシリンGを0.
6ユニット/ml添加後、さらに1.5時間振盪培養し、遠心
分離により菌体を集め、菌体を0.5Mシュークロース、20
mMマレイン酸、20mM塩化マグネシウム、3.5%ペナッセ
イブロス(Difco)からなるSMMP培地(pH6.5)0.5mlで
洗浄した。次いで10mg/mlのリゾチームを含むSMMP培地
に懸濁し30℃で20時間プロトプラスト化を図った。6000
×g,10分間遠心分離後、プロトプラストをSMMPで洗浄し
0.5mlのSMMPに再度懸濁した。この様にして得られたプ
ロトプラストと(3)で調製したDNA10μgを5mM EDTA
存在下で混合し、ポリエチレングリコールを最終濃度が
30%になる様に添加した後、DNAをプロトプラストに取
り込ませる為に室温に2分間放置した。このプロトプラ
ストをSMMP培地1mlで洗浄後、SMMP培地1mlに再懸濁し、
形質発現の為、30℃で2時間培養した。この培養液をpH
7.0のプロトプラスト再生培地上に塗布した。プロトプ
ラスト再生培地は蒸留水1あたりトリス(ヒドロキシ
メチルアミノメタン)12g,KCl0.5g,グルコース10g,MgCl
2・6H2O8.1g,CaCl2・2H2O2.2g,ペプトン4g,粉末酵母エ
キス4g,カザミノ酸(Difco社)1g,K2HPO40.2g,コハク酸
ナトリウム135g,寒天8g及びトリメトプリム(Sigma社)
25μg/mlを含む。
30℃で1週間培養後、約100個のコロニーが出現してき
たので、これをトリメトプリムを含む最少培地(2%グ
ルコース,1%硫酸アンモニウム,0.25%尿素,0.1%りん
酸二水素カリウム,0.04%硫酸マグネシウム7水塩,2ppm
鉄イオン,2ppmマンガンイオン,200μg/lサイアミン塩酸
塩、50μg/lビオチン,pH7.0,寒天1.8%,トリメトプリ
ム50μg/ml)にレプリカし、トリメトプリム耐性1株を
得た。
(5)これらの株より(2)で述べた方法により、溶菌
液を調製し、アガロースゲル電気泳動法により、プラス
ミドDNAを検出したところ、ベクターのpAM 330よりも明
らかに大きなプラスミドが検出された。この株をAJ 121
47(FERM−P 7673、FERM BP−786)と名付けた。
(6)AJ 12147が有するプラスミド(pAJ 228)上にト
リメトプリム耐性遺伝子が存在することを確認するた
め、このプラスミドDNAを用いブレビバクテリウム・ラ
クトファーメンタムAJ 12036を再度、形質転換した。
生じたトリメトプリム耐性を有するコロニーのうちそれ
ぞれ10個を釣り上げアガロース電気泳動法によりプラス
ミドDNAを検出したところ、これらのいずれにもpAJ 228
と同じ大きさのプラスミドが存在していた。上記組換え
プラスミド上にトリメトプリム耐性を表現する遺伝子が
存在することが明らかとなった。
(7)pAJ 228 DNAの性質 (a)pAJ 228の分子量の決定はアガロースゲル電気泳
動によった。
アガロースゲル電気泳動はシャープ(P.A.Sharp)らの
方法(Biochemistry 12,3055(1973))により、0.8%
ゲルを用い、ゲル長さcm当り、5Vで15時間、定電圧で泳
動した。分子量はpAJ 228を1ヶ所切断する制限酵素Cla
I 0.5ユニットをpAJ 228 0.5μgに37℃,1時間反応さ
せ、切断し、直線状にした後、分子量既知の分子量マー
カー、λファージのHind IIIフラグメント(BRL社)と
の移動度の比較によって算出し、7.6kbと計算された。
(b)pAJ 228 DNAの制限酵素切断地図の作成 制限酵素はBRLの市販品を使用し、制限酵素によるpAJ 2
28 DNAの切断は、少なくとも3倍過剰以上の酵素を使用
して、各酵素毎に指定された条件で行なった。制限酵素
切断地図作成のためにプラスミドDNAを1種以上の制限
酵素で切断する場合には、第1の制限酵素切断断片を分
離用アガロースゲルよりタナカらの方法(T.Tanaka.,B.
Weisblum.J.Bacteriol.,121,354(1975))により単離
後、エタノール沈澱により濃縮し第2の制限酵素で切断
した。切断断片をアガロースゲル電気泳動にかけ、分子
量を算出し、制限酵素切断地図を作成した(第8図)。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 830の造成 trpリプレッサーを組み込んだトリメトプリム耐性の遺
伝子発現調節用ベクターpEC 830は第9図に示すような
方法で造成した。まず実施例4と同様にプラスミドptrp
R3をBamH Iで切断し、trpリプレッサー(trpR)を含む
約1200塩基対のDNA断片をアガロースゲルより回収し
た。つぎにこのDNA断片を4種のデオキシヌクレオチド
(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)の存在下、DNAポリメラーゼ
(Klenowフラグメント)を作用させ、断片の両端を平滑
末端にした。こうして調製したDNA断片と、Hpa Iで切断
したpAJ 228のDNAとを混合し、T4DNAリガーゼで連結
後、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタムAJ 120
36(FERM BP−734)に導入し、トリメトプリム耐性を有
する株を選択した。分離した株中に存在するプラスミド
を抽出し、その大きさから、目的とする約8.8キロベー
スのプラスミドであることを確認し、これをpEC 830と
命名した。このプラスミドpEC 830を再びブレビバクテ
リウム・ラクトフェルメンタムAJ 12036(FERM BP−73
4)に導入し、トリメトプリム耐性を示す菌株を選択
し、分離した株からプラスミドDNAを得て、いずれもpEC
830のDNAであることをプラスミドの大きさならびにXba
Iによる切断パターンで確認した。
遺伝子発現調節用ベクターpEC 830による遺伝子発現の
調節 実施例4で造成したtrpプロモーター、trpオペレーター
を有するプラスミドpEB 003TRを保持するブレビバクテ
リウム・ラクトフェルメンタムAJ 12036(FERM BP−73
4)にさらに、pEC 830を導入した菌株をカナマイシン10
μg/ml、トリメトプリム50μg/mlを含む酵母エキス1
%,ポリペプトン1%,NaCl0.5%,グルコース0.5%の
組成の液体培地50mlに接種し、30℃で振とう培養した。
培養3時間後にインドールアクリル酸を0.13mMとなるよ
うに添加して培養し、経時的に培養液を5mlずつ採取し
て実施例4同様にクロラムフェニコールアセチルトラン
スフェラーゼ活性を測定した。pEB 003TRあるいはpEC 8
30を単独で保持するAJ 12036株ならびにプラスミドを保
持しないAJ 12036株についても同様の実験を行なった。
結果を第4表に示す。pEB 003TR,pEC 830の両プラスミ
ドを保持する株ではIAA添加によりクロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ活性がIAA無添加の3〜
4倍に高まりIAA添加によって遺伝子発現が人為的に調
節できることが証明された。一方、pEB 003TRを単独に
保持する株ではIAAの有無にかかわらず高い活性が認め
られ、遺伝子発現の調節は不可能であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、プロモーター検出用ベクターpEB001の造成経
過説明図である。 P:Pst I C:Cla I H:Hind III B:BamH I Kmr:カナマイシン耐性遺伝子 Cms:クロラムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝子領
域 第2図は、プロモーター検出用ベクターpEB003の造成経
過説明図である。 P:Pst I C:Cla I H:Hind III B:BamH I S:Sal I Hp:Hpa I Kmr:カナマイシン耐性遺伝子 Cms:クロラムフェニコール耐性遺伝子の構造遺伝子領
域 第3図はプロモーター検出用ベクターpEB 003の造成に
使用したDNA断片Cの構造を示す。 第4図は遺伝子発現調節用ベクターpEC 701の造成経過
説明図である。 第5図は遺伝子発現調節用ベクターpEC 702の造成経過
説明図である。 第6図は遺伝子発現調節用ベクターpEC 801の造成経過
説明図である。 第7図は遺伝子発現調節用ベクターpEC 901の造成経過
説明図である。 第8図はトリメトプリム耐性ベクターpAJ 228の構造を
示す。 第9図は遺伝子発現調節用ベクターpEC 830の造成経過
説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/09 C12R 1:15) C12R 1:13) (C12N 15/00 A C12R 1:15)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コリネホルム細菌細胞内でプロモーターと
    して機能する塩基配列(a)の下流にlacオペレータ
    ー、trpオペレーター、またはλオペレーターの塩基配
    列(b)、コリネフォルム細菌細胞内でリボゾーム結合
    部位として機能する4塩基対よりなるAとGが豊富で、
    かつ上流2塩基対はAが、下流2塩基対はGが豊富な塩
    基配列(c)、翻訳開始コドンとして機能する塩基配列
    (d)、及び塩基配列(d)に直接接続されている発現
    すべき遺伝子(e)を有し、かつ、オペレーターとして
    機能する塩基配列(b)に結合しその結合が人為的に調
    節され得るリプレッサー蛋白質をコードする遺伝子
    (f)を有するコリネフォルム細菌を培養し、リプレッ
    サー蛋白質とオペレーターの塩基配列(b)との結合を
    人為的に調節することを特徴とする、発現されるべき遺
    伝子(e)の発現調節方法。
JP61137833A 1985-09-06 1986-06-13 遺伝子発現調節法 Expired - Lifetime JPH07112431B2 (ja)

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