JPH07184607A - 軟体動物の軟化方法 - Google Patents

軟体動物の軟化方法

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JPH07184607A
JPH07184607A JP5337518A JP33751893A JPH07184607A JP H07184607 A JPH07184607 A JP H07184607A JP 5337518 A JP5337518 A JP 5337518A JP 33751893 A JP33751893 A JP 33751893A JP H07184607 A JPH07184607 A JP H07184607A
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Masaru Chiba
勝 千葉
Shunichi Kawamoto
俊一 河本
Takakazu Yamada
孝和 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 イカ、タコ、貝類などの軟体動物をその食
感、食味などを改良するために、外観上の商品価値が低
下することなく、食味、臭いなどに影響を及ぼすことな
く、軟化する方法を提供する。 【構成】 軟体動物をボイル処理した後、アルカリ処理
することにより軟体動物を適度に軟化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イカ、タコ、貝類など
の軟体動物を食品用途、例えば、即席麺類の具材などに
使用する場合に、その食感、食味などを改良するための
軟体動物の軟化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、イカ、タコ、貝類などの軟体
動物は、生の状態で食する一方、保存食品としての利用
に供するために、乾燥、塩蔵、燻製等の加工処理が施さ
れている。特に即席麺類の具材などに使用する場合に
は、その乾燥品が好適に使用されているが、熱湯による
復元後の食感が悪く(硬い)、その改良のため、予め肉
質を軟化させる必要があった。また、当該軟体動物の軟
化方法としては、例えば、特開昭48−96400号、
特開昭49−108265号および特開昭49−108
266号公報等に開示されている如く、タンパク質分解
酵素を使用する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
タンパク質分解酵素を利用する方法においては、当該酵
素によって軟体動物の表面が過度に軟化して外観上、商
品価値が下がってしまうことがあるとともに、酵素反応
の際に生成されるタンパク質分解物によって、食味と臭
いに悪影響を及ぼすことがあり、食品として使用できな
い結果を招くことにもなり好ましくなかった。
【0004】そこで、本発明は、このような現状に鑑
み、イカ、タコ、貝類などの軟体動物をその食感、食味
などを改良するために、外観上の商品価値が低下するこ
となく、食味、臭いなどに影響を及ぼすことなく、軟化
する方法を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述したよう
な課題ならびに目的を達成するために発明なされたもの
であって、下記の(1)〜(6)の構成をその要旨とす
るものである。
【0006】(1) イカ、タコ、貝類などの軟体動物
をボイル処理した後、アルカリ処理することにより軟化
せしめることを特徴とする軟体動物の軟化方法。
【0007】(2) 前記アルカリ処理が、アルカリ水
溶液への浸漬処理であることを特徴とする前述の(1)
に記載の軟体動物の軟化方法。
【0008】(3) 前記アルカリ処理が、アルカリ剤
を約0.5〜1.5重量%添加してなる水溶液中への浸
漬処理であることを特徴とする前述の(1)に記載の軟
体動物の軟化方法。
【0009】(4) 前記アルカリ処理が、アルカリ剤
粉末の混合処理であることを特徴とする前述の(1)に
記載の軟体動物の軟化方法。
【0010】(5) 前記アルカリ処理が、軟体動物に
対して約1.5〜2.5重量%のアルカリ剤粉末の混合
処理であることを特徴とする前述の(1)に記載の軟体
動物の軟化方法。
【0011】(6) 前記ボイル処理を、pH約7.5
〜9.5に調整されたリン酸塩水溶液にて行うことを特
徴とする前述の(1)から(5)に記載の軟体動物の軟
化方法。
【0012】すなわち、本発明者等が、上述した課題な
らびに目的に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、軟体動物を
ボイル処理した後アルカリ剤によって処理するか、さら
には前記ボイル処理をリン酸塩水溶液によって処理する
方法によって、軟体動物が適度に軟化することを知見し
て本発明を完成させたものである。
【0013】以下に、本発明について詳細に説明する。
【0014】本発明の対象とする軟体動物としては特に
限定されるものではなく、イカ、タコ、貝類等が使用可
能である。
【0015】(ボイル処理)まず、前記軟体動物(以
下、「原料肉」と言う)をボイル処理する。該ボイル処
理は、原料肉を加熱調理するとともに、原料肉に含まれ
る酵素を失活させ、さらに後工程でのアルカリ処理によ
る軟化効果を高めることを目的とする。当該処理温度お
よび処理時間は、原料肉の大きさ及び形状により適宜設
定されるが、通常約60〜90℃の熱水中に約30分間
浸漬することにより行う。なお、原料肉は、必要に応
じ、当該ボイル処理の前工程または次工程にて所望とす
る形状に切断される。
【0016】さらに、当該ボイル処理を約7.5〜9.
5に調整されたリン酸水溶液にて行うことにより、後工
程でのアルカリ処理による軟化効果をより一層高めると
ともに、新鮮な色調を維持することができる。ここで、
使用されるリン酸塩としては、弱アルカリ性のリン酸
塩、例えば、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリ
ウム、メタリン酸カリウム、無水ピロリン酸ナトリウ
ム、ピロリン酸カリウムなどがあり、当該リン酸塩を単
独若しくは複数混合して使用することにり、約7.5〜
9.5の水溶液に調整される。当該リン酸塩の使用濃度
としては、約0.5〜1.5重量%が好適である。
【0017】(アルカリ処理)次に、ボイル処理を行っ
た原料肉をアルカリ処理する。当該アルカリ処理に使用
されるアルカリ剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液がアルカリ性にな
るものが適宜使用される。処理方法としては、前記アル
カリ剤を粉体の状態で原料肉と混合するか、又はアルカ
リ剤を水溶液にし、該水溶液中に原料肉を浸漬して行う
のが好適である。アルカリ剤の使用濃度としては、原料
肉の軟化度、弾力性、外観等食味・食感を総合的に勘案
すれば、粉体の状態で原料肉と混合することによって行
う場合には、原料肉の重量に対して約1.5〜2.5%
の添加量にて混合し、又アルカリ水溶液中に浸漬して行
う場合には、アルカリ剤を0.5〜1.5重量%添加し
た水溶液にて行うのが最も効果的である。いずれの場合
においても、その混合時間、浸漬時間は、原料肉の大き
さおよび形状により適宜設定されるが、例えば1.4〜
1.6mmにスライスされた原料肉の場合、30分程度
が好適である。また、アルカリ処理が前記使用濃度より
低すぎると有効な軟化効果がみられず、逆に高すぎると
軟化な進むがアルカリ剤由来の特有の臭いと味が原料肉
に付加されるとともに、軟化が過度に進み軟体動物の表
面にぬめりが生じて商品価値が低下して好ましくない。
【0018】
【実施例】実施例1 リン酸水溶液によるボイル処理(リン酸塩の
種類による影響) 下記に示した組成の6種類の1%リン酸塩溶液を用い
て、アメリカオオアカイカの下足を、70℃、30分間
ボイルした。その後、ボイルした下足を、1.4〜1.
6mmにスライスし、スライス品をそれぞれ、25℃、
0.5%炭酸水素ナトリウム水溶液に30分間浸漬した
後、常法により真空凍結乾燥処理を行った。真空凍結乾
燥処理後、それぞれ熱湯で3分間復元させ、官能試験を
実施した。
【0019】その結果を下記の表1に示した。なお、官
能試験評価基準としては、5名のパネラーにより、熱水
でのボイル処理のみを行い、リン酸塩処理もアルカリ剤
処理も実施していない対照品と比較して、2…良好、1
…やや良好、0…変化なし、−1…やや不良、−2…不
良、の基準で採点してその平均値で示している(以下の
実施例の官能試験においても同様)。
【0020】 リン酸塩の組成 pH ・リン酸塩A 10.0〜10.4 ピロリン酸ナトリウム ・リン酸塩B 9.4〜10.0 ポリリン酸ナトリウム ・リン酸塩C 9.2〜 9.6 ポリリン酸ナトリウム 85% メタリン酸ナトリウム 12% 無水ピロリン酸ナトリウム 3% ・リン酸塩D 8.5 〜9.3 ポリリン酸ナトリウム 60% メタリン酸ナトリウム 22% メタリン酸カリウム 14% 無水ピロリン酸ナトリウム 2% ピロリン酸カリウム 2% ・リン酸塩E 7.9〜8.7 メタリン酸ナトリウム 37% ポリリン酸ナトリウム 30% メタリン酸カリウム 30% ピロリン酸カリウム 3% ・リン酸塩F 4.3〜4.9 第一リン酸ナトリウム
【0021】
【表1】
【0022】表1の結果から、リン酸塩DとEで軟化が
確認され、特にDで良好な結果が得また、使用するリン
酸塩としては、弱アルカリ性のリン酸塩、特にpH約
7.5〜9.5となるようにリン酸塩を単独若しくは混
合して用いた場合が軟化効果が得られ、強アルカリ又は
酸性のリン酸塩では軟化効果がみられないことが判明し
た。なお、外観上はいずれもさほど違いは見られなかっ
た。
【0023】実施例2 アルカリ剤処理方法とその濃度
の関係 実施例1で良好な結果が得られた1%リン酸液Dを用い
て、アメリカオオアカイカの下足を、70℃、30分間
ボイルした。その後、ボイルした下足を、1.4〜1.
6mmにスライスし、スライス品をそれぞれ、0.1
%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%の炭酸水
素ナトリウム水溶液に、25℃、30分間浸漬した後、
常法にて真空凍結乾燥処理を行った。また、上記スライ
ス品をそれぞれ、炭酸水素ナトリウムを粉体で、0.5
%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0
%(スライス品重量に対して)25℃、30分間混合し
た後、上記と同様に凍結乾燥処理を行った。真空凍結乾
燥処理後、それぞれ熱湯で3分間復元させ、官能試験を
実施した。その結果を下記の表2に示した。
【0024】
【表2】
【0025】この表2の結果から、アルカリ水溶液への
浸漬またはアルカリ剤粉末の混合により軟体動物の軟化
効果は確認できるが、特に0.5%、1.0%、1.5
%のアルカリ水溶液に浸漬した場合、ならびに1.5
%、2.0%、2.5%の粉体のアルカリ剤を混合した
場合に、軟化度、弾力性、外観等食味・食感において総
合的に良好な結果が得られた。従って、アルカリ剤の使
用濃度としては、粉体の状態で軟体動物と混合すること
によって行う場合には、軟体動物の重量に対して1.5
〜2.5%の割合で混合し、アルカリ水溶液中に軟体動
物を浸漬して行う場合には、軟体動物の重量に対して
0.5〜1.5%の割合で浸漬するのが食味・食感にお
いて総合的に良好な結果が得られることがわかる。すな
わち、炭酸水素ナトリウムの濃度が高すぎると、重曹臭
が強くなるとともに食感が悪くなり、良好な軟化効果が
期待できないからである。
【0026】実施例3 アルカリ剤処理時間の影響 実施例1で良好な結果が得られた1%リン酸液Dを用い
て、アメリカオオアカイカの下足を、70℃、30分間
ボイルした。その後、ボイルした下足を、1.4〜1.
6mmにスライスし、スライス品を、1.0%の炭酸水
素ナトリウム水溶液に、25℃で、それぞれ、15分
間、30分間、60分間浸漬した後、常法にて真空凍結
乾燥処理を行った。また、上記スライス品を、スライス
品重量に対して2.0%重量の炭酸水素ナトリウムを粉
体で、25℃で、それぞれ、30分間、60分間、90
分間混合した後、同様にして真空凍結乾燥処理を行っ
た。真空凍結乾燥処理後、それぞれ熱湯で3分間復元さ
せ、官能試験を実施した。その結果を下記の表3に示し
た。
【0027】
【表3】
【0028】この表3の結果から、アルカリ剤水溶液に
浸漬した場合では、30分間の浸漬により良好な結果が
得られたが、60分間浸漬すると表面が溶解してぬめり
が見られた。また、アルカリ剤を粉体混合した場合で
は、30分間の混合で良好な結果が得られたが、混合時
間を長くしても良好な結果が得られなかった。
【0029】従って、水溶液浸漬、粉体混合いずれの場
合でも、混合時間、浸漬時間としては、30分程度が好
適であることがわかる。
【0030】実施例4 リン酸塩処理とアルカリ剤処理
との関係 下記の処理1〜処理5によって調製したスライス品の一
部について、真空凍結乾燥処理を行う前に官能試験を行
い(その結果を下記の表4に示した)、残りを常法にて
真空凍結乾燥した後、熱湯で3分間復元させ官能試験を
行った(その結果を下記の表5に示した)。
【0031】(処理1)1%リン酸塩Dで、アメリカオ
オアカイカの下足を、70℃、30分間ボイルした。そ
の後、ボイルした下足を、1.4〜1.6mmにスライ
スし、スライス品を、1.0%炭酸水素ナトリウム水溶
液に25℃、30分間浸漬した。
【0032】(処理2)処理1と同様にして1%リン酸
塩Dでボイルして得られたスライス品に、スライス品重
量に対して2.0%の炭酸水素ナトリウムを、室温25
℃で30分間粉体混合した。
【0033】(処理3)処理1と同様にして1%リン酸
塩Dでボイルして得られたスライス品を、25℃の水に
30分間浸漬した。
【0034】(処理4)アメリカオオアカイカの下足
を、水にて70℃、30分間ボイルした。その後、ボイ
ルした下足を、1.4〜1.6mmにスライスし、スラ
イス品を、1.0%炭酸水素ナトリウム水溶液に25
℃、30分間浸漬した。
【0035】(処理5)処理4と同様にして水でボイル
して得られたスライス品に、スライス品重量に対して
2.0%の炭酸水素ナトリウムを、室温25℃で30分
間粉体混合した。
【0036】なお、これらの関係を要約すれば下記の通
りである。
【0037】 処理名 リン酸塩処理 炭酸水素ナトリウム処理 1 リン酸塩D 1%溶液、30分浸漬 2 リン酸塩D 2%粉体、30分混合 3 リン酸塩D なし 4 なし 1%溶液、30分浸漬 5 なし 2%粉体、30分混合
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】これらの表4、表5の結果から、処理3
(リン酸塩処理のみ)が他の場合と比較して硬く、ま
た、処理4、5(アルカリ剤処理のみ)の場合よりも、
処理1、2(リン酸塩処理とアルカリ剤処理を併用)の
方が、硬さ、弾力性とも優れている。従って、リン酸塩
処理のみでは軟化にはあまり効果を及ぼさないが、アル
カリ剤とともに使用すると軟化効果が増大することがわ
かる。なお、外観についてはいずれの場合もあまりはっ
きりした効果が見られず、また、真空凍結乾燥前後にお
いて官能試験の結果に差はほとんど見られなかった。
【0041】
【発明の作用・効果】本発明によれば、軟体動物の食味
・外観を損ねることなく効果的に軟化できるとともに、
軟化度、弾力性、外観等食味・食感において総合的に良
好な肉質とすることができる。従って、本発明により得
られる軟体動物は、ボイル品としての利用のみならず、
軟化後凍結乾燥等により乾燥品とした場合にも、熱湯に
よる復元が極めて良好であり、即席麺類等の乾燥具材と
して特に有効に使用することができ、食品用途として広
範囲な適用が可能である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 軟体動物の軟化方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イカ、タコ、貝類など
の軟体動物を食品用途、例えば、即席麺類の具材などに
使用する場合に、その食感、食味などを改良するための
軟体動物の軟化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、イカ、タコ、貝類などの軟体
動物は、生の状態で食する一方、保存食品としての利用
に供するために、乾燥、塩蔵、燻製等の加工処理が施さ
れている。特に即席麺類の具材などに使用する場合に
は、その乾燥品が好適に使用されているが、熱湯による
復元後の食感が悪く(硬い)、その改良のため、予め肉
質を軟化させる必要があった。また、当該軟体動物の軟
化方法としては、例えば、特開昭48−96400号、
特開昭49−108265号および特開昭49−108
266号公報等に開示されている如く、タンパク質分解
酵素を使用する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
タンパク質分解酵素を利用する方法においては、当該酵
素によって軟体動物の表面が過度に軟化して外観上、商
品価値が下がってしまうことがあるとともに、酵素反応
の際に生成されるタンパク質分解物によって、食味と臭
いに悪影響を及ぼすことがあり、食品として使用できな
い結果を招くことにもなり好ましくなかった。
【0004】そこで、本発明は、このような現状に鑑
み、イカ、タコ、貝類などの軟体動物をその食感、食味
などを改良するために、外観上の商品価値が低下するこ
となく、食味、臭いなどに影響を及ぼすことなく、軟化
する方法を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述したよう
な課題ならびに目的を達成するために発明なされたもの
であって、下記の(1)〜(6)の構成をその要旨とす
るものである。
【0006】(1) イカ、タコ、貝類などの軟体動物
をボイル処理した後、アルカリ処理することにより軟化
せしめることを特徴とする軟体動物の軟化方法。
【0007】(2) 前記アルカリ処理が、アルカリ水
溶液への浸漬処理であることを特徴とする前述の(1)
に記載の軟体動物の軟化方法。
【0008】(3) 前記アルカリ処理が、アルカリ剤
を約0.5〜1.5重量%添加してなる水溶液中への浸
漬処理であることを特徴とする前述の(1)に記載の軟
体動物の軟化方法。
【0009】(4) 前記アルカリ処理が、アルカリ剤
粉末の混合処理であることを特徴とする前述の(1)に
記載の軟体動物の軟化方法。
【0010】(5) 前記アルカリ処理が、軟体動物に
対して約1.5〜2.5重量%のアルカリ剤粉末の混合
処理であることを特徴とする前述の(1)に記載の軟体
動物の軟化方法。
【0011】(6) 前記ボイル処理を、pH約7.5
〜9.5に調整されたリン酸塩水溶液にて行うことを特
徴とする前述の(1)から(5)に記載の軟体動物の軟
化方法。
【0012】すなわち、本発明者等が、上述した課題な
らびに目的に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、軟体動物を
ボイル処理した後アルカリ剤によって処理するか、さら
には前記ボイル処理をリン酸塩水溶液によって処理する
方法によって、軟体動物が適度に軟化することを知見し
て本発明を完成させたものである。
【0013】以下に、本発明について詳細に説明する。
【0014】本発明の対象とする軟体動物としては特に
限定されるものではなく、イカ、タコ、貝類等が使用可
能である。
【0015】(ボイル処理)まず、前記軟体動物(以
下、「原料肉」と言う)をボイル処理する。該ボイル処
理は、原料肉を加熱調理するとともに、原料肉に含まれ
る酵素を失活させ、さらに後工程でのアルカリ処理によ
る軟化効果を高めることを目的とする。当該処理温度お
よび処理時間は、原料肉の大きさ及び形状により適宜設
定されるが、通常約60〜90℃の熱水中に約30分間
浸漬することにより行う。なお、原料肉は、必要に応
じ、当該ボイル処理の前工程または次工程にて所望とす
る形状に切断される。
【0016】さらに、当該ボイル処理をpH約7.5〜
9.5に調整されたリン酸塩水溶液にて行うことによ
り、後工程でのアルカリ処理による軟化効果をより一層
高めるとともに、新鮮な色調を維持することができる。
ここで、使用されるリン酸塩としては、弱アルカリ性の
リン酸塩、例えば、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸
ナトリウム、メタリン酸カリウム、無水ピロリン酸ナト
リウム、ピロリン酸カリウムなどがあり、当該リン酸塩
を単独若しくは複数混合して使用することにより、pH
約7.5〜9.5の水溶液に調整される。当該リン酸塩
の使用濃度としては、約0.5〜1.5重量%が好適で
ある。
【0017】(アルカリ処理)次に、ボイル処理を行っ
た原料肉をアルカリ処理する。当該アルカリ処理に使用
されるアルカリ剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液がアルカリ性にな
るものが適宜使用される。処理方法としては、前記アル
カリ剤を粉体の状態で原料肉と混合するか、又はアルカ
リ剤を水溶液にし、該水溶液中に原料肉を浸漬して行う
のが好適である。アルカリ剤の使用濃度としては、原料
肉の軟化度、弾力性、外観等食味・食感を総合的に勘案
すれば、粉体の状態で原料肉と混合することによって行
う場合には、原料肉の重量に対して約1.5〜2.5%
の添加量にて混合し、又アルカリ水溶液中に浸漬して行
う場合には、アルカリ剤を0.5〜1.5重量%添加し
た水溶液にて行うのが最も効果的である。いずれの場合
においても、その混合時間、浸漬時間は、原料肉の大き
さおよび形状により適宜設定されるが、例えば1.4〜
1.6mmにスライスされた原料肉の場合、30分程度
が好適である。また、アルカリ処理が前記使用濃度より
低すぎると有効な軟化効果がみられず、逆に高すぎると
軟化は進むがアルカリ剤由来の特有の臭いと味が原料肉
に付加されるとともに、軟化が過度に進み軟体動物の表
面にぬめりが生じて商品価値が低下して好ましくない。
【0018】
【実施例】実施例1 リン酸塩水溶液によるボイル処理(リン酸塩
の種類による影響) 下記の表1に示した組成の6種類の1%リン酸塩水溶液
を用いて、アメリカオオアカイカの下足を、70℃、3
0分間ボイルした。その後、ボイルした下足を、1.4
〜1.6mmにスライスし、スライス品をそれぞれ、2
5℃、0.5%炭酸水素ナトリウム水溶液に30分間浸
漬した後、常法により真空凍結乾燥処理を行った。真空
凍結乾燥処理後、それぞれ熱湯で3分間復元させ、官能
試験を実施した。その結果を下記の表2に示した。な
お、官能試験評価基準としては、5名のパネラーによ
り、熱水でのボイル処理のみを行い、リン酸塩処理もア
ルカリ剤処理も実施していない対照品と比較して、2…
良好、1…やや良好、0…変化なし、−1…やや不良、
−2…不良、の基準で採点してその平均値で示している
(以下の実施例の官能試験においても同様)。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】表2の結果から、リン酸塩DとEで軟化が
確認され、特にDで良好な結果が得また、使用するリン
酸塩としては、弱アルカリ性のリン酸塩、特にpH約
7.5〜9.5となるようにリン酸塩を単独若しくは混
合して用いた場合が軟化効果が得られ、強アルカリ又は
酸性のリン酸塩では軟化効果がみられないことが判明し
た。なお、外観上はいずれもさほど違いは見られなかっ
た。
【0022】実施例2 アルカリ剤処理方法とその濃度
の関係 実施例1で良好な結果が得られた1%リン酸塩D水溶液
を用いて、アメリカオオアカイカの下足を、70℃、3
0分間ボイルした。その後、ボイルした下足を、1.4
〜1.6mmにスライスし、スライス品をそれぞれ、
0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2.0%の
炭酸水素ナトリウム水溶液に、25℃、30分間浸漬し
た後、常法にて真空凍結乾燥処理を行った。また、上記
スライス品をそれぞれ、炭酸水素ナトリウムを粉体で、
0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、
3.0%(スライス品重量に対して)25℃、30分間
混合した後、上記と同様に凍結乾燥処理を行った。真空
凍結乾燥処理後、それぞれ熱湯で3分間復元させ、官能
試験を実施した。その結果を下記の表3に示した。
【0023】
【表3】
【0024】この表3の結果から、アルカリ水溶液への
浸漬またはアルカリ剤粉末の混合により軟体動物の軟化
効果は確認できるが、特に0.5%、1.0%、1.5
%のアルカリ水溶液に浸漬した場合、ならびに1.5
%、2.0%、2.5%の粉体のアルカリ剤を混合した
場合に、軟化度、弾力性、外観等食味・食感において総
合的に良好な結果が得られた。従って、アルカリ剤の使
用濃度としては、粉体の状態で軟体動物と混合すること
によって行う場合には、軟体動物の重量に対して1.5
〜2.5%の割合で混合し、アルカリ水溶液中に軟体動
物を浸漬して行う場合には、軟体動物の重量に対して
0.5〜1.5%の割合で浸漬するのが食味・食感にお
いて総合的に良好な結果が得られることがわかる。すな
わち、炭酸水素ナトリウムの濃度が高すぎると、重曹臭
が強くなるとともに食感が悪くなり、良好な軟化効果が
期待できないからである。
【0025】実施例3 アルカリ剤処理時間の影響 実施例1で良好な結果が得られた1%リン酸塩D水溶液
を用いて、アメリカオオアカイカの下足を、70℃、3
0分間ボイルした。その後、ボイルした下足を、1.4
〜1.6mmにスライスし、スライス品を、1.0%の
炭酸水素ナトリウム水溶液に、25℃で、それぞれ、1
5分間、30分間、60分間浸漬した後、常法にて真空
凍結乾燥処理を行った。また、上記スライス品を、スラ
イス品重量に対して2.0%重量の炭酸水素ナトリウム
を粉体で、25℃で、それぞれ、30分間、60分間、
90分間混合した後、同様にして真空凍結乾燥処理を行
った。真空凍結乾燥処理後、それぞれ熱湯で3分間復元
させ、官能試験を実施した。その結果を下記の表4に示
した。
【0026】
【表4】
【0027】この表4の結果から、アルカリ剤水溶液に
浸漬した場合では、30分間の浸漬により良好な結果が
得られたが、60分間浸漬すると表面が溶解してぬめり
が見られた。また、アルカリ剤を粉体混合した場合で
は、30分間の混合で良好な結果が得られたが、混合時
間を長くしても良好な結果が得られなかった。
【0028】従って、水溶液浸漬、粉体混合いずれの場
合でも、混合時間、浸漬時間としては、30分程度が好
適であることがわかる。
【0029】実施例4 リン酸塩処理とアルカリ剤処理
との関係 下記の処理1〜処理5によって調製したスライス品の一
部について、真空凍結乾燥処理を行う前に官能試験を行
い(その結果を下記の表6に示した)、残りを常法にて
真空凍結乾燥した後、熱湯で3分間復元させ官能試験を
行った(その結果を下記の表7に示した)。
【0030】(処理1)1%リン酸塩D水溶液で、アメ
リカオオアカイカの下足を、70℃、30分間ボイルし
た。その後、ボイルした下足を、1.4〜1.6mmに
スライスし、スライス品を、1.0%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液に25℃、30分間浸漬した。
【0031】(処理2)処理1と同様にして1%リン酸
塩D水溶液でボイルして得られたスライス品に、スライ
ス品重量に対して2.0%の炭酸水素ナトリウム水溶液
を、室温25℃で30分間粉体混合した。
【0032】(処理3)処理1と同様にして1%リン酸
塩D水溶液でボイルして得られたスライス品を、25℃
の水に30分間浸漬した。
【0033】(処理4)アメリカオオアカイカの下足
を、水にて70℃、30分間ボイルした。その後、ボイ
ルした下足を、1.4〜1.6mmにスライスし、スラ
イス品を、1.0%炭酸水素ナトリウム水溶液に25
℃、30分間浸漬した。
【0034】(処理5)処理4と同様にして水でボイル
して得られたスライス品に、スライス品重量に対して
2.0%の炭酸水素ナトリウム水溶液を、室温25℃で
30分間粉体混合した。
【0035】なお、これらの関係を要約すれば下記の表
5の通りである。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】これらの表6、表7の結果から、処理3
(リン酸塩処理のみ)が他の場合と比較して硬く、ま
た、処理4、5(アルカリ剤処理のみ)の場合よりも、
処理1、2(リン酸塩処理とアルカリ剤処理を併用)の
方が、硬さ、弾力性とも優れている。従って、リン酸塩
処理のみでは軟化にはあまり効果を及ぼさないが、アル
カリ剤とともに使用すると軟化効果が増大することがわ
かる。なお、外観についてはいずれの場合もあまりはっ
きりした効果が見られず、また、真空凍結乾燥前後にお
いて官能試験の結果に差はほとんど見られなかった。
【0040】
【発明の作用・効果】本発明によれば、軟体動物の食味
・外観を損ねることなく効果的に軟化できるとともに、
軟化度、弾力性、外観等食味・食感において総合的に良
好な肉質とすることができる。従って、本発明により得
られる軟体動物は、ボイル品としての利用のみならず、
軟化後凍結乾燥等により乾燥品とした場合にも、熱湯に
よる復元が極めて良好であり、即席麺類等の乾燥具材と
して特に有効に使用することができ、食品用途として広
範囲な適用が可能である。
【0041】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 孝和 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イカ、タコ、貝類などの軟体動物をボイ
    ル処理した後、アルカリ処理することにより軟化せしめ
    ることを特徴とする軟体動物の軟化方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ処理が、アルカリ水溶液へ
    の浸漬処理であることを特徴とする請求項1に記載の軟
    体動物の軟化方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ処理が、アルカリ剤を約
    0.5〜1.5重量%添加してなる水溶液中への浸漬処
    理であることを特徴とする請求項1に記載の軟体動物の
    軟化方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ処理が、アルカリ剤粉末の
    混合処理であることを特徴とする請求項1に記載の軟体
    動物の軟化方法。
  5. 【請求項5】 前記アルカリ処理が、軟体動物に対して
    約1.5〜2.5重量%のアルカリ剤粉末の混合処理で
    あることを特徴とする請求項1に記載の軟体動物の軟化
    方法。
  6. 【請求項6】 前記ボイル処理を、pH約7.5〜9.
    5に調整されたリン酸塩水溶液にて行うことを特徴とす
    る請求項1から5に記載の軟体動物の軟化方法。
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