JPH07228555A - 光学活性な2−エトキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ヒドロキシベンゾアートおよびその製造方法 - Google Patents

光学活性な2−エトキシ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ヒドロキシベンゾアートおよびその製造方法

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JPH07228555A
JPH07228555A JP4304594A JP4304594A JPH07228555A JP H07228555 A JPH07228555 A JP H07228555A JP 4304594 A JP4304594 A JP 4304594A JP 4304594 A JP4304594 A JP 4304594A JP H07228555 A JPH07228555 A JP H07228555A
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Toshio Kubota
俊夫 久保田
Norihisa Iijima
典久 飯島
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反強誘電性液晶化合物の中間原料として有
用な新規の光学活性なトリフルオロメチル基含有化合物
の製造方法を提供する。 【構成】 anti−(1S,2S)−2−エトキシ−
1−トリフルオロメチルアルキル=4−ヒドロキシベン
ゾアートおよびsyn−(1S,2R)−2−エトキシ
−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ヒドロキシベ
ンゾアートの提供と、光学活性な2−ヒドロキシアルキ
ルベンゾアート誘導体のジステレオマー混合物を原料と
し、アルカリ金属水素化物、臭化エチルを用いて得たO
−エチル化誘導体を水素還元することにより得た前記各
化合物からなるジアステレオマー混合物を分離すること
による前記各化合物の製造方法。 【効果】 反強誘電性液晶化合物の中間原料等として有
用である新規の光学活性なトリフルオロメチル基含有化
合物および、該化合物を、簡単な操作で、効率的に、か
つ高収率で製造出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば大画面液晶ディ
スプレイおよび電子デバイス等の素材である反強誘電性
液晶化合物の中間原料として有用である新規の光学活性
なトリフルオロメチル基含有化合物およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大画面液晶ディスプレイ等の素材である
反強誘電性液晶化合物の中間原料として(R)−1−ト
リフルオロメチルアルキル=4−ヒドロキシベンゾアー
トは知られている。しかしながら、この化合物から誘導
される反強誘電性液晶化合物は強誘電性液晶相がかなり
高温に存在するために、室温作動性に劣り、かつ応答速
度も遅く、大画面液晶ディスプレイ材料としては実用化
に至っておらず、室温でのスイッチング操作が容易な材
料の出現が強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、室温で作動し、スイッチング操作の容易な反強誘電
性液晶化合物の中間原料として有用な新規の光学活性な
化合物につき鋭意研究した結果、本発明の化合物を発明
し、また該化合物を効率的に製造する方法を見出し、本
発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規の光学活
性な化合物である式(1)で示されるanti−(1
S,2S)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルア
ルキル=4−ヒドロキシベンゾアート〔以下、本発明化
合物(1)またはanti体(1S,2S)型2−エト
キシ=ヒドロキシベンゾアートという〕、または式
(2)で示されるsyn−(1S,2R)−2−エトキ
シ−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ヒドロキシ
ベンゾアート〔以下、本発明化合物(2)またはsyn
体(1S,2R)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾア
ートという〕である。
【0005】
【化4】
【0006】
【化5】
【0007】また、本発明は、有機溶媒中で、式(3)
で示されるanti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ
−1−トリフルオロメチルアルキル=4−ベンジルオキ
シベンゾアート〔以下anti体(1S,2S)型2−
ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートという〕およ
びsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルアルキル=4−ベンジルオキシベンゾア
ート〔以下、syn体(1S,2R)型2−ヒドロキシ
=ベンジルオキシベンゾアートという〕からなるジアス
テレオマー混合物(以下、原料化合物という)と、アル
カリ金属水素化物を反応させ、次いで反応生成物と臭化
エチルを反応させてO−エチル化誘導体を得た後、該O
−エチル化誘導体を溶媒中で、パラジウム/チャコール
触媒の存在下、水素を用いて還元して得た本発明化合物
(1)および本発明化合物(2)からなるジアステレオ
マー混合物を、本発明化合物(1)と本発明化合物
(2)に分離することを特徴とする各化合物の製造方法
である。
【0008】
【化6】
【0009】〔本発明化合物(1):anti体(1
S,2S)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアート〕
本発明化合物(1)は、上述の式(1)で示される通り
であり、式中、Rで表わされるアルキル基は炭素数3〜
10の直鎖状アルキル基、すなわち、n−プロピル基、
n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−
ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−
デシル基であり、それらの中でも製造の容易性から有用
であるアルキル基は炭素数4〜8の直鎖状アルキル基で
ある。
【0010】本発明化合物(1)の好ましい具体例を示
すと、anti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−
トリフルオロメチルヘキシル=4−ヒドロキシベンゾア
ート、anti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−
トリフルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾア
ート、およびanti−(1S,2S)−2−エトキシ
−1−トリフルオロメチルデシル=4−ヒドロキシベン
ゾアート等が挙げられる。
【0011】〔本発明化合物(2):syn体(1S,
2R)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアート〕本発
明化合物(2)は、上述の式(2)で示される通りであ
り、式中、Rで表わされるアルキル基は炭素数3〜10
の直鎖状アルキル基、すなわち、n−プロピル基、n−
ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプ
チル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシ
ル基であり、それらの中でも製造の容易性から有用であ
るアルキル基は炭素数4〜8の直鎖状アルキル基であ
る。
【0012】本発明化合物(2)の好ましい具体例を示
すと、syn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−ト
リフルオロメチルヘキシル=4−ヒドロキシベンゾアー
ト、syn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート
およびsyn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−ト
リフルオロメチルデシル=4−ヒドロキシベンゾアート
等が挙げられる。
【0013】〔原料化合物:anti体(1S,2S)
型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートおよび
syn体(1S,2R)型2−ヒドロキシ=ベンジルオ
キシベンゾアートからなるジアステレオマー混合物〕前
掲の式(3)で示される原料化合物は新規化合物であ
り、出願済みである(出願日:平成6年2月16日)。
【0014】原料化合物は、前述の式(3)で示される
ジアステレオマー混合物であり、式中、Rで表わされる
アルキル基は、炭素数3〜10の直鎖状アルキル基、す
なわち、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル
基、n−ノニル基およびn−デシル基であり、それらの
中でも製造の容易性から有用であるアルキル基は炭素数
4〜8の直鎖状アルキル基である。
【0015】原料化合物の特に好ましい具体例を示す
と、anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−
トリフルオロメチルヘキシル=4−ベンジルオキシベン
ゾアートおよびsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキ
シ−1−トリフルオロメチルヘキシル=4−ベンジルオ
キシベンゾアートからなるジアステレオマー混合物、a
nti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアー
トおよびsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1
−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベ
ンゾアートからなるジアステレオマー混合物、およびa
nti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルデシル=4−ベンジルオキシベンゾアート
およびsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−
トリフルオロメチルデシル=4−ベンジルオキシベンゾ
アートからなるジアステレオマー混合物等が挙げられ
る。
【0016】原料化合物は、例えば式(4)に示される
ように、まず、(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチルアルキルケトン〔以下(S)−体ケ
トンという〕を有機溶媒中、金属水素化物を用いて還元
することにより、(S)−体ケトンの1位の炭素原子に
結合したカルボニル炭素へのヒドリドのジアステレオ面
区別した攻撃を経由して得られた反応生成物を、常法に
従い酸処理することにより得られたanti−(2S,
3S)−1,1,1−トリフルオロアルカン−2,3−
ジオール〔以下anti体(2S,3S)型ジオールと
いう〕とsyn−(2S,3R)−1,1,1−トリフ
ルオロアルカン−2,3−ジオール〔以下syn体(2
S,3R)型ジオールという〕からなるジアステレオマ
ー混合物(以下、出発原料化合物という)を得る(以
下、この反応を出発原料化合物反応という)。
【0017】なお、上記における(S)−体ケトンは新
規化合物であり、既に出願済みである(特願平5−77
645)。
【0018】
【化7】
【0019】次に、式(5)に示されるように、出発原
料化合物と、出発原料化合物1モルを基準として1モル
のアルカリ金属水素化物を反応させ(原第一段反応)、
次いで反応生成物と、前記反応において用いた出発原料
化合物1モルを基準として、1モルの4−ベンジルオキ
シベンゾイルクロリドを反応させることにより(原第二
段反応)、anti体(1S,2S)型2−ヒドロキシ
=ベンジルオキシベンゾアートおよびsyn体(1S,
2R)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアート
からなるジアステレオマー混合物である原料化合物を得
る(以下、これらの反応を原料化合物反応と総称す
る)。なお、原料化合物反応は出願している(出願日:
平成6年2月17日)。
【0020】
【化8】
【0021】〔出発原料化合物:anti体(2S,3
S)型ジオールおよびsyn体(2S,3R)型ジオー
ルからなるジアステレオマー混合物〕出発原料化合物は
新規化合物であり、既に出願済みである(特願平5−1
32453)。
【0022】上記化合物について具体的に説明すると、
式中、Rで表わされるアルキル基は、炭素数3〜10の
直鎖状アルキル基、すなわち、n−プロピル基、n−ブ
チル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチ
ル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル
基であり、それらの中でも製造の容易性から有用である
アルキル基は炭素数4〜8の直鎖状アルキル基である。
【0023】出発原料化合物の特に好ましい具体例を示
すと、anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフ
ルオロヘプタン−2,3−ジオールおよびsyn−(2
S,3R)−1,1,1−トリフルオロヘプタン−2,
3−ジオールからなるジアステレオマー混合物、ant
i−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン
−2,3−ジオールおよびsyn−(2S,3R)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールか
らなるジアステレオマー混合物、およびanti−(2
S,3S)−1,1,1−トリフルオロウンデカン−
2,3−ジオールおよびsyn−(2S,3R)−1,
1,1−トリフルオロウンデカン−2,3−ジオールか
らなるジアステレオマー混合物等が挙げられる。
【0024】(出発原料化合物反応)出発原料化合物
は、前述した式(4)に示されるように、(S)−体ケ
トンを有機溶媒中、金属水素化物を用いて還元すること
により得られる。
【0025】好適な金属水素化物としては、水素化アル
ミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウムお
よび水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。
【0026】これらの金属水素化物は、(S)−体ケト
ンのカルボニル基をジアステレオ面区別還元して得られ
る、anti体(2S,3S)型ジオールおよびsyn
体(2S,3R)型ジオールの生成比率に最も大きな影
響を及ぼすと考えられる。従って目的に応じて金属水素
化物を適宜選択すればよい。すなわち、特定の金属水素
化物を用いることにより、anti体(2S,3S)型
ジオールを選択的に優位に生成させることが出来る。
【0027】例えば、anti体(2S,3S)型に富
んだ出発原料化合物を得るのに好適な金属水素化物とし
ては、水素化アルミニウムリチウムが最適である。
【0028】(S)−体ケトンと金属水素化物との反応
系への供給割合は、(S)−体ケトン1モルに対して、
金属水素化物2.0〜2.4グラム当量(水素原子換
算、以下同じ)が好ましく、特に好適には2.05〜
2.15グラム当量である。
【0029】有機溶媒としては、n−ヘキサン、ジエチ
ルエーテル、トルエンおよびTHF等が好ましい。an
ti体(2S,3S)型ジオールおよびsyn体(2
S,3R)型ジオールの生成比率は、有機溶媒の種類に
よっても影響を受けるため、金属水素化物の種類に対応
させて有機溶媒を適宜選択することが望ましい。
【0030】例えば、anti体(2S,3S)型に富
んだ出発原料化合物を得るのに好適な有機溶媒の一例は
ジエチルエーテルである。これと、anti体(2S,
3S)型の生成を優先させる水素化アルミニウムリチウ
ム等の金属水素化物を用いることによって、生成するa
nti体(2S,3S)型を効果的に増加させることが
出来る。
【0031】(S)−体ケトンと金属水素化物の好適な
混合方法は、金属水素化物の種類によって異なり、例え
ば水素化アルミニウムリチウムの場合は、これを含有し
た有機溶媒の懸濁液中に、(S)−体ケトンを含有した
有機溶媒溶液を滴下するのが好適であり、その滴下時間
は(S)−体ケトン1モルに対して60〜120分程度
が好ましい。
【0032】有機溶媒の使用量は、(S)−体ケトン1
モルを基準として、1.0〜2.0リットルが好まし
い。例えば、(S)−体ケトンと、金属水素化物として
水素化アルミニウムリチウムを前述した特に好適な量で
ある2.05〜2.15グラム当量用いた場合、上記し
た有機溶媒の好適な量のうちの0.5リットル程度を
(S)−体ケトンの溶媒として用い、残りの量を水素化
アルミニウムリチウムに対して用いるのが好適である。
【0033】(S)−体ケトンと金属水素化物との反応
温度は−10℃〜10℃が好ましい。(S)−体ケトン
の滴下完了後、室温まで昇温し、6時間程度撹拌保持す
ることにより反応を完結させる。
【0034】次いで得られた反応生成物を常法に従い酸
処理することにより、出発原料化合物であるanti体
(2S,3S)型ジオールおよびsyn体(2S,3
R)型ジオールからなるジアステレオマー混合物を生成
させる。
【0035】酸としては鉱酸が適しており、具体的には
塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。例えば、塩酸を用い
た場合は、(S)−体ケトン1モルを基準として、1規
定塩酸2〜3リットルを13分間程度かけて滴下し、3
0分間程度撹拌保持する。
【0036】上記酸処理温度は0℃〜10℃が好まし
い。酸処理後、室温まで昇温した後、エーテル等の抽出
剤を加えて生成物を抽出し、次いで、抽出液を水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、
溶媒を減圧濃縮することにより、出発原料化合物を取得
する。
【0037】上記のようにして得られた出発原料化合物
は、後記同定例1により明らかなごとく、光学異性体分
離用カラムを有するガスクロマトグラフィーで分析する
ことによって、光学活性な2本のピークが得られ、第1
ピークとしてsyn体(2S,3R)型が検出され、ま
た第2ピークとしてanti体(2S,3S)型が検出
される。これらのピークの面積比から、anti体(2
S,3S)型/syn体(2S,3R)型の生成比率を
確認することができる。
【0038】上記の製造方法によれば、金属水素化物の
種類にもよるが、anti体(2S,3S)型/syn
体(2S,3R)型=88〜56/12〜44(面積
比)のanti体(2S,3S)型に富んだジアステレ
オマー混合物である出発原料化合物が得られる。
【0039】〔原料化合物反応〕原料化合物すなわちa
nti体(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジルオ
キシベンゾアートおよびsyn体(1S,2R)型2−
ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾアートからなるジア
ステレオマー混合物は、前述の式(5)で示されるよう
に、原第一段反応と原第二段反応からなる原料化合物反
応により製造することが出来る。
【0040】上記反応は次のように推定される。出発原
料化合物の2位の不斉炭素原子に結合した水酸基はトリ
フルオロメチル基の強電子吸引力により酸性であり、他
方、3位の不斉炭素原子に結合した水酸基はアルコール
の性質を示す。従って、出発原料化合物1モルとアルカ
リ金属水素化物1モルを反応させることにより、出発原
料化合物の2位の不斉炭素原子に結合した水酸基のみが
選択的に反応して反応生成物を生成する(原第一段反
応)。
【0041】次いで該反応生成物と、原第一段反応に用
いた出発原料化合物1モルを基準として、1モルの4−
ベンジルオキシベンゾイルクロリドを反応させると、該
反応生成物のアルカリ金属と、4−ベンジルオキシベン
ゾイルクロリドの塩素が反応し、原料化合物を生成する
(原第二段反応)。
【0042】以下、各反応を更に詳細に説明する。
【0043】(原第一段反応)原第一段反応は、出発原
料化合物と、出発原料化合物1モルを基準として1モル
のアルカリ金属水素化物を反応させる。
【0044】anti体(1S,2S)に富んだ原料化
合物を製造する場合は、出発原料化合物としては、出発
原料化合物反応により製造されたものを用いるのが好ま
しい。出発原料化合物反応によれば、前述したとおり、
anti体(2S,3S)型/syn体(2S,3R)
型=88〜56/12〜44(面積比)のanti体
(2S,3S)型に富んだジアステレオマー混合物であ
る出発原料化合物が得られる。
【0045】また、anti体(1S,2S)型/sy
n体(1S,2R)型の生成比率が特に高い原料化合物
を得たい場合は、金属水素化物の種類として水素化アル
ミニウムリチウムを用いて製造された出発原料化合物を
用いる方法が最適である。
【0046】なお、後述するように原料化合物における
anti体(1S,2S)型/syn体(1S,2R)
型の生成比率は、出発原料化合物のanti体(2S,
3S)型/syn体(2S,3R)型の生成比率と変わ
ることがない。
【0047】アルカリ金属水素化物としては水素化リチ
ウム、水素化ナトリウムおよび水素化カリウム等が挙げ
られ、経済的に安価である等の点から、水素化ナトリウ
ムが特に好ましい。市販のアルカリ金属水素化物は通
常、油性であるので、n−ヘキサン等で洗浄精製乾燥し
た後、有機溶媒に懸濁したものを用いるのがよい。
【0048】アルカリ金属水素化物の使用量は、出発原
料化合物1モルを基準として1モルである。1モル未満
では反応生成物の収率低下を招く。1モルを超えると過
剰のアルカリ金属水素化物が出発原料化合物の3位の不
斉炭素原子に結合した水酸基とも反応し、副生成物が増
大し、最終的に原料化合物の収率を低下される他、精製
操作が煩雑になる。
【0049】有機溶媒としては特に限定されるものでは
なく、例えばジエチルエーテル、n−ヘキサン、トルエ
ンおよびTHF等が挙げられ、特に好ましくはジエチル
エーテルである。
【0050】上記有機溶媒は、出発化合物1モルを基準
として、3〜8リットルが好ましく、特に好ましくは5
〜6リットルである。3リットル未満では反応熱の上昇
により水素の発生速度が増大して危険となる場合があ
り、8リットルを超えると経済的とはいえなくなる。
【0051】上記反応はアルカリ性で行なうことが好ま
しく、アルカリ金属水素化物の有機溶媒懸濁液中に、出
発原料化合物の有機溶媒溶液を滴下することが好まし
い。逆の滴下を行うと、アルカリ金属水素化物が出発原
料化合物の3位の不斉炭素原子に結合した水素基とも反
応し、反応生成物の収率の低下を招く恐れがあるために
好ましくない。有機溶媒の使用比率はアルカリ金属水素
化物/出発原料化合物=1/9の容量比に按分するのが
好ましい。
【0052】出発原料化合物の反応系への供給速度は、
出発原料化合物1モルを30〜60分程度かけて滴下す
るのが好ましい。30分未満では水素の発生速度が増大
して危険を伴う恐れがあり、60分を超えると経済的と
はいえない。
【0053】上記の反応は−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃付近である。−10℃未満では
経済的とはいえず、10℃を超えると水素の発生速度が
増大し、危険を伴う恐れがある。
【0054】出発原料化合物の滴下完了後、撹拌しなが
ら、室温迄昇温し、引きつづき60分間程度撹拌保持し
て、反応を完結させ、反応生成物を得る。
【0055】(原第二段反応)原第一段反応で得られた
反応生成物1モルと、原第一段反応に用いた出発原料化
合物1モルを基準として、1モルの4−ベンジルオキシ
ベンゾイルクロリドを有機溶媒中で反応させることによ
り、原料化合物を生成させる。
【0056】有機溶媒は前述の反応で用いた有機溶媒が
使用できる。従って前述の反応により得られた反応生成
物溶液に、4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドの有
機溶媒溶液を直接加えることにより、反応を行うことが
出来る。
【0057】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドの
反応系への供給割合は、原第一段反応に用いた出発原料
化合物1モルを基準として1モルである。1モル未満で
は原料化合物の収率の低下を招き、1モルを超えると、
反応生成物におけるアルカリ金属が結合していない水酸
基とも反応し、副生物が増大し、原料化合物の精製操作
が煩雑になる。
【0058】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドは
有機溶媒に溶解して反応系へ供給するのが好ましい。有
機溶媒の好適な混合割合は4−ベンジルオキシベンゾイ
ルクロリド1モルに対して1〜4リットルが好ましく、
特に好ましくは2〜3リットルである。1リットル未満
では4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドが溶解しに
くくなる恐れがあり、4リットルを超えると経済的とは
いえない。
【0059】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリドの
反応系への供給速度は、原第一段反応に用いた出発原料
化合物1モルを基準として、1〜2時間が好ましい。1
時間未満では反応温度の制御が困難となる場合があり、
2時間を超えると経済的とはいえなくなる。
【0060】この反応温度は−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃付近である。−10℃未満では
経済的とはいえず、10℃を超えると反応温度の制御が
困難となる恐れがある。
【0061】4−ベンジルオキシベンゾイルクロリド溶
液の滴下完了後、更に常温付近で150分間程度撹拌保
持することにより、反応を完結させるとよい。
【0062】反応終了後、反応液を氷水に入れ、1規定
塩酸等でpHを5〜6程度に調整した後、エーテルを加
えて生成物を抽出し、続いて抽出液を0.5規定炭酸水
素ナトリウム水溶液および水で順次洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムを加えて水分を除去した後、溶媒を減圧留去
することにより、淡黄色のシロップ状の生成物を得るこ
とが出来る。
【0063】なお上記で述べた出発原料化合物とアルカ
リ金属水素化物、あるいはこれらの化合物の反応から得
られた付加反応生成物と4−ベンジルオキシベンゾイル
クロリドの、各反応モル比は、厳密な意味での等モルで
ある必要はなく、数%程度の増減は許容される。
【0064】得られた生成物は、下記に述べる通り、原
料化合物であるanti体(1S,2S)型2−ヒドロ
キシ=ベンジルオキシベンゾアートおよびsyn体(1
S,2R)型2−ヒドロキシ=4−ベンジルオキシベン
ゾアートからなるジアステレオマー混合物であることが
確認される。
【0065】後記参考例3および同定例2により明らか
なように、上記生成物を19FNMRスペクトルで分析す
ることにより、anti体(1S,2S)型およびsy
n体(1S,2R)型からなるジアステレオマー混合物
であることを示す2つのピークが得られ、また、上記生
成物を酸で加水分解することにより得た1,1,1−ト
リフルオロアルカン−2,3−ジオールの光学異性体分
離用カラムを有するガスクロマトグラフイーにかけた結
果によれば、2つの光学活性なピークが得られることか
ら、上記生成物が、光学活性なジアステレオマー混合
物、すなわちanti体(1S,2S)型2−ヒドロキ
シ=ベンジルオキシベンゾアートおよびsyn体(1
S,2R)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物であることが確認
される。
【0066】また、後記同定例2において明らかにする
とおり、anti体(1S,2S)型/syn体(1
S,2R)型の生成比率が既知であるジアステレオマー
混合物である出発原料化合物の、2位の不斉炭素原子に
結合した水酸基を4−ベンジルオキシベンゾイルオキシ
基に置換しても、反応前後の光学活性なanti体/s
yn体の生成比率は変化しない。すなわち、上記生成物
におけるanti体(1S,2S)型/syn体(1
S,2R)型の生成比率は、出発原料化合物におけるa
nti体(2S,3S)型/syn体(2S,3R)型
の生成比率と変わることがない。
【0067】従って、この製造方法(原料化合物反応)
によれば、上記生成物を19FNMRスペクトルで分析し
て得られた2つのピークのうち、出発原料化合物のan
ti体(2S,3S)型の面積比と一致する方が、an
ti体(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキ
シベンゾアートであり、出発原料化合物のsyn体(2
S,3R)型の面積比と一致する方が、syn体(1
S,2R)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベンゾア
ートであり、また、上記各ピークの面積比から、上記生
成物におけるanti体(1S,2S)型/syn体
(1S,2R)型の生成比率を確認することが出来る。
【0068】また、上記の製造方法によれば、anti
体(1S,2S)型2−ヒドロキシ=ベンジルオキシベ
ンゾアート/syn体(1S,2R)型2−ヒドロキシ
=ベンジルオキシベンゾアート=88〜56/12〜4
4(面積比)からなるジアステレオマー混合物である原
料化合物が得られる。
【0069】〔本発明化合物(1):anti体(1
S,2S)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアートお
よび本発明化合物(2):syn体(1S,2R)型2
−エトキシ=ヒドロキシベンゾアートの各化合物の製
造)本発明化合物(1)または本発明化合物(2)は、
式(6)に示されるように、有機溶媒中で、原料化合物
とアルカリ金属水素化物を反応させ、次いで該反応生成
物と臭化エチルを反応させてO−エチル化誘導体を得
(第一段反応)、次いで式(7)に示されるように、該
O−エチル化誘導体を溶媒中で、パラジウム/チャコー
ル触媒の存在下、水素を用いて還元して本発明化合物
(1)および本発明化合物(2)からなるジアステレオ
マー混合物を得(第二段反応)、次いで式(8)で示さ
れるように、該ジアステレオマー混合物を分離すること
により本発明化合物(1)と本発明化合物(2)を各々
取得する(分離工程)。
【0070】
【化9】
【0071】
【化10】
【0072】
【化11】
【0073】以下、各反応につき更に詳細に説明する。
【0074】(第一段反応)第一段反応は、原料化合物
の2位の不斉炭素原子に結合した水酸基がアルカリ金属
と反応して反応生成物を生成し、次いで該反応生成物の
アルカリ金属と臭化エチルの臭素を反応させO−エチル
化誘導体を得ることを目的とする。
【0075】原料化合物としては、本発明化合物(1)
を優位に製造する場合は、原料化合物反応により製造さ
れたものを用いるのが好ましい。原料化合物反応によれ
ば、前述したとおり、anti体(1S,2S)型/s
yn体(1S,2R)型=88〜56/12〜44(面
積比)のanti体(1S,2S)型に富んだジアステ
レオマー混合物である原料化合物が得られる。
【0076】また、本発明化合物(1)を特に高収率で
得たい場合は、金属水素化物の種類として水素化アルミ
ニウムリチウムにより製造された原料化合物を用いるの
が最適である。
【0077】なお、後述するように、本発明の製造方法
において、本発明化合物(1)〔anti体(1S,2
S)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアート〕/本発
明化合物(2)〔syn体(1S,2R)型2−エトキ
シ=ヒドロキシベンゾアート〕の生成比率は、原料化合
物のanti体(1S,2S)型/syn体(1S,2
R)型の生成比率と変わることがない。
【0078】アルカリ金属水素化物としては水素化リチ
ウム、水素化ナトリウムおよび水素化カリウム等が挙げ
られ、経済的に安価である等の点から、水素化ナトリウ
ムが特に好ましい。市販のアルカリ金属水素化物は通
常、油性であるので、n−ヘキサン等で洗浄精製乾燥し
た後、有機溶媒に懸濁したものを用いるのがよい。
【0079】アルカリ金属水素化物は、原料化合物1モ
ルを基準として1.0〜1.4モルが好ましく、特に好
ましくは、1.1〜1.3モルである。1.0モル未満
では反応生成物の収率の低下を招き、1.4モルを超え
ると経済的とはいえない。
【0080】有機溶媒としては特に限定されるものでは
なく、例えばジエチルエーテル、n−ヘキサン、トルエ
ンおよびTHF等が挙げられ、特に好ましくはジエチル
エーテルである。
【0081】上記有機溶媒は、原料化合物1モルを基準
として2〜8リットルが好ましく、特に好ましくは4〜
6リットルである。2リットル未満では水素の発生速度
が増大して危険となる場合があり、8リットルを超える
と経済的とはいえない。
【0082】上記反応は、アルカリ金属水素化物の有機
溶媒懸濁液中に、原料化合物の有機溶媒溶液を滴下する
のが好ましい。逆の滴下を行うと、原料化合物のカルボ
キシル基が加水分解され、反応生成物の収率の低下につ
ながる恐れがある。有機溶媒の使用比率はアルカリ金属
水素化物/原料化合物=1/9の容量比に按分するのが
好ましい。
【0083】原料化合物の反応系への供給速度は、原料
化合物1モルを30〜90分程度かけて滴下するのが好
ましい。30分未満では水素の発生速度が増大して危険
を伴う恐れがあり、90分を超えると経済的とはいえな
い。
【0084】上記の反応は、−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃付近である。−10℃未満では
経済的とはいえず、10℃を超えると水素の発生速度が
増大して危険を伴う恐れがある。
【0085】原料化合物の滴下完了後、攪拌しながら、
室温迄昇温し、引きつづき1時間程度攪拌保持して反応
を完結させ、反応生成物を得る。
【0086】次いで、該反応生成物と臭化エチルを反応
させO−エチル化誘導体を得る。臭化エチルは、原料化
合物1モルを基準にして、1.1〜1.5モルが好まし
く、特に好ましくは1.2〜1.4モルである。1.1
モル未満ではO−エチル化誘導体の収率の低下を招き、
1.5モルを超えると経済的とはいえない。
【0087】反応は、臭化エチルの有機溶媒溶液を、反
応生成物溶液に滴下するのが好ましい。有機溶媒の好適
な混合割合は臭化エチル1モルに対して0.5リットル
〜2リットルが好ましく、特に好ましくは1リットル〜
1.5リットルである。0.5リットル未満では反応熱
の除去が困難となる場合があり、2リットルを超えると
経済的とはいえなくなる。
【0088】臭化エチルの反応系への供給速度は、原料
化合物1モルを基準として1〜2時間が好ましい。1時
間未満では反応温度の制御が困難となる恐れがあり、2
時間を超えると経済的とはいえない。
【0089】この反応温度は−10℃〜10℃が好まし
く、特に好ましくは0℃付近である。−10℃未満では
経済的とはいえず、10℃を超えると反応温度の制御が
困難となる恐れがある。
【0090】臭化エチルの有機溶媒溶液の滴下完了後、
更に室温まで昇温し、室温で2時間程度攪拌保持するこ
とにより反応を完結させるとよい。
【0091】反応終了後、上記のようにして得たO−エ
チル化誘導体を精製するのが好適である。精製方法とし
ては、O−エチル化誘導体含有している反応液を、攪拌
されている水中に滴下した後、例えば2%炭酸水素ナト
リウム水溶液等でPH8に調整し、エーテル等の有機溶
媒で抽出し、抽出液を水で洗浄した後、無水硫酸マグネ
シウムにて水分を除去し、該有機溶媒を減圧留去し、得
られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
にて精製し、淡黄色のシロップ状のO−エチル化誘導体
を得る。
【0092】(第二段反応)第二段反応は、前述の式
(7)に示されるように、第一段反応で得られたO−エ
チル化誘導体を、溶媒中で、パラジウム/チャコール触
媒の存在下、水素を用いて還元して本発明化合物(1)
および本発明化合物(2)からなるジアステレオマー混
合物を得る。
【0093】この反応は、第一段反応で得られたO−エ
チル化誘導体のベンジルオキシ基が水素により還元され
て脱トルエンし、ヒドロキシル基となり、本発明化合物
(1)および本発明化合物(2)からなるジアステレオ
マー混合物を生成することを目的とする。
【0094】溶媒としては、例えばメタノール、エタノ
ール、水、ジエチルエーテル、n−ヘキサンおよびTH
F等が挙げられ、特に好ましくはメタノールである。
【0095】上記溶媒は、O−エチル化誘導体1モルを
基準として2〜12リットルが好ましく、特に好ましく
は6〜8リットルである。2リットル未満では反応系の
粘性が増し、パラジウム/チャコール触媒が均一に分散
されにくく、収率の低下を招く恐れがある。また12リ
ットルを超えると反応速度が遅くなり、経済的とはいえ
ない。
【0096】パラジウム/チャコール触媒は、例えばパ
ラジウム含有量1%、3%、5%または10%のパラジ
ウム/チャコール触媒が挙げられ、それらの中でも安価
であることから10%パラジウム/チャコール触媒が好
適である。
【0097】パラジウム/チャコール触媒の反応系への
供給割合は、O−エチル化誘導体1モルを基準として、
2g〜7g(パラジウム純度換算、以下同じ)が好まし
く、特に好ましくは4g〜5gである。2g未満では、
還元能力の不足により還元時間が長くなりすぎ、収率の
低下を招く恐れがあり、また7gを超えると経済的とは
いえない。
【0098】反応方式は、例えば密閉式の反応容器に、
O−エチル化誘導体と溶媒を加えて均一な溶液を調合
し、次いで攪拌しながら、パラジウム/チャコール触媒
を入れ、出来るだけ均一に分散された懸濁液を調整す
る。次いで1.05〜1.15気圧程度の水素ガス等で
反応系をシールする。
【0099】還元時間は水素ガスの吸収がなくなるま
で、例えばO−エチル化誘導体1モルを基準として、水
素ガスを10〜14時間程度供給するのが好ましい。1
0時間未満では還元が不足し、収率の低下を招く恐れが
あり、14時間を超えると経済的とはいえない。
【0100】還元反応温度は15℃〜30℃が好まし
い。15℃未満では還元速度が遅く、経済的とはいえ
ず、30℃を超えると水素ガスの使用量が多くなり、収
率の低下を招く恐れがある。
【0101】反応終了後、例えば濾過によりパラジウム
/チャコール触媒を除去し、濾液を減圧濃縮し、次いで
真空ポンプ等で生成する溶媒を除去して得た粗生成物
を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等で精製し
て、無色透明な生成物を得ることが出来る。
【0102】得られた生成物は、下記に述べる通り、本
発明化合物(1)〔anti体(1S,2S)型2−エ
トキシ=ヒドロキシベンゾアート〕および本発明化合物
(2)〔syn体(1S,2R)型2−エトキシ=ヒド
ロキシベンゾアート〕からなるジアステレオマー混合物
であることが確認される。
【0103】後記実施例1により明らかなように、上記
反応で得られた生成物を19FNMRスペクトルで分析す
ることにより、anti体(1S,2S)型およびsy
n体(1S,2R)型からなるジアステレオマー混合物
であることを示す2つのピークが得られ、また、光学活
性な液体クロマトグラフィーで測定した結果によれば、
2つの光学活性なピークが得られることから、第二段反
応で得られた生成物が光学活性なジアステレオマー混合
物、すなわち本発明化合物(1)および本発明化合物
(2)からなるジアステレオマー混合物であることが確
認される。
【0104】また、上記の製造方法によれば、後記同定
例3において明らかにするとおり、anti体(1S,
2S)型/syn体(1S,2R)型の生成比率が既知
のジアステレオマー混合物である原料化合物の、2位の
不斉炭素原子に結合した水酸基をエトキシ基に置換した
場合、反応前後の光学活性なanti体/syn体の生
成比率は変化しない。すなわち、第二段反応の生成物に
おけるanti体(1S,2S)型/syn体(1S,
2R)型の生成比率は、原料化合物におけるanti体
(2S,3S)型/syn体(2S,3R)型の生成比
率と変わることがない。
【0105】従って、第二段反応で得られた生成物を19
FNMRスペクトルで分析して得られた2つのピークの
うち、原料化合物のanti体(1S,2S)型の面積
比と一致する方が、本発明化合物(1)〔anti体
(1S,2S)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアー
ト〕であり、原料化合物のsyn体(1S,2R)型の
面積比と一致する方が、本発明化合物(2)〔syn体
(1S,2R)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアー
ト〕であり、また、上記各ピークの面積比から、本発明
化合物(1)および本発明化合物(2)からなるジアス
テレオマー混合物におけるanti体(1S,2S)型
/syn体(1S,2R)型の生成比率を確認すること
が出来る。
【0106】また、上記の製造方法によれば、anti
体(1S,2S)型〔本発明化合物(1)〕/syn体
(1S,2R)型〔本発明化合物(2)〕=88〜56
/12〜44(面積比)からなるジアステレオマー混合
物が得られる。
【0107】(分離工程)次いで、第二段反応で得られ
た本発明化合物(1)および本発明化合物(2)からな
るジアステレオマー混合物を、該混合物に採用されてい
る通常の分離手段、例えば液体クロマトグラフィーまた
は精留等によって分離することにより、本発明化合物
(1)または本発明化合物(2)の各目的生成物を取得
する。
【0108】すなわち、第二段反応で得られた本発明化
合物(1)および本発明化合物(2)からなるジアステ
レオマー混合物を、通常の条件、例えばシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにかけることにより、2つのピー
クが確認され、これらのピークのうち、原料化合物のa
nti体(1S,2S)型の面積比と一致する方のピー
クであるフラクションとして本発明化合物(1)〔an
ti体(1S,2S)型2−エトキシ=ヒドロキシベン
ゾアート〕を、また原料化合物のsyn体(1S,2
R)型の面積比と一致する方のピークであるフラクショ
ンとして本発明化合物(2)〔syn体(1S,2R)
型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアート〕を各々分取
し、溶媒を留去することにより、無色透明な液状の本発
明化合物(1)または無色透明な液状の本発明化合物
(2)を取得することが出来る。
【0109】
【実施例】以下参考例および実施例に基づいて、本発明
を具体的に説明する。 (参考例1)〔(S)−体ケトン:(S)−1−ヒドロ
キシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシル
ケトンの製造〕 還流冷却器、温度計、撹拌機、ロートを備えた四ツ口丸
底フラスコに、立体配置既知の(S)−トリフルオロ乳
酸(光学純度99.5%e.e)〔日本化学会誌、19
89(9)P1576〜1586、久保田等著「含トリ
フルオロメチル化合物構成試薬としてのα−アルコキシ
−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンの合成
と反応」の文献記載の方法により合成したもの〕より誘
導された(S)−トリフルオロ乳酸エチルエステル5
1.6g(300ミリモル)とエーテル1500mlを
入れ、ドライアイスアセトンバス中に浸漬し、撹拌しな
がら−78℃に冷却した。
【0110】この溶液を撹拌しながら、n−ヘキシルマ
グネシウム=ブロミド113.4g(600ミリモル)
のエーテル溶液1,500mlを滴下ロートから、反応
温度−50℃以下で180分間かけて滴下した。滴下完
了後、−78℃で2時間撹拌保持した後、ドライアイス
アセトンバスを取り去り、撹拌しながら60分間かけ
て、室温まで昇温した。
【0111】次いで、上述で得られた反応液に2規定塩
酸水溶液600mlを室温で50分間かけて滴下し、滴
下完了後30分間撹拌した。得られた反応液をエーテル
で抽出し、抽出液に無水硫酸マグネシウムを加えて水分
を除去した後、エーテルを減圧留去し、シロップ状の粗
生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔溶離液
n−ヘキサン/イソプロパノール=90/10(容量
比)〕で精製し、無色透明な液状の生成物〔収量38.
2g(180ミリモル)収率60%〕を得た。
【0112】この生成物の 1HNMRスペクトル、19
NMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMSスペ
クトルを測定した結果は次の通りであり、1−ヒドロキ
シ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキシルケ
トンであることが確認された。
【0113】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.5〜2.05ppm (11H,m) :2.20〜2.95ppm (2H,m) :3.45ppm (1H,m) :3.72〜4.50ppm (1H,b)19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) :−2.17ppm IR吸収スペクトル(neat) :1,730cm-1 (CO) :3,510cm-1 (OH) MSスペクトル :m/z 212 (M+
【0114】また、 1HNMRスペクトル図およびIR
吸収スペクトル図を、それぞれ図1および図2に示す。
【0115】また、この生成物を次の条件下で、光学活
性な液体クロマトグラフィーにかけた。 ・光学異性体分離カラム〔商品名:アミロース系光学異
性体分離用HPLCカラム;ダイセル化学工業(株)
製〕 :分離剤…アミロース・トリス〔(S)−1−フェニル
エチルカルバメートをシリカゲルでコーティングしたも
の(商品名 CHIRALPAK AS)〕 :サイズ4.6mmφ×250mmH ・溶離液 :n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=
96/4(容量比) ・流速 :0.5ml/min ・カラム温度 :常温 ・検出 :紫外検出器で波長254nmの紫外吸収を用い
た。 ・試料 :0.1mg
【0116】上記光学活性な液体クロマトグラフィーの
チャートは図3の通りであり、1本の光学活性なピーク
が得られ、その保持時間は以下の通りであった。保持時
間:10.69分
【0117】次いで上記生成物の比施光度〔α〕25 D
よび光学純度を求めたところ以下の通りであった。 比施光度〔α〕25 D :−9.50(c=3.47、メタ
ノール) 光学純度:99.5%ee
【0118】以上の結果より、生成物は(S)−1−ヒ
ドロキシ−2,2,2−トリフルオロエチル n−ヘキ
シルケトンであることが確認された。
【0119】(参考例2)〔出発原料化合物:anti
−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン−
2,3−ジオールおよびsyn−(2S,3R)−1,
1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールからな
るジアステレオマー混合物の製造〕 (金属水素化物:水素化アルミニウムリチウム)還流冷
却器、温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた四ツ口丸底
フラスコに、水素化アルミニウムリチウム3.6g(9
5ミリモル)とジエチルエーテル200mlを入れ、氷
水バス中に挿入し、0℃の水素化アルミニウムリチウム
懸濁液を調合した。
【0120】次いで、滴下ロートに参考例1で得た
(S)−1−ヒドロキシ−2,2,2−トリフルオロエ
チル n−ヘキシルケトン38.2g(180ミリモ
ル)とジエチルエーテル90mlとの均一な溶液を入
れ、撹拌しながら40分間で滴下した。滴下完了後、氷
水バスを取り去り、撹拌しながら、室温まで昇温し、室
温で6時間撹拌保持し、反応を完結させた。
【0121】次いで、反応液を再度氷水バスで0℃に冷
却し、撹拌しながら、1規定塩酸450mlを5分間か
けて滴下し、0℃で撹拌しながら30分間保持した。次
いで氷水バスを取り去り、撹拌しながら、室温まで昇温
した後、反応液にジエチルエーテルを加えて生成物を抽
出し、抽出液に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水後、
減圧濃縮し、無色透明な液状の生成物〔37.8g(1
76ミリモル)収率98%〕を得た。
【0122】得られた生成物の 1HNMRスペクトル、
19FNMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMS
スペクトルを測定した結果は次の通りであり、1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールであること
が確認された。1 HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.65〜2.16ppm (13H,m) :2.90〜3.60ppm (2H,m) :3.60〜4.24ppm (2H,m)19 FNMRスペクトル(from ext. CF3 COOH) :−0.40ppm 面積比 12%〔syn体(2
S,3R)型*1〕 :−1.85ppm 面積比 88%〔anti体(2
S,3S)型*1〕 (*1 後記同定例1により確認) IR吸収スペクトル(neat) :3,400cm-1(OH) MSスペクトル :m/Z 214(M+
【0123】また 1HNMRスペクトル図、およびIR
吸収スペクトル図をそれぞれ図4および図5に示す。
【0124】上記で得た生成物を下記条件で光学異性体
分離用カラムを有するガスクロマトグラフィーにかけ
た。 カラム :商品名シクロデックスβ236M(クロム
パック社製) 内径0.25mmφ,長さ25m シリカキャピラリーカラム カラム温度:80℃×10分保持した後、昇温速度4℃
/minで、200℃まで昇温 キャリアーガス:ヘリウム :流速 ガス流量70ml/min :スプリット比100/1 検出 :FID
【0125】上記ガスクロマトグラフィーのチャートは
図6の通りである。
【0126】第1ピーク 〔syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*1〕 ・保持時間:37.0分 ・面積比 :12% 第2ピーク 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*1〕 ・保持時間:38.5分 ・面積比 :88% (*1 後記同定例1により確認)
【0127】図6の解析結果より、光学活性な2本のピ
ークが検出され、第1ピークおよび第2ピークの保持時
間に間隔が有り、また第1ピーク/第2ピーク=12/
88(面積比)であることを確認した。
【0128】従って得られた生成物は、(S)−体ケト
ンを用いて、ジアステレオ面区別還元して得たジオール
誘導体であること、上記の結果および後記の同定例1よ
り、anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフル
オロノナン−2,3−ジオールおよびsyn−(2S,
3R)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジ
オールからなるジアステレオマー混合物であり、その生
成比率はanti体(2S,3S)型/syn体(2
S,3R)型=88/12(面積比)であることが判明
した。
【0129】(同定例1)参考例2で得た生成物〔8.
56g(40ミリモル)〕をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶離液n−ヘキサン)にかけ、第1フラク
ションと第2フラクションを分取し、溶媒を留去して次
の通り第1フラクションと第2フラクションを得た。
【0130】第1フラクション 〔syn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオール*2〕 ・収得量 :0.93g(4.36ミリモル) ・収得率 :10.9% 第2フラクション 〔anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオール*2〕 ・収得量 :6.85g(32ミリモル) ・収得率 :80% (*2 本同定例により確認)
【0131】還流冷却器、温度計、攪拌機および滴下ロ
ートを備えた四つ口丸底フラスコに、上記第1フラクシ
ョンまたは第2フラクションの各生成物4ミリモルと、
2,2−ジメトキシプロパン4mgおよびパラトルエン
スルホン酸0.1gを加えて、90℃で5時間還流し、
アセタール交換反応を行い、反応終了後、各反応生成物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液n−ヘ
キサン)を用いて分取し、82℃で蒸留し、留分を濃縮
して、いずれも無色透明な液状の誘導生成物を得た。
【0132】これらの各誘導生成物の60MHzの 1
NMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMSスペ
クトルを測定した結果は次の通りであり、いずれも2,
2−ジメチル−4−n−ヘキシル−5−トリフルオロメ
チル−1,3−ジオキソラン(以下、1,3−ジオキソ
ラン誘導体という)であることが確認された。
【0133】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.80〜2.00ppm (13H,m) :2.80〜4.30ppm (2H,m) IR吸収スペクトル(neat) :1,090cm-1 (COC) :2,940cm-1 (CH) MSスペクトル :m/Z 254 (M+
【0134】また 1HNMRスペクトル図、IR吸収ス
ペクトル図をそれぞれ図7および図8に示す。
【0135】更に、上記各1,3−ジオキソラン誘導体
19FNMRスペクトルで測定した結果は、次の通りで
あった。19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) 第1フラクションから誘導された1,3−ジオキソラン
誘導体 :−0.27ppm〔syn体(2S,3R)型*2〕 第2フラクションから誘導された1,3−ジオキソラン
誘導体 :−3.50ppm〔anti体(2S,3S)型*2〕 (*2 本同定例により確認)
【0136】また、上記の各1,3−ジオキソラン誘導
体の270MHzの 1HNMRスペクトルを求めた結果
は表1の通りであり、メチル基とメチンプロトンの位置
から、第1フラクションから誘導された生成物は、tr
ans−2,2−ジメチル−4−n−ヘキシル−5−ト
リフルオロメチル−1,3−ジオキソランであり、第2
フラクションから誘導された生成物は、cis−2,2
−ジメチル−4−n−ヘキシル−5−トリフルオロメチ
ル−1,3−ジオキソランであることが確認された。
【0137】
【表1】
【0138】上記の結果より、前述の第1フラクション
はsyn−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオールであり、第2フラクションは
anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオールであることが確認された。
【0139】また、それらのフラクションの収得比率は
第1フラクション/第2フラクション=10.9/80
(%)〔12/88(収得比)〕であり、それが参考例
2で得た光学異性体分離用カラムを有するガスクロマト
グラフィーで検出した第1ピークと第2ピークの各ピー
クの面積比と一致したことより、参考例2で得た光学異
性体分離用カラムを有するガスクロマトグラフィーで検
出した第1ピークはsyn−(2S,3R)−1,1,
1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールで、第2ピ
ークはanti−(2S,3S)−1,1,1−トリフ
ルオロノナン−2,3−ジオールであり、その生成比率
はanti体(2S,3S)型/syn体(2S,3
R)型=88/12(面積比)であることが判明した。
従って、参考例2で得られた生成物は、anti−(2
S,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン−2,3
−ジオールおよびsyn−(2S,3R)−1,1,1
−トリフルオロノナン−2,3−ジオールのジアステレ
オマー混合物であり、その生成比率はanti体(2
S,3S)型/syn体(2S,3R)型=88/12
(面積比)であることが確認された。
【0140】〔参考例3〕〔原料化合物:anti−
(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよび
syn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアー
トからなるジアステレオマー混合物の製造〕 (原第一段反応)温度計、攪拌機、還流冷却器および滴
下ロートを備えた四つ口丸底フラスコにn−ヘキサンで
洗浄精製乾燥した水素化ナトリウム3.6g(150ミ
リモル)とジエチルエーテル80mlを入れ、該フラス
コを氷水バス中に挿入し、攪拌しながら、0℃の懸濁液
を調合した。
【0141】次いで滴下ロートに参考例2で得たant
i−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロノナン
−2,3−ジオールおよびsyn−(2S,3R)−
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールの
ジアステレオマー混合物〔anti体(2S,3S)型
/syn体(2S,3R)型=88/12(面積比)〕
32.1g(150ミリモル)とジエチルエーテル72
0mlを入れ、均一な溶液とし、攪拌しながら、18分
間かけて滴下した。滴下完了後、氷水バスを取り去り、
攪拌しながら25℃迄昇温し、引きつづき25℃で60
分間攪拌保持し、反応を完結させた。
【0142】(原第二段反応)次いで上記フラスコを再
度、氷水バス中に挿入し、0℃に保持した。滴下ロート
に4−ベンジルオキシベンゾイルクロリド37g(15
0ミリモル)とジエチルエーテル360mlを、攪拌し
ながら、35分間かけて滴下した。滴下完了後、氷水バ
スを取り去り、攪拌しながら、25℃迄昇温させ、引き
つづき25℃で150分間攪拌保持して、反応を完結さ
せた。
【0143】反応終了後、反応液を氷水中に入れ、1規
定塩酸によりpHを5〜6に調整した。次いでエーテル
抽出し、得られた抽出液を0.5規定炭酸水素ナトリウ
ム水溶液および水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシ
ウムを加えて水分を除去し、減圧濃縮により溶媒を留去
し、淡黄色のシロップ状の生成物〔収量50.9g(1
20ミリモル)、収率80%〕を得た。
【0144】この生成物の 1HNMRスペクトル、IR
吸収スペクトルおよびMSスペクトルを測定した結果は
次の通りであり、2−ヒドロキシ−1−トリフルオロメ
チルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートである
ことが確認された。
【0145】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.45〜1.92ppm (13H、m) :2.83〜3.20ppm (1H、m) :3.84〜4.21ppm (1H、m) :4.21〜4.64ppm (OH、b) :4.76〜4.93ppm (2H、m) :6.64〜7.83ppm (10H、m) IR吸収スペクトル(neat) :1,110cm-1(COC) :1,760cm-1(CO) :3,450cm-1(OH) MSスペクトル m/Z 424(M+
【0146】1HNMRスペクトル図およびIR吸収ス
ペクトル図を、それぞれ図9および図10に示す。
【0147】また、この生成物の19FNMRスペクトル
を測定した結果は次の通りであった。19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) :−1.33ppm 面積比 12%〔syn体(1
S,2R)型*3〕 :−3.50ppm 面積比 88%〔anti体(1
S,2S)型*3〕 (*3 後記同定例2により確認)
【0148】この生成物は後記同定例2より、anti
−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロ
メチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートおよ
びsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物であり、その生成
比率はanti体(1S,2S)型/syn体(1S,
2R)型=88/12(面積比)であることが判明し
た。
【0149】〔同定例2〕参考例3で得られた生成物を
用いて以下の同定を行った。すなわちまず、該生成物を
酸で加水分解することにより、1,1,1−トリフルオ
ロノナン−2,3−ジオールを生成した。具体的には、
還流冷却器、温度計、撹拌機、ロートを備えた四ツ口丸
底フラスコに、実施例1で得た目的生成物4.24g
(10ミリモル)と3規定塩酸50mlとメタノール2
00mlを加えて、撹拌しながら、80℃の温度まで昇
温し、80℃で6時間還流して、加水分解反応を行っ
た。
【0150】反応終了後、室温まで冷却した後、エーテ
ルで抽出し、得られた抽出液を20%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液20mlで洗浄し、次いで水200mlで洗浄
したのち、無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去
し、粒状活性炭0.02gを入れ30分間攪拌した後、
濾過して得たろ液より溶媒を減圧留去して、無色透明な
液状の生成物〔収量1.71g(8ミリモル)収率80
%〕を得た。
【0151】得られた生成物の 1HNMRスペクトル、
19FNMRスペクトル、IR吸収スペクトルおよびMS
スペクトルを測定した結果は参考例2と同じであり、
1,1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールで
あることが確認された。
【0152】次いでこの生成物を、参考例2と同様にし
て光学異性体分離用カラムを有するガスクロマトグラフ
ィーにより分析した結果、図6と同様なチャートが得ら
れた。すなわち、第1ピークおよび第2ピークの各保持
時間および面積比が、参考例2の結果と一致した。すな
わち、この生成物はanti−(2S,3S)−1,
1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオール/sy
n−(2S,3R)−1,1,1−トリフルオロノナン
−2,3−ジオール=88/12(面積比)からなるジ
アステレオマー混合物である。
【0153】ところで出発原料化合物〔anti体(2
S,3S)型/syn体(2S,3R)型=88/12
(面積比)〕の2位の不斉炭素原子に結合した水酸基
を、4−ベンジルオキシベンゾイルオキシ基に置換した
場合、仮に、2位の不斉炭素原子上で100%のラセミ
化を起こせば、生成物であるジアステレオマー混合物
は、anti体(2S,3S)型/syn体(2S,3
R)型=50/50の生成比率となる。
【0154】また、各反応のいずれかにおいて2位の不
斉炭素原子上で不斉中心がわずかでもラセミ化を起こせ
ば、それに対応して、anti体(2S,3S)型/s
yn体(2S,3R)型=50/50の生成比率に近づ
く。
【0155】しかしながら、前述したように、参考例3
で得られた生成物を加水分解して得た生成物が、出発原
料化合物と同一のanti体(2S,3S)型ジオール
およびsyn体(2S,3R)型ジオールからなるジア
ステレオマー混合物であり、かつanti体(2S,3
S)型/syn体(2S,3R)型の面積比と一致する
事と、上記の考察から、出発原料化合物の2位の不斉炭
素原子に結合した水酸基の4−ベンジルオキシベンゾイ
ルオキシ基による置換では、2位の不斉炭素原子の不斉
中心のラセミ化は起こらないことが確認された。
【0156】従って、参考例3で得られた生成物はan
ti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフル
オロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアート
およびsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−
トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベン
ゾアートからなるジアステレオマー混合物であり、an
ti体(1S,2S)型/syn体(1S,2R)型=
88/12(面積比)であることが確認された。
【0157】また、参考例3で得られた生成物の19FN
MRスペクトルの第1ピーク(−1.33ppm)と第
2ピーク(−3.50ppm)の面積比は12/88で
あり、この比が、上記で明らかとなった該生成物のsy
n体(1S,2R)型/anti体(1S,2S)型の
面積比と一致したことより、上記生成物を、19FNMR
スペクトルで分析することにより得られる2本のピーク
のうち、出発原料化合物のsyn体(2S,3R)型の
面積比と一致するピーク(−1.33ppm)はsyn
−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオロ
メチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアートであ
り、また出発原料化合物のanti体(2S,3S)型
の面積比と一致するピーク(−3.50ppm)はan
ti体−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアー
トであること、また、上記各ピークの面積比から、上記
生成物のanti体(1S,2S)型およびsyn体
(1S,2R)型の生成比率を確認出来ることが明確と
なった。
【0158】(実施例1)〔本発明化合物(1):an
ti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−トリフルオ
ロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート、およ
び本発明化合物(2):syn−(1S,2R)−2−
エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ヒド
ロキシベンゾアートの各化合物の製造〕 (第一段反応)ドライアイスコンデンサー、温度計、攪
拌機、ロートを備えた四ツ口丸底フラスコに、n−ヘキ
サンで洗浄精製乾燥した水素化ナトリウム2.88g
(120ミリモル)とジエチルエーテル60mlを入
れ、該フラスコを氷水バス中に挿入し、攪拌しながら、
0℃の均一に分散した懸濁液を調合した。
【0159】次いで滴下ロートに参考例3で得たant
i−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフルオ
ロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアート/
syn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアー
ト=88/12(面積比)からなるジアステレオマー混
合物42.4g(100ミリモル)とジエチルエーテル
540mlを入れ、均一な溶液とし、攪拌しながら19
分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水バスを取り去
り、攪拌しながら室温まで昇温し、室温で1時間攪拌保
持して、反応を完結させ、反応生成物溶液を得た。
【0160】次いで、該反応生成物溶液の入ったフラス
コを、再度氷水バス中に挿入し、攪拌しながら、0℃に
調整した。別途滴下ロートに臭化エチル14.20g
(130ミリモル)とジエチルエーテル160mlを入
れ、攪拌しながら30分間かけて滴下した。滴下完了
後、氷水バスを取り去り、攪拌しながら、室温まで昇温
し、室温で2時間攪拌保持して、反応を完結させた。
【0161】反応終了後、攪拌しながら、反応液を水中
に入れ、2%炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8に調整
した後、エーテルにて抽出し、抽出液を水で洗浄した
後、無水硫酸マグネシウムを加えて水分を除去した後、
エーテルを減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー〔溶離液n−ヘキサン/イソ
プロピルアルコール=96/4(容量比)〕で精製した
後、溶離液を減圧留去し、淡黄色のシロップ状のO−エ
チル誘導体である生成物〔収量36.2g(80ミリモ
ル)収率80%〕を得た。
【0162】(第二段反応)スターラー、温度計、滴下
ロートおよびポリエチレン樹脂風船を備えた密閉型の三
ツ口丸底フラスコに、第一段反応で得た生成物31.7
g(70ミリモル)とメタノール450mlを入れ、2
5℃で攪拌しながら、均一な溶液を調合した。
【0163】別途、滴下ロートに10%パラジウム/チ
ャコール触媒3.2gを入れ、上記溶液を攪拌しなが
ら、ゆっくりと滴下し、均一に分散した懸濁液を調合
し、反応温度25℃で、攪拌しながら圧力1.1kg/
cm2 程度の水素ガスで反応系をシールして、還元反応
を行った。還元反応は、懸濁液を攪拌しながら、水素ガ
スをその吸収がなくなるまで(12時間)供給し、反応
を完結させた。
【0164】還元反応終了後、得られた反応懸濁液を濾
過し、パラジウム/チャコール触媒を除去し、濾液を減
圧濃縮することによりメタノールを留去した後、副生し
たトルエンを真空ポンプで除去し、無色透明な粗生成物
を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー〔溶離液n−ヘキサン/イソプロピルアルコ
ール=96/4(容量比)〕で精製し、溶離液を減圧留
去し、無色透明な液状の生成物〔収量22.8g(63
ミリモル)収率90%〕を得た。
【0165】上記生成物の 1HNMRスペクトル、IR
吸収スペクトルおよびMSスペクトルを測定した結果は
次の通りであり、2−エトキシ−1−トリフルオロメチ
ルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアートであることを
確認した。
【0166】1HNMRスペクトル(CDCl3 ) :0.55〜1.89ppm (16H、m) :2.29〜2.55ppm (OH、b) :2.98〜3.83ppm (3H、m) :4.85〜5.33ppm (1H、m) :7.05〜7.98ppm (4H、m) IR吸収スペクトル(neat) :1,130cm-1(COC) :1,760cm-1(CO) :3,570cm-1(OH) MSスペクトル m/Z 362(M+
【0167】1HNMRスペクトル図およびIR吸収ス
ペクトル図を、それぞれ図11および図12に示す。
【0168】また、上記生成物を19FNMRスペクトル
で測定した結果、次の通りであった。19 FNMRスペクトル(from ext.CF3 CO
OH) :−1.67ppm 面積比 12%〔syn体(1
S,2R)型*4〕 :−2.17ppm 面積比 88%〔anti体(1
S,2S)型*4〕 〔*4 後記同定例3により確認〕
【0169】また、この生成物を次の条件下で、光学活
性な液体クロマトグラフィーにかけた。 ・光学異性体分離カラム〔商品名:アミロース系光学異
性体分離用HPLCカラム;ダイセル化学工業(株)
製〕 :分離剤…アミロース・トリス〔(S)−1−フェニル
エチルカルバメートをシリカゲルでコーティングしたも
の(商品名 CHIRALPAK AS)〕 :サイズ4.6mmφ×250mmH ・溶離液 :n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=
96/4(容量比) ・流速 :0.5ml/min ・カラム温度 :常温 ・検出 :紫外検出器で波長254nmの紫外吸収を用い
た。 ・試料 :0.1mg
【0170】上記光学活性な液体クロマトグラフィーの
チャートは図13の通りであり、図13の解析結果よ
り、2本の光学活性なピークが得られ、その保持時間と
面積比は以下の通りであった。
【0171】第1ピーク 〔anti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート
*4〕 ・保持時間:10.69分 ・面積比 :88% 第2ピーク 〔syn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアー
*4〕 ・保持時間:12.76分 ・面積比 :12% (*4 後記同定例3により確認)
【0172】上記結果と後記同定例3より、この生成物
は、anti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−ト
リフルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアー
トおよびsyn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−
トリフルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾア
ートからなるジアステレオマー混合物であり、その生成
比率はanti体(1S,2S)型/syn体(1S,
2R)型=88/12(面積比)であることが確認され
た。
【0173】(分離工程)第二段反応で得られた生成物
であるジアステレオマー混合物〔21.72g(60ミ
リモル)〕を分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー〔商品名:イナートシエル PREP−ODS分取、
ガードカラム2点セット(No.5020−3511
2) ジーエルサイエンス(株)製、内径10mm×高
さ250mm、充填剤:純度99.9%の10ミクロン
シリカゲルにオクタデシル基を化学結合したもの、溶離
液:n−ヘキサン/イソプロピルアルコール=96/4
(容量比)、流速2ml/min、試料供給量1g、検
出:紫外検出器 波長254nm〕を用いて、第1ピー
クである第1フラクションおよび第2ピークである第2
フラクションを各々分取し、溶離液を減圧留去して、い
ずれも無色透明な液状の各目的生成物である第1フラク
ションおよび第2フラクションを得た。
【0174】これらの各目的生成物の収得量および収得
率は以下の通りである。 第1フラクション 〔anti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート
*4〕 ・収得量 :17.20g(47.5ミリモル) ・収得率 :79.2% (原料化合物からの収率:5
7%) 第2フラクション 〔syn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアー
*4〕 ・収得量 :2.35g(6.5ミリモル) ・収得率 :10.8% (原料化合物からの収率:
7.8%) (*4 後記同定例3により確認)
【0175】後記同定例3より、上記各目的生成物にお
いて、第1フラクションはanti−(1S,2S)−
2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−
ヒドロキシベンゾアートであり、また第2フラクション
はsyn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアートで
あり、かつ、その生成比率はanti体(1S,2S)
型/syn体(1S,2R)型=88/12(面積比)
であることが確認された。
【0176】(同定例3)第二段反応で得られた生成物
がanti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート
およびsyn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−ト
リフルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアー
トからなり、かつその生成比率がanti体(1S,2
S)型/syn体(1S,2R)型=88/12(面積
比)であるジアステレオマー混合物であること、また、
分離工程で得られた各目的生成物が、第1フラクション
はanti−(1S,2S)−2−エトキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート
であり、また第2フラクションはsyn−(1S,2
R)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル
=4−ヒドロキシベンゾアートであり、その生成比率が
anti体(1S,2S)型/syn体(1S,2R)
型=88/12(面積比)であることの同定について以
下に述べる。
【0177】実施例1において、反応に供した原料化合
物は、anti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1
−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベ
ンゾアート/syn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ
−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキ
シベンゾアート=88/12(面積比)からなるジアス
テレオマー混合物である。
【0178】上記原料化合物の2位の不斉炭素原子に結
合した水酸基のエトキシ基への置換によるO−エチル化
誘導体の生成(第一段反応)、次いで該O−エチル化誘
導体のベンジルエーテル部分の水素化分解による脱トル
エン反応(第二段反応)で、ラセミ化を起こす可能性が
ある反応は第一段反応である。
【0179】第一段反応において、原料化合物〔ant
i体(1S,2S)型/syn体(1S,2R)型=8
8/12(面積比)〕の2位の不斉炭素原子に結合した
水酸基をエトキシ基に置換した場合、仮に、2つの不斉
炭素原子上で100%のラセミ化を起こせば、第二段反
応の生成物であるジアステレオマー混合物は、anti
体(1S,2S)型/syn体(1S,2R)型=50
/50の生成比率となる。
【0180】また、各反応のいずれかにおいて2つの不
斉炭素原子上で不斉中心がわずかでもラセミ化を起こせ
ば、それに対応して、anti体(1S,2S)型/s
yn体(1S,2R)型=50/50の生成比率に近づ
く。
【0181】実施例1に記載したとおり、第二段反応の
生成物を光学活性な液体クロマトグラフィーにかけた結
果は、光学活性なピークは2本しか得られず、第1ピー
ク/第2ピーク=88/12(面積比)であり、参考例
3に記載した原料化合物のanti体(1S,2S)型
/syn体(1S,2R)型=88/12(面積比)と
一致することと、上記の考察から、原料化合物の2つの
不斉炭素原子の立体化学は変化していないことが確認さ
れた。
【0182】従って、第二段反応の生成物はanti−
(1S,2S)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチ
ルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート/syn−
(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチ
ルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート=88/12
(面積比)からなるジアステレオマー混合物であること
が確認された。
【0183】また、実施例1の第二段反応で得られた生
成物の19FNMRスペクトルは2本のピークが認めら
れ、その第1ピーク(−1.67ppm)/第2ピーク
(−2.17ppm)の面積比は、上記で明らかとなっ
た第二段反応で得られた生成物のsyn体(1S,2
R)型/anti体(1S,2S)型(=12/88)
の生成比率と一致したことより、上記生成物を19FNM
Rスペクトルで分析することにより得られる2本のピー
クのうち、原料化合物のsyn体(1S,2R)型の面
積比と一致するピーク(−1.67ppm)はsyn−
(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチ
ルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアートを示し、原料
化合物のanti体(1S,2S)型の面積比と一致す
るピーク(−2.17ppm)はanti−(1S,2
S)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル
=4−ヒドロキシベンゾアートであること、また上記各
ピークの面積比から、anti体(1S,2S)型/s
yn体(1S,2R)型の生成比率を確認出来ることが
明確となった。
【0184】上記のように明らかにされた第二段反応で
得られた生成物、すなわちanti−(1S,2S)−
2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−
ヒドロキシベンゾアート/syn−(1S,2R)−2
−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−ヒ
ドロキシベンゾアート=88/12(面積比)からなる
ジアステレオマー混合物を、分離工程で述べたとおり、
分取用シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分
離した結果、(第1ピークである第1フラクション)/
(第2ピークである第2フラクション)=79.2/1
0.8(%)〔88/12(収得比)〕の収得比率であ
り、前記生成物の生成比率と一致したことから、分離工
程における第1フラクションはanti−(1S,2
S)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル
=4−ヒドロキシベンゾアートであり、第2フラクショ
ンはsyn−(1S,2R)−2−エトキシ−1−トリ
フルオロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアート
であることが確認された。
【0185】
【発明の効果】本発明は、大画面液晶ディスプレイ等の
素材である反強誘電性液晶化合物の中間原料として有用
である新規のanti体(1S,2S)型2−エトキシ
=ヒドロキシベンゾアートおよびsyn体(1S,2
R)型2−エトキシ=ヒドロキシベンゾアートの提供で
あり、各化合物を効率的に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチル n−ヘキシルケトンの 1HNMR
スペクトル図である。
【図2】参考例1で得た1−ヒドロキシ−2,2,2−
トリフルオロエチル n−ヘキシルケトンのIR吸収ス
ペクトル図である。
【図3】参考例1で得た(S)−1−ヒドロキシ−2,
2,2−トリフルオロエチルn−ヘキシルケトンの光学
活性な液体クロマトグラフィーのチャートである。
【図4】参考例2で得た1,1,1−トリフルオロノナ
ン−2,3−ジオールの 1HNMRスペクトル図であ
る。
【図5】参考例2で得た1,1,1−トリフルオロノナ
ン−2,3−ジオールのIR吸収スペクトル図である。
【図6】参考例2で得たsyn−(2S,3R)−1,
1,1−トリフルオロノナン−2,3−ジオールおよび
anti−(2S,3S)−1,1,1−トリフルオロ
ノナン−2,3−ジオールの光学異性体分離用カラムを
有するガスクロマトグラフィーのチャートである。
【図7】同定例1で得た2,2−ジメチル−4−n−ヘ
キシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラ
ンの 1HNMRスペクトル図である。
【図8】同定例1で得た2,2−ジメチル−4−n−ヘ
キシル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラ
ンのIR吸収スペクトル図である。
【図9】参考例3で得た2−ヒドロキシ−1−トリフル
オロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアート
1HNMRスペクトル図である。
【図10】参考例3で得た2−ヒドロキシ−1−トリフ
ルオロメチルオクチル=4−ベンジルオキシベンゾアー
トのIR吸収スペクトル図である。
【図11】実施例1で得た2−エトキシ−1−トリフル
オロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアートの 1
HNMRスペクトル図である。
【図12】実施例1で得た2−エトキシ−1−トリフル
オロメチルオクチル=4−ヒドロキシベンゾアートのI
R吸収スペクトル図である。
【図13】実施例1で得たanti−(1S,2S)−
2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4−
ヒドロキシベンゾアートおよびsyn−(1S,2R)
−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルオクチル=4
−ヒドロキシベンゾアートからなるジステレオマー混合
物の光学活性な液体クロマトグラフィーのチャートであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示されるanti−(1S,
    2S)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルアルキ
    ル=4−ヒドロキシベンゾアート。 【化1】
  2. 【請求項2】 式(2)で示されるsyn−(1S,2
    R)−2−エトキシ−1−トリフルオロメチルアルキル
    =4−ヒドロキシベンゾアート。 【化2】
  3. 【請求項3】 有機溶媒中で、式(3)で示されるan
    ti−(1S,2S)−2−ヒドロキシ−1−トリフル
    オロメチルアルキル=4−ベンジルオキシベンゾアート
    およびsyn−(1S,2R)−2−ヒドロキシ−1−
    トリフルオロメチルアルキル=4−ベンジルオキシベン
    ゾアートからなるジアステレオマー混合物と、アルカリ
    金属水素化物を反応させ、次いで該反応生成物と臭化エ
    チルを反応させてO−エチル化誘導体を得た後、該O−
    エチル化誘導体を溶媒中で、パラジウム/チャコール触
    媒の存在下、水素を用いて還元して得た請求項1記載の
    化合物および請求項2記載の化合物からなるジアステレ
    オマー混合物を、請求項1記載の化合物と請求項2記載
    の化合物に分離することを特徴とする各化合物の製造方
    法。 【化3】
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