JPH0728656B2 - 炭酸ガス含有静置型発酵乳の製造法 - Google Patents

炭酸ガス含有静置型発酵乳の製造法

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JPH0728656B2
JPH0728656B2 JP61287669A JP28766986A JPH0728656B2 JP H0728656 B2 JPH0728656 B2 JP H0728656B2 JP 61287669 A JP61287669 A JP 61287669A JP 28766986 A JP28766986 A JP 28766986A JP H0728656 B2 JPH0728656 B2 JP H0728656B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、Leuconostoc属に属するヘテロ発酵乳酸菌とL
actobacillus属に属するホモ発酵乳酸菌とからなる混合
スターターを使用することにより、爽やかな酸味と清涼
感、まろやかな風味、ならびに滑らかな組織を保持し、
且つ低温での保存性に優れた炭酸ガス含有静置型発酵乳
を製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 発酵乳は静置型発酵乳と攪拌型発酵乳に大別される。前
者は、乳酸菌を接種した発酵乳ミックスをビン、合成樹
脂、紙などの小売容器に充填後、発酵させた糊状ないし
ゲル状の発酵乳である。後者は発酵乳ミックスを発酵タ
ンクで発酵した後、固まったものを攪拌冷却し、小売容
器に詰めたものであり、なお、固まったものを破砕、均
質化したものは液状(ドリンクタイプ)発酵乳とよばれ
ている。
静置型発酵乳は、通常スターターとしてホモ発酵乳酸
菌、例えばLactobacillus bulgaricus、Lactobacillus
jugurti、Lactobacillus helveticus、Streptococcus t
hermophilusなどを一種又は数種組み合わせて使用する
ものであり、この他に医療、保健用の目的からBifidoba
cterium属、或いは、Lactobacillus acidophilusなどを
追加する例が知られている。これらの菌種は何れもアル
コールと炭酸ガスを生産しない。一方、アルコールと炭
酸ガスを含む液状発酵乳として、コーカサス原産のケフ
ィア(Kefir)、中央アジアに伝わるクーミス(Koumis
s)などが古くから知られている。これらは、含有する
炭酸ガスとアルコールとの生産を乳糖発酵性酵母に依存
しており、そのため風味は酵母臭とアルコールに由来す
る刺激臭があって、日本人の嗜好に合うものではない。
また、酵母は低温保存中にも増殖するので、製品の保存
性は極めて短いものである。一方、炭酸ガス入り乳酸飲
料または発酵乳の製法について、いくつかの発明が公告
もしくは公開されている。例えば、特公昭48−35470
号、特開昭57−144937号、特開昭57−144938号、特開昭
57−206333号などがそれである。しかし、これらは乳酸
菌などの発酵によって生じた炭酸ガスを含有するもので
はなく、炭酸ガスを物理的に圧入したり、もしくは炭酸
水と混合して調製した酸性乳飲料である。さらに、発酵
によって生じた炭酸ガスを含有する発酵乳について、特
開昭61−115443号、特開昭61−115444号に開示されてい
るが、これらは発酵乳のカードを一旦砕き、その後二次
発酵と称して、酵母またはヘテロ発酵乳酸菌により長時
間発酵させガス内圧を高めることを特徴とした発泡性液
状濃厚発酵乳(ドリンクタイプ)であり、いずれの場合
も静置型発酵乳ではない。また、炭酸ガスを生成させる
ために発酵乳ミックスにクエン酸を添加し、ホモ発酵乳
酸菌であるStreptococcus diacetilactisを接種し発酵
することにより、炭酸ガス含有の静置型発酵乳の製造も
可能であると特開昭61−135539号に提案されているが、
この方法によると炭酸ガス、アルコールのほかに酢酸、
ジアセチルを生成するため風味が悪くなり、発酵乳本来
のまろやかさが失われることになる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記したように、発酵による炭酸ガスを含有する発酵乳
として、従来知られているものは、風味、保存性の点で
問題点があり、また攪拌型発酵乳の場合はカードの破
砕、二次発酵等を要し、工程が複雑となるという問題点
がある。さらに静置型発酵乳において、炭酸ガス生成菌
を使用して炭酸ガスを含有させた場合、通常そのでき上
がった発酵乳あるいは保存中の発酵乳の組織に、所謂
「ス」が発生し、好ましくない外観を呈するという問題
点がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもの
で、風味、組織及び保存性のすぐれた炭酸ガス含有静置
型発酵乳の製造法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を
重ねた結果、Leuconostoc属に属するヘテロ発酵乳酸菌
(以下Leuconostoc属乳酸菌という。)とLactobacillus
属に属するホモ発酵乳酸菌(以下Lactobacillus属乳酸
菌という。)とからなる混合スターターを使用すること
により、適量の酸及び炭酸ガスを生成させることができ
ることを見出し、本発明を完成したのである。
すなわち本発明は、スターターを接種した発酵乳ミック
スをびん、合成樹脂製容器などに充填後、発酵させる糊
状ないしゲル状の静置型発酵乳を製造するに際して、ス
ターターとしてLeuconostoc属に属するヘテロ発酵乳酸
菌とLactobacillus属に属するホモ発酵乳酸菌とからな
る混合スターターを使用することを特徴とするものであ
る。
発酵乳用スターターとしては、衛生上無害な乳酸菌又は
酵母の使用が乳等省令では認められているが、酵母は低
温に於けるガス生成力が旺盛であり、保存中の組織、風
味に悪影響を及ぼす可能性があるので本発明の炭酸ガス
含有静置型発酵乳用スターターとしては望ましいもので
はない。炭酸ガスを生成する乳酸菌としては、ヘテロ発
酵Lactobacillus属とLeuconostoc属が知られている。ヘ
テロ発酵Lactobacillusの中でLactobacillus brevisは
ケフィア粒に含まれていると云われているが、一般的に
ヘテロ発酵Lactobacillusは乳業では利用価値がなく、
むしろ有害な乳酸菌とみなされているので、本発明では
Leuconostoc属乳酸菌を使用する。本発明でスターター
として使用するLeuconostoc属乳酸菌としては、Leucono
stoc cremoris,Leuconostoc lactisなどがあるが、炭酸
ガスの生成量が安定している点からLeuconostoc cremor
isが好ましい。
Leuconostoc属乳酸菌は、酸生成力が弱く、単菌では、
乳を凝固させることができないので、他の乳酸菌と混合
使用することが可能であり、発酵バターやフレッシュチ
ーズを製造する際には、他のチーズスターター、例えば
Streptococcus cremoris、Streptococcus lactisなどの
乳酸球菌と混合して使用するという方法が取られてい
る。しかし、本発明の炭酸ガス含有静置型発酵乳の場合
には、一般的によく用いられるStreptococcus属乳酸菌
を混合する方法を取ると、酸生成力は上がるが、炭酸ガ
スの生成量は、両菌の混合比率如何にかかわらずLeucon
ostoc属単菌使用の場合に比べても低下してしまうので
ある(表−1)。
そこで、本発明者らは、従来検討されたことのない、La
ctobacillus属乳酸菌との混合について研究した結果、
酸生成力が上昇し、同時に炭酸ガス生成量も増加するこ
とを見出したのである(第1図〜第4図)。Leuconosto
c属乳酸菌とLactobacillus属乳酸菌との混合比率は、2:
1〜100:1程度の範囲内であることが望ましい。Lactobac
illus属乳酸菌の混合比率が高くなると、酸生成力は上
がるが、逆に炭酸ガス生成量は少なくなり、一方、Leuc
onostoc属乳酸菌の混合比率が高くなると、炭酸ガスの
生成量は多くなるが、逆に酸生成力は下がるので、上記
の混合比率の範囲内であれば適量の酸と炭酸ガスが生成
されることになる(第1図〜第2図)。
また、培養温度はLactobacillus属乳酸菌の発育適温に
は無関係に、25〜32℃とすることが望ましく、32℃を越
えて高くなると、やはり酸生成力は上がるが、炭酸ガス
生成量は少なくなる。一方、25℃未満であると酸生成量
が少なくなる(第3図〜第4図)。
さらに、Leuconostoc属乳酸菌とLactobacillus属乳酸菌
を2:1〜100:1で混合したスターターを使用して、25〜32
℃で発酵させた製品は、多量の生菌が存在するにも拘ら
ず、製品中の炭酸ガス量は、略一定に保たれるので、保
存中に炭酸ガスが容器外に逸散したり、容器が膨張する
などということはない(第5図)。
本発明でスターターとして混合するLactobacillus属乳
酸菌としては、通常、発酵乳、乳酸菌飲料などに使用さ
れるLactobacillus bulgaricus、L.acidophilus、L.jug
urti、L.helveticus、L.caseiなどが用いられる。
本発明の炭酸ガス含有静置型発酵乳を製造するに際して
は、牛乳、脱脂乳、還元乳などを使用して常法により所
謂発酵乳ミックスとして調製したものが使用される。ま
た、この発酵乳ミックスには必要に応じて、例えばしょ
糖、液糖などの糖類、ゼラチン、ペクチンなどの安定剤
を添加する。
この発酵乳ミックスは殺菌、例えば80〜95℃30分の加熱
殺菌処理を行なった後、前記のLeuconostoc属乳酸菌とL
actobacillus属乳酸菌の混合スターターを接種し、適当
な容器に充填密封し所定の温度で発酵させることにより
製造することができる。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を示す。
実施例1 生乳145lに脱脂粉乳5kgを加温溶解する。これに溶解し
た無塩バターを0.7kg添加し均質化後95℃30分加熱殺菌
して30℃まで冷却する。先に活性化しておいたLeuconos
toc cremris ATCC 19254とLactobacillus bulgaricus A
TCC 11842のカルチャーの10:1混合スターターを3.6kg加
え均一化した後、殺菌した広口のガラス壜に充填、アル
ミ箔でヒートシールし、28℃26時間発酵させた。発酵の
終了した製品は酸度が0.75%、アルコール量0.2%、炭
酸ガス濃度72%のまろやかな風味と炭酸ガスによる爽や
かな味を有するゲル状の発酵乳であり、所謂「ス」の生
成が見られず組織も良好であった。このものを10℃で保
存したところ2週間保存後も爽やかな風味と滑らかな組
織は変化せず良好な品質を維持することができた。
実施例2 生乳150lに脱脂粉乳5kgを加温溶解する。これに無塩バ
ター1kgを溶解添加した後、さらにゼラチン600gと砂糖1
0kg加え、均質化し95℃30分加熱殺菌後35℃まで冷却す
る。予め活性化しておいたLeuconostoc cremris ATCC 1
9254とLactobacillus acidophilus ATCC 832のカルチャ
ーの5:1混合スターターを3.6kg加え、実施例1と同様、
ガラス壜に充填し32℃25時間発酵させた。発酵終了した
製品の酸度は0.82%、アルコール量0.24%、炭酸ガス濃
度87%のまろやかな風味と爽やかな味を有するゲル状発
酵乳であり、所謂「ス」の生成が見られず組織も良好で
あった。このものを10℃で2週間保存したところ、アル
コール量、炭酸ガス濃度とも殆ど変化せず良好な品質を
維持していた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、通常の静置型発酵乳の製造工程によっ
て、乳酸菌の発酵による炭酸ガスを含有し、まろやかな
風味と炭酸ガスによる爽やかな風味と、滑らかで均一な
組織を有し、尚且つ低温での保存性に優れている炭酸ガ
ス含有静置型発酵乳を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はLeuconostoc cremrisとLactobacillus bulgari
cusの混合比率と酸度、第2図はLeuconostoc cremrisと
Lactobacillus bulgaricusの混合比率と炭酸ガス、第3
図は混合スターター培養温度と酸度、第4図は混合スタ
ーター培養温度と炭酸ガス、第5図は発酵乳保存中の炭
酸ガス量変化をそれぞれ示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スターターを接種した発酵乳ミックスをび
    ん、合成樹脂製容器などに充填後、発酵させる糊状ない
    しゲル状の静置型発酵乳を製造するに際して、スタータ
    ーとしてLeuconostoc属に属するヘテロ発酵乳酸菌とLac
    tobacillus属に属するホモ発酵乳酸菌とからなる混合ス
    ターターを使用することを特徴とする炭酸ガス含有静置
    型発酵乳の製造法。
  2. 【請求項2】混合スターターとして使用するLeuconosto
    c属に属するヘテロ発酵乳酸菌とLactobacillus属に属す
    るホモ発酵乳酸菌との混合比率が、2:1〜100:1の範囲で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の炭酸
    ガス含有静置型発酵乳の製造法。
  3. 【請求項3】混合スターターを接種した発酵乳ミックス
    の発酵温度が、25〜32℃であることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項または第2項のいずれかに記載の炭酸ガ
    ス含有静置型発酵乳の製造法。
  4. 【請求項4】Leuconostoc属に属するヘテロ発酵乳酸菌
    がLeuconostoc cremorisである特許請求の範囲第1〜3
    項のいずれかに記載の炭酸ガス含有静置型発酵乳の製造
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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乳業技術講座第1巻「牛乳」(昭和44年7月1日第10版発行)朝倉書店第188〜189頁

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