JPH072966A - 酸不含変性フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

酸不含変性フェノール樹脂の製造方法

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JPH072966A
JPH072966A JP17091493A JP17091493A JPH072966A JP H072966 A JPH072966 A JP H072966A JP 17091493 A JP17091493 A JP 17091493A JP 17091493 A JP17091493 A JP 17091493A JP H072966 A JPH072966 A JP H072966A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重縮合により変性フェノール樹脂を生成
した後に、下記(a)〜(c)の精製工程を任意の順序
で施して、低分子量成分含有量が10%以下である酸不
含変性フェノール樹脂の製造方法。(a)C10以下の脂
肪族又は脂環式炭化水素、これらの混合溶媒で処理して
溶媒に可溶な未反応成分等の除去と樹脂の析出操作とを
行う工程、(b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶で
あるが、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する抽出溶
媒により酸等の触媒残渣を抽出除去する工程、(c)芳
香族炭化水素と脂肪族炭化水素又はアルコール類との組
合せからなる混合溶媒で処理して未反応成分と低分子量
成分を抽出除去する工程。 【効果】 本発明の方法で得られた新規変性フェノール
樹脂は、酸不含で金属等に対する腐食の恐れがなく、低
分子量成分含有量が少ないので、耐熱性、成形性、寸法
安定性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気・電子部品材料及
び半導体用封止材として有用な新規な酸不含変性フェノ
ール樹脂の製造方法に関するものである。また詳細に
は、本発明は、特定の複数の精製工程からなる溶媒抽出
処理を施すことにより、低分子量成分の含有量が相対的
に少なくかつ酸不含の変性フェノール樹脂の製造方法に
関するものである。
【0002】さらに、より詳細には、本発明の新規な変
性フェノール樹脂は、特定の芳香族炭化水素と脂肪族炭
化水素又はアルコール類との混合溶媒により、主に低分
子量成分を抽出除去したので、特に寸法安定性、耐熱
性、成形性等に極めて厳しい規格の要求される電気・電
子部品材料及び半導体用封止材として好適な変性フェノ
ール樹脂を提供する。
【0003】
【従来の技術】フェノール樹脂系成形体は機械的性質が
優れており、古くから単独若しくはエポキシ樹脂等他の
樹脂と混合され広く用いられているが、耐光性、耐アル
カリ性がやや低く、水分あるいはアルコールを吸収して
寸法および電気抵抗が変化し易く、耐熱性、特に高温時
の耐酸化性がやや低い問題がある。
【0004】そのために、フェノール樹脂自体の種々の
変性が検討されている。特に、光、化学薬品、酸化等に
よる変化に耐性を付与するために、油脂、ロジンなどを
用いた変性に興味がもたれており、特に、フェノール変
性芳香族炭化水素樹脂の反応成分の選択により耐熱性に
優れたフェノール系樹脂を得る試みも知られているが、
成形体を得るのに硬化が遅く、高温、長時間を要する欠
点がある(特開昭61−235413号公報)。
【0005】その後、本発明者等は、安価な原料である
石油系重質油類またはピッチ類を変性剤として用いて、
従来のフェノール樹脂では得られない耐熱性、耐酸化
性、機械的強度の発現性に優れた変性フェノール樹脂を
見出した(特開平2−274714号公報)。
【0006】さらに、重縮合生成物をアミン類を用いた
中和処理と水洗処理により残存酸を減少させ、装置等の
金属の腐食の恐れがない変性フェノール樹脂をも提供し
たが(特開平4−145116号公報)、その場合でも
変性フェノール樹脂中に残存酸の中和物が残存する可能
性があった。そのため、重縮合後の生成物を特定の抽出
溶媒により抽出処理することにより、酸不含の変性フェ
ノール樹脂を提供できることを見出したが(特願平5−
40646号)、エポキシ樹脂等他の樹脂と混合して成
形体を製造するに当たり、樹脂との反応性及び成形体の
耐熱性、寸法安定性においてまだ十分なものではなかっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、他の樹脂との
混合により成形体を作製するに当たり、樹脂との反応性
及び耐熱性、寸法安定性に優れた変性フェノール樹脂の
開発が要望されていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
種々検討した結果、エポキシ樹脂等との混合により成形
体を作製するに当たり、該変性フェノール樹脂の分子量
分布が、その成形体の物性に影響すること、すなわち該
変性フェノール樹脂の分子量分布のうち、低分子量成分
側が相対的に少ないほうが、エポキシ樹脂等との反応性
及び成形体の物性(特に、耐熱性、寸法安定性等)の発
現性に優れることより、低分子量成分含有量が10%以
下の変性フェノール樹脂が好適であることを見出した。
【0009】さらに、本発明者は、該変性フェノール樹
脂を製造するに当たり、低分子量成分の含有量を少なく
するため、製造工程の中、精製工程の任意の段階で、特
定の芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素又はアルコール類
との混合溶媒による抽出処理工程を施すことによって目
的とする変性フェノール樹脂が提供できることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は:
【0010】 石油系重質油類またはピッチ類1モル
に対して、ホルムアルデヒド重合物をホルムアルデヒド
換算のモル数が1〜15になるように混合し、酸触媒の
存在下に加熱攪拌しながら、フェノール類を該石油系重
質油類またはピッチ類1モルに対して0.3〜5モルの
割合で逐次添加し、重縮合させて変性フェノール樹脂を
生成した後に、下記(a)〜(c)の精製工程を任意の
順序で施して、低分子量成分含有量が10%以下である
酸不含変性フェノール樹脂の製造方法を提供する。
(a)炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素
或いはこれらの混合物からなる溶媒で処理して該溶媒に
可溶な未反応成分等の除去と樹脂の析出操作とを行う工
程、(b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶である
が、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する抽出溶媒に
より酸等の触媒残渣を抽出除去する工程、(c)芳香族
炭化水素と脂肪族炭化水素又はアルコール類との組合せ
からなる混合溶媒で処理して未反応成分と低分子量成分
を抽出除去する工程。
【0011】 (c)工程の混合溶媒がトルエン−メ
タノール又はトルエンーn−ヘキサンの組合せである点
にも特徴を有する。また、 (c)工程の混合溶媒の混合割合が芳香族炭化水素
100〜300重量部/脂肪族炭化水素又はアルコール
類150〜600重量部である点にも特徴を有する。ま
た、 重縮合により得られた変性フェノール樹脂を混合溶
媒で処理して未反応成分と低分子量成分の抽出除去
(c)を行い、その後に酸等の触媒残渣の溶媒抽出除去
(b)を行い、さらに微量の未反応成分の除去と樹脂を
析出させる溶媒処理(a)を行うという手順で複数の精
製工程を施す点にも特徴を有する。また、 重縮合により得られた変性フェノール樹脂を溶媒処
理して未反応成分の除去と樹脂の析出をさせ(a)、そ
の後に酸等の触媒残渣の溶媒抽出除去(b)を行い、混
合溶媒で処理して、未反応成分と低分子量成分の抽出除
去(c)を行うという手順で複数の精製工程を施す点に
も特徴を有する。また、
【0012】 重縮合により得られた変性フェノール
樹脂を溶媒処理して未反応成分の除去と樹脂の析出をさ
せ(a)、その後に酸等の触媒残渣の溶媒抽出除去
(b)を行い、再度溶媒処理して樹脂の析出をさせ
(a)、最後に混合溶媒で処理して低分子量成分の抽出
除去(c)を行うという手順で複数の精製工程を施す点
にも特徴を有する。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、得られた新規な変性フェノール樹脂を特徴づけ
る要素の意味及びその測定方法は下記の通りである。 分子量分布:分子量分布は、GPC(ゲルパーミュ
エーションクロマトグラフィー)によって測定される。 測定条件; カラム:東ソー(株)、G3000H8 (カラム長60
cm)+G2000H8 (カラム長60cm)、カラム
温度40℃ 検出器:示差屈折率計、検出温度 40℃ 溶離液:クロロホルム、流量1.0ml/分 試料液:濃度20mg/ml−クロロホルム、注入量1
00μl
【0014】 低分子量成分含有量:低分子量成分含
有量(%)は、上記GPCの測定結果より以下の式にて
算出:
【数1】
【0015】注)なお、数1において、リテンションタ
イム30分以降に流出する成分はポリスチレン標準試料
における換算分子量として600以下のものである。
【0016】(I)変性フェノール樹脂原料の製造 本発明に用いる変性フェノール樹脂は以下の方法により
製造されることが好ましい。変性フェノール樹脂の製造
原料としては、石油系重質油類またはピッチ類を用いる
ことを要する。該石油系重質油類またはピッチ類は、そ
の芳香族炭化水素分率fa値および芳香環水素量Ha値
は、次の式に示すものを用いることが望ましい。
【0017】
【数2】 (fa値は13C−NMRによって求めることが出来、H
a値は1 H−NMRによって求めることが出来る。)
【0018】原料の石油系重質油類またはピッチ類のf
a値が小さくなると、芳香族分が少なくなるため、得ら
れる変性フェノール樹脂の性能の改質効果、特に耐熱
性、耐酸化性の改質効果が小さくなる傾向がある。特
に、fa値が0.4未満の場合には、この改質効果が極
めて小さくなるので望ましくない。また、fa値が0.
95より大きい石油系重質油類またはピッチ類の場合に
は、芳香環水素とホルムアルデヒドとの反応性が低くな
るので望ましくない。従って、fa値は0.4〜0.9
5が好ましく、より好ましくは0.5〜0.8である。
【0019】原料の石油系重質油類またはピッチ類のH
a値が小さくなると、ホルムアルデヒドと反応する芳香
環水素分が少なくなり、反応性が乏しくなるため、フェ
ノール樹脂の性能の改質効果が乏しくなるので望ましく
ない。Ha値として実用性があるのは20%以上と考え
られる。 Ha値が80%より大きい石油系重質油類ま
たはピッチ類を原料とした場合には、変性フェノール樹
脂の強度が低くなる傾向を示すので望ましくない。従っ
て、Ha値は20〜80%が好ましく、より好ましくは
25〜60%である。
【0020】原料の石油系重質油類またはピッチ類にお
いて、その縮合環数は特に限定されないが、好ましくは
主として2〜4環の縮合多環芳香族炭化水素である。5
環以上の縮合多環芳香族炭化水素の場合には、沸点が殆
どの場合に450℃を超えるため、狭い沸点範囲のもの
を集め難く、品質が安定しない問題がある。また、主に
単環芳香族炭化水素である場合には、ホルムアルデヒド
との反応性が低いため、フェノール樹脂の性能の改質効
果が小さい問題がある。
【0021】原料の石油系重質油類またはピッチ類は、
原油の蒸留残油、水添分解残油、接触分解残油、ナフサ
またはLPGの熱分解残油およびこれら残油の減圧蒸留
物、溶剤抽出によるエキストラクト或いは熱処理物とし
て得られるものである。これらの中からfa値およびH
a値の適当なものを選んで使用するのが好ましい。本発
明の変性フェノール樹脂の製造原料の一つであるホルム
アルデヒド重合物とは、パラホルムアルデヒド、ポリオ
キシメチレン(特に、オリゴマー)のような線状重合物
およびトリオキサンのような環状重合物である。
【0022】石油系重質油類またはピッチ類とホルムア
ルデヒド重合物の混合比は、石油系重質油類またはピッ
チ類の平均分子量より計算される平均モル数1モルに対
するホルムアルデヒド換算のホルムアルデヒド重合物の
モル数として、1〜15であることを要する。この混合
比が1未満の場合には、得られる変性フェノール樹脂の
硬化体の強度が低いので好ましくない。一方、15より
大きい場合には、得られる硬化体の性能、収量ともに殆
ど変わらなくなるので、ホルムアルデヒド重合物をこれ
以上多く使用することは無駄と考えられる。
【0023】本発明の変性フェノール樹脂の原料である
石油系重質油類またはピッチ類に対するホルムアルデヒ
ド重合物の混合モル比は、好ましくは2〜12である。
本発明の新規な変性フェノール樹脂を製造するのに用い
る酸触媒として、ブレンステッド酸もしくはルイス酸が
使用できるが、好ましくはブレンステッド酸が用いられ
る。ブレンステッド酸としては、トルエンスルホン酸、
キシレンスルホン酸、塩酸、硫酸、ギ酸等が使用出来る
が、p−トルエンスルホン酸、塩酸が特に優れている。
【0024】酸触媒の使用量は、製造原料である石油系
重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒド重合物及び
フェノール類の合計量に対して0.1〜30重量%が望
ましく、より好ましくは1〜20重量%である。酸触媒
の使用量が少ない場合には反応時間が長くなる傾向があ
り、また、反応温度を高くしないと反応が不充分になる
傾向がある。一方、酸触媒の使用量が多くなってもその
割には反応速度が速くならず、コスト的に不利になるこ
とがある。
【0025】本発明の新規な変性フェノール樹脂の原料
であるフェノール類は、好ましくはフェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシン、ビスフェノールA、
ビスフェノールFの群から選ばれた1種もしくは2種以
上のフェノール系化合物である。フェノール類は滴下等
の方法により少量ずつ添加し混合する。添加する速度
は、反応混合物の全重量に対して0.05〜5重量%/
分であり、好ましくは0.1〜2重量%/分である。
【0026】添加する速度が0.05重量%/分未満の
場合には、添加に要する時間が長すぎ、コストが上昇す
るので好ましくない。一方、添加する速度が5重量%/
分を越える場合には、添加したフェノール類が遊離ホル
ムアルデヒドと急速に反応するため、均一な混合物ない
しは共縮合物を生成し難くなるので好ましくない。この
ような不均一性が生じる原因は、ホルムアルデヒドに対
する反応性が石油系重質油類またはピッチ類に比べフェ
ノール類の方が著しく大きいためであり、初期のフェノ
ール類の濃度を低く保たないと、ホルムアルデヒドがフ
ェノール類もしくは反応により生成したフェノール類と
ホルムアルデヒドとの縮合物と選択的に反応し、系に難
溶化するためではないかと推定される。
【0027】或いは、ホルムアルデヒドがフェノール類
もしくは反応により生成したフェノール類とホルムアル
デヒドの縮合物との反応に先に消費されてしまい、石油
系重質油類またはピッチ類もしくは反応により生成した
石油系重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒドとの
縮合物が、さらにホルムアルデヒドと反応することが出
来ず、反応系から分離するためではないかと推定され
る。
【0028】本発明の変性フェノール樹脂の製造に当た
り、フェノール類を添加開始する時期は特に限定されな
いが、残存する遊離ホルムアルデヒド量から推定したホ
ルムアルデヒドの反応率が70%以下、好ましくは50
%以下である時点でフェノール類を添加する。添加開始
時期は、石油系重質油類またはピッチ類とホルムアルデ
ヒドとの反応が実質的に進行していない時点であっても
良い。ホルムアルデヒドの反応率が70%を越えると、
フェノール類と反応するホルムアルデヒドの量が少なく
なるため、生成した樹脂の性能が著しく低下する。
【0029】フェノール類の添加量は、石油系重質油類
またはピッチ類の平均分子量より計算される平均モル数
1モルに対するフェノール類のモル数として、0.3〜
5であることを要する。この添加量が0.3未満の場合
には、石油系重質油類またはピッチ類とホルムアルデヒ
ドとの反応性が、フェノール類とホルムアルデヒドとの
反応性より劣ることから、充分な架橋密度に至らず、硬
化体の強度が一般のフェノール樹脂に比べて低くなる問
題がある。特に、耐衝撃性が低く脆い欠点を示す。一
方、フェノール類の添加量が5を越える場合には、フェ
ノール樹脂の変性による改質効果が小さくて、好ましく
ない。本発明におけるフェノール類の添加量は、好まし
くは0.5〜3である。
【0030】反応温度は50〜160℃、好ましくは6
0〜120℃である。反応温度は、原料組成、反応時
間、生成する樹脂の性状等を考慮して決定する。反応時
間は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
反応時間は、原料組成、反応温度、フェノール類の添加
速度、生成する樹脂の性状等を考慮して決定する。
【0031】本発明の変性フェノール樹脂の製造に当た
り、反応を回分式で行う場合に一段階で行うことが可能
であり、一段階の実施が好ましい。また連続式で行う場
合には、従来の変性フェノール樹脂に用いられている、
2種以上の反応生成物を一定量ずつ連続混合するような
制御の難しい装置を使用する必要がなく、中間部に完全
混合型の反応容器を置き、その中に添加するフェノール
類を一定量ずつ送り込むようにすればよい。このような
装置は比較的安価であり、操作性は良好である。
【0032】本発明の変性フェノール樹脂の製造に当た
り、反応の際に溶媒を使用することが出来る。反応は無
溶媒でも行うことが出来るが、その場合には反応の均一
性に留意する必要がある。溶媒の使用により反応系の粘
度が下がり、反応の均一性が改良される。溶媒としては
特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレンの
ような芳香族炭化水素;クロルベンゼンのようなハロゲ
ン化芳香族炭化水素;ニトロベンゼンのようなニトロ化
芳香族炭化水素;ニトロエタン、ニトロプロパンのよう
なニトロ化脂肪族炭化水素;パークレン、トリクレン、
四塩化炭素のようなハロゲン化脂肪族炭化水素等が使用
出来る。
【0033】(2) 変性フェノール樹脂の精製工程 本発明は、上記重縮合工程により変性フェノール樹脂を
製造した後に、該変性フェノール樹脂を以下の(a)〜
(c)の精製工程を任意の順序で施すことが、酸不含で
かつ低分子量成分含有量を10%以下とするのに必要で
ある。(a)炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式炭
化水素或いはこれらの混合物からなる溶媒で処理して該
溶媒に可溶な未反応成分等の除去と樹脂の析出操作とを
行う工程、(b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶で
あるが、大部分の変性フェノール樹脂を溶解する抽出溶
媒により酸等の触媒残渣を抽出除去する工程、(c)芳
香族炭化水素と脂肪族炭化水素又はアルコール類との組
合せからなる混合溶媒で処理して未反応成分と低分子量
成分を抽出除去する工程。すなわち、
【0034】(a)未反応成分等の除去と樹脂の析出工
程;原料の石油系重質油類またはピッチ類に含まれてい
る反応性が低く、未反応又は不十分にしか反応していな
い成分、及び反応時に用いた溶媒を除去しておく必要が
ある。具体的には、加熱反応終了後の任意の時期に、反
応生成物を炭素数10以下の脂肪族若しくは脂環式炭化
水素或いはこれらの混合物中に投入し、該溶媒に可溶な
未反応成分等の除去と樹脂の析出操作とを行うことによ
り、精製された変性フェノール樹脂原料を製造する。
【0034】このような炭化水素溶媒の例としては、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂
肪族又は脂環式炭化水素が挙げられ、特にn−ヘキサン
が好ましい。
【0035】(b)残存する酸等の触媒残渣の抽出除去
工程;上記変性フェノール樹脂は、そのまま成形材料等
に使用すると、変性フェノール樹脂中に酸等の触媒残渣
が残留するため、金属腐食性が大きく、耐熱性、耐湿性
に劣ることになるので、変性フェノール樹脂中から酸等
の触媒残渣を除去して酸不含とすることが必要である。
すなわち、酸等の触媒残渣を除去するには、酸触媒の溶
解度が0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フェノ
ール樹脂を溶解する抽出溶媒を用いて抽出処理を行うこ
とが必要である。
【0036】該抽出溶媒としては、酸触媒の溶解度が
0.1以下で難溶であるが、大部分の変性フェノール樹
脂を溶解する溶媒なら特に制限されないが、例えばベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が好
ましく、より好ましくはトルエンである。勿論、上記抽
出処理だけでも酸等触媒残渣の実質的な除去が可能であ
るが、もし必要なら、抽出処理に続いて通常の中和処理
や水洗処理を行っても良い。ここで、中和処理として
は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア、ジエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミン、アニリン、フェニ
レンジアミンなどの種々の塩基性物質を挙げることがで
きる。
【0037】上記抽出処理の際の温度などの条件につい
ては特に制限されないが、常法に従って行えば良く、ま
た、具体的には抽出溶媒に変性フェノール樹脂を投入す
るか、或いは逆に変性フェノール樹脂に抽出溶媒を投入
して行えば良く、操作的に簡便である。上記抽出処理後
に、抽出溶液に微量の酸触媒などが残存する恐れのある
場合には、上記中和処理を行うことが好ましい。
【0038】(c)特定の混合溶媒による、未反応成分
と低分子量成分の抽出除去処理;本発明では、更に下記
の特定の混合溶媒による抽出処理を施す必要がある。す
なわち、本発明に使用する特定の混合溶媒としては、芳
香族炭化水素と脂肪族炭化水素又はアルコール類との特
定範囲割合の混合溶媒が好ましい。
【0039】該芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどが好ましく、トルエンがより好ま
しい。また、芳香族炭化水素と混合して用いられる脂肪
族炭化水素としてはペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン
等が好ましく、n−ヘキサンがより好ましい。一方、ア
ルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコールが好ましく、メタノールがより好まし
い。組合せとしてはトルエン−n−ヘキサン、トルエン
−メタノールの組合せが好ましい。
【0040】芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素又はアル
コール類の混合割合は、それら各溶媒の組合せによって
必ずしも一定しないが、低分子量成分の抽出除去の割合
に応じて種々選択することが好ましく、一般に芳香族炭
化水素100〜300重量部/脂肪族炭化水素又はアル
コール類150〜600重量部である。なお、本処理の
主目的は、低分子量成分の抽出除去にあるが、付随して
未反応成分の抽出除去の役割も果たしている。
【0041】ここで、上記特定の混合溶媒による抽出処
理する際の温度等の条件については特に制限されない
が、常法に従って行えば良く、通常室温での操作を採用
できる。好適には、上記(c)工程は、上記変性フェノ
ール樹脂を芳香族炭化水素溶剤に溶解して一定濃度、好
ましくは10〜60重量%の樹脂濃度溶液にし、その溶
液を芳香族炭化水素に対し上記割合となる所定量の脂肪
族炭化水素又はアルコール類の溶液中に投入攪拌した
後、濾過し、所定の低分子量成分を抽出除去し、真空乾
燥して低分子量成分含有量が10%以下の新規変性フェ
ノール樹脂を得ることができる。
【0042】本発明の複数の精製工程による抽出処理
は、任意の順序で行うことができるが、好ましくは
(A)変性フェノール樹脂の重合後直ちに、混合溶媒に
よる未反応成分と低分子量成分の抽出除去を同時に行
い、その後に酸等の触媒残渣の抽出除去を行い、最後に
樹脂の析出を行うか、或いは(B)変性フェノール樹脂
の重合後に通常の未反応成分等の溶媒抽出除去を行い、
その後に酸等の触媒残渣の抽出除去を行い、最後に混合
溶媒による低分子量成分の抽出除去を行うか、(C)変
性フェノール樹脂の重合後に通常の未反応成分等の溶媒
抽出除去を行い、その後に酸等の触媒残渣の抽出除去を
行い、一旦、粉末樹脂を得た後、最後に混合溶媒による
低分子量成分の抽出除去を行うか等の方法を採用するの
が良い。特に、上記(A)の仕方が経済性などの理由か
ら最も好ましい。
【0043】(3) 新規変性フェノール樹脂の特徴 本発明の新規な変性フェノール樹脂は、(イ)酸不含で
あり、(ロ)GPCで測定されるポリスチレン換算分子
量600以下の低分子量成分含有量が10%以下、好ま
しくは8%以下である。これによって、エポキシ樹脂等
と混合し成形体を作製する際に、低分子量成分含有量の
多い変性フェノール樹脂と較べて、エポキシ樹脂等との
反応性が向上し、また作製された成形体の物性も、耐熱
性面、寸法安定性面で顕著に物性が向上する傾向が見ら
れた。
【0044】本発明の新規な変性フェノール樹脂を規定
する要素において、 (イ)酸不含とは、上記特定の溶剤抽出処理により酸等
の触媒残渣が除去され、酸等が全く残存しないか或いは
極少量が残ったとしても金属に対する腐食性も有意義に
示さない程度に酸等が実質的に不含となっていることを
意味する。
【0045】(ロ)GPCで測定されるポリスチレン換
算分子量600以下の低分子量成分の含有量が10%以
上では、エポキシ樹脂等との反応性及びエポキシ樹脂等
との混合で作製した成形体の耐熱性、寸法安定性の向上
が不十分であった。なお、低分子量成分を抽出除去する
割合については、低分子量成分を抽出除去することによ
り、樹脂の収率も低下するので、作製する成形体の要求
性状とコスト面の両方を勘案し適宜選択される。
【0046】(ハ)エポキシ樹脂等との反応性は、ゲル
化時間(ゾルからゲルに変化する時間;JIS-K 6910に準
じて測定) にて判断でき、ゲル化時間が短い程エポキシ
樹脂等との反応性が高く好ましい。 (ニ)成形体の物性のうち耐熱性は、ガラス転移点(ガ
ラス状態の物質の多くの物理的性質が、急激に変化する
温度;下記測定方法による)にて判断でき、この温度が
高い程耐熱性に優れる。 (ホ)また、寸法安定性は、線膨張係数(固体材料の温
度上昇による長さの増加率;下記測定方法による)にて
判断でき、この値が低い程寸法安定性に優れる。
【0047】<ガラス転移点測定方法> 測定方式:動的粘弾性法 測定機器:(株)レオロジー、DVE RHEOSPECTOLER DVE-
V4型 荷重方式:引張法 測定周波数:10Hz 昇温速度:5℃/分 動的測定変位:±5×10-4cm 試験片:幅4mm、厚さ1mm、スパン30mm
【0048】<線膨張係数測定方法> 測定機器:(株)リガク、TAS-200 システム TMA 8140C
型 昇温速度:5℃/分 試験片長:10mm 測定温度範囲:50℃〜100℃
【0049】(4) 本発明の新規な変性フェノール樹脂
の有用性:本発明の新規な変性フェノール樹脂は、上述
のように酸を実質的に含んでいないので金属に対する腐
食性がなく、また主に平均分子量600以下の低分子量
成分が抽出除去されていて分子量分布が狭いので、エポ
キシ樹脂等との混合にて作製する成形体の成形性、耐熱
性、寸法安定性が、低分子量成分の多い変性フェノール
樹脂と比較して一層に向上し、しかも電気絶縁性、耐湿
性に優れているので、熱気や湿度を極端に嫌う電気・電
子部品用材料等や半導体封止材等に特に有用である。従
って、本発明の新規な変性フェノール樹脂は、成形材
料、電子・電気材料及び半導体用封止材として特に有用
である。
【0050】(5) 本発明の新規な変性フェノール樹脂と
混合される成分の代表例について: エポキシ樹脂:本発明の新規な変性フェノール樹脂
と混合して用いられる樹脂の代表であるエポキシ樹脂
は、一般に成形収縮が小さく、耐熱性、耐摩粍性、耐薬
品性、電気絶縁性に優れたもので、硬化剤と組合せて用
いられる。エポキシ樹脂は、例えばグリシジルエーテル
型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、混合
型、脂環式型のエポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0051】さらに具体的には、グリシジルエーテル型
(フェノール系)としては、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF
型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂などが;
【0052】グリシジルエーテル型(アルコール系)と
しては、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、水
添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂など;グリシジル
エステル型としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸型エポ
キシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等が;
【0053】グリシジルアミン型としては、ジアミノジ
フェニルメタン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポ
キシ樹脂、ヒダントイン酸型エポキシ樹脂等が;混合型
としては、p−アミノフェノール型エポキシ樹脂、p−
オキシ安息香酸型エポキシ樹脂などが挙げられる。上記
エポキシ樹脂のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エ
ポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が好
ましい。上記エポキシ樹脂を2種以上組み合わせたもの
も用いることができる。
【0054】本発明の新規な変性フェノール樹脂とエポ
キシ樹脂との混合割合は特に制限されないが、本発明の
目的に合致させるためには、変性フェノール樹脂とエポ
キシ樹脂の合計を100重量部として、10/90〜9
0/10(重量部)であることが好ましく、より好まし
くは20/80〜80/20(重量部)である。ここ
で、本発明の新規な変性フェノール樹脂の重量割合が1
0重量部未満では、得られる成形体の耐熱性、耐湿性の
向上効果が十分でなく、90重量部を超えると、成形温
度が高くなり好ましくない。
【0055】 硬化剤:上記樹脂ベースに硬化剤を添
加することが望ましい。硬化剤としては種々のものを挙
げることができ、目的に応じて適宜選定することができ
る。例えば、環状アミン類としてヘキサメチレンテトラ
ミンなど; 脂肪族アミン類としてジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチル
ピペラミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−
3−メチルシクロヘキシル)メタン、メンタンジアミン
等;
【0056】ポリアミド類としては植物油脂肪酸(ダイ
マー又はトリマー酸)、脂肪族ポリアミン縮合物等;芳
香族ポリアミン類としては、m−フェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジア
ミノジフェニルスルホン、m−キシリレンジアミン等;
酸無水物類としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水
フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン無水テトラ
カルボン酸、無水クロレンド酸、ドデシニル無水コハク
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメ
チレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができ
る。
【0057】触媒性硬化剤としては、三フッ化ホウ素−
アミン錯体等のルイス酸及びトリス(ジメチルアミノメ
チル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、2−エチ
ル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチ
ルイミダゾール、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒド
ラジド等のルイス塩基、その他ポリメルカプタン、ポリ
サルファイド等がある。また、これらを2種以上組合せ
て用いることもできる。
【0058】 無機フィラー:本発明では、得られた
成形体の強度や寸法安定性などの諸物性を高めるため
に、無機フィラーを配合することが可能である。本発明
に用いることができる無機フィラーとしては、無機系充
填材や補強性繊維など任意の無機フィラーを用いること
ができるが、例えばガラス繊維、炭素繊維、ホスファー
繊維、ホウ素繊維などの補強性繊維;水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物;炭酸マグ
ネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;硼酸マグネ
シウム等の金属硼酸塩;シリカ、雲母などの無機充填材
などを挙げることができる。無機フィラーの配合割合は
特に制限されないが、変性フェノール樹脂100重量部
に対して一般に20〜600重量部が望ましい。
【0059】 その他の添加剤:また、本発明の新規
な変性フェノール樹脂には、必要に応じて種々の添加
剤、例えばシリコーン、ワックス類などの内部離型剤、
カップリング剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、顔
料、増量剤などを添加することができる。
【0060】(6) 混合及び成形操作:また、本発明の新
規な変性フェノール樹脂とエポキシ樹脂等とを含む成形
材料を得るには特に制限されないが、一般には新規な変
性フェノール樹脂をエポキシ樹脂等と予め混練した上、
硬化剤を加え良く混合した後、必要に応じて無機フィラ
ーやその他の添加剤を添加混合して、微粉状の成形粉
(コンパウンド)とすることが好ましいが、無機フィラ
ーやその他の添加剤の添加時期は任意の時期に行いう
る。
【0061】本発明の新規なエポキシ樹脂等を含有する
変性フェノール樹脂成形材料を成形するには、それ自体
公知の成形手段、例えば圧縮成形、射出成形、押出成
形、トランスファー成形などを適用できる。例えば、ト
ランスファー成形で成形体を得る場合、成形温度120
〜180℃、射出圧20〜300kgf/cm2 、型締
圧50〜250kgf/cm2 、成形時間1〜10分で
ある。
【0062】本発明の場合、常法に従って成形した後、
得られた成形体を150〜300℃で0.5〜24時間
程度の加熱処理によるポストキュアを行うことが望まし
い。この処理により本発明の方法で得られた新規なエポ
キシ樹脂等を含有する変性フェノール樹脂の成形体はそ
の耐熱性が一層向上させることができる。
【0063】特に、本発明の新規な変性フェノール樹脂
成形材料はエポキシ樹脂と混合して半導体封止材として
用いる場合、半導体封止材の成形法として主流になって
いる低圧トランスファー成形に適しているのみならず、
従来の材料に比較して耐熱性、耐湿性、寸法安定性、加
工性、成形性に優れた半導体封止材を与えることができ
る。
【0064】
【作用】本発明の方法によると、変性フェノール樹脂に
対して特定の複数の精製工程からなる溶媒抽出処理を施
すことにより、低分子量成分の含有量が相対的に少なく
かつ酸不含の変性フェノール樹脂が製造できる。また、
本発明の方法によると、主に低分子量成分を抽出除去し
たので、特に寸法安定性、耐熱性、成形性等に極めて厳
しい規格の要求される電気・電子部品材料及び半導体用
封止材として好適なエポキシ樹脂含有フェノール樹脂成
形材料等が提供できる利点がある。
【0065】すなわち、本発明の方法で得られた新規な
変性フェノール樹脂をエポキシ樹脂等と混合して成形体
を作製する場合において、該変性フェノール樹脂の分子
量分布のうち、低分子量成分側が相対的に少ないほうが
エポキシ樹脂等との反応性に優れ、かつ成形体の物性
(特に、耐熱性、寸法安定性等)の発現性に優れ、特に
低分子量成分の含有量が10%以下のものにおいて効果
が著しい。
【0066】要するに、本発明の方法によると、得られ
た新規な変性フェノール樹脂は、低分子量成分の多い樹
脂に較べてその寸法安定性、成形性、耐熱性を高めるこ
とができ、しかも耐湿性、耐金属腐食性等をも向上させ
ることができ、電気・電子部品材料や半導体用封止材と
して従来の材料に代わる優れた特性を示すことが分かっ
た。更に、本発明の方法で得られた酸不含変性フェノー
ル樹脂は、無機フィラーを配合することにより、機械的
物性、電気絶縁性にも優れた成形材料を提供できる。
【0067】
【実施例】本発明は、下記の実施例により具体的に説明
されるが、これらは本発明の範囲を制限しない。 (実施例1)表1に示す原料油334g、パラホルムア
ルデヒド370g、p−トルエンスルホン酸1水和物1
37g、及びp−キシレン678.5gをガラス製反応
器に仕込み、攪拌しながら95℃まで昇温した。95℃
で1時間保持後、フェノール209gを1.3g/分の
滴下速度で滴下し、フェノールの滴下終了後、さらに1
5分間攪拌して反応させた。次に、反応混合物を3,3
00gのn−ヘキサンに注ぎ込み、反応生成物を析出さ
せ、濾過して、未反応成分及び反応溶媒を除去した。
1,600gのn−ヘキサンで析出物を洗浄後、真空乾
燥し、酸含有の変性フェノール樹脂を得た。
【0068】この樹脂を10倍重量のトルエン(トルエ
ンに対するp−トルエンスルホン酸1水和物の溶解度は
0.01以下)に溶解し、p−トルエンスルホン酸1水
和物を主成分とする不溶分を濾過した。得られた樹脂ト
ルエン溶液を樹脂濃度が50重量%になるまで濃縮し、
さらに微量のトリエチレンテトラミンを加えて中和し酸
不含変性フェノール樹脂トルエン溶液を得た。
【0069】この溶液にトルエンを添加混合し、表2に
示した樹脂濃度及び溶液量の異なる5種類の樹脂トルエ
ン溶液を作製した。そして、同溶液を全量表2に示した
析出溶剤中に投入攪拌後、濾過し、低分子量成分を抽出
除去した。濾紙上の析出物を真空乾燥し、表2に示した
新規変性フェノール樹脂(発明品1〜5)を得た。
【0070】得られた新規変性フェノール樹脂(発明品
1〜5)のGPCを下記の条件で測定し、低分子量成分
含有量を算出した結果を表4に示した。また、代表例と
して発明品2のGPC測定結果を図1に示した。さら
に、得られた新規変性フェノール樹脂(発明品1〜5)
とビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製;商品名 YX−4000)を下記の方法でコ
ンパウンド(成形材料)を作製後、175℃、90秒の
条件でトランスファー成形し、さらに175℃、6時間
ポストキュアすることにより成形体を得た。その物性も
表4に示した。ゲル化時間はコンパウンド作製において
フィラーを添加する前のものを試料とし、JIS K6
910に準拠し、170℃で測定した。その結果も表4
に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】<GPC測定条件> カラム:東ソー(株)、G3000H8 ( カラム長60
cm)+G2000H8 (カラム長60cm)、カラム
温度40℃ 検出器:示差屈折率計、検出温度 40℃ 溶離液:クロロホルム、流量1.0ml/分 試料液:濃度20mg/ml−クロロホルム、注入量1
00μl
【0074】<樹脂中の低分子量成分含量算出法>樹脂
中の低分子量成分含有量は下式により算出する。
【数3】
【0075】<コンパウンド作製法>変性フェノール樹
脂100重量部とエポキシ樹脂80重量部を120℃で
溶融混合し、冷却後粉砕する。該粉砕混合物に2−エチ
ル−4−メチル−イミダゾール(和光純薬(株)製、1
級)3.67重量部、カルナバワックス1.48重量部
を添加混合し、さらにフィラーとして溶融シリカ(龍森
(株)製、商品名 CRS1102−RD8)555.
5重量部を添加混合し、コンパウンドとした。
【0076】(比較例)実施例1と同様の操作を行い、
混合溶媒で処理する前の酸不含変性フエノール樹脂の濃
度50重量%のトルエン溶液を得た。この樹脂トルエン
溶液を3.3倍重量のn−ヘキサンに注ぎ込み、樹脂を
析出させ、濾過した。その後、真空乾燥し、酸不含変性
フェノール樹脂(比較品)580g得た。
【0077】得られた酸不含変性フェノール樹脂のGP
Cを実施例1と同じ条件で測定した結果を図2に示し
た。このGPC測定結果から実施例1と同様の計算式で
樹脂中の低分子量成分含量を求めたところ、表4に示す
ように14.1%であった。さらに、得られた酸不含変
性フェノール樹脂(比較品)を使用し、実施例1と同様
にしてコンパウンドの作製及び成形体の成形を行い、ゲ
ル化時間と成形後の物性を測定した。その結果を表4に
示した。
【0078】(実施例2)実施例1と同様に反応操作を
行った後、反応混合物にトルエン850gを添加混合
し、60℃まで冷却した。その混合物を全量n−ヘキサ
ン3,300g中に注ぎ込み、攪拌後濾過し、未反応成
分および樹脂中の低分子量成分を抽出除去した。濾紙上
の抽出物を1,600gのn−ヘキサンで洗浄後、真空
乾燥し、酸含有の新規変性フェノール樹脂を得た。
【0079】この樹脂を10倍重量のトルエンに溶解
し、p−トルエンスルホン酸1水和物を主成分とする不
溶分を濾過した。得られた樹脂トルエン溶液を樹脂濃度
が50重量%になるまで濃縮し、さらに微量のトリエチ
レンテトラミンを加えて中和した。この樹脂トルエン溶
液を3.3倍重量のn−ヘキサンに注ぎ込み、樹脂を析
出させ、濾過した。その後、真空乾燥し、新規変性フェ
ノール樹脂(発明品6)490gを得た。さらに、実施
例1と同様にして、低分子量成分含有量、ゲル化時間、
成形体の物性を測定した。その結果を表4に示した。
【0080】(実施例3)比較例で得られた酸不含変性
フェノール樹脂をトルエンに溶解し、表3に示した樹脂
濃度および溶液量の異なる2種類の樹脂トルエン溶液を
作製した。そして同溶液全量を表3に示した析出溶剤中
に投入攪拌後、濾過し、低分子量成分を抽出除去した。
濾紙上の析出物を真空乾燥し、表3に示した重量の新規
変性フェノール樹脂(発明品7,8)を得た。さらに、
実施例1と同様にして、低分子量成分含有量、ゲル化時
間、成形体の物性を測定した。その結果を表4に示し
た。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】*1; ガラス転移点測定方法 測定方式:動的粘弾性法 測定機器:(株)レオロジー、DVE RHEOSPECTOLER DVE-
V4型 荷重方式:引張法 測定周波数:10Hz 昇温速度:5℃/分 動的測定変位:±5×10-4cm 試験片:幅4mm、厚さ1mm、スパン30mm
【0084】*2; 線膨張係数測定方法 測定機器:(株)リガク、TAS-200 システム TMA 8140C
型 昇温速度:5℃/分 試験片長:10mm 測定温度範囲:50℃〜100℃
【0085】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の方法による
と、得られた新規な変性フェノール樹脂が以下の優れた
性能を有する。 酸を含んでいないので、金属等に対する腐食の恐れ
がない。 低分子量成分含有量が少ないので、耐熱性、成形
性、寸法安定性に優れる。 無機フィラーを配合すると、特に機械的強度に優れ
た成形材料を提供する。 良好な電気絶縁性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明品2のGPCによる分子量分布を示すグラ
フである。
【図2】比較品である酸不含のフェノール樹脂のGPC
による分子量分布を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 春彦 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島石 油株式会社鹿島製油所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油系重質油類またはピッチ類1モルに
    対して、ホルムアルデヒド重合物をホルムアルデヒド換
    算のモル数が1〜15になるように混合し、酸触媒の存
    在下に加熱攪拌しながら、フェノール類を該石油系重質
    油類またはピッチ類1モルに対して0.3〜5モルの割
    合で逐次添加し、重縮合させて変性フェノール樹脂を生
    成した後に、 下記(a)〜(c)の精製工程を任意の順序で施すこと
    を特徴とする、低分子量成分含有量が10%以下である
    酸不含変性フェノール樹脂の製造方法。(a)炭素数1
    0以下の脂肪族若しくは脂環式炭化水素或いはこれらの
    混合物からなる溶媒で処理して該溶媒に可溶な未反応成
    分等の除去と樹脂の析出操作とを行う工程、 (b)酸触媒の溶解度が0.1以下で難溶であるが、大
    部分の変性フェノール樹脂を溶解する抽出溶媒により酸
    等の触媒残渣を抽出除去する工程、 (c)芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素又はアルコール
    類との組合せからなる混合溶媒で処理して未反応成分と
    低分子量成分を抽出除去する工程。
  2. 【請求項2】 (c)工程の混合溶媒がトルエン−メタ
    ノール又はトルエンーn−ヘキサンの組合せであること
    を特徴とする、請求項1記載の酸不含変性フェノール樹
    脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 (c)工程の混合溶媒の混合割合が芳香
    族炭化水素100〜300重量部/脂肪族炭化水素又は
    アルコール類150〜600重量部であることを特徴と
    する、請求項1又は2記載の酸不含変性フェノール樹脂
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 重縮合により得られた変性フェノール樹
    脂を混合溶媒で処理して未反応成分と低分子量成分の抽
    出除去(c)を行い、その後に酸等の触媒残渣の溶媒抽
    出除去(b)を行い、さらに微量の未反応成分の除去と
    樹脂を析出させる溶媒処理(a)を行うという手順で複
    数の精製工程を施すことを特徴とする、請求項1記載の
    酸不含変性フェノール樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 重縮合により得られた変性フェノール樹
    脂を溶媒処理して未反応成分の除去と樹脂の析出をさせ
    (a)、その後に酸等の触媒残渣の溶媒抽出除去(b)
    を行い、混合溶媒で処理して未反応成分と低分子量成分
    の抽出除去(c)を行うという手順で複数の精製工程を
    施すことを特徴とする、請求項1記載の酸不含変性フェ
    ノール樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 重縮合により得られた変性フェノール樹
    脂を溶媒処理して未反応成分の除去と樹脂の析出をさせ
    (a)、その後に酸等の触媒残渣の溶媒抽出除去(b)
    を行い、再度溶媒処理して樹脂の析出をさせ(a)、最
    後に混合溶媒で処理して、未反応成分と低分子量成分の
    抽出除去(c)を行うという手順で複数の精製工程を施
    すことを特徴とする、請求項1記載の酸不含変性フェノ
    ール樹脂の製造方法。
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